小説『あぁ神様、お願いします』
作者:猫毛布()

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マエガキ
 ダラダラと書いていたら7000字超えました。
 分割しなかったら10000字でしたね。分割の意味はあったのか。
 いや、どうでもいい話ですね。更新遅れてごめんなさい。

*****************************
 誰か、誰か今の状況を説明して欲しい。
 出来れば、懇切丁寧に、わかりやすく、そして簡潔に完結に教えて欲しい。
 チャポンと天井に付着した水分が自分の重さに耐えられずに湯船に落ちて音を鳴らす。

「着替え、置いとくぞ」
「ひゃい!?」

 すりガラス越しにゆぅ君の影が動き、そして消えた。
 変な声が出てしまった。お湯のせいで赤くなった顔を湯船に着けてブクブクと言わせる。溶けたい。このまま、溶けたい。

 冷静に思い返してみよう。
 ずぶ濡れの私と、そんな私に傘を差し出して自分が濡れてしまった本末転倒な彼。
 そんな彼が、目の前の私を見て何度か瞬きをしていた事を思い出したが、意味はさっぱりわからない。
 その後凄く気まずそうに、

『ァー…ェー…いや、コレはアレだ、俺の意志なんかない、そう謂わばラッキーs……みたいなモノなんだ。俺はワルクナイワルクナイ』

 と呟いていたが、彼をどれだけ凝視しても私には意図がさっぱりわからなかった。
 そこからの彼は珍しく慌てたように周りを何度も見渡し、何処からともなく取り出した赤黒い布を私に掛けて、家に招待された訳だ。
 さっぱり分からない。
 分からないついでに、その時点で思考が完全に停止していた私は彼の言われるがまま、湯船に浸かっている訳だが…浸かってしまってる訳だ。
 ようやく思考が落ち着きを取り戻して、私は自分の状況を深く考える事が出来る。
 深く考えた結果。

◆◆
「すずか、風呂入って来いよ」
「え?」

 夕がすずかを抱きしめて囁く。
 その甘い声に体を硬直させるすずか。

「安心しろ、優しくするから」

◆◆

 妄想したところで止まる。
 他者からみたらグヘグヘ笑っているだろう。落ち着け私。落ち着いて、その先をゆっくりと妄想するんだ。
 頑張れ、私の脳内。

「すずか?」
「うひゃぃ!?」

 すりガラス越しに聞こえる彼の声。
 私のオカシナ返事の後に彼は安心した様に一拍置き。

「起きてたか。あんまり長湯すると逆上せるぞ」

 そう言って影は消えた。
 もう一度ブクブクとお湯を鳴らして、私は真っ赤になる。逆上せたのだ。逆上せたんだ。
 何度も言い聞かせて、湯船から出る。
 ペタリとタイルに足が付き、体から水が滑り落ちる。
 別に今からが成長期なのでそれほど気にはしていないけれど、こういった状況だから、少しだけ自分の体を恨んでしまう。
 もう少し成長したら、いや、夢物語か。少しだけ自嘲してすりガラスを開く。
 起動している洗濯機とその隣にあるカゴ。
 カゴの中には私の濡れた着替えがあった筈なのだが、今は綺麗に畳まれた赤黒いカッターシャツと男物の灰色のトランクスが置かれている。

 ……。思わず恥ずかしさが込み上げてきて唸る。なるべく大きな声を出さないように、唸る。
 つまり、私の着替えが彼に見られた?挙げ句の果てに洗濯されてる?私に選択権は?ないの?え?ゆぅ君は淡々と平然と喋ってたけど?え?


 一通り、疑問を明後日の方向に全力倒置して私はタオルで体を拭く。
 目の前のシャツはつまり、彼が常用するようなシャツであり、トランクスに至ってはもはや何も言わない。
 ある意味スゴイのモノが私の目の前に鎮座しているのだ。
 本でそれなりの知識もあるし、女の子故に興味もある。しかし、何か越えてはいけない一線を越えてしまいそうだ。

―いいじゃないか、越えてしまえよ
―ダメだろ。そんな事しちゃ

 頭の中で天使なゆぅ君と悪魔なゆぅ君がせめぎ合う。
 我が頭ながらデフォルメされた天使姿と悪魔姿のゆぅ君を作り上げるとは。

―まぁ落ち着け天使。今はチャンスなんだ、わかるか?
―落ち着くのはお前だ、悪魔。そんな事をして意味は無いだろ?
―意味?意味を求めるのか?今、この段階で?
―全ての行動には意味が在る。意味のない行動など存在しないさ
―ならば、行動しない意味を言ってみろ
―今ココで服に顔を押し付けて肺一杯に深呼吸をしなければ俺に変態扱いされなくていいだろう
―天使よ、お前は何を言ってるんだ?
―ごく普通の一般常識だ
―周りを見てみろ、天使よ。誰が居る?
―…鏡に映ったすずかだな
―ならば行動した所で、言ってしまえばトランクスに顔を押し付けた所で俺にバレることはない
―ふむ、そうだな。さすが悪魔だ
―いや、俺も匂いを嗅ぐという思考には至らなんだ

 仲良く肩を組んで和解してしまった天使と悪魔を思考の端に追いやって、私はシャツを両手で大事に掴む。
 バクバクなる心臓を精一杯深い呼吸で落ち着ける。
 吸って、吐いて、吸って、吐いて。
 吸って、吐いて、吸って、吐いて。
 吸って、吐いて、吸って、吐いて。
 吐いて。
 ゆっくりとシャツで鼻を覆う。ゆっくりと吸い込む。
 いつものゆぅ君の匂いが私の中に入り込んで、心が更に脈打つ。



 何か、イケナイ事をしている気分になってしまい、思考を戻す。
 ゆぅ君の匂いを充分に堪能できたので、シャツに袖を通し、トランクスを履く。心許ないが、仕方がないだろう。女物のショーツなんて出されたら、それはソレで困る。

 洗面所から出て、見たものは、何故かソファでビクビクと悶絶しているゆぅ君だった。

「ど、どうしたの?」
「いひゃ、なんれも、なんれもない」

 何処か呂律の回ってない彼を疑問に思いながら、ソファに座る。
 顔が真っ赤な彼は何度かワザとらしく咳き込んで立ち上がる。

「とりあえず、お前の服が乾くまで時間掛かりそうだから、家に連絡だけはいれとけよ?」
「あ、うん…」

 そそくさとキッチンに入った彼を見送って、私は机に置かれていた携帯電話を手に取り、自宅に連絡を取る。

『はい、月村です』
「あ、ノエル?私」
『あぁ、すずか様。雨で足止めでしょうか?』
「えっと、その、今友達の家に居てね」
『ご友人…と申しますと、アリサ様かなのは様の?』
「いや、えーっと……」

 思わず言い淀む。嘘をついてしまうか?いや、それはソレで後が怖い。

「その、別の友達の家に」
『……女のご友人ですか?』
「…男の子です」
『すぐにお迎えに上がります』
「だ、大丈夫だよ!?」
『いえ、すぐに行きます。一秒たりともそこに居てはいけません』
「ゆぅ君はそんな人じゃないよ」
『ダメです。あ、忍様』
『すずか?』

 声が変わりお姉ちゃんの声が聞こえる。

『なんかノエルが慌ててたから替わったけど、どうかした?』
「えっと、前に言ってた男の子の家に居てね?」
『…あー、なるほど。わかった。すぐに帰れるの?』
「ずぶ濡れになっちゃって、今着てる服もゆぅ君が出してくれたものだから、制服が乾くまでは」
『そっか…』
「うん、ごめんね?」
『何を謝ってるのよ。ノエルは私が説得しとくし』
「ありがとう…」

 コトリと目の前にカップが置かれた。
 カップを掴んでいる手を辿れば当然彼がいるのだけど。

『彼は近くに居る?』
「あ、目の前にいるけど…」
『代わってくれる?』
「え、うん…」

 携帯をゆぅ君に渡し、ゆぅ君は非常に苦い顔をしながらソレを受け取って耳に当てた。

「お電話代わりました、御影です。

 ………はい、私が責任をもってご自宅にお送り致します。

 …………制服が乾けば、え?……はぁ、まぁ俺は構いませんが
 ……はい、わかりました……では、代わります」

 ゆぅ君が携帯を私に渡して盛大に溜め息を吐く。

「どうしたの?」
『アンタ、そこで一晩過ごしなさい』
「え?え?」
『どうせ朝まで雨でしょうし、幸い明日は休みだからね』
「え、えっとゆぅ君の許可とか」
『私が取った』
「うわぁ…」

 思わず漏れてしまった声。
 なんだか、ゆぅ君ごめんなさい。

『直接彼を見たのは一回程度だけど、まぁ妹の話を信じる事にしましょう』
「…うん、私は大丈夫だよ」
『……彼なら、大丈夫よ』
「……」
『じゃぁ、また明日ね』
「うん、また明日」

 電話が切れて、息を吐く。
 目の前ではカップの中に白い液体が入っている。

「ホットミルクです、お嬢様」
「ごめんね、ゆぅ君」
「いや、構わんよ。こっちとしては家族の公認を得て気が楽になった」
「そ、そっか」

 カップに口を付けてホットミルクを飲む。
 甘い。

「さて、俺も風呂に」
「だ、ダメだよ!?」
「えぇ……」
「あ、えっと、」

 私の入った後に入られるなんて、そんな恥ずかしいこと私に耐えろというのか?無理だ。
 流石にもう恥ずかしいことの上塗りはやめてほしい。

「まぁいいがね…」
「その、ごめんなさい」
「いいさ。髪を乾かすタオル貸して」
「あ、うん」

 彼が私の後ろに回って、濡れた髪が降ろされる。

「ふむ、ドライヤーの構成は熱を風で送るのが基本か…」
「え?」
「あぁ、気にするな。こんなモノかな」

 ゆぅ君の声の後に少し暖かい風が首を撫でる。

「こういう時、何を話していいかわからんな」
「…うん」
「そうだな……昔、人使いの荒いご隠居がいてな。次々と奉公人を雇うが、三日も経たずに『こう人使いが荒いと辛抱なりかねます』とやめてしまったそうだ。
 そんなご隠居の元にも三年程努めた奉公人がいたが、ご隠居が引っ越す新しい家に妖怪が出るだとかで怖くなってやめてしまった。

 引っ越した最初の晩に一つ目小僧が出てきたが、ご隠居は、皿を洗えだの、布団を敷けだの、散々こき使った。
 二日目の晩は大入道が出たので、屋根の手入れをさせた。三日目は女ののっぺらぼうが出て繕いものを。
 四日目に何が出るかと待っていると大きな狸が出てきた。
 ご隠居が、何だい、今までの妖怪はお前の仕業か?
 と問えば、狸は頷く。
 更に『何の用だ』と聞けば
『お暇をもらいたい』
『どうして』
『こんな妖怪使いが荒くちゃ辛抱なりかねます』

 と。髪が乾いたな」
「落語、だっけ?」
「ホントに何でも知ってるなぁ」
「ゆぅ君の方が何でも知ってるでしょ?」
「知らないことの方が多いよ。俺が知ってるのは知ってることだけだからな」

 楽しそうに後ろでクスクス笑うゆぅ君。
 後ろを振り向けば何も持っていないゆぅ君が居て、優しい顔をしている。
 もし、私が、私の本当の事を言えば、この顔は一生見られないのだろうか。

「あんまり考えすぎるなよ」
「え?」
「悩んでます、って思いっきり顔に書かれてるぞ」
「……」
「まぁ、大なり小なり、人には悩みがあるし…それは当然か」
「ゆぅ君にも悩みとか、あるの?」
「聞き方によっては失礼な事だな」
「聞いてるのはゆぅ君だけでしょ?」
「ご尤も。俺にも悩みがあるよ。沢山ね」
「……」
「次はその悩みを聞きたいって顔だな」

 クスクスとゆぅ君は笑い、私は顔を俯かせる。
 どうして彼は私の感情を言い当ててしまうのだろう。

「悩みには二通りがある。人に言って解決する悩み、人に言っても進展のない悩み。それだけだ」
「人に言って?」
「そう。例えば、そうだな…今日の夕飯は何がいい?」
「え、えっと、なんでもいいよ?」
「了解、適当に作ることにしよう。これが人に言って解決する悩みだ。逆に、俺が不治の病である、と他人に伝えたところで進展なんて一切ない」
「え?」
「後になるが、冗談だぞ」
「そっか、よかった……」
「まぁ、似たようなモンだがね」

 小さく呟かれた言葉はあまり聞こえなくて、追求も出来なかった。
 私が化け物である事は、進展のない悩みである。
 なら、私が悩んでいる事はなんだろう。
 誰かに私を知ってもらいたい。本当の私を認めて欲しい。認められるかわからないけど。












 相変わらずゆぅ君のご飯は美味しかった。
 なんというか、落ち込むほどに、美味しかった。追い打ちのごとく『有り合わせで作った粗末なモノで悪いがね』とか言われたら、落ち込むしかなかった。

「ん、どうした?」
「なんでもないよ……」
「?」

 頭の上に『?』でも浮かべている様に首を傾げるゆぅ君。
 今はパタパタと移動して、布団を敷いている。

「ゆぅ君って一人暮らしだったよね?」
「まぁそうだな」
「その布団は?」
「俺のだけど?あぁ、最近干したばかりだから清潔と言えば清潔だぞ。二日程前だからどうかは知らんが」

 つまり、今日はゆぅ君に包まれて眠れるのかッ!?いや、そうじゃなかった。

「ゆぅ君はどこで寝るの?」
「ん?……まぁどこでも寝れるだろ」
「考えてなかったんだ」
「布団は一組しか無いからな。まぁ、日が昇るまで本でも読んでるさ」
「だ、ダメだよ。ちゃんと寝ないと」
「適当にするさ」

 こうなったゆぅ君はテコでも動かない。というか、私は動かせた事がない。
 知り合って長いけど、深く付き合い始めたのは最近だ。
 彼を知るには時間はあったが、機会がなかった。同時にそれは彼にも言えることだ。

 思考に耽っていると、突然の轟音。
 耳が痛くなる程の雷音。そして、点滅する電灯。

「あ、」
「む…停電か」

 どうやら近くに雷が落ちたらしい。
 暗闇の中でゆぅ君が天井を見上げるのがわかる。
 顎に手を当てて何かを考えるようにして、何度か首を振る。

「流石に寝るには早いな…」
「そうだね」
「そうとも。お嬢様。しばし、お待ちを」

 ゆぅ君は立ち上がり、左手を前に出す。
 足元から朱色の淡い光が円を描き、彼を照らし出す。
 出された左手の掌は上を向いていて、そこに野球ボール程度の淡い朱色の光源が完成した。

「きれい…」
「それはどうも。では、更に感嘆させましょう、っと」
「うわぁ……」

 彼が光源をチョンッと触れば。ふよふよと漂い、壁に当たると分裂して光源が二つになった。
 二つから四つ、四つから八つ。いつの間にか、部屋の中は淡い朱色に染められて、幾つかの淡い球が増えては消え、増えては消えを繰り返すそんな不思議な空間になっていた。

「魔法みたい…」
「みたい、じゃなくて、魔法そのものだよ」

 そういえば彼は魔法使いだった。
 凄い。その一言だ。
 そして、同時に思ってしまった。

「どうして、私に優しいの?」

 思ってしまった言葉は、口から吐き出され、彼の表情をキョトンとさせるには十分な力を持っていたらしい。
 これだけ凄い事が出来るのに、何故私になんかと一緒にいるのだろう。

「どうして?どうして私なんかと一緒に居れるの?こんな私なのに」
「どうして、か。考えたこともなかったな」
「考えてよ、今、すぐに考えてよ」

 感情が抑えられなくて、段々と口が早くなってきて。

「どうして優しくするの?どうして私なんかに優しいの?」
「……」
「応えてよ、答えてよ!!」
「在り来たりな言葉だが、友達だから…いや違うな。どうだろう、人間的にお前は好きだが」
「ッ……でも、」

 ダメだ。口に出すな。
 やめろ。やめて、やめて。


「私は人間じゃないんだよ?」

 言ってしまった言葉は既に取り返しがつかなくて。
 頭の中がグチャグチャで、何も考えたくなくて。ボロボロと涙が出て、ソレも情けなくて、嫌われたくなくて、俯いて、息が苦しくて。

「だからどうかしたのか?」
「え?」
「いや、うん?オカシナ事を言ったか?」
「私、人間じゃないんだよ?化け物なんだよ?」
「あぁ、そうなのか。うん、そうか。で?」
「……怖くないの?退治しないの?」
「どうしてそういった思考になったかは置いておくが、なかなかに目の前で友情が否定されるというのは辛いな」
「友情からの同情なんてイラナイよ」
「そんなモノ、欠片もねぇよ。あるのは何でも無い、単なる気持ちだけさ」
「気持ち…?」
「そう、普通の気持ち」

 ゆぅ君は溜め息を吐いて、私の隣に座る。
 よっこらせ、とか少し漏らしていたのがゆぅ君らしい。

「在り来たりな言葉を吐き出せば、俺は人間であるすずかと友情を築いた訳でなく、単なるすずかと友情を築いたつもりでいるんだよ」
「……うん」
「お前はすずかだろ?いつだってすずかだったろ」
「…うん」
「それでいいさ。ソレだけでいい」
「私で、いいの?」
「お前がいい。そうじゃないと困る」
「…どうして?」
「……大切だから、かな」

 彼は少し間を空けてそういった。その間の中に何が詰まっているか私には分からない。
 でも、それでも、私は、私である。

「大切、と言ってもアレだ、友人としてだな」
「なんで改めて言うの?」
「俺が勘違いしてしまうだろう?」
「……」

 あぁ、この人は底抜けの唐変木だ。ソレを理解した。今、再度、理解した。
 彼は溜め息を吐く私に苦笑して、更に口を開く。

「では、すずか。お前が悩みを打ち明けたから…というのは少し卑怯か……少しだけ、吐き出す事にしよう」
「ゆぅ君が化け物だってこと?」
「いや、人を殺した事があるって事」
「え?」
「冗談だ。先に言われるとこういった冗談を言いたくなるだろ?ネタバレは勘弁してくれ」
「あ、うん」

 ゆぅ君はまた苦笑して、灯りである朱い光をトンッと押す。

「お前が暴走してしまうような事があれば……どうするかな」
「そこはハッキリ言って欲しかったなぁ…」
「まぁ、どうにかするさ。お前も、お前の大切な人も守れる様に」
「もしも、はやてちゃんに危害を加えたら?」
「加える前に……どうにかするさ」
「どうにかって?」
「……それは、その時に考えるよ」


 自嘲気味にそう応えて彼はフヨフヨ浮いた珠を指で押す。
 押された珠は壁に当たり、消える。

「まぁ仮定の話はいいさ。過程の話は好きだがね」
「家庭の話は好きかな?」
「どちらかと言えば、嫌いだね」
「そっか、じゃぁやめとくね。あぁ、そうだゆぅ君、すっかり言うのを忘れてたんだけど」

 私はもう一度、告白をする。
 今までの踏ん切りと、これからの一歩の為に。そして私を認めてもらう為に。
 この人なら、私を認めてくれる。そんな何処からか湧いて出る自信に従って、私は口を開く。

「私は、化け物です」
「うん。そうか、それで、俺たちの関係に影響があるのか?」
「ゆぅ君が良ければ、」
「そうかい。なら変わらんよ。お前がそうしたように」

 またゆぅ君は自嘲気味に笑い、少しだけ顔を赤くする。私の顔も少し熱い。たぶんこれは、きっとゆぅ君の出した光源の所為に決まっている。決まっているんだ。


********************************


〜知ってることは、知ってることだけ
 正直、眼鏡であるから言わせたかったのか、言わせたかったから眼鏡なのか。おそらくどちらでもない

〜謂わばラッキースケベみたいなモノだ
 薄手の夏服、雨でずぶ濡れ、そんなすずか様を想像して、ゆっくりと視線を胸元に下げてください。気まずくなります

〜天使と悪魔なゆぅ君
 すずか様の脳内物質。どうしてか出てきてしまった

〜赤黒いシャツ
 非常に言いにくいが、そういう事だ

〜呂律が回ってない
 全身を優しく握られて、スーハーされたらそうなるだろうと

〜落語
 ユウは意図してなかったけど、『化け物使い』だっけかの落語です

〜月村家
 ごめんなさい。たぶん口調がががggggg

〜すずか様が変態チック
 変態じゃナイヨ!好奇心からの行動です!!ヘンタイジャナイヨ!!

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