小説『あぁ神様、お願いします』
作者:猫毛布()

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〜サキガキ
 2週間書けないと言ったな。アレは本当だ。
 まぁ、合間にちょこちょこ書けたので投稿します。
2012/12/16
誤字訂正

****************


「失礼しまーす」

 ガラリと保健室の扉を開き、中に入る。
 開けた音に気がついたのか、保険の先生がコチラを向き、溜め息。

「またサボり?ダメよ、皇君」
「いや、今日はサボりじゃない。コイツが風邪っぽいんで連れてきました」

 また、と言われる程ここを利用してる訳じゃない。小学生の勉強なんてやる気が起きないからココで寝てるだけだ。
 まぁ今日はサボる理由でココに来たワケでもない。
 腕を引けば、アイツが無表情…いや、少しだけ眉間を寄せて溜め息を吐いた。

「……大丈夫だと言ってるだろう」
「お前な、人の好意ぐらい素直に受け取れよ!!」
「お節介とも言うがな……まったく」
「人のお節介も素直に受け取っとくべきよ?」
「……そうですか」

 またアイツは溜め息を吐いてチラリとオレを見る。

「なんだ?」
「腕、」
「腕?」
「離せ」
「なんだよ!!人が心配してやってんのに!!」

 掴んでいた左腕を離すと、摩りながら保健室に入ったアイツ。そこまで強く握ってないし、握ってたら痛いって言うだろ。

「体温計を差し込んで」
「……」

 無言で体温計を受け取り、溜め息を吐き出す。どうして体温を計るのにあれほど時間がかかるんだ。
 とにかく、連れてきたオレとしては、コイツの容態が気になる訳だ。本当に風邪ならば移されては困る。というか、風邪なら休めよ。
 あれか、同情が欲しいのか?

 少しだけ時間が経ち、保健室の中に電子音が響く。
 体温計を取り出して、自分で確認したアイツは溜め息を吐いた。

「計り終わったわね。貸して」
「……」
「え…?ちょっとごめんなさいね?」

 体温計を見た先生はアイツの額に手を当てて、顔を顰める。

「今、布団は空いてたわね。すぐに横になりなさい」
「いえ、大丈夫なんですけど」
「言うことを聞きなさい!!40℃を越える熱なのに大丈夫な訳がないでしょ!!」
「は?」

 普通は意識がグラグラしてるぐらいの体温じゃねぇか。ふざけんな。
 家でジッとしてればいいだろ?そんな熱があるんなら。

「親御さんは?今すぐ迎えに来てもらいます」
「あー…親は家にいないんですけど」
「携帯電話の番号は?」
「…えっと、その、……海外に赴任中でして」
「こんな子供残して仕事ですって!?」

 海外に赴任とか、コイツって金持ちだったのか。
 御影は少しだけ困った様に、溜め息を吐く。

「あぁ、えっと、……従姉弟の姉が近くに住んでて、ちょっとその人に連絡をとります」

 先生から電話を受け取り、番号を押していく。
 受話器を耳に当てて、数秒、どうやら相手が出たようでアイツが口を開く。

「あ、御影です。いや、まぁ学校にいるわけだけど
 …それは違う。ともかく、ソコに姉さんいる?
 ……そう、姉さん。あのおっかなくて頼りになるまるで刀剣みたいに鋭い姉さん。
 ん、頼みます。



 あ、俺です。御影です。えっと、迎えに来ていただけると非常にありがたいです。
 ……はい、そうです。
 ありがとう。じゃ、待ってます」

 そこで会話が終わったのか受話器を電話に置いて、溜め息を吐く。

「来てくれるそうです」
「じゃぁアナタは寝てなさい。皇君、君はもう戻ってていいわよ」
「ういっす。じゃあな」
「さっさと行け」

 相変わらずの憎まれ口に見送られてオレは保健室をあとにする。
 アイツって、親は海外で働いてて従姉弟の姉が近くに住んでるのか。ソレナンテエロゲ?




「ただいまーっと」
「ゆぅ君は?」
「熱で寝てるよ。迎えが来るらしいぞ」
「熱って……また無茶しとったんか…」
「ライト、迎えって?」
「従姉弟の姉が来るってさ」
「従姉弟……?」
「詳しくは知らねぇけど」

 はやてとフェイトが考えるように顎に手を当てて唸る。

「夕君に従姉弟…?」
「居たかな……?」
「アイツって、親も海外暮らしらしいし、保護者の一人ぐらいはいるんじゃねぇの?」
「海外?」
「……あぁ、なるほど」
「ブッ、げほげほ…もう、すずか急に変な事言うのやめてよね」
「え?私何も言ってないよ!?アリシアちゃんが急に吹き出しただけだよね!?」
「ふふーふ。わからないならいいんだけどねぇ。そのまま是非とも成長して欲しい」

 クックックッ、と含み笑いをするアリシアにそれに慌てるすずか。
 ともかく、アイツは金持ちでエロゲ的な展開を持ち合わせたヤツで、すずかとかはやて達と仲が良すぎるのか。

「うざ…」
「ライト君、どうかしたの?」
「なのは、よく考えてくれ。海外に親が住んでるって事は結構な金持ちなんだ。そして子供一人で生活出来る程の金もある。オレとは大違いだ」
「あー、他人の家庭事情を勝手に言うのもなんやけど…確かに大違いやな」
「だろ!?それなのに付き合いは悪いわ、奢ってくれないわ」
「ライト。ユウはそれほどお金を持ってる訳じゃないよ」
「はァ?海外に親がいるのに!?」
「そこから間違ってるんやけど……」

 間違ってる?
 アイツ自身がそう言ったんだぞ?

「……ゆぅ君のご両親は、もう亡くなってるよ」
「亡くな……って何かあったのか?」
「…何かって…ソレをアンタが言うんか?」
「え?」
「はやて」
「……ごめん。ともかく、や。夕君の両親はこの世に居らん。詳しくは自分で確かめ」

 オレが言っちゃいけない?なんでだよ。
 アイツの親とオレの接点なんて一切無いはずだろ。オレの親と知り合いとか?
 もしくは、転生主人公であるオレと、バグであるアイツだからこその接点があるのか?





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〜短め
 キリが良かったので

〜ユウの親類
 事務手続きは変身魔法にて大人に、その後はちょくちょく変身してただけ。彼は天涯孤独である。いや、少し違いますね

〜従姉弟の姉
 刀剣みたいに鋭い女性。おっぱい

〜海外=金持ち
 単純な発想。ユウが一人暮らし、と深く考えていれば金持ち

〜アトガキ
 三味線です。いえ、毛布です。
 色々と考えてて。とりあえずは頭の中で完結しました。第二部完!!おめでとう猫毛布、ありがとう読者様。
 なんて冗談は置いておきましょう。
 しかしながら、相変わらず、またあの場面に行くのに四苦八苦しそうです。かといってあの場面を消してしまうと、彼と彼女が救済できません。いや、一度以上彼は死にますけど。
 まぁ、夕君がうまく動いてくれるでしょう…たぶん

 あぁ、ソレと変身魔法についてのツッコミは一切受けません。流石に裏設定まで書いて書けるほど頭は回らないしシナリオ作成能力もないので。
 なので、『地球に来たときに変身魔法使えるなら【時の庭園】でアンヘルと名乗ってる時も使えば良かったんじゃね?』とか言わない様にお願いします。
 あの時は、ほら、きっと、自分の事はどうでも良くてフェイトとかプレシアに魔力を向けようとしてたので、無駄にできなかったんですよー

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