小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 「レベル4ランス・リンドブルムにレベル4サーヴァント・ワイバーンをチューニング!
  凍てつく氷の翼よ絶対零度の力を纏いてこの地に降り立て!シンクロ召喚!氷河の化神、氷龍皇(ひょうりゅうおう)−ミヅチ!」
 「ショォォォォォォォ!」
 氷龍皇(ひょうりゅうおう)−ミヅチ:ATK2500

 「ミヅチの効果発動。手札のドラゴン族モンスター1体を墓地へ送りその攻撃力分相手モンスター1体の攻撃力をダウンさせる。
  俺は手札のイクシード・パワードドラゴンを墓地へ送り、お前のサイコ・ショッカーの攻撃力を2400ダウンさせる。」

 「サイコ・ショッカーの攻撃力は2400、と言う事は…」
 人造人間サイコ・ショッカー:ATK2400→0

 「此れで終わりだ!氷龍皇(ひょうりゅうおう)−ミヅチでサイコ・ショッカーを攻撃!オーバーコールド・ストリーム!」

 「ぬおわぁぁぁぁぁぁ!」
 レア・ハンター:LP1500→0

 「此れで3人…一体後何人居やがるんだ…」

 遊哉の言う通り、此れで彼が倒したレア・ハンターは3人目。
 前に闘ったレンの言葉からまだかなりの数が居ると見ていい。

 「…霧恵と遊星にも伝えておくか。」







 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel10
 『動き出した陰謀』〜遊星VSダーク・東郷〜







 「ノー・バディのレアハンター…」

 『あぁ、何人か参加者として島に入り込んでるらしい。お前が負けるとは思わんが一応な…』

 「分かった用心していよう。お前も気をつけてな緋渡。」

 『おう、また後でな遊星。』


 ――ピッ


 「悪い、待たせたな。」

 「いや構わんさ。成程噂に聞くカード強奪集団がこの島にねぇ…」

 遊星と対峙するのは20代後半くらいの男。
 アカデミアの教師と言った感じではない恐らく外部からの参加者だろう。

 「アンタも用心した方がいいんじゃないか?」

 「確かに…だが、今は君とのデュエルを楽しみたい。」

 「其れは俺も同じだ。」

 「そう来なくては…改めて名乗ろう、我が名はダーク・東郷!いざ尋常に…」

 「「デュエル!!」」


 遊星:LP4000
 東郷:LP4000


 ノー・バディの事はひとまず置いておき、遊星にとって4戦目のデュエルが開始された。



 「俺の先攻、ドロー。シールド・ウィングを守備表示で召喚しターンエンド。」
 シールド・ウィング:DEF800

 「私のターン。ダーク・ブレーダーを召喚。」
 ダーク・ブレーダー:ATK1500

 守備の遊星に対してこちらは攻撃表示で召喚してきた。
 攻撃型のデュエリストのようだ。

 「ダーク・ブレーダーでシールド・ウィングを攻撃。」

 「無駄だ、シールド・ウィングは1ターンに2度まで戦闘では破壊されない!」

 「無論承知。だが、ダーク・ブレーダーは守備モンスターを攻撃する場合ダメージ計算を行わず守備表示のまま破壊することが出来る!」

 「何だと?」

 守備表示モンスターを問答無用で破壊する強力効果に意表を突かれる遊星。
 モンスターは守備表示の為戦闘ダメージは発生しないが先手を取られた事に変りはない。

 「ダーク・ブレーダーは守備表示モンスターを破壊した場合手札を1枚捨てなくてはならない。私はネクロ・シンクロンを墓地へ送る。
  そして、この瞬間ネクロ・シンクロンの効果発動。このカードが手札から墓地に送られた場合特殊召喚できる。」
 「うひひひひひ。」
 ネクロ・シンクロン:ATK0

 「更にネクロ・シンクロンの効果。このカード以外の闇属性モンスターが存在するとき、そのカードとネクロ・シンクロンを
  ゲームから除外する事で闇属性のモンスターをシンクロ召喚できる!」

 「緊急同調を使わずにバトルフェイズ中にシンクロ召喚だと!?」

 「レベル4のダーク・ブレーダーにレベル2のネクロ・シンクロンをチューニング。
  シンクロ召喚、出でよダークシュナイダー・アサルト!」
 「ぬあぁぁぁぁ!!!」
 ダークシュナイダー・アサルト:ATK2400

 相手の守備モンスターを破壊し更に間髪入れずに攻撃力2400のモンスターをシンクロ召喚。
 腕前はかなりのようだ…そして踏んできた場数も。

 「ダークシュナイダー・アサルトで直接攻撃!暗黒斬!!」


 ――ズバァァァ!


 「うぉぉぉぉぉぉ!」
 遊星:LP4000→1600

 一気に削り取られるLP。
 序盤から2400もの差をつけられるのは流石にきつい。

 「私は此れでターンエンド。」

 「俺のターン!(良し!)今度はこっちから行くぞ。ジャンク・ブレーダーを召喚!」
 ジャンク・ブレーダー:ATK1800

 「モンスターの召喚に成功した事で手札のワンショット・ブースターを特殊召喚する。」
 ワンショット・ブースター:ATK0

 「更に魔法カード、ワン・フォー・ワンを発動。手札のモンスター1枚を墓地へ送りデッキからレベル1のモンスターを特殊召喚する。
  来い、チューナー・モンスター、ターボ・シンクロン!」
 ターボ・シンクロン:ATK100

 「此の瞬間、ワン・フォー・ワンのコストで墓地に送ったジャンク・アーマーの効果発動。
  此のカードが手札から墓地に送られたときデッキから装備カード1枚を手札に加えることが出来る。
  俺はデッキから、ジャンク・アタックを手札に加える。」

 大量のライフを削られたとはいえ遊星も負けてはいない。
 一気に3体のモンスターを揃えシンクロの準備は整った。

 「レベル1ワンショット・ブースターと、レベル4ジャンク・ブレーダーにレベル1のターボ・シンクロンをチューニング!
  集いし絆が、更なる力を紡ぎだす。光差す道となれ!シンクロ召喚、轟け、ターボ・ウォリアー!!」
 「ファー!!」
 ターボ・ウォリアー:ATK2500

 「ターボ・ウォリアーに装備魔法、ジャンク・アタックを装備。バトルだ!ターボ・ウォリアーは攻撃する場合、
  攻撃対象になったレベル6以上のシンクロモンスターの攻撃力を半分にする!」

 「…成程。」
 ダークシュナイダー・アサルト:ATK2400→1200

 「行け、ターボ・ウォリアー!アクセル・スラッシュ!!」


 ――バシュゥゥゥ!!


 「うぬ…」
 東郷:LP4000→2700

 「更にジャンク・アタックの効果発動。破壊したモンスターの半分のダメージを受けてもらおうか!」

 「くぬぅ…!」
 東郷:LP2700→2100

 「カードを2枚伏せてターンエンド。」

 さっきのターンのお返しとばかりに猛ラッシュをかける遊星。
 一気にライフ差を500まで詰めた。
 守備的なカードの多い遊星だが、シンクロを軸にした一撃の爆発力はかなりものがある。

 「中々やる…私のターン。手札より魔法カード邪念波を発動。墓地の闇属性モンスター1体を特殊召喚する。
  冥府より蘇れ、ダークシュナイダー・アサルト!」
 「ヌゥゥン!」
 ダークシュナイダー・アサルト:ATK2400

 「更に魔法カード融合を発動。ダークシュナイダー・アサルトと手札のネクロ・ソルジャーを融合!
  深淵より現れよ、ネクロシュナイダー・カオス!」
 「グアァァァァァ!」
 ネクロシュナイダー・カオス:ATK2800

 「攻撃力2800…!」

 「ネクロシュナイダー・カオスは1ターンに1度墓地の闇属性モンスターを特殊召喚できる。
  私はダークシュナイダー・アサルトを攻撃表示で墓地より復活させる!」
 ダークシュナイダー・アサルト:ATK2400

 再び東郷にとって有利な状況となった。
 此の2体の攻撃が通れば遊星のライフは0になる。

 「此れで終わりだ!ネクロシュナイダー・カオスでターボ・ウォリアーに攻撃!地獄の断頭台!」



 ――ドギュゥゥゥ!



 「く…」
 遊星:LP1600→1200

 「止めだ。ダークシュナイダー・アサルトで直接攻撃!」

 「まだだ!罠(トラップ)発動、ガード・ブロック。戦闘ダメージを0にしデッキからカードを1枚ドローする。」

 「ふむ…中々にしぶといな。ターンを終了する。」

 何とか首の皮が1枚繋がった状況の遊星だが、手札はガード・ブロックの効果でドローした1枚のみ。
 普通なら此処で諦めてしまうところだろう…あくまで普通、なら。

 「(…俺の手札は此のドリル・シンクロン1枚のみ。伏せてあるロストスター・ディセントを発動し、ターボ・ウォリアーを復活させれば
  スターダスト・ドラゴンを召喚できるが、それじゃあ次のターンで俺の負け…カード達よ応えてくれ!)
  俺のターン!…来たか。チューナー・モンスター、ジャンク・シンクロンを召喚!」
 「はぁっ!!」
 ジャンク・シンクロン:ATK1300

 「ジャンク・シンクロンの召喚に成功したとき墓地のレベル2以下のモンスター1体を特殊召喚できる!蘇れ、シールド・ウィング!」
 「キョォォォォ!」
 シールド・ウィング:DEF800

 「更に罠発動、ロストスター・ディセント。墓地のシンクロモンスター1体を守備表示で特殊召喚する。来いターボ・ウォリアー!
  ただし此の効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効となりレベルは1つ下がり守備力も0となる。」
 ターボ・ウォリアー:DEF1500→0   LV6→5

 「何をする気だ?」

 「レベル5となったターボ・ウォリアーとレベル2のシールド・ウィングに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング。
  集いし命の鼓動が、新たな未来を築きだす。光差す道となれ!シンクロ召喚、撃ち抜け、ジャンク・ガンナー!」
 「トゥアー!」
 ジャンク・ガンナー:ATK3000

 「ジャンク・ガンナーの効果発動。ジャンク・ガンナーは1ターンに1度墓地のシンクロモンスター1体を除外する事でエンドフェイズまで
  そのモンスターの効果を得る。俺はターボ・ウォリアーを除外しジャンク・ガンナーにその効果を与える!」
 「フオォォォォォォ!」

 デュエリストとしての最大の武器とは何か?
 デッキ構築力?プレイング技術?駆け引きの巧さ?
 否、それらは確かに大事だろう。
 だが真のデュエリストにとっての最大の武器とはカードを、自身のデッキを信じる心。
 そして、それにカードが応えた事によって発動するデステニードロー。
 遊星もまた此の最大の武器を使いこなした。

 「行くぞ!吸収したターボ・ウォリアーの効果発動。攻撃対象にしたレベル6以上のシンクロモンスターの攻撃力を半分にする。ハイレート・パワー!!」


 ダークシュナイダー・アサルト:ATK2400→1200


 「ジャンク・ガンナーでダークシュナイダー・アサルトに攻撃!スクラップ・キャノン!!」


 ――ギャゥゥゥゥン!


 ジャンク・ガンナーから放たれた一撃がダークシュナイダー・アサルトを粉砕する。

 東郷:LP2100→300
 「くぬ…だが、私のライフはまだ残っている。更に此処で追撃をかけようとネクロシュナイダー・カオスは1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない。」

 「いや、此のターンで終わりだ。」

 「何だと?」

 「ジャンク・ガンナーは自分の墓地に存在する『ジャンク』と名の付くモンスターの数だけ相手モンスターとの戦闘が可能になる!」

 「何とぉ!?」

 「俺の墓地にはジャンク・アーマー、ジャンク・シンクロン、ジャンク・ブレーダー、計3体のジャンクモンスターが存在している。
  よってジャンク・ガンナーは更に2回の戦闘が可能になる!ジャンク・ガンナー、ネクロシュナイダー・カオスに攻撃!Wスクラップ・キャノン!!」


 ――ガウゥゥン!ズキャァァァァァ!!


 「ごぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
 東郷:LP300→0

 ライフが0になり崩れ落ちる東郷。
 遊星が近寄ってきても起き上がろうとしない。

 「…おい、大丈夫か?」

 その言葉に呼応し東郷が動く。
 が、其れは既に先程まで遊星と闘っていた男の目ではなかった。

「ふふふ、噂どおりだ。見事だよ不動遊星。」

 「…何だと?お前は一体…」

「安心しなよ。此の男はレア・ハンターじゃない。ただ、偶然にも僕の部下を倒したのでね、その時に操らせてもらった。」

 「お前、まさかノー・バディの…」

「そうさ。くくく…緋渡遊哉、不動遊星、迦神霧恵、十六夜アキ…やはり僕の計画の邪魔になりそうな存在だ…
 まぁいいさ、何れ君達の前に姿を現す時が来る…覚悟しておくといい。」


 それだけ言うと東郷の身体は再び崩れ落ち、今度は起き上がらなかった。

 「…一応救護室に連れて行くか…」

 一緒に居る氷雨の力を借りて、遊星は東郷を担いでその場を後にした…


















 ――ほぼ同刻、アカデミア埠頭


 「漸く付いたかデュエル・アカデミア…くくく、待たせるのも悪い挨拶に行くとしようか…」

 男が何かを念じると一緒に船を下りた大柄の男の目付きが変わる。
 どうやら精神を乗っ取ったらしい。

 「さぁ行け。貴様の龍殺しのデッキで緋渡遊哉を抹殺して来い。」

 言われるがまま、男はその場を後にした。
 そして埠頭に残った男は不敵な笑みを浮かべ呟く。

 「緋渡遊哉…貴様のデッキの特徴は既に把握している…精々僕を、このアギト・アルツベインを楽しませてくれよ…」

 そして男…アギトは闇に溶け込むようにしてその場から消えた…














  To Be Continued… 

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