小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 大会開始から早3時間。
 只今13:00――言うなれば昼食時。
 アカデミアの食堂は大会中は誰でも無料で利用できる。
 だが現在、食堂の人間の視線は有る1人に固定されていた。
 言わずもがな緋渡遊哉である…







 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel11
 『対決!龍殺し』〜遊哉VS不龍〜







 バクバク、ムシャムシャ、ガツガツ、モリモリ…


 食堂に入ってまだ15分足らずだというのに遊哉のテーブルには大量の空の食器が重なっている。
 同じ席の美咲はサンドイッチとコーヒーのみ。

 「あ、すいませーん。牛丼おかわり。特盛汁だくで。後鯖の塩焼き追加。」

 「どれだけ食べれば気が済むの!?」

 当たり前のような美咲の疑問。

 『…主よ、その娘の言うようにどれだけ喰らえば気が済むのだ?』
 『些か食べすぎです。身体を壊しますよ、マスター。』

 カードの精霊たるアグニとエアトスも同様の意見。

 「まだまだ全然足りねぇ。腹八分目にも到達してないぞ。」

 「嘘でしょ!?」
 『信じられぬ…』
 『本当に貴方は人間なのですか?』

 「あ、後今の注文にネギ塩チャーシュー麺追加ね♪」

 「!!!」
 『『!!!』』




 ――15分後




 「あ〜食った食った。」

 結局この食堂のメニュー上から下まで全部食べたとさ。

 「大丈夫なの?」

 「ん?平気だぜ。何より腹が減ってちゃデュエルは出来ないぜ。」

 『其れを言うなら「腹が減っては戦は出来ぬ」であろう…』

 「まぁそうだけどよ…お前等も感じ取ってるだろ?」

 『はい…とても邪悪な気配が1つ近付いています。』

 「ま、十中八九俺目当てのレア・ハンターだろうな。…こっちから出向いてやるか。ご馳走さん。美味かったぜ。」

 それだけ言い残し遊哉は食堂を出た。








 ――――――







 「でだ、わざわざこっちから出向いてやったんだ名前くらい名乗れよな。」

 目の前の男…先程埠頭にいた男はは応えない。

 「何とか言えよ…こいつの精神乗っ取ってるんだろ?ノー・バディの首領殿。」

「…其処までばれてるなら演技の必要は無いか…はじめましてだね緋渡遊哉。僕の名はアギト=アルツベイン。
 君の言う通り『ノー・バディ』のリーダーさ…行き成りこんなことを言うのは不躾だけどね…君と君のお仲間達は僕の計画に邪魔なんだ。
 だからさ…」

 「…叩き潰す、か?」

「その通り。はじめに言っておくとね君の戦術は今までの僕の部下とのデュエルで分かりきってるんだ。
 特に此の男…不龍のデッキは君にとっては相性最悪…君に勝ち目は無いよ?」

 「良く喋る奴だ…それに俺に勝ち目は無いだと?なら見せてもらおうか、その自信の程をな!!」

「ふふ…後悔するよ?」

 2人の間に緊張が走る…


 「行くぞ!!」



 「「デュエル!!」」


 遊哉:LP4000
 不龍(アギト):LP4000



 「俺の先攻、ドロー!ツインヘッド・ワイバーンを攻撃表示で召喚。」
 「キョェェェェ!!」
 ツインヘッド・ワイバーン:ATK1700

 「カードを1枚伏せて、ターン・エンド。」

 大型ドラゴンへの布石の1体。
 何時もの遊哉の戦術だ。

「僕のターン、ドロー…。捕食者・幼生を攻撃表示で召喚。」
 「グゴォォォォ…」
 捕食者・幼生:ATK0

「カードを1枚伏せてターンを終了する。」

 「俺のターン。(攻撃力0のモンスターを攻撃表示…誘っているのか?だが、此処は一気に行くぜ!!)
  ツインヘッド・ワイバーンをリリースしフェルグラントドラゴンをアドバンス召喚!!」
 「ギャァァオォォ!!」
 フェルグラントドラゴン:ATK2800

 最高クラスの攻撃力を備えた8☆のドラゴンが降臨。
 この攻撃が通れば一気にライフを減らす事ができる。

 「フェルグラントドラゴンで捕食者・幼生に攻撃、『シャイニング・ブラスター』!!」

「くふふ、やはり攻撃してきたか。伏せカード、オープン。永続罠(トラップ)『防龍壁』。
 ライフを500払うことでドラゴン族モンスターとの戦闘によって発生する僕への戦闘ダメージを0にする事が出来る。」
 不龍(アギト):LP4000→3500

「そして捕食者・幼生の効果発動。このカードが戦闘で破壊されたときデッキか手札から『捕食者・成体』を特殊召喚できる。」
 「ギャギャギャ…」
 捕食者・成体:ATK1500

 「(成程…俺のデッキを研究してるってのはそういうことかよ。正直がっかりだぜ。)カードを1枚伏せてターンエンドだ。」

 今のターンの攻防…それだけで遊哉には相手の戦術が分かったようだ。
 デュエルに於いて相手の戦術が読めるというのはそれだけで大きなアドバンテージとなる。

「僕のターン。捕食者・成体の効果発動。このカードをリリースする事で手札の『竜を屠る者』を特殊召喚できる!!」

 「(やっぱりそう来たか…分かりやすい。)」

「このカードは貴様にとっては天敵だろう。出でよ『竜を屠る者』!!」
 「ウガァァァ!!」
 竜を屠る者:ATK300

 出てきたモンスターは攻撃力僅か300。
 それだけならば弱小モンスターなのだが…

「竜を屠る者の効果発動。1ターンに1度開いてフィールドのドラゴン族をこのカードに装備できる。
 そして装備したドラゴンのレベル×400ポイントこのカードの攻撃力が上昇する!」

 相手の龍を吸収して力を増す…ドラゴンの天敵ともいえるモンスター。

「やれ、フェルグラントドラゴンを吸収しろ!!」
 「グォォォォォ…」



 ――ギュォォォォォ…



「ふふふ…」
 「ゲフッ…」
 竜を屠る者(フェルグラントドラゴン装備):ATK300→3500

「更に装備魔法『バーサーカー・クロー』を装備。攻撃力を800ポイントアップさせる。」
 竜を屠る者:ATK3500→4300

「此れで終わりだ緋渡遊哉。意外と呆気無かったな!!やれ竜を屠る者『ドラゴン・イート』!!」

 「何が終わりだって?」

 相手の勝利宣言を否定する遊哉。
 戦術を読みきった以上ここでの敗北などありえない。

 「罠(トラップ)発動『龍の防衛』!!ライフを半分払うことでデッキからレベル4以下のドラゴンを特殊召喚しバトルを強制終了させる!!」

「!!」

 「『防龍壁』と『捕食者・成体』が出てきたときにお前の戦術は読めたよ。来い『ヴォルケイノ・ドラゴン』!!」
 「コホォォォォォ…」
 ヴォルケイノ・ドラゴン:ATK1900
 遊哉:LP4000→2000

 相手の攻撃をかわしモンスターを特殊召喚する。
 この辺の戦術は実に見事というべきか。

「僕の戦術を読んだだと?」

 「俺のデッキを研究したという事は大概にしてドラゴン族を無力化してくるということが考えられる。
  でもな、俺が龍殺しのデッキに何も対策を講じてないとでも思ってるのか?」

「く…カードを1枚伏せてターンエンドだ。」

 「さっきの言葉そのままお前に返してやるよ。このターンで終わらせてやるぜ!チューナー・モンスター『ガード・リンドヴルム』を召喚!!」
 「グルルル…」
 ガード・リンドヴルム:DEF1900

 「レベル4ヴォルケイノ・ドラゴンに、レベル4ガード・リンドヴルムをチューニング。
  燃え盛る紅蓮の双眸、そして灼熱の牙よ、全てを焼き払い此処に降臨せよ!シンクロ召喚!烈火の化神、『炎龍皇(えんりゅうおう)−アグニ』!!」
 「オォォォォォォ!!」
 炎龍皇(えんりゅうおう)−アグニ:ATK2900

「何かと思えば炎の龍皇か…確かにそいつなら僕のモンスターの攻撃力は簡単に超えられるだろうけど…甘いよ?」

 「誰がアグニでお前を倒すって言ったよ。アグニはこのカードを発動させる為のトリガーだぜ!」

「…何をする気だ?」

 「手札より魔法(マジック)カード『皇の決断』発動!!俺のフィールド上の『皇』をリリースする事で異なる3つの効果のうち1つを発動する。」

「3つの…効果?」

 「1つ目は相手モンスター全てを破壊する効果。2つ目は相手の魔法と罠を全て破壊する効果。そして3つ目は自分のモンスターの強化。
  俺が発動するのは2つ目の効果!!アグニをリリースしお前の魔法・罠カードを全て破壊する!!」

「!!!!!」




 ――ゴォォォォ…バキィン!!




 凄まじい衝撃波と共に不龍(アギト)の魔法・罠が吹き飛ばされる。
 当然装備カードも『防龍壁』も消えうせる。

 「此れでフェルグラントドラゴンは俺の墓地に来た。永続罠(トラップ)『不屈の龍』を発動。自分の墓地のドラゴン1体を蘇生する。
  俺は墓地のフェルグラントドラゴンを復活させる!!」
 「ギャァァオォォ!!」
 フェルグラントドラゴン:ATK2800

 「フェルグラントドラゴンはフィールドから墓地に言った場合のみ特殊召喚が可能になる。
  そして蘇生した場合自分の墓地のモンスター1体を選択し、選択したモンスターのレベル×200ポイント攻撃力が上昇する。
  俺が選択するのはレベル8の『炎龍皇(えんりゅうおう)−アグニ』!!よってフェルグラントドラゴンの攻撃力は1600ポイントアップする!」
 「フォォォォォォォ!!」
 フェルグラントドラゴン:ATK2800→4400

 「此れで終いだ!フェルグラントドラゴンで竜を屠る者を攻撃!『ギガ・シャイニング・ブラスター』!!」
 「キシャァァァァ!」



 ――ガアァァァァァァン!!




「ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁ…」
 不龍(アギト):LP3500→0




 決着。

 「オイ…反応がねぇ。離れやがったか…」

 倒れた男は動かない。
 アギトの支配から離れたらしい。

 「予選終了まであと3時間ちょいか…気を引き締めていかないとな。」

 「だね。で、この人如何するの?」

 「放置の方向で。その内目覚めるだろ。」

 不龍、放置プレイ決定。






 ――同刻・別の場所


 「くくく…流石に手強いな緋渡遊哉。相性の悪いデッキでも圧勝して行くとは…だが決勝トーナメントではこうは行かない。
  何より…同時に2つのデュエルを進行するのは中々にしんどいからね…」

 そう言うアギトの目の前には1人のアカデミアの生徒が。
 どうやら此の生徒とデュエルをしながらも不龍を操り、遊哉とのデュエルを行っていたらしい。

 「さて、終わりにしようか…」



 此の直後凄まじい爆発音と共にアギトの勝利が確定した…















  To Be Continued… 


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