小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 「ふふ…流石はデュエルアカデミア…凄まじいまでのカードの情報量だ。
  『三幻魔』を手に入れることは叶わなかったが…此れだけーのカードの情報があれば…」

 決勝トーナメント出場者に与えられた特別室で、アギト=アルツベインは不適に呟く。
 目的の物は手に入らなかったが、それでもお釣りが繰るほどの情報量。
 不気味な雰囲気を纏いながら、作業は未明まで続いた。








 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel13
 『開幕、決勝トーナメント』〜遊哉vs霧恵〜1








 「此処は…?」

 遊哉は見知らぬ場所にいた。
 一瞬で『此れ』が『夢』だと理解できる。
 今自分は、あてがわれた部屋で寝ているはずなのだから。

 「ドラゴン…?」

 そんな彼の前には何かが居る。
 黒い瘴気に覆われてハッキリとは分からないが、それがドラゴンであることは分かる。

 「不完全ではあるが我を見つけたか緋渡遊哉。」

 「お前は…この感じ…『龍皇』なのか?」

 「如何にも。いずれお前の前に姿を現そう…そのときは近い。楽しみにしているぞ…我が『主』よ。」

 それだけ言うと『ソレ』は消え、遊哉も一気に覚醒する。




 「…?夢?」

 だが、あまりにもリアル。
 未だ寝ぼけた頭であるが遊哉は自分が何か持っていることに気付く。

 「…絵柄と名前の無いシンクロモンスターのカード?」

 もっと言うならテキストと攻守も記載されて居ない。

 「…まだ姿は見せないって事か?」

 今しがたの『夢』の光景からそう結論付ける。

 「悩んでもしゃー無いか。取りあえずはトーナメント…霧恵相手だと気合入れてかないとな…」

 そのカードをデッキケースに収め、数時間後の決勝トーナメントに意識をシフトさせた。








 ――――――








 「レディース&ジェントルメ〜ン。では此れより『闘いの王国(バトル・キングダム)』の決勝トーナメントを開催しま〜す。」

 「「「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」」」」

 ペガサスによる決勝トーナメント開催の言葉に会場である、アカデミアの講堂は異様な盛り上がりを見せる。
 その熱気は温暖化に拍車をかける勢いだ。


 そして講堂中央に設置されたデュエル・リングでは第1試合の遊哉と霧恵が既にスタンバイを完了している。
 後はデュエル開始の合図を待つのみ。


 「それでは決勝トーナメント第1試合『緋渡遊哉vs迦神霧恵』…デュエル・スタートで〜す!」


 デュエル開始の合図と共にデュエル・ディスクが展開しソリッドビジョンが起動する。
 観客の盛り上がりもかなりな物。
 何しろ予選1位通過者と3位通過者のデュエル。
 期待も高まるというもの。



 「遊哉…全力で行くよ!」

 「ったりめーだ。手加減なんぞしたら承知しねぇぜ。」


 「「デュエル!!」」


 遊哉:LP4000
 霧恵:LP4000


 同時に電光掲示板のルーレットが回り、先攻・後攻を決める。
 先攻は…霧恵からだ。


 「あたしのターン!『魔導剣士−イオス』を攻撃表示で召喚。」
 「ハァ!」
 魔導剣士−イオス:ATK1800

 「カードを1枚伏せて、ターンエンド。」


 中々のステータスを持った下級モンスターに伏せカード1枚。
 まぁ、順当な布陣と言える。
 対して…

 「俺のターン!手札の『ダイヤモンド・ウィング』を墓地へ送り、『ライジング・パワード・ドラゴン』を特殊召喚!」
 「ガァァァァァ!」
 ライジング・パワード・ドラゴン:ATK2400

 遊哉は1ターン目から上級モンスターを展開してきた。
 この辺りの速攻は目を見張る物がある。

 「イキナリ攻撃力2400…!」

 「速攻は俺の十八番だ。忘れた訳じゃないだろ?言っとくとコイツは、攻撃宣言後、相手の魔法と罠え御封じる効果が有る。
  バトルだ!ライジング・パワード・ドラゴンで魔導剣士−イオスを攻撃、『レイジング・ストーム』!」



 ――バシャァァァァ!



 確実に攻撃を成功させる上級ドラゴン。
 先手は遊哉が取った形になる。


 「流石…でも、罠(トラップ)発動!『輪廻転生』!あたしのモンスターが破壊されたとき、デッキから破壊されたモンスターと同じレベルのモンスター1体を特殊召喚する。
  出番だよ『憑依装着−ダルク』!」
 霧恵:LP4000→3400
 憑依装着−ダルク:ATK1850


 だが、霧恵もダメージステップ後の罠で体勢を整える。


 「攻撃に対するカウンターじゃなかったか…カードを1枚伏せてターンエンドだ。」


 「あたしのターン。憑依装着−ダルクをゲームから除外し…来なさい『闇霊魔導師−ダルク』!」
 「ふふ、僕の出番だね。」
 闇霊魔導師−ダルク:ATK2500



 「「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」



 会場からは割れんばかりの歓声が飛び交う。
 僅か3ターン。
 たった3ターンでも此れだけのハイレベルな攻防。
 この先の展開も期待できると言うもの。


 「凄ぇ歓声だこと…」

 「確かに…だったら尚の事歓声に応えなきゃ!行くよ!闇霊魔導師−ダルクでライジング・パワード・ドラゴンに攻撃!『ブラック・ノア・ストライク』!!」
 「手加減しないよ!」


 「そう来なくちゃな!伏せカード、オープン!『魂の交換(ソウル・バーター)』!俺の場のモンスター1体をリリースする事でバトルを終了させ、
  その後墓地からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。ライジング・パワード・ドラゴンをリリースし、舞い戻れ『ダイヤモンド・ウィング』!」
 「キョォォォ!」
 ダイヤモンド・ウィング:ATK1600

 「この瞬間、ダイヤモンド・ウィングの効果発動。このカードが墓地から特殊召喚されたときデッキからカードを1枚ドローする。」

 「…簡単にダメージは与えさせてくれないか…カードを1枚伏せてターンエンド。」

 お互いに一歩も引かない。
 此れで未だデュエルの序盤なのだ。

 「俺のターン!チューナーモンスター『サーヴァント・ワイバーン』を召喚!」
 「グルル…」
 サーヴァント・ワイバーン:ATK1500

 「行くぜ!レベル4、ダイヤモンド・ウィングにレベル4、サーヴァント・ワイバーンをチューニング!
  凍てつく氷の翼よ、絶対零度の力を纏いてこの地に降り立て!シンクロ召喚、氷河の化神『氷龍皇−ミヅチ』!」
 「ふ…暴れさせてもらうか!」
 氷龍皇−ミヅチ:ATK2500



 「うおぉぉぉ!あいつもレベル8のモンスターを召喚しやがった!」
 「如何なるのこのデュエル!?」
 「一戦目から此れかよ!決勝は違うぜ!!」

 観客の盛り上がりは止まる事を知らない。



 「氷の龍皇か…相手にとって不測は無いわ!」

 「その意気や良し!ミヅチの効果発動、手札のドラゴン1体を墓地に送る事で相手モンスター1体の攻撃力を墓地に送ったドラゴンの攻撃力分ダウンさせる。
  俺は手札の『ストライク・ドラゴン』を墓地に送り、ダルクの攻撃力を2000ポイントダウンさせる。」

 「2000ポイント…!」
 「…力が!」
 闇霊魔導師−ダルク:ATK2500→2000


 「バトル!氷龍皇−ミヅチで闇霊魔導師−ダルクに攻撃『オーバーコールド・ストリーム』!」
 「受けてみろ!!」


 絶対零度の凄まじい力が迫るが、霧恵も易々とは通さない。


 「罠(トラップ)発動『伏兵』!デッキからレベル4以下のモンスターを特殊召喚する。あたしはデッキから『マジシャンズ・ヴァルキリア』を守備表示で特殊召喚。」
 「出番ですか…」
 マジシャンズ・ヴァルキリア:DEF1800


 強制的に攻撃対象を変更させるモンスターをフィールドに呼び込む。


 「(伏兵によって召喚されたモンスターが破壊されたとき新たに下級モンスターを呼べる…チューナーを呼ぶつもりか…)
  攻撃を中断。カードを2枚伏せてターンエンドだ。」

 シンクロ召喚を警戒してか攻撃は中断。
 まぁ当然だろう。


 「あたしのターン。手札から魔法(マジック)カード『ハーフ・チューナー』を発動。
  あたしの場のレベル4以下のモンスター1体のレベルと攻守を半分にする事でそのモンスターはこのターンチューナーとして扱われる。
  マジシャンズ・ヴァルキリアのレベルと攻守を半分にし、チューナーとするわ!」
 「…なんか変な感じ。」
 マジシャンズ・ヴァルキリア:LV4→2   ATK/DEF・1600/1800→800/900


 二重に張り巡らされた戦術。
 この辺りは霧恵の『巧さ』と言える。


 「今度はこっちの番!レベル8の闇霊魔導師−ダルクにレベル2のチューナーとなったマジシャンズ・ヴァルキリアをチューニング!
  大いなる魔術師の魂よ、古の力を我が前に示せ…シンクロ召喚!裁け『聖霊魔導師−アリオス』!」
 「ふ…楽しませてもらおうか?」
 聖霊魔導師−アリオス:ATK3000


 「来たか聖霊魔導師…」

 「バトル!と行きたいとこだけどその前にアリオスの効果を発動。1ターンに1度エンドフェイズまで相手モンスター1体の効果を無効にする。『スキル・ブレイク』!」
 「力…封じさせてもらうよ。」


 「ち…まぁ当然か。ミヅチの効果は相手ターンでも使えるからな。」


 効果発動でカウンターを狙っていた遊哉にとっては嫌な戦術。
 尤もソレは表面上で、2枚の伏せカードが本命でアルのだろうが…


 「バトル、聖霊魔導師−アリオスで氷龍皇−ミヅチを攻撃!『エレメント・ストリーム』!!」
 「喰らえ!!」



 ――ガシャァァァ!



 「くぬ…流石にやってくれるぜ…だが…」
 遊哉:LP4000→3500

 「罠(トラップ)発動『輪廻生来』!俺のモンスターが戦闘で破壊されたときデッキから破壊されたモンスターと同じレベルになるようにモンスターを特殊召喚する。
  来い、『シルバー・ドラグーン』『霧の谷の飛竜(ミストバレー・ワイバーン)』!」
 「シャァァァ!」
 シルバー・ドラグーン:ATK2000
 「キュゥゥゥ!」
 霧の谷の飛竜:ATK1600


 場にモンスターが途切れる事のない攻防。
 遊哉は更なるシンクロの布石を打った。

 「(レベル合計8…アグニか…)カードを2枚伏せてターンエンド。」

 「俺のターン。(良し!)レベル5のシルバー・ドラグーンに、レベル3の霧の谷の飛竜をチューニング!
  燃え盛る紅蓮の双眸、そして灼熱の牙よ、全てを焼き払い此処に降臨せよ!シンクロ召喚!烈火の化神『炎龍皇−アグニ』!!」
 「我の前に敵は無し!!」
 炎龍皇−アグニ:ATK2900


 遊哉のエースの登場。
 それだけで周囲の空気が振動し軋む。


 「更に伏せカードオープン『ロスト・スター・ディセント』。墓地のシンクロモンスターのレベルを1つ下げ守備力0の状態で守備表示で特殊召喚する。
  舞い戻れ『氷龍皇−ミヅチ』!」
 「大分制限されたか…」
 氷龍皇−ミヅチ:LV8→7   DEF2500→0


 「龍皇が2体…!」

 ソレに遊哉は不適に笑う。

 「大盤振る舞いだ!魔法カード『パワー・ブレイヴ』!ドラゴン族専用の融合カードでアグニとミヅチを融合する!
  現れろ、対消滅の力を宿した龍皇よ!融合召喚、『氷炎龍皇−ラガン』!」
 「我が前にひれ伏してもらおうか…!」
 氷炎龍皇−ラガン:ATK4000


 融合召喚により降臨したレベル10の龍皇。
 アグニとミヅチをも上回るその力は全てを圧倒する。


 「攻撃力4000…!」

 「それだけじゃない。パワー・ブレイヴによって召喚されたドラゴン族は攻撃力が2倍になる!」
 「ふむ…悪くない。」
 氷炎龍皇−ラガン:ATK4000→8000


 「攻撃力8000!流石ね…楽しませてくれるわ!」

 「楽しませるか…なら受けきって見せてくれよ!!」














  To Be Continued… 

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