小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 「ふっ…!」
 遊哉:LP3500
 氷炎龍皇−ラガン:ATK8000


 「ふふっ。」
 霧恵:LP3400
 聖霊魔導師−アリオス:ATK3000


 1回戦第1試合にもかかわらずハイレベルなデュエルを展開する遊哉と霧恵。
 この先どんな攻防が展開されるのだろう?








 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel14
 『舞い降りし龍装天使』〜遊哉vs霧恵〜2








 観客席では遊星、アキ、そして美咲・氷雨・響の3人娘が最前列でデュエルを観戦していた。

 「攻撃力8000…差分ダメージ5000で遊哉君の勝ちかな?」

 「霧恵の実力は知らないけどおそらくは。」

 響の問いにアキが応えるが、遊星は異を唱える。

 「そうかな?」

 「遊星?」

 「確かに普通なら緋渡の攻撃で終わりだがそう単純には行かないはずだ。
  緋渡のデッキが速攻型の超攻撃デッキとするなら、迦神のデッキは複数のコンボを仕込んだコントロール型。
  このまま終わるとは思えないな。」

 「まだ二転三転するってことね…」

 「凄いな〜。」

 5人は観戦を続けた。








 ――――――








 「行くぜ霧恵!氷炎龍皇−ラガンで聖霊魔導師−アリオスを攻撃!『ライオネット・ブラスター』!」

 この攻撃が通れば遊哉の勝ちが確定するが、無論霧恵がそうはさせない。

 「そうは行くモンですか!速効魔法『聖水の弊害』。このカードでモンスター1体の攻守を元々の数値に戻す!」

 「ちぃ…!」
 氷炎龍皇−ラガン:ATK8000→4000

 「だが、攻撃力はラガンの方が上だ!吹き飛べアリオス!!」
 「ひれ伏せ!!」


 ――ガァァン!


 4000の攻撃力がアリオスを粉砕するが…

 「手札より『バトル・イーター』の効果発動。このカードを手札から捨てる事であたしに発生する戦闘ダメージを0にする!」

 「だが、ラガンの効果発動。ラガンが相手モンスターを戦闘で破壊したとき相手に破壊したモンスターのレベル×200ポイントのダメージを与え
  俺のライフを1000ポイント回復する。アリオスのレベルは10、2000ポイントのダメージを受けてもらうぜ!」

 「く…やるじゃない!」
 霧恵:LP3400→1400
 遊哉:LP3500→4500


 今の攻防でライフは3000以上開き遊哉が一気に優位に立つ。
 それでも…

 「罠カード『霊魔導師の絆』!あたしのフィールドの霊魔導師が破壊されたとき、ライフを半分払う事でデッキと墓地から合計3体まで霊魔導師を特殊召喚できる。
  墓地より舞い戻れ『闇霊魔導師−ダルク』!そして出番よ『光霊魔導師−ライナ』『火霊魔導師−ヒータ』!」
 霧恵:LP1400→700

 「又僕の出番?」
 闇霊魔導師−ダルク:ATK2500

 「参上〜♪」
 光霊魔導師−ライナ:ATK2500

 「…お前等少しは緊張感持てよ。霧恵ピンチだろ…」
 火霊魔導師−ヒータ:ATK2500


 「更にアリオスの効果。アリオスが破壊されたときデッキか手札から霊魔導師を特殊召喚できる。
  さぁ来なさい!『水霊魔導師−エリア』!!」
 「頑張りますか♪」
 水霊魔導師−エリア:ATK2500


 ライフを大幅に削りながらレベル8のモンスターを4体もフィールドに揃える。
 此処まで来るとアカデミアの生徒は目を丸くするしかない。


 「霊魔導師が4体か…カードを1枚伏せる。
  このターンのエンドフェイズ時『パワー・ブレイヴ』の効果で俺は融合召喚したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける。
  ラガンの元々の攻撃力は4000…普通なら此れで俺の負けだが、
  俺が効果ダメージを受けるとき墓地の霧の谷の飛竜をゲームから除外しそのダメージを0にする。ターンエンドだ。」


 強力なカードのコストにもきっちり対応している。
 攻撃型でもその辺はしっかりしているのだ。


 「あたしのターン。ラガンか、凄いドラゴン見せてもらったお礼にこっちも見せてあげるわ!
  手札から『融合』を発動!フィールドの『水霊魔導師−エリア』『火霊魔導師−ヒータ』『闇霊魔導師−ダルク』『光霊魔導師−ライナ』と
  手札の『地霊魔導師−アウス』『風霊魔導師−ウィン』の6体を融合!」

 「6体融合だと!?」

 「その力を存分に振るいなさい!融合召喚、現れよ『究極霊魔導師−エレン』!」
 「ナンとも面白そうな状況ね♪」
 究極霊魔導師−エレン:ATK3500


 6体融合…融合の限界を超えた融合。
 そのタクティクスには脱帽してしまう。


 「エレンは自分の墓地の魔法使い族モンスター1体につき攻撃力が500ポイントアップする。
  あたしの墓地の魔法使い族モンスターは9体。よって攻撃力は4500ポイントアップする!」
 「ふっふ〜ん♪」
 究極霊魔導師−エレン:ATK3500→8000


 「今度はそっちが8000か…」

 「バトル!エレンでラガンを攻撃!『アルティメット・レクイエム』!」

 「速効魔法発動『解龍の儀』!俺の場のドラゴン1体の攻撃力をエンドフェイズまで倍にする!」

 相打ちを狙うが…

 「無駄よ!エレンは相手の魔法の発動と効果を無効に出来る!『マジックキャンセル』!」
 「バイバ〜イ♪」

 其れはモンスター効果によって阻まれてしまう。

 「ちぃ…!手札から『ガード・リンドヴルム』と『ヴェイル・ヴァリアント』を墓地に送って効果発動!
  『ガード・リンドヴルム』でラガンの戦闘破壊を無効にし『ヴェイル・ヴァリアント』で俺への戦闘ダメージを0にする!」

 其れに対しては遊哉もモンスター効果で応戦。
 ラガンを破壊から守り、自身のライフも無傷だ。

 「流石ね遊哉。でも、エレンの効果はまだあるわ。エレンがバトルを行った場合ダメージステップ終了時に相手のライフを半分にしあたしのライフを3倍にする。」

 「うぉぉ強ぇ…流石は6体融合。」
 遊哉:LP4500→2250
 霧恵:LP700→2100


 開いていたライフはあっという間に僅差となる。
 二転三転どころではない、最早この場に居る観客誰にもこの先の展開は読めはしない。
 其れほどまでに高レベルな攻防。


 「やっぱり遊哉とのデュエルは楽しいわ♪ターンエンド。」

 「そりゃどうも。(攻撃力8000で魔法無効効果はつらいな…さて如何しますかね)
  俺のターン!…!!!カードを3枚伏せてターンエンド。」

 あえてラガンは攻撃表示のまま3枚の伏せカード。
 明らかに罠を張っている見え見えの戦術だが…


 「あたしのターン。(ラガンが攻撃表示?)」


 霧恵は其れを不審に思う。


 「(エレンの効果を知った以上速効魔法は無い。となると3枚の内1枚はこっちの攻撃に対して発動するモンスターは破壊。
  残りの2枚はこちらのモンスターを弱体化させ尚且つラガンの攻撃力を瞬間的に上昇させるカード!なら!)
  手札より魔法カード『霊魔導・滅』を発動。あたしの場に霊魔導師が存在する場合相手モンスター1体を破壊する!」

 伏せカードを予測しモンスター抹殺に乗り出す。

 「其れは読んでたぜ!伏せ(リバース)カードオープン『次元魔法』!ライフを半分払い相手の墓地の魔法カードの効果を発動する!」
 遊哉:LP2250→1125

 「あたしの墓地の魔法の効果!?」

 「そうだ!この効果で俺はお前の墓地の『融合』の効果を発動!場の氷炎龍皇−ラガンと手札のガーディアン・エアトスを融合!
  龍の力を纏いて降臨せよ!融合召喚、現れろ『龍装天使−エアトス』!!」
 「さぁ、決着をつけましょう!」
 龍装天使−エアトス:ATK3000


 現れた守護天使、だがその姿は大きく変っていた。
 頭部の鳥の兜(?)は龍の其れへと変り、白い翼は巨大な龍の翼へと変っていた。
 更に纏っていた衣服にも龍の眷属を思わせる鱗があしらわれている。


 「龍装天使−エアトス!?」

 「そうだ。龍装天使−エアトスはガーディアン・エアトスとレベル6以上のドラゴンを融合することでのみ特殊召喚できる。
  そしてその攻撃力は素材にしたドラゴンの元々の攻撃力の半分アップする…。
  融合素材にしたラガンの攻撃力は4000、よってエアトスの攻撃力は2000ポイントアップする!」
 「ラガンよ、貴方の力貰い受けます!!」
 龍装天使−エアトス:ATK3000→5000


 威風堂々。
 龍の力を纏いし守護天使は究極の霊魔導師に対して全く臆することは無い。


 「攻撃力5000…やってくれるわ。(1枚はこっちのモンスター破壊を読んでのエスケープカード。なら本命はあの2枚!)
  魔法カード『霊魔導・砕』を発動!あたしの場に霊魔導師が存在する場合、相手も魔法罠カードを1枚破壊する。
  この効果であたしからみて左側の伏せカードを破壊する!」



 ――バリィン!



 「く…『ミラー・フォース』が…!」

 破壊したのは最強のモンスター抹殺カード『聖なるバリア−ミラー・フォース』。
 霧恵の感もたいしたものである。

 「(当り!!)これで万策尽きたわね遊哉!ラスト・ターン!エレンで龍装天使−エアトスを攻撃!『アルティメット・レクイエム』!」
 「いっけー!」


 発生する戦闘ダメージは3000。
 遊哉のライフは1125…喰らったら終わりだ。


 「…掛ったな?」

 不敵な笑みで遊哉が呟く。

 「え?」

 「賭けに勝ったのは俺の方だ!俺の本命はミラー・フォースじゃなくこのカードだぜ!
  伏せ(リバース)カードオープン!永続罠(トラップ)『輪廻独断』!」

 「!そのカードって!!」

 「そうだ、コイツの効果で全ての墓地のモンスターは俺が選択した種族となる!俺が選択するのはドラゴン族!」

 「しまった!!」

 墓地の種族を操作。
 其れはつまり霧恵の墓地から魔法使いが消失すると言う事。
 此れにより究極霊魔導師−エレンの攻撃力は大幅にダウンする事になる。

 「あうぅ…」
 究極霊魔導師−エレン:ATK8000→3500


 「更に龍装天使−エトスの効果。俺の墓地のモンスターが1種類の場合、エアトスの元々の攻撃力は倍となる!」
 「墓地に眠りし龍よ、私に力を!!」
 龍装天使−エアトス:ATK5000→8000


 一気に逆転した攻撃力。


 「此れで攻撃力はエアトスが上回った!行け龍装天使−エアトス!究極霊魔導師−エレンに反撃、『ドラグーン・ゴスペル』!!」
 「今回は私達の勝利です!!」


 「(そっか…ただパワーでねじ伏せるだけじゃ無いんだった。あらゆる手を使って己の「力」を最大に引き出す…
   其れこそが遊哉の超攻撃デッキの真髄…!)たった4年で忘れるなんてあたしもまだまだね…。」

 遊哉のデッキの真髄を思い出し苦笑いを浮かべる霧恵。
 最早打つ手は無い。



 ――ガァァァン!!



 「きゃぁぁぁ!」
 「わぁぁぁぁ!」
 霧恵:LP2100→0


 差分ダメージ4500…
 高度な戦術が交錯したデュエルは終結した。


 「った〜…」

 「今回は俺の勝ちだな!」

 笑みを浮かべる遊哉。
 霧恵も破れはしたもののその顔には笑みが浮かぶ。
 互いに全力を出したデュエル、悔い等無い。
 其れは…



 「うぉぉぉ!すげぇ!」
 「最後まで気が抜けなったぜ!」
 「どっちも凄かったよ〜!」


 「「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」




 観客の声援からも覗える。
 誰もが皆、遊哉と霧恵の2人を称える。


 「楽しかったぜ霧恵。」

 「あたしも。やっぱ遊哉とのデュエルは格別ね♪」


 握手を交わす。
 1回戦第1試合は遊哉の勝利で幕を閉じた。





 














  To Be Continued… 

-14-
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