小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

 「葬ってあげるよ、緋渡遊哉!」
 アギト:LP1000

 凶龍皇−マガキ:ATK3000



 「出来るモンならやってみろ、此のクズ野郎!!」
 遊哉:LP10800

 ガーディアン・エアトス:ATK3000
 雷龍皇−イズナ:ATK3300
 炎龍皇−アグニ:ATK3400


 パーフェクト勝利を宣言した遊哉。
 対して、未知なる『ダークシンクロ・モンスター』を召喚したアギト。
 此のデュエルは如何なる結末を迎えるのだろう…?









 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel21
 『決闘者(デュエリスト)の魂と誇り』〜遊哉vsアギト2〜









 「パーフェクト勝利宣言とは、言うねぇ遊哉っちは。」

 客席で観戦中の遊星達。
 その中でレンが感心したように言う。

 「確かにな。だが、緋渡がああ言い切った以上…」

 「パーフェクト勝ちは確定しているわ。」

 「昔っから有言実行だったからね、あいつ。」

 アメリカ時代の遊哉の強さを知る遊星とアキ。
 そして、幼馴染として遊哉の強さを知る霧恵。
 実際にデュエルをしてその強さを知ったレンと何時もデュエルを見ている美咲、氷雨、響の3人。
 誰1人として、遊哉のパーフェクト勝利を疑うものは居なかった。
 ましてや、今の遊哉に『敗北』は決してありえないと確信していた。








 ――――――








 「バトルだ!凶龍皇−マガキで炎龍皇−アグニを攻撃する!」

 「自爆特攻…って訳じゃなさそうだな。来いよ、紛いモンの『龍皇』が!」

 さて、此の状況における2人のメンタル面の説明をしておこう。
 遊哉の方は最早説明など要らないだろう。
 本人のをして『今の俺は絶好調!』と言い切るのだ。
 その『絶好調』は『引き』にも現れている。
 狙ったように引き当てられる最良のカード、そして其れを十二分に生かせるデュエル・タクティクス。
 そして、何より共に戦うカード達との『絆』。
 これらが遊哉の精神に余裕を持たせ、未知なるカードの対しても冷静に対応できるようになっている。


 一方のアギトはどうか?
 一見すると1回戦から見せている余裕の態度を崩していないように見える。


 …表面上は。


 だが内心では、相当に焦りが生じている。
 自らがこの世に生み出した最強の『ヴィジョン』。
 其れが尽く遊哉の戦術の前に無力化されてしまっている。
 挙句に宣言された『パーフェクト勝利』。
 虚を突くつもりで召喚したダークシンクロの『凶龍皇』に対してもまるで怯まない。
 

 2人のメンタル面には既に大きな開きが出来ている。
 そして其れは当然デュエルに現れる事になる。



 「マガキの効果発動!此のカードと戦闘を行うモンスターの攻守は0になる。」


 炎龍皇−アグニ:ATK3400→0


 恐るべき効果だが、今の遊哉には脅威になり得ない。


 「凶悪な効果だが、甘いぜ!リバースカード・オープン!速攻魔法『バトル・シンクロ』!
  俺のフィールドのシンクロモンスターは戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分、攻撃力が上昇する!」
 「言った筈だ、斯様な小細工など通用せぬと!」
 炎龍皇−アグニ:ATK0→3000




 ――ガバァァァン!




 炎龍皇と凶龍皇の凄まじい攻撃がぶつかり合い、激しいスパークが発生する。


 「攻撃力は互角だが、ハイパー・ドラグーンを素材にしたアグニは戦闘じゃ破壊されねぇ!」

 「其れは僕のマガキも同様だ。マガキは戦闘でも効果でも破壊されない『不死の龍皇』なんだからね。」

 共に戦闘では破壊されず、佇む龍皇。
 アグニはあくまで悠然と、マガキは反対に殺意剥き出しに。

 「まぁ良い。此の凶龍皇の前では如何なるモンスターとて無力。カードを1枚伏せてターンを終了。」

 「チートカードが好きだなテメェは…俺のターン!
  (とは言え、今の俺の手札にあの紛い物を攻略できるカードは無い。伏せて有るのが此れだと…此れで良いか!)
  カードを1枚伏せてターンエンドだ。」

 此処はリバースカードのみ。
 以下に強力なモンスターでもその攻撃力が0にされるのでは攻撃など出来はしない。

 「僕のターン。
  (くくく…愚かだな緋渡遊哉。モンスターが全て攻撃表示のままじゃないか。更にマガキは破壊できないモンスター…伏せカードなど怖くないね。)
  僕はフィールド魔法『幻影の世界=ヴィジョン・ワールド』を発動!
  これで『ヴィジョン』は召喚条件を無視して特殊召喚できる!現れろ『ヴィジョンF・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)』!」
 「GAAAAAAA!」
 ヴィジョンF・G・D:ATK5000


 「更に此の瞬間トラップ発動『幻影の呼び声』!
  僕が『ヴィジョン』の特殊召喚に成功した時、特殊召喚したヴィジョンと同じレベルのヴィジョンを墓地から特殊召喚する!
  蘇れ『ヴィジョン・バックギア』!」
 ヴィジョン・バックギア:ATK0


 「未だだ、更に『ヴィジョン・ギア?』を召喚!」
 ヴィジョン・ギア?:ATK0


 「恐怖しろ、緋渡遊哉!レベル2のヴィジョン・ギア?にレベル12のヴィジョン・バックギアをダークチューニング!
  混沌が秩序を飲み込む時、希望は刈り取られ絶望が世界を支配する。ダークシンクロ、現れろ『幻影のヴィジョン・エルフィード』!」
 「ウガァァァァァァ!」
 幻影のヴィジョン・エルフィード:ATK2000(レベルマイナス10)


 新たなダークシンクロモンスター。
 最早今までのような余裕は表面のみ、相当焦っているのがうかがえる。


 「エルフィードの攻撃力は僕の墓地の『ヴィジョン』の数×300ポイントアップする。
  僕の墓地のヴィジョンは合計7体!よって攻撃力は2100ポイントアップ!」
 幻影のヴィジョン・エルフィード:ATK2000→4100


 「何処までもくだらねぇなテメェは…来いよ、受けきってやるぜ!」

 遊哉は何処までもその姿勢を崩さない。
 此れにアギトは完全にキレる。

 「何処までも気に入らないな緋渡遊哉!良いだろう消してあげるよ!凶龍皇−マガキでエアトスを攻撃!
  マガキの効果でエアトスの攻撃力は0になる!」


 ガーディアン・エアトス:ATK3000→0
 「愚かな…未だ分からないのですか…」


 「んなモン効かないぜ!トラップ発動『龍皇の宣言』!俺の場に龍皇が存在する場合にのみ発動できる!
  此のターン俺の場のモンスターの攻守を下げる効果は全て無効となるぜ!」
 「マスター相手にその程度の戦術は塵と化します!」
 ガーディアン・エアトス:ATK0→3000


 正に先読み。
 アギトが『龍皇近衛兵』の存在を警戒して先ずマガキでエアトスを攻撃する事を予想していたのだ。
 その上で此のカード、攻撃力は互角で破壊されないモンスター同士バトルは互角で終わる。

 「何処までも…!ヴィジョンF・G・D、エアトスを攻撃だ!」

 再度攻撃がエアトスに向かうが此れもまた遊哉は通さない。

 「単調な攻撃だな。相当に焦ってるんじゃないのかお前?永続トラップ発動『皇の秘術〜鉄壁』!
  俺の場に『龍皇』が存在する限り俺の対して発生する戦闘ダメージは全て0になる!」


 鉄壁の防御。
 『パーフェクト勝利宣言』は伊達ではない。

 「おのれぇぇ…!ターンエンド。」

 余裕の遊哉に対して完全に熱くなっているアギト。
 そして遊哉は感じる、新たな鼓動を。

 「俺のターン!さぁて…何時までもあんな紛い物にデカイ面はさせてられないぜ!なぁ、そうだろ『邪龍皇』!」
 「無論だ!我が主よ!」

 何処からとも無く、遊哉の問いに応える声。
 それだけで充分だ。

 「手札からマジックカード『皇の秘術〜同調』を発動!墓地からドラゴン族のチューナーとチューナー以外のドラゴン族を1体ずつ特殊召喚する!
  舞い戻れ『ハイパー・ドラグーン』『ヴォルケイノ・ドラゴン』!」
 ハイパー・ドラグーン:ATK1500
 ヴォルケイノ・ドラゴンATK1900


 「レベル合計8…まさか未だ龍皇を呼ぶって言うのかい?」

 「ご明察だ。だがな、コイツはテメェが召喚した紛い物の『龍皇』に大層ご立腹だ。見せてやるぜ『真の闇の龍皇』を!」

 宣言し白紙のカードを取り出す。

 「レベル4ヴォルケイノ・ドラゴンにレベル4ハイパー・ドラグーンをチューニング!
  深淵より生まれし漆黒の爪牙よ、真実の闇で眼前の敵を砕け!シンクロ召喚、暗黒の化神『邪龍皇(じゃりゅうおう)−ヴァリアス』!」

 瞬間、白紙のカードにカードイラストとテキストが現れる。
 闇の龍皇が遊哉の僕となった瞬間だった。


 「その様な紛い物が『龍皇』を名乗るなどおこがましいにも程がある…真の闇の龍皇の力見せてくれる!」
 邪龍皇−ヴァリアス:ATK2800


 現れたるは漆黒の身体に神々しいまでの闇を纏った『龍皇』。
 その姿は『闇の龍皇』たるに相応しい威厳を兼ね備えている。


 「ふ、相変わらず美味しい登場の仕方ですね邪龍皇。」
 「だが、如何にもお主らしい。どうだ、我等の主に足るものであろう遊哉は?」
 「無論だ炎龍皇、雷龍皇。そして主語の力を司る天使よ、某と共に参ろうではないか!」
 「頼りにしていますよ邪龍皇!」


 精霊達も新たな仲間を歓迎する。
 其れは遊哉も同様。


 「へぇ…格好良いじゃん。あいつの紛い物とは比べ物にならないぜ。
  さてと、ハイパー・ドラグーンを素材にしたことで邪龍皇もまた強化される!」
 邪龍皇−ヴァリアス:ATK2800→3300(戦闘破壊不可)


 「行くぜ邪龍皇の効果発動!手札のドラゴンを捨てることで相手モンスター1体のコントロールを得る!
  俺は『槍角竜』を捨てて、凶龍皇のコントロールを得る!」

 「く…!」
 凶龍皇−マガキ:アギト→遊哉


 「大分手札を使っちまったが魔法カード『皇の宝札』を発動!俺のフィールドのレベル7以上のドラゴン族と同数のカードをドローする。
  俺の場のレベル7以上のドラゴンは4体。よって4枚ドロー!
  更に俺の場の『龍皇』の数×1000ポイントのライフを回復する。俺の場の龍皇は4体、4000のライフを回復する!」
 遊哉:LP10800→14800


 既にライフの差は10倍以上。
 本気で1ポイントのライフも削らせないつもりらしい。


 「そいつ等には消えてもらうぜ!マジックカード『皇の秘術〜抹殺』!俺の場のモンスター1体をリリースし相手モンスターを全て破壊する!
  俺は紛い物の龍皇、『凶龍皇−マガキ』をリリース!消し飛びやがれ!」



 ――ガァァン!



 破壊できないのならコストにしてしまえば良い。
 邪龍皇の効果と合わせて此のコンボ…底が見えない。

 「やってくれる…だが、ヴィジョン・エルフィードは効果では破壊されない。
  更に墓地にヴィジョンが増えた事で攻撃力が上昇する!」
 幻影のヴィジョン・エルフィード:ATK4100→4400


 「やるじゃん。此のカードを発動したターン俺は攻撃できない。カードを1枚伏せてターンエンド。」

 「僕のターン!忌まわしい…忌まわしいよ緋渡遊哉!
  邪魔だ、邪魔なんだお前は…僕がこのアギト=アルツベインが世界を手中に収めるのには!」

 「世界を手中に収める?」

 「僕の『ヴィジョン』…そしてアカデミアのデータバンクから取り出したデータ…これさえあれば僕は世界の王になれる!」

 「アホか…本気で言ってんのかお前?だったら1回神経内科受療する事を進めるぜ。」

 「何だと?」

 余りな遊哉の言い分にアギトの顔が引きつる。

 「誇大妄想も大概にしろってんだこの大馬鹿野郎!」

 「貴様…煩い!僕こそが世界の覇者に相応しい!現れろ『ヴィジョン・スターダスト』!」
 ヴィジョン・スターダスト:ATK2500


 現れたのは遊星のエース『スターダスト・ドラゴン』をネガ反転させたような不気味なドラゴン。


 「遊星のエースまでもかよ…ったく何処までも!」

 「僕は世界の覇者となる者だ!その礎となれ!マジックカード『ヴィジョン・タイフーン』!
  僕の場に『ヴィジョン』が2体以上存在する場合相手フィールドのカードを全て破壊する!」


 だが、其れも通じはしない。


 「カウンタートラップ『皇の秘術〜結界』を発動。俺の場に『龍皇』が存在する場合相手のカード効果を無効にし破壊する。」


 必殺の1手も無効。
 此処まで差が出るものなのか…


 「ぐ…何処までも…!手札から装備魔法『幻影のヴェール』をヴィジョン・スターダストに装備。
  装備モンスターの攻撃力は僕の場のヴィジョンの数×1000ポイントアップする。
  僕の場のヴィジョンは5体!攻撃力は5000ポイントアップする!」
 ヴィジョン・スターダスト:ATK2500→7500


 「ターンエンド。」

 牽制のつもりなのだろう、攻撃力を上げ優位性を確保する。
 そんなアギトに遊哉は心底あきれてしまう。

 「哀れだな…」

 「何だと!?」

 「気付いてないのか?何でお前が此れほどまでに俺に遅れを取るのか…」

 静かに遊哉は語る。

 「本来ならヴィジョンの速攻性、永続罠として留まる効果、それらを使ったコンボ攻撃。
  此れだけの力を使えば俺の『龍皇』だって勝るとも劣らない力を出せるはずだ。
  其れなのに此の状況…やっぱり此れだろうな。」

 周囲に満ちた黒い瘴気を指差す。

 「『闇のゲーム』…自分のデッキとデュエルタクティクス以外の何かに頼る。
  その性根がデュエリストとしての勘を鈍らせ、誇りを失わせ、魂を曇らせる。」

 「な、何を言っている…?」

 「1回戦…アレは運が良かった。だが、運も実力の内。俺としては気に入らない展開だがアレは未だいいだろう。
  だが2回戦、闇のゲームじゃなかったらテメェは完全に負けていた。」

 「何が言いたいんだお前はぁ!」

 「あの時、十六夜は闇のゲームの力に僅かに気圧された…それが最後のターンでらしくも無いプレイングミスを誘発した!
  あのミスが無けりゃ勝ってたのは十六夜だ!テメェは自分の実力で勝ったんじゃねぇ!」

 「黙れ…黙れぇぇぇ!」

 「此れがラストターンだ!俺のターン!」

 デュエルの終局を宣言しカードを引く。

 「(来た!)俺の場にレベル8以上のドラゴン族シンクロモンスターが存在する場合手札の『救世龍セイヴァー・ドラグーン』を特殊召喚できる!」
 救世龍セイヴァ−・ドラグーン:ATK0

 「マジックカード『異次元同調・百式』を発動!此のターン通常召喚を行わない代わりに、此のターンシンクロの素材に手札のモンスターを使用できる!」

 「何だと!?」

 「手札のレベル1ドラクリボーとフィールドのレベル8炎龍皇−アグニにセイヴァー・ドラグーンをチューニング!
  紅蓮の炎に救世の力が宿る、皇よ神と成りて世界を救え!シンクロ召喚、業火の化神『救世炎龍神(きゅうせいえんりゅうしん)−イグニス』!」
 「終いだ、愚かなる者よ!」
 救世炎龍神−イグニス:ATK4000


 皇から神へと進化した炎の龍。
 その姿は神々しくも猛々しく、しかし美しい。


 「ば、馬鹿な…こんな事が…」

 「イグニスの効果発動!1ターンに1度手札のドラゴンを捨てることで相手モンスターの効果を無効にし此のカードの攻撃力を2倍にする!」
 救世炎龍神−イグニス:ATK4000→8000


 「こ、攻撃力8000!」

 「アギト、テメェの負けだ。デュエリストの魂も誇りも失っちまった奴に俺の相手はつとまらねぇ!
  バトル!救世炎龍神−イグニスで幻影のヴィジョン・エルフィードを攻撃!焼き尽くせ『救世のイグニッション・ストライク』!」
 「滅せい!」



 ――ゴガァァァァァ!!



 「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 アギト:LP1000→0



 強烈な炎がアギトを焼き尽くす。
 そしてアギトのライフが尽きた事で黒い瘴気が晴れる。



 「決まったぁぁぁぁ!Winner緋渡遊哉〜〜〜!!
  何と宣言通りのパーフェクト勝利で、この決勝戦を制した〜〜〜!!
  第1回『闘いの王国(バトル・キングダム)』の覇者は『ドラゴン・マスター』緋渡遊哉だ〜〜〜〜!!」


 「「「「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」」」」」」


 MCの実況と同時に沸きあがる歓声。
 其れは唯勝利を称えるものではない、最後までデュエリストの誇りも持って戦った遊哉への賛辞だ。
 そして…

 「見事です遊哉ボーイ。矢張りYOUを此の大会に招待して正解でした。」

 「ペガサス…」

 「実は此の大会『ノーバディ』の狩猟を炙り出し捕らえる目的も有ったのです。
  YOUのおかげで其れは達せられました…感謝するのデ〜ス。」

 「そうじゃないかと思ってたがやっぱりかよ…たく。だとすると鮫島のおっさんもグルだな?」

 遊哉の追求にペガサスは笑って誤魔化す。
 破れたアギトは、哀れ自分が仕掛けた闇のゲームの反動で意識を失い、警備員にそのまま連行されていった。

 「ともあれ、見事でした遊哉ボーイ。此れが勝者に送られる『幻龍皇』デース。」

 閉会式を待たず『幻龍皇』を手渡す。

 「アシェル…『幻龍皇−アシェル』此れが『聖』の属性を持つ幻の龍皇…」

 「イエス。ですがその力は強大。一歩間違えば破滅の使者ともなりえます。」

 「力を使うものにはその責任も…分かってるぜ!」

 「ならば良いでしょう。」

 そこで咳払いを一つ。

 「皆さん!幾多の闘いを制し此処に新たな王者が誕生しました、今一度新王者に盛大なる拍手を!」



 ――パチパチパチパチパチパチパチ!



 鳴り響く拍手。
 そして何時の間にかリングには遊星、霧恵、アキ、レンに3人娘。
 果ては遊哉が予選で闘ってきたデュエリスト達が集っている。

 「やったな緋渡。」
 「宣言通りのパーフェクト…相変わらず非常識なんだから。」
 「でも、見事だったわ。」
 「流石はアタシを負かしただけの事はあるっさ!」

 「遊星、霧恵…皆…ありがとよ!」

 「いよっしゃ!勝者には胴上げが似合うっさ!皆で遊哉っちを胴上げさね!!」

 レンの号令で遊哉の胴上げが始まる。
 その中心は勿論霧恵と遊星だ。

 「「「「「「ワッショイ、ワッショイ!!」」」」」」

 中を舞う遊哉。
 其れを満足気に見るペガサスと鮫島校長。
 


 第1回『闘いの王国(バトル・キングダム)』其れは緋渡遊哉の優勝で幕を閉じたのだった。








 ――――――








 ――とある場所…


 「アギトは敗北したようです。」

 「フン…所詮は傀儡。アレが限度さ。」

 地下にあるのであろう不気味な1室で密談する一団。

 「だが、奴のおかげでデータは取れた…緋渡遊哉、不動遊星、迦神霧恵、十六夜アキ…矢張り無視は出来まい。」

 「ふ、今は束の間の勝利に酔わせておけ…『名も亡き者(ノーバディ)』が消える時『幻影(ヴィジョン)』を凌駕する『恐怖の幻(ファントム)』が現れる。
  シンクロを抹殺する『機皇帝』が世界を破滅へと導く…くくく…はっはっは…ハァッハッハッハッハ!!」


 一つの戦いの終わりは、新たな戦いの始まりを意味する。



 アカデミアから遠く離れた童実野町…其処に新たな戦いの嵐が巻き起ころうとしていた…














  To Be Continued… 

-21-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える