小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 本日霧恵のコンドミニアムにはアキのクラスメイトが何人か集まり、皆でデュエルの真っ最中なのだが…

 「ルドラの効果発動!手札のドラゴン1体を捨て、相手の魔法・罠カードを全て破壊する!大人しく打っ飛べやゴルァァァァァ!」

 何故か初っ端から悪者全開な遊哉が居た…

 「絶好調だな緋渡。」
 「毒舌だけじゃなくて悪者モード入ってるからね。」

 そして遊星も霧恵も最早全く動じていなかった。










 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel30
 『白枠vs黒枠』










 「手札のドラゴンを捨てヴァリアスの効果発動!此のターン発動するのはモンスターの破壊効果!消えろデミス!」

 絶好調の遊哉は、更にモンスターをも破壊し相手のフィールドを一掃した。

 「此れでとどめだぁ!アグニの効果発動!手札のドラゴンを捨て其の攻撃力分自身をパワーアップさせる!
  俺はシルバー・ドラグーンを捨てアグニの攻撃力を2000ポイントアップさせる!」
 「うむ、相変わらず見事だ主よ!」
 炎龍皇−アグニ:ATK2900→4900


 フィールドには3体の龍皇、確かに『絶好調』であることは間違い無い。

 「アグニでダイレクトアタック!焼き尽せ『インペリアル・ストライク・バスター』!」

 「きゃあぁぁぁぁぁぁ!」
 藤原雪乃:LP4000→0


 で、アグニの一撃が対戦相手である藤原雪乃のライフを削り取って勝負あり。
 所謂『デミスドーザ』を使う雪乃だが、デビルドーザを手札に呼び込めなかったのが痛かった。
 加えて龍皇が3体も現われては…為す術無し。

 「アカデミアの大会の時も思いましたが凄いですね彼…相変わらずの攻撃傾倒型のようですが…」
 「まぁ防御カードが無いわけじゃないんだけど、基本が『防御?なに其れ美味いの?』って感じだからね。」

 眼鏡を掛けた委員長気質の少女――原麗華に霧恵はそう返す。
 幼馴染ゆえ誰よりも遊哉の性格は分かっているのだ。

 「でもでも、何であんな悪役っぽいキャラ?」
 「其れはアメリカ時代から疑問だったわ?遊哉なら普通にヒーローキャラでいける実力よ?」

 不思議な髪形をした少女――嶺開花とシェリーの疑問。
 シェリーとしてみれば遊哉の高い実力ならば別にヒールでなくても良いと思っている。

 「あぁ…其れはねあいつの子供の頃からの夢ってか野望ってか…」

 「如何言う事だ?」

 「なんか昔から『悪役っぽいヒーロー』の方が正統派のヒーローより好きだったのよね〜…
  でさ、遊星ってどっちかって言うと正統派じゃない?だから余計に悪役モードが板に付いちゃって…
  まぁ尤も遊哉の場合、演じてるんじゃなくて元々あんな性格なんだけどね!?」

 素で悪役な性格だったらしい。

 「まぁ本人が満足してんだから良いじゃねぇか。」

 鬼柳的には全く問題は無いらしいがね。

 「緋渡の性格はあれでいいんじゃないか?大事なのはデュエルに対する姿勢だ。
  如何に悪役な性格でも緋渡は絶対に卑怯な事はしないし、常に全力で相手に礼を尽くすだろ?…毒舌八丁だが…」

 「確かにね。でも凄いわ……雪乃はアカデミアでも上位の実力者なのに全く問題になってないわ。」

 「今の俺は歴代主人公が束になっても勝てる位に絶好調ですから!!」

 「!?」

 はい、悪役(笑)乱入。

 「WRG1まで1ヶ月切ってるし、1週間後にはプレイベントもあるからな!俺のテンションは鰻登りに上昇中!!」

 本気で絶好調だった。


 「凄いわね彼……霧恵、離しちゃダメよ?あれだけ良い男は中々居ないわ…」
 「はあ…てか貴女はホントに学生なのか気になるわ…」

 一方で雪乃の怪しげな色気に若干霧恵は引き気味だった。








 ――――――








 ――1週間後・童実野中央スタジアム『WRG1プレイベント特設会場』



 WRG1出場の選手で此の会場は賑わっている。

 勿論選手だけではなくマスコミにデュエルファン等が詰めかけ会場はパンク寸前。


 「予想通りすげぇ人だな。」
 「そうね。そしてあんたの胃袋も予想通りの状態になってるわね…」

 立食パーティの形式の会場では多くの料理が出されている。
 で、霧恵に指摘された遊哉の皿はご馳走が山盛りに……

 「遊星、遊哉の胃袋はどうなっているのかしら?」
 「不明だ。科学では解明できない謎の一つだな。」

 ある意味で珍獣扱いされている(汗)


 まぁ其れは無視して、此のプレイベント、勿論只のパーティと大会の宣伝が目的ではない。
 一般来場者やマスコミまでもが大勢詰め掛ける理由、其れは『エキシビジョン・デュエル』

 此のプレイベントの最大の目玉で、来場デュエリストの中からランダムに選ばれた2名がデュエルを行うのだ。


 『レーディース&ジェントルメン!今日はWRG1のプレイベントにようこそ〜〜!
  さぁ此処で皆お待ちかねのエキシビジョン・デュエルを始めちゃうぞ〜〜!!』


 最高のテンションで現われたご存知MCの名物司会に会場は途端に沸きあがる。

 「お、やっとかよ!(――ガ〜〜〜!…ゴックン)待ちくたびれたぜ!」
 「だからあんたはちゃんと噛んで食べろって!!」

 其の盛り上がりに遊哉は皿のご馳走(推定5人前)を一瞬でたいらげた…本当に人間なのか実に疑わしい。
 脅威の人外胃袋は無視して、イベントは進む。

 『さぁこれからコンピューターが会場の中から対戦するデュエリストをランダムに選定するぞ〜!
  果たしてこのイベントで戦う栄えあるデュエリストは一体誰なのか〜〜〜!!』


 会場に設置されたオーロラヴィジョンがルーレットの如く目まぐるしく画面をスクロールさせる。
 そして対戦する2名が決定。

 「此れは…面白いな。」
 「良いチョイスしてるぜこのコンピューターは!」

 遊哉、遊星の2人が感心するその対戦カードは…


 『決まった〜〜!エキシビジョン・デュエルはチーム遊戯王の『迦神霧恵』対チームノワールの『当真・アレイスター』!
  さぁ選ばれたデュエリストよデュエルフィールドに出てきてくれ〜〜!』


 そう、霧恵が選出されたのだ。
 其の相手は巷ではそれなりに名の知られているデュエリスト……此れは負けられない。

 「頑張ってね霧恵。」
 「お前のデュエルで此の会場の奴等を満足させてやれ。」

 シェリーと鬼柳のエールを受け霧恵もやる気充分!

 「頑張れよ迦神。」
 「ま、お前が俺や遊星以外に負けるとこなんざ想像できねぇけどよ。」

 更には主人公2人からも、此れはもう負けられない!

 「まっかせなさい!霊魔導師使いの実力見せてあげる!」
 「おっしゃー、行くぜ霧恵!」
 「わ〜い殴り込みだ〜!」

 霧恵は勿論、ヒータとエリアは既にやる気充分(エリアはなんか間違ってる気がするが…)

 「じゃ、行ってくる!」

 デュエルディスクを携え、霧恵は特設デュエルリングへ。
 対戦者の当真・アレイスターもリングに上がっている。


 「霊魔導師使いの迦神霧恵か…相手にとって不足は無い!」
 「悪いけど本気で行くよ?」

 両者とも臨戦態勢。
 デュエリストとしてのオーラが立ち昇る。


 『さぁ両者とも準備は良いか〜!?それじゃ行ってみよ〜!エキシビジョン・デュエル迦神霧恵vs当真・アレイスター!
  デュエル…………スタートォォォォォ!』



 「「デュエル!!」」


 霧恵:LP4000
 当真:LP4000



 「先攻は貰うわ!ドロー!手札からマジックカード『霊術進化』を発動。手札の『霊使い』又は『憑依装着』と名の付くモンスターを墓地に捨て、
  捨てたモンスターの名前を含む『霊魔導師』1体をデッキから特殊召喚する。現われよ『地霊魔導師−アウス』!」
 「さて、行きますか。」
 地霊魔導師−アウス:ATK2500


 「で、チューナーモンスター『ネコ魔導師−ミケ』を通常召喚!」
 「ニャオ〜ン。」
 ネコ魔導師−ミケ:ATK200


 速攻でシンクロの準備完了。
 チームの中ではダントツにデッキの高レベルが多い霧恵だが、多数のギミックを持って事故率を限界まで引き下げているのだ。

 「行くよ!レベル8のアウスにレベル2のミケをチューニング!
  大いなる魔導師の魂よ、古の力を我が前に示せ。シンクロ召喚!裁け『聖霊魔導師−アリオス』!」
 「さて、始めようか?」
 聖霊魔導師−アリオス:ATK3000


 1ターン目からエースの召喚。
 エキシビジョンとは言え初っ端から全開である。


 「あたしは此れでターンエンド。」

 対して、

 「俺のターン!マジックカード『古の術式』を発動する。
  ライフを1000ポイント払いデッキからレベル5以上の通常モンスターを2体まで特殊召喚する。来い『トライホーン・ドラゴン』『コスモ・クイーン』!」
 当真:LP4000→3000
 トライホーン・ドラゴン:ATK2800
 コスモ・クイーン:ATK2900


 此方はこちらで効果は無いものの高い攻撃力を持ったモンスターを召喚して来た。

 「行くぞ!2体のレベル8通常モンスターをオーバーレイ!エクシーズ召喚、轟け『サンダー・エンド・ドラゴン』!」
 「グガァァァアァ!」
 サンダー・エンド・ドラゴン:ATK3000


 レベルの概念を持たないエクシーズモンスターの中でも最高ランク8のモンスターが現われる。

 「エクシーズ…良いわ、かかって来なさい!」

 「サンダー・エンドの効果発動。此のカードのオーバーレイユニットを1つ取り除き、フィールド上のこのカード以外のカードを全て破壊する!
  吹き飛ばしてしまえ『オーバー・ライトニング』!」


 サンダー・エンドから発生した雷がアリオスを襲うが…


 「無駄よ。ネコ魔導師−ミケを素材にした魔法使い族のシンクロモンスターは効果では破壊されない!」
 「其の程度では効かぬな…」

 全く以って平気だった。

 「流石に考えている…ならば俺は切り込み隊長を召喚!」
 切り込み隊長:ATK1200


 「更に隊長の効果で2体目の切り込み隊長を召喚!」
 切り込み隊長:ATK1200


 「2体の切り込み隊長でオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚、現われろ『No17リバイス・ドラゴン』!」
 「ギョォォォ!」
 No17リバイス・ドラゴン:ATK2000


 「リバイス・ドラゴンの効果発動。1ターンに1度このカードのオーバレイユニット1つを取り除き攻撃力を500ポイントアップさせる!」
 No17リバイス・ドラゴン:ATK2000→2500


 一気に上級の攻撃力を持ったモンスターを揃えてきた…確かに実力者では有るようだ。

 「バトル!サンダー・エンドでアリオスを攻撃!そして此の瞬間速効魔法『エクシーズバリア』発動!
  オーバーレイユニットが1つ以上残っているエクシーズは此のターン戦闘では破壊されない!
  一方的に相手を葬れ、穿て雷!『ライトニング・バースト』!」

 攻撃力は互角だが、戦闘耐性のせいでアリオスのみが一方的に破壊される。
 だが、霊魔導師の真骨頂は此処からだ。

 「やるわね…でも此の瞬間アリオスの効果発動!アリオスが戦闘で破壊されたときデッキか手札から『霊魔導師』を1体特殊召喚できる!
  さぁ、出番よ!其の炎で焼き尽くしてあげなさい。現われよ『火霊魔導師−ヒータ』!」
 「さあl掛かってきやがれ!」
 火霊魔導師−アリオス:ATK2500


 「ヒータの攻撃力はあたしの墓地の魔法使い×200ポイントアップする。墓地の魔法使いは3体。よって攻撃力は600ポイントアップ!」
 「今のあたしに勝てるモンなら勝ってみろ!」
 火霊魔導師−ヒータ:ATK2500→3100


 例えアリオスが破壊されようともフィールドのモンスターは途切れない、それどころか更なる攻撃力を持った霊魔導師を召喚した。
 3100もの攻撃力が相手では当真も攻撃は出来ない。

 「く…流石だな。ターンエンド。」

 「あたしのターン。マジックカード『霊魔導の導き』を発動するわ。
  あたしのフィールドの『霊魔導師』1体を選択し、選択した霊魔導師と同じレベルで異なる属性の霊魔導師を特殊召喚する。
  出番よ『水霊魔導師−エリア』!」
 「ヒータちゃんが一緒なら負けないよ!」
 水霊魔導師−エリア:ATK2500


 「まだまだ行くわ!手札から『死者蘇生』を発動!さぁ蘇れ『聖霊魔導師−アリオス』!」
 「流石だ霧恵。さぁ先刻の礼をさせてもらおうか?」
 聖霊魔導師−アリオス:ATK3000


 あっという間に上級モンスターが3体…恐るべき展開力である。

 「墓地の魔法使いが減った事でヒータの攻撃力は200ポイントダウンする。」
 「ち、社長の嫁に勝てなくなっちまった…」
 火霊魔導師−ヒータ:ATK3100→2900


 「でも此れで終わりよ!手札からマジックカード『霊魔導奥義−壱式』を発動!
  あたしのフィールドに霊魔導師が3体以上存在する時、此のターン霊魔導師の攻撃力の合計分の戦闘ダメージを相手のモンスターすべてに与える!」
 「行くぞ、エリア、ヒータ!」
 「はっ、暴れてやる!」
 「派手に飛ばしますか!」


 霊魔導師3体の攻撃力の合計は8400。
 更に攻撃は全体化の上当真には伏せカードも手札も無い。


 「アリオス、ヒータ、エリア霊魔導師の力を見せてあげなさい!」
 「無論だ、行くぞ!」
 「喰らえ一撃必殺…」
 「霊魔導奥義・壱式…」


 「「「エレメント・トライ・バースト!」」」


 アリオス、ヒータ、エリアの3体が其々の杖を交叉させ、其処から強烈な魔導波が放たれ2体のエクシーズモンスターを粉砕する。
 そして此の攻撃は戦闘ダメージの為攻撃力の差分は勿論ライフから削られる。


 「う、うわぁぁぁぁ!!」
 当真:LP3000→0


 『決まった〜〜!Winner迦神霧恵!圧倒的な実力で其の強さを見せ付けてくれたぞ〜〜!!』


 決着と同時に会場からは歓声が上がる。
 言っておくと当真・アレイスターは決して弱くない、それどころか世界レベルのランカーなのだ。

 だが、霧恵の実力は其の上を行く。
 元々の地力もそうだが、最近では遊哉や遊星と言った強豪が一緒なので実力は嫌でも底上げされている。
 より霊魔導師の扱いに磨きの掛かった霧恵は例え世界ランカーを相手にしても引けはとらないのだ。


 そして此のデュエルは改めてシンクロの強さを会場に居た全員に知らしめた。
 強力なエクシーズが全く歯が立たなかった…それどころか優位に立つことすら出来なかったのだ。

 それでも大型モンスターの大量展開に会場は沸きに沸いた。
 だが其れも突如として終わりを告げる。


 「た、大変だ!デュエルレーンにファントムが現われたぞ!!」


 会場に、衝撃が走った…


















  To Be Continued… 

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