小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 ――童実野町デュエルレーン


 「No.11ビッグ・アイの効果発動!魔導法皇 ハイロンは頂くぜ!」

 「やるじゃない!でもそうはさせないわ、トラップ発動『洗脳解除』!この効果で全てのモンスターのコントロールは元々のコントローラーに戻る!」

 「ちっ、流石に簡単にはやらせてくれないか!」

 スタジアムのみならず、レーンでも各ブロック毎の予選最終戦が行われている。
 どのレーンでも手に汗握る好デュエルが展開されてる真っ最中。

 観客の応戦にも熱が入り、童実野町は熱気の渦に包まれていた。


 が、



 ――キィィィィィン…



 「ん?なんだありゃ…」
 「Dホイール…?其れもあんなに沢山?」


 「スピードスペル『Sp−サンダーボルト』!貴様等ノモンスターヲ全テ破壊スル!」

 「「なに!?」」

 「消エロ、弱者。」


 ――ガァァン!!


 「「うわぁぁぁぁぁ!!」」


 突如現われた大量のアンドロイドDホイーラー……ファントムによって熱気は恐怖に変ろうとしていた…










 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel41
 『無差別決闘(バトルロイヤル)を駆けろ!』










 大量のファントム襲撃の報は、すぐさま中央スタジアムにも齎されていた。

 『ななな何と〜〜、童実野町のデュエルレーン全域に巷を騒がせている『ファントム』が現われたとの情報が入ってきた〜!
  しかも予選を闘うデュエリストを手当たり次第に襲っているとの事!申し訳ないが観客の諸君は暫しこの場で大人しくしていてくれ〜!』


 MCの解説で何とか観客の混乱は抑える事ができそうだ。
 この手の事は下手に隠すより、オープンにした方がかえって一般人は其の重大性を理解するのだ。


 当然此れを聞き逃せない連中が居る、言うまでも無く『チーム遊戯王』の面々だ。

 「ファントムだと!?なんつータイミングで出てきやがる…空気読めよドアホ垂れが!!」
 「見過ごす事はできないな。」

 ファントムが現われたと聞くや否や速攻でDホイールに乗り込みスタジアムの外へ飛び出す。




 「取り合えずバラけたほうが良いな。」

 「そうね。6にn「おぉ〜っと!私も忘れてもらっちゃ困るよ!」…レンも入れて7人居るから適当に分かれましょう。」

 レーン各所でファントムが現われている為、バラけて対処した方が効率がいいのは事実。
 レンの参戦で戦力もアップしているから問題は無いだろう。


 「数がスゲェからな、初っ端からスピードカウンターMAXの『バトルロイヤルモード』で行った方がよさそうだ。
  で、やたらと数が多いGレーンには俺と遊星で殴りこむ!!良いよな遊星?」

 「あぁ、勿論だ。ファントムの好きにはさせない!行くぞ皆!」

 「「「「「お〜〜〜っ!!!」」」」」


 遊星の掛け声で、全員がファントムが暴れているレーンを目指して驀進!
 其れと同時に、警察の白バイ隊ならぬ『Dホイール隊』もファントム鎮圧の為に出動していた。








 ――――――








 ――Dレーン


 ファントムの突然の襲撃だが、襲われた方だって只でやられるだけではない。

 「XX−セイバー ガトムズで攻撃!」

 「グワァァァァ」
 ファントム:LP0


 デュエリストの意地で応戦するのは当然だろう。
 しかも最終戦を行っているレーンによっては、其のブロックの上位同士のデュエルの最中だったりするため高い技量のデュエリストも居るのだ。


 「ククク、私ノターン!」

 「ちぃ…次から次へと!」

 しかし、倒しても倒しても幾らでもファントムは現われ正に『多勢に無勢』だ。
 おまけに最初からスピードカウンターが12個の状態で強力モンスター(今現われたのはF・G・D装備のサイバー・ダーク)を従えて現われるのだから性質が悪い。

 「ハハハハハ!サイバー・ダーク・ドラゴンデ、ガトムズニ攻撃!」

 「そうは問屋がおろさないっさ!トラップカード『攻撃誘導アーマー』。其の攻撃を私のクレボンスに強制誘導!
  そんでもってクレボンスの効果発動!ライフを800払って攻撃を無効にするよ!」
 レン:LP4000→3200


 このDレーンにはレンが参上!
 クレボンスの効果で攻撃力6000オーバーの攻撃を防いだ。

 「お前…助かったぜ。」

 「ぬわっはっは!!このレンさんが来たからには100人力さ!さぁ反撃だよ!!
  レベル6のサイコ・ショッカー(Sp−電脳増幅器装備)にレベル2のクレボンスをチューニング!
  おいでませ、究極のサイキック戦士!シンクロ召喚『人造人間−サイコ・ソルジャー』!」
 「Wryyyyyyyyyyyyy!」
 人造人間−サイコ・ソルジャー:ATK2800


 既に此処に来るまでに何体かのファントムを葬ってきたのだろう、必要なモンスターを揃えてあっという間に上級モンスターをシンクロ召喚。
 この援軍は1人で戦っていた者からすると相当にありがたい。

 「やるな。だがサイバー・ダークの攻撃力は6300もあるぜ?」

 「わっはっは、心配御無用!サイコ・ソルジャーは1ターンに1度フィールドに表側で存在する魔法か罠を破壊できるのさ!
  この効果で装備状態のF・G・Dを破壊するよ、『スペル・ブレイカー』!」

 「何ダト!?」
 黒鎧竜−サイバー・ダーク・ドラゴン:ATK6300→1300


 「装備したドラゴンさえなきゃ其のモンスターは只の弱小モンスターに過ぎないね!
  サイコ・ソルジャーでサイバー・ダーク・ドラゴンに攻撃!『サイバー・エナジー・キャノン』!」

 「ヌワァァァァ!」
 ファントム:LP4000→2500


 見事なコンボで大ダメージだ。

 「さぁ、トドメだよ。格好良いところ見せてくれっかい?」

 「へっ、そう言われたらやるしかないぜ!ガトムズでダイレクトアタックだ!!」
 「オォォォォ!」


 ――ザッシュゥゥゥ!


 「ゴワァァァァァ!」
 ファントム:LP2500→0


 見事な勝利。


 そして他のレーンでも、





 ――Fレーン


 「光と闇、そして天と地が交わる時、その狭間…煉獄より無の支配者が現われる。シンクロ召喚!『煉獄龍 オーガ・ドラグーン』!!」
 「グオォォォォォ…!」
 煉獄龍 オーガ・ドラグーン:ATK3000


 「墓地のインフェルニティ・クイーンの効果発動。手札0でこのカードが墓地に存在する場合、俺のフィールドのモンスター1体はダイレクトアタックできる。」

 此処では鬼柳がDホイール隊の警官と共にファントムとデュエル。

 「此処で本官のトラップ発動『シンクロ・ストライク』!この効果でオーガ・ドラグーンの攻撃力をシンクロに使用した素材モンスターの数×500ポイントアップ。
  オーガ・ドラグーンの召喚に使われたモンスターは3体。よって攻撃力は1500ポイントアップです!」
 煉獄龍 オーガ・ドラグーン:ATK3000→4500


 見事な連携が炸裂。
 即興のコンビであるにも係わらず素晴らしい。

 「ふ、満足できるぜその一手!ファントム、貴様を煉獄に叩き落す!オーガ・ドラグーンでダイレクトアタック!『煉獄混沌劫火(インフェルニティ・カオス・バースト)』!」


 「ウオォォォォ!」
 ファントム:LP4000→0


 「お見事です。」
 「はっ、この程度じゃ満足には程遠いぜ。」





 ――Kレーン


 此方ではアキが敗北したDホイーラーを持ち前のサイキックパワーで保護したうえでファントムと対峙していた。
 既にエースである『ブラック・ローズ・ドラゴン』が其の姿を現している。

 「ブラック・ローズ・ドラゴンをリリースし……現われなさい、穢れ無き白薔薇の化身『ピュアホワイト・ローズ・ドラゴン』!」
 「クェェェェェェェェ!」
 ピュアホワイト・ローズ・ドラゴン:ATK3000


 そしてペガサスから託された白薔薇の龍が示現する。
 一気に勝負を決める気らしい。

 「ピュアホワイトの効果発動。召喚時に自身以外の全てのカードを手札に戻し其の数×200ポイントのダメージを与える。
  この効果で戻したカードの枚数は6枚!よって1200ポイントのダメージを受けてもらうわ『ホワイトローズ・テンペスト』!」

 吹き荒れる白き風が全てを吹き戻し、ファントムのライフを削る。

 「小癪ナ…!」
 ファントム:LP4000→2800


 「此れで終わりよ、残酷なまでの白の洗礼を受けなさい。『ホワイト・ローズ・インフェルノ』!」

 「グガァァァァ!」
 ファントム:LP2800→0


 「マダマダね。さぁ、魔女の洗礼を受けたいのならかかってきなさい?」

 挑発的かつ妖艶な笑みを浮かべるアキは正に『魔女』の異名がピッタリであった。





 ――Aレーン


 「スクラップ・ドラゴンでフレムベル・ウルキサスに攻撃です!」

 「ギャァァァァ!」
 ファントム:LP200→0


 「お見事。さすがは本選出場の権利を得たチームの一員ね。」

 「そんな…シェリーさんにお褒めいただけるなんて光栄です!」

 此方ではシェリーがデュエル中だったDホイーラー達とファントムを撃滅中。
 結構な数を倒したようだ。

 「ふふ、でもまだ終わりじゃないわ。私のターン!騎士道精神の欠片も無い相手には礼を尽くす道理も無いわ。
  せめて其の身に刻みなさい、騎士のデュエルと言うものを!レベル5の聖騎士リヴァイスに、レベル3の聖騎士の侍女をチューニング。
  恐れを知らぬ魂よ、覚醒の時は来たれり。我が手に勝利を!シンクロ召喚、翔けよ『スカイソード・ドラゴン』!」
 「シャァァァァァ!」
 スカイソード・ドラゴン:ATK2800


 「スカイソード・ドラゴンでダイレクトアタック!穿て『クリア・ストラトス』!」

 「ムガァァァ!」
 ファントム:LP4000→1200


 あっという間にライフを大幅に削り優位に立つ。
 シェリーの腕にかかればこの程度は朝飯前だろう。





 ――Jレーン


 「霧恵大丈夫?疲れてない?」
 「疲れてなんていないよ。エリア達と再会できた事が嬉しくて疲れなんて感じないの。
  それにさっきのデュエルじゃ不完全燃焼で楽しめなかったし。
  大体、エリアのおかげでライフはた〜〜っぷりあるからね。早々は負けないよ!」
 霧恵:LP21000


 確かに素晴らしい程のライフの数値。
 此処まで行き着くのに一体どれだけの数のファントムを相手にしたのか?
 霊魔導師復活で気分が高揚している霧恵には聞くだけ無駄だろう。

 「ドンドン行こうか!スピードスペル『Sp−マジシャンズドライブ』!アタシのフィールドの魔法使い2体の合体攻撃で相手モンスターを攻撃する。
  バトル!エリアとヒータでSinトゥルース・ドラゴンに攻撃!」

 「行くぜエリア!」
 「任せてよヒータちゃん!」

 「「霊魔導術『殲滅のマナ・エクストリーム』!!」」

 エリアと、自身の効果で攻撃力が3900まで上昇しているヒータの合体攻撃は見た目も派手。

 水と炎と言う相反する属性だが、逆に其れが強烈な力を生み出し、ファントムのモンスターを葬る。
 更にヒータの効果による5000のバーンダメージでジ・エンドだ。
 逆に霧恵はエリアの効果で又もライフが大幅に増強。

 「バ、馬鹿ナ…!」
 ファントム:LP3000→0


 「デュエリストの魂持たない奴には負けられないのよ。お休み、バイバイ。」
 霧恵:LP21000→26000

 クラッシュしたファントムにそう告げると、更なる敵を探して霧恵は加速していった。





 そして、


 ――Gレーン


 「アグニで攻撃!『インペリアル・ストライク・バスター』!」
 「滅っせい!」


 「頼むぞスターダスト!響け『シューティング・ソニック』!」
 「キョァァァァァ!」


 「「ギョワァァァ!」」
 ファントム:LP0(×2)


 天下無敵の主人公コンビは、互いにエースを召喚しファントムを倒していった。
 兎に角強いのだ遊哉と遊星は。

 ファントムとデュエルを開始してから時間にして僅か5分。
 其の5分間の間に2人で合計15体ものファントムを倒しているのだから恐ろしい。

 「粗方片付けたか?」

 「多分な。だが油断は禁物だ。」

 「だな…っと早速来たぜ!」

 背後から来たのは尋常な数ではないファントムの群れ。
 今まで闘っていた数よりも遥かにその数は多いだろう。


 「此れは又団体さんの到着だぜ!」

 「宿泊には事前の予約が不可欠だぞ?」

 だが其れを前にしても余裕綽々。
 ファントムと聞いて警戒したものの、今まで倒した誰もが『機皇帝』を召喚していない。

 ならば其処まで警戒の必要は無い。
 故に2人ともエースシンクロ・モンスターを召喚しての戦いだったのだ。


 「行くぞ緋渡!俺達の絆とデュエリストの誇りを奴等に見せてやろう!」

 「応よ!!」


 最早この闘志は消せない。
 自然鎮火まで待つしかないだろう。

 尤も今の状況では其れも期待できそうに無いが…


 「覚悟しろよファントム!アグニをリリースし、現われろ炎を極めた龍皇『極炎龍皇−グレイス』!」
 「我が炎の力…その身で味わえい!」
 極炎龍皇−グレイス:ATK3800


 「スターダストをリリース。光来せよ、集いし星を宿す龍『スターダスト・ライジング・ドラゴン』!」
 「クァァァァァァ!」
 スターダスト・ライジング・ドラゴン:ATK3500


 夫々のエースが進化した2体の巨龍がファントムに牙を剥く。
 恐らく新たに現われたファントムの大群も、この2人のライフを削る事はできても倒す事はできないだろう。


 更なる殲滅戦が幕を上げようとしていた。








 *補足



 Sp−マジシャンズドライブ
 スピードスペル
 自分のスピードカウンターが7つ以上有る時に発動できる。
 自分フィールド上の魔法使い族モンスター2体を選択し、このターン選択したモンスター2体の攻撃力の合計で相手モンスターを攻撃する。



 Sp−電脳増幅器
 スピードスペル
 自分のスピードカウンターが5個以上あるときに発動可能。
 発動後、このカードは装備カードとなり自分フィールド上の「人造人間−サイコ・ショッカー」に装備される。
 このカードが装備されている限り、装備モンスターのコントローラーは罠カードの発動が可能になり、
 装備モンスターの効果によって罠カードの効果を無効化されない。



 攻撃誘導アーマー
 永続罠
 このカードは発動後装備カードとなり、フィールド上のモンスター1体に装備される。
 相手モンスターの攻撃を、装備モンスターへの攻撃に変更する事ができる。
 このカードを装備したモンスターが守備表示だった場合、守備力を500ポイントアップする。


















  To Be Continued… 

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