小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 「迫力満点の上に、更に格好良くなったな?行くぜダチ公!」
 「うむ…承知だ!」
 真炎龍皇−カグヅチ:ATK5200(皇の秘術〜絆〜)


 「此れがお前の新たな姿か…頼むぞ、シューティング・スター・ドラゴン!」
 「キショァァァァァァァ!」
 シューティング・スター・ドラゴン:ATK3300


 光を超え、限界を突破して先に辿り着いた進化の道。

 片や紅蓮の炎をその身に宿した轟炎の龍皇。
 片や流星の輝きをその身に宿した白き龍。

 その存在感は機皇帝すら凌駕する。

 「行くぜファントム!」
 「覚悟は良いな?」

 2体の龍と2体の機皇帝…デュエルはクライマックスに突入した。











 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel44
 『轟炎と流星の導き』











 「あ、アクセルシンクロですってぇ!?なんなのよ其れは一体!」

 「進化が持つ無限の可能性…其れを開花させたという事か…。」

 ヒステリックに騒ぐ変態とは逆にディックは冷静に状況を分析していた。
 この辺は『年の功』とでも言うべきだろう。

 「まぁ良いわ。アタシは手札から『マシンガーディアン』の効果を発動するわよ〜。
  手札のこのカードを除外する事で、アタシのフィールドの機械族モンスターは、このターン戦闘破壊されずアタシへの戦闘ダメージも0になるわ!」

 「私も同様の効果を発動しよう。尤もマシンガーディアンの効果を使った場合、次のドローフェイズはスキップされるがな。」

 ここで防御系のカードが出てきた。
 未知のカードに対する警戒と言うところだろう。

 「このターンでは倒せねぇか…まぁ良いか。ターンエンド。」

 「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ。」

 其れに対して、遊哉はそのまま、遊星はカードを1枚伏せてターンを終了。
 強大な力を手に入れても慢心など無いようだ……当然の事だが。

 「アタシのターン!」
 「私のターン。」


 遊哉:SC2→3
 変態:SC2→3

 遊星:SC4→5
 ディック:SC4→5


 「我等はこのターン、マシンガーディアンの効果でドローフェイズがスキップされる。だが…」
 「グフフフ…機皇帝の効果発動よ!相手フィールド上のシンクロモンスター1体を吸収するわ!!」

 ウリエルとゼリエルから光の縄が発射され、カグヅチとシューティング・スターを捕えんとする。

 だが、


 ――シュゥゥゥ…


 「消えただと?」
 「ヌアンですってぇ!?」

 捉えられる直前に2体の姿が掻き消えた。
 対象を失った機皇帝の効果は不発に終わる事になったのだ。

 「何度も吸収なんぞさせるかボケナス。コイツがアクセルシンクロモンスターの効果の1つ『ディメンジョン・エスケープ』だ!」
 「シューティング・スターとカグヅチは、相手ターンに1度ゲームから除外できる。そしてこの効果を使用した場合相手モンスター1体の攻撃を無効にできる。」

 驚きの効果。
 機皇帝の効果をかわしつつ、相手の攻撃も無効に出来るとは恐れ入る。

 「ぐぬぬぬぬ…やってくれるわね!此れじゃダメージ与えられないじゃない!」
 「仕方あるまい。だが機皇帝の強化は可能だ。ウリエルGとウリエルCをリリースし、『ウリエルG3』と『ウリエルC4』を特殊召喚。」
 ウリエルG3:DEF1800
 ウリエルC4:DEF1300
 機皇帝ウリエル:ATK3600→4200


 「そうね…ならアタシも、ゼリエルA、ゼリエルTをリリースして、『ゼリエルA4』『ゼリエルT3』を特殊召喚よ!」
 ゼリエルA4:ATK1600
 ゼリエルT3:ATK700
 機皇帝ゼリエル:ATK3300→3600


 機皇帝は特性上、パーツでの攻撃が出来ない。
 それ故に、攻撃が無効になる効果を発動されては意味が無いのだ。
 だが、先の為に機皇帝の強化だけはしたようだ。

 「此れでターンを終了よ。」
 「同じくターンエンド。」


 「おっと、エンドフェイズにカグヅチとシューティングの効果発動だ。」
 「エンドフェイズ、除外した2体のモンスターはフィールドに舞い戻る!」


 「「!!!」」


 「戻ってきたぞ、主よ。」
 真炎龍皇−カグヅチ:ATK5200(皇の秘術〜絆〜)


 「ショァァァァァ…!」
 シューティング・スター・ドラゴン:ATK3300


 「うぅむ…何と言う効果だ…」
 「でも機皇帝はパーツ効果で鉄壁とも言える防御があるわ!そのシンクロモンスターで如何しようってのよ!」

 「その口閉じろよ変態野郎。」
 「どうなるかはその目で見るんだな?」


 「「俺のターン!」」


 遊哉:SC3→4
 変態:SC3→4

 遊星:SC5→6
 ディック:SC5→6



 強化された機皇帝が相手だが遊哉と遊星にはもう恐れなど無い。(遊哉は攻撃力が大幅に勝ってるせいもあるが)
 今此処で機皇帝を倒す意志に変りはない。

 「鉄壁の防御とか抜かしてやがったが…見せてやるぜ!真炎龍皇−カグヅチ!」
 「シューティング・スター・ドラゴン!」


 「「効果発動!」」


 その為にカグヅチ、シューティング・スター、夫々の効果を発動する。


 「真炎龍皇−カグヅチは1ターンに1度、デッキの上からカード5枚を確認し、その中のチューナーの数まで相手モンスターの効果を無効にする!」

 「そして、シューティング・スター・ドラゴンは1ターンに1度、デッキの上からカード5枚を確認し、その中のチューナーの数だけ攻撃できる!」

 「効果無効に…」
 「連続攻撃だと!?」

 先の『ディメンジョン・エスケープ』とは異なり、今度は攻撃でも強力効果。
 効果を無効にされたら機皇帝は無力であり、最大5回の攻撃となればパーツ効果を駆使しても受けきれない。

 5枚のカードの結果によっては一気に勝負が付くだろう。

 「行くぜ!先ずは1枚目…チューナーモンスター『サーヴァント・ワイバーン』!
  2枚目!…チューナーモンスター『ハイパー・ドラグーン』!
  3枚目!…チューナーモンスター『ゴールド・ドラグーン』!
  4枚目!…チューナーモンスター『霧の谷の飛竜』!
  5枚目ぇ!!…………チューナーモンスター『救世龍セイヴァー・ドラグーン』!
  此れでテメェのモンスターは全てその効果が無効だ!行け、カグヅチ!『エンペラーシャウト』!」
 「ひれ伏せ、愚物が!」

 発せられた威圧で、機皇帝はその効果が無効になりバラバラに分解される。
 こうなってはもう意味が無い。

 更に遊星も、

 「行くぞ!1枚目…チューナーモンスター『キャノン・シンクロン』!
  2枚目…チューナーモンスター『メテオ・シンクロン』!
  3枚目…チューナーモンスター『マジック・ヴェーラー』!
  4枚目…チューナーモンスター『トラップ・ヴェーラー』!
  5枚目っ!…………チューナーモンスター『エフェクト・ヴェーラー』!
  このターン、シューティング・スター・ドラゴンは5回の攻撃が可能だ、『スターダスト・ミラージュ』!」
 「コォォォォォォォォ…!」


 ――ヴィン


 シューティング・スター・ドラゴンから4体の分身が現われ攻撃準備は完了。


 「機皇帝の効果が…う、嘘よこんなの…!」
 「5回攻撃を可能にするとは…此れがオンリーワンのシンクロを持つ者の力か…!」


 もう驚くしかない。
 この局面でトドメと成るであろう効果の発動。

 先に仕掛けたのは遊哉。

 「効果が無効の状態なら機皇帝の攻撃力は0だよな?しかもパーツの効果も無効になってるから攻撃を止めたりも出来ねぇ!
  コイツで終わりだぜ!真炎龍皇−カグヅチで、機皇帝ゼリエル∞に攻撃!『バーン・オブ・ディストラクション』!」
 「燃え尽きるが良い、悪しき機械兵よ!」


 ――ゴォォォォォォォ!!


 正に『破壊の炎熱』が機皇帝を一瞬で焼き尽し、焼滅させる。
 次いで、爆散した機皇帝の爆風に巻き込まれるようにパーツも消滅。

 「むぎゃぁぁぁん!は、激しい攻撃…嫌いじゃないわ…」
 変態:LP3500→0


 変態はこれで撃沈。
 遊哉が先ずは勝利を収め…



 「頼むぞシューティング・スター・ドラゴン!」
 「ショォォォォォ!」


 「ぐぬぅ…ウリエルC4とウリエルG3の効果だ!」

 遊星の方もウリエルに対して攻撃を敢行していた。
 先ずは3体の分身が突撃するが、それらはウリエルC4とウリエルG3の効果で攻撃が阻まれてしまう。
 この2体には攻撃対象変更効果があり、更にウリエルC4には攻撃無効効果もあるのだ。
 それで3度の攻撃は無効になったが、此れでもう機皇帝の護りは存在しない。

 「此れで機皇帝の防御は崩れた!トラップ発動『シンクロ・ストライカー・ユニット』!
  このカードは発動後、装備カードとなりシンクロモンスター1体の攻撃力を1000ポイントアップさせる!」
 シューティング・スター・ドラゴン:ATK3300→4300


 「此れで攻撃力は機皇帝を上回った!機皇帝ウリエルに攻撃!」

 「ぐむぅ…」

 4体目の分身が突撃し、機皇帝の本体を破壊する。
 其れと同時に機皇帝の効果でパーツが全て爆散し、ディックは無防備状態に。

 「うぬ…」
 ディック:LP1800→1700


 「此れで終わりだ。シューティング・スター・ドラゴンでダイレクトアタック!『シューティング・スター・ソニック』!」
 「キョォォォォォォ!」


 ――シャァァァァァ!


 トドメとなる衝撃波が放たれ容赦なくディックを打ち据え残りのライフを削り取る。


 「むおぉぉぉぉぉぉぉ!」
 ディック:LP1700→0


 遊星も見事に勝利を収めた。


 「やったな緋渡。」
 「応よ!てか、当然だろ!俺達が負けるかよ!」

 並走しながら拳を合わせ勝利を喜ぶ。

 「2人とも見事だ。良くアクセルシンクロをモノにしたな。」

 更に後ろから、謎のDホイーラーも追いついて2人の勝利と新たな力の開眼を称える。

 「まぁ、お前が可能性を示してくれたおかげだけどよ。さてとあの野郎共は…ってオイマジか!?」

 「?……!拙い、あのままだとコースアウトでレーンの外に放り出されるぞ!!」

 如何してやろうかと見てみれば、ファントムの2人は強烈な一撃にマシンコントロールを失い殆ど暴走状態になっている。

 「ぐぬ…強制停止装置がイカレタか…!」
 「ちょっ、止まりなさいよ!!」

 どうやら体勢を立て直すのは不可能に近い様子。
 このままでは遊星の言う通りに、コースアウトで下手すればあの世行きだ。


 「むおぉぉぉぉ!」
 「いやぁぁぁん!」

 そして遂に制御できずレーンの外に!
 だが…


 「マッタク…救いようが無いアホだねお前等は。現われろ『機皇帝レギアス』!」
 「ゴォォォォォォン」


 突然聞こえた声と共に、ウリエルとゼリエルよりも巨大なロボットが姿を現し、吹き飛んだ2人を受け止める。

 「何だ…あれは一体?」

 「機皇帝レギアス…3体目の機皇帝だ。」

 「んだとぉ!?まだ居たってのかよ…」

 3人もスピードを落とし、新たに現われた機皇帝の目前で停止する。


 3人の前には巨大な機皇帝と、その機皇帝の肩にあたる部分に腰を下ろしている女性の姿が。
 其れを見る限り、この機皇帝は只のソリッド・ヴィジョンでは無い様だ。

 アキと同等の力か、其れに近い何かで物理干渉を可能にしているのだろう、詳細は不明だが。


 「誰だテメェ?…機皇帝つー事はファントムだろうけどよ…」

 何時もの調子で遊哉が問う。
 其れに女性は薄く笑みを浮かべ、

 「簪・ジェニー・雪花。ファントムの実質的なリーダーだ。」

 ただ、そう答えた…









 *補足



 シンクロ・ストライカー・ユニット
 通常罠
 このカードは発動後、装備カードとなり自分フィールド上のシンクロモンスター1体に装備される。
 装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。
 自分のターンのエンドフェイズ毎に、装備モンスターの攻撃力は800ポイントダウンする。




















  To Be Continued… 


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