小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 聳えるは2体の神。

 其れに対峙するは3体の霊魔導師と、1体の煉獄の女神。

 神従えし者は真髄知らぬ舞踏家。
 霊魔導師と女神従えし者は本物を知る奇術師。


 『さぁーー、フィールドには最上級クラスのシンクロモンスターが犇めき合っている〜〜!!
  互いに1勝ずつのチーム遊戯王と、チームYAMATOだが、その勝利には大きな差がある〜!
  自力勝利は出来ていないチームYAMATO、ここで勝利して反撃の糸口にしたいところ!
  一方のチーム遊戯王は流れを止めずに突っ走る事ができるのか〜〜〜!!?』


 真髄知らぬ強大な力か、本物を知る決闘者の力か。
 其れが今ぶつかる…











 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel56
 『本当のデュエルとは?』











 「さてと…如何してくれようかな?」
 霧恵:LP4000   SC2

 『星砕ちゃんと烈火さんの効果が発動するから…』
 聖水霊魔導師−エリア:ATK2500

 『まぁ、総攻撃でゲームエンドじゃねぇか?』
 聖火霊魔導師−ヒータ:ATK2700

 『手加減は必要ない…』
 聖闇霊魔導師−ダルク:ATK2800

 「…Ja. 」
 煉獄神 ナハトヴァール:ATK3000



 「初手でレベル8シンクロ3体とかマジかって…なんでんな熱くあるかねぇ?
  まぁ、こんな美人さんと戦えるんなら、さっきの勝ちも価値があるぜ。」
 影虎:LP3700   SC8
 大和神−スサノオ:ATK3500
 大和神−クシナダ:ATK3500



 オーバーレベル8のシンクロが合計6体も並ぶ様は圧巻の一言に尽きる。
 しかも何れもが高い攻撃力、強力な効果を秘めている。

 故に観客も期待する。

 先程のデュエルがなんとも納得の行かない幕切れだっただけによけいだろう。


 「星砕く魔導師が魔法使い族のシンクロに使われた事で効果発動、デッキから『蒼雷の魔導剣士』を手札に加える。
  更に烈火の魔導剣士の効果、魔法使い族のシンクロに使われたとき、エンドフェイズまで私の場のモンスターの攻撃力は500ポイントアップする!」
 聖水霊魔導師−エリア:ATK2500→3000
 聖火霊魔導師−ヒータ:ATK2700→3200
 聖闇霊魔導師−ダルク:ATK2800→3300
 煉獄神 ナハトヴァール:ATK3000→3500


 「これだけじゃ、神の攻撃力には僅かに及ばない…けどヒータの効果!
  ヒータは私の墓地の魔法使い1体に付き攻撃力が300ポイントアップするわ。
  私の墓地の魔法使い族は5体、よって攻撃力は1500ポイントアップ!!」
 『灰にしてやるから覚悟しやがれ紙共ぉぉぉぉ!!!』
 聖火霊魔導師−ヒータ:ATK3200→4700


 一気に大幅パワーアップ。
 魔法使い族ならではのトリッキーな戦術での速攻大量展開&瞬間爆発力は霧恵の十八番にして基本戦術。
 そしてまだ其れは続く。

 「スピードスペル『Sp−エンジェルバトン』。スピードカウンターが2つ以上あるときデッキからカードを2枚ドローしてその後手札を1枚捨てる。
  2枚ドローして、蒼雷の魔導剣士を捨てるわ。此れで更にヒータの攻撃力は300ポイントアップ!」
 聖火霊魔導師−ヒータ:ATK4700→5000


 「攻撃力5000!?ま、マジかよ…」

 いとも簡単に神の力を超えられ影虎は驚愕。
 あまりにも速攻が凄すぎる。

 「カードを2枚セット。…此れで私の手札は0!墓地のインフェルニティ・クィーンの効果をナハトに適応!
  此れでナハトはこのターンダイレクトアタックが出来るようになったわ!……覚悟、良いわよね?」

 一気に戦況を整え、バトル準備は完了。
 総攻撃が決まればゲームエンドだ。

 「バトル!先ずはナハトでダイレクトアタック!『ブルーティガエミッション』!」
 「Blutiger Emission」


 影虎の場に伏せられたカードは無い。
 一見自滅に見えた鬼柳の一手は相手に『何もさせずにターンを強制終了させる』隠れた効果があった。

 だから攻撃を戸惑う事はない。


 ナハトの攻撃力は3500、対して影虎のライフは3700。
 攻撃が通ればライフは風前の灯だ。

 「そうは行かないぜ!手札から『大和獣−ヤタガラス』の効果発動!
  手札からこのカードを捨て、相手モンスターの攻撃を『大和神』に移し変える。攻撃対象をスサノオに変更!
  ただし、この効果で攻撃対象に変更された神の攻撃力は300ポイントダウンする。」
 大和神−スサノオ:ATK3500→3200


 その攻撃に対し、手札誘発系の効果モンスターで対抗。
 神の攻撃力は下がったものの大ダメージは回避した事になる。


 ――ドォォォン!


 「…神を盾に…」


 影虎:LP3700→3400
 「神は蘇るからな!ナンボ倒されても問題にならないぜ〜!」

 「アンタ本気で……ヒータ!」
 『おう!アタシに任せとけ!!』

 神を盾にした影虎に、霧恵は何かを感じ取りヒータで追撃。
 攻撃力が5000にまでなっているヒータの前では神の攻撃力であっても及ばない。

 『燃えろ!『焦熱のイグニッション・バースト』!」


 ――ゴォォォォォ!!


 今度は灼熱の魔法がクシナダをいとも簡単に焼き尽くし、影虎のライフを削る。
 差分ダメージ1500は決して安くないダメージだ。


 「うおっと!!」
 影虎:LP3400→1900


 「ヒータの効果発動!戦闘で相手モンスターを破壊した場合、破壊したモンスターの攻守どちらか高い方を選択してその数値分のダメージを与える。
  クシナダは攻守共に3500…アタシは攻撃力を選択し、3500のダメージを与えるわ!」

 「おぉっと、激しいね美人さん!だが、手札から『大和巫女オトタチバナ』を捨てて効果発動!
  ライフにダメージを与える効果が発動したとき、こいつを手札から捨てる事でその効果を『ライフ回復』に変えるぜ!」
 影虎:LP1900→5400


 又しても手札誘発系のカードで、今度はライフを大幅に回復。
 どうにも戦術が読みきれない部分を持ち合わせている。

 「また手札誘発系のモンスター効果…」
 ――手札誘発系は読まれにくいし、何よりアタシの霊魔導師でも無効に出来ない効果…確かに有効だけど…


 だが、その手札誘発系を連発する戦術に、霧恵は疑問を感じる。
 『幾らなんでもソレに頼ってないか』…と。

 「まだ攻撃は残ってるわ。ダルクで大和の防人を攻撃、『漆黒のダークネス・パニッシュ』!」
 『闇に沈め…!』


 ダルクの一撃で残りの1体を粉砕。
 守備表示ゆえにダメージは無いが、此れで影虎は丸裸…手札も無い。

 「エリア、ダイレクトアタック!」
 『任せて!『清流のクリスタル・ストリーム』!』


 ――バシャァァァァ!!


 エリアのダイレクトアタックで、回復したライフも大幅に削り取る。
 ソレを考えると、先程のライフゲインは中々に見事だったのだろう。

 「うおわぁ!!」
 影虎:LP5400→2400


 「ターンエンド。霊魔導師とナハトの攻撃力は元に戻るわ。」
 聖水霊魔導師−エリア:ATK3000→2500
 聖火霊魔導師−ヒータ:ATK5000→4500
 聖闇霊魔導師−ダルク:ATK3300→2800
 煉獄神 ナハトヴァール:ATK3500→3000


 連続攻撃で、一気にライフを奪い、更に神を超えるモンスターをも従がえた霧恵。
 1体のみとは言っても、4500もの攻撃力を備えたヒータは特に頼りになるだろう。


 「こっちも2体の神が蘇るぜ!舞い戻れスサノオ、クシナダ!」
 大和神−スサノオ:ATK3500
 大和神−クシナダ:ATK3500


 とは言え、神は再び蘇る。
 矢張り簡単には行かない相手であるのは間違いない。

 「そして復活した神の効果発動!!」

 だが…


 ――シ〜〜ン…


 「え?何でだ?何で神の効果が発動しねぇんだよ!」

 「良くフィールドを見てみなさい?」

 「フィールド?…げ、なんだこりゃぁ!!」

 神の効果が発動せず、霧恵に言われてフィールドを再度見てみると神は鎖で縛られている。
 そしてその鎖の先にはダルクの姿が。

 「ダルクの効果よ。ダルクは特殊召喚された相手モンスターの効果を問答無用で無効にする。」

 「く、やるじゃん…俺のターン!!」


 霧恵:SC2→3
 影虎SC8→9


 「いいカードを引いたぜ『Sp−天よりの宝札』発動!スピードカウンターが6つ以上あるとき、手札が6枚になるようにカードをドローするぜ!」

 確かに良いカードだ。
 霧恵のターンで手札誘発系のカードを使ったせいで、影虎の手札は0。
 その状態での手札増強はありがたいだろう。

 「此れで手札も満タン…て、美人さん!何で君までドローしてるの!カード使ったの俺だぜ?」

 「効果をよく読みなさい。天よりの宝札の効果は『互いに手札が6枚になるようにドローする』のよ。
  つまり、私も手札が6枚になるようにドロー出来るの…カード効果くらい理解しなさい。」

 完全なる勘違いに呆れ顔。
 いや、デュエリストであるならば自分のカードの効果くらいは熟知して居なければダメだろう。

 何と言うか『とてもダメな感じ』がひしひしとしてくるようだ。

 「そ、そうだったのかよ……き、気を取り直して『スピードワールド2』の効果!
  スピードカウンターを4つ取り除き、手札のスピードスペルの数×800ポイントのダメージを与える!
  俺の手札のスピードスペルは4枚!よって3200のダメージだ!!」
 影虎:SC9→5


 「く…3200は結構大きいわ…」
 霧恵:LP4000→800


 カード効果で一気にライフを奪われたが、しかし霧恵に焦りはない。
 寧ろ今ので何かを確信したようだ。

 「成程…鬼柳が『デュエリストじゃない』って言うのも納得かな――アンタ…実は碌にデュエルやった事ないでしょ?」

 「うえ!?なな、なに言ってんだよ美人さん!俺は『ダンシングデュエリスト』石沢影虎だぜ?
  デュエルなんて、今までダンスの中で華麗なステップと共に何度でも経験済みだぜ!」

 霧恵の指摘に影虎は異を唱えるが、ソレを逆に首を横に振る形で否定されてしまう。

 「そうじゃなくて『デュエリスト同士の本物のデュエル』の事。
  ダンシングデュエルはあくまでもダンスの中での、言い方は悪いけど『出来レース』のデュエルで勝敗は決まってる。
  フィニッシュまでの筋道も大筋で決まってる、エンタメ的な『魅せる』デュエルでガチじゃないでしょ?」

 「う…それは、まぁ、そうだけどよ…」

 「其の差よ。アンタ、このターン神で決着しようとしたんじゃない?」

 「!!如何して解ったんだ!?」

 戦術を読まれ影虎は驚く。
 だが、ソレはデュエリストであるならば霧恵でなくても気付いたであろう事だ。

 「さっきのスピードワールド2の効果でアンタが手札のスピードスペルをコストとして公開した時にね。
  4枚のうちの1枚…『Sp−ソニック・バスター』を如何して使わなかったの?」

 「え?」

 「ソニック・バスターを使用すれば、神の攻撃力の半分1750ポイントのダメージ。
  其の後でスピードワールド2の効果を使用すれば2400のダメージ。
  合計4150ポイントのダメージでアンタの勝ちだったんだよ?」

 「あ……あーーーー!そう言えば、そうだった〜〜〜!!」

 「気付いた?スピードワールド2のバーン効果は1ターンに1度のみ。
  しかもスピードカウンターは6個未満のためにソニック・バスターはこのターンでは発動できない。
  『神の一撃で倒す』って言う『魅せ方』に拘ったせいでみすみす勝ちを逃したんだよアンタは。」

 そう、明らかな戦術ミスだったのだ。
 スピードワールド2のバーン効果は、登場したばかりの頃はスピードカウンターさえあれば何度でも発動できた。
 しかし、その後あまりにも強力という事で、1ターン1度の発動制限が設けられたのだ。

 それ故に、このターンはもう霧恵のライフをバーンで削る事は不可能。
 残る800ポイントのライフは戦闘で奪うしかないのだ。

 「ライディングデュエルを熟知してる者だったらこんなミスは犯さない。
  それ以前に、本当のデュエルを何度も経験してれば魅せる事よりも『楽しむ事』『勝つ事』を念頭に置くわ。
  でもアンタからはソレがまるっきり感じられない…感じるのは『魅せる事』『目立つ事』だけ。
  手札誘発系カードも、『決まると盛り上がるから』っていう理由で入れてるんじゃないの?」

 「ぐ…」

 言葉に詰まる辺り、如何やら図星のようだ。
 だが、影虎とて此処まで言われて黙っている奴ではない。

 「確かに俺は魅せるデュエルが専門だ…だが、美人さんアンタのライフは残り800!
  神でエリアを攻撃すれば、其の差分ダメージは1000ポイント!其れで俺の勝ちなんだぜ?
  バトルいくぜ!クシナダでエリアに攻撃だ!華麗な妙技に酔いしれな、『幻惑の舞踊』!」



 ――ギュォォォ…



 放たれた念波がエリアを襲う。
 このバトルが成立すれば霧恵の負けだが…


 ――シュゥゥゥ…


 「な、クシナダが!?」

 消えたのはクシナダのほうだった。

 しかも…


 霧恵:LP4300
 影虎:LP1400


 霧恵のライフが大幅に回復し、逆に影虎のライフは減少していた。

 「何で…如何いう事だよ!?」

 「簡単なことよ、攻撃の瞬間にこのカードを発動したわ。トラップカード『霊魔導−反転の呪術−』!
  アタシの霊魔導師が攻撃対象になった時に発動、相手の攻撃モンスターと攻撃対象になった霊魔導師の攻撃力を入れ替える。
  この効果で、エリアの攻撃力は3500になって、逆にクシナダの攻撃力は2500になったのよ。
  更にエリアには戦闘で相手モンスターを破壊した場合、破壊したモンスターの攻守のどちらか高い数値分だけライフを回復する効果がある。
  この効果でクシナダの守備力3500ポイント分のライフを回復させてもらったわ。」

 見事――そうとしか賞し得ないコンボだ。
 攻撃力の逆転カードを使い、連動して霊魔導師の効果によるライフ回復。

 影虎の戦術ミスが有ったからこそ発動できたとは言え、このカウンターは大きい。

 「攻撃力の反転だと…クソ…!」

 「もう1つ、いい事を教えてあげる。
  ダルクは攻撃表示で存在する限り戦闘で破壊されず、更に戦闘を行ったモンスターを除外する力がある。
  与えるダメージはダルクを狙ったほうが大きいけど……さぁ、如何する?」

 更に此処で心理戦を仕掛ける。
 デュエリストの駆け引き――直に経験と場数がモノを言う状況だ。

 「決まってるだろ!除外されたら神は復活できねぇんだ!スサノオでナハトに攻撃『国生みの矛』!」

 「其の判断は悪くないけど、ソレも通さない!トラップ発動『マジックゲート・アンダー3』!
  アタシの場に魔法使いが存在する場合に、相手の攻撃宣言時に発動できる。
  アタシの場のモンスター1体をリリースしてバトルを強制終了し、その後デッキからレベル3以下の魔法使いを特殊召喚する。
  この効果でナハトをリリースしてバトルを終了させるわ!」

 今度はバトルの強制終了と下級魔法使いを展開するカードで対処。
 さっきの攻撃にも使えたカードだが、タイミング的には此方の方が最終的な効果は大きい。

 「ナハトをリリースだと!?」

 「ナハトは確かに強力なモンスターだけど、アタシのデッキはハンドレスじゃないから其の力は存分に発揮できないわ。
  残してくれたから此処まで頑張ってもらったけど、あの子の真価は鬼柳じゃ無きゃ引き出せない。
  アタシの真価は霊魔導師と魔法使い!アンダー3の効果でデッキから『紅の魔導鉄騎』を特殊召喚!」
 『ん?アタシか?』
 紅の魔導鉄騎:ATK1000


 呼び出すはチューナー。
 ナハトには最大限の感謝をしつつ己の得意な状態を作り上げていく。

 「カードを1枚セット。だが、神は蘇るんだ!ターンエンド。」
 大和神−クシナダ


 「エリアの攻撃力も元に戻るわね。」
 聖水霊魔導師−エリア:ATK3500→2500


 「アタシのターン!」


 霧恵:SC3→4
 影虎:SC5→6


 「伏せカード1枚か…ねぇ、1つだけ聞かせて。アンタにとって『デュエル』って何?」

 「は?決まってんだろ、ダンスの1フレーズ!華麗に決める為の1ピース、目立たせて盛りあげる為のものさ!」

 「そう……なら2度とデュエリスト同士の戦いの場に其の顔見せないで。」

 「え?ちょ、美人さん?」

 明らかに『怒っている』のが解る霧恵に影虎は戸惑う。



 …今の影虎の答えで霧恵が最後の一線を越えたのだ。

 「デュエルって言うのはデュエリスト同士の魂のぶつかり合い!其の魂を持たないものが本気の場に出てくるな!
  アンタに見せてあげる……デュエリストの魂ってモノを!チューナーモンスター『盾の魔導獣戦士』を召喚!」
 『力の限り、戦おう…』
 盾の魔導獣戦士:DEF1300


 新たなモンスターの登場と同時に、霧恵の身体から光のオーラがあふれ出す。
 ソレはまるで砕けぬ金剛石の如し。



 「な、なんだありゃ!?クリアマインド…じゃねぇよな?」

 「似ているが違う。クリアマインドを揺るがぬ心とするなら、アレはまるで…」

 チーム遊戯王のピットで遊哉と遊星も驚く。
 鬼柳とシェリーは言うに及ばず、レンも口をあんぐり。
 驚いていないのはソレの正体を知っている3人娘だけだ。

 「霧恵…」

 「やるんだねアレを!」

 「いっけー、霧恵ーーー!!」




 ソレに呼応するように霧恵は目を見開く。
 同時に輝きを増すオーラ。
 エリアもソレに備えて準備は万端だ。

 「行くよ、エリア。」

 『うん!全力で行こう霧恵。』

 「砕け得ぬ我が魂…『ダイヤモンドソウル』!
  レベル8の聖水霊魔導師−エリアに、レベル3の紅の魔導鉄騎と、レベル1の盾の魔導獣戦士をダブルチューニング!」





 「「「「ダブルチューニング!?」」」」





 聞いたことも無い戦術に会場は騒然。
 影虎も驚きを隠せないで居る。


 「大いなる魔導と優しき心が今此処に交わる。砕け得ぬ魂よ、無限の力を我が前に示せ!シンクロ召喚、清き流れ『神水霊魔導師−エリア・ヘカーテ』!」
 『負けないよ…例え神が相手だろうともね。』
 神水霊魔導師−エリア・ヘカーテ:ATK3200


 『なななな、何だ此れは〜〜〜!見たことも聞いたことも無いダブルチューニング!
  マックスレベル12の霊魔導師のシンクロモンスター、一体どんな力を持っているのか〜〜!?』



 現れたのはアリオスの聖なる力とヴェルズの闇の力の両方を宿したエリア。
 其のモンスターレベルは神を超え、今ソレを倒さんと其の身の魔力を迸らせている。

 「え、エリア・ヘカーテ…!」

 「エリア・ヘカーテの攻撃力はアタシの墓地の魔法使いチューナー1体に付き700ポイントアップする。
  アタシの墓地の魔法使いチューナーは5体!攻撃力は3500ポイントアップ!」
 『皆の力を私に貸して…!』
 神水霊魔導師−エリア・ヘカーテ:ATK3200→6700


 「更に墓地の魔法使いが3体増えた事で、ヒータの攻撃力も900ポイントアップ!」
 『アタシの炎を…消せるモンなら消してみやがれ!!』
 聖火霊魔導師−ヒータ:ATK4500→5400


 「こ、攻撃力6700と5400…んな馬鹿な…!」

 恐るべき超攻撃力の展開。
 此れでは神も、まるで格下の存在だ。

 「更に紅の魔導鉄騎が魔法使いのシンクロの素材になった事で効果発動!
  紅の魔導鉄騎は魔法使いシンクロに使用されて墓地に送られた場合、相手フィールド上の魔法・罠カードを1枚破壊する。」

 「な…!クソ…『大和古式錬術』が…!」

 「墓地の罠の効果を発動するカード、か。そして盾の魔導獣戦士の効果!
  盾の魔導獣戦士を素材にした魔法使いのシンクロモンスターは効果では破壊されないわ!」

 「う、嘘だろそんなの…」

 最早どうにもならない。
 1枚だけだったリバースは破壊され、エリア・ヘカーテは効果破壊不能。
 手札に有るのは4枚のスピードスペルとチューナーのみ…攻撃を防ぐ手立てはもう無い。

 「デュエリストの魂を持たぬ者に私の魂は砕けない!ううん、例え誰が相手でもこの魂が砕ける事はない!
  カードを2枚伏せ…終わりよ影虎!デュエリストの魂を其の身に刻むと良いわ!エリア・ヘカーテでスサノオを攻撃!!」
 『此れで終わり…!『激流のダイヤモンド・スプラッシュ』!!』



 ――バシャァァァァァ!!!



 輝く水の魔導がスサノオを撃ち抜き、爆発。
 差分ダメージは3200――終わりだ。

 「うおわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 影虎:LP1400→0



 真髄を知らぬ者の神では以下に強大であろうとも、本物のデュエリストには及ばない。



 セカンドホイーラー同士の対決は、霧恵がデュエリストの魂を見せ付けて勝利を其の手に掴んだのだった。

















   To Be Continued… 






 *登場カード補足




 紅の魔導鉄騎
 レベル3   風属性
 魔法使い族・チューナー
 このカードが魔法使い族のシンクロモンスターのシンクロ召喚に使用されて墓地へ送られた時、
 相手フィールド上の魔法・罠カード1枚を破壊する。
 ATK1000    DEF1000



 盾の魔導獣戦士
 レベル1   地属性
 魔法使い族・チューナー
 このカードを素材にしてシンクロ召喚された魔法使い族のシンクロモンスターは、カード効果では破壊されない。
 ATK500    DEF1300




 大和獣−ヤタガラス
 レベル3   闇属性
 鳥獣族・効果
 相手モンスターの攻撃時にこのカードを手札から捨てて発動できる。
 其のモンスターの攻撃対象を自分フィールド上の「大和神」と名の付くモンスターに変更する。
 この効果で攻撃対象に指定されたモンスターの攻撃力は300ポイントダウンする
 ATK1000    DEF500



 大和巫女オトタチバナ
 レベル2   光属性
 天使族・効果
 「ライフポイントにダメージを与える効果」が発動したとき、このカードを手札から捨てて発動できる。
 其の効果を「ライフを回復する効果」に変える
 ATK0    DEF0



 Sp−天よりの宝札(制限)
 スピードスペル
 自分のスピードカウンターが6つ以上あるときに発動できる。
 互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにデッキからカードをドローする。



 霊魔導−反転の呪術−
 通常罠
 自分のフィールド上の「霊魔導師」と名の付いたモンスターが攻撃対象になった時に発動できる。
 相手の攻撃モンスターと、攻撃対象になった「霊魔導師」と名の付くモンスターの攻撃力を入れ替える。



 マジックゲート・アンダー3
 通常罠
 自分フィールド上に魔法使い族モンスターが表側表示で存在する場合に相手の攻撃宣言時に発動できる。
 自分フィールド上のモンスター1体をリリースして、バトルフェイズを終了する。
 その後デッキからレベル3以下の魔法使い族モンスター1体を選択して自分フィールド上に特殊召喚する。



 大和古式錬術
 通常罠
 自分フィールド上に「大和」と名の付くモンスターが存在する場合に発動できる。
 自分の墓地の罠カード1枚を選択してゲームから除外し、其の効果を発動する。


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