小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 『決まった〜〜〜!前代未聞のダブルチューニング!圧倒的なパワーでの大粉砕!
  2体の神をものともせず、迦神霧恵、見事なまでの完全勝利だ〜〜!!』


 ダブルチューニングによって呼び出した『エリア・ヘカーテ』の一撃でセカンドホイーラー対決は霧恵に軍配。
 だが、チームライディングでは未だ処理すべき効果は残っている。

 「エリア・ヘカーテは攻撃したとき、ダメージステップ終了後にアタシのライフを1000ポイント回復してくれる。」
 『それ、ファイト一発!』
 霧恵:LP4300→5300


 「ライフゲインかよ…!神は破壊されても復活する。戻れスサノオ!」
 大和神−スサノオ:ATK3500


 残った効果処理は此れで終了。
 ライフを5300まで増やした霧恵。

 神は再び蘇るも、その効果はダルクによって封じられている。


 影虎が倒され、チームYAMATOに残るのはラストホイーラー『天津撫子』。
 チームリーダーにして3体目の神を操る少女だった。











 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel57
 『3体目、ソレは最強神』











 「すまねぇ撫子ちゃん。大口叩いたくせに何も出来なかった…させてもらえなかった…!」

 チームピットに戻った影虎は、この上なく悔しそうに呟きながら撫子が直ぐ出られるようにピット作業を手伝う。
 その顔に浮かぶのは紛れも無い悔しさと、敗北感。

 1人には『戦う価値が無い』と言われて勝ちを譲られ、もう1人には何も出来ずに完敗。
 味わった事の無い感覚だった。

 「なに、気にするでない影虎。ワシが残り2人を倒せば良いだけのことじゃ…よく見て居れよ?」

 「おう!確り見させて貰うぜ撫子ちゃん!」
 「無理はなさりませぬよう…」

 「無論。神の真なる力、彼奴等に見せてくれよう。」

 先に敗れた2人の期待を背負い、撫子はピットを飛び出しフィールドに。


 すぐさまエンジンを全開にして先行する霧恵を追う。
 中々の好スピード、相当に手入れがされているマシンらしい。


 「しかし…神をこうも容易く倒すとは…」
 ――こやつ等もまた我等同様に『特別なカード』に選ばれた存在なのかのう?


 そんな中で撫子は改めて、相手である『チーム遊戯王』の事を考える。

 相手は予選から圧倒的な強さで勝ち上がってきた。
 特に予選の最終戦などは圧倒的実力での3人抜きまでやってのけた。


 そして昨日の決勝トーナメント1回戦でも未知の『アクセルシンクロ』を使った遊星。
 たった今『ダブルチューニング』を見せた目の前の霧恵。

 如何考えても並みの集団ではない。
 もっと言うならば、ファーストホイーラーの鬼柳もライフ0で戦い続けると言う反則技を見せてくれた。


 「どうやら認識を改めなければいかぬ様じゃ。なれば、尚の事神の力で屈服させねばなるまい!」

 一気に加速力が上昇し、霧恵に並ぶ。
 霧恵のソレを確認し、抜かれまいとスピードアップ。
 デッドヒートの状態になってきた。


 『さぁ、チームYAMATOはラストホイーラー天津撫子の登場だ〜〜〜!
  最終ホイーラーにしてチームリーダー、そして3体目の『神』を持つデュエリスト、既に2体の神を従えどう戦う!!
  対する迦神霧恵のフィールドには神すら超えた攻撃力の霊魔導師が2体と効果無効能力の闇の霊魔導師が1体!
  迦神霧恵がこのままチームを勝利へ導くのか?それとも天津撫子がラストホイーラーを引きずり出すのか!?
  まったく目が離せないこのデュエル!!観客諸君もテンションは充分か〜〜!!!
  では行くぞ〜〜!迦神霧恵vs天津撫子、デュエル……スタ〜〜トォ!!』



 「「デュエル!!」」


 霧恵:LP5300   SC4
 撫子:LP4000   SC6


 「ワシのターン!ふむ、迦神霧恵よどうやらワシのデッキは主等とガチンコで戦いたいようじゃ、加減はせぬぞ?」

 「上等よ。それ以前にアンタは少なくともデュエリストなんでしょうね?」

 本気勝負を望む撫子に、上等だと言いつつも霧恵は矢張り気になる。
 さっき倒した影虎があまりにもデュエリストとは呼べない男だっただけに、撫子は如何なのかと思ったのだ。

 無論そんなものは霧恵――基、遊哉や遊星チーム遊戯王の面子も見れば分る。
 性格的に如何で有れ、デュエリストのオーラは直接魂に響くものなのだ。

 「無論じゃ。ワシはデュエリストよ、そう、神に選ばれたデュエリスト!
  2体の神を前に、恐れる事も無く正面から戦いを挑んだ姿勢は見事よ、だが真なる神にはソレも通じないと知れ。」

 「神に…か。良いわ、本気で来なさい!その力…受けてあげるわ!」

 並走しながら互いに吠える。

 「行くぞ!ワシのフィールドに『大和神』と名の付くモンスターが2体以上存在するとき、手札の『大和獣−水釧』を特殊召喚出来るのじゃ!」
 大和獣−水釧:ATK1700


 「そして水釧は特殊召喚に成功した時、手札からレベル4以下の『大和』を特殊召喚出来る。
  ワシはこの効果で、手札から『大和獣−雷鉱』を特殊召喚じゃ。」
 大和獣−雷鉱:ATK1500


 「未だじゃ、雷鉱は特殊召喚に成功した時、デッキからレベル2以下の『大和』を特殊召喚出来る。
  神の鼓動は止まらぬ…ワシはデッキからレベル2のチューナーモンスター『大和姫・ウズメ』を特殊召喚!」
 大和姫・ウズメ:ATK200


 凄まじい速攻展開だ。
 しかも此れで揃えたのはチューナーを含めてのレベル合計10になるモンスター。

 ソレはつまり3体目の神の降臨を意味するものだ。


 「レベル合計10…3体目の神…!」

 「その通りじゃ、この神を呼び出すのは随分と久しぶりの事じゃが…見るが良い『最強神』の姿を!
  レベル4の水釧と雷鉱に、レベル2のウズメをチューニング!
  日ノ本を、世界を照らす原書の神よ、金色の光で今こそ導け…!シンクロ召喚、現れよ最高神『大和聖神−天照』!」
 「こぉぉぉぉぉぉ…!」
 大和聖神−天照:ATK4000


 現れたのは金色の衣を纏った女神。
 衣同様の金の光を放つその姿はまるで『太陽』。

 最高神と言うだけあって、先の2体の神とはまるでその存在感と威圧感が違う。

 「天照――最高・最強の太陽神…此れは簡単には行きそうにないわ…」

 『はっ!太陽が相手?上等だぜ!アタシの炎とどっちが熱いか確かめてやる。』
 『それに、どんな効果を持っていてもレベル5以上の特殊召喚モンスターだから、ダル君の力で効果は無効!』

 ヒータとエリアも、3体の神を相手取って尚強気でやる気だ。
 口にこそ出さないが、ダルクもまた然りと言ったところだ。


 だが、神の効果が無効にされるなど、先ほどのデュエルを見ていた撫子とて分りきっている。
 その上で神を呼び出したというのだから何か『手』があるのだろう。

 「ワシのフィールドに『大和神−スサノオ』と『大和神−クシナダ』が存在しておる時、天照の効果は無効にならぬ。
  特殊召喚モンスターの効果を封じる闇の霊魔導師は厄介じゃが、此れならば如何とでもなるのう?」

 「ダルクの効果を…?でも、此れくらいじゃなきゃデュエルは楽しくない!」

 3体の神を前にして、しかし霧恵に恐れはない。
 立ち塞がるならば倒すだけなのだろう。

 「何処までも吠えるか。ならば屈服するが良い、神の力の前にの!
  天照の効果発動じゃ!1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分のライフを得る!
  普通ならば最強のエリア・ヘカーテを狙うところじゃが、ソレは効果耐性を得ていたな?
  ならば狙うは闇の霊魔導師、ダルクを破壊じゃ!」

 天照から放たれた直射光線。
 効果が成立すれば他の2体の神の力も復活し、一気に今度は霧恵のほうが厳しくなるのは間違いない。


 勿論霧恵も只でソレを通しはしない。


 「そうは行かないわ!トラップ発動『幻想の合わせ鏡』!
  アタシの場のモンスターが効果対称になった時、その対象をアタシのフィールドの魔法使い族モンスターに移し変える。
  この効果で天照の効果対象をエリア・ヘカーテに変更!そしてエリア・ヘカーテは盾の魔導獣戦士の効果で効果耐性を得てる!」
 『うん、全然平気。』

 トラップで効果対象を変更し、実質神の効果を不発に終わらせる。

 「此れで神の効果はもう使えない。戦闘でも標的に出来るのはダルクよね?
  けど、ダルクは戦闘を行った相手モンスターを異次元へ引きずりこむ力がある――さて、如何する?」

 此処で再び心理戦を仕掛ける。
 ダルクに攻撃すれば合計で1400のダメージを与える事が可能だが、ソレをやったら神は除外される。

 「ふむ…ソレは困るのう?ならばワシはカードを4枚伏せてターンエンドじゃ。」

 だが、その心理戦を巧くかわしてのターンエンド。
 軽い揺さぶりは受け流すくらいの胆力は備わっているらしい。

 「…冷静さは崩さないか。尤も今程度の揺さぶりで動揺されたんじゃ困るけど…」


 初手は共に大きな動きは無し。
 だが、撫子も神を呼びセットカードも用意して準備は万端。

 「アタシのターン!」

 この霧恵のターンからが本番だろう。



 霧恵:SC4→5
 撫子:SC6→7



 ――天照の効果は無効に出来ない上にアタシのモンスターを破壊して自身を回復できる効果。
    そして恐らくは他の2体同様の自己蘇生も持ってる筈――なら!
 「手札からスピードスペル『Sp−光速練成・力』を発動。
  スピードカウンターが5個以上あるときアタシのフィールドの魔法使い族モンスター1体の攻撃力を、
  エンドフェイズまで相手フィールド上の最も攻撃力の高いモンスターの攻撃力と同じにする。
  この効果でダルクの攻撃力を、このターンのみ天照と同じ4000にするわ!」
 『良い効果だな、攻撃力が同じは俺にとっては最強の状態だ。』
 聖闇霊魔導師−ダルク:ATK2800→4000


 「ほう、神と同等か。そ奴は攻撃表示である時戦闘では破壊されないのだったな?
  ソレで神を攻撃し、あまつさえ除外する気か――悪い1手では無いのう?
  じゃがそうは問屋が降ろさぬわ!トラップ発動『大和神宝−ヤタノカガミ』!
  ワシの場に神が2体以上居る場合に発動可能、相手のバトルフェイズをスキップじゃ!」

 「バトルフェイズのスキップ!?…やってくれるわ。」

 神の除去を狙った霧恵に対しバトルフェイズのスキップでソレを阻止。
 どうやら撫子は先の2人とは到底比べ物にならないほどの実力の持ち主のようだ。

 「攻撃できないんじゃ仕方ない、か。カードを2枚伏せてターンエンド。」
 『俺の一撃は食らわせられなかったか…残念。』
 聖闇霊魔導師−ダルク:ATK4000→2800


 「ワシのターン!」


 霧恵:SC5→6
 撫子:SC7→8


 「ふむ、手札1枚では心許無い。『スピードワールド2』の効果発動じゃ、スピードカウンターを7つ取り除いてカードを1枚ドロー。
  うむ、まぁまぁか…行くぞ、天照の効果発動!対象は今度もまたダルクじゃ!」

 再度の神の効果で放たれる直射光線。

 「ソレも通さない!トラップ発動『シンクロ・デモリション』!
  ダルクをエクストラデッキに戻し、墓地から『THE トリッキー』と『祝福の魔導騎』を特殊召喚するわ。
  此れで墓地の魔法使いとチューナーが減った事で、エリア・ヘカーテとヒータの攻撃力もダウンする…」
 神水霊魔導師−エリア・ヘカーテ:ATK6700→6000
 聖火霊魔導師−ヒータ:ATK5400→4800
 THE トリッキー:DEF1200
 祝福の魔導騎:DEF1000


 しかし又も効果は不発。
 だが、今度はダルクもまたフィールドから姿を消した。

 つまり神の効果が復活した事になる。

 「ワシのライフを増やしたくは無かったか?だが、これでスサノオ、クシナダ、2体の神の力も有効よ!
  スサノオの効果発動じゃ、手札1枚を捨て相手モンスターを全滅させる!消え去れい!」


 ――ドガァァァン!!


 続くスサノオの全体破壊効果。
 効果耐性を得ているエリア・ヘカーテ以外のモンスターが全て破壊されるが、


 「そう簡単にはやられないわよ?」
 『そー言う事!…なんか不思議な感じ…』
 聖水霊魔導師−エリア:DEF2500


 エリアがフィールドに。
 ダブルチューニングの力を受けていない通常の状態のだ。

 「聖火霊魔導師−ヒータが破壊された時、墓地の聖水霊魔導師−エリアを特殊召喚できる。
  霊魔導師達の繋がりは、そう簡単には断ち切れないわ。
  それに、墓地の魔法使いチューナーが増えた事で、エリア・ヘカーテの攻撃力は再度6700になる!」
 『確かに不思議な感じ…意識は別なんだ。』
 神水霊魔導師−エリア・ヘカーテ:ATK6000→6700


 「成程の…じゃが、スサノオは自身の効果で破壊したモンスター×500ポイント攻撃力がアップ。
  スサノオが破壊したのは3体じゃ、よって攻撃力は1500ポイントアップじゃ!」
 「オォォォォォォォォ!!」
 大和神−スサノオ:ATK3500→5000


 此処で攻撃力5000。
 エリア・ヘカーテには及ばないものの、相当に強力である事は確かだ。

 「バトルじゃ!大和神−クシナダよ、聖水霊魔導師−エリアを攻撃じゃ!『幻惑の舞踏』!」

 「エリアを破壊して、効果でエリア・ヘカーテを除外するつもり?そうはいかないわ、エリア・ヘカーテの効果発動!」
 『結界水晶!』

 攻撃に対して発動したエリア・ヘカーテの効果。
 その姿を掻き消しながら、水の防壁を張りクシナダの攻撃をシャットアウトだ。

 「エリア・ヘカーテは相手ターンに1度、ゲームから除外できる。
  そしてこの効果を使った場合、相手モンスター1体の攻撃を無効にするわ。」

 「ほう、攻撃無効化能力とは…じゃが、此れで2体の神の攻撃を止める手立ては無い!
  天照でエリアを攻撃!そしてこの瞬間に効果発動、天照が守備モンスターを攻撃するとき、そのモンスターは攻撃表示となる!」

 「何ですって!?」
 『わっ、身体が勝手に…!』
 聖水霊魔導師−エリア:DEF2500→ATK2500


 2度目は最高神からの攻撃。
 その力でエリアは否応無しに攻撃体勢をとるが、攻撃力には大きな差が有る。

 「滅せい、『陽光葬送』!」


 ――ガァァン!!


 『きゃぁぁぁぁぁぁ!!』
 「うあぁぁぁっぁ!!」
 霧恵:LP5300→3800


 マダマダ余裕があるとは言え、ライフが大きく削られる。
 だが、霊魔導師の絆は強い。

 「くっ…でもエリアが破壊された時、墓地からヒータが舞い戻る…お願い!」
 『おっしゃっ!アタシに任せとけ!』
 聖火霊魔導師−ヒータ:ATK2700→5400


 舞い戻ったヒータの攻撃力は5400。
 強化されたスサノオを400ポイントだが上回っている。

 「転んでも只では起きぬか…心底見事なものよ。
  じゃがトラップ発動『大和神宝−クサナギノツルギ』『大和神宝−ヤサカニノマガタマ』!」

 「クサナギノツルギとヤサカニノマガタマ…?…ヒータ!?」
 『クソ…な、何だ?力が…入らないぜ?』
 聖火霊魔導師−ヒータ:ATK5400→2700


 だが、撫子が発動した2枚のトラップ。
 どちらかの影響でヒータの効果が無効にされてしまったらしい。

 「ヤサカニノマガタマは『大和神』が存在する場合に発動できるカードの1枚じゃ。
  その効果は相手モンスター1体の効果を無効にし、神の攻撃宣言時の魔法及び罠の封殺じゃ!」

 「効果無効…!」

 効果が無効になっては、攻撃力は神よりも低くなってしまう。
 しかも攻撃表示で呼び出したために、戦闘ダメージは免れない。
 更に、神の攻撃に対しての魔法・罠の封殺…大ダメージは確実だ。

 「神の前にひれ伏せ!大和神−スサノオで聖火霊魔導師−ヒータに攻撃!『国生みの矛』!」


 ――ザバシュゥゥゥ!!


 『う…わぁぁぁぁ!!』
 「やぁぁぁぁぁぁ!!!」
 霧恵:LP3800→1100


 差分ダメージ2700は決して安くない。
 5300も有ったライフはあっという間にセーフティラインギリギリに。

 「やってくれるわね…!けどヒータの効果でエリアが再び蘇るわ!」
 『過労死伝説には未だ遠い…!』
 聖水霊魔導師−エリア:DEF2500


 「ソレは分っておる!じゃが、ワシが発動したもう1枚のカードを忘れてはおらぬじゃろうな?
  クサナギノツルギの効果、神が戦闘でモンスターを破壊した場合、相手ライフに神の攻撃力分のダメージを与える!」

 「そんな…!神の攻撃力…此処で5000ポイントのバーンダメージですって!?」

 発動したもう1枚のカードの効果は極大の直焼き。
 スサノオの攻撃力は5000、対して霧恵のライフは1100――ジ・エンドだ。



 ――ゴバァァァァ!



 「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 霧恵:LP1100→0



 『此処で決まった〜〜!見ごたえのある攻防を制したのは天津撫子!!神の面目を保ったか〜〜!?
  だが、まだ効果の発動が残っている!次に如何繋ぐ迦神霧恵!そして如何に防ぐ天津撫子〜〜!!』


 霧恵のライフが0になり、デュエルそのものは勝負が付いた。
 だが、ルールで許されている効果の発動は可能ゆえ本質的には未だ終わっていない。

 「トラップ発動『同調の下準備』!
  自分の墓地のシンクロモンスター1体をゲームから除外し、デッキからチューナーと非チューナーを1体ずつ特殊召喚する。
  アタシは墓地の聖火霊魔導師−ヒータを除外して、デッキから『闇総べる魔導王』と『次元魔導師ガイツ』を特殊召喚!」
 『ほう…我と行くか?』
 闇総べる魔導王:DEF900
 次元魔導師ガイツ:DEF1500


 負けてもそれでは終わらない。
 次に繋げる為にフィールドは整えておくのだ。

 「更にエンドフェイズ、自身の効果で除外されたエリア・ヘカーテが舞い戻る!」

 「そうは問屋が降ろさぬわ!トラップ発動『次元世界の併合』!
  互いのプレイヤーはゲームから除外されているカードを全てデッキに戻す!
  この効果でエリア・ヘカーテはデッキに戻り、自己帰還効果は不発よ!!」

 「な!?…エリア・ヘカーテの効果を読んでたの!?」
 ――凄い洞察力…本物のデュエリストである事は間違いないわ…。


 先の先まで見越しての戦い方に、霧恵は素直に感心していた。


 が、同時に疑問も感じていた。


 ――此れだけの力を持っていながら、如何して『神』を妄信してるの?この腕があれば神に頼らなくても…



 「見たか、此れが神の力じゃ!…ワシは負けられんのじゃ!神を従えし者は常勝不敗でなくてはならぬ!
  ことチームデュエルならば最終的に相手を全て倒したものが勝ち!ワシが全て勝てばソレはワシ等の勝ち!
  総一郎と影虎が例え敗れようとも、ワシが取り返せば神を従えし者が負けたことにはならぬ!!」

 「…!撫子、アンタ…!!」

 その疑問は、撫子の今の一言で氷解したようだ。

 「その異常なまでの不敗への思い…アンタまさか…」




 ――神に…捕らわれているって言うの?




 あくまで仮説。


 だが其れは『デュエリスト』として、決して有ってはならない事だった…

















   To Be Continued… 






 *登場カード補足





 大和聖神−天照
 レベル10   神属性
 天使族・シンクロ/効果
 「大和」と名の付くチューナー+チューナー以外のモンスター2体以上
 自分フィールド上に「大和神−スサノオ」と「大和神−クシナダ」が表側表示で存在する限り、このカードの効果は無効にならない。
 1ターンに1度、自分のターンのメインフェイズに発動できる。相手フィールド上のモンスター1体を破壊する。
 その後、この効果で破壊したモンスターの攻撃力分、自分のライフポイントを回復する。
 このカードが守備表示モンスターを攻撃するとき、攻撃対象になったモンスターは表側攻撃表示になる。(リバース効果は発動しない。)
 このカードは破壊され墓地に送られたターンのエンドフェイズに特殊召喚される。
 この効果で特殊召喚した場合、自分はデッキからカードを2枚ドローできる。
 ATK4000    DEF4000



 大和獣−水釧
 レベル4   水属性
 獣族・効果
 自分フィールド上に「大和神」と名の付くモンスターが2体以上表側表示で存在する時、このカードは手札から特殊召喚出来る。
 このカードの特殊召喚に成功した時、手札からレベル4以下の「大和」と名の付いたモンスターを特殊召喚出来る。
 ATK1700    DEF1900



 大和獣−雷鉱
 レベル4   光属性
 獣族・効果
 このカードの特殊召喚に成功した時、デッキからレベル2以下の「大和」と名の付くモンスターを特殊召喚出来る。
 ATK1500    DEF1300



 大和姫ウズメ
 レベル2   風属性
 魔法使い族・チューナー
 自分フィールド上に「大和」の名の付くモンスターが表側表示で存在する場合、墓地のこのカードを特殊召喚出来る。
 この効果で特殊召召喚したこのカードは、フィールドを離れる時ゲームから除外される。
 ATK200    DEF200



 Sp−光速練成・力
 スピードスペル
 自分のスピードカウンターが5つ以上あるときに自分フィールド上の魔法使い族モンスター1体を選択して発動する。
 選択したモンスターの攻撃力は、エンドフェイズまで相手フィールド上の最も攻撃力の高いモンスターの攻撃力と同じになる。



 大和神宝ーヤタノカガミ
 通常罠
 自分のフィールド上に「大和神」と名の付いたモンスターが2体以上表側表示で存在する時に発動できる。
 相手のバトルフェイズをスキップする。



 大和神宝−ヤサカニノマガタマ
 通常罠
 自分フィールド上に「大和神」と名の付くモンスターが表側表示で存在する場合に発動できる。
 相手フィールド上のモンスター1体を選択し、そのモンスターの効果を無効にする。
 このカードを発動したターン、相手は「大和神」と名の付くモンスターの攻撃に対して魔法・罠カードを発動できない。



 大和神宝−クサナギノツルギ
 通常罠
 自分フィールド上に「大和神」と名の付くモンスターが表側表示で存在する場合に発動できる。
 このターン、自分フィールド上の「大和神」と名の付くモンスターが、戦闘で相手モンスターを破壊した場合
 相手のライフに、「大和神」と名の付いたモンスターの攻撃力分のダメージを与える。



 同調の下準備
 通常罠
 自分の墓地のシンクロモンスター1体をゲームから除外する。
 自分のデッキからチューナーとチューナー以外のモンスターを1体ずつ特殊召喚する。



 次元世界の併合
 通常罠
 互いのプレイヤーはゲームから除外されているカードを全てデッキに戻す。



 幻惑の合わせ鏡
 カウンター罠
 自分フィールド上のモンスターがカード効果の対象になった場合に発動できる。
 その効果の対象を自分フィールド上の魔法使い族モンスターに変更する。

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