小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

 『ファーストデュエルを制したのはチーム遊戯王の迦神霧恵〜〜!しかもパーフェクト勝利だ〜〜!
  チームEXALは早くもセカンドホイーラーのフレディ・ゴーンが参上〜〜!
  だが、今日はこの前以上に気持ちが悪いぞフレディ・ゴーン!頭の中身は大丈夫か〜〜!!』


 WRG1決勝戦のファーストデュエルは霧恵が機皇帝を完全封殺する形で勝利を収めた。
 尤もチームEXALにはファーストデュエル敗北を前提とした思惑があるようなのでなんともいえない部分がある。

 しかしながらエリア・ヘカーテとアウスを従えた霧恵にアドバンテージがあるのは確かだろう。


 「お〜〜ほっほっほ!ひねり潰してやるわよ小娘〜!アンタを叩きのめして遊星ちゃんを引きずり出すのよ〜〜!」

 「…成程、実際に対峙すると遊哉が『ぶっ殺す』って言うのも納得だわ…この腐れ脳。」

 しかしながら、セカンドホイーラーのディックは変態全開状態。
 身体にジャストフィットしている袖なしの銀の全身タイツだけでもドン引きだ。

 「ぐふ。ぐふふふふ…待っててね遊星ちゅわ〜〜ん!」

 瞬間、会場の照明が数個吹っ飛んだのは仕方が無いだろう…











 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel63
 『大暴走の大変態』











 「…照明が。まぁブラック・ローズが来なかっただけまだましかな?」

 吹っ飛んだ照明を見た霧恵は即座に原因を看破。
 アキのサイコパワーが炸裂した事を確信していた。

 「気持ちは分るけどね。」
 『腐女子には良い素材なのかな?』
 『一切ノーコメントですね其れは。』

 エリアとアウスも中々だ。

 「ぐふふふ…さぁ、始めるわよ小娘!女に興味は無いのよ!」

 そして変態は変態のままだった。

 「遊星に回すよりも、アタシで倒したほうが良いよね多分…ふぅ、行こうかな!来なさい変態が!」

 「良い褒め言葉だわ!行くわよ!」


 「「デュエル!!」」


 霧恵:LP6000  SC5
 フレディ:LP4000  SC5



 ともあれセカンドライディングが開始。
 ルールの都合で先攻はフレディから。

 「私のターン!『ゼルス・コア』を召喚よ♪」
 ゼルス・コア:DEF0


 行き成り機皇帝を呼び出すためのコアを召喚。
 矢張り狙いは機皇帝なのだろう。

 「スピードスペル『Sp−ブラックホール』を発動よ!スピードカウンターが5個以上あるときフィールド上のモンスターを全て破壊するわ!」

 最強クラスのモンスター破壊カード。
 霧恵のモンスターを除去しつつ機皇帝を展開する気なのだろう。

 だが、霧恵の従える地の霊魔導師と、最強進化した水の霊魔導師は並大抵ではない。

 「エリア・ヘカーテの効果!相手ターンに1度、ゲームから除外できる。
  この効果でブラックホールからエスケープし、更にアウスは1ターンに1度だけ相手のカード効果を受けない!」

 圧倒的ともいえる効果でブラックホールをかわす。
 尤もフレディの目論みは達成されるのだが。

 「逃げたわね小娘。でもゼルスコアが破壊されたことで、その効果発動よ!
  ゼルスコアがカード効果で破壊されたとき、デッキか手札から『機皇帝ゼリエル∞』!」
 機皇帝ゼリエル∞:ATK0

 「『ゼリエルT』」
 ゼリエルT:ATK600

 「『ゼリエルA』」
 ゼリエルA:ATK1400

 「『ゼリエルG』」
 ゼリエルG:DEF800

 「『ゼリエルC』を特殊召喚するわよ〜♪」
 ゼリエルC:ATK700


 あっという間にモンスターゾーンが満杯に。
 機皇帝の展開力も馬鹿に出来ない部分がある。

 「機皇帝……」

 「おほほほほ!その通りよ!ゼリエルちゃん、合体しちゃいなさ〜〜い!」

 現れたパーツが機皇帝を中心に変形合体。
 あっという間に獅子を思わせる四足の大型ロボットの完成だ。


 「どう、少しは驚いたかしら小娘!」
 機皇帝ゼリエル:ATK3000


 「は?アタシのチームには1人で13万オーバーの攻撃力叩き出すほどの攻撃力馬鹿が居るのよ?今更攻撃力3000程度じゃ驚かないわ。」

 舌戦も激しいものがある。
 こっちは如何見ても霧恵の方に分が有るが。

 「き〜〜!口の減らない小娘ね!いいわ、ゼリエルちゃんの効果発動しちゃうから!
  1ターンに1度相手のシンクロモンスターを吸収よ!地の霊魔導師はもう効果を無効に出来ないわよね?」

 ゼリエルの胴体パーツから光の縄が伸び、アウスを捕獲せんとする。
 ブラックホールを防いだ事でアウスはこのターンはもう効果をかわせない。

 「確かにアウスはこのターンはもう効果を弾く事はできないけど…果たして巧く行くかしら!?」

 光の縄がアウスを捉える正にその瞬間、


 ――シュンッ!


 突然アウスの姿が掻き消えた。
 そして変わりに3つの箱がフィールド上に現れたのだ。

 「な、何ですって!?」

 「アタシを誰だと思ってるの?『霊魔導使いの霧恵』…トリック、イリュージョン――幻惑戦術はアタシの十八番。
  アウスが消えたトリックの正体は此れよ、トラップカード『シンクロトリック−ミラージュボックス』!
  アタシの場の魔法使い族のシンクロモンスターが攻撃対象及び効果対称になった時に発動できる。
  デッキからモンスター以外のカード2枚を選択し攻撃または効果対象になったモンスターと共にシャッフルしフィールドに裏側守備表示で置く。
  そして相手は3体の守備表示モンスターに対して改めて攻撃宣言、または効果発動をする事になるわ。」

 機皇帝の効果を巧く避けた。
 ゼリエルは再度効果発動が出来るが其れは無駄だ。
 裏表示の為に、シンクロモンスターかどうかが不明ゆえ機皇帝の効果は使えないのだ。

 「むき〜〜〜!小賢しい小娘ね!!此れじゃあどうしようもないじゃないの!カードを1枚伏せてターンエンドよ!!」

 「エンドフェイズ、ボックスは破壊されアウスは攻撃表示で表になる。」
 『箱の中は、矢張り狭いものですね…。』
 聖地霊魔導師−アウス:ATK2300


 「そして破壊された2枚の非モンスターカードの1枚トラップカード『ダブルトリック』の効果。
  伏せ状態のこのカードが破壊されたときカードを1枚ドロー出来る。更にもう1枚、トラップカード『スピードイリュージョン』の効果。
  伏せ状態のこのカードがフィールドから墓地に送られた時、アタシのスピードカウンターを2つ増やす。」
 霧恵:SC5→7


 「更に、除外されたエリアも戻ってくる。よろしくね?」
 『OK、任せて!』
 神水霊魔導師−エリア・ヘカーテ:ATK6000


 まるで魔術を見ているかの様な、華麗な戦術だ。
 機皇帝の効果をかわし、更に手札増強とスピードカウンターの増加。
 魔法使い族を知り尽くした霧恵ならではの見事なまでのトリックタクティクスだ。


 『なんと〜〜!実に見事な戦術!まるでイリュージョンを見ているかのようだ〜〜〜!!
  だが、機皇帝はパーツの効果も侮れない!どんなデュエルが展開されていく〜〜〜!?』


 MCの実況にも俄然熱が入る。
 観客のテンションと歓声もまた然りだ。


 「アタシのターン!」


 霧恵:SC7→8
 フレディ:SC5→6



 ――状況的にはアタシが有利。でも、機皇帝の効果の事を考えるとこれ以上はシンクロしない方が無難ね…


 状況的には有利でも決して慢心せず、冷静に戦況を見極める。
 確かに機皇帝に対して相当に強い布陣を敷いているが、だからと言って新たなシンクロは自分の首を絞めかねない。
 ならばこの状況を保ちつつ戦うのがベストだろう。

 「アタシはチューナモンスター『不屈の魔導少女』を守備表示で召喚。」
 『全力全壊!行くよ!』
 「All right.」
 不屈の魔導少女:DEF1500


 白い衣に身を包んだ少女が現れ、エリアとアウスに光が注がれる。

 「不屈の魔導少女が表側で存在する限り、アタシの場の魔法使族のシンクロモンスターは全て攻撃力が500ポイントアップする!」
 神水霊魔導師−エリア・ヘカーテ:ATK6000→6500
 聖地霊魔導師−アウス:ATK2300→2800


 その一手としての霊魔導師全体強化。
 霊魔導師自身の効果もある上に、このステータスの上昇は強力だ。

 「…お客さんもあんましアンタみたいのは視界に入れておきたくは無いだろうから即刻終わらせるわ!
  エリア・ヘカーテの効果発動!相手フィールド上のモンスターの効果を全て無効にする!」
 『それ、分解!』



 機皇帝ゼリエル:ATK3000
        ↓
 機皇帝ゼリエル∞:ATK0
 ゼリエルT:ATK600
 ゼリエルA:ATK1400
 ゼリエルG:DEF800
 ゼリエルC:ATK700



 先程倒したディックも含め、都合3度目の機皇帝分離。
 エリア・ヘカーテのもつモンスター効果無効能力は機皇帝への効果は抜群。
 又しても一撃で勝負がつく状況になる。


 「バトル!エリア・ヘカーテで、機皇帝ゼリエル∞に攻撃!『激流のダイヤモンド・スプラッシュ』!」

 迷わず霧恵はバトルを仕掛ける。
 決まれば霧恵の2連勝だが…

 「そうはいかないわよ小娘!カウンタートラップ『攻撃の無力化』!此れでバトルは終了よ!!」

 矢張り早々簡単には行かせてくれない。
 だが、このバトル終了に苦い顔をしているのは霧恵以上にチームEXALのメンバーだ。



 「うむぅ…いざと言う時の為に伏せておいたのだが…」

 「目的を忘れてるのか変態が…!」

 どうやら今のは『喰らう』のが戦術としては正しかったらしい。
 すぐさまDホイールの通信機能を使い、嗜めようとするが、


 ――プーーーーーッ……


 通信機能は『オフ』にされていた。

 「あのど変態…戻ってきたらボッコ決定だな…」





 其れはさておきデュエルは続行される。
 バトルが終了してはできる事は少ない。

 「攻撃を防ぐ…ね。カードを1枚伏せてターンエンド。」

 「ゼリエルちゃんは再度1体になるわよ〜〜♪」
 機皇帝ゼリエル∞:ATK0
 ゼリエルT:ATK600
 ゼリエルA:ATK1400
 ゼリエルG:DEF800
 ゼリエルC:ATK700
        ↓
 機皇帝ゼリエル:ATK3000



 「私のターンよ!」


 霧恵:SC8→9
 フレディ:SC6→7


 「手札からスピードスペル『Sp−アースクラック』を発動!
  スピードカウンターが4個以上あるとき、相手フィールドのモンスター1体を破壊するわ!この効果の対象はアウスよ!」

 「まぁ、そう来るわよね…アウスは1ターンに1度相手のカード効果を受けないんだから。」

 アウスの防御で破壊効果は無効にされるが、フレディの狙いはあくまで機皇帝の効果。
 其れを阻害させない為に先にアウスに対しての効果を発動したのだ。

 「そう、1ターンに1度なのよねその効果〜?なら此れで機皇帝の効果はかわせないわ!
  機皇帝ゼリエルの効果発動!アウスを吸収するわよ!」

 「アウスの効果を読んだ上での戦術は褒めてあげる。けど甘い!トラップ発動『シンクロ・デモリション』。
  フィールド上のシンクロモンスター1体をエクストラデッキに戻し、墓地から素材モンスターを呼び出す。
  アウスをエクストラに戻して、墓地から『次元魔導師ガイツ』とチューナーモンスター『星砕く魔導師』を呼び出すわ。」
 『一時戻るね…』
 聖地霊魔導師−アウス:ATK2800
        ↓
 星砕く魔導師:DEF1300
 次元魔導師ガイツ:DEF1900


 だが、又しても機皇帝の効果はかわされる。
 読み合いでも霧恵は相当に強い。

 「またかわしたわね〜〜!!き〜〜!目に物見せてやるわ小娘!スピードスペル『Sp−バスター?』!
  私のスピードカウンターが5個以上あるとき、このターン私のフィールドのレベル1モンスターはダイレクトアタックできる!
  攻撃力は3000も有るけど、ゼリエルちゃんのレベルは1よ!!」

 殆ど逆上状態だ。
 だが、それでも攻撃力3000でのダイレクトアタックは強力に変わりない。
 霧恵のライフが6000もあるとは言え一気に半分にされるのだ。

 尤も決まればの話ではあるが。

 「バトル!機皇帝ゼリエルで小娘にダイレクトアタックよ!!」

 「其れも無駄。エリア・ヘカーテの効果!相手ターンに除外し、相手モンスター1体の攻撃を無効にする!」
 『やらせないから…!『結界水晶』!」


 エリアが水のヴェールを残して消え、ゼリエルの攻撃はそのヴェールに阻まれ霧恵には届かない。
 最早突破不可能なほどの霧恵の布陣。

 だが、フレディはこの攻撃無効を見て不気味な笑みを浮かべた。

 「かかったわね小娘…!この瞬間、私の勝ちが確定よ!!トラップカード『インフィニティバスター』!
  機皇帝の攻撃が無効にされた時に発動!機皇帝の攻撃力の倍のダメージを相手に与えるわ!!」

 「な!此処で直焼きのカード!!」

 「グフフ…ゼリエルちゃんの攻撃力は3000!よってアンタに6000のダメージよ小賢しい小娘が〜〜!!」


 ――ドガァァァァン!!


 「うあ…きゃぁぁぁぁ!!」
 霧恵:LP6000→0


 全く予想外のバーンカード。
 それによって終始優位を保っていたにも拘らず霧恵の敗北。

 尤もチームEXALのピットを見る限り、今の戦術も完全な『自分勝手の暴走』なのだろうが…


 しかし未だ終わりではない。

 「やってくれるじゃない…!ならカウンタートラップ『ミラーペイン』発動!
  アタシが受けた効果ダメージの半分のダメージを相手に与えるわ!」

 「ぬわんですって!?ぬの…ごぼぁぁぁぁ!!」
 フレディ:LP4000→1000


 「更にエリアはフィールドに舞い戻るわ…墓地の魔法使いチューナーが居なくなるから攻撃力は元通りだけどね…」
 『霧恵…遊星と仇はとるから!』
 神水霊魔導師−エリア・ヘカーテ:ATK3200


 「うん。お願いねエリア…」

 転んでも只では終わらない不屈のデュエリスト魂で次に繋がる一手を打つ。
 フレディにもキッチリとダメージを与えるのも忘れていない。

 「最後まで…小娘が!!でもこれで遊星ちゃんと戦えるわ〜〜♪
  さぁ、遊星ちゃん目くるめく『自主規制』『検閲により削除』『放送禁止』『発行停止』を楽しみましょう〜〜!!」

 「アンタは…本格的に脳味噌腐ってるのね…。はぁ、コンなのに負けたなんて人生最大の汚点だわ。
  まぁ、いいか。どうせ遊星はアンタに興味なんてないし、アンタは遊星には勝つ事が出来ない…絶対にね。」

 微妙な気分になりながらも、『遊星の絶対勝利』を確信し霧恵はチームピットに。


 ペースを握られながらもセカンドデュエルを制したのはチームEXALの変態ことフレディ。
 ピットに戻る霧恵に健闘を称える歓声が送られつつ、観客は皆一様に同じ思いを抱いていた。



 『誰でも良いからこの変態を何とかしてくれ』…と…



















   To Be Continued… 






 *登場カード補足




 Sp−ブラックホール
 スピードスペル
 自分のスピードカウンターが5つ以上ある時に発動できる。
 フィールド上のモンスターを全て破壊する。



 Sp−アースクラック
 スピードスペル
 自分のスピードカウンターが4つ以上ある時に発動できる。
 相手フィールド上のモンスター1体を破壊する。



 Sp−バスター?
 スピードスペル
 自分のスピードカウンターが5つ以上ある時に発動できる。
 自分フィールド上のレベル1のモンスター1体を選択する。
 選択したモンスターはこのターン相手プレイヤーに直接攻撃できる。



 シンクロトリック−ミラージュボックス
 通常罠
 自分フィールド上の魔法使い族のシンクロモンスターが、相手モンスターの攻撃対象または相手のカード効果の対象になった時に発動できる。
 デッキからモンスター以外のカードを2枚選択して、対象になったモンターを加えてシャッフルし守備表示でフィールドに置く。
 相手はこの3枚に対して新たに攻撃宣言か対象効果の発動する事ができる。
 エンドフェイズにモンスターではないカードを全て破壊し、モンスターカードを表側攻撃表示にする。



 スピードイリュージョン
 通常罠
 自分のスピードカウンターを1つ増やす。
 伏せ状態のこのカードがフィールドから墓地に送られた時、自分のスピードカウンターを2つ増やす。



 インフィニティバスター
 通常罠
 自分フィールド上の「機皇帝」と名の付くモンスターの攻撃が無効にされた時に発動できる。
 自分フィールド上の「機皇帝」と名の付くモンスターの攻撃力の倍のダメージを相手に与える。



 ミラーペイン
 カウンター罠
 自分がカード効果によるダメージを受けた時に発動できる。
 相手に自分が受けたダメージの半分の数値のダメージを与える。



-63-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える