小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 『さぁ、WRG1決勝戦もいよいよ大詰め!チーム遊戯王も、ラストホイーラー・緋渡遊哉が登場!
  Dホイールとの合体という離れ業を見せたチームEXALの簪・J・雪花を相手に如何戦う!?
  不動遊星がフィールドを整えたとは言え雪花のf「どぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」…!?
  こ、此れはなんと言うスピードだ緋渡遊哉!!Dホイールがまるで紅蓮の炎に包まれているようだ!!』


 遊星からの魂のバトンを受け取った遊哉は初っ端から限界を蹴り飛ばしての全力爆走!
 ピット作業の影響で離れた雪花との距離をあっという間に縮めてしまった。


 「馬鹿な、何と言うスピード…!」

 「俺のダチ公に随分上等かましてくれたなオイ!テメェ…覚悟は出来てんだろうな!?」

 燃え盛る遊哉のデュエリストのオーラ。
 怒りを含んだ其れは、雪花のサイコパワーをも大きく押し返さんばかりの勢いだ。

 「…!私の力を押し返すだと…!」

 「はっ!んなモン屁でもねえぜ!」

 怒りのせいか、何時もよりも更にガラが悪い。
 が、其れは全て友を傷つけられた怒り、友が残してくれたバトンを受け継いだ決意の現れ。

 「機皇帝だろうが何だろうが、俺の龍皇が全て蹴散らしてやる!」
 『覚悟は良いな、愚物が!』

 遊哉のみならず、エースモンスターであるアグニもやる気充分。

 WRG1決勝戦、ファイナルデュエル…遂に開始だ。











 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel66
 『粉砕・玉砕・大喝采』











 『デュエル開始前から、両チームのラストホイーラーは共に気合充分のようだ!!
  ライフとフィールドでは雪花が絶対有利だが、緋渡遊哉には其れをも上回る爆発力が有る!!
  泣いても笑っても此れがWRG1最後を飾るデュエルだ〜〜!!
  会場の皆準備は良いか〜!?WRG1ファイナルデュエル!デュエル……スタートォ!!!!』



 「「デュエル!!」」


 遊哉:LP4000   SC3
 クリムゾン・ノヴァ・ドラゴン:ATK3500
 レッド・デーモンズ・ドラゴン:DEF0(ロスト・スター・ディセント効果)
 フォーミュラ・シンクロン:ATK500(エンジェルリフト)


 雪花:LP29600   SC1
 機皇帝レギアス:ATK45800



 始まったファイナルデュエル。
 雪花はライフも従えたモンスターの攻撃力も凄まじい。
 45000超の攻撃力を持つモンスターなど簡単には超えられないだろう。

 「俺のターン!」

 この緋渡遊哉と言う世界最強の『攻撃力馬鹿』を除いてではあるが。


 ――即時アクセルは可能だとしてだ、遊星が残したリバースはと……流石、しかもこの手札ならいけるぜ!
 「WRG1のルールにより、俺の墓地にはモンスターが存在しない。よって『ガーディアン・エアトス』を攻撃表示で特殊召喚するぜ!」
 『行きましょう、マスター。』
 ガーディアン・エアトス:ATK2500


 大会ルールを利用して、行き成りのレベル8モンスターの特殊召喚。
 遊星の残したリバースカードから、もう戦術は組みあがっているようだ。

 「そしてこの瞬間、手札のチューナーモンスター『ブリッツ・ドラグーン』の効果発動!
  俺がモンスターの特殊召喚に成功した時、手札から特殊召喚する事が出来るぜ!」
 ブリッツ・ドラグーン:DEF0


 特殊召喚をトリガーにしての特殊召喚で一気に展開。
 友の魂を継いだ遊哉に『退く・止まる』はありえないようだ。

 「行くぜ!レベル7となったレッド・デーモンズ・ドラゴンに、レベル1のブリッツ・ドラグーンをチューニング!
  燃え盛る紅蓮の双眸、そして灼熱の牙よ、全てを焼き払い此処に降臨せよ!シンクロ召喚!烈火の化神『炎龍皇−アグニ』!」
 『うぬの蛮行…許しはせぬぞ!』
 炎龍皇−アグニ:ATK2900


 「来たか炎龍皇…成程、近くで見ると凄い迫力だわ。」

 現れた轟炎の龍皇の発する威厳に、雪花も気圧される。
 アグニの炎もまた遊哉のオーラに呼応するかのように猛っている。

 「俺の墓地にチューナーが増えた事で、クリムゾン・ノヴァの攻撃力がアップする。」
 クリムゾン・ノヴァ・ドラゴン:ATK3500→3800


 「けど此れくらいで驚くなよ?轟炎の龍皇……その紅蓮の炎はマダマダこんなモンじゃないぜ!アグニ!!」
 『承知だ、主よ!!』

 さらに強くなる闘気。
 一切の迷いの無い純粋な『デュエリストの闘気』が進化の道を作り出す。

 「行くぜ…クリアマインド!!
  レベル8シンクロモンスター、炎龍皇−アグニにレベル2シンクロチューナー、フォーミュラ・シンクロンをチューニング!
  燃え滾る轟炎の双眸、そして焦熱の牙よ、万物を焼き尽しその姿を示現せよ!アクセルシンクロォォォォ!!」


 ――バシュゥン!


 「爆炎の化神、『真炎龍皇−カグヅチ』!」
 『その機械兵…我が炎で塵としてくれる…!』
 真炎龍皇−カグヅチ:ATK3700


 光速の世界を抜けて進化した炎の龍皇と、遊星の残した紅蓮の悪魔龍。
 この2体が並ぶと凄まじい迫力だ。

 「フォーミュラが墓地に送られた事でチューナーが増え、クリムゾンはさらに強化される!
  そしてこのターン俺はまだ召喚権が残ってる!来い、チューナーモンスター『クイン・ドラグーン』!」
 クリムゾン・ノヴァ・ドラゴン:ATK3800→4100
 クイン・ドラグーン:DEF0


 それだけに留まらず更にチューナーの召喚。
 また新たなモンスターを呼ぶ心算のようだ。

 「新たなチューナー?…一体何を…?」

 「そいつはテメェの目玉で確かめやがれ!!行くぞエアトス!」
 『はい…参りましょう!』

 そしてその対象はエアトス。

 「レベル8のガーディアン・エアトスに、レベル1のクイン・ドラグーンをチューニング!
  全ての命を守護する女神よ、その身の真なる力を今こそ解き放て!シンクロ召喚!舞い降りろ『守護女神−エアトス』!」
 『覚悟はよろしいですね、機皇帝!』
 守護女神−エアトス:ATK3000


 舞い降りたるは6枚の純白の翼を持った守護の女神。
 金に輝く聖剣を携え、威風堂々。

 『ななななんと〜〜!!!緋渡遊哉、正に手加減無用の全力全開!
  1ターン目にして3回のシンクロ!並ぶのは全てが最上級クラスのモンスターだ〜〜!!
  だが、それでも簪の機皇帝の攻撃力はおよそ5万!如何立ち向かうのか〜〜〜!!』


 速攻に継ぐ速攻で並んだ3体の上級シンクロモンスターに会場も盛り上がる。
 同時に圧倒的な攻撃力を誇っているレギアスを如何攻略するのかにも期待が高まっているようだ。

 「守護女神−エアトスのシンクロ召喚に成功した時、カードを2枚ドロー出来る。
  で、墓地のチューナーが増えた事でクリムゾンの攻撃力が上昇!」
 『バオォォォォォ…!』
 クリムゾン・ノヴァ・ドラゴン:ATK4100→4400


 「更に、エアトスは俺の墓地のシンクロモンスター1体につき攻撃力が200ポイントアップする!
  俺の墓地のシンクロモンスターは3体!よって攻撃力は600ポイントアップするぜ!!」
 守護女神−エアトス:ATK3000→3600


 そしてエアトスとクリムゾン・ノヴァの攻撃力上昇。
 だが『攻撃力馬鹿』の異名をもつ遊哉は此れだけでは止まらない。

 「マダマダぶっ飛ばすぜ!!スピードスペル『Sp−ダッシュカウンター』発動!
  スピードカウンターが3つ以上有る時に自分フィールド上のモンスター1体を選択!
  選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズまで相手フィールド上に表側で存在するカードの数×200ポイントアップする!
  俺はカグヅチを選択!で、テメェのフィールド上に表側で存在するカードは9枚!よってカグヅチの攻撃力は1800ポイントアップするぜ!」
 真炎龍皇−カグヅチ:ATK3700→5500


 「更にカグヅチの効果!手札のドラゴン1体を捨て、エンドフェイズまでその攻撃力を自分に上乗せする!
  俺は手札の『フェルグラントドラゴン』を捨て、カグヅチの攻撃力を更に2800ポイントアップする!」
 真炎龍皇−カグヅチ:ATK5500→8300


 『攻撃力馬鹿』の面目躍如と言わんばかりの攻撃力の爆上昇だ。

 「1ターンでこれ程の…けれどレギアスの攻撃力には遥かに及ばないわ!」

 「確かに今のままじゃマダマダ及ばねぇだろうが、カグヅチには更なる効果があるぜ!
  デッキの上からカード5枚をめくり、その中のチューナーの数まで相手モンスターの効果にする!
  此れで1枚でもチューナーが出れば、テメェの機皇帝の力は無力になるだろうが!」

 それでも攻撃力は届かないが、カグヅチの効果がある。
 この効果が成功すれば機皇帝を倒す事ができるだろう。

 「行くぜ!、先ずは1枚目…チューナーモンスター『フルメタル・ドラグーン』!
  2枚目!…チューナーモンスター『ドラグ・シンクロン』!
  3枚目!チューナーモンスター『コイル・ドラグーン』!
  4枚目!チューナーモンスター『ハイパー・ドラグーン』!
  そして5枚目ぇ!……チューナーモンスター『ドラコ・ヴェーラー』!
  5枚全てがチューナー…よってテメェのモンスターの効果は全て無効だ、『エンペラー・シャウト』!」
 『平伏せ、愚物が!!』


 カグヅチの一喝で機皇帝の効果は無効に。



 が、何故か今までと違い分解されていない。
 いや、分解されないどころか…



 機皇帝レギアス:ATK16200



 大きくその数値が下がったものの、未だ5桁の攻撃力を維持。
 効果が無効になったのならば、レギアスの攻撃力は0の筈だ。

 「あ?カード効果が無効になってねぇのか?」

 「5体のチューナーを出すとは流石ね。だが、レギアスはシンクロを装備している限り相手のカード効果を受けない。
  4体のパーツは無力になったけどレギアス本体の効果は有効のままよ!」

 反則此処に極まれりだ。
 要するにシンクロを吸収してしまえばレギアスは無敵と言う事になる。

 他のパーツ――特に『レギアスA4』が無効になった事で攻撃力は大幅にダウンしたがそれでも1万超。
 そもそもにして効果が無効にならないレギアスはオーバー5000の攻撃力が略確定なのだ。

 「厄介な効果だな…装備してるシンクロを如何にかしない限りこっちの効果は受付ねぇってか?」

 「その通りよ。当てが外れたわね?」

 「そうだなぁ…カグヅチの効果でとも思ったんだがコイツはヤバイ………とでも言って欲しかったか!?」

 「なに?」

 だが、遊哉は余裕たっぷり。
 更なる秘策があるのだろう。

 「まさか遊星が即時アクセルシンクロする為『だけ』にあのフィールドを整えたとか思ってんじゃねぇだろうな?
  甘ぇんだよ!!確かにモンスターだけを見ればそうだが、遊星は1枚のリバースも残してたんだぜ?
  そのカードがコイツだ!トラップカード『デュアルシンクロ・タクティクス』!
  俺のフィールドにレベルと種族が同じシンクロモンスターが2体以上存在する時に発動できる。
  このターン1度だけ手札からトラップカードの発動が可能になる!!」

 「手札からトラップだと!?だが、モンスター破壊系のカードはレギアスには通じないわ!」

 「誰がそんな効果を此処で使うかボケ!俺が手札から発動するのはこのカードだ!
  トラップカード『ドラゴン・インパクト』!俺の場のドラゴン1体の攻撃力を2倍にする!!
  ただし、この効果を受けたモンスターはエンドフェイズに手札に戻るけどな。
  このカードの効果対象は当然『真炎龍皇−カグヅチ』!!」
 『うむ、力漲ってきたぞ!』
 真炎龍皇−カグヅチ:ATK8300→16600


 コンボのラストは遊星が残したリバースカードを利用しての一撃。
 これでカグヅチの攻撃力はレギアスの攻撃力を上回った。

 「そんな、まさか1ターンでレギアスの攻撃力を超えるとは…!!」

 「遊星は先を見越してコイツを伏せた、そして俺のデッキは俺と遊星の魂に反応して応えた!
  俺1人じゃねぇ!ダチ公の魂と一緒にテメェの機皇帝をぶっ倒す!!
  バトルだ!真炎龍皇−カグヅチで、機皇帝レギアスに攻撃!焼き尽くせ『バーン・オブ・ディストラクション』!」
 『滅せい!』


 ――ゴォォォ!!


 放たれた紅蓮の炎は勢いを殺さずにそのままレギアスを貫き、爆発させる。
 更にレギアスが破壊されたことで、その誘爆に巻き込まれる形でパーツも爆散!

 吸収されていたエリア・ヘカーテも解放され遊哉の墓地に。

 「く…あぁぁぁ…!」
 雪花:LP29600→29200


 「レギアスの元々の攻撃力は0だからカグヅチのバーン効果は発動しねぇが、これでテメェのフィールドはがら空きだぜ!
  更に、エリアが俺の墓地に来た事でエアトスの攻撃力が200ポイントアップ!」
 守護女神−エアトス:ATK3600→3800


 「追撃!守護女神−エアトスでダイレクトアタック!『聖剣のロンド』!」
 『自らの力で滅びると良い。』


 ――ドドドドド!


 エアトスが剣を掲げると同時に現れた無数の光の剣が雪花を襲いそのライフを削る。
 雪花自身の力で現実となっているダメージが、今は逆に自身を苦しめる結果になったいるだろう。

 「あ…ぐ…!!」
 雪花:LP29200→25400


 「マダマダァ!!クリムゾン・ノヴァ・ドラゴン、遊星の魂を乗せた一撃でブッ飛ばせ!!『クラッシュ・オブ・バーニングフォース』!」
 『バォォォォォォ!!』


 ――ドゴォォォォン!!


 「うぁぁぁぁぁぁ!」
 雪花:LP25400→21000


 獄炎を宿した轟拳の一撃で、雪花はスピンをしながら大きく後退。
 クラッシュしなかったのは恐らく自らの力で衝撃を抑えたからだろう。


 だがこのターンで一気に状況は逆転。
 ライフポイントこそ雪花が2万オーバーで圧倒的だが、機皇帝は粉砕。
 逆に遊哉は3体の上級シンクロモンスターを従えフィールドアドを得ているのだ。

 「メインフェイズ2に移行するぜ。スピードスペル『Sp−アナザー・ディメンション』。
  俺のスピードカウンターが2つ以上あるとき、俺のモンスター1体を次の俺のターンのスタンバイフェイズまで除外する。
  俺はこの効果でカグヅチを除外し、ドラゴン・インパクトのデメリットを回避するぜ。」

 更にカードのデメリット効果の回避と抜かりが無い。
 流れは遊哉が掴んだのは間違いないだろう。

 「カードを1枚伏せてターンエンド!」

 ターンエンド。
 だが、雪花は動かない。

 今の攻撃の衝撃で意識が無いのだろうか?
 だとしたら極めて危険な状態だ。


 「ダメージ、レベルイエロー……リミッター解除、最終形態。」

 だが意識は無い訳ではなく、なにやら意味不明なことを呟いている。



 次の瞬間…



 ――ギュル…



 「うおっ、何だこりゃぁぁ!!?」

 雪花のDホイールから新たに大量のコードが現れ、雪花のライディングスーツのプラグ部分に繋がっていく。
 しかもそれだけではなく、Dホイールそのものが変形し、まるで鎧のように雪花を包み込む。

 「うふふふふ…あははははははは!!此れこそが私の切り札!」

 全ての変形が終わり、雪花は狂ったような哂い声を上げる。
 其れに応じるように、どす黒いオーラが溢れ出している。


 「簪?テメェ…一体?」

 「実に見事だったわ緋渡遊哉!!レギアスを倒すとは!!でも此れこそが絶望の最終章の幕開けよ!!」

 不気味な機械人形のようになった雪花は更に続ける。
 『絶望の最終章』とはなんとも穏やかではない。



 が、遊哉は怯まない。

 「絶望の最終章だぁ?だったら如何だってんだアホンダラ!テメェの言う絶望なんざ真っ向からぶち砕いてやるぜ!
  来いよ簪、テメェの持てる力の全てを賭してな!其れを超えて、俺が――俺達『チーム遊戯王』が勝つ!!」

 「馬鹿が…この絶望を砕くなど不可能よ!」

 「やってみなけりゃ分らないぜ!!」

 吠える両者。


 空に立ち込めていた暗雲からは雨が降り始め、遠く海上では雷鳴も轟いている。
 其れはまるで、ファイナルデュエルの荒れ模様の予兆とも思えるものだった…
















   To Be Continued… 






 *登場カード補足



 Sp−ダッシュカウンター
 スピードスペル
 自分のスピードカウンターが3つ以上ある時に発動できる。
 自分フィールド上のモンスター1体を選択する。
 選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズまで、相手フィールド上に表側表示で存在するカードの数×200ポイントアップする。



 Sp−アナザー・ディメンション
 スピードスペル
 自分のスピードカウンターが2つ以上ある場合に発動できる。
 自分フィールド上のモンスター1体を選択しゲームから除外する。
 次の自分のターンのスタンバイフェイズに、除外したモンスターを自分フィールド上に戻す。



 デュアルシンクロ・タクティクス
 通常罠
 自分フィールド上に種族とレベルが同じシンクロモンスターが2体以上表側表示で存在する時に発動できる。
 このターン1度だけ手札から通常罠カードを発動する事ができる。



 ドラゴン・インパクト
 通常罠
 自分の場のドラゴン族モンスター1体を選択し、選択したモンスターの攻撃力を倍にする。
 エンドフェイズ、このカードの対象になったモンスターを手札に戻す。



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