小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 機皇帝を倒した直後に現れた強大なシンクロキラー『機皇神カテドラル∞3』。
 圧倒的な力で遊哉に攻撃を仕掛け、遂に『真炎龍皇−カグヅチ』をその身に吸収する事に成功した。

 「絶対私に勝つ?やってみなさい…出来るものならね。」

 「あ”?出来るかどうかは問題にもならねぇ!重要なのは『やるかやらないか』だ!!
  自慢じゃねぇがな、俺は言った事は実行する男!!有言実行が基本だボケナス!!
  その俺が勝つって言った以上、神様だろうと悪魔だろうとソレを覆す事は出来ねぇと脳味噌に刻み込みやがれ!!」

 しかしながら、エースモンスターを吸収され、不利な状況に陥ったとて遊哉に恐れは無い。
 それ所か、毎度の毒舌八丁に磨きがかかっているほどだ。


 だが、毒舌八丁でも状況不利は変わらない。
 この圧倒的不利な状況を果たしてどうやって切り抜けるのであろうか?











 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel68
 『Stand up to the Fight』











 遊哉:LP3700   SC7
 守護女神−エアトス:DEF2500
 クリムゾン・ノヴァ・ドラゴン:ATK4400
 


 雪花:LP15200   SC5
 機皇神カテドラル∞3:ATK7700



 『さぁ〜〜大変な事になってきた〜〜〜!!エースモンスターを奪われた緋渡遊哉、状況は絶対不利!!
  対する簪は機皇神の攻撃力を7700まで上昇!!まるで予想が付かないデュエル展開だ〜〜!!』


 MCの実況も驚きの連続だ。
 観客も固唾を呑んでデュエルの行方を真剣に見ている。


 「さぁてっと…そのデカブツぶっ倒すのが先決だよな…つー事でコイツだ!『Sp−強制復活』!
  俺のスピードカウンターが5個以上ある時に発動できる。
  相手の墓地のモンスター1体を選択して、持ち主のフィールドに特殊召喚する!
  俺はコイツの効果でテメェの墓地の『機皇帝ゼリエル∞』を選択し、攻撃表示でテメェのフィールドに呼び出すぜ!」

 どんな戦術が出来上がっているのか、相手の墓地のモンスターを蘇らせるカード。
 何をする気なのだろうか?

 「私の墓地の機皇帝を……まさか!?」

 「そのまさかだ!!機皇神をスクラップにするトリガーとして墓地から出てこいや機皇帝ゼリエルゥゥゥゥ!!!」

 遊哉の狙いに気付き、雪花は驚く。
 いや、遊哉の狙いも考えていなかったわけではないのだろう…だが、其れは雪花には『現実的』な戦術では無いようだ。



 機皇帝ゼリエル∞:ATK0



 「予想してなかった訳じゃないけれど…本気か?それ以前に今のセリフは悪役の其れよ!?」

 「だから如何したぁ!?俺は遊星や霧恵と比べたら悪役全開だ馬鹿野郎!寧ろ悪役上等だゴラァ!!」

 完全解放『悪役モード』。
 こうなった遊哉は霧恵か遊星であっても止める事は極めて困難。
 正に最強無敵の状態なのだ。


 「機皇神は確かに相当に強力だが、それでも無敵のモンスターって訳じゃねぇ!
  行くぜ、バトルだ!!クリムゾン・ノヴァ・ドラゴンで機皇帝ゼリエル∞に攻撃!『クラッシュ・オブ・バーニングフォース』!」
 『バォォォォォォォ…!!』


 紅蓮の鉄拳が空を裂き、機皇帝ゼリエルに直撃。


 攻撃力0では太刀打ち出来る筈も無く、一撃で爆破炎上。
 この爆発の炎と粉塵はそのまま機皇神を巻き込まんと迫る。

 「く…機皇帝カテドラル∞3の効果!墓地の機械族モンスター1体を除外する事で破壊を免れるわ!!」

 その強制道連れ効果を、モンスター効果で防ぐ。
 機皇神を護る為に張られたバリアが機皇帝からの誘爆による破壊を防いだのだ。

 「自身を護る効果…だが、今の戦闘ダメージは防げねぇだろ?」

 「其れは確かにね…」
 雪花:LP15200→10800


 機皇帝の道連れ効果は不発に終わったがライフは大きく削り取る。
 2万以上有ったライフが僅か数ターンで半分以下に……遊哉の攻撃力は恐ろしいものがある。

 そして勿論此れだけではない。

 「クリムゾン・ノヴァの効果!攻撃した場合、デッキの一番上のカードを墓地に送り、
  其れがモンスターなら相手フィールド上のモンスターを、魔法か罠なら相手の魔法・罠カードを全て破壊する!」

 更なる効果で追撃の一撃。
 モンスター破壊なら、雪花の墓地を擬似的に潰せるし、魔法罠ゾーンのカードを破壊すれば、カグヅチは遊哉の墓地に置かれ機皇神の攻撃力もダウンする。

 「く…その効果にチェーンしてトラップ発動!『インフィニティ・パルス』!
  私の場に『機皇』と名の付くモンスターが存在する時、相手のモンスター効果の発動を無効にして破壊する!」

 「んなモンが効くと思ってんのか!カウンタートラップ『ドラゴン・ガスト』!
  俺の場にドラゴン族モンスターが存在する時、相手の魔法・罠カードの発動を無効にして破壊する!
  コイツでお前の『インフィニティ・パルス』は打ち消す……でもってクリムゾン・ノヴァの効果は有効だ!!
  ……俺が墓地に送ったのはスピードスペル『Sp−オーバーブースト』!よって魔法・罠カードを全て破壊!『スーパー・ノヴァ』!!」

 その効果を無効にしようとしても、打ち消され効果続行。
 無数の火球が降り注ぎ、雪花の魔法・罠は全滅。



 機皇神カテドラル∞3:ATK7700→4000



 其れにより、カグヅチが剥がされ機皇神の攻撃力もダウン。
 機皇神を相手取り、不利な状況に立たされたにも拘らず1ターンで其れをひっくり返してしまったのだ。

 「く…この手段がある事を考えなかった訳じゃないけれど…本当にやるとはね。」

 「状況をひっくり返せる手があるなら迷わず使う!常識だろ!?」

 「だとしても蘇らせた機皇帝を破壊できなかったらより不利な状況になっていたんだぞ?お前怖いものとか無いの?」

 「『もし破壊できなかったら』だと?知るか、そんときゃまた別の戦術考えるだけだろうが。
  大体にしてなぁリバース1枚如きでビビルかよ。
  あーだこーだウダウダ考えて攻撃躊躇ったら『超攻撃力馬鹿』の名が泣いて廃るだろうがぁ!!!」

 幾ら雪花にとって現実的とは思えない戦術でも、遊哉には当然の事だった様子。
 確かにデッキも違えば戦術も違うし、そもそもデュエリスト同士の考え方が違うのは道理だ。

 「テメェがどんな俺の戦術を如何読んでるかなんざ知らねぇが、俺は俺のデュエルをする、それだけだ!カードを3枚伏せてターンエンド!!」

 下手な防御よりも攻撃あるのみ。
 其れを貫いているからこそ、誰が相手でも遊哉は恐れず戦うことが出来るのだろう。

 尤も雪花にとっては気に入らないだろうが。

 「絶望には染まらないと言うの…?愚かな…私のターン!」


 遊哉:SC7→8
 雪花:SC5→6


 「カードを2枚伏せターンを終了するわ。」

 リバース2枚でターンを終える。
 機皇神の効果を発動する事もせずにだ。
 確かに今の状況では、遊哉のシンクロモンスターを吸収する事は不可能であり攻撃も通らない。
 無駄な攻撃や効果の発動をする事も無いだろう。

 しかし機皇神は攻撃表示のままだ。
 普通なら伏せられたカードを『攻撃反応型トラップ』ととり警戒して攻撃を躊躇うだろう。
 だが、『超攻撃力馬鹿』の異名を取る遊哉にはこの程度の陽動は通じない。

 「俺の攻撃を誘ってるのか?たった1枚のカードでビビラねぇっつったろうが!!俺のターン!!」


 遊哉:SC8→9
 雪花:SC6→7


 「トラップカード『不死の竜』!墓地のドラゴン1体を蘇生させる!俺が呼び戻すのは、当然『真炎龍皇−カグヅチ』!!」
 『先刻の屈辱…返させてもらおうぞ!!』
 真炎龍皇−カグヅチ:ATK3700


 トラップで進化した己のエースを呼び出し、フィールドは再度凄まじい事に。
 シンクロキラーを前にしても一切の恐れも怯えも無い。

 「カグヅチが復活か…!」

 「テメェを倒す為にな!カグヅチの効果発動、デッキの上からカード5枚をめくりその中のチューナーの数まで相手モンスターの効果を無効にする!」

 「そうはさせないわ。トラップ発動『無限幻影』。相手のモンスター効果の発動を無効にする!
  そしてこのカードは発動後墓地へ送られずデッキに加え、デッキをシャッフルするわ。」

 機皇神の効果無効は流石に防いできた。
 効果が無効にされたら破壊耐性も発揮できずに倒されてしまうのだから当然だが。

 「考えてるって事かよ。だが、カグヅチの効果はまだある!手札のドラゴンを捨てその攻撃力を吸収する!
  俺は手札のチューナー『ゴールド・ドラグーン』を墓地に送り、カグヅチの攻撃力を1700ポイントアップ!
  更に墓地にチューナーが増えたことで、クリムゾン・ノヴァの攻撃力も300ポイントアップするぜ!」
 『うむ…良い力だ!』
 真炎龍皇−カグヅチ:ATK3700→5400


 『バオォォォォォォ…!』
 クリムゾン・ノヴァ・ドラゴン:ATK4400→4700


 更に攻撃力を上昇させる。
 カグヅチもクリムゾン・ノヴァも凄まじいまでの攻撃力だ。

 並みの相手なら此れだけで完全KO確実だろう。

 「バトル!!真炎龍皇−カグヅチで、機皇神カテドラル∞3に攻撃!『バーン・オブ・ディストラクション』!!」
 『燃え尽きよ!!』



 ――ゴォォォォォ!!



 雪花:LP10800→9400
 「ぐぅ…だが、カテドラルの効果!墓地の機械族――『機皇帝ウリエル∞』を除外し破壊を免れるわ。」

 ライフは削れたが機皇神は無傷。
 だが、まだ攻撃は残っている。

 「マダだぜ!クリムゾン・ノヴァの追撃!!打ちかませ『クラッシュ・オブ・バーニングフォース』!!」
 『ガァァァァァァ!!』



 ――ドゴォォォォン!!



 更なる追撃が雪花を襲う。
 2体の巨龍の猛攻で、遂にライフは1万ポイントを切った。


 雪花:LP9400→8700
 「カテドラルの効果でレギアスA4を除外し破壊されない!」

 「しぶとい奴だぜ…クリムゾン・ノヴァの効果発動!攻撃後デッキトップのカードを墓地に送る!
  墓地に送ったのはチューナーモンスター『ブロンズ・ドラグーン』!よってお前のモンスターを全て破壊する!『スーパー・ノヴァ』!!」

 「墓地のレギアスT3を除外し破壊を無効にするわ!!」

 遊哉の攻めは激しいが、雪花の守りも堅い。
 ダメージこそ受けたが機皇神は健在だ。

 「意外と堅いな…墓地のチューナーが増えたことでクリムゾン・ノヴァの攻撃力が上昇する!」
 クリムゾン・ノヴァ・ドラゴン:ATK4700→5000


 「カードを1枚伏せてターンエンド。カグヅチの攻撃力も元に戻る。」
 真炎龍皇−カグヅチ:ATK5400→3700


 機皇神を倒す事こそ出来ていないが、デュエルのペースは遊哉が握っている。
 其れを示すように削り取られた雪花のライフポイント。

 2万以上もあったおかげで未だに遊哉の倍以上のライフを有しているが、此れが初期値のままだったらとっくに負けている。
 それだけの攻撃を喰らっているのだ。

 対する遊哉は失ったライフは僅か300ポイント。
 どちらがペースを握っているかなど一目瞭然だ。

 「私のターン!」


 遊哉:SC9→10
 雪花:SC7→8


 「『スピードワールド2』の効果発動。スピードカウンターを7つ取り除いてカードを1枚ドローするわ。」
 雪花:SC8→1


 スピードカウンターの減少で、雪花は大きく後退する。
 だが、その口元には不気味な笑みが…

 「絶望のクライマックス…トラップ発動!『無限換装』を発動するわ!
  自分の墓地から『機皇帝』及び『A』『G』『T』『C』と名の付くモンスターを1体ずつゲームから除外!
  そしてデッキか手札から『カテドラルカノン』!」
 カテドラルカノン:ATK1500


 「『カテドラルシールド』!」
 カテドラルシールド:DEF2000


 「『カテドラルレギンス』!」
 カテドラルレギンス:DEF1500


 「『カテドラルヘルム』を特殊召喚!」
 カテドラルヘルム:ATK1200


 現れたのは機皇帝のパーツに酷似した物体。
 名前から察するに機皇神の強化パーツモンスターだろう。

 「合体せよ…機皇神カテドラル∞3!!」

 そして夫々のパーツが機皇神と合体し、その力を大きく上昇させていく。


 機皇神カテドラル∞3:ATK4000→9200


 「攻撃力が上がった?」

 「カテドラルカノンの効果よ。このカードが表側表示で存在する時『機皇神カテドラル∞3』の攻撃力は、
  私のフィールドに存在する機皇神以外の機械族モンスターの攻撃力の合計値分アップするわ。」

 新たに呼び出したパーツの恐るべき効果だ。
 更に…

 「そしてカテドラルヘルムが存在する時、機皇神の効果は無効に出来ない!機皇神カテドラルの効果!再びカグヅチを吸収しなさい!」

 パーツでエスケープを封じた上でのシンクロ吸収。

 「無効に出来なくとも、エアトスの効果は『受け付けない効果』だ!そいつは効かないぜ!!」

 バリアが現れ、機皇神から伸びた光の縄を弾く。
 だが、雪花は不気味な笑みを更に強くする。

 「でもその効果は1ターンに1度のみ。カテドラルヘルムの第2の効果。
  機皇神の効果は1ターンに2度まで発動できるようになる!!やれ、カグヅチを捕らえろ!!」

 その理由は強化パーツによる効果の重複発動効果。
 1ターンに1度のシンクロ吸収効果が、1ターンに2度になるのはそれだけで脅威だ。

 「させるか阿呆が!トラップ発動『ドント・イクイップ』!発動ターン、互いのプレイヤーはモンスターにカードを装備できない!
  機皇神の効果はシンクロモンスターを装備する効果!効果を無効に出来なくても、装備そのものが出来なきゃ意味がねぇ!」

 だが、その更に上。
 『装備封印』で機皇神の効果そのものを無意味に。
 此れは機皇神の効果を『無効』にしているわけではないので有効なのだ。

 「そんなものを…ならばバトル!機皇神カテドラル∞3で真炎龍皇−カグヅチに攻撃!」

 「そうは行くかよ!カグヅチの効果発動!相手ターンに除外し、攻撃を1度だけ無効にする!!」

 効果をかわされた雪花は、今度はバトルで。
 この戦闘が成立すれば遊哉のライフは0になる。

 だから遊哉もカグヅチの効果で防ごうとするが…

 「カテドラルレギンスの効果!このカードが表側で存在する限り、機皇神の攻撃対象になったモンスターは効果を発動できない!!」

 「ちぃ…効果封じか…!」

 「砕け散れ緋渡遊哉、己のエースモンターと共に!!全てを無に帰せ機皇神!『ビッグバン・イレイザーΩ』!!」

 新たに現れたカテドラルカノンからの一撃が放たれ、カグヅチに向かう。
 エスケープは不可能…



 ――ゴガァァァァァァァ!!!



 闇色の極大光線がカグヅチ共々遊哉を飲み込んでしまったのだった…
















   To Be Continued… 






 *登場カード補足



 Sp−強制復活
 スピードスペル
 自分のスピードカウンターが5個以上ある時に発動できる。
 相手の墓地のモンスター1体を選択し、選択したモンスターを相手フィールド上に任意の表示形式で特殊召喚する。



 ドント・イクイップ
 通常罠
 発動ターン、互いにモンスターにカードを装備することは出来ない。



 無限幻影
 通常罠
 相手のモンスター効果の発動と効果を無効にする。
 発動後このカードは墓地には送られず、自分のデッキに戻してデッキをシャッフルする。



 無限換装
 通常罠
 自分の墓地から「機皇帝」「A」「G」「T」「C」と名の付くモンスターを1体ずつゲームから除外する。
 自分のデッキか手札から「カテドラルカノン」「カテドラルシールド」「カテドラルヘルム」「カテドラルレギンス」を1体ずつ特殊召喚する。



 ドラゴン・ガスト
 カウンター罠
 自分フィールド上にドラゴン族モンスターが表側表示で存在する場合に発動できる。
 相手の魔法・罠カードの発動と効果を無効にし破壊する。



 インフィニティ・パルス
 カウンター罠
 自分フィールド上に「機皇」と名の付くモンスターが表側表示で存在する場合に発動できる。
 相手のモンスター効果の発動を無効にし破壊する。



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