小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 不気味な空間でフレディとのデュエルに臨む霧恵とシェリー。
 霧恵とシェリーにはランク8のエクシーズモンスターと伏せカードが1枚。

 対するフレディのフィールドにはレベル4のモンスターが3体と伏せカードが1枚、そしてフィールド魔法が1枚だ。


 互いにライフは無傷。
 一見すればランク8のモンスターを従えている霧恵とシェリーが有利に見える。
 だが、フレディもこの3体のモンスターを使えばランク4のエクシーズが可能。
 或いはチューナーを召喚すればシンクロも可能な状況だ。


 故に状況はどちらが有利とは一概には言えない。


 「すわぁ〜〜て……覚悟は出来ているぬぁ、こ〜娘どもぉ!!」

 「覚悟ですって?そんなものは既に出来ているわ。」

 「本気で来なさい――そうでなければアタシとシェリーを倒す事なんて出来ないわよ。」

 だが、霧恵とシェリーは恐れない。
 やるべき事はただ1つ――フレディを倒して先に進む、此れだけだ。











 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel78
 『魔導師・聖騎士・悪魔』











 霧恵&シェリー:LP4000
 剣の聖騎士−セイバー:ATK3700


 フレディ:LP4000
 ダークストーカー・アゴノフェニス:ATK1900
 ダークストーカー・アグノキリル:ATK1850
 ダークストーカー・アグナヘイル:ATK1600


 スタンバイフェイズに新たなフィールド魔法を発動したディックは早速次の手に移る。

 「『魔帝空間−肺』の効果発どぅをぉ!1ターンに1度、私のフィールド上に表側表示どぅえ存在する『ダークストーカー』のレベルを2つ上げる事ができるぃ。
  この効果で、3体ぬぉダークストーカーのレヴェルを4くわぁら6ぬぃ変更する!」
 ダークストーカー・アゴノフェニス:LV4→6
 ダークストーカー・アグノキリル:LV4→6
 ダークストーカー・アグナヘイル:LV4→6


 先ずはレベル変動。
 シンクロにしろエクシーズにしろレベルの調整が最も大事になる。
 レベルを上げたということは高レベルシンクロか高ランクエクシーズを狙う心算だろう。

 「更ぬぃチューナーモンスター『ダークストーカー・エニグマ』を召喚!」
 ダークストーカー・エニグマ:ATK900


 新たに呼び出したのはチューナー。


 「チューナーって事はシンクロ召喚だけど、それでもレベル6のモンスターが2体残るわね?」

 「恐らくはシンクロしてからのランク6エクシーズが狙いよ――気を緩めないで。」

 「うん、分ってるよ。」

 戦術は読めていても、どんなものが出てくるかは想像できない。
 だが、其れは相手を恐れる要素にはなりえない。(少なくともこの2人には)

 『来るなら来い』と言わんばかりの視線でフレディを射抜く。

 フレディもフレディで、自分よりもずっと年下の娘2人から挑発的な視線を黙っては居ない。
 従えたモンスター群で一気に攻勢にかかる。

 「小むすむぇ共ぐあぁ!ならば見るが良い、わぁがちかるぁ!
  レベル6となったアグナヘイルに、レベル2のエニグマをチューニングィ!
  暗き闇に潜む絶望の蟲よぉ、全てを喰らいつくしとぅえ無に返すぇい!シンクロ召喚、『ダークストーカー・グウィガピート』!」
 『キシャァァァ!!』
 ダークストーカー・ギガピート:ATK2900


 呼び出したのはレベル8のシンクロモンスター。
 種族こそ悪魔族だが、その見た目は超巨大なムカデ……何とも生理的嫌悪感を誘うモンスターだ。

 霧恵とシェリーも、女性故にこの見た目には若干引き気味の様子。

 「うわぁ…」
 「流石に此れは無いわね…」

 「むぁっはっは、驚いたくわぁこ〜娘どむぉ!だがマダマダこんなものではぬぁい!」

 ただその容姿に引いているだけだと言う事は気付いていない。
 なにやら変な感じにテンションが上がってきたフレディは更に展開を続ける。

 「すわぁらぬぃアゴノフェニスとアグノキリル、レベル6となったこの2体をぉオ〜〜ブワァルウェェエイ!
  闇より出でし悪夢ゆぉ、絶望とぅお憎悪で破滅を導くうぇい!ウェクシ〜〜ズ召喚、『ダークストーカー・ヌワイトムウェア』!」
 『…………』
 ダークストーカー・ナイトメア:ATK3000


 続いて呼び出したのはランク6のエクシーズ。
 ドロドロとした粘着質のナニカの中に佇む瓢箪型の不思議にな物体。
 その背と思われる部分と、臀部と思われる部分からは時折輝くコアのようなものが顔をのぞかせる。
 何よりも粘着質の謎物体には人の頭蓋骨が漂い不気味の極み。

 嫌悪感MAXのモンスターが2体も並び、霧恵とシェリーもドン引き通り越しての呆れ状態。

 「変態ではなくゲテモノ趣味だったみたいよ?」

 「変態じゃなくて『変人』だったんだ…」

 果たしてどちらが性質悪いのかは謎であるが、いずれにしてもフレディは普通の感覚では無いと言うことなのだろう。
 尤も当の本人にそんなことは無問題であろうが…

 「奇人変人の発想ぐぁ結果的に世の中を発展させる事はよぉく有る事どぅあぁ。見るが良いナイトメアの効果発動!
  オーヴァ〜レイユニットを1つ取り除くぃ、私のフィールド上の『ドゥア〜クストォーカァ』と名の付くモンスター全ての攻撃力を1000ポイントアップする!」
 ダークストーカー・ギガピート:ATK2900→3900
 ダークストーカー・ナイトメア:ATK3000→4000


 「さぁらにぃ、オーバレイユニットを持ったナイトメアが表側で存在する限るぃダークストーカーはカード効果では破壊されなうぃ!」

 永続的な全体強化に効果破壊耐性とは中々に厄介かつ強力な効果だ。
 2体のモンスターの攻撃力はセイバーの攻撃力を超え、一撃レベルのモノになっている。

 「攻撃力が…」

 「気持ち悪いだけじゃないって事ね…」

 「驚いたかぁ!ブワァトルゥ!ヌワイトメアでぇ、スウェイヴァ〜に攻撃ぃ!『デストロイ・ゲル』!」


 ――ドビャァァァ…!


 ナイトメアの粘着質な部分が物凄い勢いで撃ち出され、セイバーを襲う。
 見た目が気持ち悪ければ攻撃方法もこれまた非常に気持ち悪いモンスターである。

 「グロテスクにも程が有るわね…トラップ発動『不屈の精神』。
  発動ターンのみ私のフィールド上の戦士族モンスターは戦闘では破壊されず、私が受ける戦闘ダメージは相手もうけるわ!」

 「ぬわぁぁんだとぉ!?」

 ゲル攻撃を耐え切り、セイバーは無事。
 戦闘ダメージこそ発生するが、其れは微々たる物だ。


 霧恵&シェリー:LP4000→3700
 「この程度は如何と言う事ないダメージね。『不屈の精神』の効果で貴方にも300ポイントのダメージが跳ね返る!」

 「ぐぅ…猪口才ぬぁ…」
 フレディ:LP4000→3700


 攻撃を耐え抜いたセイバーが剣を一閃しフレディのライフを削る。
 互いのダメージは微々たる物だが、シェリーの巧さが光る。

 このターンはセイバーは破壊されず、戦闘ダメージはフレディも受ける状態。
 ギガピートでの攻撃も可能だが結局のところ結果は同じで無駄な攻撃で終わってしまうだろう。

 「むぅ…バトルを終了するぃ。カードを2枚伏せ…エンドフェイズに『魔帝空間−肺』の効果発ドゥオ!
  自分のターンのエンドフウェイズぬぃ、自分フィールド上の『ダークストーカー』と名の付くモンスターの数だけデッキからカードをドローし、その後手札を1枚捨てる。
  私のフウィ〜ルドには2体のダークストーカー!よって2枚ドローし手札を1枚捨てるぃ…ターンエンドだ。」

 新たなフィールド魔法はレベル変動だけでなく手札入れ替えの効果まで持っていた。
 何とも反則と思える効果だ。

 「アタシのターン!」

 今度は霧恵の番だ。
 シェリーの召喚したエクシーズが有るとは言え、フレディにも2体の超強力モンスターが居る。
 状況だけならば不利だが、其れをひっくり返すのがトリックスターの仕事だ。

 「魔法カード『隠された宝書』を発動。手札から魔法使い族のチューナー1体を捨て、カードを2枚ドローする。
  アタシは手札の『星砕く魔導師』を捨てて2枚ドロー…カードを1枚伏せ、このセットカードを破壊して墓地の『星砕く魔導師』を特殊召喚!」
 『はい、参りましょう。』
 星砕く魔導師:DEF1300


 「そして破壊された『幻惑魔術〜ミラージュ・サモン』の効果発動!
  セット状態のこのカードが墓地に送られた時、デッキから攻撃力1500以下の魔法使い1体を特殊召喚する。来なさい『次元魔導師ガイツ』!」
 次元魔導師ガイツ:DEF1900


 早速得意のトリック戦術でシンクロ素材を集める。
 セット状態で墓地に送られた時に発動する効果と、セットカードを破壊して墓地から特殊召喚出来るモンスターを巧く合わせた戦術だ。

 「さてと、出し惜しみはしないよ?レベル5の次元魔導師ガイツに、レベル3の星砕く魔導師をチューニング!
  聖なる魂を受け継ぎし水の魔導師よ、清き力を我が前に示せ。シンクロ召喚!不浄を流せ『聖水霊魔導師−エリア』!」
 『さて、頑張ろうか♪』
 聖水霊魔導師−エリア:ATK2500


 呼び出すは勿論自身のエース。
 そしてマダこんな物ではない。

 「星砕く魔導師の効果で、デッキから『蒼雷の魔導戦士』を手札に加えるわね。
  で、蒼雷の魔導剣士を墓地に送って『THE トリッキー』を特殊召喚!」
 THE トリッキー:ATK2000


 「更に手札の『迅雷の魔導剣士』を捨て、墓地の『蒼雷の魔導戦士』を特殊召喚する。」
 『うん、それじゃあ楽しく遊ぼうか♪』
 蒼雷の魔導戦士:ATK1700


 再度レベル8のシンクロ素材を揃える。
 此れだけそろえてマダ通常召喚権が残っているのだから恐ろしい。

 「レベル5のTHE トリッキーに、レベル3の蒼雷の魔導戦士をチューニング。
  猛る炎の魔導師よ、紅蓮の魔導で我を導け!シンクロ召喚、焼滅の力『聖火霊魔導師−ヒータ』!」
 『このゲテモノ野郎、アタシの炎で焼却してやるぜ!』
 聖火霊魔導師−ヒータ:ATK2700


 「蒼雷の魔導戦士の効果でデッキから『闇総べる魔導王』を手札に加えわね。
  で、ヒータの攻撃力はアタシの墓地の魔法使い族モンスター1体に付き300ポイントアップする。
  アタシの墓地の魔法使い族は5体、よって攻撃力は1500ポイントアップするわ!」
 『今日もアタシは神を超える!!』
 聖火霊魔導師−ヒータ:ATK2700→4200


 一撃でフレディのモンスターを超えるモンスターを呼び出す。
 それでも止まらない!

 「アタシのフィールドに魔法使い族のシンクロモンスターが存在する時、手札の『烈火の魔導剣士』を特殊召喚出来る!
  更に、墓地の『迅雷の魔導剣士』はアタシのフィールドに魔法使い族のシンクロモンスターが存在する時に特殊召喚出来る!」
 『ふむ…行くぞテ…迅雷。』
 烈火の魔導剣士:ATK1800

 『はい、シ…烈火。』
 迅雷の魔導剣士:ATK1000

 『マテやお前等…』
 聖火霊魔導師−ヒータ:ATK4200→3900


 ?何かノイズが……気にしては駄目だろう。

 「で、チューナーモンスター『ネコ魔導剣士・銀仁郎』を召喚!」
 『今日も今日とて頑張るにゃ!』
 ネコ魔導剣士・銀仁郎:DEF500


 ここでやっと通常召喚。
 序でに三度レベル8シンクロの素材が揃った事になる。

 「レベル1の迅雷の魔導剣士とレベル5の烈火の魔導剣士に、レベル2のネコ魔導剣士・銀仁郎をチューニング!
  漆黒の闇の魔導師よ、秘めたる力を此処に現出せよ!シンクロ召喚、正しき闇『聖闇霊魔導師−ダルク』!」
 『真なる闇…受けてみろ。』
 聖闇霊魔導師−ダルク:ATK2800

 『アタシの炎も、もう止まらないぜ!』
 聖火霊魔導師−ヒータ:ATK3900→4800


 「銀仁郎の効果で2枚ドロー!
  更に烈火の魔導剣士の効果で、エンドフェイズまでアタシのフィールド上のモンスターは全て攻撃力が500ポイントアップ!
  この変則デュエルでは、当然シェリーのモンスターもその恩赦を得るわ!」

 『全員…』
 『仲良く♪』
 『パワーアップ!!』

 聖水霊魔導師−エリア:ATK2500→3000
 聖火霊魔導師−ヒータ:ATK4800→5300
 聖闇霊魔導師−ダルク:ATK2800→3300
 剣の聖騎士−セイバー:ATK3700→4200


 此れだけやって手札がマダ5枚もあるのだから恐ろしい事この上ない。
 全力全壊とは正にこの事だ。

 「ぬわんだとぉ!?此れだけやって手札がむわぁんたんとはぁぁ!?」

 「迦神霧恵のイリュージョンマジック、楽しんでくれたかしら?
  霊魔導師使いの霧恵――伊達に童実野町のデュエリストのリーダー格張ってた訳じゃないわ。
  あらゆる技巧を凝らして流れを引き寄せる『トリック・タクティクス』はアタシの十八番よ?」

 「本当に見事だわ霧恵――なら、そのイリュージョンで派手に行きましょう?」

 フレディは驚き、シェリーは反対に改めて霧恵の実力に感心する。
 そして、霧恵の頭の中ではこのターンでの攻め方も既に組みあがっている。


 ――驚きはしたけど、表情が敗北には染まってない…あの2枚のリバースと蟲の効果か…なら!
 「バトル!聖闇霊魔導師−ダルクで、ダークストーカー・ナイトメアに攻撃!『漆黒のダークネス・パニッシュ』!」
 『次元の狭間に消えろ…』

 先ずはダルクでナイトメアに攻撃。
 強化されたとは言っても攻撃力は及ばないが、勿論自爆特攻などではない。
 ダルクは攻撃表示の場合には戦闘耐性がある。

 攻撃力が高いモンスターに攻撃したことで当然ライフは減るが、此処からが霧恵の狙いだ。


 霧恵&シェリー:LP3700→3000
 「この攻撃でアタシ達のライフは削られるけど、ダルクの効果が発動!
  ダルクは戦闘を行った相手モンスターをゲームから除外する!この効果でナイトメアには異次元へ御退場願うわ!」

 「ぬぁんだとぉ!?」

 オーバーレイユニットのあるナイトメアは自身の効果で効果破壊耐性がある。
 だがそれはあくまで『破壊』のみで『除外』には対処しきれない。
 其れを見越してのダルクの特攻だったのだ。

 「続いてヒータでギガピートに攻撃!『焦熱のイグニッション・バースト』!」
 『燃え尽きろ、この蟲野郎ぉ!!』

 続いてヒータの一撃。
 此れが決まればバーンダメージと併せてゲームエンドだ。

 「させぬわ!トラップ発動『ヘルズ・プライド』!このカードの効果で、私のばのぉモンスターはこのターン1度だけ破壊されなぁい!」

 此処はトラップで防ぐ。

 「すわらぬぃ、ギガピートが戦闘を行うことで発生するダメーズィは1ターンに1度だけ0になる!
  此れで私に発生するダメージは0どぅあ。」

 次いでモンスター効果でダメージ無効。
 だが、此れは霧恵の読みどおり。
 セイバーの効果を使わなかったのは『何らかのダメージ軽減カードがある』と読んだからである。
 故に無駄にオーバーレイユニットを消費するのは得策ではないと考えたのだ。

 「やっぱりね…けど、2度目の攻撃には耐えられない!セイバーでギガピートに攻撃!」
 『ふるえよ…エクスカリバー!』

 そのセイバーの攻撃。
 1度だけの耐性では、この攻撃は防げず、放たれた一閃は蟲を飲み込み霧散させる。

 「ぐぬぅ…」
 フレディ:LP3700→3400


 「更にエリアでダイレクトアタック!!」

 攻撃の〆はエリア。
 水流がフレディを襲うが…

 「させるくわぁ、小むすむぇが!!墓地の『ダークストーカー・プラズマ』の効果発動!
  私がダァ〜イレクトアタックを受ける時ぃ、墓地からこのカードを特殊召喚出来るぃ!
  この効果はデュエル中1度しか使えんがぬぁ!…蘇れぃ『ダークストーカー・プラズムワァ』!」
 ダークストーカー・プラズマ:DEF1200


 墓地の効果で防ぐ。
 尤も此れで攻撃が止まる訳ではない。

 「なら、そのプラズマを攻撃するわ!お願いエリア!」
 『了解!清流のクリスタル・ストリーム!』

 迷わずプラズマを粉砕。

 「エリアの効果、戦闘で破壊したモンスターの攻守どちらか高い方を選択してその数値分ライフを回復する。
  プラズマは守備力の方が高いわね?1200ポイントのライフを回復するわ。」
 『此れで元気一杯!』
 霧恵&シェリー:LP3000→4200


 効果でライフも初期値を上回る。
 霧恵の巧さを見せ付けたターンだ。

 「おのるぇ…トラップ発動!『闇の住人の結束』!
  わぁたしの場の『ダークストーカー』が2体以上戦闘で破壊されたとき、破壊された数と同数の『ダークストーカー・トークン』を生み出す!
  このターンで戦闘破壊されたダークストーカーは2体!よってぇ2体のトークンを生み出すぃ!」
 ダークストーカー・トークン(星1・闇・悪魔):DEF0(×2)


 アドバンテージはひっくり返されたが、トラップでトークンを生み出す。
 攻撃は全て終了しているのでこのトークンは無傷で残ることになる。

 「トークンか…カードを2枚伏せてターンエンドよ。」

 優位に立っても気を抜かずにリバースをセットしてターンエンド。
 再びフレディのターンだ。

 「私のトゥァァン!スタンバイフェイズに『魔帝空間−肺』の効果ぁ!
  このカードを墓地に送り、デッキか手札から『魔帝空間−心臓』を発動できるぃ!
  わぁたしはぁ、デッキから『魔帝空間−心臓』を発動する!!」

 又もフィールドが描き換えられる。
 今度はより強く脈動しているようだ。

 「今までよりも動きが激しいわね…?」

 「まぁ、心臓らしいから当然じゃない?」

 激しくなった鼓動に不気味さが強くなる。

 「メインフェイズに『魔帝空間−心臓』の効果発動。手札1枚を捨て、デッキから闇属性のモンスターカード1枚を手札に加える。
  私は手札の『ダークストーカー・ドッペルゲンガー』を捨て、デッキから『魔帝・ムンドゥス』を手札に加えるぃ!
  更にドッペルゲンガーの効果!デッキトップのカードを墓地に送ってぇぶうぉ地から特殊召喚出来るぅ!
  ドゥエッキトップのカードを墓地に送るぃ、蘇れ『ドゥア〜〜クストーカー・ドップウェルゲングアァ』!」
 ダークストーカー・ドッペルゲンガー:DEF400


 一気に3体のモンスターを揃え、しかしマダ通常召喚権はある。
 トークンがあるのでエクシーズは考え辛いが、フレディの顔に浮かぶは不気味な笑み。
 まるで『準備が出来た』と言わんばかりだ。

 「さぁて小娘共ぉ…わぁたしのフィールドぬぃは3体のモンスターが揃ったぁ――こぉの意味が分るかぁ?」

 「「?」」

 ステータス的には大したことないモンスターが3体揃ったとて此れだけでは分らない。
 チューナーを召喚して上級シンクロでも狙っているのだろうか?

 「3体のモンスターぁ…其れをリリースして召喚されるモンスターうぉ、知らない訳では有るまいぬぁ?」

 「3体のリリースって…!」
 「まさか!!」

 3体のリリースと聞いて霧恵とシェリーは答えを導き出す。
 勿論『アレ』であるはずはない。

 だが、『機皇帝』を効果改変し、更には『機皇神』なるカードを独自開発したファントムならば或いはである。

 「心臓の効果で加えたカードこそが正に其れよぉ!
  わぁたしは2体のトークンとドッペルゲンガーをリリーサゥ!!」

 3体のモンスターが消え、最上級モンスターの生贄となる。

 「深淵に座す暗黒を総べる帝王よ、そぉの姿うぉ今こそ示せぃ!出でよ『魔帝・ムンドゥス』!!」
 『グォォォォォォォ…!!』


 この部屋を引き裂くほどの力で『ソレ』は現れる。
 まるで大理石で造られた神の彫像を思わせる巨躯。
 だが、その額には縦に開かれた不気味な目が存在し、胸部にはコアのようなものが見て取れる。

 一見すれば『神』に見えるが、その本質は邪悪そのものの存在だ。


 『ムゥゥゥン…!』

 ソレが力を込め、翼と腕を広げた瞬間世界が一変した。


 生物の体内を思わせる景色だった部屋が、無数の星が煌く宇宙空間の様な場所へと変わっていたのだ。


 「此れは…」

 「一体何が…?」

 霧恵とシェリーも意味が分らず困惑する。


 そんな中で、フレディは既に勝利を確信したかのような表情を浮かべていた。

 「ムァッハッハ〜!せぇめてこのターンくらいは耐えて見せるぉ、小娘どぅもぉ!
  ムハ、ムハハハハハ!ムアァッハッハッハッハッハッハ!!!」


















   To Be Continued… 






 *登場カード補足



 魔帝空間−肺
 フィールド魔法
 1ターンに1度、自分フィールド上の「ダークストーカー」と名の付くモンスター全てのレベルを2つ上げる事ができる。
 自分のターンのエンドフェイズに、自分フィールド上に表側表示で存在する「ダークストーカー」と名の付くモンスターの
 数までデッキからカードをドローし(最大3枚まで)、その後手札を1枚捨てることが出来る
 自分のターンのスタンバイフェイズにこのカードを墓地に送る事で、デッキか手札からフィールド魔法「魔帝空間−心臓」を発動できる。



 魔帝空間−心臓
 フィールド魔法
 1ターンに1度、手札を1枚捨て、デッキから闇属性のモンスターカード1枚を選択して手札に加えることが出来る。



 不屈の精神
 通常罠
 エンドフェイズまで自分フィールド上に表側表示で存在する戦士族モンスターは戦闘では破壊されない。
 また、このターン自分の戦士族モンスターが戦闘を行うことで発生する戦闘ダメージは相手も受ける。



 ヘルズ・プライド
 通常罠
 自分フィールド上の表側表示で存在するモンスターは、このターン1度だけ破壊されない。



 闇住人の結束
 通常罠
 自分フィールド上の「ダークストーカー」と名の付くモンスターがバトルフェイズ中に2体以上破壊された時に発動できる。
 自分フィールド上に破壊されたモンスターと同じ数の「ダークストーカー・トークン」(星1・闇・悪魔・攻守0)を特殊召喚する。



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