小説『ラグナロクゼロ(シーズン1〜2)』
作者:デニス()

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そんな荷物をぶら下げながらマンションの二階に行き着いたところで、205号室と記された部屋の扉の前に立ちはだかり、この時獅郎はかなり機嫌が悪くしていたせいか、挑発するかのように強く扉を蹴り上げた。その後、そのまま住居者が出て来るのを待った。

ガチャッ

「おまえ、もうちょっと優しく叩けよ……」

扉を開けたのはブカブカなTシャツとジーパンを履いている。ろくに下着を着用せずに胸元がかすかに見えていながら、ところかまわず豊満な胸を揺らし、男勝りな口調で獅郎に問いかける女性教師・杉山薫だった。

「休みの日にこんな所に呼びだしといて図々しく「腰が痛いから、来るついでにサロンパス買ってきてくれ」なんて言わなきゃ、こんなにイライラしねぇよ」

「まあ……入れよ……」

サロンパス買わせたのがアダになったのか、獅郎の機嫌は少しずつ悪くなり始めてきたのを悟った杉山は自分の自宅に招いた。

「おう……」

入ったはいいが少し散らかっている様子からみて、とても客を招くような部屋には見えなく、呆れた獅郎はそのままテーブルの床に座りこみ、足を崩して楽な体制に切り替えたが、明らかに担任の教師に対する礼儀とはいえなかった。

「それで、用件は?」

「え……? ああ、そうそう用件ね」

用件を聞こうとすると、まるで忘れたような素振りを見られた後、杉山は冷蔵庫にあった麦茶を獅郎の前に出してさっそく本題に移ろうとした。

「?」

「その用件なんだが……、おまえ『矢島戒斗』って知ってるよな」

「ああ……たしか『矢島組』の組長の息子で、内のクラスじゃ最高に荒れてる不良だろ」

獅郎は自分より荒れているクラスメイトの事を冷静に答えた。

「お前よりかは荒れてはいないと思うが、最近になって不登校が続いていてなあ。お前なにか知らないか?」

「俺が?」

「いやな、よくお前のことを目の仇にしているからよ。なにかあるとよくお前らでケンカ騒ぎになり欠けたことあったじゃねえか」

「いや、いつもはあいつから因縁つけるか、ケンカふっかけてくるからいつも迷惑してた方なんだけどな」

獅郎はその矢島戒斗のことを思い浮かべながら、杉山に対して自ら弁議をはかる。

「そうか……ハァ〜」

杉山は当てがハズレたせいか両腕を合わせた両足を掴み、大きくため息を吐いた。

「それがどうしたんだよ?」

「まあ一応おまえらの担任だからな、一教師としてはクラス一人の不登校は見過ごせないだよ」

「ふ〜ん」

その話しを聞いた獅郎は全く興味のない態度をとり、サロンパスのついでに買った月刊エレメンタルを読み始めて完全に沈黙した。

十分後。

「……ん……なあぁ」

「……おっ」

杉山がいきなり猫なで声を発したはいいが、それに獅郎は気がつかずに『月刊エレメンタル』の読んでる途中で次の作品のページをめくって見ると、『閃光の騎士シェザード』の扉絵がセンターカラーになっていたことにちょっとした驚きを感じていた。

「なあ……」

「なになに『皇帝大陸三大帝国の一つアルケニア帝国が小領大国独立騎士領ローレシアに宣戦布告。シェザード捨てられた祖国を救うべく帰還』か……」

「おまえワザとやっているだろう……」

杉山の問いかけに聞く耳持たずに獅郎は雑誌に集中して、そのまま流し続ける。

「……ん?」

「なあ……また……」

杉山は雑誌を読んでいる体制(猫背)の獅郎を首の根元から、艶やかな両腕を伸ばして包む。豊満で柔らかな胸を背中に押し付け、そのまま抱き寄せながら後頭部に近づき耳たぶを甘噛みする。口付けをせがむかのように頬擦りもした。

「………」

「もう一ヶ月も『ご無沙汰』なんだ。なあ頼むよ……獅郎」

慰めを求められている獅郎は杉山の愛撫に微動だにせず、慣れ慣れしく『下の名前』で呼ばれたことで少しムッとした。

「ウフフ……怒った?」

それを楽しむのかの如く、杉山は微笑を浮かべながら獅郎のご機嫌を伺う。

「怒ってない……。ただこれ以上危ない火遊びを続けると、そのうちあんたから火の粉が移るぜ」

「付き合ってもう一年。バレてないんだから少しくらいいいだろぅ……」

「………」

獅郎が警告したのも関わらず杉山は後先考えていない状態で、まだ生徒と教師の関係を続けるのを望んでいた。

「すぅー、ん〜……」

密着している状態のせいか、獅郎の独特の体臭を嗅いだことで、杉山の鼻腔から秘部にまで刺激が伝わり、一ヶ月ぶりに一緒に居るというちょっとした感動と快感を噛み締めていた。

「なあ……」

「………」

一ヶ月分の欲求が溜まってる杉山にとって、獅郎の慰みはとても貴重な処理行動で、今にもその快感を求むが為にこうやって積極的な行動に出ているのである。そんな杉山の行動に呆れた獅郎はそのまま流し続けるその瞬間―――

「……よし」

「ん? ―――むぐっ!」

いつまでたっても相手にしてくれない獅郎に、やむなく杉山はある強行手段に出ることにした。

「むぐ……む……」

獅郎は突然の口付けで倒され、短いパニック常態になったが、難なく相手がなにを求めているのか理解して、そのまま杉山の願望をしょうがなく受け止めた。

「んぐ……んぐ―――プッハーッ。ハァハァ……ああぁ……」

最初は無理矢理にでも奪いたいという淫らな欲を高ぶらせながら、思春期真っ只中の若い男子の唇を合わす。一方的に貪るかのように舌を絡ませ、獅郎の口内に広がる唾液で喉を潤わせながら、完全に密着した唇を離した後で糸が引き、杉山は心地よい個人的快感を噛み締め静かにあえいだ。

「お前が悪いんだ……、お前が相手にくれないから……」

欲求不満を理由に、自らの望みを無理矢理にでも叶えさせる為、強姦と言ってもいいくらいの暴走に陥る。その常態で杉山は上に乗りだし、下の獅郎は強い力で両腕を片手で押さえられ、もう片方は指でなぞるように秘部えと近づきつつ、薄目で両頬を赤く染めあげながら、熱っぽい眼差しで見つめる。

「ハァ……ハァ……」

動揺する様子もなく、慣れているのか全く表情を崩さない。溜まった物を全て吐き出すという一つの思想からして、杉山はすでに理性というものを失っていた。

(ったく、面倒くさい奴だな)

「しろう……」

「わあったよ……」

「ああ……そうか……」

杉山の積極的な行動に獅郎はしょうがなく受け入れた。床からベッドえと場所を移し二人は唇を重ね合い、その後に両手を合わせ杉山はその大きくて細い指で、獅郎の指の股の間に入り込み、指の先が手の甲までたどり着いた後興奮のあまり強く握り締めた。こうして完全な拘束が完了した二人は互いの鬱憤を晴らす為に交じり合うのであった。

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