一、金髪少女との出会い
港町『ハルジオン』
「ナツ!レーナ!ついたよハルジオン。起きて起きて!!」
青色のしゃべる猫(?)が、列車の座席でぐったりしている二人に声をかける。
そのうちの一人、ピンク色の髪をした少年の方は、青い顔でぐったりしている。
「だ、大丈夫ですか?」
「アイ!いつものことです」
駅員が声をかけると、青色の猫――ハッピーが答える。
「はぁ。……えっと、そちらのお客様は……」
駅員は座席に沈んでいるもう一人を指した。
「大丈夫です。寝てるだけなので」
「すぴー、すぴー」
確かに寝息が聞こえる。
いや、それより降りるのなら早くしてほしい。と思う駅員なのだった。
「無理……もう二度と列車には乗らねぇ……うっぷ」
ピンク色の髪の少年――ナツは慌てて列車の窓から身を乗り出した。
「情報が確かなら、この街にサラマンダーがいるはずだよ。いこ!」
「オエ〜……。ちょっと休ませて……」
「すぴー」
ポ〜〜〜〜
「あ」
ハッピーが振り返ると、列車が動き出していた。そして、窓から身を乗り出していたナツは、涙と涎をまき散らしながらハッピーに助けを求めていた。
「すぴー」
その中でも、幸せそうな寝ていた人物が一人――。
※※※※※※※※※※
「ちぇーっ。1000ジュエルしかまけてくれなかった。あたしの色気はたった1000ジュエルか?」
目当てのものは手に入ったとはいえ、どうも納得がいかない。
イライラしながら歩いていると、女子の悲鳴――いや、歓声が聞こえてきた。
どうやら、有名な魔道士サラマンダーが来ているらしい。
火の魔法を使うというあの!この街に来てるの!?
これは会わなければ!
慌てて人が集まる広場へ駈け出した。
※※※※※※※※※※
「ったくよー。列車には二回も乗っちまうし」
「ナツ乗り物弱いもんね」
「腹は減ったし」
「おいらたち金ないもんね」
ふらふらと歩くナツ達一行。
「なぁ。サラマンダーってイグニールのことだよな?」
「火の竜なんてイグニールしか思い浮かばないよね」
「だよな」
と、ナツ達一行の耳に「サラマンダー様!!」という声が聞こえてきた。
「「サラマンダー!?」」
ナツとハッピーは顔を輝かせ、人ごみへ向かった――のだが……。
「誰だお前」
完全に人違いであった。
キラリと歯を光らせた男は一瞬焦ったように見えたがすぐに冷静になり、炎を出現させた。
「夜は船でパーティをやるから、みんな参加してね」
男は女の子たちの歓声に見送られて去って行った。
「なんだ、あいつは」
「ほんと、いけ好かないわよね」
ナツが唖然と男を見送ると、金髪の女の子が話しかけてきた。
「ありがとね」
「あ?」
「あ、そういえばナツ。レーナは?」
「……あれ!?いない!探すぞハッピー!」
「アイサー!!」
「ちょ、ちょっと、無視しないでよ!」
慌てて来た道を駆けだすナツとハッピー。そして金髪少女のルーシィ。
「あ、いた!」
暫く戻ると、道のど真ん中で倒れている人を見つけた。
「レーナ、起きて!こんな所で寝たら風邪ひくよ!」
「いやいや、そういう問題じゃないでしょ」
ルーシィは倒れている人に近づいた。
とても綺麗な青い髪をしている女の子だった。少し小柄だが、恐らく15・6歳くらいだろう。
「どこか具合でも――」
「いえ、寝てるだけです」
「すぴー、すぴー」
「えええええぇぇぇっ!!」
道のど真ん中、それも女の子が幸せそうに寝ていることに驚くルーシィ。
そのうるささにレーナが眉をひそめる。
「んぁ……むにゃ」
「お?起きたかレーナ」
「おはようございまグー」
「寝るな!」
これが、、ナツとハッピーそれにレーナがルーシィと出会った時の出来事である。
〜あとがき〜
ハーメルンにも投稿しています。
他の小説も待たせちゃっていますが、不定期更新でやっていきたいと思います。
ちなみにアニメしか観ていないので、おかしいところがあったら知らせてくれるとうれしいです。