小説『ドラえもん(仮)』
作者:みそバター()

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   8.ゴルゴンの首



ド「ゴルゴンの首ー!」テッテレテッテッテーテテー



の「それあれだろ?目を見ると石になるやつ」


ド「そう筋肉を一時的に固くさせて石のようにさせる道具さ」


の「前に使ったな、廊下に立たされても足に使えば全く疲れなかったし」


ド「恐怖の道具なんて呼ばれてるけど、使いようによるからね」


の「でもさ、石になった部分って大丈夫なの?血が通わなくなったり、細胞が働かなくなったりとか」


ド「大丈夫、何も本当に石なったわけじゃないんだから」


ド「筋肉が石のようになるだけで、他は何も変わらないんだ」


ド「大体そんな道具だったらとっくに生産終了してるよ」


の「ごもっとも」


の「でもこういう道具って悪用されたりしないの?」


ド「実際されたよ。テロで」


の「テロ!?」



ド「複数犯で首相官邸とかの要人がいそうなところを襲撃したんだ」


ド「犯人達の目的は要人の暗殺...というか抹殺だね。愉快犯だったし」


ド「まぁ石にされたら抵抗も逃亡もできないからね」


の「でも石にしたら殺すことはできないんじゃないか?」


ド「特定の部位だけを石にすればいいだろ、足だけ石にしたら逃亡はできないし手を石にしたら抵抗はできない」


の「じゃあ結構被害は出たんじゃないのか?そんな効果なら大量殺戮だってできただろうし」



ド「いや、被害は0だったよ」


の「はぁ?」


ド「あの頃のガードマンはね。人間じゃなくてロボットだったんだよ」


ド「だから筋肉も何もない。だから効かなかったんだ」


の「ちょっと待て、なら普通気づくだろ」


ド「ところがどっこい、そのロボットは人間の容姿と全く同じでね。ほとんど見分けがつかないくらいなんだ。」


ド「しかも国民は一切知らない、いわば機密ってやつだったんだ。だからまんまとその愉快犯は嵌められたってわけ」


の「用意周到なんだな。秘密道具対策も」


ド「そりゃ首相官邸なんだしね。そういう対策にも優れているもんさ」


ド「まぁこういうところは例外で結構事故も起きてたみたいだよ。操作方法を間違えて使用者が全身石になったまま3日後に発見とか」


の「それ大丈夫なのか?」


ド「まぁ3日ぐらいなら大丈夫だと思うけど、1週間とかなら流石に餓死だと思うよ」


ド「まぁこういうことも増えて結局は生産終了になっちゃったんだけどね」


の「まぁ予想通りってとこか」


ド「まぁメリットよりもデメリットの方が高いからねこの道具は」



の「で、さ」


ド「うん?」



の「なんでその道具を今出したわけ?」


ド「なんでって今日のおやつはどら焼きだよね」ガラッ



     ウォーーン



の「うおっ!」


奴の鳴き声に一瞬身を引いてしまった。

その隙に箱から出る光は俺の脚全体を包み込んだ。

失敗だった。あの時身を引かずに左右に回避してるかドラに突進さえしていればこの結果は免れただろう。

だが今更嘆いてももう遅い。もう俺の脚は......



の「う、動かないッ......!!」



ド「そりゃそうだ、効果は昔の君が証明済みだろう?」


ド「全身を石にしないだけありがたく思えよ、んじゃ」ガチャ


そういって奴は出ていく。

追いかけたいが足が全く動かないし、感覚すらない。

本当に石のようだ。

手で這うのにも時間がかかるしもう間に合わないだろう。

下から声が聞こえる。


アラドラチャン。ノビチャンハ?

ノビタクンハチョットタイチョウガワルイソウデスハハウエ

アラソウナノ、ジャ2コトモタベチャッテドラチャン

ソレデハエンリョナク......


の「畜生ぉ―――!!」


涙はしょっぱい、現実は辛い。今日はそんな日だった。


終わり

-10-
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