小説『巡査本山颯太、いきますっ!!』
作者:真田尚孝()

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「なんでもないっス……」


銃を構えた佐山を一瞬睨んだものの、ギラリと光る二つの目を見て即座にやめた。


「ならいいんだ」


佐山はようやく颯太から銃口を反らし、ハンマーを起こして入り口の方へと向きを戻した。

颯太の中で、川口と佐山は暴力的な人間とインプットされてしまった。
叱るべきところは間違えていないものの、それを正すための行為が行き過ぎたものだったせいだろう。


その後は大きな騒動は起きなかった。
佐山が彼女から貰ったマグカップを、颯太が手を滑らせて落とし、粉々に砕くという事件があった程度だ。


勿論颯太は怒り狂った佐山に、気絶するまでボコボコに殴られたのは言うまでもないが。

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