小説『ゼロの使い魔 世界を渡る転生者【R−18】』
作者:上平 英(小説家になろう)

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『第14話 アルビオンからの帰還』





「ううぅぅぅ〜〜〜」

「ああ……まさか……まさかティファに………」

「あっはっはっは」

 ティファニアの家の寝室のベッドの上で、三者三様のリアクションをとっていた。

 まずは、ティファニアが目が覚めて、起き上がり、自分の性交の後が残る格好と昨夜の初体験。更には隣で眠っていたルシファーに驚き悲鳴をあげた。

 そして、その悲鳴で起きたマチルダが「なんだい! なにがあった!」と飛び起きて、ティファニアに詰め寄って、ティファニアの姿を見て昨夜の事を思い出した。

 2人は自分たちの間で気持ちよさげに眠っていたルシファーを見て、驚きもそこそこ叩き起こした。

 ティファニアが昨夜の自分を思い出し、赤面した顔を両手で隠して、いやいやと顔を振り、マチルダがルシファーと一緒になってティファニアを犯してしまった。と懺悔していた。そしてそれを見たルシファーが大笑いをしていた。

「まあ、2人とも」

 言葉を溜めて、2人を両手に抱きキメ顔で言う。

「……昨夜は激しかったな!」

「なに言ってるんだい!」

「ふしゅぅぅぅ……」

 それにマチルダは顔を赤らめて怒鳴り、ティファニアは耳まで赤くして、ルシファーの腕に倒れた。

「あはっはっは! まあ、やっちゃったもんは仕方がないだろう?」

 ルシファーは笑いながら2人を抱きしめた。

「うう……なんでこんな男を好きになっちまったんだろう……?」

 マチルダは、愚痴を溢しながら、ルシファーの頬を抓った。

「……きゅぅぅ〜……」

 ティファニアは精神が回復出来ておらず腕にもたれ掛ったまま動かない。

「はっはっはっはっ!」

 マジで最高だぜ! 難しいと思われたティファニアをゲット出来た!

 しかも……しかも、マチルダとの3P。つまりは、姉妹丼を頂けたし、俺のハーレムメンバー入り決定だぜ!

 くくくっ! マジで笑えてくるっ! マチルダが邪魔をしてティファニアを手に入れるのは、長期戦になると思ってたけど、それがこんなにも早く堕とせるとは!

 …………う〜ん。だけど、アレだな〜。

 ティファニアは本当に堕ちたのか? 

 まだ何も知らない世間知らずで、俺と出会って2日ほどしか経っていないからな〜。

 恋じゃなくて、その場の勢いとかもあるし………て言うか、その場の雰囲気に流されたとしか言いようがない……。

 やっぱり長期的に腰を据えてじっくり惚れさせるしかないか。











 それから、体を清めた後。朝食をとりながら今後の事を3人で話し合った。

 まずは、マチルダの事だ。

 『土くれのフーケ』として盗みをしなくてよくなった今。マチルダにはこのアルビオンに居て欲しいと頼んだ。

 最初は驚いたマチルダだったが、きちんと理由を説明すれば分かってくれた。

 アルビオンは、レコン・キスタとの反乱で治安が悪化したので戦える人間が必要だと言う事と、ティファニア以外は大人が居ないので最低限の文字や常識を覚えさせるためだと説明した。

 そして、ティファニアの事。

 ティファニアは、ハーフエルフで忌み嫌われるモノと扱われ、恐れられる存在である事は本人も分かっているが、いかんせん一般常識に欠けて世間知らずなので、時々この森から外に出す事にした。まあ、もちろん俺が護衛に着くけどな。

 最後にこのウエストウッド村の孤児たちのことを話し合った。

 ここの孤児院の子供たちは、ティファニアの正体を知らずに、そして、ティファニアも正体を知られる事を忌避している事や、もともと孤児院は彼女たちとは余り関係がないし、ずっと森の孤児院に居ては外の世界に出るときに困るので、きちんとした孤児院に預ける事にした。

 まあ、孤児たちはティファニアと離れたくはなさそうだが、こればっかりは仕方がなかった。

 孤児院の子供たちにティファニアの種族を知られるのは、本当に不味い事で、ここでティファニアを受け入れてくれたとしても、将来。大人になったときにエルフは友達とか他人に言えば、この情勢だ。殺されはしないものの迫害を受ける可能性が高いからだ。それならいっその事、正体を知られる前に手元から離したほうが、彼らのためでもあるし安全だからだ。

 これらの事を真剣に話し合った。

 そして、最後にこの孤児院の運営資金を【王の財宝】から金や宝石を出して、マチルダとティファニアに渡した。

 2人とも見たことがない金塊や宝石に言葉をなくして驚いていた。

 金塊や宝石はマチルダの目利きによると、この孤児院なら10年間は運営出来るほどの価値があるらしい。

 あと、戦える者がマチルダだけでは不安だったので、2人に指輪型の護衛獣(マチルダには大きなモグラ。ティファニアには小型の風竜)を渡し、孤児院たちには危険が迫ると強制転移でマチルダかティファニアの近くに転移させる護符(アルビオン内を限定して、一回切り)を渡すように言った。それと、マチルダがこの孤児院に残る事になったのでオスマンに退職届を一筆書かせた。

 そして、すべて説明を終えると、主人であるキュルケの下へ行くと言って家から出た。そうそう。ちゃっかり「言って来るよ」って言いながらマチルダとティファニアに軽くキスをしたよ。やっぱり、こういう小技みたいな事もしておかないとね!

 全てを終えたルシファーは、家から出て6枚の羽を魔法で生やして飛び去った。

 純白の6枚の翼を生やして飛び去ったルシファーを見たマチルダとティファニアは思った。不思議な魔法を使い護衛獣という生命を生み出し、虚空から財宝を出したルシファーは神の化身ではないかと思った。











 ウエストウッド村から出て、キュルケの居場所を魂のパスを介して探すと、アルビオンから遠く離れたトリステインの首都辺りに居るようだった。

 居場所が分かったルシファーは虚空に転移の魔法陣を描く。出口はキュルケたちよりも上に少し離れたところに設定して発動させる。

 発動させた魔法は光でルシファーの体を包み込み、体を出口に設定した座標に移動させた。

 光がなくなり、再び目を開けると、100メイルほど先に青い風竜。シルフィードが見えた。

 見たところどうやら任務を無事に果たしたらしい。ワルド子爵以外のメンバーが全員乗っていた。

 ルシファーは、速度を上げてシルフィードに追いついた。

「お〜い! キュルケ〜!」

 シルフィードのすぐ隣で並走しながらキュルケに手を振った。

「なにあれ! キュルケの使い魔じゃない! 風竜の速度に何で追いつけるのよ!?」

「すげ〜よルシファー! お前飛べたんだな!」

「あれはいったいなんなんだ……翼人ではないし……何故6枚も翼が?」

「はやい」

「きゅ、きゅい?」

「ダーリン! やっと帰ってきてくれたの〜! あたし寂しかったんだからね!」

 シルフィードの上で様々なリアクションをとってくれた。

 ルシファーはキュルケの隣に座った。

「ごめんなキュルケ。でもきちんと用事は終わらせたから。あと、タバサもありがとう」

「ふふふ、あたしを放っていた分甘えさせてもらうわよ?」

 隣に座るとキュルケが腕に抱きついてきて言った。タバサはと言うと、相変わらず本を読んでいたがお礼を言ったときは頷いてくれた。

 まあ、それからはトリステインの王宮に向かって飛び、王宮に着くと任務の報告だとか言って才人とルイズだけが入城して、他のメンバーはそ締め出された。

 そして、才人とルイズが報告を終えて戻り、俺たちはトリステイン魔法学院に帰った。途中キュルケが極秘任務の内容をしつこくルイズや才人に聞いていたが「極秘だから言えない」と結局教えてもらえなかった。

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