小説『ゼロの使い魔 世界を渡る転生者【R−18】』
作者:上平 英(小説家になろう)

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『閑話 前の世界での大魔王ルシファー』





ここで、ルシファーが以前いた世界を話しておこう。

 ルシファーが以前いた世界は、ルシファーが世界を渡る前は、ここハルケギニアの平民達より少し進んだぐらいの技術力で、大陸ごとに小国や大国が存在していて、魔物や魔獣が治める国や、ドラゴンや竜人と呼ばれる者。人間たちや獣人、更には天使や精霊、悪魔が治める国などが存在していた。

 そして、ルシファーが使う魔法に関して話すと、前の世界は大陸ごとはもちろん国ごとで使う魔法の在り方が分かれていた。それを知ったルシファーは、魔法の才能と魔法を完全に制御できるチート能力を神から貰っていた事もあり、ルシファーは他国を占領するたびに、支配下においた国の魔法を学び、様々な魔法を収めた。

 更に、大陸の外を出ると、魔法よりも工業系の、機械技術に優れた国々の存在も確認され、ルシファーはその国も侵略し支配下におき、見込みのある技術者に資金提供や人材派遣などを行い。移動手段が馬から車に、帆船がスクリューなどで動いたり、飛行艇の大型化や、遺伝子操作などで家畜や畑の収穫率を底上げたり、大型な製鉄所などの様々な工場を作り、低コストで大量利益を得るように、すべての支配化にある国に対して惜しげもなく技術提供を行い。産業革命を起こし、自国であるサキュバスの王国はもちろんの事。支配下の国々も潤った。そして、ルシファーは衛生面や環境に対しても、忘れずに政策を行い。病人が少なくなり、魔法だけではなく薬品による治療や、外科手術などの技術向上させ、魔法で治せない病気や、魔法を使えない生き物も薬や手術などで治療が出来るようになり死者が少なくなった。

 だが、いくら最強のチート能力を有していても、最初から最強だったわけではない。

 今ではルシファーと名乗っているものの、以前は普通の名前で普通の暮らしをしていたただの人間であった者が、神からチート能力を貰って世界を渡り、見たこともない人外と戦えるはずもなく、それどころか【千の顔を持つ英雄】や【王の財宝】も武術や武器の心得のないルシファーには、使えるものはなかった。サイヤ人の能力は修行していないと弱いままだし、魔法にいたっては、魔法を知っていないと使えない大器晩成型の能力だったのだ。

 だが、ルシファーはある意味で幸運だった。サキュバスに死ぬぎりぎりまで精気を吸い取られる度にサイヤ人の能力である『死にかけから全快すると最大値が大幅に上昇する』で強靭な肉体を手に入れ、サキュバスの国王になってからは、サキュバスが使う魔法を始め、多くの魔法を覚え、始めの大陸を支配する頃には、すべてのチート能力を使いこなし一人で大陸相手に戦争をしかけるまでに成長した。

 そして、侵略され支配された国が反乱する可能性も始めはあったが、本来の女好きが幸いした。そう、支配国の姫や女王に子供を産ませて、その子供を国王に置くことで、王の権利と血筋を保たせ、しかも、戦争に勝利したにも関わらずに過度な略奪行為などや、旧体制の即時改革などもしなかったために、支配された国の国民からルシファーへの反感の声は少なかった。

 さらに、ルシファーが王になって始めの5年は国の運営や知識の収集などに追われたが、神からの恩恵か、すらすらと国の問題点と解決案などを出し、大陸一優れた大国と成長させ、その規格外の才能にルシファーに屈して傘下に入れば、新技術や食糧不足や国の問題を解決して国が栄えると大陸中の噂となり、発展を望む国の国王や自らの負けを認めた王、国政がうまくいかない国王などが、自ら傘下に下った。

 ルシファーは、なにを考えてこれらの事。世界を征服し大魔王と成ったかと言うと、理由はすごく簡単で人の本能に忠実なものだった。

 そう。ルシファーはただ『大勢の美女をその腕に抱きたかった』という願望だけで世界を支配するまでとなったのだ。

 いや……まあ、ルシファーは最初の国。サキュバスの王国で死ぬ寸前まで追い込まれる程の淫行を行っていたために、ルシファーの存在が、一種のインキュバスのようなものに変化し、そのインキュバスの特性故に女を求めるようになり、サキュバスの国民だけでは飽き足らず、サキュバスの女王が冗談のつもりで『近くにエルフの王国があって、エルフの女は美人ばかり』と言ったばかりに、エルフの美女を求めて戦争を仕掛け、未亡人で女王であったエルフやその娘だけでは飽き足らず、気に入ったエルフを嫁にして抱き狂わせて孕ませた。

 チート能力により世界最強のインキュバスとなったルシファーは、今度はエルフの近くに獣人族の王国があると知り、エルフの国の時の様に宣戦布告を行い。たった一人で獣人族の王国の軍隊を誰一人殺すことなく無効化し、獣人の姫や、猫の獣人や狐の獣人など様々な獣人を口説き、嫁にして孕ませた。そしてルシファーは人間や竜人や天使、悪魔や精霊と、美女を求めて次々と国を侵略した。

 しかも、インキュバスの特性で、どんな種族にも自分の子共を孕ませる事ができて、身分を隠して小さな村や町に現れ美女や美少女にも手をつけたために、規格外の人数の妻と子共を作った。更に言うと、永い時間の間青年の姿のまま偉大な王として君臨していると、自分の実の娘までもがルシファーに求婚した。しかも、求婚した娘は全体の7割以上で、顔を合わせる度に迫ってくる娘たちに根負けしたルシファーは実の娘も妻とした。だが、ルシファーが娘を妻にした事で、さらに娘との『娘』つまりは孫までも求婚した。さすがに難色を示したルシファーであったが、『実の娘を妻にした』という前例を持ち出され、涙ながらに懇願された事と孫も美人であったので、娘であり孫でもある女を妻にし、それがズルズルと続き、早熟な魔物や人間などは、とうとう4世代に渡って妻にして大勢の子共を孕ませた。

 つまりルシファーが何故大陸を支配し、繁栄を世界にもたらせたかと言うと、すべて『美女』と大勢の『家族』を養い安全で穏やかな生活を築くためだったのだ。移動手段の進歩も医療や効率的な食料の確保も、すべては愛する家族と楽しく過ごすためのものだったのだ。

 そして、ルシファーが世界に降り立って100年。神からあと10年で『ゼロ魔』の世界に召喚されると聞き、その10年間。このまま召喚されずにこの世界に留まるか、召喚されるかをなんども悩んだ末。このままでは、実の娘は親であり父親であり祖父である自分としか結婚しなくなるし、それにこのままこの世界に留まっては、息子の成長やルシファーに頼りきりになる可能性があるために、世界を渡る事を決意し、10年間で自分がいなくなったときの用意を始めた。

 用意と言っても10年後に召喚されると聞いた後に避妊をした(必死に子共を産ませて欲しいと頼む妻以外)ぐらいで、政治など小難しい事はすでに妻や子供たちに任せていたので引継ぎは簡単に終わり、きちんと準備をした末に召喚されたのであった。

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