小説『ゼロの使い魔 世界を渡る転生者【R−18】』
作者:上平 英(小説家になろう)

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『第25話 ”後半の?夏休みの過ごし方 中編 』





 ルシファーとルクシャナは向かい合わせにテーブル座り、ルクシャナが用意した朝食のパンや果物を食べていた。

 現在の服装はルシファーはワイシャツに黒い長ズボンで、ルクシャナは緑色を基調とした砂漠ならではの通気性に優れた民族衣装に着替えていた。

「へぇ〜。あなたはわたしが留守だったから、暇を潰すために湖で泳いだ後。無断で部屋に侵入。そして勝手にわたしのベッドを使って眠ってたのね」

「ああ、そうだ。無断で好き勝手しまってすまなかった」

 オアシスを無断使用した理由を話し、ルシファーは頭を下げた。

「ふんっ、それはもういいわよ」

 ルクシャナは鼻を鳴らして椅子にもたれかかった。機嫌が悪い。

 その態度にほんの少しだけいらっとしたルシファーは、テーブルに手をついて頭を下げた。

「いやあ、すまなかった! まさか……、まさかベッドに裸で! しかも『自分自身を縛って』添い寝してくるとは思わなかったんだ!」

「なっ!?」

「それにいくら前日に徹夜していたからと言っても、まさか丸一日起きないとは思ってなかった……。ルクシャナに一生忘れることの出来ない心の傷を与えてしまったのは俺の責任だ」

 大げさに言いながらルクシャナの手を取る。

「せ、責任っ……?」

「ああ。年頃の女の子の体を全てを見た上に、丸一日俺が起きなかったせいで、恥をかかせ、忘れられない傷を負わせてしまったんだ。もしよければ俺の妻になってくれ」

「なっ……!!? なに言っているのよ!!」

 ルクシャナが拳を振り上げ、ルシファーを殴ろうとする。ルシファーはおとなしく受けようとするが、ルクシャナの拳が寸前で止まる。

「………もうっ、いいわよ! あの夜のことはお互い忘れましょう! ていうか、忘れなさい!」

 ルクシャナは腕を組んでルシファーから視線を外した。

「あれ? 俺のプロポーズ的なものは…………、ああ、わかった。忘れます」

「ふんっ、それでいいのよ」

 掘り返そうとしたルシファーをルクシャナが睨んで止めた。

 少し……ていうか、かなり残念だ。今朝腕の中で喘いでいる様子はすごく可愛らしかったし、今の勝気でじゃじゃ馬そうなルクシャナとギャップを感じて、雄としてルクシャナが欲しい。

 しかも綺麗で、スタイルも最高。もう少し歳を重ねれば男を惹きつける花になる事だろう。

 ていうか、始めはいらっとして軽くからかってやろうと思ってたけど、やめた。ルクシャナはいい女だし、妻にしたい。俺の口説く対象だ。

「そんな目で見ないでくれると嬉しいんだけど?」

 ルクシャナは自分の体を這うルシファーの獲物を見つけたときの獣のような視線やめるようには言ったが、内心、本気でやめて欲しいわけでもなく、不思議と嫌ではない。それどころか心臓が高鳴り、下腹辺りが熱くなる。

 まったく、わたしったらどうしたのかしら……。

「それで、とりあえずはあなたの目的とか教えてもらえると嬉しいんだけど? あと、蛮族の事とかも」

 ルクシャナはルシファーに短剣を向けて言う。一応、敵意はないようだけど蛮族だし警戒していた方がいいだろう。

 短剣を向けるルクシャナにふっと笑い声を漏らす。

「何がおかしいの?」

 これには少しムカついたルクシャナがナイフを向けようとして、気づいた。

「えっ!? いつの間に!?」

 持っていたナイフがいつも間にかなくなっていて、さらにルシファーがそのナイフを持っていたのだから驚かない方が無理だ。

「まあ、落ち着けよ」

「…………っ」

 ルクシャナは警戒をゆっくりと解いて息を吐く。

「あなたに勝てない事はよ〜くわかったわ。……だから、きちんと訊くわ」

 ルクシャナはルシファーからナイフを返してもらい腰の鞘に収めると、今度は大きく深呼吸を行いルシファーと視線を合わせた。

「ルシファー。教えてくれない? あなたがこの地へ来た理由と、……あなたに精霊魔法がなんで効かないのかを? あと、よかったら蛮族の世界とかも」

「まあ、話せないところも少々あるが俺に教えられる範囲なら教えよう」

「ほっ! ほんとに!? ほんとにいいの!!?」

 まさか素直に教えてもらえるとは思っていなかったルクシャナは身を乗り出して聞き返す。顔が近い。

 これはキスをしてもいいのかな?

 試しにゆっくりと顔をこちらから近づけてみる。

「…………」

「…………」

 唇を近づき、お互いの生暖かい吐息があたる。だがこの距離になってもルクシャナは逃げようとしない。

 そのまま惹き込まれる様に唇が合わさる。触れるだけのキス。一度目はすぐに離れたが、すぐに二度、三度と回数を重ねる。そしてルクシャナが瞳を閉じたところでルシファーが唇を割って舌を侵入させた。

 ふふふっ、長い耳が感情を表してるみたいで跳ねる姿がすごく愛らしいな。う〜ん……、それにしてもルクシャナの口の味に覚えがあるのはなんでだ? まさか寝ていた時に奪った? ……まぁ、いいか。

 ルクシャナの舌を啜り、手を伸ばして胸を揉み始めると、ルクシャナがぱっと唇を離した。

「こっ、これ以上はダメよ……」

 椅子に座りなおし体を庇うように体を抱いた。

「それは残念だな」

 ルシファーは深追いせずにそれ以上手を出す事をやめた。

 ルクシャナはコップに注がれた水を一気に飲み干すと、顔を引き締め口を開いた。

「じゃあ、とりあえずあなたの目的は何?」

「目的……」

 少し、というか、かなり言いづらい。『砂漠の開いた土地を開拓して|国()を作るつもりです』なんて言える訳がない。

「言えない事なの?」

 ルクシャナが睨みを効かせた。

 ルシファーはかなり悩んだが、妻にしたい女に嘘をつくのもどうかと思い、大まかな目的を説明する事にした。

 だが、目的を離す前に必ず聞いておかないといけないことがある。

「先にこっちから質問してもらっていいか?」

「…………ええ。わたしに答えられることなら」

「俺の聞きたいことは二つ、一つ目は、この砂漠を支配する者。人間でもエルフでもどちらでいいが砂漠を領地にしている者はいるのかどうか。二つ目は砂漠の中でエルフや人間が使っている場所、開拓している場所はあるのか、だ」

 ルシファーの問いに頭をかかえるルクシャナ。

 熟考してから口を開いた。

「あなたの質問の答えだけど、まず一つ目は、砂漠はエルフの土地って事にはなっているけど、実際は言っているだけよ。きちんとした支配者はいないわ。そして、二つ目は答えられないわ。使っている土地って住んでいる集落も含まれるんでしょ? そんなの教えられるわけがないじゃないの」

 ルクシャナに訊けてよかった。ルクシャナの態度から種族間の差別意識は薄いことが感じられるし、こちらの話をきちんと聞いてくれる。それに、砂漠をエルフの土地と宣言するが、実際には土地の支配者はいないと教えてくれた。それに最後の質問にも言えない理由も彼女がバカではないことをあらわしている。ルクシャナは頭もいい。

「なら、砂漠の真ん中とかは?」

「砂漠の真ん中?」

「ああ。簡単に言うと、オアシスじゃないところは使うのか?」

「う〜ん………」

 ルクシャナは額に手を当ててしばらく考えた後に言った。

「そうねぇ……、一言で言えば使っていないわ。砂だけしかない場所に住むなんてエルフの技術を持ってしても出来ないわ。せいぜい移動……、にも使わないわね。ほとんどの移動は飛行艇でするんだし」

「そうか。ありがとうルクシャナ」

 ルクシャナに頭を下げる。

「じゃあ、今度はわたしの番よ。砂漠へ来た目的はなに?」

「それは砂漠の一部を開拓して家を作るためだ」

 国って言ったら、別の意味で誤解されそうだし、実際は家なんだからいいだろう。

「砂漠を開拓?」

 ルクシャナが興味を持ったようだ。耳がピクピク動いてる。

「ああ。砂漠は誰も使っていないし俺が開拓して俺の妻や子共が安全に過ごす事のできる家を作ろうと思ってきたんだ」

「妻?」

 ルクシャナの眉が釣りあがる。耳も若干上に向けて起っている。

「そういえば言っていなかったな。俺には妻が三……、いや四人いるんだ」

 タバサ……じゃなくて、シャルロットも、一応妻認識でいいだろう。

「へっ、へぇ〜〜……、そうなんだ」

 ルクシャナは自分の中に悲しいという感情が心を埋めていくのに戸惑った。なんで蛮族にお嫁さんが居たぐらいで悲しくなっているんだろう。わたしにはすでに婚約者が居るのに、二日前の夜に捕縛され、恥辱を味わい、最後に快楽を感じさせられ、今やっと知り合い始めたばかりの男に心を惹かれ、自分とはまったく関係がない事なのにイライラしている自分に戸惑った。

 ルクシャナは自分が気づかないうちに口を開いて言葉を紡いでいた。

「そう、四人も妻が居るの。さすが野蛮な蛮族よね。妻がいるのにわたしにもキスするなんて…やっぱり蛮族は蛮族なのね。節操がなさ過ぎるわ」

 ルシファーにすでに多数の妻が居る事など、今はどうでもいい事だった。それよりもルシファーがエルフの住む土地にきた目的の方が何倍も大事なのにも関わらず、自分の気持ちを口から出してしまった。

 ルクシャナはそのまま、ふんっと鼻を鳴らして椅子にもたれかかる。ルシファーは笑みを浮かべて言った。

「まあ、俺に節操がないのは認めるが、『誰でも』という訳ではないさ」

 椅子から立ち上がり、ルクシャナの前に立ち頬に手を沿え、瞳を合わせる。

「そ、それって……」

 ルクシャナは動く事が出来ずにルシファーを見上げたまま固まった。

「俺は気に入った女しか抱かないし、愛人は作らない。好きな女は全員責任とって妻にして孕ませる。そして妻と子共を守るためになんでもする覚悟も持っている…………」

 ルシファーは真剣な表情で語り、一拍開けて笑顔を浮かべてルシファーは再び口を開いた。

「それに……、俺は底なしでな。数十人を一度に抱いたとしても全く性欲が尽きないから、一人や二人ぐらい満足できなないんだよ。昔、一人に絞ろうとして壊しかけたからな。だから今は、好きな女には我慢しないで口説き落し、妻にして全力で愛情を注いでいる」

 ルシファーは固まったままのルクシャナの耳に顔を近づけ、囁く。

「俺はルクシャナ。お前の事も気に入った。本気で、心から言おう。俺はお前が大好きだ。俺は今すぐにでもお前を手に入れ、たっぷり愛を注いで子共を孕ませたい。お前と共に生きたい」

「な、な、ななな、な、なにを言ってるのよ!!」

 真っ赤になってルクシャナが叫んだ。

 ルシファーは真っ赤になったルクシャナの長い耳をひと舐めした後に甘噛みする。

「やめっ! やめてぇっ、そこは……、耳は弱いのぉぉぉ〜〜〜!!」

「ゴメン、無理。それより、ルクシャナ。……すごく可愛いよ」

 ルシファーの舌は止まらず、耳だけではなく頬や首筋まで舐め上げた。

「ああぁぁ……。い、いやぁぁぁぁぁぁああああああ!!」

 十五分ほど舐め続けているとルクシャナの体が震え、表情が雌に変わった。

 絶頂に達したようだ。

 荒い息を吐きながら椅子の背もたれに全体重を預けた。











 大股開きで椅子にもたれかかるルクシャナ。

 短いスカートの間からチラチラと白い下着が見える。しかも下着の近くには小さな水溜り、涎でベトベトになった顔と耳、首筋に新たに付けられたキスマーク。

 息づかいも荒くピクっピクっ、と長い耳が跳ねている。たぶん正気に戻るまでしばらくかかるだろう。

 ルクシャナの可愛さに暴走してしまったルシファーはほんの少し後悔していた。

 ルクシャナに目的を説明してさっさと国()を作りを始めないといけないのに、何もすることなく二日も無駄にしてしまった……。

 とりあえず横にならせよう。

 ルシファーは椅子から落ちそうになるルクシャナを抱き上げ、寝室へと連れて行く。

 ルクシャナをベッドに寝かせる。荒い息を必死に整えているようだ。潤んだ瞳がルシファーを見上げる。

「すまない……、少々やりすぎてしまった」

 ルシファーはルクシャナの額を撫でながら謝罪する。

 ルクシャナはまだ絶頂が治まらないらしく時折体を震わせていた。

 寝返りをうつルクシャナ。スカートが捲れ白い肌が晒される。

「これは……」

 ルシファーはルクシャナの股の付け根、太もも辺りにロープで縛られた痕がまだ残っている事に気づいた。よく見ると、手足や鎖骨にもロープで縛られた痕がある。たぶん、服で見えないが胸にも同様にロープで縛られた痕が残っている事だ。

「女の子の……、それも美人の体に傷が残ったら大変だな」

「……ふ、ふぇ?」

 ルクシャナはルシファーの手が服に近づくのが見えた。

 何するつもりなの?

 ルシファーの手が服を捉えた。抵抗しようにも体に力が入らない。

 ゆっくりと服を脱がされる。

 『恥ずかしい』そう思った。思ってしまった。

 婚約者のアリィーや叔父のビダーシャルにも裸を見られても恥ずかしいと思った事がなかったのに……。

 ルシファーに裸を見られると心臓の鼓動が加速する。下腹辺りが熱くなり、体が震える。でも嫌な気分じゃない。むしろ、嬉しさを感じてしまう。

ルシファーが顔を胸に近づけてきた。

 目を閉じる。胸に生暖かくてぬるぬるした舌が這う。

「あ、ああぁぁぁ…………」

 ルクシャナの口から自然に声が漏れる。すごく気持ちがいい。

 ルクシャナの体を舌が這い回る。

「綺麗だ、ルクシャナ」

 ルシファーは舌でロープの後をなぞる。

「んんっ、はぁぁああ、んっ……」

 ルクシャナはルシファーの舌がロープで縛られた部分を舐めている事に気づいた。そして、縛られたせいで痕が残って痛かったのに、舐められると痛みが快楽に変わり、さらに痕が消え痛くなくなったことに驚いた。

「前は大体終わったな」

「うぅん……、はぁ……、はぁ……、きゃっ!?」

 ルシファーはルクシャナをうつ伏せにすると背中を舐め始めた。

「やっ、あ、あ、ああああ…………」

 背中をゆっくりと這う舌にルクシャナは体を震わせる。

 ルシファーは嬉しそうに舐め続ける。

 ルクシャナの柑橘系の果物を連想させる匂だった。

 ルシファーがルクシャナの脇をペロペロと舐める。

 くすぐったさを快楽と認識し、さらに脇を異性に舐められると言う恥辱にルクシャナの理性は決壊寸前だ。

「もう、無理ぃいい……もう、やめ……、っ! な、な、なにをするつもりなの!?」

 ルクシャナの尻に両手をかけたルシファーに、ルクシャナは首を回し、ルシファーの顔を覗うが、ルシファーはそんなことお構いなしに、両手で尻の割れ目を大きく開かせると顔を近づけた。

「いやっ、うひぃっ!? どこに舌をっ!! ああっ、ヤダッ! なんなのよ……この感覚はぁぁ……」

 尻の割れ目を沿うように動かされる舌にシーツを握り締めて耐える。尻の穴を舌が通るたびに気が狂いそうになる。

「やっ! やっ、やめっ…………、ううぅぅぅぅううううううう!!!!!」

 ずぼっ! 尖らせた舌がルクシャナの尻穴を貫いた。ルクシャナの頭が白く染まる。

 ルシファーはぐいぐいと顔を押し付け、舌を奥へ奥へと伸ばす。

 「いやぁぁあああああああぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!!」

 大声を上げるルクシャナ。体が大きく跳ねる。顔が緩み、全身から力が抜けだらしなくベッドに転がる。

 満足したルシファーがずぽっと、舌を引き抜く。

「あ、あ、あ、あああああ…………」

 ルクシャナの股からチロチロと温かい液体が漏れる。完全に発情し、思考が低下してしまったルシファーは、「ここもしてあげないとな」と呟き、本能のままにルクシャナのオマンコに口をつけて、小水を浴びるように飲んだり、オマンコを舐めた。

 十二分に味わったルシファーは起き上がり、ルクシャナを胸に抱いた。

 ルクシャナはルシファーの胸に抱かれると、心地よさが心を潤し、気づかないうちに眠ってしまった。

 ルシファーは今すぐにでも限界まで昂ぶったペニスでルクシャナを貫き、子宮に溢れんばかりの精を放ってやりたかったが、処女で恋人ではないルクシャナを睡姦する訳にもいかず、仕方なく封印魔法を行使し昂ぶりを収めた。











「それで、あなたはほんとはどういう目的で砂漠に来たの?」

 ルシファーは浄化魔法で汚れを落した後。裸でベッドに入り、ルクシャナが目を覚ますのを待っていた。

 現在、ルクシャナは裸で、しかもルシファーに抱きしめられている事に気づき、驚いたが二回目なので、なんとか悲鳴を上げずにすんだ。

 ルクシャナは動揺していた心を隠してすまし顔でルシファーに尋ねた。

 ルシファーは天井を見上げて口を開いた。

「さっきも言ったが、俺の目的はこの砂漠の一部を開拓して家を作ることだ」

「家なら蛮人の世界でも建てれるんじゃないの? わざわざ砂漠に家を建てる意味が分からないわ」

 ルクシャナはまだ納得していないようだ。ルシファーはさらに言葉を続ける。

「ハルケギニアの人間は、貴族の平民だの身分の差が激しいし、ブリミル教徒っていうのが多いからな」

「でも蛮族のほとんどが悪魔の……、ブリミルを崇めているって聞いたけどあなたは違うの?」

「ああ、言ってなかったな」

「え?」

「俺は、蛮人だのエルフだのいう以前に、人間ですらないんだよ」

「へっ!?」

 ルクシャナがベッドから身を起こした。

「じゃ、じゃあ……、なんなの?」

 恐る恐る尋ねるルクシャナ。

「秘密だぞ?」

 ルクシャナの瞳を見つめて呟いた。

「わかったわ。誰にも言わない。約束するわ」

 ルシファーは頷き、呟く。

「俺の正体は、異世界から召喚された”元?世界を統べた王。大魔王ルシファーだ」

 魔力と神気をほんの少しだけ解放する。

 神気に当てられ活性化したオアシスの精霊が喜びを表しているかのように光を纏い踊る。

 オアシスが赤、青、緑、黄、白といった光の粒で彩られる。その幻想的な光景にルクシャナは声を出す事もできずにいた。

「…………」

 固まったままでルクシャナの反応がない。もっと驚くと思ったんだが?

「えっと……、聞いているか?」

「……………えっ、あ……、あっ! は、はい!」

 ルクシャナがベッドの上でいきなり土下座した。これには少し驚いた。

「大いなる意思とは知らずに……」

 ルクシャナが必死に謝罪の言葉を述べ始める。

 そう言えば、そうだった。

 俺が出した神気は、神の気で、精霊よりもずっと上位に位置し、精霊の最高位である大いなる意思よりも格が上。解放した神気はほんの少しだったけど、それでも大いなる意思と同等の力を持っているから……、エルフ認識で、大いなる意思=俺、って構図で信仰の対象になるんだな。

 とりあえず、ルクシャナに敬語使われたり、謝られるのはかなり気分が悪いから、とめよう。

「まあ、待てって」

「えっ、あ…………、はい……」

 ルクシャナを無理やり抱き寄せ、顔を見合わせる。

「俺は崇められたり、変に畏まられたりするのは嫌なんだ。それに俺は普段のルクシャナ……、知り合って間もないから言う資格があるか分からないが、俺は自然体のルクシャナが好きだから、そういう信仰してますって態度は止めてくれ」

「しっ、しかし……!」

「それに俺は大いなる意思じゃないし、さっき言ったろ? 異界からきた大魔王ってさ」

 ルクシャナの頭を撫でながら言い聞かせる。

「………………わかったわ」

 ルクシャナはしばらく無言で俯いていたが、再び顔を上げるころには元のルクシャナに戻っていた。

「まあ、もっと細かく説明すると、大いなる意思よりも俺のほうが高位で、半分神になっている魔人なんだ」

「……そうなの」

 ルシファーは周りを照らす精霊の光を指差して説明を続けた。

「今こうやって精霊達が踊っている理由は俺がさっき放った神の気……、神気が精霊達に力を与えているからだ。精霊からすれば神気を出す俺は神様と認識になる。その効果で俺にはエルフや亜人の使用する精霊魔法は効果ないどころか、逆に精霊の怒りをかって、俺を攻撃するはずの精霊魔法は行使手を襲う」

「じゃあ、わたしがあなたを捕らえるために使った精霊魔法が、わたしに跳ね返ったのは……」

「そうだ。自分の神である俺に攻撃させようとした、俺を傷つけようとした行使手を、精霊の敵とみなして、逆に襲い掛かったんだ」

「……そう」

「とりあえず、目的は教えたな。俺は自分の家作りのために砂漠に来た。ああ、そうだ。オアシスに来た理由は、今みたいに大いなる意思とか言われたりして、騒がれたくなかったのと、砂漠の民と言われるエルフに、砂漠で使用していない土地を聞きたかったからだ」

「そうなんだ……」

 俺はそれから前の世界でどんな生活をしていたか、どうしてこの世界に着たのか、思い出しながら語った。

 ほんとは、ぼかしぼかしで言うつもりだったが、口ごもるたびにルクシャナが胸を押し当てながら上目使いで見つめてくるので、事細かにどんな事があったか話してしまった。

 特に、ルクシャナは蛮族の、ハルゲギニアの人間の研究をしているだけあって、ハルケギニアの事の話をキラキラした目で聞いてくる姿は……、マジで萌えた。

 一晩中、ルクシャナに自分やハルケギニアの話をしてあげると、かなり懐いてきた。そう。顔を赤らめながらも自分から俺の上に乗っかって嬉しそうに顔を擦り付けるほどに。

 ていうか、他人から見たら、男を押し倒して襲おうとしている痴女か事後の余韻に浸るカップルにしか見えない。

「そうなんだ。ルシファーって蛮族……じぁなかった、ゲルマニアのキュルケって女に召喚されてこの世界に来たのね」

 嬉しそうに俺の話を聞くルクシャナを『今』犯すのは躊躇われたので、性欲を封印してルクシャナが満足するまで話をした。

 ルクシャナはルシファーの話に心を躍らせた。

 砂漠の民として砂漠から出ることなく、何の発展も、驚きもない、ただ聖地を守るだけの生活でただ毎日が前と同じように続けばいいと考えている評議会。

 ルクシャナはそんな人生が嫌で変革を求めていた。

 その変革をもたらせたルシファーに夢中だった。

 自分が求めるもの以上の事を教えてくれるルシファーに夢中だった。

 気づいたらルシファーの上に乗って抱きついていた。

 彼の体温が伝わってきた。

 でも、やっぱり嫌じゃなかった。

 それどころかもっと触れたくなった。もっと彼の話を聞きたい。もっと彼と話したい。彼とずっと一緒にいたい。彼の存在を感じたい。

 彼の存在がわたしの中で大きくなっていく。

 わたしは生まれて初めて『恋』をしたのだと理解した。











 夜が明け、太陽が昇り始めた頃、ルクシャナは睡魔に負けてゆっくりと眠りに落ちた。

 ルシファーは、ルクシャナを起こさないようにベッドから出ると、予定がおしていてルクシャナが起きるまで待つことができず、勝手に出て家から出で行く事への謝罪と、またルクシャナに会いに来るというメッセージを残してオアシスから飛び立った。












【後書き】




 

 感想コメントありがとうございます!

 それと、誤字報告かなり助かっています。ありがとうございます!

 次回! やっと夏休み偏が終わります!

-27-
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