小説『ゼロの使い魔 世界を渡る転生者【R−18】』
作者:上平 英(小説家になろう)

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『第30話 それぞれの終戦とタバサ救出隊 』





 アルビオン軍七万に対して殿を務めた才人は体中に傷を負って森に倒れていた。

「相棒! 目を開けろ! 死ぬんじゃねぇ!!」

 才人の近くで転がっていたデルフリンガーが才人に向かって叫ぶ。

 才人は戦場でアルビオンの司令官のところまで特攻し、剣を突きたてようとして倒れたのだった。体中に傷を負い死を待つだけだった才人をデルフリンガーの『吸った魔力の分だけ使い手を動かす』という能力で、サウスゴーダの森の中までデルフリンガーが運んできたのであった。

 だが、運んできたものの才人は致命傷を負っていて死ぬ寸前。デルフリンガーはバカでお人よしで久しぶりに現れた|ガンダールヴ(相棒)に死んで欲しくないと叫んだが、才人の腹の傷からはドクドクと真っ赤な血が流れ続ける。

 才人の虚ろな瞳がゆっくりと閉じ始める。

「相棒ぉぉぉおおおおおおお!!!!」

 デルフリンガーが叫ぶ。

「おいおい。マジで死にそうじゃんか」

「お、おめぇは……」

 デルフリンガーは突然森からやって来た男に驚いた。

「まったく……、だから戦争には行かない方がいいって言ったのによぉ」

 男は戦場にも森にも似合わない場違いな白いバスローブ姿で立っていた。

「おめぇはルシファー……、なんでこんなところに?」

「それは後で説明するさ。とりあえず、このバカの治療が先だ」

「治せるのか!?」

 デルフリンガーはルシファーの言葉に驚いた。才人の怪我は完全な致命傷でもう数分もすれば死んでしまいそうなのに治せると断言したルシファーに驚いた。

「ああ。さっさと治すよ」

「相棒を……頼む」

「ああ」

 ルシファーは才人に応急処置をすると、才人とデルフリンガーを抱えてウエストウッド村に連れて行った。











 怪我を負った才人のもとにつく前のルシファーは、降臨祭の最終日を四人の妻と乱交したりと穏やかに過ごしていたわけだったが、その次の日の早朝に才人にあげた銀色の首飾りが、才人の危篤を知らせてきたのだ。

 丁度、皆で朝風呂に入って、『姫初め』を始めようとしていた時に呼び出されたのでルシファーは少し機嫌が悪かった。

「じゃあ、とっとと治して戻るか」

 ルシファーはウエストウッド村のジャックとサムが使っていた家のベッドに才人を寝かせると、水の秘薬を結晶化した野球ボールほどの青い宝玉を才人の体の上に乗せ、水の魔法を発動させる。

「おお……、すげぇ、相棒の傷がどんどん治っていく……」

 デルフリンガーが呟いた。

 水魔法を使い始めて十分ほどで才人の体から完全に傷が消えた。

「これで大丈夫だな。まあ、精神の疲弊は回復できなかったから、おそらく目覚めるまでには少し時間がかかるだろうな」

 ルシファーは少し小さくなった水の宝玉を懐に戻すと、人型ガーゴイル(鉄拳参照:木人型)を三体ほど召喚する。

「じゃあ、才人の世話はこいつらに頼むから。じゃあな〜」

 手をひらひらと振って家から出ようとするルシファーをデルフリンガーが慌てて引き止める。

「ま、待ってくれ!! このまま相棒を放っていくのか!!?」

 ルシファーは振り返って、ため息をひとつ。

「当然だろ。世話役もいるし、食料もあるし、この家の周りには結界も張っている。才人も数日は目覚めないし、俺がいる必要はないだろ?」

「そ、それはそうだな……」

「それに、才人が目覚めたらガーゴイルが俺に知らせるようになってるから。才人が目覚める頃にまた来るさ」

「そうか」

 デルフリンガーもそれなら心配ないなと納得したようだ。

「相棒を助けてくれてありがとな。ルシファー」

「どういたしまして。伝説の剣」

 そうしてルシファーはマチルダとティファニアの元の家に向かい。マチルダの部屋に設置していた転移の『ゲート』を通って新居に戻った。

 結局、子共達の世話などで完全におあずけをくらってしまったルシファー達五人は夕食後、すぐに一人ずつに丹念に『姫初め』を行ったのだった。











 才人を治療してから一週間。才人が目覚めたと連絡を貰ったルシファーは様子を見にアルビオンへと向かった。

 才人から怪我の治療のお礼を言われたルシファーは、才人を学院まで送ろうとするが、使い魔のルーンが消えてしまいガンダールヴでなくなってしまったので、戻ってもルイズを守る事が出来ないと言い。ウエストウッド村で修行をする事にしたそうだ。

 ルシファーは修行用のガーゴイルを村に置いて、たまに様子を見に来ると言い残してから新居へと戻った。











 アルビオン軍とトリステイン、ゲルマニア連合軍の八ヶ月近くになった戦争は才人が七万のアルビオン軍に攻め込んだ後に突然参戦したガリア艦隊による一発の弾丸が、主導者クロムウェルがいる城を攻め落とし、主導者を失ったアルビオンは敗戦した。

 戦争が終わり戦争に参加したトリステイン、ゲルマニア、ガリア、ロマリアの四国は戦争の報酬(土地や資源)を奪い合う諸国会議が開かれる。

 結局、一番の戦火を上げ終結させたはずのガリアはアルビオンの港をひとつだけ要求するだけで、他はトリステイン、ゲルマニアで二分し、義勇軍しか派遣しなかったロマリアは残りを少しの土地を貰った。

 その諸国会議が閉幕する際にアルビオンの将軍で現アルビオン最高責任者のホーキンスがトリステイン、ゲルマニア連合軍を追撃する際に七万の兵を一人で止めた異国の服を着て長剣を持った英雄がいた事をアンリエッタに話し、その英雄に心当たりがあったアンリエッタは自分直属の銃士隊隊長アニエスを派遣した。











 一方、魔法学院では才人が死んでしまったと思い絶望したルイズが自殺しようとして、才人を同じく好きだったシエスタが阻止、ルイズとシエスタは才人が死ぬはずがないとアルビオンへ向けて出発した。











 才人が修行を始めて一ヶ月以上経った頃。才人の様子を見に来たルシファーが銃士隊隊長のアニエスがこちらに向かっている事に気づいた。

 ルシファーは転移魔法の存在を知られるわけにはいかないし、アニエスと会ってしまうとしばらく新居に帰れなくなる可能性が少しあったので、才人に『用事がある』とだけ言い、世話役のガーゴイル消し、結界と今後使わないだろうマチルダの家に設置した『ゲート』を回収して、わざと馬を使ってアニエスに気づかれないように迂回してウエストウッド村から離れた。

 ルシファーがいなくなってすぐ。才人はアニエスに見つかり、アニエスが『女王陛下の命令で探していた』と才人に話すが、才人は修行するから戻れないと断り、それからまたしばらくしてルイズとシエスタがウエストウッド村にやって来た。

 アニエスはルイズとシエスタに『才人は死んだ』と才人本人にそう言う様に頼まれ、ルイズとシエスタは落ち込んだが、二人は才人が生きていると諦めずに村に宿泊。

 その日の深夜に操られたシエスタに森へとおびき出され、神の頭脳ミョズニトニルンという額に古代ルーンを刻まれた女、操るガーゴイルに襲われ、ルイズは一か八かの召喚魔法、『サモン・サーヴァント』を唱える。

 才人の目の前に使い魔の鏡が現れる。

 才人は覚悟を決めて鏡に飛び込むと、ルイズが目の前に居た。『サモン・サーヴァント』が成功したことに喜ぶものの、周りはガーゴイル。才人は契約する前に周りを片付けることにして戦闘開始、アニエスの加勢も会ってガーゴイルを倒すことできた。

 ミョズニトニルンは戦いの途中で遠く離れたところにいる主人から通信が入り、いったん退く事にした。

 ミョズニトニルンと戦闘し終えたあと、なぜ死んだとアニエスに嘘をつかせたとルイズは才人に詰め寄り、使い魔のルーンが消えた事などを説明。ルイズと才人は覚悟を決めて『コントラクト・サーヴァント』を行い。才人はガンダールヴのルーンを再び手にいれ、ルイズの使い魔となった。











 アルビオンから飛び去ったルシファーは、久しぶりにジェシカたち『魅惑の妖精亭』の女の子たちに会いに向かった。

 キュルケとタバサは親に新年の挨拶に、マチルダとティファニアと子共たちは新年の祝いを騒ぎすぎたために今は砂漠でのんびりしているし、才人のところに数日は泊まるつもりだったから家にはまだ帰らない事になっている。

 砂漠の家で製作した特製のワインも出来上がったので、せっかくだから『魅惑の妖精亭』に持っていって、そのまま数日過ごそうと思っている。

 ルシファーはトリスタニアの近くの森まで飛行し、赤いトレンチコート姿に着替えた。そして、街道からトリスタニアへ入る。

 ルシファーが『魅惑の妖精亭』につく頃にはすっかり日も暮れ、稼ぎ時となっていた。

 ルシファーは入店すると、すっかり馴染みになったスカロン店長やジェシカが駆け寄ってきた。

「いらっしゃいルシファー。久しぶりだね!」

「ルシファーちゃん。久しぶりね!」

「ああ、久しぶりだな」

 ルシファーは二人に軽く挨拶し、ジェシカに通された席についた。

「ご注文はいかがなさいますか?」

 派手で露出の多い給仕服姿のジェシカが聞いてきた。

「じゃあ、いつものスープに、後は、肉料理をおまかせで」

「かしこまりました。ワインはなににいたしますか?」

「今日はワインはいい……、というか、これを飲もうと思ってな」

 自分で製作した特製ワインをテーブルに置く。

「えっと? ラベルが貼っていないけどどこのワインなの?」

「ああ、俺が作ったワインだ」

「えーーー! ワインを作ったの!?」

 ジェシカが驚いて声をあげた。

「まあな、趣味で作ったものだけど味は保障するよ」

 とりあえず、ジェシカに注文をとってもらった後に、接客についてもらう。

「ほら、飲んでみてくれ」

「えっと……、いいの?」

「あたりまえだろ」

 ジェシカのグラスにワインを注ぐ。

 注がれたワインからブドウの香りが溢れだす。色も美しく、透き通っていて輝いている。

「すごく美味しそうだけど……」

 ジェシカがワインを一口含む。

「すごく……、美味しい……」

 ジェシカが感動したように呟いた。呆けた表情でワインを見つめていた。

「美味しいだろ」

「ええ。すごく美味しいわ。こんなお酒飲んだことなんかないわ……」

 それから、ジェシカを脇に抱きながら特製ワインを飲み、料理を食べた。

 そして、店が終わってもルシファーはジェシカとワインを飲み、スカロンも部屋に戻った後。酒に酔って足元のおぼつかないジェシカを抱えて、先にとっていた二階の部屋に入った。

「ふふふっ、すごく美味しかったわぁ……、こんなに酔っ払ったの初めてよ……」

「そりゃあ、よかったよ。作ったかいがあったよ」

 ジェシカをベッドに寝かせ、自分も横になるとジェシカが抱きついてきた。

「あはは……、わたしは身が固くて有名だったんだけどね……」

 ジェシカは小声で呟くと、ルシファーのズボンに手を差し込んできた。

「うわぁ、なによこれ? いくらなんでも大きすぎるでしょ……」

「ジェシカ?」

「女は度胸よジェシカ……! 女は度胸……!」

 ジェシカは意を決したようにルシファーのズボンに手をかけて引き摺り下ろした。

 ボロンっとペニスが外に出された。

「いくわよ……」

 ジェシカは呟くと髪をかきあげてペニスにキスをした。

 ルシファーはジェシカのしたいようにさせる。

 ジェシカはキスをした後、ペニスを両手で掴んで飴でも舐めるように舌を這わせた。

「どう? 気持ちいい?」

「ああ。すごくいいぞ」

「ふふっ、そう」

 ジェシカは笑顔になると今度は、ペニスを咥えた。不慣れだった手つきの怯えが消えてどんどん大胆になっていく。

「これで挟むと気持ちいいんでしょ?」

 ジェシカが豊満な胸でペニスを挟み込みながら飛び出た亀頭にキスをする。

「ああ……、気持ちいい。最高だよ」

 ジェシカのパイズリフェラに夢中になるルシファー。ジェシカはルシファーの雄の視線に体を昂ぶらせる。

「ジェシカ、こっちに尻を向けてくれ」

「ふ、ふぇ?」

 ルシファーの要望に少し驚いたものの素直に従うジェシカ。

 ルシファーは向けられたジェシカの尻を掴む。フリルのついたスカートをまくる。

 スカートをまくるとピンク色の質素な下着が現れた。使い込まれた下着のようで筋に沿ってシミが目立った。

「可愛いな」

「えっ!? きゃっ……!」

 下着をずらすと小さな悲鳴をあげるジェシカ。そんなジェシカの尻を掴んで引き寄せると、オマンコに口をつけて舌を伸ばして舐めていく。

 黒くてちりちりしたマン毛が厭らしく生えていたが、オマンコは綺麗なもので、クスミや汚れ、形の変形などはなく整っていて膣口もクリトリスも未発達で、綺麗だった。

 さらに、オマンコを両手で左右に大きく開くと、膣道を少し進んだ辺りに膣穴の周りに薄い皮の処女膜を発見した。

 ルシファーは処女膜を傷つけないように、クリトリスを包皮越しに舐めたり、膣口や尿道を舐めた。

「うぐ……、ま、負けないんだから……」

 ジェシカはそう呟くと激しく頭を上下に動かした。

「ふふっ、俺も負けないぞ」

 ルシファーもジェシカと同じようにスパートをかける。射精感が高まった瞬間。ルシファーはジェシカの膣道に指を引っ掛けて擦る。さらに、クリトリスの包皮を剥いで、クリトリスを吸った。

 クリトリスを吸われるという大きな快楽にジェシカの頭が白く染まる。そして、ルシファーも精を解放してジェシカの喉に精液を放った。

「うぐぐぅ……、うぶっ……うぶぶぶっ!」

 ジェシカは口の中に吐き出されたルシファーの精液に頬を膨らませながら、飲み下していった。

 ルシファーと寝たことのある同僚の女の子が、ルシファーは精液を飲むと悦ぶと言っていたので頑張って飲み下した。

 喉に絡みつき、鼻を抜ける生臭さ。熱くて濃厚な精液に驚いた。

 すごく、美味しい……、体が火照っちゃう……。

「ぷふぁぁ……、うふふ、あなたのワインも美味しいわぁぁ……」

 ちゅぽんとペニスから口を離したジェシカは妖艶に微笑んだ。

 もう、ジェシカの頭にはルシファーしか入っていない。ルシファーもやっと体を許してくれたジェシカに興奮し、ジェシカの下着を脱がせると強引に押し倒して四つんばいにすると、後からいっきにジェシカを貫いた。

「ああん!? ……んんぅ! いやぁ……、はげ、激しい……って、わたしは、初めて……、なのよぉ……!」

「初めての割には感じているみたいだが?」

 ルシファーの言うとおりジェシカは感じていた。

 確かにジェシカは処女だったが、破瓜の痛みも出血もなく、快感を感じている艶のある悲鳴をあげていた。

「もうっ……!」

 ジェシカは恥ずかしそうに頬を染めた。ルシファーは衣装からこぼれ落ちる胸を両手で揉みながら腰を打ち付ける。

「いいぞ! 最高だぞジェシカ!」

 耳元で囁きながらジェシカを味わう。

 ジェシカは粘度も量も丁度言い濡れ具合で、さらに絞め方も貪欲で柔らかく柔軟。さらにジェシカから香る体臭は甘く脳を溶かすもので、体を彩る汗の煌きや、酒場や普段のジェシカとは違う初めてみるジェシカを心行くまで楽しんだ。

「さあ! もう一発だ!」

「ふぁぁあああ……! もう! もう! 入らないぃぃいいいいっ!!」

 何度となく射精された精液に下腹を膨らませながらジェシカは絶頂した。ジェシカがベッドにへたり込み、ペニスの栓を失った子宮が収まりきらなかった精液を流れ落とす姿にルシファーはさらに興奮し、今度は、くすんだピンク色のアナルに口をつけた。

「ここも可愛いな」

「ひゃんっ!? な、なにを、する、の……?」

 ジェシカはルシファーの方へ首を向けるが、ルシファーが自分の尻に顔を近づけているようにしか見えないし、何よりもアナルを舐められるという行為に混乱していた。

「ほら、気持ちいいだろう?」

 ルシファーは混乱するジェシカを無視して舌を尖らせ、アナルに深々と突き刺した。

「ふぐぐぐぅぅぅ!!」

 ジェシカの肺から口へと空気が漏れる。

 ジェシカはベッドのシーツを握り締めて、ひたすらルシファーの舌技を受け続ける。

 何十分とアナルを舌で開発し続け、ジェシカがアナルで感じ始めた頃、ルシファーはジェシカのアナルにペニスを押し付けた。

「ふぇ!? ちょ、ちょふぉぉおお!?」

 ジェシカのアナルを少しずつ少しずつ掘り進めるペニス。厭らしい音を漏らしながら、挿入されていくペニス。

 ルシファーはゆっくりと腰を前後に動かし始め、ジェシカは押し込まれたり、出している感覚や尻の異物感にひたすら耐えた。

 そして、しばらく動かされている間にジェシカはアナルで快楽を感じ始めた。出しているような開放感と体を好きなように蹂躙されている征服感などを快楽と認識し、ルシファーをひたすら求めるようになった。

 ルシファーとジェシカはひたすら交じり合った。お互いの体を求め合い、すべてを晒し合い、快楽を貪りあった。

 それから、数日間。ルシファーは『魅惑の妖精亭』に泊まり、ジェシカやアンネ、ジャンヌなどと甘いひと時を味わった。

 ちなみに『魅惑の妖精亭』に持ち込んだワインは、試飲品として五本ほどジェシカの店に無料で渡した。











 一方、アニエスはアンリエッタに才人が生きていた事を報告。ウエストウッド村に数日滞在した後にアンリエッタが派遣した戦艦一隻に乗ってトリステイン王国、首都トリスタニアの王宮へと向かった。

 そこで才人はアンリエッタから貴族の位。平民でも力や手柄を立てればなれるシュヴァリエの称号を貰った。

 そして後日。トリステイン魔法学院に帰り、コルベールの死を聞いた才人は『この世界で自分にできることはなんなのか』と悩んだ結果。アンリエッタから創るように言われていた騎士団を設立した。

 最初は隊長を才人が勤めるはずだったが、貴族至上主義で平民がメイジが所属している騎士団を率いる事は体裁が悪いと進言を受けて、ギーシュを隊長にして副隊長に才人が納まった。ちなみに騎士団の名前は昔トリステインで伝説と呼ばれた『水精霊(オンディーヌ)騎士隊』と命名された。構成騎士は全員が学院の生徒であった。











 才人が騎士団の副隊長とになり、訓練という『騎士ごっこ』に明け暮れていた頃。ルシファーとキュルケはコルベールがやっと完成させた科学の力で空を飛ぶ大型高速船『オストラント』号の試運転に参加していた。

 試運転に参加していないタバサはと言うと、ルシファーから『複写の手鏡』という宝具を借りて先にトリステイン魔法学院に戻り、魔法学院の図書館に蔵書された本を複製しまくり、砂漠の新居に運んでいた。一応、オスマンに話を通してあるので咎められない。

 まあ、オスマンには『複写の手鏡』で複写したモノは二日で消えると間違って報告してしまったがな。二日で消えるのは生き物だけで、無機物の複写に持続時間がない事を言っていなかった。

「じゃあ、僕は出発するよ」

「ああ。先に行ってくれコルベール」

 コルベールは無事に試運転を終え、魔法学院へと飛び去っていった。

 ルシファーとキュルケは、正式にキュルケの婚約者にルシファーがなったと領民に報告するためにツェルプストー家に残ったのだった。

 ルシファーとキュルケは二日ほどかけて領地を周り挨拶し、その後、学院に戻るためにトリステインに向かうが、転移は使えない。コルベールを運ぶ時に使った魔法学院から借りた馬車を返さなければいけないからだ。

 ルシファーとキュルケはツェルプストー家に別れを告げて、二人っきりの馬車の旅を楽しんだ。

 御者は魔法で作ったガーゴイルだし、馬車には結界を張っているから盗賊などから襲われる心配もない。さらに領地での婚約発表と馬車の密室空間と二人っきりという状況に旅の間中、激しく交じり合った。











 ルシファーとキュルケがコルベールに遅れて学院に着くと、才人がいきなり詰寄って来た。

 話を聞いてみるとタバサが才人に魔法で襲い掛かった後、姿を消したのでどこに行ったか知らないかと聞いてきたのだ。

 ルシファーとキュルケは顔を見合わせた。

「タバサはまだ一人で背負い込む癖が残ってるみたいね」

 キュルケがため息を吐いて呟いた。

「そうだな。助けだしたらたっぷりお仕置きだな」

 ルシファーも呆れ気味に呟く。

 そこで、襲われた才人に事情を教えないのもどうかと思ったので、仕方がないとタバサがガリアの王族だという事と母親(身代わり人形)が人質に取られていることなどを教えた。

 ルシファーとキュルケはすぐにタバサを助けに行こうと、作戦を立てた。知らない場所には転移できないが、捕まったタバサの近くには母親(身代わり人形)いるだろうから、母親(身代わり人形)の場所へ向かってキュルケを抱えて高速飛行で助け出そうとしたが、才人が『俺を見逃したせいで捕まったんだ』とか言って、暴走。アンリエッタに言ってタバサを助けに行くと言った。

「はぁ〜〜、サイトが助けに行くって言うなら、無茶してでもマジで助けに行くんだろうなぁ〜〜」

「そうよね〜、ルイズもサイトも普通に無茶するからね……」

 ルシファーとキュルケは寮の一室から、才人たち『水精霊騎士隊(オンディーヌ)』がたむろっているコルベールの研究所の隣に立てられたゼロ戦の格納庫を監視していた。

 ルシファーとキュルケなら確実に迅速にタバサを救い出せるのだが、二人が出発した後に才人たちがガリアに向かう事を懸念しての監視だった。

 自分達二人だけで救いに行くと言ったとしても、戦争で活躍せず、実力が不明なルシファーを才人とギーシュ以外の騎士隊が認めないだろう。

「それで、シャルロットは大丈夫なの?」

 キュルケが心配そうに聞いてくる。

「ああ。『身代わり人形』を通して相手の計画は知った。心を奪うエルフの魔法薬を飲ませようとしているが、調合にかかる時間は一週間あるそうだし、シャルロットの母親の心を奪う魔法薬を解毒したのは俺だぞ。それに、いざとなれば『身代わり人形』の命令を変えてシャルロットを守るようにして、その間に俺が高速移動して敵を滅ぼす。その計画も『身代わり人形』を通してシャルロットにも伝えているしな」

「それなら安心ね!」

 キュルケもそれなら無事だろうと肩の力を抜いた。

 監視を続けていると、才人たちがたむろっていた格納庫の天井がぶち破られた。

 そして格納庫から才人たちと一緒に出できた二十代ぐらいの青い長い髪で整ったスタイルと無邪気な子共のような笑顔を浮かべる頭の悪そうな天然娘が出できた事に監視していた二人は驚いた。

「あれは!」

「シルフィードじゃないの!」

 二人は急いで使い魔名シルフィード、本名イルククゥの元へと向かう。

 ルシファーとキュルケはシルフィードが韻竜で人間になれるという事はかなり前から知っていて、ルシファーと肉体関係はまだないものの新居の後宮に一室持っているし、外にも竜の姿で住む家も持っいて、ルシファーの現在の関係でしっくりするものは頭のいい兄と頭の悪い妹だ。

「お兄さま! 赤いの!」

 近づいてくるルシファーとキュルケに気づいたイルククゥが抱きついてくる。

「おい、大丈夫か?」

「まったく……、赤いのってなによ、赤いのって」

 イルククゥがルシファーとキュルケに泣きながら抱きつく様子に才人たちは呆然と眺めていた。

「とりあえず、裸は不味いだろ。これでも着とけ。怪我しているみたいだな。いま治してやる」

 ルシファーはとりあえず裸のイルククゥに身に着けていたマントを着せ、怪我の治療を終えた。

 その後、イルククゥがタバサの『妹』であるという証人になった。

 イルククゥに作戦を説明しても頭がアレなので、確実に助けると約束だけした。

 それから、才人とルイズ達を結局学院に置いていき、電撃戦で救出しに行こうとしたが、また才人たちが暴走。王宮に報告してからタバサを助けに行こうと言う事になり、コルベールの『オストラント号』を起動させて才人たちを王宮へ運ぶとか言い出しやがった。

 ルシファーとキュルケは仕方なしに才人たちがどうなるかを確かめに同行。『オストラント号』にある一室から観察していた。

 結局、王宮に才人とルイズ、ギーシュにマリコルヌが捕まって、ルシファーとキュルケは今のうちにタバサを救いに行こうとすると、コルベールがいきなり『才人くんたちを助けなければっ!』と才人たちを救い出してしまった。

「ダーリンどうするの? ルイズたちも連れて行く?」

 キュルケの問いにルシファーはため息をはきながら言った。

「連れて行かなきゃいけないだろうな。あのまま王宮に閉じ込めておきたいが、コルベールが助ける作戦を立てるとか言ってたし……、まったく……。ほんとは今すぐにでもシャルロットを助けに行きたいところだが……」

「あの子達も悪気はないのよね〜」

「そうなんだよな。助けに行こうとしてくれている事は嬉しいんだが、無茶が過ぎるだけなんだよ」

 ルシファーはコルベールが立てた救出作戦に参加し、才人たちを救出して『魅惑の妖精亭』に向かった。

 『魅惑の妖精亭』にはあらかじめ連絡していたので、タバサ救出部隊(ルシファー、キュルケ、ルイズ、才人、ギーシュ、マリコルヌ、コルベール、イルククゥ)に回復役で何故か同行するモンモランシーの分の馬や旅装を受け取った。

 そこで、コルベールの作戦の下、陸路でガリアに向かう事になり、才人の『水精霊騎士団』の残りのメンバーが『オストラント号』をゲルマニアへと向かわせ囮役となる事になった。

 ルシファーたちは馬を途中の駅で換えながら、一日半駆けし、国境から十リーグの地点にある酒場町までやって来た。

 指名手配されているトリステインにいるよりも、ガリアに居る方が安全という事で深夜に国境を渡る作戦で、現在は酒場で腹ごなしをしていた。

 貴族の服装などは目立つというので全員、いつもの格好ではなく旅芸人風の服装に着替えていた。

 ルシファーはわざと古い甲冑と、刃が少しかけた長剣を背負った傭兵風の格好に、キュルケは東方の踊り子の服で額に宝石のついたサークレットをはめている。イルククゥも東方の踊り子の衣装に身を包んでいた。

 マリコルヌはピエロ。ギーシュは付け髭をつけて酒売りに、コルベールは僧服を羽織っていて、モンモランシーはキュルケと同じ露出の高い踊り子の衣装。ルイズは体に合う踊り子の衣装がなかったので、草色のワンピースに目立つ桃色の髪を茶色に染め、頭巾を被っていた。才人は羽根のついた帽子を被り、デルフリンガーを背負って、剣舞をする役者風に変装した。

「なんでこんな格好しなくちゃならないのよ」

 モンモランシーがわなわなと震えていった。

「いつもの格好そのままじゃ、貴族って言っているようなものじゃないか」

 ギーシュがとりなすように言った。

「他に格好はなかったの? いやだわ。ジロジロ見られるんですもの」

 酔客たちは、胸を隠す布と、大きく膨らんだ腰布を身につけたキュルケとモンモランシーを、好色そうな目でちらちらと見つめている。自尊心の高いモンモランシーには、そんな視線が耐えられないのであった。

「っていうか人前でおへそを出すなんて考えられないわよ。なんなのよこれ。下品もいいところじゃないのよぅ……」

「たまにはいいじゃないの。似合ってるわよ」

 キュルケが楽しそうな声で言った。

「じろじろ見られてもらえないかわいそうな人もいるんだから……」

「なにそれ。わたしのこと言ってるわけ?」

 頭巾を巻いた下働きの少女ルイズが、キュルケを睨んだ。

「あんた、随分とのん気なものね。あんたの親友を助けに行くってのに、そのふざけた態度はなんなわけ?」

「じゃあ、あんたみたいに眉間にしわ寄せて、難しい顔していれば成功するの? それで成功するなら、あたしだってそうするわ」

 二人はぐぎぎぎぎぎ、と睨みあった。

「キュルケ、そこらへんで止めてこう」

「喧嘩すんなって。仲良くしなきゃ、成功するもんも成功しねえよ」

 ルシファーと才人が同時に止めた。コルベールが頷く。

「サイトくんの言うとおりだ。我々はチーヌなんだ。些細な齟齬が、大きな亀裂につながることを各自理解して、行動せねばならない」

 コルベールに賛同して、食事をしながら今後について相談する。

「とりあえず、ガリアに行くのはいいけど、タバサの居場所は分かってるのか?」

 才人が、厚切りのハムを挟んだパンを齧りながらキュルケに聞いた。

「それは大丈夫だ。タバサの位置は大体分かっている。おそろく、ガリアのアーハンブラ城に幽閉されている」

 キュルケの代わりにルシファーが答えた。

「なんで知ってるんだ?」

 不思議そうに才人が尋ねる。

「タバサはいつも危なっかしいところがあるから発信機をつけているんだよ」

「そ、そうか……」

 ルシファーがワインを飲みながら言うと才人は納得して再びパンを齧り出した。

「それじゃあ、場所も分かった事だし、城をどうやって落すかだが……、それは移動中に考えよう。一日以上馬を走らせたんだ。みんな疲れているだろうし、今のうちに仮眠をとっておこう」

 コルベールの提案に頷いて、二階の宿屋。ベッドが二つある大部屋を取って夜まで仮眠をとることにした。

 大部屋に着いたキュルケはルシファーベッドに引きずり込むとすぐに二人で寝息を立て始め、その隣におすそ分けとばかりに、マリコルヌがその脇に潜り込む。ギーシュとモンモランシーはもうひとつのベッドを使った。踊り子姿に興奮したのか、ギーシュがいそいそとモンモランシーに手を伸ばしたが、はしんを払いのけられ、恨めしそうに反対側で丸くなった。

 ルイズと才人とコルベールは、壁を背にして座り込む。

「こ、こら、キュルケ……」

 一番初めに寝息を立て始めたルシファーとキュルケだったが、全員が眠ってしまった後、キュルケが伸ばしてきた手に反応して小声で呟いた。

 現在、部屋で起きているのはルシファーとキュルケのみ、キュルケはチャンスと言わんばかりにルシファーに抱きつき、ペニスを取り出して股に挟んでいた。

「ふふふ、タバサを助けに行くんだから景気づけしないとね」

 キュルケは妖艶に微笑んでルシファーと唇を交わす。

 くちゅくちゅと漏れる水音、口の端から伝う涎。ルシファーは慌てて、自分とキュルケの体に結界を張った。

「一応結界を張ったから気づかれないが、友人の前で隠れながらセックスするのはそそるな。それに、踊り子の服をきたキュルケはほんとうに美しい……」

「ダーリン……」

 それからルシファーはマリコルヌを背に狭いベッドでセックス楽んだ。夕方まで貪るようにキュルケと楽しんでいたが、外の気配が変わったことで、ルシファーはキュルケの膣にこれで最後と一発出してから、『浄化』で体についた体液や臭いを落とす。

「おい! みんな起きろ!!」

「な、なんだ!!?」

「何が起こったんだ!!」

 ルシファーの叫びに才人とギーシュが飛び起きる。

 ルシファーは絶頂でまだフラフラのキュルケを抱き上げると説明した。

「トリステインにここにいることがばれたみたいだ。この酒場に向かって軍称をつけた中隊が向かっている」

「な、なんだって!?」

「それは不味いな」

 才人たちは急いで起き上がって宿から出る。国境を越えるために馬に乗ったが兵士達がそこまで迫っていた。コルベールが『このままでは追いつかれる』と囮役をかいでて酒場に残った。

「大丈夫かしら先生」

 キュルケが酒場に一人残ったコルベールを心配そうに呟いた。

「まあ、大丈夫だな。あの甘い女王が殺すような命令を出すとは思えないしな」

「それもそうね」

 ルシファーたちは国境を越えてガリアへと渡った。

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