小説『ゼロの使い魔 世界を渡る転生者【R−18】』
作者:上平 英(小説家になろう)

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『第33話 ガリア王ジョゼフの氷解とタバサの妹と 後半 』





 ガリア王国の混乱が収まった後、ルシファーたちは新魔国へと帰国し、キュルケたちに報告した。

 これでタバサが王に仕立て上げられる事も、エルフィアがガリア王国の政争に関わり合いになることは一応なくなったと見ていいだろう。

 ルシファーは報告が終わると、今度はエルフィアから受けた相談に移る。

 ガリアの国土の端、陸の孤島の寺院からタバサの妹、ジョゼットを新魔国へと移住させることだ。

 ルシファーは今度は一人で飛行する。

 寺院の場所は、ガリア領土の海の小島、タバサとエルフィアから血液を採取させてもらっているので、孤島に近づけばジョゼットが居るのかが分かる。

 ルシファーは高速で飛行し、ジョゼットと思わしき反応がする寺院へとたどり着いた。

 とりあえず、今のままじゃ目立つし、変装するかあ、引き取りても年のいった老人のほうが怪しまれそうにないし……、ていうか、ジョゼットがガリアの王族だと知っている人間がいたら、ジョゼットが政争に巻き込まれるんじゃないか? 一応、保険も用意して連れ出したほうがいいな。

 ルシファーは、くすんだ青髪の老人に姿を変え、ごく自然を装いボロ船を作り出し、いかにも本土から船で来たと装い上陸した。

 ルシファーは寺院の本殿まで歩く。

「あなたは……」

 ルシファーは出できた女司祭に『以前連絡したジョゼットを引き取りに来た親の関係者』だという暗示をかける。

「以前ジョゼットを引き取ると連絡をしたゴドウィーじゃ、すまんが、ジョゼットの元まで案内してくれないかのう」

 ルシファーは老人ゴドウィー(偽名)を装い、女司祭に言うと、女司祭は疑いもせずに案内を始める。

 案内中にであった修道院長にも暗示をかけたので、ルシファーは完全にジョゼットを引き取りに来た老人と言う人気になっている。

 女司祭に案内された神殿で祈りを捧げている長い銀髪の女の子からタバサたちの血液が反応した。

 ゴドウィー(ルシファー)は銀髪の女の子に声をかけた。

「お主がジョゼットかのう?」

 銀髪の女の子が振り返った。

「はい、えっと……? あなたは?」

 髪の色も顔の形もタバサやエルフィアに似ていない。おそらく首の聖具に『フェイス・チェンジ』の魔法でもかかっているんだろう。

「お……、わしはゴドウィー。お主の母君の頼みでお主を迎えにきたのだ」

「お母さん?」

「ああ。お主の母君だ。まあ、とりあえず船の時間もあるし、先を急ごう」

 ゴドウィーは修道院長にジョゼットの今までの生活費としてエキュー金貨の入った袋を渡した。

「さあ、ジョゼット。お主はこれから世界にでるのだ」

「えっ!? えっ!?」

 ジョゼットはなにも分からぬままに、身支度と他の修道女への別れを告げさせられ、ボロ船に乗って、陸の孤島からガリア本土へと向かう。

「えっと……、あなたはわたしとどういう関係の人なんですか?」

 ジョゼットは自分を寺院から連れ出した老人ゴドウィーに尋ねた。

「そうだな……、お前の義父であり、義兄さんといったところかな」

「えっ!?」

 尋ねられたゴドウィーは、姿を変える魔法を解除して、ルシファーの姿に戻った。

「そ、その姿は!?」

 ジョゼットは突然目の前の老人が、若い黒髪の男に変わったことに驚いた。

 ルシファーは驚くジョゼットに笑い声を上げながら説明した。

「ああ、すまなかったな。この姿が俺の本当の姿なんだ。改めて自己紹介をするよジョゼット、俺はルシファー。ルシファー・ベルモンド・サーゼルベルグ。お前の母親と姉の夫だ」

「へっ!? お父さん!? いや、姉さんも……、ええっ!?」

 ジョゼットは間抜けな声を漏らして驚いた。

「ああ、すまないすまない。正確にはお前の父は故人であるガリア王族のシャルル・オルレアンでな、俺は未亡人のオルレアン公夫人を妻に娶った義父で、お前の姉のシャルロットの夫でもあるんだ」

「ガリア王族……!?」

「まあ、とりあえずその『フェイス・チェンジ』の込められた聖具を外そうじゃないか」

「えっ!? 『フェイス・チェンジ』!?」

「なんだ気づいてなかったのか? ほら」

 ルシファーはジョゼットの聖具を外した。

 聖具を外された事により、ジョゼットの顔が『元』に戻る。

「ふむ……、母親と姉に似て美人だな。これは将来が楽しみだ。ほら、これがジョゼットの本当の顔だ」

 ルシファーはそういうと【王の財宝】から手鏡を取り出した。

「これが……、わたし?」

 ジョゼットは鏡に映った自分の本当の顔、自分の本当の髪、青く長い髪を見つめた。

「じゃあ、本土に着くまでまだまだ時間もあるし、お前がなぜあの寺院で暮らしていた理由と、母親と姉の事を話そうか」

 ルシファーはそう言うと、ガリアの二つの杖と一つの王冠と言う王家で双子が産まれた場合、王位争いをさせないために二番目に産まれた子共を殺すという掟によって、ジョゼットがいない者として寺院に送られた事や、ジョゼットにこれまでの出来事をありのままに話した。現王ジョセフにジョセフの実弟であった父親が殺され、オルレアン公夫人が毒を盛られ、姉のシャルロットはタバサと名を変え外国に飛ばされ、危険な任務を受けるように強制させられていた事、自分がオルレアン公夫人の毒を解毒し、ガリア王ジョゼフに兄弟が憎しみを溶かし、ガリア王ジョセフと、シャルロット(タバサ)とオルレアン公夫人(エルフィア)は一応の和解をしたことなどを事細かに説明した。

 ルシファーが話を終える頃にガリア本土へと到着した。

「…………」

 ジョゼットは突然聞かされた身の上に混乱した。

「まあ、とりあえず、ジョゼットが寺院に居た理由と、家族について話したな……」

 このまま連れ帰ると、夜になりそうだし……、ハーフエルフの、ティファニアについてきちんと説明しとかないと不味いよな〜。生まれてからずっとブリミル教に染まっていたわけだし、エルフを見た途端に気絶されても困るし。

「ジョゼット、今日はもう遅いから、この辺で宿を取るぞ」

「へっ!? や、宿ですか?」

 ジョゼットの驚きように、ジョゼットが今まで陸の孤島に住んでいた事を思い出した。

「そうだったな。まだジョゼットは世界を知らなかったな」

 ジョゼットはルシファーの言葉にふてくされ、ぶすっとして呟いた。

「どうせわたしは世間知らずですよ……」

 タバサよりも感情豊かで感情を表に出すジョゼットにルシファーは新鮮さを感じながら笑顔を浮かべて、頭に手を置いた。

「あはははっ、すまない。これから世界を知っていればいいさ」

 ルシファーは『細工』を施した後、ジョゼットを連れて宿へと向かった。













 「あんなに大勢の人を見たのは生まれて初めてでした! それに馬とか! 犬とか! あんな生き物が世界に居たんですね!」

 ジョゼットは興奮したようにはしゃいでいた。

 生まれてからずっと陸の孤島で過ごしていたので、見るもの見るものが珍しく、ルシファーにあれこれと質問していた。

「ルシファーさま! あれが宿屋というものなんですね!」

 ジョゼットは片腕をルシファーに絡めていた。

「ああ。そうだよ。お金を払って部屋を、寝床を貸してもうんだ」

「そうなんですか!」

 ジョゼットがきらきらとした笑顔を浮かべて尋ねてきた。

 ルシファーは宿屋に入り、亭主の男に食事付きの二人部屋を頼んだ。

「さあ、行こうかジョゼット」

「はい!」

 ジョゼットはわくわくしながらルシファーに言われるままに、宿屋に言われた二階の角部屋に向かう。

 男とひとつの部屋に泊まろうというのに警戒心がまるでないな〜。

 世界に出てわくわくしているのは分かるけど、女の子なんだから、少しは躊躇して欲しいな……、腕も絡めてくるし、勘違いする男だったら部屋に入った時点で押し倒したりするんじゃないか?

 ルシファーはそんな事を思いながら、部屋の鍵を開けて中に入った。

 上着の赤いトレンチコートを脱いで、ベッドに座る。

 ジョゼットも見習うように反対側のベッドに腰をおろした。

「とりあえず、ジョゼット」

「はい! なんですかルシファーさま?」

「もう修道女でもないんだから、着替えようか。その服は目立つし」

「えっ、あ、はいっ……」

 ジョゼットは少し顔を赤らめて自分の服装を見た。そういえば、街に修道服を着ている人はほとんどいなかった。

「ほら、服のサイズはたぶん合ってると思うから、好きなのを着てみてくれ」

 ルシファーはタバサに贈るようにと仕入れた新品の服と下着を【王の財宝】から五着ほど取り出し、タバサにはあとで違うものを購入しようと思い、ジョゼットの前に出した。

「えっ!? いいんですか!?」

「ああ、いいぞ。これは全部お前のものだからな」

 ジョゼットは生まれて初めて着る服や下着に興奮しながら手に取った。

「ほんとに貰っていいんですか!?」

「ああ」

「ありがとうございます!」

 ジョゼットはばさりと修道服を脱ぐと裸になって、下着を広げた。

「すごく可愛い下着ですね!」

 きゃっ、きゃっと騒ぎながら、男に裸を見せていることも忘れて、ファッションショーを始めた。

 一着、一着試しながら服を着替えていくジョゼット。

 ルシファーはジョゼットが着替えるたびに感想を求められ、ルシファーもジョゼットに素直に『可愛い』やら『綺麗』だと褒める。

 ルシファーはジョゼットのファッションショーを見ながら、タバサとの違いをいくつも見つけた。

 まずは、感情豊かな性格と強い好奇心に天真爛漫な笑顔。

 さらに、一番のタバサとの違い。

 それは体つきだった。

 タバサは完全な幼児体系だというのに、ジョゼットは薄くとも女としての胸や尻にかけて流れる曲線美があり、さらに胸もタバサの絶壁に対して、ジョゼットは胸が膨らみが目立っているし、色も鮮やかで全体の形も整っていて、このままいけば将来は美乳に育つ事だろう。ちなみに、下の毛もほんの少しだが生え始めていた。

 ルシファーはジョゼットが気に入った服、清純そうな露出の少ない青色のワンピースに着替え終わったところで、ジョゼットに男の前で裸にならないほうがいい事を教えたので、ジョゼットは現在、裸を見られた羞恥心で顔を真っ赤にしてシーツに包まっていた。

「ひ、ひどいです……」

「ごめんごめん。役得だと思って見入っちゃった。あははは」

 ルシファーはジョゼットに謝るが、態度が悪かったので夕食が終わるまで、口を開いてもらえなかった。

 夕食が終わり、再び部屋に戻ったところでジョゼットに話を切り出した。

 それは、これからの事と、自分がいま住んでいる砂漠にある新魔国の事とハーフエルフと、エルフの事だ。

 ジョゼットは寺院に住んでいたので、ブリミル教に完全に染まったブリミル教徒で、砂漠への移住やハーフエルフやエルフに対する恐怖心や、新居にブリミル教を信じる者がいない事に『始祖を侮辱している』や『エルフと仲良くできるわけがない』だとか言いだすものだと思っていたら、そんなことはまったくなかった。

 どうやら、始祖ブリミルにお祈りなどはしていたが、それは寺院から強制された信仰心で、ジョゼット自身で始祖ブリミルをそこまで信仰しているわけではないそうだ。

 エルフに対しても怖がりはしても、それは御伽噺などによる先入観のようなもので、きちんとエルフの事を説明すると、恐怖感などはなくなったようだ。

 ジョゼットは適応能力が高いみたいだ。

 ルシファーは砂漠の新魔国とエルフや始祖ブリミルが絶対ではなく、自分で信仰するものを選ぶように教え込んでから、眠った。

 ルシファーがベッドに入って眠っても、ジョゼットは眠れなかった。

 興奮で目が冴えて眠れないのだ。

 ジョゼットはわくわくしていたのだ。

 寺院でルシファーに初めて会ったときは落胆があった。

 自分にいるという肉親が、自分を呼び、連れに来たのはくすんだ青い髪の老人で、老人が乗っていた船もボロ船で、これから自分はどうなるんだろうと心配になった。

 しかし、老人がいきなり姿を変わった。

 漆黒の長い髪をした赤いトレンチコートを着た男に、老人の姿と名前は、仮の姿だった。

 そして自分の姿も仮の姿だという。

 ルシファーの言うとおり聖具をはずすと、自分の嫌いだった白髪が鮮やかな青色に変わった。

 わたしの身の上を話してくれた。

 それからだ、わくわくし始めたのは、自分が物語の主人公のようになった気分だった。

 陸の孤島の寺院から、世界に連れ出してくれる王子様。家族の下まで導いてくれる魔法使い。

 わたしは、すぐにルシファーに夢中になった。

 ルシファーがわたしを広い世界に連れ出してくれる。世界を教えてくれるんだと思った。

 竜のお兄さまにはお別れを言えなかったのは残念だったけど、今はそれよりも家族に会うのが楽しみだ。

 お母さんと、お姉さんはどんな人なんだろう?

 楽しみだ。

 ……ふふふっ。

 笑い声が口から漏れた。

 今日だけでも生まれて初めてのことがたくさんあった。

 そう言えば……、男の人に裸を見られたのも初めてだった。

 まったく……、着替え終わってから言うんだからタチが悪い。

 たぶん全部見られた……。

 す、すごく恥ずかしい……。

 今もすぐ隣にルシファーが寝ている。

 ……別の意味でも眠れそうにないわ……。











 宿屋に宿泊した日の早朝。

 ルシファーは日の出と供に目覚めた。

 隣にはジョゼットが寝息を立てて眠って……、いなかった。

「おはよう。もう起きてたのかジョゼット?」

「えっ! あ、はい……、おはようございます」

 まさか一晩中起きてたとは言えないジョゼットだった。

 ルシファーとジョゼットはその後、身支度を整えると宿屋の一階、酒場になっている場所で朝食を食べてから、近くの森へと向かう。

 森の真ん中で立ち止まったルシファーにジョゼットが声を変える。

「どうしたんですか? ルシファーさま?」

「歩いていくには時間がかかるところだからな、時間を短縮させようと思うんだ」

「え? ええっ!?」

 ジョゼットはルシファーにいきなり横抱きにされて驚く。

 男の人の腕に抱かれてる!?

「ほら、ジョゼット。しっかり捕まるんだ」

「ええっ!? は、はいっ!」

 ジョゼットは言われるままにルシファーの首に手を回して捕まった。

 ルシファーは認識弊害と風圧などから身を守る結界を身にまとうと、空へと飛び上がった。

「きゃぁああああああああ!!!」

 いきなの浮遊感と地面が離れていく光景にジョゼットは悲鳴をあげる。

 ルシファーはどんどん空へと飛翔する。

 ルシファーは一定の高度まで上昇するとジョゼットに声をかけた。

「ほら、空の散歩だぞ。怖がらないで周りを見てみろ」

「ふ、ふぇ……!?」

 ジョゼットは恐る恐る目を開ける。

 太陽に照らされた広大な大地と自分が住んでいた寺院が見えた。

「すっ、すごいです……!」

 ジョゼットは怖がりながらも、ルシファーを見上げた。

「はははっ、そうだろう。じゃあ、砂漠に向かって飛ぶから、しっかり捕まるんだぞ」

「はいっ!」

 ルシファーはジョゼットを抱いたまま飛行する。

 ジョゼットはしばらく飛行していると、心の中の恐怖心は消え、代わりに好奇心でいっぱいになり、ルシファーにあれこれ質問攻めにし、新魔国へ昼には着く筈だったのが、遅れてしまい夕方になってしまった。

「こ、これが、新魔国……。わたしがこれから住む場所なんですね……」

「ああ、そうだ。出来て半年ほどなので、住人は人間が城にしか十数人、森や湖、山に動物ぐらいしか住んでいないがな」

 ジョゼットは新魔国の巨城を見つめた。

 あそこに自分を産んだ母親と姉が待っている。

 まだ見ぬ家族に、ジョゼットの体に力が入る。

「そう、緊張するな。両方とも優しくていい女だ」

 ルシファーがそう言いながらジョゼットの頭を優しく撫でた。

 ジョゼットはそれだけで体から力が抜けていく。

 合って二日もしないのにすでにルシファーの事を心から信用している自分に驚き、そのことに顔が熱くなるのを感じた。

 わたし、好きになっちゃったの!?

 考え始めると、今度は胸が高鳴るのを感じた。

 これが、恋なの!?

 ルシファーの顔を見るとその気持ちがどんどん増えていく。

 気持ちがどんどん膨れ上がり、顔が見れなくなる。

 わたし、この人に恋しちゃったんだ……。











 ジョゼットを城に連れ込み、事前に待っていたタバサとエルフィアに会わせた。

 成長したジョゼットに合ったエルフィアは涙を流しながら、王家の掟から守る事ができずに寺院に送った事を謝罪し、タバサはというと、自分と同じ顔をしている妹の登場に驚いていた。

 三人の親子の心の壁はまだ厚そうだが、それは時間と、新魔国での新しい生活が崩していくだろう。

 ルシファーはその後、気を利かせ、ルシファーを間に挟んだ親子三人での食事会を用意し、親子と姉妹の会話をするように促した。

 その後は、エルフィアの部屋に親子三人で一つのベッドを使って眠ったそうなので、少しは打ち解けたようだ。

 一応、部屋も親子並んだ方がいいだろうと左から、イルククゥ、タバサ、エルフィア、ジョゼットと、エルフィアの隣に設置した。

 翌日、新魔国の正式な住人として紹介した。

 ハーフエルフのティファニアについても事前に説明済みなので、怖がることはなかったが、もう一つのティファニアの大きな特徴。爆乳の方を、自分のふくらみが薄い胸に手を置いて羨ましがっていた。

 キュルケもマチルダもティファニアも、タバサと似ている顔や体格に驚いていたが、すぐに順応し、仲良くなろうと積極的に話しかけていた。












 ジョゼットが新魔国に住み始めて三日目の夜。少し作りは違うものの、家族でお揃いの青色のネグリジェ姿のジョゼットはルシファーが好きだということを母親とタバサに打ち明けた。

 ジョゼットは同じ人を好きになってしまった事で、母と姉に怒られるかと思っていたが、二人から出された答えはまったく予想だにしないものだった。

「人を好きになることは自由なんだから、好きになってしまった事は仕方がないわ。ふふふっ、さすが親子というか、同じ人を好きになるなんてね」

 エルフィアは笑顔で呟く。

 タバサも優しい姉になろうと、妹に自分の考えを呟いた。

「本気で好きなら、妻になればいい。ルシファーは一夫多妻だから」

「一夫多妻?」

「一人の男が、大勢の女を妻にしてハーレムと言われる家庭を築く事」

「えっ!?」

 ジョゼットは不潔だと思う一方で、考えた。

 一夫多妻なら自分が妻になっても問題ないんじゃないかと、それに、後宮に住む女たちも幸せそうだったし、ルシファーの妻になれるんだったら別に一夫多妻でも……。

 っと考えていると後押しするように二人が、手を握ってきた。

「丁度いいわ。今日はわたしとシャルロットがする番だったし、早く行きましょ」

「えっ!? ええ!?」

「行こう」

「お母さん!? 姉さんも、ええっ!?」

 ジョゼットが混乱している間にも二人は手を引っ張って、ルシファーの部屋へと進む。











 ルシファーが部屋でタバサとエルフィアを待っていると、部屋のドアが開いた。

 着たな。

 ルシファーがドアに目を向けると、顔を真っ赤に染めているジョゼットを両脇に挟んむ笑顔のタバサとエルフィアがいた。

「ん? どうしたんだ?」

 ルシファーが問いかける。

 タバサが呟いた。

「ジョゼットもルシファーの妻になりたいって言ったの。だから一緒にする」

 ルシファーはタバサの言葉に、ほんとかと、エルフィアに視線を送る。

「ジョゼットも供に愛していただけますか?」

 エルフィアは妖艶な雰囲気を出しながら呟いた。

「ジョゼット?」

「えっと……、あの……、そのっ……!」

 ルシファーがジョゼットに声をかけるが、ジョゼットも突然の展開についていけずに戸惑っていた。

「ひゃ!? お母さん!? 姉さん!?」

 ジョゼットが戸惑っている間にタバサとエルフィアは先ほどまできていた寝巻きを脱いで下着一枚になっていた。

「ほら、ジョゼット」

「ええっ!?」

 なんで脱いでるの!? なにするの!? なにを始めるつもりなの!?

 エルフィアとタバサはジョゼットを抱えてベッドにあがる。

「きゃ!?」

 ジョゼットはルシファーの前に押し出された。

「いいのかジョゼット?」

 ルシファーが聞く。

「は、はぃ……」

 ジョゼットはルシファーの問いに自然と頷いてしまった。

 ルシファーは頷くのを確認してからジョゼットと唇を交わした。

「ん……」

 キ、キスされてる……。

 ジョゼットは突然唇を奪われた事に驚いたが、すぐに体から力が抜いた。

 ジョゼットと数度触れるだけのキスをしたルシファーは、唇を舌で押し開きながら、服に手をかけた。

「ん、んん……、あ、やぁああ……、んむっ、んむっ、はぁ……、はぁ……」

 舌が入ってきたぁ……? なに? これぇ……、甘くて……、すっごく、気持ち、いい……。

 ぬちゃぬちゃと卑猥な音をたてながら、舌を絡め、唾液を交し合う。

 ジョゼットは体が火照っていく事に戸惑った。

「ジョゼット……」

 ルシファーは唇を離して呟いた。

「ふへぇ……?」

 ジョゼットは自分が気づかないうちにネグリジェが取り払われていることに気づいた。

「んんっ……!?」

 ルシファーがジョゼットの胸を掴んだ。

 今度はなに……、するの?

 ルシファーはジョゼットの小さな胸の根元から掴み、乳首を咥えた。

 え……、ええ……!? うんんぅぅうううう〜!!? す、吸われてるっ!?

「あふぅっ、いやぁあ……、す、わないでぇ……」

 ルシファーは乳首を口の中に含みつつ、舌先で硬くなり始めた乳首を弾いたり、歯で甘噛みしたり、思いっきり吸ったりと楽しんだ。

 ルシファーはジョゼットの股に手を差し入れる。

「そっ! そこは……、だめぇええっ!」

 急いで股を閉じようとしたジョゼットだったが、遅かった。

 すでにルシファーの手はジョゼットのオマンコを捕らえていた。

 ジョゼットのオマンコはすでにぐじゅぐちゅに愛液を漏らしていて、粘度も強くねっとりと指に絡みつき、味もタバサよりだいぶ濃い。

 ふふふっ、感じ方も味もタバサとは全然違うな。

 嬉しそうに愛液を舐めるルシファーの姿にジョゼットは惚けた。

 ルシファーが体に触れるたびに心が満たされていく。

 ジョゼットは幸せを感じていた。

 好きだと言う気持ちが膨れ上がり、心が嬉しいと悲鳴をあげていた。

 ジョゼットは本能から股を大きく開いて、ルシファーを求めた。

「ルシファー……、さまぁ……」

「ルシファーでいいさ。おまえも俺の女なんだからな」

 ルシファーは指を差込み十分に中まで濡れている事を確認すると、ペニスをオマンコの割れ目、スジに挟んで前後に擦った。

「んぁっ!? んんっ、熱いぃいい……」

 オマンコに触れるルシファーの肉棒に驚愕した。熱くて禍々しい形で、巨大なキノコが生えているみたいだった。

「挿入するぞ」

 十分にジョゼットの愛液をペニスに塗りたくったルシファーは、亀頭を膣口に押し付けた。

 えっ!? なにするの? いれ……、挿入する!? は、入るの? アレが? わたしの中に?

 ジョゼットが無理だと腰を引こうとしたが、ルシファーの腕は完全に尻を掴んでいて逃げる事が出来ない。

 ジョゼットが母親と姉に助けてと視線を送ると、二人は微笑んで手を握ってきた。

「頑張るのよ、ジョゼット」

「大丈夫だよ」

 優しく手を握ってくる肉親に、これはもう逃げられないと覚悟を決めた。

 ルシファーにすべてを……、身も心も全てルシファーに任せようと、体から力を抜いた。

 股を大きく開いてルシファーを向かい入れる。

 ミチッ、ミチミチミチィっ! と何かが破れる音が体から鳴った。

 さらに体に熱せられた鉄棒が押し込まれたような感覚と、焼くような熱、さらに痛みを感じた。

 未開発なので、ぎちぎちと締り、ペニスの半分も行かないうちにすぐに子宮口に到達したが、ジョゼットの膣は名器だった。

 初めてだというのに押し返すような抵抗などもなく、肉棒を受け入れ、狭いながらも粒が多くて亀頭を刺激し、子宮の吸い付き貪欲、なにより一度咥え込んだら離さないと膣全体で喰らいついてくる熟練の娼婦のような名器で、ルシファーは腰を動かしそうになる欲望を必死に堪えた。

「あ、熱いっ!? あ、熱いですぅうう!」

 あっ、あたまがっ! 体が焼けるぅううっ!!

 ジョゼットは膣から伝わる熱に快感を昂ぶらせる。

 ルシファーは正常位から対面座位の態勢に切り替える。

「あう、あうぅぅぅ……」

 まるで子共をあやすようにジョゼットを腰の上に乗せ抱きしめる。

 なんなのこの感じ……? 温かい……。すごく安心する……。

 ジョゼットは破瓜の痛みを忘れてルシファーを感じた。

 厚い胸板に鉄のような筋肉。

 膣に納められたペニスから自分とルシファーが一つになっている事を教えられ、大きな存在に包まれている感覚に安らぎを感じ、さらに大きな愛を感じた。

 幸せ……。

 ルシファーからキスされるたびに、胸をもまれるたびに、ペニスがピクンと跳ねるたびに幸福を感じた。

 ルシファーはジョゼットが快感を感じ始めている事に気づくと、ゆっくりとベッドのスプリングを利用しながらピストンを始めた。

 開拓されていく膣道。傘の張った雁に膣壁をゴリゴリと解される。

 さらに両手でまだ芯が残る胸を揉みながら、乳首を摘んだり、口内を犯したりとルシファーはジョゼットを追い詰める。

「あぁんっ! んぁっ、ふ、ふふっ! いいっ! 気持ち、いいですぅっ!!」

 ジョゼットはすでに快感に酔いしれていた。

 女としての愛した男に抱かれる幸せと快楽に溺れていた。

「すっ、すごいっ! なにかっ……! 何かが来るっ!? 何かが……、来ちゃうぅううううう!!!!」

「俺も、射精するぞ!!」

 ビュルっ! ビュルルルルぅぅっ! っと、ジョゼットの絶頂に合わせた射精、精液は子宮の壁に跳ね返り、子宮を溢れさせる。

 ジョゼットは生まれて初めての絶頂と子宮内を暴れまわる精子に、頭の中を白く染めた。

 思考もまともに出来ないままに快楽を感じ、ルシファーを両手で力いっぱい抱きしめた。

「よく頑張ったなジョゼット」

「はい……」

 ルシファーの労いの言葉に胸がいっぱいになった。

 ジョゼットは体も心の底からも、ルシファーの事が好きだと、愛しているのだと、認識した。










 ルシファーは疲れて眠ってしまったジョゼットをベッドの脇に優しく横たえると、タバサの方に向き直った。

「さあ、シャルロット。この前無茶したお仕置きをしないとな」

「そうですね。あんなに心配をかけたのですから、当然ですね」

「……えっ?」

 ルシファーと母親の言葉に驚くタバサ。お仕置き? なにをされるんだろうと身構えていると、背後に回った母親に両手をロープで縛られ、上半身を押され、ルシファーの股の間に頭を差し込む形で前のめりになり、尻だけ掲げた土下座のような態勢になってしまった。

「なにをするの?」

「お仕置きだよ。二度と無茶しないようにお仕置きするんだよ」

「ひゃあっ!?」

 タバサは尻穴に挿し込まれた異物に悲鳴をあげた。

「母さま?」

 タバサが後に視線を向けると以前、アナルを開発するときに使用したローション入りのワイン壜を両手に持っていた。

「さあ、お仕置きを開始しますよ」

 エルフィアはそう言うと、ワイン壜を深くアナルに差し入れ、ローションを腸に流し込ませた後、事前に用意した桶の中に汚物とローションをぶちまけさせた。

「いやぁああ……、出したくないっ……! 出したくない……! いやぁぁ……、許してぇええええええ!!!」

 タバサは人前で漏らしてしまった事に羞恥し、涙を流すがやめるはずもなく、エルフィアは2本、3本とワイン壜を挿し込み、桶の中に出させた後、尻穴を舌で舐め始めた。

 タバサが恥辱と快楽で涙している姿を見ながら、ルシファーもタバサに愛撫を始めた。

「んもっ! んぐぐぅっ! おぶっ、まっ、待ってぇ……、んぶっ……、ごふっ、激しすぎる……、つ、突かないで……、ごほっ、ごほっ……!」

 タバサにフェラチオを強要し、道具のように喉を犯したり、乳首を抓ったりという何時間もかけたしつこいまでの愛撫でタバサの心の中で羞恥と快楽が入り混じり、理性が解け始めた。

「いやぁ……、母さま、んんぅぅ……、やだぁああ……」

 縛られたままアナルを犯させながら、母親のエルフィアに小さな乳首を吸われたり、膣を犯されながら、アナルからこぼれる精液をエルフィアから啜られたり、体中を舐められたりと己のすべてを犯されている様な感覚にタバサの心の何かが壊れる。

「やぁあ……、なんで……? はず、恥ずかしいのにっ! 気持ちいい!!? いや、なんで!? なんでぇええ!?」

 犯し続けられたタバサはベッドに倒れた。股をだらしなく開かせ、頭から足まで精液に染め上げられ、膣やアナルも閉じるのを忘れて大穴を開けていた。

 ルシファーはタバサの上で、エルフィアを犯す。

「あはぁ……、母さま……」

 タバサは虚ろな瞳で自分の上で後から犯される母親を見上げた。

 タバサは自分の上で揺れる母親の胸に吸い込まれるように、口を開いた。

 ちゅぅぅっと、赤子のように吸うタバサ。

「まっ、待ちなさい! 今はダっ、ダメよ!! あぁああああああ!!?」

 エルフィアはピストンされながら、タバサから胸を吸われ、一気に絶頂した。

「いやっ! イッてる! わたし! いま、イッてるから! そんなに激しく……、つ、突かないでぇええええ!!」

 絶頂して敏感になっている膣を擦られ、エルフィアは何度も小さな絶頂に鳴いた。

 そこから三人で激しく交じり合う。お仕置きなど忘れ、激しく、獣のように……。

 淫靡な水音と女の歓喜の悲鳴で起き上がったジョゼットも、ルシファーから寵愛を貰おうと股を開いて誘う。

 三人から四人になり、獣のように交じり合った。

 理性や常識など捨て置き、ただただ快楽を貪りあう。

 唇を交わしあい、秘所を舐めあい、犯しあう。

 快楽の宴は朝日が部屋を照らすまで続いた……。











 次の日の夕方。

 ジョゼットは改めてルシファーの妻として紹介され、後宮の大浴場でタバサとの違いを探すように妻達から全身を洗われ、タバサは自分よりも成長していた妹の体に落ち込んだ……。













【後書き】


 ジョゼフの懐柔! あとはロマリアをどうにかすれば、ルシファーハーレムが一気に拡大する!!

 なんとかジョゼットシーンまで行きました! 

 次回予告!

 作戦が崩壊したロマリア教皇とその使い魔が……。

 ジョゼフの使い魔シェフィールドが……。

 どんどん行くぜ!

 追伸! エレオノールの堕とす予定ですので!


【追伸! っていうか、個人的に残念なこと】


 なんで【異世界の聖機師物語】の二次創作が2作品しかないんだ!?

 誰か【異世界の聖機師物語】の二次創作が記載されたサイト教えてください!! マジお願いします!!

 フローラさんの人妻ルートとか現代衣装のシュールなダークエルフ、アウラルートや緑髪のツンデレドールルートや盗賊ランルートの話が読みたいです!!

 見つけた2作品は200話越えで面白かったけど! ネット上に2作品は少なすぎる……。

 オリ主でも憑依でもいいから色んな種類の物語が読みたいです……ort

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