小説『ゼロの使い魔 世界を渡る転生者【R−18】』
作者:上平 英(小説家になろう)

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『第37話 新魔国の発展準備 』





 マチルダと熱い一夜を迎えたルシファーは、他の妻達と朝風呂に入りながら、ある相談をしていた。

「この家を【新魔国】として本格的に動かし始めるの?」

 キュルケがルシファー特性の香り付のシャンプーで髪を洗いながら尋ねる。

「いや、本格的にはまだ動かさないぞ? というか皆も知っての通り【新魔国】にはまったく人がいないからな……」

 ルシファーは湯船に入ったまま隣に腰を降ろして擦り寄るエルフィアの腰を抱いたまま応えた。

 そこに姉妹で体を洗い合っているジョゼットとタバサが口を開く。

「そう言えばウチって……、キュルケさん、マチルダさん、ティファニアさん、|母さま(エルフィア)、わたしと、|お姉さま(シャルロット)、イルククゥのルシファーの妻が7人で8人」

「サウスゴーダの孤児院から引き取った子共たち、ジャック、サム、ジム、エマ、サマンサの5人を足した13人」

 髪を洗い終えたキュルケがルシファーの隣へ腰を降ろす。

「ふふっ、改めて考えてみるとすごく異常よね〜。トリステインの城よりも立派な城なのに住人は全部で13人しかいないし……、ていうか国の全人口がこの城にいるわけだし」

「まあ、【新魔国】は建国して間もないし、もともとここは更地のただ砂が広がっていた砂漠だしな……」

 ルシファーはキュルケの髪を手で弄りながらふぅっと呟いた。

「でもすごいですよね。ただの砂漠をこんなにも豊かな土地に変えるなんて」

 ルシファーの背後で湯船に浸かっていたティファニア……。というか湯に浮ぶメロンのような爆乳にルシファーの頭を乗せて背もたれとなっていたティファニアが感心するように呟いた。

 そしてそんな時に風呂場への入り口から歩き方が少しぎこちないマチルダがタオルを片手にやって来た。

「ふぅ〜……、おはよう」

「おはようマチルダ」

 マチルダはそれぞれと挨拶を交わした後、ルシファーが作成した簡易シャワーを浴び始めた。

 シャワーを浴びるマチルダに向かって流木のように広い湯船を漂っていたイルククゥが羨ましそうに呟いた。

「マチルダ姉さま、昨日はずいぶんとお楽しみだったのねー」

「そりゃあ、まあね……」

 マチルダはイルククゥの呟きにはにかんだ。

 昨晩二人っきりで愛してもらったので、かなりの上機嫌で髪を洗う。

 イルククゥはマチルダの裸体を見ながらさらに呟く。

「背中までキスマークがついてるのねーっ、それにルシファーの匂いが体中から匂うのねー」

「そ、そうかい?」

「そうなのねー。羨ましいのねー!」

 マチルダとイルククゥが話している間に体を洗い終えたタバサとジョゼットが湯船へ入りルシファーの近く、というか膝の上へそれぞれ腰を降ろした。

「今夜は私たち」

 タバサが細く幼い手でルシファーのペニスを掴む。

「えっと……」

 元寺院暮らしで未だに引っ込み事案な気があるジョゼットも真っ赤になりながらもルシファーのペニスを握った。

「楽しみに待ってますわ」

 最近完全に健康体に戻り、ガリアと決別して心にゆとりが出来たのか、エルフィアもルシファーの玉袋へと手を伸ばして妖艶に微笑んだ。

「わたしも参加するのねー! 子作りするのねー!」

 そしてイルククゥも、胸を押し付けながら、ルシファーに抱きついた。

 親子丼……、姉妹丼……、はたまた主従丼? 

「あははっ、まとめて面倒をみるよ」

 ルシファーは4人と今夜まとめて楽しむ約束を結んだ。












 風呂場で相談しようと考えていたルシファーも本題とは別の話が長引いた事で、これ以上はのぼせてしまうと食堂へと場所を移し、元孤児院メンバーの子共達を交えて相談をすることにした。

 朝食を摂り終え、20人にも満たない国民全員でそのままテーブルについたまま、『公式』家族会議第一回目が開催された。

 ちなみに『非公式』の家族会議は数回にわたってすでに開催されており、そちらは子共にはちょっと、いや、かなり聞かせられない(エロい方面で)家族会議である。

 話を元に戻して……。

「今回の第一回目の家族会議の結果。賛成13の満場一致で国として動かし始めるために増員を始める事に決定しました」

 元学院勤めの秘書であったマチルダが度の入っていない眼鏡をくいっと指で上げて呟いた。

「まあ、増員するといっても少しずつで、まずはこの城を管理するメイドなんかを雇う手はずだ」

「メイドからなの?」

 キュルケが挙手をして呟く。

「ああ、この城の管理を任せられる人間が必要だ。今は魔法を使って広域に浄化魔法をかけているが疲れるし、これでも【新魔国】の、一国の王の城だからな」

「まあ、確かにメイドもいない城に住んでいる王さまはいない。というか不安になる」

「そうよね。王様が貧乏とかあまりに人がいない城も不気味でしょうからね」

 タバサの呟きにキュルケも同意した。

 エルフィアが挙手する。

「でもメイドはどこから? あてはあるのですか?」

「あては一応考えてある。とりあえず現代段階でのメイドの雇用は全部150名前後ぐらいを考えている」

「「「「150名も!?」」」」

 ジョゼットと子共達が驚きの声を上げた。

「まあ、とりあえずメイド修行させて様子をみるさ」

「そうですか……。で、そのメイド修行とやらを師事する教師は?」

 元王弟の妻であり城暮らしの長いエルフィアが首を傾げた。

「ああ、それももちろん考えてあるよ。っと言うか……」

 ルシファーが言いにくそうに頬をかいた。

 そして周囲の注目が一点に集まったところで呟いた。

「俺が師事しようと思っている」

「「「「ええ〜〜〜!!?」」」」

 驚きの声が食堂に響く。

 ルシファーは静かになるのを待ってから口を開いた。

「まあ、みんな落ち着いてくれ。俺にメイドを育てる事が出来るのかと、疑問に思っているだろうが、俺は100年以上も生きている間に、様々な知識を保持しているんだ。一万人以上のメイドを育てた経験があるから、なんら問題はない」

「そうなの?」

「ああ。問題はない」

 キュルケの問いに自身を持って頷くルシファー。

「でもメイドを一から育てるとなると、それなりの期間が必要になるのではないですか? 少なくとも半年、一年ではなれないと思いますが……?」

 エルフィアが挙手する。

「そうだな。普通にメイドの仕事を仕込むとして普通の方法なら、熟練のメイドが師事したとしても少なくとも5年はかかるし、一流メイドになるまで10年はかかるな」

「そ、そんなに……?」

 ルシファーの言葉にティファニアが耳を上下させて驚く。

「まあ、普通の人間ならな」

「普通じゃない方法?」

 ルシファーの言葉にタバサは興味津々と尋ねる。

 ルシファーはゆっくりと計画を口にする。

「俺が人間じゃなくて寿命が無限に近いほど長いのは知っているよな?」

「ええ」

 食堂の全員(子共達はあまり話を聞いていないので除く)が頷いた。

「その寿命を利用してこの城を含めた王都予定地から西に新しい、この城の4分の1以下の小さな城と、その城を中心に15アルパン(約5キロ四方)ほど街を創った事は前に皆でピクニックに行ったから知っているよな?」

 ルシファーは確認するように全員に視線を送りさらに続ける。

「その街を特性の結界で覆って、時の流れを速めて、ここでの1日をその街では3年になるように調整して、そこで俺がメイドを一流に仕上げてこの城専属のメイドにしようと思っているんだ」

「でもそんなことが出来るの? 時を操るなんて……」

「できるんだよ」

 ティファニアの問いに経験者のマチルダが応えた。

 マチルダは呟いてからすぐにそのことが失言である事に気づいて頬を染めた。

「ま、まえに一度経験したんですよっ」

「ふぅ〜ん……」

 キュルケがジト目になってルシファーの顔を睨む。

 ルシファーは視線を無視して説明を続ける。

「話に戻るぞ? 計画では、この城に配備するまで全部であわせて一月、遅くても二ヶ月以内には終わるように計画している」

「一ヶ月!?」

「ああ、まずは三週間でハルケギニアの国を回り人員確保とそれと平行して城に物資を補充。ハルケギニア大陸の移動は基本馬車となるから、それぐらいはかかる。そして、残りの約一週間は先ほど話したメイド修行用の一日に当てたり、実際にその城から家にくるまでの準備にあてるから大体一ヶ月だ」

「じゃあ、ダーリンと一ヶ月も会えないの!?」

 キュルケの言葉に妻達や子共達が驚き、すぐに泣きそうな顔でルシファーを見つめた。

 ルシファーはすぐに慌てた様子で否定した。

「それはないぞ!? 俺に転移魔法があることも『風』の遍在という魔法もある事を忘れているのか? 国々の移動は馬車での移動にはなるが【ゲート】があるから、遍在に馬車を守らせて国に帰ってこれるんだから一ヶ月まったく会えないという事はない」

 ルシファーの言葉で一部が安心したような表情に変わるが、一部ではない者、キュルケ、マチルダ、エルフィア、タバサが心配そうな表情のまま、マチルダが代表するように尋ねてきた。

「でも1日を3年にしている時は、わたしたちが1日会わないだけでもあんたからは3年も会っていない事になるんじゃないのかい……?」

 愛する男と時の差が生まれ、万が一にでもメイドの方に気が移り、捨てられてしまうのではないのか? 自分達と3年も会わなくとも平気なのか? と不安を胸に尋ねてきた。

 そんな妻達にルシファーは自信と確信をもって呟く。

「俺は不老だから寿命や姿形、心の変心などの心配はないさ。あと、俺がたかが3年会わないぐらいでお前達を嫌いになるわけがない」

 その言葉に真っ赤になる妻達。

 ルシファーは続けて呟く。

「それに俺もお前達と3年間別れる事になにも思わないわけがないだろ? だが、時間をあまりにかけていると【新魔国】が国となるまでにそれこそ数十年という時がかかる……。それはメイドの事もあるがほとんど付きっ切りで時間を【新魔国】建国に取られる事だろう」

 ルシファーの言葉に息を飲む。

「【新魔国】の建国に膨大な時間を取られて、お前達と過ごす時間が短くなるのは絶対に嫌だ」

 ルシファーはそこで子共達には次に放つ言葉が聞こえないように防音の結界で囲ってから本音を呟いた。

「正直に言うと、俺は建国に時間をとられて妻とす過ごす時間が減るのは嫌で、なんとか今年中には国を回していけるように育てて……、すぐにでも全員を孕ませたい」

 ルシファーの言葉に妻達がそれぞれ驚きの絶叫を上げる。

「……だからだ。建国とかはすぐに済ませて、俺は愛欲に溺れた日々をのんびり楽しみながら過ごしたいからな。さっさと国の基盤を作成したいんだ」

 そ、それなら……、っと妻達はお互いの顔を見合わせ納得したとう表情を浮かべ、妻達は改めてやっぱりルシファーは人外クラスの女好きなのだという認識を強くした。

 こうして、ルシファーは話しの聞こえていない、というか難しい話しはまだ分からない子共達と妻達に許可を貰ってメイド探しの旅へと出発する事になった……。











 そして、主従丼、親子丼、姉妹丼とおそらくすべてに当てはまるだろう5人でセックスを楽しみ、その翌日。

 ルシファーが旅立つという事で、景気づけに丸一日を使い妻達全員との乱交パーティーを開き、魔法で体力を回復させながら、部屋中が雄と雌の臭いで咽返り、あちらこちらに体液を撒き散らし、キングサイズのベッドだけではなく床や机、椅子や寝室のトイレと言ったいた所に、全身を白濁した精液に染められ、オマンコやアナルから精液を垂れ流しにする者もいれば、オマンコやアナルに『玩具』を挿入したまま気絶している者が倒れおり、部屋の隅では気絶しているのにも関わらず未だにルシファーに犯されているキュルケがいて、その隣にはオマンコとアナルの両方に凶悪な玩具を飲み込んで気絶しているティファが倒れていた……。












 乱交パーティから一夜が経って……、ルシファーは国民、と言っても12人で内7人が妻、さらに残りも身内に見送られる形で【新魔国】から旅立った。

 そしてその旅立ったルシファーは転移魔法を使い、現在ガリア王ジョゼフとその娘イザベラとポーカーを楽しんでいた。

「……ツーペアです」

 少し前から突然人が変わったように話しかけて距離と縮めてこようとしたり、相手を小馬鹿にしたようではない、素直な笑顔を浮かべるようになった父親から、遊びに参加させられたイザベラは、恐る恐る丸いテーブルの上にカードを出した。

 ルシファーの勧めから人と関わるようにし始め、娘と関係修復を少しずつ始めたジョゼフは、その娘のカードを見てにやりと笑みを浮かべて自分のカードを出して呟いた。

「ふっ、ストレート」

 ジョゼフとイザベラの視線がルシファーの持ったトランプへと注がれる。

 【新魔国】から用事があって訪れ、ジョゼフに遊びに誘われたルシファーは目を伏せてカードを裏にしてテーブルの上へ置いた。

 ルシファーの様子に勝利を確信したジョゼフはよしっ! っと拳を掲げようとした瞬間……。

 ルシファーの口が吊り上がり裏になっていたカードが表になった。

「ストレートフラッシュ、だ!」

「なっ!? なにぃいい!!?」

「…………」

 驚愕に震えるジョゼフとどうコメントしてよいか分からずに呆れるイザベラ。

 そんなイザベラを置いてきぼりにしてルシファーは笑った。

「はっはっはっ!! また俺の勝ちのようだな! 約束通り100エキューを貰おうか?」

「くぬぅぅ……」

「…………」

 市民の約10か月分の生活費である100エキューだが、ジョゼフはガリア王でその程度支払ってもまったく懐は痛くならず、その娘のイザベラもだったが、本気で負けた事を悔しがるジョゼフだった……。

「ほら、さっさとよこせ」

「ぐぬぬぅ……」

「どうぞ」

 渋りながら小袋を差し出すジョゼフと、すっと渡すイザベラ。

「これですでに2万エキュー。はははっ! ジョゼフは本当に賭け事に弱いな!」

「ええい! もう一回だ! もう一回!!」

「…………」

 ジョゼフが子共のようにルシファーに向かって喚く。

 突然遊びに参加させられたイザベラはガリア王よりも明らかに上からしかも友人のように接するルシファーを内心驚き戸惑っていた。

 そして、さらに遊びは続く……。

「はははっ! ジョゼフよ。もうこちらは二万エキューも稼がしてもらっているのだ。今度は別のものを賭けないか?」

 これ以上金をかけさせると壁際で控えているシェフィールドの視線がドきつくなると考えたルシファーはジョゼフに提案する。

「何か別のものだと?」

「ああ。だが、イザベラ姫はそのまま金で」

「そうですか」

 ルシファーの呟きにさも興味無さげに頷くイザベラ。

 イザベラは自分のことより父親になにを賭けさせるのかが気になっていた。

 そしてルシファーは口を開く。

「その新しく賭けるものだが……」

「ええい! 早く言え!」

「女だ」

「女ですって!?」

「っ!?」

 ルシファーの呟きに一番に反応したシェフィールド。そして次にイザベラが内心で従姉妹と叔母を娶った好色男が、っと心の中で罵った。

「女か……?」

 一人冷静なジョゼフは自分の顎に手を置いて呟いた。

「ああ、女だ」

「城のメイドか? それとも貴族の娘が欲しいのか?」

 これが以前のジョゼフであったなら自然と近くにいたシェフィールドや自分の娘であるイザベラを賭けの商品としただろう。

 その事を一番の理解者であったシェフィールドは素直に喜んだが、ルシファーがなんと言うか分かるまでは無表情を貫こうと、壁を背に立ったままルシファーの言葉を待った。

 一方、ルシファーはと言うと涼しい顔で呟いた。

「そうではない」

「ならなんなのだ?」

「俺とお前で勝った方が賭けた分の回数女を抱く事にしないか?」

 シェフィールドとイザベラを置き去りにしてどんどん話が進む。

「ん? 負けた方ではないのか?」

「負けたから抱くのでは失礼だろう。これはいかに自分が負けて勝った男に買った分の回数女を抱かせて、男としての天国と地獄を味合わせるというゲームだ」

「相手はどうするのだ? 適当にメイドなどを見繕うのか?」

「いや、それでは面白みに欠ける。そこは負けた方が抱く女を指名して、指名された女を口説き落として約2時間の時間を貰って別室で抱き。指名され告白を断られた場合は負けた方が再び指名するという、もてない男の場合断れ続けてさらし者になるだろうという光と闇が隠れたゲームだ」

 ちなみに……、とルシファーが続ける。

「ワザと役無しになって負ける事は、当然男として許されることではないので、このゲームは男のプライドも試されるゲームでもある。勝って女を抱く方を選ぶか、負けて男に無茶な女を指名してフラさせたり、女を抱かせ続けて枯らせて楽しむか、まあ、当然男なら抱くために勝ちを選ぶだろうがな。さらに裏ルールで言うと、あまりに高齢な相手や幼子は最初から除外。さらにゲーム参加者の恋人、婚約者を別の参加者が、そのまた別の参加者の抱く相手として指名するのは泥沼になるので、それはやらずに、一回限りの火遊び相手を使命するのが紳士のマナーだ」

「ふむ、意外と奥が深いゲームだな」

「補足として説明するとこのゲームは、負けた男が指名した相手を勝った男が口説き落とし、負けた男の賭けた回数分女を抱くので考えて賭けることも重要だし、負けた男が勝った男に対して抱く女を妻や恋人を指名して新しい女を抱かせなくするという男の心と欲望がむき出しになっていく悪魔のゲームだ」

「なっ、なにを言っているのですか!? それにわたしが勝ったら金を貰う事は分かりますが、負けた場合はどうなるのですかっ!?」

 イザベラが顔を真っ赤にして立ち上がる。

 ルシファーへ向かって溜まっていた|鬱憤(うっぷん)を吐き出すように『好色男』だの『下種』などと喚き、罵倒するそこへイザベラを意外な人物が止めた。

「イザベラさま。少々言葉遣いが……、それにルシファーさまはジョセフさまのお客様で、ジョセフさまも怒ってはおられません」

「なっ!?」

 裏切り者の出現に言葉を失うイザベラ。

「それに、このゲームはイザベラさまが勝てばお金を得るだけで勝負は終わるのですから、ここはご参加されるのも一興かと思います……」

「シェフィールド!?」

 シェフィールドはそのままイザベラを言いくるめて参加を促し、快諾とまではいかないが言質だけはしっかりと取った。

 そしてイザベラの参加が決定して20回勝負のポーカーが始まる時になって、ジョゼフが思いついたように呟いた。

「ああ、そうだ。イザベラが負けた場合は一枚ずつ服を脱ぐことにしないか?」

「おっ、お父さま!?」

 突然トチ狂った発言を行うジョゼフ。

 ジョゼフは驚愕するイザベラを無視して、ジョゼフとルシファーの間で話はどんどん進む。

「確か嫁入り前なんだろ? そんなことやらせてもいいのか?」

「ふっ、負けたら脱ぐというのは賭けではよくある事だ。さして問題もなかろう。それにこの部屋には俺とお前、そして余のミューズ。さらにイザベラだけだ。それにイザベラが最下位になった場合のみ、俺とお前のどちらが勝っても負けても、その勝負は無効というルールを追加しよう。イザベラもリスクを負わないというのは面白みに欠けるだろう?」

「そ、そうですね」

 ジョゼフがイザベラへと視線を送り、イザベラは父王に尋ねられた拍子に無意識に返事を返してしまう。

 あっ! っと気づいた頃にはすでに時はすでに遅く、いつの間にかディーラーとなったシェフィールドがカードのシャッフルを始めていた……。

 くうっ! 負けて裸になるなんて真っ平ゴメンだよっ!!

 イザベラは配られて裏になっているカードに向かって、本当に生まれて始めて『一生のお願い』と願いながらカードを引いた……。

 そして、もう一人……。

 普段といつもと変わらぬ、まさにポーカーフェイスでカードを配るシェフィールドは股を濡らしてルシファーへ感謝の礼を心で呟いていた。

 ふふふっ! ふははははっ!! この勝負! ルシファーが負ければわたしが合法的に抱かれる事に……! しかも、抱かれた事をイザベラさまの前で自然な形で知らせる事になる! ふふっ、ふぁふぁふぁふぁぁああああああ〜〜〜!!!!

 テンションが上がり股から愛液を垂れ流すシェフィールドだったが、そんなことは一片も見せずにポーカーフェイスを続けるシェフィールドはカードを配り終えた。











 ポーカーが始まる。

 第1戦目。

「スリーカード」

「フルハウス」

「…………」

「「どうしたイザベラ?」」

「くっ! 役なしです……!」

 第1戦目、イザベラ敗退。

 なのでルシファーとジョセフはなにもなし、イザベラは手袋、靴を脱ぐ事に。

 第2戦目。

「ツーペア」

「わたしもだ」

「…………」

「「どうしたイザベラ?」」

「くぅっ……! ワンペアです……」

 第2戦目、イザベラ二連敗。

 イザベラからティアラなどを始め貴金属類を脱ぐ事に。

 第3戦目。

「ストレート」

「ワンペアだ」

「やった! フラッシュだ! ……い、いえっ、フラッシュです」

 第3戦目、ルシファー勝利。

 勝利者の褒美(?)にジョゼフは誰にしようかと考え、窓の外を偶然通りかかっていたメイドを指名した。












「それで、どうやって行う運びだ? お前が口説いて終わるまで俺達は待っているのか?」

「いや、それでは時間がかなりかかる。お互い忙しい身だし、このゲームは相手が終わるのを負けた者が待つのも罰ゲームとなっていたが、これは省略しよう。代わりにこのマジックアイテムを使う」

 ルシファーが懐から紫色の砂の入った砂時計と瞳のような装飾が施された二つの腕輪を取り出しテーブルの上に置いた。

「なんだそれは?」

「これは一部の空間の時の流れを加速させるマジックアイテムで、丁度隣の客間ぐらいを覆い、その空間で賭けた回数分の情事を行う。回数などに不正がないようにするためにお互いこの腕輪をつける。瞳の中にお互いの回数が出るように設定してあるから、その数字が0になれば、砂時計を解除できるようになる。ちなみに、女性のアフターケアの時間もサービスしてあるのでカウント0で結界が解けるのではなく、砂時計を起こすまで外では時間が止まったままだ。ちなみに結界中から24時間以内に出れば、外との時間では5分程度しか経っていない事になっている。さらに安全のために24時間を過ぎると結界が自動で解けるので、そこは注意しておいてくれ」

「ふむ。そんな便利なものがあるのか……」

 感心するジョゼフを残してルシファーはさらに続ける。

「あと、時間短縮のために結界内で口説く事をおススメする。ああ、しかし、結界内で無理矢理というのは、最悪のルール違反なので防犯装置として、本人が了承しないまま淫行を行うと結界は解けて警報を他の参加者がいる場所に鳴らすように設定してある」

「ふむ……、力づくや無理矢理というのは、不可能という事か……」

「ああ、その通りだ。このゲームは元々魔界のサキュバスが男を誘惑するための訓練だったものを男性用にした。一人の雄としての魅力で、雌を口説くという本来しごく簡単なゲームだからな。行為に持ち込むまでなら任意でその様子を見ることも出来るが、イザベラにはきついだろうから今回は、行為に入ったら自動で映像を遮断する」

 無視されていたイザベラが我慢の限界だと大声で怒鳴った。

「ちょっと待ちなよ! 遊ばれた女が妊娠したらどうするんだい!? 父上が万が一にでも平民のメイドなんかと子が出来たら……!! っていうかなんで呼捨てなんだ!」

「それも、対策済みだ。これはあくまで練習や性欲を満たす遊びだからな。100%妊娠しない避妊薬は十二分に持っている」

 ルシファーが説明しながテーブルに小瓶を置く。

「くっ……!」

 イザベラは得意げなルシファーに唇を噛みなんとも言いがたい悔しい気持ちになった。

「では、ルシファー。そろそろ始めないか? 俺が賭けた回数の3回をお前がこなすのであったな」

「ああ。回数を超えようと自由だがな。腕輪の白い瞳が青くなれば成功、開始したという印で、赤くなれば失敗。指名側はまた相手を選ばなければいけない。ちなみにいつ部屋をでようと外では5分なので何回してもいいぞ? 回数を下回るのはだめだが……」

「ふむ……、だが、お前は人外と言っていたな? それでは俺の方があまりにフリではないのか?」

「それも大丈夫だ。精力剤と体力回復の薬を支給するから何十発放とうと平気だ」

「そうか。では……」

「では……」

 ジョゼフとグラスに注がれたワインを手に持ってかつんっと当てる。

「「始めようか」」












 ジョゼフの指名したメイドの大まかな情報は、ディーラーとなったシェフィールドが口説く前の予備知識として与えておく事になっている。

 メイドの名前はメリダ・フィーレ。

 ガリア王宮のメイド長、家名があるのは男爵家の4女だからという理由。栗色の長い髪を後で小さく団子のようにまとめていてスタイルはかなりよくては女らしい。

 現在28歳、結婚出産経験あり、9年前に夫が亜人討伐で死亡。子共はすでに嫁いでいてウチの有能なメイドです。

 しかし、自分にも他人にも厳しい性格で、こぞって口説く者もおらず再婚や恋人などの影は無い。

 シェフィールドの簡易な説明を受けたルシファーはジョセフたちがいる客間から出てシェフィールドのナビゲートの元メリダの方へと向かう。

 そして、二人が廊下の角で出会くわしてルシファーによる口説きが始まり、その様子を水晶で観戦していたジョセフ、シェフィールド、イザベラの三人はルシファーの手際のよさに驚く事となった……。











『最高に美しかったよ、メリダ』

『えっ、あっ……、はい……。わたしも十年ぶりに女として満たされ、ま、ました……』

 ルシファーが行為用に指定した客間の前で、まるで恋人のような雰囲気を放ちながら唇を交わしているルシファーとメイド長のメリダの様子を水晶で覗き見していた3人の内イザベラ以外の2人は笑みを浮かべ、イザベラは苦虫を踏み潰したかのような表情でルシファーを見下ろしていた。

 イザベラが見ていたところまでの手段を要約すると、ルシファーはメリダへ声をかけて、言葉巧みに客間まで連れ込み、世間話をしながら前もって知っていた夫が死んで数年が経っているという話をメリダから聞き、ゆっくりと軽いスキンシップを行いながら心理的にそちらへと誘導し、優しく紳士に唇を交わし、初心で前の夫の事もあって踏ん切りのなかなかつかないメリダを諭しながらここぞと避妊薬を取り出し、時のマジックアイテムを見せて軽く説明しながらメイド服のボタンを外していき、お互いの性欲を解消するため他意はない事を始祖へ誓い、そのままベッドに押し倒し、現在恋人同士のような別れ方をするまでの仲となったのだ。

 だから、だろう……。

 ルシファーが部屋の扉を開けて、

「よう、俺のノルマは完遂したぜ。第四回戦といこうか」

 と呟いた瞬間に思わずワイングラスを思いっきり投げつけてしまったのは……。












 しかし、一方のメイド長のメリダはと言うと……。

 ふふふっ、わたくしも捨てたものではありませんね。

 まさかジョゼフさまのご友人から求められるなんて……。

 ふふっ、久しぶりに少女になってしまいましたわ。

 ほんと頭が真っ白になるまで男の方に愛されるってあんなにも気持ちのよい事だったという事に気づけていれば……。

 はぁ〜……、本当に気持ちよかった……。

 またルシファーさまが城に来られた際は、わたくしの方から誘ってみるのも……、いっ、いえっ! それはいくらなんでもはしたなすぎますね。

 とルシファーとの行為を思い出して悶え、葛藤していた。















(後書き!)

 まさかの大人のゲーム開始で新キャラ登場まで書いてしまうと予定量の文字数を大幅に超えてしまいそうなので分割しました!

 今回スポットが当たらなかったメイド長メリダさんが光を浴びる事はあるのか!?

 次回も省略がありますが、新キャラは特別枠で描きますので乞うご期待!!

 メイド追加フラグでガリアからメイドを貰うと思った方ははずれでした。

 まさかのガリア王とゲーム編に突入しました……。

 あとネットで騒がれてますけどティファニアって20巻で死んでませんよね?

 一応、死に掛けですが一命を取り留めていましたよね?

 なんだか死んだヒロインみたいな話があったので、気になりました。

 では、このまま次回へと進みます!!






 あと、エロゲーム説明がチート能力説明よりも力が入っていた事に書き終わってから気づいた……。

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