小説『FAIRY TAIL 光の魔法剣士』
作者:ライデン()

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 〜月の雫(ムーンドリップ)〜


 夜 神殿地下

 グレイ「零帝…何者だ…。ウルの名を汚す気なら、ただじゃおかねぇぞ!!」

 グレイの奴、相当切れてるな…。しかも手から冷気がもれてるぜ。

 ナツ「よ〜し!そういうことならこの悪魔をぶっ倒してみっか!」

 ルーシィ「アンタは何で力でしか解決策を思いつかないのよ…。」

 ナツ「いいから見てろって!」

 そしてデリオラが入っている氷を溶かそうとナツが近づいた。するとグレイが急にナツに殴りかかった。
 が……。

 パシィ!

 ハル「はい、ストップだグレイ。それとお前もだ、ナツ。」

 グレイ「っ!!」 ナツ「うぉ!?」

 俺は殴りかかったグレイの拳を受け止め、ナツは換装で取り出した「真打」を鞘に入れた状態でナツの首に当てて止めた。

 ナツ「何すんだよ!?」

 ハル「今何もわかっていない状態でお前が行動したら、何が起こるかわからないだろ?だから止めた。」

 ナツ「なんだとぉ!?」

 ハル「それにグレイがお前を殴ろうとしてたからな。それも止めたかった。」

 ルーシィ「グレイが?いつものことかも知れないけど、どうして…?」

 グレイ「…火の魔道士のお前がこれに近づいて、氷が溶けたら…。」

 ナツ「あぁ!?なんだよ!?この氷はそんなに簡単に溶けちまうもんなのかよ!?」

 グレイ「ッ!?…いや…。」

 ようやく落ち着いてきてくれたな。まず一安心だ。

 グレイ「…俺の師匠、ウルはこの悪魔に『アイスドシェル』っつう魔法をかけた。それは溶けることのない氷。いかなる爆炎の魔法をもってしても、溶かすことの出来ない氷だ。溶けないと知ってて、何故これを持ち出した?」

 ルーシィ「知らないのかもね?何とかして溶かそうとしているのかm「なんのために!!?」し、知りませぇんけどぉ。(泣)」

 ハル「まぁまぁ、落ち着けって。」

 グレイ、そんなに怒鳴らなくてもいいじゃねぇの。

 グレイ「ちぃ、調子出ねぇな…。誰が何のためにこんなもんをここに…。」

 ナツ「簡単だ。さっきの奴らを追えばいい。」

 ルーシィ「そうね。」

 グレイ「いや!ここで待つんだ。」

 ハッピー「何を?」

 ハル「月が出るまで、だろ。グレイ。」

 グレイ「あ、あぁ。」

 ナツ「月ぃ!?て、まだ昼だぞぉ!無理無理!暇すぎて無理、死ぬ!」

 ルーシィ「グレイ、ハル。どういうことなの?」

 グレイ「島の呪いもデリオラも、全ては月に関係しているように思えてならねぇ。さっきの奴ら、「もうすぐ月の光が集まる」とか言ってたしな。」

 ルーシィ「そっか。確かに何が起こるか、あいつらが何するか気になるわね。」

 ナツ「俺は無理だぁ!追いかけ「フンヌラバ!!」グホォ!!」

 今度は俺がナツの腹を殴り、気絶させた。

 ルーシィ「えぇ!?なんでぇ!?」

 ハル「うるさかったから暫くおとなしくしてもらう。」

 ハッピー「エルザより質悪いよ、ハル。」

 そうかな?そんな自覚はないが…。

 ハル「まぁ今やるべきは、現状確認だ。さっきの奴らの会話からわかることをまとめよう。」

 グ・ル・レ・ハッピー「「「「おぉ。(えぇ。)(うむ。)(あい!)」」」」


 暫く話し合って、奴らの目的はデリオラの復活と予測、だが方法は不明。敵はさっきの三人、ユウカ、トビー、シェリーと、零帝と呼ばれている奴だということぐらいだった。まぁ俺の場合、転生前の知識で知ってるが、さすがに言うわけにはいかないだろ。
 で、今はというと…。

 ルーシィ「あ〜。待つと言ったものの暇ね〜。やっぱり。」

 ハッピー「あい。」

 そう、暇をもてあましているのだ。
 するとルーシィが、

 ルーシィ「そうだ!開け、琴座の扉!リラ!」

 星霊魔法を発動し、琴座のリラを呼び出した。

 リラ「ちょ〜久しぶり、ルーシィ〜!」

 ルーシィ「はぁい、リラ。」

 リラ「も〜、たまにしか呼んでくれないんだもん。たまにはリラだってもっと活躍したいのに〜、ルーシィったらいけず〜。」

 ルーシィ「いけずって。だってアンタ、呼べる日月に二回ぐらいじゃない。」

 リラ「えぇ、そうだっけ!?」

 ハッピー「また変なのが来た…。」

 ハル「でもあのかによりかはいいと思うぞ、ハッピー。」

 レット「……。」

 なんか星霊って微妙なの多いよな、ビジュアル的に。

 リラ「で、今日は何の歌歌って欲しい!?」

 ルーシィ「何でもいいわ、任せる。」

 ハッピー「おいら、魚の歌がいい!」

 リラ「じゃあ、てきっとうに歌うわねぇ!きゃ〜!」

 ルーシィ「リラはすっごく歌上手いのよ。」

 ハッピー「ミラだって上手だよぉ。魚の歌も歌ってくれるし。」

 魚の歌って…。確かにミラの奴も上手いよな。

 ポロロン…。

 リラ「うまれる〜こと〜ば〜、消え行く言葉〜、あなた〜のな〜か〜に〜、いき〜続ける言葉〜、立ち止まり〜そうなとき、勇気へと〜変〜わ〜る、さあ、歩き出そう、あ〜の〜と〜き〜より〜、あなたは〜強くな〜っている〜か〜ら〜、もう、迷わないで、あのと〜き〜の〜こと〜ばを〜、信じ〜て〜……。」

 リラの歌が始まり、皆(グレイ以外)それに聞きほれていた。気絶しているナツも、何故か微笑んでいる。そして……。

 つー…。

 グレイが堪えきれず、涙を流した。

 ルーシィ「は、ちょ、グレイ!?」

 グレイ「…あぁ、何だよ。」

 ハッピー「泣いた。」

 ルーシィ「確かにリラは人の心情を読む歌が得意だけど…。」

 ハッピー「グレイが泣いた…。」

 グレイ「泣いてねぇよ…!」

 ルーシィ「も、もっと明るい歌にしてよリラ!」

 リラ「えぇ!?だったらそう言ってぇ。」

 グレイ「つうかよく考えたら、誰か来たらどうすんだよ。黙ってろ。てかハル、お前もわかってただろ。何で止めなかった。」

 ハル「ん〜、なんとなくリラの歌が聞きたかったから。」

 こうして俺達は、俺を残して寝始めた。



 暫くすると、俺達がいる地下が大きく揺れ始めた。

 ルーシィ「な、何の音?」

 ナツ「夜か!?」

 ハル「どうやら、そのようだぜ。」

 そして天井に魔方陣が展開され、紫の光りが氷にあたり始めた。

 ハル「どうやら、これがムーンドリップのようだな。」

 グレイ「いくぞ!光の下を探すんだ!」

 ハッピー「あい!!」

 そして俺らは神殿の上を目指して走り出した。
 神殿の上、屋上に上がると……。

 ナツ「なんだぁ、あれ。」

 ルーシィ「しっ!!」

 屋上では顔を隠した奴らが、円を作って詠唱していた。

 グレイ「月…!」

 ナツ「本当に月の光を集めてるのか、こいつら。」

 ルーシィ「それをデリオラに当ててどうする気?「ベリオラ語の呪文、ムーンドリップね。」ひ、アンタまだいたの?」

 リラ「そうか、そういうことなのね。」

 ルーシィ「何、何なの?」

 リラ「こいつらはムーンドリップを使って、地下の悪魔を復活させる気なのよ。」

 ナツ「何ぃ!?」

 グレイ「馬鹿な!!アイスドシェルは、溶けない氷なんだぞ!!」

 リラ「その氷を溶かす魔法がムーンドリップなのよ。一つに集約された月の魔力は……」

 ちょっと長いので略す。はっきり言って、俺もあんま聞いてなかった。光が振ってくるまでの間、俺はずっと起きてたから、正直言って眠くて…。
 そして暫くすると鎧を着けた男が、ユウカとトビー、シェリーを連れ現れた。ついに零帝のお出ましのようだ。

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