〜楽園という名の地獄〜
side ハル
俺達は前回ロキからもらったチケットで、アカネリゾートにやってきた。仕事のことなんか一切考えず、ただひたすら楽しむべく遊びつくした。
グレイ「パンツ返せゴラァ!」
ナツ「やなこった!」
ハッピー「うえぁぁ…」
ルーシィ「ハッピーで隠すの止めなって!」
ハル「ナツもそろそろ返してやれ。」
そんな楽しんだ時間もあっという間に過ぎ、日が沈み始めた。ナツにハッピー、グレイとレットは地下に遊びにいった。実はレット意外と賭け事強いんだよな。ルーシィも準備をして行くと言っていた。
俺か?俺は今…ちょっと遅い昼寝だ。いや、勘違いするなよ。ただ俺があそこ介入すると色々と困った事になるかも、と思ってな。
しばらくして、建物の地下から感じた事のない魔力を感じた。そろそろか。俺は急いで地下に向かった。地下についたときには、ルーシィが拘束されていた。
ハル「ルーシィ!」
ルーシィ「ハル!?今までどこに居たのよ!?」
ハル「ずっと部屋にいた。」
ルーシィ「早く助けてよ!このロープ切って!」
ハル「はいはい。」
俺は換装の魔法で逆刃刀を取り出し、ロープを切った。
ルーシィ「やった!ねぇ、ナツ達見てない!?」
ハル「いや、まだだ!別のフロアにいるんだろう!」
ルーシィ「早くしないと!ナツ達が大変かもしれない!それにエルザやハッピー、それにレットも連れてかれちゃったの!」
ハル「なん…だと……」
まさかレットまで持ってかれたとは…。あの四角野郎、ただじゃ済まさねぇ…!
俺とルーシィは別のフロアに向かった。そこには傷だらけのグレイとその脇に倒れているジュビアがいた。
ルーシィ「グレイ…そんな!?」
ハル「…大丈夫だルーシィ。あれはグレイじゃない。」
ルーシィ「え?」
俺はそう言ってグレイらしきものに触った。するとそれはグレイの形をした氷の塊となり、そして砕けた。
ルーシィ「えぇぇ!?」
ハル「ほら、な?」
ルーシィ「じゃ、じゃあ本物のグレイは「安心してください。」あっ!」
すると今度は倒れていたジュビアが四つん這いの形でこちらを向いた。因に足下の方は水になっていた。
ルーシィ「あんた、エレメント4の!」
?「待て!ルーシィ!」
足下の水が崩れ、中からグレイが出てきた。
グレイ「こいつはもう敵じゃねぇ。」
ジュビア「そうです。グレイ様はジュビアの中にいました。」
ルーシィ「な、中!?あっはは…」
ジュビア「あなたではなくジュビアの中です!」
ルーシィ「うん…そうね……」
グレイ「突然の暗闇だったからな。身代わりを作って、様子を見ようと思ったんだがな。」
グレイはしゃべりながらも服を脱ぎ始める。だからお前は何故この場面で服を脱ぐ。ネクタイならまだしも。
ジュビア「敵にバレないように、ジュビアがウォーターロックでグレイ様をお守りしたのです。」
グレイ「余計な事しやがって。逃がしちまったじゃねぇか!」
ジュビア「ガーーン!!」
グレイ「ルーシィ、ナツ達はどうした?」
ルーシィ「ナツはわかんない。でも、ハッピーとエルザ、それにレットが…」
ハル「ナツの方は心配ねぇみたいだな。」
ルーシィ「え?」
グレイ「それってどういう…」
ナツ「うぉぉぉーーーーー!!!」
グレイが言い終わる前に、違う場所から大きな叫び声と炎が出てきた。
ナツ「がっは!なんて野郎だ!」
ル・グ「「ナツ!」」
ナツ「あ!?」
グレイ「何があった!?」
ナツ「普通口ん中に弾なんかぶち込むかぁ!?あぁ!?痛ぇ!?下手すりゃ大怪我だろ!?」
ルーシィ「いや、普通の人間なら完全にアウトなんだけどね…」
ジュビア「さすがサラマンダー…」
ハル「それぐらいなら俺も出来るぞ。」
グレイ「いや、そういう問題じゃないからな。」
まぁ普通の状態で弾を受けるのは俺でもヤバいかもしんないけど。
ナツ「あぁの四角野郎ぉぉ!!逃がすかゴラァァ!!」
グレイ「追うぞ!」
ルーシィ「追うって言ったって、どこに居るのか…」
グレイ「アイツの鼻の良さは獣以上なんだよ!」
ルーシィ「でもナツ行っちゃったよ?」
ハル「それも大丈夫。アイツにこっそり念糸をくくりつけておいた。」
ルーシィ「念糸?」
ハル「簡単に言うとオーラで作った糸だ。俺のオーラがある限り、どこまでも伸びる。」
グレイ「ま、なんでもいい!行くぞ!」
ナツを追いかけ追いつき、現在船の上。ナツの鼻だけを頼りに向かっているんだけど…
グレイ「つかよう、どこだよここは!」
ジュビア「ジュビア達、迷ってしまったのでしょうか?」
ルーシィ「ナツ、本当にこっちであってるの?」
ナツ「うっぷ…」
グレイ「お前の鼻を頼りに来たんだぞ!しっかりしやがれ!」
ジュビア「グレイ様の期待を裏切るなんて、信じられません!」
船の上だとナツがこんなんだからな…。まぁ仕方ないか。
グレイ「くそ!俺達がのされてる間に、エルザとハッピーのレットが連れてかれるなんてよう。情けねぇ話だ!」
ジュビア「でも、エルザさん程の魔導士がやられてしまうなんて…」
グレイ「あぁ。やられてねぇよ!エルザの事知りもしねぇくせに!」
ジュビア「ご、ごめんなさい!」
ルーシィ「グレイ落ち着いて!」
ハル「大人げねぇぞ、グレイ。何を焦ってる。」
グレイ「くっ…」
因に船はルーシィとグレイと俺で動かしている。三人なら魔力の消費も抑えられる。
ルーシィ「アイツ等、エルザの昔の仲間って言ってた。アタシ達だって、エルザの事…全然わかってないよ……」
グレイ「…………」
ハル「アイツにもアイツなりの何かがあったって事だ。俺達にも話したくねぇ何かが、な。」
そう言い終えた瞬間、何か嫌なモノを感じた。そしてさっきまでダウンしていたナツも、それを感じたのか立ち上がった。
ナツ「なんだ?この危ねぇ感じは…?」
ナツの見る先を見ると、飛んでいた鳥が次々と落ち始めていた。
ルーシィ「鳥が……!」
グレイ「何事だ、こりゃ…」
ハル「おい、見ろ!」
今度は海から魚が浮かんできた。そのそばには船の残骸と思われる木片が浮いていた。
グレイ「魚もか!?」
ジュビア「ただ事じゃないですね…」
グレイ「この残骸、フィオーレ軍の船か!?」
ハル「どうやらそのようだな。」
ルーシィ「やな予感…!」
ナツ「…おい、あれ…」
いつになく真剣な顔で先を見るナツ。その先には天まで伸びる塔のような物があった。
ルーシィ「あれが…楽園の塔……」
ルーシィはそういうが、やはりどう見ても楽園と呼べる代物ではないな、ありゃあ…。
ジュビア「ウォータードーム!」
楽園の塔に近づくにあたり、ジュビアが魔法を使い、海の水で船の周りを包んだ。
ジュビア「これでカモフラージュして上陸しましょう。」
ルーシィ「す、すごぉ…」
確かにこれなら遠くから見てもわからないだろうな。
その後、無事上陸し入り口付近まで来れたはいいが……
グレイ「見張りが多いな…」
ナツ「突っ込むか?」
ルーシィ「ダメよ!ハッピーとレットとエルザが捕まってる!下手な事したら、二人が危険になるのよ!」
ハル「それは確かに困るな。」
俺達がどうするか決めあぐねていると、水中からジュビアが出てきた。
ジュビア「水中から地下への抜け道を見つけました。」
グレイ「マジか!でかした!」
ジュビア「褒められました!あなたではなくジュビアがです!」
ルーシィ「はいはい…」
ジュビア「水中を十分程進みますが。」
ナツ「何ともねぇよ、それぐらい。」
グレイ「だな。」
ルーシィ「無理に決まってんでしょう!?」
まぁ普通の人間じゃあ無理だわな。
ジュビア「ではこれをかぶってください。酸素を水で閉じ込めてあるので、水中でも息が出来ます。」
グレイ「おぉっ!」
ナツ「お前すげぇな!つか誰だ?」
ジュビア「はぁっ!!」
俺達はジュビアの言う通り、ジュビアが作ったその酸素ボンベもどきをかぶり、水中を移動した。
水面から誰もいない事を確認し、楽園の塔の地下へ到着。
ルーシィ「便利ねぇこれ!マヌケだけど。」
ジュビア「ルーシィさんだけちょっと小さめに作ったのに、よく息が続きましたね?」
ルーシィ「おいおい……」
次の瞬間、上から何かが吠える声がした。見上げると、飛ぶ変な生き物に乗っている奴が居た。
「侵入者だぁー!」
ルーシィ「やばっ!」
するとすぐに銃や剣を持った奴らが現れ、俺達を取り囲んだ。
「なんだ貴様らは!?」
グレイ「こうなったら…やるしかねぇだろ!」
ジュビア「はい!」
ナツ「『なんだ貴様らは』だとぉ!?上等くれた相手も知らねぇのかよ!」
ナツが俺達がいた地面を破壊し、その爆発の勢いで俺達は飛び上がった。
ナツ「フェアリーテイルだ馬鹿野郎!」
かくしてそれぞれの戦闘が始まった訳だが…
ハル「…俺はなぁ…今ちょっと虫の居所が悪いんだ…」
俺はそう言って、換装の魔法で棍棒を取り出した。
ハル「てめぇらなんか俺の練習相手にもならねぇぜ!」
取り出した棍棒でなぎ払い、突き、殴り倒した。気づいたときには既に全滅していた。
ジュビア「あらかた片付きましたね。」
グレイ「だな。」
ルーシィ「こんなに騒いで大丈夫…な訳ないか…」
バルゴ「お仕置きですか?」
ナツ「四角はどこだ!」
ハル「こいつら全然歯ごたえねぇな…つまんねぇぜ。」
すると壁にはまっていた石像の顔のような物の口から、道が出てきた。
ナツ「あ。んだぁ?」
グレイ「上へ来いってかぁ?」
ハル「なめてんのか?おい。」
俺達は警戒しながらもその道を通って塔の上へ向かった。
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