〜決戦前の静けさ〜
side 三人称
シロツメの町北西部 闇ギルド「グールスピリット」
「ぐほぉあぁ!?」
?1「俺達を笑ったな、貴様ら」
「殴り込みだぞこの野郎!」
「生きて帰すな!」
ギルドの入り口に立つ三人の人影。それを迎え撃つべく、グールスピリットの面々は攻撃を始める。
先頭に出た二人はいきなり石化し、さらに攻撃を仕掛けようとした者には宙に浮いたトーテムポールの一部から放たれる攻撃に次々と倒れていく。
?2「ひっひっひっひっひ!」
?1「もういい、ビックスロー」
ビックスロー「あぁ?もう終わりかよ!?俺のベイビー達は暴れたりねぇってよぉ!」
「「「「「足りねぇ足りねぇ」」」」」
?1「それなら、うってつけの話があったな」
?3「あぁ、ラクサスの話?いよいよやるのね」
ビックスロー「俺はこのときをず〜っと待ってたんだよ!ベイビー達もなぁ!」
殲滅が終わり、話している三人。その三人の体には、フェアリーテイルの紋章があった。するとそこに入り口から別の人影が入ってきた。
?4「終わったか、おめぇら」
ビックスロー「おっ!なんだ、お前も来てたのか!」
?4「近くまで来て、お前らがここに入るのを見かけてな」
?1「ではお前も?」
?4「そりゃ当たり前だ。俺だって「雷神衆」の一人なんだぜ」
その人影は中に入ってすぐ三人に声をかけた。その人物は腕に腕にフェアリーテイルの紋章をつけ、首から髑髏のついたアクセのようなものをつけた男だった。
?4「それじゃ、行くぞ。フェアリーテイルに」
収穫祭 当日
ナツ「あ…あぁ…祭りだ……」
ハッピー「あい!」
ナツ「食えるもん、片っ端から食うぞぉ…」
ハッピー「食うぞぉ!」
屋台の通りをふらつきながら歩くナツ。どうやら、エーテリオンを食ったことがまだ影響しているようだ。
ルーシィ「まだ調子悪そうね」
ジュビア「大丈夫ですか?」
グレイ「ほぉっときゃいいんだよ」
レット「だな」
?「相変わらずだな」
そんなナツを少し遠くから見るルーシィ、ジュビア、グレイの三人とレット。そこに、後ろから突然声をかけられ、三人が振り返る。
グレイ「ウォーレン!久しぶりだな!」
ウォーレン「収穫祭になんとか間に合ったよ!」
そこには荷物を持ったウォーレンがいた。
グレイ「仕事掛け持ちし過ぎんだよ!」
ルーシィ「すごーい!」
ジュビア「あの、新人のジュビアです」
ウォーレン「あぁ、君が噂の…」
グレイ「ウォーレン・ラッコー。テレパシー使いの実力者だ」
ウォーレン「よろしく!」
ジュビア「よろしくお願いします。それにしても……」
ルーシィ「すんごい人!」
お互いの自己紹介を終えると、ジュビアは周りの屋台を見ながら呟き、その後をルーシィがいった。
ウォーレン「ファンタジアを見る為に、他の町からも集まってくるからな」
ルーシィ「私も見た〜い!」
グレイ「お前は参加する側だろ」
ルーシィ「ん?参加と言えば…ミスフェアリーテイルコンテスト始まっちゃう!私の家賃〜〜〜!!」
ジュビア「ジュビア、ルーシィさんには負けられません」
レット「ジュビアも出るのか。しかもすごい闘気…」
グレイ「だな」
ウォーレン「あれ?そう言えばレット、ハルの奴と一緒じゃないのか?」
ルーシィがコンテストに参加する為に走り去り、ジュビアが闘志を燃やしている時、ウォーレンがふと気づいたことをレットに聞く。だが、レットは少し難しい顔をしてしまった。
レット「ハルは…鍛冶屋のムジカのところに行ってる」
side out
side ハル
今日は収穫祭当日。町はいつも以上に騒がしくなる日だ。
だが、そんな日に俺は………
?「はむ、やはりTCMのことか…」
ハル「耳に入ってましたか」
?「はむ、シバから聞いたのだ」
俺は今、マグノリアの町の端の鍛冶屋。折れたTCMを持ちそう言う老人。この人はガレイン・ムジカ。TCMの生みの親だ。
元は俺の師匠、シバさんの為に作った剣だったが、俺が使い始め手入れの為時々見てもらってたりしている。
ガレイン「だが…本当にいいのか?わしが鍛え直して」
ハル「いや、アンタしかいないんだよ…これを鍛え直せる人は」
そう、TCM程の剣を鍛えられるのはこの人しかいないのだ。となると、他の奴には頼めない。
ガレイン「はむ…だが、おぬし「第10の剣」はどうするのだ?」
ハル「……今はまだ…」
ガレイン「…はむ、あるいは彼奴なら…」
ハル「アイツはダメですよ。元より鍛冶なんてやらねぇなんていってんだから」
ガレイン「………」
ガレインは難しい顔をして俯いた。どうもまだ納得してはくれてないようだが……
ハル「お願いします。今は、あなたにしか頼めないんだ」
ガレイン「はむ…わかった。なんとかしよう」
ハル「ありがとうございます」
ガレインは渋々了承してくれた。俺は礼を言って折れたTCMを渡した。
ガレイン「出来たら連絡する」
ハル「お願いします」
ガレイン「それよりいいのか?」
ハル「何が?」
ガレイン「ギルドの方でコンテストなんてやってるそうだぞ?」
ハル「それを言うならアンタの方だろ。かわいい奴らを見に行かなくていいのか?」
ガレイン「それはまぁ…そうじゃが…」
ハル「ふふ、まぁ俺は戻るわ」
ガレイン「マカロフにもよろしく言っといてくれ」
ハル「あぁ、よろしく伝えておくよ」
俺はそう言って鍛冶屋を出た。
鍛冶屋を出て時間を確認し、俺は走っていた。気づけばコンテストが始まっている時間だったのだ。
ハル「は、は、は、は、くそ…間に合うか!」
そしてようやくフェアリーテイルの前まで来て、中に入る。
ハル「ナツ、マスター、皆!」
マカロフ「!ハルか!」
ハル「マスター!他の皆は!?」
マカロフ「ラクサス達を見つけに出て行ったわい!」
ハル(しまった!もう術式が!)
中に入り、叫んだ俺にマスターが答えた。どうやらもうバトル・オブ・フェアリーテイルは始まっていた。中にいたマスターの隣にリーダースがいた。さらに俺が入ってきたことに気づいたのか、机の上にいたレットもこっちにやってきた。
ナツ「ぐわぁあああ!」
ハッピー「あ、起きたぁ!」
ナツ「あれ、ラクサスどこだ!?つうかだぁれもいねぇ!」
すると床で寝ていたナツが急に起きた。どうやらラクサスにやられていたらしい。
ナツ「じっちゃん!皆どこにいったんだ?」
マカロフ「ナツよ!祭りは始まった。ラクサスはマグノリアの中におる。倒してこんかーい!」
ナツ「おぉっしゃーー!」
ハル「あ、待てナツ!」
ナツ「待ってろラクサ(ガンッ)ずぅ!!」
ナツはマスターの指示で外に出ようとしたが、やはり術式に阻まれ、外に出られないでいた。
ナツ「なんでだ……」
マスター「どうなっとるんじゃぁ!?ナツ、お前八十歳か!?石像か!?」
ナツ「知るかぁ…」
ハル「ダメだ、俺も出れねぇ」
マカロフ「何じゃと!?」
ハル「俺とナツに共通するもの…おそらく、滅竜魔法が何らかの原因なんだろう」
マカロフ「うぬぅ…となるとハルまでも参加できないのか…」
すると術式の壁に、新たに文字が浮かび上がった。
マカロフ「途中経過速報?ん?ジェット対ドロイ対アルザック?な、何じゃこれはぁ!?」
ナツ「何でアイツらが、戦ってるんだ!?」
ハル「レット、ラクサス達何か言ってなかったか?」
レット「祭りの前の余興だとか、フェアリーテイル最強は誰なのか決めるだとか…」
ハル「ってことは、これは仕組まれた戦い。おそらくここと同じフリードの術式にはめられたんだろ」
マカロフ「それでは、他の奴らも!」
ハル「罠にはまる度、戦わなくちゃいけなくなる…」
そしてまた文字が壁に浮かび上がる。
マカロフ「勝者アルザック、ジェットとドロイ戦闘不能…」
その内容は、先程の戦いの結果を知らせるものだった。
ハル「くそ…あいつら……!」
俺は何も出来ない不甲斐なさに拳を強く握る。
ナツ「ふざけるなよ!ラクサーースッ!!」
side out