小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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約束



圧倒的な力でグレモリー眷属を倒した俺はグレモリー先輩たちの許に赴いていた。場所はオカルト研究部部

室だ。扉を開け放つとアザゼルとサーゼクス、グレイフィア、シトリー眷属がいて俺の家族―――全員は来れ

なかったようで和樹と龍牙、ソーナ、ヴァイラ、レイヴェル、何時もの学校のメンバーがいた。そして

グレモリー眷属は沈黙していた。イリナは心配そうに皆を見ていた


「それじゃ、グレモリー先輩。約束通り何でも言うことを聞いて貰おうか?」


「・・・・・ええ、良いわ。貴方の望むものは何かしら・・・・・」


グレモリー先輩はショックを受けているようで俺を見ず顔を伏せたまま答えた


「俺が望むものは―――搭城小猫、ロスヴァイセを引き取らせてもらう」


『―――!?』


俺の望みにグレモリー眷属が驚愕の色を染めた。アザゼルもサーゼクスも少なからず驚いた表情をした


「な、何故、小猫とロスヴァイセを貴方に渡さないといけないのよ!?」


「何でも言うことを聞くって言っただろう?」


「何言っているんだ?」と思い首を傾げる


「だからって、どうしてよりによって私の可愛い下僕たちなのよ!」


「お前の要求を飲んで約束通りに俺一人で勝ったんだぞ?」


俺は勝って何でも言うことを聞く権利を手に入れた筈だよな?


「ダメよ!絶対にダメッ!その望みはきけないわ!他にしてちょうだい!」


「いや、俺の望みは小猫とロスヴァイセだ。二人を引き取る。俺のところに居れば彼女たちは更に強くする

ことができるからな」


「例えそうであっても私は拒否するわ!それでもと言うのなら・・・・・っ!」


彼女は滅びの力を俺に見せる。その行動に俺は嘆息する。


「・・・・・先輩」


「ん?」


「・・・・・先輩のところに行けば私は強くなれますか?」


「その上、黒歌に会えるし俺の料理も食えるぞ」


小猫の問いに俺は頷き答える。小猫は俺の言葉を聞いて「・・・・・そうですか」と呟いた。


「小猫・・・・・?貴女、まさか・・・・・」


「・・・・・これからお世話になります。先輩」


ペコリとお辞儀をした小猫。


「小猫・・・・・!?」


「あの・・・・・私もよろしくお願いします」


「ロスヴァイセ、貴女まで!?」


グレモリー先輩がそんな小猫に信じられないとそんな表情を浮かべるが更にロスヴァイセの言葉に驚愕と

悲しみが混じった声音を発した


「二人がこう言っているんだ。グレモリー先輩、約束を守ってもらうぞ。それに悪魔が契約を破っても

良いのか?」


「兵藤一誠、もう一度勝負よ!こんなの・・・・・!認めるわけにはいかないわ!」


「神器と神滅具を使わずに勝った俺にまだ勝負を挑む気か?知的なグレモリー先輩ならばとっくに気づいて

いる筈だぞ。俺の圧倒的な実力の差を・・・・・」


「関係無いわ!私は、何が何でも私の大切な眷属を守る!もう一度勝負を申し込むわ!」


余りの我が侭っぷりに俺はサーゼクスに視線を向ける。サーゼクスは申し訳なさそうに声を掛けてきた


「兵藤くん、リアスから眷属を引き抜こうとしないでくれ。キミには既に最上級悪魔すら超える実力者たちが

いるのだから」


「そうだな。別に小猫とロスヴァイセを引き抜かなくてもお前にはかなりの実力者が大勢いるんだ。兵藤、

欲張り過ぎるぞ」


サーゼクスどころかアザゼルにも非難された。・・・・・何で非難されるんだ?


「二人共、何か勘違いしていないか?」


『・・・・・?』


あー、『何がだ?』ってみたいな顔をしちゃって・・・・・。うん、勘違いしているな。席を立ち二人を

呼ぶ。二人は怪訝な表情を浮かべながらも俺のところに来てみんなから離れた場所に移動して引き抜く理由を

話す


「なんだよ。そう言うことか。間際らしいな」


「いや、勝手にそう思ったのはアザゼルたちだろう?俺はそんなこと一言も言っていないぞ」


「すまない。てっきりそちらのことかと思った」


「じゃあ、良いんだな?」


訪ねるように問うと二人は頷いた。俺たちは皆の許に戻り席に座ると小猫とロスヴァイセにサーゼクスが声を

掛ける


「話は決まった。塔城小猫、ロスヴァイセ。今後は彼の家に住むことを命ずる」


『えっ!?』


『解りました』


グレモリー眷属とシトリー眷属が驚く中、小猫とロスヴァイセが肯定の言葉を発した。当然、グレモリー眷属

が抗議の意を唱える


「そんなっ!?お兄様っ!あんまりです!」


「魔王様っ!?」


「そうですよ!考え直してください!」


「どうかお願いします!」


「居なくなると寂しいですぅぅぅぅぅぅ!」


「お願いします!」


「どうか考え直して貰えないだろうか?と言うよりどうして私をお前の家に住まわしてくれない。私も

住んでみたいぞ」


抗議の意を唱えるグレモリー眷属。しかし、ゼノヴィアが不機嫌そうな表情を浮かべ俺を睨む


「リアス、キミはゲームに負けたんだ。彼の望みを叶えるのが筋だと思わないかい?」


「ですが―――!?」


「・・・・・リアス」


オオオオオオオッ・・・・・


反論しようとするが、サーゼクスから出る異様なオーラに言葉を詰まらす


「いいね?」


「っ・・・・・はい」


グレモリー先輩は下唇を噛み、手が白くなる程握り、悔しそうに小さく声を殺す様に了承の言葉を言った。

その後、皆に別れのあいさつを済ませて小猫とロスヴァイセを俺たちの家に連れていった



――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「と、言う訳だ。新しく俺たちの家族になった。元ヴァルキリーのロスヴァイセと黒歌の妹の塔城小猫改め

白音だ」


「お世話になります」


「元ヴァルキリーのロスヴァイセです。よろしくお願いします」


パチパチパチッ!


皆から歓迎の拍手が送られた。


「これからずっと一緒にゃん!白音ぇ〜!」


「・・・・・解りましたから、離れてください・・・・・恥ずかしいです」


嬉しさのあまりに白音に抱きつく黒歌


「・・・・・」


「あいつ等が気になるか?」


「ええ、そうです」


「大丈夫だ」


俺がそう言うと「え?」と怪訝になった


「グレモリー達から引き抜く訳じゃないんだ。文字通り『引き取る』だけだ」


「では・・・・・」


「貴女はまだグレモリー眷属の『戦車』って事ですよ」


和樹が説明を補足した


「恩を仇で返していませんがそれでもあんな眷属のところにしかもド変態の赤龍帝の家に住まわしたら大変

ですから貴女たちを家に引き取った訳です。それに一誠さんが他人のものを奪うような真似はしないですよ」


龍牙がそう言いながら歩み寄ってきた。


「そうですか・・・・・。優しいんですね、兵藤くんは」


ロスヴァイセが微笑みながら恥ずかしい言葉を言う!顔が熱くなってきたのが解った。俺はそんな顔を見せ

ないように反らすが和樹がニヤニヤと俺の顔見た


「あーっ、一誠。照れた?照れたよね?」


「照れてない!」


「顔を赤くした時点で照れている証拠だぞ」


「ふふっ、可愛いですよ」


カシャッ!


突然シャッターの音が響いた。


「ふむ、レアな写真が撮れた。また一つ思い出が増えたな」


「永久保存ですねぇ〜!」


「なっ!?其のカメラを寄越せ!」


俺はカメラを奪おうとジェイルたちに飛び掛かる!


「ウーノ!このカメラを死守するんだ!彼のレアな表情の写真が収められているぞ!」


「―――!?解りました!」


ジェイルがカメラを投げ渡しウーノはそれを聞いて絶対に放さないとカメラを受け取る


「ウーノ!其のカメラを寄越すんだ!」


「ドゥーエ!」


「任せて!」


ウーノがドゥーエにカメラを投げ渡した!


「ドゥーエ、其のカメラを・・・・・」


「トーレ!」


「任せろ!」


今度はトーレに渡り俺はカメラを奪おうと動く―――が!


ポンポンポンポンッ


次々と他のメンバーにカメラが渡ってしまい奪う事が出来ずにいた。しかし


ロスヴァイセ 「えっ?」


『しまった!?』


ロスヴァイセにカメラが行き渡ってしまった


「はぁはぁ、ロスヴァイセ・・・・・。其のカメラをこっちに『カシャッ!』・・・・・はっ?」


「えっと・・・・・。すみませんっ!」


「・・・・・あっ待て!」



―――――――――――――――――――――――――――



ダイニングルームから外へ逃げるロスヴァイセを俺は


「捕まえたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「きゃっ!?」


ドサァッ!


俺に飛びかかれたロスヴァイセは俺と一緒に桜の花の絨毯の上に乗った


「はぁはぁはぁ、やっと・・・・・って無い!?」


いつの間にかロスヴァイセの手にはカメラが無くなっていた。


「ここにあるにゃん♪」


俺の背後に何時の間にか黒歌が現れ、手に持っているカメラを見せびらかす。俺は起き上がり奪わんと手を

伸ばす


「黒歌ッ!それを―――て、速い!?」


黒歌は俺のスピードと同等の速さでいなくなった。


「・・・・・はぁ、もうどうでもいいや」


諦めが肝心。そう思いながら桜の花びらの絨毯の上に寝転がる


「ふふ、賑やかな人たちですね」


「まあ、そう言う奴等だからな。俺も気に入っている」


寝転がりながら会話する俺たちだったが、ロスヴァイセは少し恥ずかしそうに口を開いた


「あの、覚えていますか?京都の時の話しを・・・・・」


「京都の時の話・・・・・?」


「私がお嫁に行けなくなった時の話です・・・・・」


ああ、あの時か。脳裏に成神に裸にされた時のことを思い出す


「そのことか?大丈夫。約束通りロスヴァイセが好みそうな男性を『いえ、もう良いです』

・・・・・どうしてだ?」


「既に好きになった人が出来ましたから」


突然の告白に驚く。そうなんだ、でも、何時の間に・・・・?


「へぇ、誰なんだ?やっぱり成神―――『違いますっ!』じゃあ、誰なんだ?」


「それは」


バッ!


「貴方です」


いきなり俺に覆い被さってきた。銀色の長髪が俺の顔を覆い銀のカーテンのようになってロスヴァイセの顔

だけをみる状況になった


「・・・・・何でだ?俺は、俺たちはテロリストと疑われて処刑をされるかもしれないんだぞ。それなのに

好意を持つんだ?理由が解らない」


「貴方の旅館に食事をしていた時、間違って水と酒を飲んでしまったことを覚えていますか?」


「あっ、ああ・・・・・。あれは凄かったな」


あの時、間違って酒を飲んでしまったロスヴァイセは酒癖が相当ひどかった。その上に俺に絡んで助けを求め

てもみんな、誰も助けようとしてくれなかったなぁ・・・・・


「兵藤くんは私を二階に運んできてくれましたよね?」


「まあ、アルコールを浄化して酔いを失くしたらロスヴァイセが急に寝始めたからな」


「いえ、その・・・・・。その時はまだ起きていました。貴方に運んでもらいたくて」


なんですと・・・・・?タヌキ寝入りしていたのか?


「兵藤くんに抱き抱えられた時に私の鼓動が五月蠅いほど鳴ったのです。兵藤くんが私を布団に寝かしていな

くなったあとでも・・・・・。その時ふと貴方を思い浮かんだら顔が熱くなったと同時に心臓が激しく鳴った

のです。その時、私は気づきました。どうして顔が熱くなるのか、心臓が激しく鳴るのかを・・・・・」


彼女は徐に俺の手を取り自分の豊かな胸に当てた


「それは―――私は貴方に、兵藤くんに恋を抱いたのだと気付きました。解りますか?私の胸の鼓動を」


ドクンッドクンッドクンッと心臓が激しく動いているのが彼女の柔らかい胸を通じて解った


「・・・・・ああ」


「私は貴方に触れられると心臓が五月蠅いくらいに鳴るんですよ?」


ドクンッドクンッドクンッ・・・・・


「もう一度言います―――。私は貴方を恋しています。貴方のことが好きです、私と付き合って

貰えませんか?」


「・・・・・俺には既に愛している彼女たちがいる。それでもいいのか?」


「何番でも構いません。私は貴方と共に歩みたいのです」


そう言ってロスヴァイセは自分の身体を俺に押しつけながら顔を近づけ


「イッセー・・・・・」


「ロスヴァイセ・・・・・」


『んっ』


キスした。


「・・・・・ズルいです」


突如、小猫が俺たちの傍に現れた


「・・・・・私も先輩の事が好きです!」


「んっ!?」


突然の小猫からのキスに驚愕する俺とロスヴァイセ


「・・・・・先輩」


瞳を潤わせ、スリスリと顔を磨り付ける


「ふふっ、負けませんよ?小猫さん」


「・・・・・私だって負けません」


「・・・・・」


俺はまた幸せになったのかな?まあ、今は


「小猫、ロスヴァイセこれからもよろしくな?」


『よろしくお願いします』


俺に微笑む笑顔を見せる新たな恋人と共に歩もう。これから先ずっと・・・・・










「これから妹共々よろしくにゃん♪」


影から見守っていた黒歌が呟いた。その表情は嬉しそうだった



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ハイスクールD×D リアス・グレモリー (1/4.5スケール ポリレジン製塗装済み完成品)
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