小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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友好と新世界へ(1)



現在俺は部屋にいる。あの後、ギャスパーを謝りながら風呂の中へ招き入れるとライザーたちも風呂に入りに

来た。そのあとは女性の入浴時間まで俺たち男性陣は入浴した。今では女性の入浴時間となって男性陣は

自分の部屋に戻ったか俺の家族と話し合っていると思う


コンコン


「・・・・・・?」


誰だ?ガイアたちは入浴しているから直ぐに出てくるとは思わないから・・・・・


「良いぞ」


俺が了承すると部屋の扉が開け放たれた。


「失礼するよ」


部屋に入って来たのはサーゼクスだった。辺りを見渡しながらこっちに近づいてきた


「豪勢な部屋だと思っていたがそうでもないのだね?」


「金なら腐るほどあるけど、別に豪勢な暮らしをしたいわけじゃないからな。サーゼクスたち貴族には

不向きな生活だろうな」


「いや、そうでもないさ」


と短く返したら「此処に座ってもいいかな?」言いながら部屋に設置してある椅子に腰を下ろした。俺も既に

椅子に座っているためサーゼクスと対面し合う形になっている。


「兵藤くん、キミとは一度ゆっくりと話をしたいとは思っていた。そして、感謝を言いたい」


「感謝・・・・・?」


「前魔王たちを救出と戦争で死んだ悪魔たちを甦らせたことだ。あの中には断絶した悪魔たちも

いるのだろう?」


あー、そんな奴等がいたな。そいつらにはルシファーたちに任せている。今では不満もなく生活しているみた

いだったな。俺は頷くとサーゼクスは頭を下げた


「キミとキミたちのお陰で『元七十二柱』ではなく『七十二柱』となった。前魔王たちも生存し戦争で死んだ

純血の悪魔たちも再び甦って数も戻った。いや、それ以上に数が増えた」


「また戦争するなんていうなよ?」


「もう二度しないさ。お互い、失くしたものの辛さを痛感したからね」


俺が釘をさすとサーゼクスは苦笑いしそう言った。


「ああ、明日は楽しみだ。何せ、悪魔と天使、堕天使が共存している世界を私たちは行くのだからね。この

世界じゃ有り得ないことだよ。和平と協力態勢をしても人間界に己の正体を明かし、天界は私たち悪魔と

堕天使は暮らすことはできないのだからね」


「解っているとは思うけど『冥魔』には行かない。サーゼクスたちを恨んでいる悪魔が住む世界と言っても

良いからな」


「そうか、それは残念だ。同じ悪魔として一度は行ってみたいが・・・・・」


「入った瞬間、敵意と殺意が向けられると断言するぞ。最悪、戦闘に成るかもしれない」


真剣な表情で旧魔王派の奴等のことを言った。カテレアもクルゼレイもまだ、サーゼクスたちを

憎んでいるからな


「むっ。もう、こんな時間か・・・・・。そろそろ寝ねばならないといけないな」


「そうか。それじゃあ、また明日な」


「ああ、お休み。義弟よ」


「お休み。義兄さん」


サーゼクスは俺の部屋にある時計を見て自分の部屋に戻るため部屋から出て行った。そして。俺もベッドの

中へ潜り就寝する



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



ジリリリリッ!


頭の上にけたたましく鳴る音に少しずつ深く沈んでいた意識を覚醒していく。五月蠅く鳴る時計を止めようと

腕伸ばす―――


「ぅぅん・・・・・」


「・・・・・・ん?」


伸ばそうとした腕に何やら柔らかいものが当った。閉じていた目蓋を開き、顔を隣に向けると


「ん・・・・・」


「・・・・・・」


俺の腕に抱きついて眠っているゼノヴィアがいた


「どうして、こいつがいるんだよ・・・・・」


呆れながら未だに五月蠅くなる時計をもう片方の手で止める


「ゼノヴィア、起きろ」


「・・・・・んん」


頬を軽く叩き起こそうとするが起きる気配が全くない。


「起きないとイタズラするぞ」


「・・・・・」


なんとなくそう言ってみた瞬間、彼女の頬が朱に染まった。―――こいつ、起きているな。


ズビシッ!


無言でタヌキ寝入りの彼女の額に(気を纏って)デコピンした。


「起きろ」


「・・・・・酷い起こし方だな」


「勝手に人の部屋に入った上に俺のベッドに潜り込んできて寝た奴が何を言うか。どうして自分の

部屋で寝ない」


「お前と一緒に寝たいからだ」


胸を張って威張るように言う彼女に再びデコピンした。


「な、何をする!痛いじゃないか!?」


「なんとなくした。それと痛くしたのはワザとだ」


サラッと俺は言った。時間は・・・・・今から朝食を作れば間に合うな


「む?どこに行くのだ」


「朝食を作りに行くんだよ」


「そうか、では、私も一緒に行かせてもらおう」


瞬時で着替えて部屋から出た俺についてくるゼノヴィア。廊下を少し歩き階段へ赴いて下りダイニングルーム

の扉を開け放ち、キッチンに向かう。食卓の定番に焼き魚とみそ汁、サラダ、卵焼き、納豆に海苔にするか。


「イッセー、私も手伝う」


「・・・・・イッセー?」


「お前の呼び方だ。ダメか?」


「いや、ダメも何も。その呼び方って成神と同じだろう・・・・・」


「取り敢えず、人数分の食器を出してくれ」と頼み冷蔵庫から食材を取り出す


「しょうがないだろう。イッセーとイッセーは同じ言い方なのだから」


「名前の漢字が違うがな。というより、あいつと同じ呼ばれ方をされたら解らないぞ」


「しかもあいつと一緒なんて絶対にやだ」と言いつつ、朝食を作り始める


「お前の家族たちは『イッセー』と呼んでいるみたいだが?」


「良いんだよ。俺の家族はそう呼んでも構わないんだ」


「私はお前のことを『イッセー』と呼んではダメなのか?部長とフェニックスの両親が『イッセーくん』と

呼んでいるのにダメなのか?」


「あの人たちは俺のお父さんたちの友達だ。だから許しているんだ。イリナみたいに『一誠くん』、若しくは

『一誠』と呼んでくれ。その方が成神と一緒にいる時に区別ができる」


ゼノヴィアとそうやり取りした間に出来上がった料理を皿に乗せて「テーブルに並べておいてくれ」と

手渡す。俺もテーブルに並べていく


『・・・・・』


前テーブルに皿に盛った料理を並べ終わるまで無言になった。並べ終わると米を洗い炊飯器に入れて

炊飯する。皆が起きる頃には炊ける筈だからその間に本でも読むとしようかな。棚から一冊の本を取り出し

ソファーに腰を落として読み始める


「・・・・・」


彼女は何も言わずに読書する俺の隣に座りに来た。そのまま、俺の肩に頭を乗せてくる                       


「好きだ」


「・・・・・唐突だな」


「私はお前のことが好きだ」


「ああ、京都で知った」


彼女が俺に好意を持っていることは京都で初めて知った。あれから俺に接してくるのかと思ったけど彼女は来なかった


「あれからどうしたらお前が私に振り向いてくれるのかと考えた。だけど、私はこれしか思いつかな

かった。・・・・・イッセー、私は心の底からお前が好きだ、愛している。この心と体をお前に

全て捧げたい」


そう言って彼女は俺の前に立って服を脱ぎだした・・・・・って!


「ちょっとまて!此処で脱ごうとするな!」


「だが、私はこれしか思いつかないのだ!」


「だからって体を使って俺を振り向かせようとするな!」


瞬時で彼女をソファーに押し倒す。じゃないとまた脱ぎだそうとするからだ


「じゃあ、一体どうやったらお前は私に振り向いてくれるんだ!」


「俺を慕う彼女たちはお前のようなやり方で振り向かせていないぞ!」


「言葉で解らないなら体で解らせるしかないだろう!」


「お前が俺のことを好きだと解っている!」と言ったがゼノヴィアは強引に押し倒し腕を押さえて顔を

近づけて―――唇を押しつけてきた。


「ん!?」


「ん・・・・・!」


それ以上はしてこなかった。初々しいキスだった。ただ、唇を押しつけるだけの行為。彼女の顔が間近で

見られるから今の彼女の表情は目蓋を閉じて顔を真っ赤に染めていた。・・・・・もしかして

初めてなのか・・・・・?


「んっ・・・・・ちゅっ・・・・・」


ゆっくりと彼女は顔を上げた。顔を赤く染めたまま瞳を潤わせじっと俺の瞳を据える。


「イッセー・・・・・。私はお前のことが好きだ・・・・・。好きになった理由は私も解らないがそんなの

関係ない。私はお前が好きだ。それだけはハッキリと言える」


「お前・・・・・」


「返事は今じゃなくてもいい。私たちが帰る頃に返事をしてくれ」


彼女は俺の体から離れ、俺の体を起こすと頭を俺の太股に乗せた。俺は何気に彼女の青い髪を撫でる。

―――意外とサラサラしているんだな


「解った。それまでに返事をする。それでいいな?」


「ああ、そうしてくれ。・・・・・それとイリナのことも考えて欲しい」


「・・・・・何でだ?」


「イリナもお前のことが好きだからだ」


―――はっ?


ガチャッ


「ゼノヴィアったら、一体何処に・・・・・」


ゼノヴィアの言葉に一瞬呆けてしまった俺だった。そんな時、このルームの扉が開いたと同時にゼノヴィアを

探している様子のイリナが入って来た


「あっ、一誠くん。ゼノヴィアを知らない?部屋に行ってみたんだけど居なくて・・・・・」


ソファーに座る俺に気づいたイリナはゼノヴィアを知らないかと尋ねてきた


「あっ、ああ・・・・・。ゼノヴィアなら―――」


「此処にいるぞ」


ゼノヴィアが太ももに頭を乗せながら声を発した。イリナは「そこにいたの?」とソファーに座る俺の

ところに来た。ヒョコッとソファーから顔を出すと


「おはよう。イリナ」


「おはよう。ゼノヴィア、部屋にいないと思ったらこんなところにいたのね?もう、探しちゃったわよ」


「すまない。昨日はイッセーの部屋で寝ていたからな」


「な、なんですって・・・・・!?」


彼女はゼノヴィアの言葉を聞いた瞬間、俺に顔を向けた「俺が寝ている間に忍び込んでベッドに潜って

寝ていた」俺は部屋で起きたことをイリナに説明する


「そう、そうなのね・・・・・。・・・・・一誠くん!」


「お、おう・・・・・」


するとブツブツと何か呟く。そんなイリナに声を掛けようとしたが急に声を張り上げるように俺を呼んだ


「今夜、一誠くんの部屋にお邪魔するね!話したいことがあるの!いいよね!?」


「・・・・・。解った・・・・・」


有無も言わせないほどの迫力に俺は思わずそう言ってしまった。その後、「ゼノヴィアには負けないわ」や

「それは私の台詞だ」とゼノヴィアとイリナがお互い睨んで火花を散らした。・・・・・マジでイリナも俺に

好意を抱いているのか・・・・・?理由が解らんぞ・・・・・


「ん?何しているのだ、貴様等」


「あっ、ガイア。おはよう、それと何でもないよ。朝食はできているから座ってくれ」


ガイアがダイニングルームに入って来た。彼女を席に座るように促しソファーから立ち上がり「そろそろ起き

て来る頃だろうな・・・・・」と心の中で呟きながら俺は既に炊き上がっているであろう炊飯器に向かった



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



『御馳走様でした!』


「御粗末さまでした」


数十分後、サーゼクたちがこの部屋に入って朝食を食べ終わった


「全員、着替え終わったら。桜の木に集合してくれ。それと、金銭はいらないから」


「何でだ?金が無いと買えないし食べれねぇじゃんか」


「俺たちが作った世界だぞ。同じ硬貨と紙幣だと思っているのか?」


匙の疑問に答え、リーラに顔を向けて訊く


「リーラ、今の時間帯だと向こうの季節は?」


「夏でございます」


『な、夏!?』


「こっちの一日の時間は新世界じゃあ三ヶ月だって言っただろう?帰ったら時間を設定し直すか」


そして「カテレアとクルゼレイも誘うかな」と考えていたらサーゼクスが話かけてきた


「兵藤くん。逆でいうと、あっちで三ヶ月間過ごしたらこっちは一日しか過ぎていないってことで

あっているかな?」


「うん?その通りだけど・・・・・ああ、そういうこと」


サーゼクスがどうしてそんなことを訊くのか俺は理解した


「あっちの世界で三ヶ月間過ごしてはダメかな?」


「なるほど、あっちで三ヶ月間生活してもこっちじゃあ一日しか経っていないから、向こうの世界で思う

存分に三ヶ月間楽しめるってことか。そりゃいいな!」


「その位の期間があれば新世界を制覇できそうですしね」


三大勢力のトップたちがあっちの世界で三ヶ月間過ごしてみたいと言いだした!


「ダメだ。余りあっちで過ごすと時間の感覚がおかしくなるぞ」


と、ガイアの言葉によって三人は撃沈した。―――でも、ガイアは口を開いた


「だが、まあ・・・・・。二、三日程度なら問題ないだろう」


「その位の期間だったら数分しか経っていないだろうな。うん、そうしよう」


俺が納得すると「では、着替えた奴から桜の木に集まれ」とガイアはサーゼクスたちに向かって行った。既に

着替えていた奴は桜の木に向かい、未だに着替えていなかった奴は着替えに自分の部屋に向かった。俺は

食器を片づけ、洗い終わると桜の木の方へ向かった


『・・・・・』


「そんなに桜を見てどうした?」


桜の木に近づいたら桜をジッと見ているメンバーに問うと木場が桜を見詰めたまま答えた


「人間界じゃあとっくに咲いていないのにどうして咲いているのかなって不思議に見ているんだよ」


「この桜は年中に咲いている桜なんだ」


「へぇ、そんな桜が存在していたんだ。驚いたよ」


「イッセーくん♪」


突如、桜の木から浴衣姿のさくらが現れた。そのまま俺に抱きついて俺たちはその場で二、三回ぐらい回って

止まった


「さくら?その浴衣姿で行くのか?」


「うん、向こうは夏でしょう?なら、祭りもやっているだろうと思って♪」


「なるほど・・・・・、なら、祭りがやっていたらあっちで浴衣に着替えて祭りに行くとしようか」


さくらの登場に唖然とする木場たちを無視して俺はさくらと話をした


「あら、さくらは浴衣姿で行くの?」


「あっ、ルシファー。それに皆。うん、イッセーくんにも言ったけど向こうは夏でしょう?祭りも

やっていると思って着替えたの」


「そうか、では、祭りがあったら向こうで浴衣に着替えるとしよう」


「ふふっ、イッセーくんと同じことを言っているよ」


さくらがベルゼブブにそう言ったら「そうなのか?」と訊いてきた


「ああ、俺と同じこと言っているよ」


「ふふふっ、そうか、そうなのか・・・・・」


ベルゼブブが同じことを言っていると解った瞬間、嬉しそうに微笑んだ


「待たせた」


そこに着替えに行ったメンバー全員が俺たちの許へ来た。俺は『無限創造龍神の錫杖』の能力で俺たちの

眼前に巨大な門を創りあげた


「それじゃあ皆が集まったことだし―――行くとしようか!新世界ザナドゥへ!」


声を張り上げると巨大な門がゆっくりと開いて行く際に光が漏れだして俺たちを包んでいった・・・・・




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