小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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友好と新世界へ(8)



ジリリリリリッ!


目覚し時計が鳴る音に目蓋を閉じたまま聞こえた。何時も通り、時計を止めようと腕を伸ばした。だが、

何時も通りに俺の腕が動かなかった。・・・・・今度は誰だ?


「ぅぅん・・・・・」


「ふふっ・・・・・」


・・・・・。あ、有り得ねぇ・・・・・。真羅先輩とガブリエルかよ・・・・・・!?俺と一緒に寝る人は

俺に好意を抱いている人だと認知している。実際、ゼノヴィアもそうだったし、イリナは俺のベッドを

占拠して先に寝ていたけど好意を抱いていた。


「・・・・・何処だ、俺は何処で二人に好意を抱かれるようなことをした・・・・・?」


真羅先輩は冥界で非公式のゲームとロキの時、ガブリエルは『禍の団』のことで会っている。―――殆ど、

俺の翼目当てで


「むっ。起き上がれない・・・・・。二人とも、起きてくれ」


がっちり、俺の体に絡みつくように寝ているな。二人を起こすことにした


「・・・・・?」


真羅先輩が目蓋を開けボーとした表情で俺に顔を向けた。眼鏡を掛けていない真羅先輩の顔、そんな無防備な

顔が俺に向けられている。・・・・・ソーナよりクールな真羅先輩。そんな先輩が無防備で俺の体に

密着している・・・・・っ。寝巻が肌蹴て胸の谷間が俺の視界に・・・・・っ!


「兵藤くん・・・・・」


「?」


「・・・・・好き」


「は―――!?」


いきなりの告白発言に度肝を抜かれた俺に先輩は瞼を閉じて俺の唇に自分の唇を押しつけてきた!ね、寝ぼけているのか!?


「・・・・・すぅー」


「・・・・・おーい」


唇を離したと思えば俺の胸に顔を押し付けて寝に入った。そしたら、今度はガブリエルが目蓋を開け始めた


「・・・・・起きたか?」


「・・・・・」


このおっとり天使もボーとした表情で俺を見詰めてくる。―――刹那、両腕を首に巻き付けてきて顔を

近づけてくる


「・・・・・もう、我慢できません」


「なっ―――!?」


ガブリエルがいきなりキスをしてきた!今度は頬じゃなくて俺の唇!しかも、俺の口を食らわんばかりと

キスをしてきて口をこじ開けて下を入れてきて俺の舌を激しく絡め口内を蹂躙!―――!?何時の間にか展開

していたガブリエルの翼の羽が金色と黒で点滅している!やばい!


「―――ガブリエル!」


ガブリエルとのキスを強制的に止めて金色の翼を片翼だけ展開して俺ごとガブリエルを包み込む!


「浄化ッ!」


カッ!


俺ごとガブリエルを包んだ翼が発光した!ガブリエルの翼の羽が次第に点滅はしなくなり、金色の翼に元に

戻った。ガブリエルは「温かい・・・・・」と呟いた後、寝息を立てて寝始めた。禁手を解除すると俺の視界

に真羅先輩が起きていた


「兵藤くん・・・・・?」


「おはよう。真羅先輩」


「え、ええ・・・・・。ですが、一体どうしたのですか?」


そう問いかける先輩に「ガブリエルが欲に負けそうになって危うく堕天に成りかけたから浄化して堕天を

しなくした」と答えた


「・・・・・ところで、どうして先輩とガブリエルが俺のベッドで寝ているんだ?」


「そ、それは・・・・・」


急に赤面する先輩。未だに寝ているガブリエルの体を起こしながら問う


「しかも、寝ぼけていたのか先輩がキスして来たぞ」


「―――!?」


顔から火が出そうな位に真っ赤に染まった


「で、なんでだ?」


問い詰める俺。真羅先輩は握り拳を作って口を開いた


「・・・・・兵藤くんと一緒に寝たかったから」


「・・・・・自惚れだと思うけど、真羅先輩。俺のことが好きなのか?俺と一緒に寝る女性たちは俺に

好意を抱いているんだ」


そう質問した。彼女は赤面したまま、無言でコクリと頷いた。


「何時だ?何時、俺のことを好きになったんだ?真羅先輩から好意を抱くようなことをしていないぞ?」


「・・・・・兵藤くんに負けて以来からです。兵藤くんに負けた時に好意を抱いたの」


ま、負けただけで好意を持ったのか!?好意を持った理由を聞いて度肝を抜かれてしまった。


「でも、兵藤くんの前だと普通の女の子に成ってしまって、告白しようにも恥ずかしくて

できなかった・・・・・」


顔を反らしてモジモジと恥ずかしそうに仕草をする先輩。


「せめて、好きな人の隣で寝れたらと思ってこの部屋に来て兵藤くんの隣に潜り込んで一緒に寝たの」


「そうだったのか・・・・・。先輩が俺に好意を抱いていることをソーナは?」


「・・・・・知っていると思う」


ソーナ。敢えて言わなかったな?


「兵藤くん・・・・・」


先輩は俺の名前を呼びながら、俺の胸に顔を埋め「好き」と発した


「私は兵藤くんのことが好き」


「真羅先輩・・・・・」


「好き・・・・・」


顔を埋めたまま俺に愛情の言葉を発する先輩。不意に俺の脳裏にあの言葉が思い出す


『こんな俺でも好きだと言ってくれるのなら俺は全力でキミたちを愛する』


イリナとゼノヴィアに酔っぱらいながら言った言葉だ。正直になれって言いたいのか?嘘偽りもなく、自分が

本当に何かしたいのかを・・・・・。俺は真羅先輩の顔を見る。先輩も俺の顔を真っ直ぐ見た。潤んだ瞳、そ

こから一筋の涙が頬を濡らしていた。指で涙を拭うと彼女の肩に手を乗せる。不意に体をビクッと震えたが顔

を俺から逸らさずにいる


「・・・・・真羅先輩、俺も好きだ」


「・・・・・っ!?」


「だけど、知っての通り、俺には大勢の愛しい女性たちがいる。平等で愛したいんだ。それでも良いか?」


そう問うと彼女の答えは―――キスだった。


「・・・・・それでも、良いです。私は兵藤くんの傍にいられるのなら・・・・・」


「真羅先輩・・・・・」


「椿姫と呼んで?私もイッセーと呼ぶから」


「―――椿姫」


改めて真羅先輩―――椿姫を呼んだ。彼女も「イッセー」と恍惚とした表情で呼んだ。


「私もあなたのことが好きです」


「起きていたのか?」


腕の中にいるガブリエルが目蓋を開けて俺に告白の言葉を発した


「・・・・・ありがとうございました。危うく堕天してしまうところでした。―――欲に負けるなんて、

四大熾天使として失格ですね・・・・・」


顔を曇らせるガブリエル。彼女を背後から抱き締め、何も言葉を掛けずにウェーブにかかったブロンドの

髪を撫でる


「あの、ガブリエルさま。どうしてイッセーのことが好きなのですか?」


「・・・・・この方の金色の翼を触れたり、包まれたりすると温かく全てを包み込んでくれるような力と

安らぎを感じるのです」


その言葉に金色の翼を出してガブリエルの前に動かすと彼女は愛おしそうに翼を触りだす


「どうしてでしょうね・・・・・。ミカエルさまと同じ金色の翼なのに、この翼を触れると不思議と心が

和らぐのですよ」


「神器『神愛護珠』は元々、俺のお母さん、兵藤一香が所有していた神器で、愛する想いの強さによって

比例する神器なんだ。だから、ガブリエルが気に入っているのかもしれない」


「そうなんですか。それだと、あなたが愛する女性たちの想いがそれほど強いことなんですね・・・・・。

その愛の想いの強さがこの翼にまで影響を及んでいるかもしれませんね」


そう、なのか・・・・・?自分の神器を理解しようと色々と皆に協力して試しているけど、

奥が深いな・・・・・


「それで、お返事を聞かせてもらえませんでしょうか?私はあなたのことが好きです。あなたは―――

私のことが好きですか?」


顔を動かしてこっちを見上げる。彼女の瞳を潤っているが不安を乗せていた。俺は彼女の顎を手に取り

キスをした。


「これが答えだ、ガブリエル」


「・・・・・」


彼女の瞳を据え、「好きだ」と答える。すると、突如、涙を流し始めた。


「・・・・・嬉しい」


体の向きを変えて俺に振り返り両腕を俺の首に回して耳元で小さく「イッセー、イッセー」と呟いた


「・・・・・」


すると、椿姫が俺とガブリエルの抱いている最中に近づいてきた。彼女は恥ずかしそうにオズオズと俺の体に

抱きついて顔を埋めた。暫くして


「そろそろ、朝食の時間だから行こうか」


二人に尋ね二人は頷いた



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「一時間後、此処に集合だ。では、散!」


数十分後、俺たちはこの都市一番のデパートにいた。朝食を食べ終わったあと、俺は皆を引き連れてお土産を

買わせるためにこのデパートに赴いた。そして、俺の言葉に冥界と天界組のみんなはそれぞれ、お土産を買い

に行った。(ガイアたちは先に家に戻った)


「俺も何か買うか」


そう思い、エスカレーターに乗って上階へ赴きさらにエスカレーターを乗って上階へ赴いた。右に曲がって

歩を進めると本コーナを見つけた。「面白い本が無いかな?」と本棚を見詰めながら移動する。


「ん〜、これと、これ、これに・・・・・」


数冊、棚から取り出して抱え、他にも無いか探し終えるとレジに向かい代金を払って本を購入した。店員が

本を袋に入れている最中、俺の隣に成神がレジの前に立った。あいつも本を読むのか?とても本を

読むとは―――


「ぐっふっふっふ、良い物を見つけてしまったぜ・・・・・!『爆乳天使ちゃんたちの園!』に『悪魔、

天使、堕天使のおっぱいパレード!』や『おっぱいによるおっぱいのためのおっぱい特集!』や様々な

お宝本を・・・・・!ああ、早く兵藤の家に帰ってみたいぜ!あっ、カバーをお願いします」


・・・・・こいつ、殺しても良いか?


「か、神さま・・・・・。おまたせしました・・・・・っ」


「ありがとう・・・・・。仕事、頑張れよ」


震える店員に見ずに本を入れた袋を受け取り、本コーナから去った。で、成神が店から出るまで待って

数十秒、あいつは顔を満面の笑み(俺にとって気持ち悪い)表情を浮かべながら出てきた。俺はそいつの前に

立ち塞がると、笑顔から一変して嫌な表情を浮かべた


「―――げ」


「何か、言うことはあるだろう?」


「な、なんのことだ?俺はお土産を買うために―――」


「『爆乳天使ちゃんたちの園!』に『悪魔と天使と堕天使のおっぱいパレード!』や『おっぱいによるおっぱ

いのためのおっぱい特集!』と他に様々なエロ本・・・・・どこが、お土産なのか聞かせてもらおうか?」


誤魔化そうとする成神にこいつが買った本の名前を述べると、大量の汗を流しだした


「俺は確かに『お土産を買え』と言った。勿論、それは本でも構わない」


「だ、だったらいいじゃないかよ!?俺が何を買おうと俺の勝手だ!お前が口出しするな!」


「それはお前自身の金で購入した物だったらならば黙認するつもりだ。でもな、―――てめぇ、なに、

人の金を使ってそんなもん買っているんだよ?」


『ひぃ!!!』


俺と成神の周りにいる客が悲鳴を上げた。おっと、怖がらせてしまったな。


「取り敢えず、没収させてもらうぞ」


成神に渡したキャッシュカードやキャッシュカードから引き出したであろう紙幣と硬貨を没収した


「あっ!返せよ!まだ、お土産を買っていないんだぞ!?」


「そんなものを買わせるために俺たちの金を貸したわけじゃないんだぞ」


空間を歪ませ没収したもの全てを歪ました空間の中に入れる。


「さて、お前には反省してもらう必要性がある。こっちに来い」


「い、いやだ!俺は何も悪いことしていないんだぞ!」


そう言って踵返して俺から逃げ出そうとする。―――が


「―――!?」


「遅い」


瞬時で首根っこを掴んで阻止した。


「は、放せ!」


「断る」


バッサリと切り捨てる。客に謝罪の言葉を言ってジタバタ暴れる成神を引きずり一階に赴く。邪魔に成らない

場所で『無限創造龍神の錫杖』を発現して成神が逃げ出さないように鎖を創り縛りあげ強引に正座させ、

こいつが買ったエロ本を(カバーを外して)床に置いた。最後に紐が付いた木の板に


『私は神さまの金銭でこのような物を買った悪い悪魔です』


と書いて成神の首に掛けて吊るしたら近くの席に座り本を読みだす


「兵藤!この鎖を解けよ!」


「みんなが帰ってくるまでお前はそのままだ」


「ふざけんな!俺に恨みでもあるのか!?」


「自分の胸に聞け」


それだけ言うと本に集中した。そのあとも成神が五月蠅く何か言ってきたが完全に無視。・・・・・

面白いな、この本・・・・・



一時間後



「ちょっと!」


「・・・・・ん?ああ、グレモリー先輩たちか」


「どうして、イッセーにあんなことをしたの!?」


どうやら、一時間が経ったようでグレモリー先輩たちが戻ってきていた


「反省させるためだ。それ以外何もない」


「だからって縛ることはないじゃない!」


「逃げ出そうとするから縛ったんだ。それに人の金を使ってあんな本を買った奴を俺が許せると思うか?」


指を成神が買った本に突き刺す。―――アザゼル、ライザー、匙、なに興味津々に見ているんだよ。


「しかも、グレモリー先輩たちに黙って俺の家で読もうとしたんだぞ。グレモリー先輩たちはそれを

許すのか?」


「そ、それは・・・・・」


目を泳がせて言いにくそうに言葉が淀んだ


「人の金を使ってあんな本を買ったんだ。許すわけにはいかない」


「で、でも・・・・・!」


「じゃあ、グレモリー先輩が成神の代わりに責任を取るか?下僕の責任を『王』が責任取るのが常識で

当然だからな」


「・・・・・っ」


握り拳を作って下唇を噛みしめる様子を俺に見せた。俺は本を閉じ、椅子から立ち上がると成神を縛って

鎖を解く


「―――皆が戻ってきたことだ、家に戻るぞ」


皆にそう告げる(本も没収だ)



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「ただいま」


次元の狭間に存在する家に戻った俺たち。各自、自分の部屋に戻らせ俺はダイニングルームに赴いて扉を開け

放って開口一番に帰って来たと知らせる


「早かったな」


「ああ、それにまだ、十数秒しか経っていなかったか」


時計を見るとザナドゥへ言った時の時間の十数秒しか経っていなかった


「あとで、時間調整をしようとするか。皆は?」


「何時も通りだ。ジェイルたちは研究所に言って『アレ』を開発している」


「そうか。完成が楽しみだ」


「―――何が楽しみなんですか?」


俺とガイアの会話に声を掛けてくる人物がいた。俺とガイアは声がした方向に振り向くと―――サーゼクスと

グレイフィアの子供、ミリキャスが首を傾げて俺たちを見詰めていた


「ミリキャス、サーゼクスたちは?」


「僕の部屋で父さまがお土産で買ったお洋服を着て遊んでいたら母さまが入って来て父さまを叱っています」


サーゼクス、一体どんな服を買ったんだ・・・・・?


「それで、何が完成するんですか?」


「それは完成してからの秘密だな。きっとミリキャスが驚く物だ」


「そうなんですか?完成したら見せてくれますか?」


その問いに頷きミリキャスの頭を撫でる


「ミリキャス、地下に行ってゲームをしよう。たくさん種類があるぞ」


「ゲーム?レーティングゲームのことですか?」


俺は苦笑して「違う」と否定した


「地下に行けば解るさ。ガイア、行ってくる」


「ああ、楽しんで来い」


ガイアに伝え、ミリキャスを引き連れて地下へ続くエレベーターの赴き乗り込む。地下2階のボタンを押すと

扉が自動に閉まり下に降りて行く感覚が全身に伝わった。十秒ぐらいでエレベーターが停まりドアが横に

スライドした。


「わあ、機械が一杯です!」


「ミリキャス、この階はゲームセンターなんだ。操作の仕方を教えるから存分に楽しもう」


「はい!」


ハエ叩き、カーレース、ダンス、太○の達○、格闘ゲーム、シューティングゲーム、他にも様々なゲームを

した。ミリキャスは少しゲームの操作に四苦八苦、戸惑いながらもゲームを楽しんでいた。そんな最中、


「おっ!兵藤じゃないか」


俺たちの背後から聞き慣れた声が・・・・・。後ろに振り返るとアザゼルがいた。


「アザゼルもゲーム?」


「ああ、暇なもんでな。此処の研究施設に行ってみたいんだが、お前らしか入れないってメイドに言われて

しょうがなくゲームをしに来たんだよ」


なるほど、そういうことか


「よし、兵藤。俺と勝負しようぜ!勿論、サーゼクスの坊主も一緒だ!」


「ミリキャスと言います!アザゼルさま!」


「おー、解ったよ。そんじゃ・・・・・、あれをやろうぜ!」


ビシッ!と指を指した方向にカーレースのゲーム機が佇んでいた。得意分野か?


「三回勝負だ。勝った奴は敗者に何でも言うことを聞く賭けをしよう!」


「・・・・・ミリキャスは?」


「か、簡単なものでしたら良いです」


「アザゼル、ミリキャスは初心者だ。簡単なコースでも良いだろう?」


俺の言葉を聞いて少しつまんなそうな表情をしたが「解った」と了承した。俺たち三人はカーレースのゲーム

機の座席に座り車と簡単なコースを選択して―――ゲームを始めた。数分後、俺とアザゼルが三週走り、

同列で最後のゴールを目指していた。ミリキャスは俺たちの車の後ろだ


「どりゃあ!こんなコースで俺が負けると思うたかっ!」


「負けに決まっているぞ」


アザゼルが操作する車を追い越して華麗にゴールをした


『WIN!』


「まずは一勝だ」


「まだだ!まだ勝ったと思うなよ!」


「・・・・・」


続いて二回戦、最初は俺が有利に事を進めていたがアザゼルが逆転勝ちした


「ハハハハッ!俺の勝ちだぜ!」


「なに、もう一度俺が勝てばいいだけだ。・・・・・ミリキャス。お前、このままだと負けてしまうぞ?」


「―――大丈夫です。『慣れました』」


・・・・・慣れた?ミリキャスの言葉に俺は首を傾げる


「よし、第三回戦だ!」


アザゼルの言葉にゲームが始まった。俺とアザゼルが同時にスタートダッシュをした。ミリキャスも俺たちに

食い付いてくる。そして、残り一周でゴールになるところで驚くべきことが起きた


「ここです!」


『なっ!』


ミリキャスの車がスピードを上げながらスピンをして、俺たちの車を弾き飛ばした!そのままミリキャスの

車がゴールの方向へ駈け走り―――ゴールした


「あ、有り得ねぇ・・・・・。車をワザとスピンして車を弾き、ゴールするなんて・・・・・!」


「おいおい、本当に初心者なのか・・・・・?」


冷汗を流す俺とアザゼル。これで俺たちは同点だ。


「さあ、これが本当のラストゲームです!」


『・・・・・』


ウキウキと楽しそうにするミリキャス。俺とアザゼルはもの凄い速さでゲームを馴染んだミリキャスに畏怖を

感じたと思う。汗ばんだ手でハンドルを握ってゲームに集中した


『GO!』


そして、ラスト―ゲームが始まった



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「わーい!勝ちましたぁ!」


『・・・・・』


結果、ミリキャスがギリギリで勝った。大喜びするミリキャスに対して俺とアザゼルは四つ這いになって

ショックを受けていた


「アザゼル。こいつがゲームだけ腕を磨いたら絶対に化けるぞ」


「俺もそう思った・・・・・。サーゼクスの子供はこういう面でも強いのかよ・・・・・?」


「それじゃあ、何でも言うことを聞くのですよね?」


『―――!?』


そ、そうだった!アザゼルがそんな賭けを提案して俺たちはゲームをしたんだった!


「それじゃあ、アザゼルさま」


「お、おう・・・・・」


「聞きたいことがあるんですが、アザゼルさまは好きな人はいますか?結婚をしないのですか?」


「―――――――」


ピシリとアザゼルの表情が固まってしまった。あっ、タブーなのか?


「父さまが母さまと結婚しているのにアザゼルさまは結婚していないと聞いています。

どうしてなのですか?」


純粋無垢な子供の質問。―――アザゼルはどう答える?


「・・・・・あっ、用事が思いだした。それじゃあな!」


ポンと手を叩き、そんな用事もないのにアザゼルは逃げて行くようにゲームセンターを後にした


「それじゃあ、兄さま!質問します!」


「答えられる範囲だったら何でも」


「えっと、どうして兄さまはリアス姉さまと仲が悪いのですか?」


・・・・・そっちね


「ん〜、仲が悪いというか・・・・・。俺が嫌っているほうもあるし、グレモリー先輩も俺に仲良くしないと

思っているだろうしする気もないからだろうな」


「どうして、リアス姉さまを嫌うんですか?」


「・・・・・俺のお父さんとお母さんがその昔、悪魔と堕天使に殺されたんだ。お父さんたちを殺した悪魔が

目の前にいるんだ。好きになるわけがないだろう?」


「じゃあ・・・・・。父さまと母さま、おばさまとおじさまも嫌いなんですか?・・・・・僕も嫌い

なんですか・・・・・?」


理由を離すと瞳に悲しみを乗せてそう聞いてくる。


「ああ、俺は悪魔と言う種族が大嫌いだ。―――だが、ミリキャス。お前という個人の存在は嫌いじゃない。

それはアルマスさんやヴェネラナ。サーゼクスもそうで、嫌いじゃないぞ」


「そう、なのですか?」


「そうだ。俺は悪魔と言う種族が嫌いなだけだ。別にミリキャスたちが嫌いではないさ」


「わぷっ」


わしゃわしゃとミリキャスの頭を撫でる


「(まあ、そう言ってもこいつらは悪魔だがな・・・・・。複雑な気分だよ。本当に)」


「兄さま?」


「何でもない。―――気を取り直してゲームをするぞ。まだまだやっていないゲームが山ほどあるからな」


「はい!」


その後、時間を掛けてゲームを全部した。ミリキャスも思う存分楽しんでいた。


「あっ、時間だな。上に戻るぞ」


何時の間にか夕餉の時間となっていてミリキャスを引き連れてエレベーターに乗ってホールに戻った。

リビングとダイニングのルームの扉を開け放つとまだ、何人かいないけど殆ど席に座っていた。


「あ、イッセー。何処に行っていたの?」


「ゲームセンターでミリキャスと遊んでいた」とレヴィにそう答えた


「サーゼクス、グレイフィア。ミリキャスは凄い。瞬く間にゲームの操作を覚えて俺に何度か勝ったぞ」


「父さま!母さま!兄さまの家のゲーム、大変面白かったです!」


「そうか、そうか。流石は私たちの息子だ」


「面倒を見てくれてありがとうございます」


サーゼクスとグレイフィアにそう伝えながら席に座る


「それで、アザゼル。用事は済んだんだろう?あとでミリキャスの質問に答えろよ」


「ぐっ・・・・・」


苦渋の色を染めるアザゼル。そんなアザゼルに不思議に思ったのかミカエルが「どういうことです?」と

訊いてきた


「アザゼルが俺とミリキャスに『ゲームで勝った奴が敗者に何でも言うことを聞かせる』賭けを自分から

言ったんだ。で、結果は俺とアザゼルはミリキャスに負けた。当然俺たちが負けたからミリキャスの言うこと

を聞く筈だったんだけどアザゼルが『あっ、用事が思いだした。それじゃあな!』て、言って逃げるように

『用事』を済ませに言ったんだ」


「ミリキャス、アザゼルにどんな質問をしたのかな?」


「えっと、『アザゼルさまは好きな人はいますか?結婚はしないのですか?父さまが母さまと結婚しているの

にアザゼルさまは結婚していないと聞いています。どうしてなのですか?』と質問しました」


・・・・・。


サーゼクスはミリキャスがアザゼルへの質問を聞いた途端、場の空気が静寂になった。そんな時、ミカエルが

席から立ち上がり、アザゼルの肩をポンと乗せた。


「アザゼル。自分から賭けを言っておいて子供に負けるなんて情けないですね。その上、質問に答えず逃げる

なんて恥ずかしいとは思いませんか?」


「今回はアザゼルが悪いな。自分からそう言っておいて逃げたんだからな」


ミカエルと俺の言葉に何も言い返さなかったアザゼル


「ふふ、後で私もその場に立ち合わせ貰いますよ?あなたがどう質問に答えるか気に成りますしね」


「因みに俺もだからな。アザゼルのことは余り知らないから良い機会だ」


「私も聞かせてもらうよ?」


ミカエル、俺、サーゼクスがアザゼルへ話かける。


「・・・・・あの時言った自分が恨めしい」


ガックリと首を項垂らし、後悔の言葉を発した。どうやら腹を括ったようだ。そしてリーラとシンシアが料理

を持って来たことで夕餉の時間が始まった。和気あいあいとした夕餉だった。特にザナドゥの話が多かった。

そして、数十分後


『ごちそうさまでした!』


夕餉の時間が終わった。―――さて


「アザゼル」


「―――!」


「逃げられると思うなよ?」


ニッコリとこの場から静かに去ろうとしたアザゼルの前に立ち微笑みを見せる。そんなアザゼルの背後に

サーゼクスとミカエルが


「アザゼル。年貢の納め時だ」


「素直に吐いた方がスッキリしますよ」


と、話かけた


「・・・・・なぁ、この賭けは無かったことに―――」


『ダメに決まっている』


俺たち三人はふざけたことを言う目の前の人物に声を揃って拒否しながら拘束してズルズルとミリキャスが

いるソファーの所まで引きずった。ソファーに座らせてアザゼルを囲む


『さあ、話してもらおう』


「・・・・・」


俺たち四人に囲まれたその時のアザゼルは死刑台に立った人そのもの表情をした。


「・・・・・俺は―――」


そして、遂にアザゼルは口を開いた。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



ミリキャスの質問をアザゼルが答えた翌日の朝、サーゼクス、グレイフィア、ミリキャス、アルマスさん、

ヴェネラナの魔王一家とグレモリー家、カイザーさん、フィルさん、ライザーとフェニックス眷属のフェニッ

クス家、ミカエルとガブリエルの天界組、アザゼル、バラキエル、シェムハザの堕天使組が数々の荷物と袋を

持って壮大な桜の木に立っていた


「兵藤くん、今までありがとう。楽しかったよ。家族そろって旅行気分で楽しめたのは滅多にでき

ないからね」


「今度は天界に遊びに来てください」


「色々と楽しかったぜ、新世界ザナドゥ。また行きたいもんだ」


それぞれのトップが感謝を言いながら感想を言った。そんな中


「兵藤一誠」


バラキエルが俺に近づいてきた


「・・・・・妻を、朱璃をまた何時か、また何時か、会わして欲しい」


「ああ、また何時かな」


ザナドゥから連れて帰ろうとするバラキエルを説得した時はかなり苦労した


『嫌だ、嫌だ!朱璃を連れて帰るんだぁ!』


『だから、彼女はこの世界の住人だ!そんなこと、俺が許す訳無いだろうがぁ!』


『だったら、お前を倒してでも連れて帰るぞ!』


『帰り方も知らない上に俺を倒すことができない奴が何言っているんだ!』


『死ね!兵藤一誠!』


『俺を殺す気満々!?』


・・・・・はぁ、今思い出したら疲れが出てきたぞ


「それでは、ゼノヴィア。彼に失礼ないように小猫とロスヴァイセと共に暮らし、私たち悪魔との親睦を

深めて欲しい。勿論、兵藤くんたちの修行をし、リアスの為に力を付けて欲しい」


「はい。解りました。魔王様」


ゼノヴィアは真剣な表情で頷いた。一方、天使側は


「イリナ。あなたも彼等の修行に耐え天界最強の転生天使を目指すのです」


「はい!」


「ミカエルさまー。私も彼の家に住みたいです」


「ダメです。あなたは四大セラフの一人なのですから」


「ぅぅぅ・・・・・」


と、そんなやりとりをしていた。


「それじゃあ、ルシファー、メイビス」


彼女たちは頷き手を突き出した。刹那―――。二人の手が禍々しいオーラや神々しいオーラが発光して

サーゼクスたちの眼前にそれぞれ悪魔と天使を模した巨大な門が発現した


「おお・・・・・っ」


「凄い・・・・・」


「この門を潜れば冥界と天界に直接戻れるわ」


ルシファーの言葉に感謝の言葉を言いながら冥界と天界に繋がる門に潜ろうとするサーゼクスたち。そして、

二つの門に入り姿を消したと同時に門も消えた


「やっと帰ったか」


「そうだな。さて、今度は・・・・・」


「イリナとゼノヴィアが新しい家族と成ったお祝いだ」


『おおっ!』


家族皆は家に戻りお祝の準備をしに行った。俺はゼノヴィアとイリナに振り返り


「二人とも、これからもよろしくな」


「ああ、こちらこそだ。よろしく頼む」


「よろしくね!」


二人は表情を笑顔にして俺に言った。さて、新しい家族が増えた。今後も増やして楽しい一家にして

いきたいな

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