小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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悲劇 再び



「チャックメイト」


「・・・・・っ」


『おおっ・・・・・!』


「凄い・・・・・」


イッセーくんがヴァルヴォラスとチェスの十本勝負を受けて数分が経った。現在、イッセーくんが8勝、

ヴァルヴォラスが0敗とイッセーくんが圧倒的に勝っている。今の勝負でイッセーくんが勝って9勝目に

成った。


「兵藤くん、チェスでも強いのだな」


「私、初めて知ったよ・・・・・?」


「何処を置けばいいか、何処を置いたら取られるか頭の中で考えたり、計算していたりしている」


そ、そんなことをしていたのですか・・・・・!?イッセーくんがやることに何時も驚かせられます


「そんじゃあ、ラストゲームをしよう。審判、合図を」


「では、始めてください」


審判が開始を告げた。ヴァルヴォラスは焦りの色を染めながら「兵士」の駒を動かし置いた


「ん」


彼も「兵士」の駒を動かし置いた。次にヴァルヴォラスが違う「兵士」と動かすとイッセーくんも「兵士」

の駒を動かした。そのあともヴァルヴォラスが違う駒を置くとイッセーくんも同じ駒を置くと繰り返して

着々と相手の駒を撃破していく。―――そして


「チェックメイト」


イッセーくんがヴァルヴォラスの「王」を撃破した


「―――10勝0敗で兵藤一誠さまの勝利です!」


審判役が試合の終了を告げた。会場はざわめき始めた


「なんと、一度も負けずに勝ってしまった・・・・・!」


「しかも、短時間でだ・・・・・」


「力もチェスも圧倒的ですな」


「流石は誠殿と一香殿の子供だ」


イッセーくんに感嘆する会場にいる悪魔たち。


「良かったね!ソーナちゃん!これで、ソーナちゃんはイッセーくんのお嫁さんだよ☆」


「セラフォルー、あなたもですよ?」


「勿論!解っているよ。お母さん☆」


「・・・・・」


お母さまとお姉さまが会話をするがお父さまは無言のまま・・・・・。未だに操られて

いるのですね・・・・・


「ヴァルヴォラス。力とチェス、全て見せて勝った。約束通り、ソーナを連れて帰らせてもらう」


彼は席から立ち上がりヴァルヴォラスから離れ、私に近づいてきた。私の眼前に立ちその場で跪いた


「俺の愛しいソーナ。迎えに来ました」


「イッセーくん・・・・・」


「帰りましょう。俺たちの家へ」


紳士的になり私に手を伸ばす。私も手を伸ばし、手を掴む


「ええ、一緒に帰りましょう」


彼は約束を守ってくれた。そのことに嬉しくて私は涙ぐんでしまう


「この会場にいる貴族の方々、彼は私たちに納得いくことを見せてくれた。今回の結婚式は申し訳ないが

中止とさせていただく。―――異論がある者はいるかな?」


サーゼクスさまが会場にいる悪魔たちに話かけ問うた。彼等は―――


パチパチパチッ!


拍手で答えた。―――だが、


「待ってください!」


異を唱える悪魔がいた。・・・・・異を唱えたのはヴァルヴォラスだった


「何かね?」


「彼は不正な行為をしました!」


「俺が不正な行為をした、だと?」


イッセーくんが怪訝な顔をする。私もそうだ。


「不正な行為・・・・・。それは一体どういうことだね?」


「私に脅してきたのです!『死にたくなければ一度も勝つな』と頭の中で私に言ってきたのです!」


「―――それは何時、言ったのだね?」


「チェスを始まる直前です!サーゼクスさま!」


・・・・・確かにイッセーくんは念話という特殊な会話方法が出来る。でも、彼はそんなことをする

筈がない!


「・・・・・彼の言っていることは本当かね?」


「疑いを持たすような言い方をするけど、確かに俺は口からじゃなくても相手に話しかけることができる

方法があって相手に話すことができる」


「ほら!私の言った通りです!私の頭の中に彼が脅しの言葉を掛けてきたのです!」


「だけど、それはお互い信用と信頼がないと出来ない方法だ」


ヴァルヴォラスの言葉を訂正するかのように彼は特殊な会話の特性をサーゼクスさまに言った。すると、

イッセーくんは突然無言に成ってしまった。そして、次にサーゼクスさまが「なるほど、これが・・・・・」

と首を頷いて何かに納得した様子を見せた


「ヴァルヴォラス、キミの言っていることは間違いだ。今、彼に私の頭の中に話かけてきた。確かに信用と

信頼がないとできない特殊な会話だったよ」


「う、嘘です!そんなことはあり得ません!」


「じゃあ、お前にも話し掛けるから俺が何て言ったか復唱して言ってみろ。全部言い当てたならお前の

言っていることは正しいと証明できる」


そう言ってイッセーくんはまた無言になった。直ぐに「俺が何て言ったか言ってみろ」と促す


「・・・・・」


「どうした、俺は簡単なことしか言っていないんだぞ?まさか、解らないって言うんじゃないよな」


「・・・・・『ソーナは絶対に渡さない!』」


彼はそう口から発した。イッセーくんはそれを聞いて嘆息した


「全然違うし、お前、嘘ついたな。俺が言ったのは『お前は死ね』だ」


「そ、そうでした。すいません、ワザと間違えました。彼の言った通り『お前は死ね』って言ってきました!

ほら、私の言った通り―――」


「それも間違いだ」


イッセーくんは否定した。「・・・・・は?」とヴァルヴォラスは疑問になって小さく呟いた


「だから、お前の言っていることは全部間違っていると言っているんだよ。―――ヴァルヴォラス、俺は

最初からお前に話し掛けてはいないんだ・・・・・。バカな悪魔だな。自分で自分の首を

締めるような事をしてさ」


「だ、騙しましたね!?本当に頭の中に会話ができないなんて嘘なんでしょう!」


「いや、本当にできるぞ?それより、先に騙したのはお前だ。聞こえていないのに聞こえた振りして

魔王サーゼクスに嘘ついたんだからな」


不敵の笑みを浮かべ「我、策成り」と声を殺して呟いたのが聞こえた


「ヴァルヴォラス、キミは私に嘘ついたのだね?」


「ち、違います!私は、私は本当に!」


「―――衛兵、ヴァレフォール次期当主、ヴァレフォール・ヴァルヴォラスを捕らえるのだ」


『はっ!』


素早く、ヴァルヴォラスの周囲に集結した衛兵たち。―――だけど、予想外なことが起きた!


「そこまでだ!」


「お父さま!?」


いきなりお父さまが私を背後から抱きついてきたと思えば私の首筋と自分の首筋に刃物を突き出したのです!


「ヴァルヴォラスさまから離れるんだ!さもなくば、私はこの娘と死ぬぞ!」


『―――!?』


私の父の言動に誰もが驚愕した。私は必死に父に話しかける!


「お父さま!目を覚ましてください!」


「黙れ!お前はヴァルヴォラスさまと結婚するのだ!」


「イヤです!私はイッセーくんと結婚をしたいのです!」


「聞き訳のできない娘だ!―――寝ていろ!」


そう言って父に攻撃をできずにいる私に魔術を掛けてきました!不意に強烈な眠気が私に

襲いかかって・・・・・。


「ソーナ!」


そして、目蓋を完全に閉じた時、イッセーくんが私の名前を叫ぶようにして呼んだ声が

最後だった・・・・・・


「イッセー・・・・くん・・・・・」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――



一誠side


「ソーナ!」


くそっ!俺のミスだ!さっさとシーラさんが掛かっている何らかの力を無効化にしておけばよかったんだ!


「衛兵よ!ヴァルヴォラスさまから離れるんだ!」


『・・・・・っ』


衛兵たちは止む負えずにヴァルヴォラスから離れていった、ソーナを人質にしたシーラさんは

ヴァルヴォラスの傍に寄る


「ご苦労さまでした」


「ヴァルヴォラス!ソーナを返せ!シーラさんを操っている力も解くんだ!」


「―――何言っているのですか?そんな事する訳無いでしょう」


・・・・・雰囲気が一変した。これがあいつの本性って奴か!


「ヴァルヴォラス、これは立派な犯罪だ。直ぐに彼女たちを解放するのだ」


「ソーナちゃんとお父さんを返しなさい!」


「それはできかねます。ソーナは予定通りに私の妻として傍にいてもらいます。彼には人質となって

もらいましょうか」


あいつは指を鳴らすとあいつの眷属悪魔らしき悪魔たちが集結した。その数は15名


「ヴァルヴォラス!お前、最初からこうするつもりで・・・・・!」


「いえいえ、私としてもこうするつもりなど無かったのです。最終手段として使うことに

成るとはね・・・・・」


「―――殺す!」


瞬時で眷属たちを抜けてヴァルヴォラスの許へ移動した。そのままあいつの頭を砕く勢いで拳を振るが


「ダメ!イッセーくん!」


「ソーナ!?」


眠っていた筈のソーナがヴァルヴォラスを庇うように俺を立ち塞がった!すぐさま、拳を止めた。


「ソーナ!どうして庇う!?」


「私の好きな人を傷つけないで!」


・・・・・っ。操られているのか!


「流石は私の妻です。私は幸せ者ですよ」


ヴァルヴォラスはソーナの後ろで不敵の笑みを浮かべた。・・・・・この野郎


「イッセーくん、どうして、私の好きな人を傷つけるの!?」


「違う!お前が好きなのはそいつじゃない!」


「違わない!私が好きなのはヴァルヴォラスよ!あなたなんか好きじゃないわ!」


・・・・・操られているとはいえ、かなりきついな・・・・・!


「あなたなんか死んでしまえばいいのです!私の手で葬ってやりましょう!」


「ソ、ソーナ!」


「はあ!」


水の魔力で俺に攻撃を開始した!


「ソーナ!止めろ!俺はお前を傷つけたくない!」


「死になさい!」


「ソーナちゃん!止めて!」


「おっと、セラフォルーさま。動かないでもらいます」


俺の視界に何時の間にかエリアスを人質にした男がいた!くそっ!


「ヴァレフォール殿、貴殿は今何をしているのか御解りなのか?」


「解っております。最初からこうするつもりでしたからね。シトリー家次期当主を我が息子と結婚させ、時期

魔王の機会を窺おうとした。ですが、突然『兵藤の子供と婚約させる』とシトリー家現当主がふざけたことを

言いだした。私たちは当然許し難かった!何故、たかが人間に婚約を破棄されねばならないのだ!前々から

我が息子と婚約を結んでいたのに兵藤の子供が突然現れたと同時に手の平をあっさりと返して婚約を

破棄したのだ!」


憤怒の形相でサーゼクスに睨みつける。


「兵藤の子供よ!この女の命は私が握っている!死なせたくなかったら大人しく―――殺されろ!」


「さらに言えばソーナの父上とソーナの命を私が握っています。・・・・・この意味が理解できますよね?」


「お前等・・・・・」


低い声音で発しヴァルヴォラスとヴァルヴォラスの父親を睨みつける


「一歩でも動いたら殺します」


シーラさんが己の首に刃物を少し喰い込ませたら赤い液体が細い道を作って流れ出てきた


「さあ、大人しくしなさい」


「・・・・・」


「ええ、そのままにしてくださいね?―――やれ」


俺が大人しく佇むと眷属たちに指示を送る。この光景・・・・・。あの時と一緒だな。と、思っていたら

眷属の中に―――


「よお、久しぶりだな?」


「お前は・・・・・」


「ああ、お前を人間ダーツにした悪魔だよ!」





「・・・・・っ。お前、セラフォルーの氷で死んだんじゃ・・・・・」


刑務所で俺を人間ダーツにした悪魔が何故か此処にいた。セラフォルーの氷で死んだんだと

思っていたのに・・・・・


「あん時は危うく死にかけた。だが、今、こうしてお前の前に立っているのが現実だ」


「で、ヴァルヴォラスの眷属に成っているわけだ」


「そして、俺は新たな力を手に入れた!」


元囚人だった悪魔の男の背後に空間が歪みだした。水から浮かび上がるように刀剣が次々と浮かび

上がってきた


「ははは!『無限武器創造』だ!無限に武器を造り出すことができる!さらに、伝説の魔剣や聖剣、

様々な武器も造れるぜ!」


「・・・・・木場と相性がありそうな神器だな」


「それじゃあ、あの時の続きをするとしようかぁ!?」


「くっ!」


金色のオーラを張って弾丸のように射出してきた刀剣を防いでいく!


「はははっ!中々当たらないもんだな!じゃあ、この武器はどうだ!?」


哄笑して空間から一本の槍を抜き取った


「この槍は俺の武器の中で最強の武器だ!レプリカだが、あのロンギヌスの槍とグンニグルを融合した

槍だぜ?」


『―――!?』


「『無限武器創造』は既に存在している武器があったらレプリカとして造られるんだが、

レプリカでも威力は匹敵する!―――食らえ!」


伝説の武器が融合した槍が投げ放たれた!もの凄い速さで金色のオーラと衝突した!


「こんな槍、防いで―――!?」


絶対にあらゆる攻撃を防ぐ金色のオーラを見て俺は絶句した。槍の先端が形を変えて二又になったと同時に

金色のオーラに穴が生じた!やばいと感じ、六対十二枚の金色の翼を展開してさらに防御態勢に入るが―――


「言い忘れていたが、その槍はどんな防御式の魔法陣や結界でも貫く絶対の槍だ」


「っ!ユニゾン、解除!」


グサァァァァッ!


瞬時で俺とユニゾンしていたリインとアギトと解除したと同時に槍が速さを衰えずに何事もなく翼と俺の

体―――心臓を貫いた。後ろに吹っ飛ばされて俺は倒れた。


「主ッ!」


「イッセーッ!」


「・・・・・大丈・・・・・夫か・・・・・?」


「バカ!どうして、解除したんだよ!?」


リインとアギトが俺に駈け寄る。息絶え絶えに二人の安否を確認するがアギトが怒声を上げて訊いてきた


「二人まで・・・・・死んで欲しく・・・・・なかった」


「そんなことをしても嬉しくないです!」


「そうだよ!代わりに私がイッセーを守って死にたかったよ!」


そんなことしたら俺も嬉しくないぞ、アギト・・・・。


「・・・・・やっぱり、俺は冥界で死ぬ運命か・・・・・」


「っ!ダメです!死んではいけません!直ぐに、皆の許へ!」


「華佗、いや、メイビスに怪我を治してもらおう!表にいるんだから!―――呼んでくる!」


アギトは急いで会場から出ていった


「ふふっ、良い気味です。・・・・・そうだ、ソーナにも見てもらいましょう」


指を鳴らしたと同時にソーナの様子が一変した。ソーナは辺りを見渡すと俺に視線を向けた


「イッ・・・・・セー・・・・・くん?」


「ごふっ・・・・・。ソーナ、気が付いた・・・・・か?」


「イッセーくん!」


「行かせませんよ?あなたは私の妻なのですから」


俺に駈け寄ろうとしたがヴァルヴォラスの手によってそれが叶わなかった


「兵藤!」


会場の扉の奥から匙が現れた。さらにシトリー眷属、俺の家族も続々と会場に入ってきた


「おい!兵藤!しっかりしろよ!」


「メイビス!直ぐに回復を!黒歌は気で何とか生命維持をして!


ルシファーの指示に二人は急いで俺の傍に寄り仙術と治癒をするが


「無駄、無駄。この槍に貫かれたら最後、治らないぜ?既に実証済みだ。ただ、死ぬ一方だ」


「そんなことない!二人に治せないものはないんだ!


オットーが声を張り上げて否定した。こんな彼女を見るのは初めてだ・・・・・


『・・・・・っ』


メイビスと黒歌が手を止めた。その行動に信奈が口を開いた


「ねぇ、どうして、手を止めるのよ?早く、早く治さないと一誠が・・・・・」


「・・・・・ごめんなさい。・・・・・治せません」


「・・・・・気をどれだけ送っても何処かに穴が開いているのかのように気が減っていくにゃん・・・・・。これじゃあ―――」


「何諦めているのよ!諦めたら死んじゃうのよ!?そんなこと解っているでしょう!」


二人の言葉に激怒する。黒歌とメイビスは体を震わせて、声を殺し「ごめんなさい」と何度も謝った


「謝る暇があるなら少しでも一誠を生き永らえなさいよ!あなたたちしか出来ないことなのよ!?

私もできたら、私も出来たら・・・・・!」


「・・・・・いい、信奈。もう、いいんだ」


「良くないわよ!あんたが死んだら皆が悲しむのよ!?」


ポロポロと涙を流す信奈。解っているよ・・・・・。


「二人は頑張った、それだけでも俺は嬉しい・・・・・。ありがとうな」


『・・・・・っ!』


「・・・・・流石に、二度目はないだろうなぁ・・・・・。今度こそ、お父さんたちのところへ

行けるかな・・・・・?」


俺は遠い目をして呟いた瞬間


ドスッ!


『―――!?』


「さっさと死ねよ。人間風情が」


俺の体にまた、槍が突き刺さった


『一誠!』


『イッセー!』


『イッセーくん!』


「・・・・・みんな」


さようなら・・・・・・

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