小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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時刻は深夜。俺、堕天使の総督アザゼルはサーゼクスとグレイフィア、セラフォルー、ミカエル、

ガブリエル、グレモリー眷属、何故か休んだ筈のシトリー眷属と新校舎の職員会議にいる。急遽、サーゼクス

が深夜、此処で伝えたいことがあると言って一方的に連絡したと思えば連絡を切りやがった。・・・・・で、

呼びだした本人は俺たちが揃っても口を開かなかった。痺れを切らした俺はサーゼクスに尋ねようとした瞬間


「世界が破壊される」


いままで沈黙していたサーゼクスが口を開いたと思えば世界が破壊される?疑問が浮かんだが「まさか、

『禍の団』の奴らが?」と聞いたら首を横に振った


「違う・・・・・破壊神シヴァに破壊される・・・・・」


「破壊神シヴァ?誰だ、そいつは・・・・・?」


「兵藤くんの心の中にいた破壊を司る神・・・・・シヴァだ」


『っ!?』


此処であいつの名が出るのか!


「兵藤くんは・・・・・破壊神シヴァに体を乗っ取られて、冥界を破壊すると私たちに宣言したのだ」


「はぁっ!?どう言うことだ!どうして、あいつが体を乗っ取られるんだよ!?」


「・・・・・兵藤くんは殺された。あの時と酷似に・・・・・」


・・・・・殺された?サーゼクス、お前、何言っているんだ・・・・・?


「また、冥界で殺された・・・・・。また、彼は悪魔に殺されてしまった・・・・・。また、

彼を死なせてしまった・・・・・」


あいつは、体を震わせて顔を伏せて何度も同じことを繰り返して呟き始めた・・・・・。―――ッ!


「サーゼクスッ!」


ダンッ!


サーゼクスの胸倉を掴み壁に叩きつける!


「あいつは本当に死んだのか!?答えろ!」


「・・・・・破壊神シヴァの心の中に眠っていて傷を癒していると言っていた。だが、

死んでいるかどうかは・・・・・」


「じゃあ、どうして兵藤は殺された!兵藤たちとシトリー眷属全員が学校を休んだことに

関係があるのか!?」


「・・・・・ソーナとセラフォルーのご両親が誘拐された。ソーナの元婚約者ヴァレフォール家の者たちの

手によって・・・・・。目的はヴァレフォール家次期当主がソーナを手に入れること。兵藤くんは彼女たちの

御両親の救出とヴァレフォール家の暗躍を阻止するために冥界で動いていたのだ・・・・・」


冥界でそんなことが・・・・・!兵藤、どうして、俺たちに黙っていたんだ・・・・・!


「あと一歩で、ご両親を救出することができた。だが、セラフォルーが殺したと思った『刀剣創造』の

所有者の悪魔の手によって殺された・・・・・」


「あいつが!?」


「うん・・・・・。そうだよ。氷漬けにしたのに生きていたんだよ・・・・・。その上、『禁手』に至って

兵藤くんを殺したんだよ・・・・・」


「・・・・・その悪魔はどうした?」


俺が訊くとセラフォルーは「殺した」と答えた。俺は胸倉を放して自分の席に座る


「式森たちはどうしている・・・・・」


「次元の狭間に帰って行った・・・・・。私たちに何も言葉を発しないで・・・・・」


最悪な事態にならなければいいんだけどな・・・・・


「この事は何処まで広がっている?」


「一部の者しか知らない。だが、今頃は報道されて、明日に成る頃には冥界全土に広がっているだろう」


「はぁ・・・・・。面倒なこった・・・・・。それで、ヴァレフォール家はどうなったんだよ」


「ヴァレフォール家次期当主とその眷属たちは逃走。現当主は捕縛してある。彼等は色々と悪事を働いて

いた。しかも、上層部に巨額の賄賂を渡していて、ゲームでも勝利の半数は相手に賄賂を渡して

八百長をしていた」


悪魔らしいことをするな。上層部にも賄賂を渡していたとはな・・・・・。ゲームも穢しやがって!

見つけたら殴り飛ばしてやる!


「明日一番、上層部を全員捕縛するつもりだ。上層部の権限、財産、領土、家、全て没収する。

ヴァレフォール家も然り」


「代わりの上層部に成る悪魔いるのか?」


「検討中だ。だが、彼の両親と親しい悪魔にするつもりだ」


加えて頭が柔らかい悪魔にしとけよ? 


「・・・・・サーゼクス、破壊神シヴァを見て勝てると思いましたか?」


「―――正直に言うと勝てない。私だけでは歯牙にも掛けられないだろう」


「そ、そんなに強いんですか?その、シヴァって言う神は・・・・・?」


「加えて兵藤くんの強さも自分の物にしているだろう。生命体の中では無敵の存在と言ってもいいだろう」


サーゼクスの言葉に場は静寂に包まれた


「だが、破壊神シヴァに抵抗できると思う勢力はいる」


「幽幻龍騎士団・・・・・」


「その中で最強なのがオーフィスとグレートレッド・・・・・。龍神と真龍だな」


「兵藤くんと共に生き、暮らしていた彼らなら或いは勝てるかもしれない」


逸脱した力の持ち主だらけだしな。それにヴァーリ、式森、ルシファーたちもいる。希望はまだあるか


「シヴァは今どこに・・・・・?」


「捜索はしているが、未だに見つからない。雲を掴むような存在だ。簡単には見つからないだろう」


「冥界を破壊する・・・・・。この事を知った堕天使と悪魔たちは混乱するのは必至でしょう。自分たちの

世界が破壊されるかもしれませんから・・・・・」


「まだ動きを見せていないから動くにも動けないな。一体どんな方法で冥界を破壊するんだよ」


「禍の団」よりタチ悪いな・・・・・。


「イッセーくん、木場くん、朱乃くん、すまないが昇格試験は無いだろう。今、冥界は滅亡の危機に瀕して

いる。・・・・・私も戦いが終われば責任を取ろうと思う。二度も彼を殺してしまった。友好を結んだ勢力の

トップを・・・・・。父上たちの友の子供を・・・・・」


「私も・・・・・。というより、もう、魔王なんて肩書きはいらない。こんな肩書き、必要ない・・・・・」


「―――いいのかよ」


「身近に捕まえるべき者がいたのにそれに気づかず、兵藤くんを殺めてしまった。私のミスでも

ある・・・・・。この位のことでルシファーさまたちが許しれくれるとは思ってもいない・・・・・」


お前・・・・・。


「お兄さま・・・・・。何も、そこまでしなくとも・・・・・」


「リアス。彼は冥界に住む民たちにとって無くてはならないほどの存在だ。その上、ルシファーさまたちを

救い、神メイビスさまも救った。天界にも謝罪を込めて私は責任を取るつもりなのだよ」


「サーゼクス、私は気にしていません。彼には感謝を仕切れないのですから」


ミカエルは苦笑し気にしていないと言った。


―――刹那。


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォンッッッ!!!!!


『―――!?』


この学園全体が揺らぐほどの衝撃が俺たちに伝わった!同時に今まで感じたこともない絶望的な

プレッシャーを感じた!


「―――まさか!」


突然、サーゼクスが会議室から飛び出して行った!それに続くようにセラフォルーも出て行った!


「この感じ・・・・・あの時と同じ」


「・・・・・あいつだ、あいつが来た!」


ソーナと匙が突然、何かに気づいた様子だ。そして、二人は声を揃えて言った


『破壊神シヴァ!』



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



二人の言葉を聞いて急ぎグラウンドに赴いた。俺のあとに続くように他の奴等も来た。そして、外に出て

グラウンドに辿り着いた。眼前にサーゼクスとセラフォルーが顔を真上に向けていた。俺も顔を夜空に視線を

向けた。―――そこに満月をバックに全身黒い鎧を纏った足まで伸びた常闇と思わせるほどの黒い髪に深紅の

瞳の女がいた。・・・・・イッセーの「赤龍帝の鎧」に酷似しているな。確か・・・・・兵藤が持つ神器「

強奪」の能力でイッセーの「赤龍帝の籠手」の能力を奪ったんだっけ・・・・・?不意に女が口を開いた


「数時間ぶりだな」


「破壊神・・・・・シヴァ・・・・・!」


「あいつが破壊神シヴァ・・・・・」


って、女だったのかよ!?しかも、すっげー美人だ!今まで抱いた女より美人だ!満月をバックにして

いるせいか、さらに美しく思わせる!


「・・・・・なんて、綺麗な・・・・・」


あのミカエルさえも魅了している!兵藤が女を魅了させるなら破壊神は男を魅了させるって

ことか!・・・・・例外はいるみたいだが


「破壊神シヴァ、この学園に何か用かね?」


「言っただろう?『破壊する』と、手始めにこの学び舎を壊そうと思ってきた」


「イッセーくんを返せ!」


セラフォルーが氷の槍を放った。だが、あいつに当る前に砕けた。動いた素振りをしていないのに一体

どうやったんだ・・・・・!?


「断る。この子は私のものだ、誰にも渡さないさ」


「お前が破壊神シヴァか?」


俺が問うとあいつは口を開き「そうだ。堕天使の総督アザゼル」と初めて会った筈なのに俺の名前を言った。

どうして、俺の名前を・・・・・


「この子の記憶を見て知った。さらに言えばこの場にいる悪魔と天使の名前も知っている」


「一つ聞く!兵藤は死んでいるのか!?」


「私の中に眠っている。魂だけの状態だが生きている」


破壊神の言葉を聞いて俺は安堵した。だけど、魂だけか・・・・・。面倒だな・・・・・


「破壊神、何故、冥界を破壊しようと言ったのですか?」


「この子を殺す世界など必要ない。だから、破壊する」


「彼はそんなことを望んでいません!」


「理解している。これは私のエゴだ。だが・・・・・、私はこの子を幸せにしたい、この子を愛したいのだ。

―――この気持ちを抱いてはいけないのか?同じ想いを抱いているガブリエルよ」


破壊神の問いにガブリエルは黙ってしまった・・・・・。


「そろそろ、壊すとしよう。今回は挨拶代わりだ」


そう言って背中に六対十二枚の炎の翼を展開した!


「焔」


「っ!全力で防御魔方陣を展開しろォォォォ!」


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!!


俺が全員に指示すると同時に真上から膨大で巨大な熱量を持った炎の塊が隕石のように落ちてきた!

急ぎ全力の防御式魔方陣を展開!


「くぅぅぅぅぅぅっ!!!」


「お、重いッ!」


「熱い!熱い!熱い!」


『boostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboostboost!!!!!!!』


『Transfer!!』


「頑張ってください!」


イッセーが力を俺たちに譲渡し続ける!良い判断だ!イッセー!


『ではな、生きていたらまた会おう』


あいつの声が俺の頭の中に聞こえた!あのやろう!やるだけやって行くのか!


「ぐぅぅぅぅぅぅぅっ!!!」


「ど、どれだけ魔力を込めているの!?」


「こ、これでは・・・・・!」


「弱音を吐くな!堪え切るんだ!」


「で、でも!全力でやっているんですよ!」


俺だって久しぶりに全力で防いでいるんだよ!


「これは、キツイですね・・・・・!」


「転移する暇もない・・・・・!」


絶え間なく続く攻撃!俺たちは防御して耐えるしか出来ないでいた!


「攻撃で押し返しますか!?」


「バカ!そんなことしたら一瞬で俺たちが塵に成る!」


「じゃあ!どうするんですか!?このままじゃあ、俺たちは死んじゃいますよ!」


解っているんだよ!そんなこと!心の中でイッセーに愚痴る!だが、こいつの言っていることは正しい!

何か、何か手は!


「ダ、ダメ・・・・・!もう、魔力が・・・・・!」


シトリー眷属の女生徒が腕を突き出したまま膝をついた!一人、また一人と膝を地につけた!


「た、耐えきれない・・・・・!」


「魔力が・・・・・!」


リアスと朱乃も魔力が無くなる直前か!くそっ!そう言っている間にも俺も魔力が底をつきそうだ!


「・・・・・大丈夫です」


『っ!?』


小猫が突如、俺たちにそう言った!


「大丈夫ってこの状況で何言っているの!?」


「・・・・・大丈夫です」


「だから、何が大丈夫なの!」


リアスが小猫に問い詰める。小猫は俺たちに携帯を見せた。


「・・・・・あの人たちを呼びました」


「あの人たち・・・・・?」


リアスは訝しんだ。だが、俺は一瞬で理解した。小猫がどうして焦りも恐怖も絶望の色を染めて

いないのかを・・・・・!


「・・・・・家族を呼びました」


『無力!』


小猫がそう言った瞬間、炎が一気に消失した!そして、俺の視界に白く輝くものが映り込んだ。


『間に合ったようだな』


それは白い龍だった。―――アルビオン!いや、ヴァーリ!それだけじゃない!俺たちを囲むように兵藤の

中にいた二匹のドラゴンやオーフィス、グレートレッド、式森、前四大魔王のルシファーたちと

メイビスもいた!


「うわっ!?なんだ、これ!?」


イッセーが急に驚きだした。他のみんなも顔に驚きの表情を浮かべた。その理由は―――俺たちが立っている

ところ以外何も無くなっていたからだ。崖の上に立っているように俺たちは立っていた。学校の景色なんて何

一つ無かった。あるのは、かなり深い穴だった


「小猫が連絡をしてきて来てみたら学園が炎の塊に押しつぶされているところだったぞ」


「そうか、ありがとよ。助かったぜ・・・・・」


「―――破壊神がいたのだな?」


ヴァーリに感謝を言うとグレートレッドが訪ねてきた。俺は肯定する


「・・・・・次は何処に現れるか言っていなかったか?」


「・・・・・冥界だ」


「・・・・・そうか、なら、此処にいる理由は無くなった。―――帰るぞ」


グレートレッドは興味無さ気に言うと空間に次元の狭間に通じる穴を作り広げ潜って行った。小猫たちは

二匹のドラゴンの背に乗っていく


「お、おい!急に現れて先生に訊いて直ぐに帰るのかよ!?」


「―――破壊神は僕たちが倒して捕まえる。手を出さないで欲しい」


「なっ!お前らだけで解決しようって言うのかよ!?」


「これは僕たちの問題だ、一誠が死んでいないのなら破壊神を捕まえて一誠を取り返す」


何時にも増して式森は声音を低くしてイッセーに言った


「ふざけんな!冥界が壊されるんだぞ!お前らだけの問題じゃねぇ!」


「サーゼクスさん、アザゼルさん、ミカエルさん」


「・・・・・なんだ?」


イッセーを無視して俺たちを呼ぶ。


「破壊神は僕たちが捕まえます。邪魔をしないでくださいね?これは幽幻龍騎士団全員が考え、

決めたことです。もし、邪魔をするなら―――あなたたちから倒します」


『なっ!?』


「では、さようなら」


俺たちに別れの言葉を告げ次元の狭間に帰って行った。


「・・・・・これ、どうするんですか?」


イッセーが穴を指して呟いた


「・・・・・とてもじゃないが、一日で塞がらないだろうな・・・・・」


「どうするんですか?学校に登校して来た生徒たちがビックリしますよ?」


「むぅ・・・・・」


サーゼクスが顎に手を乗せて悩みだす。―――そんな時だった。俺たちの周囲に光輝き始めた!一層に光が

発光して俺たちの視界を奪う程の光が発したと思えば破壊される前の駒王学園と風景に一変した!


『ソーナの願いで学園を直しておきました。これで、問題なく学校を通えます』


頭の中に声が聞こえた。金色の体を持つドラゴンの仕業か・・・・・


「・・・・・やっぱり、凄いな。幽玄龍騎士団」


『・・・・・』


俺の呟きにこの場にいる全員が首を縦に振った

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