小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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兵藤家



やっと、やっと、勝った・・・・・。―――だけど、


「一誠をどうやって、取り出そうか・・・・・」


『・・・・・』


皆は黙ってしまった。だよね、僕も解らなければ皆も解らないんだ。きっと、サーゼクスさんたちも

同じことだ


「取り敢えずはこいつを連れて冥界に戻ろう」


ガイアさんが気絶した破壊神を担いだ。僕も『封龍剣「神滅龍一門」』の柄を握り肩に担ぐ


「行くか」


『了解』


異空間に冥界へつながる穴を広げて、僕たちは穴の中へ潜った。丁度、サーゼクスさんたちが集結している

ところだった。あっ、ルシファーさんたちもいた


「どうやら、倒したようだね。―――彼女は・・・・・」


「気絶している」


「そうか、あとはどうやって兵藤の魂だけ抜き取るかだな」


「肉体のほうは我らに任せてもらう。貴様らでは創れないだろう」


「DNA情報―――抜けた体毛の類が有れば俺たちが運営している研究施設で検出してできるだけ近しい体を

新たに構築できる。クローン技術の応用でな」


アザゼルの言葉を聞いて僕は不安になった。彼の部屋にそんなものは存在しているかどうかで・・・・・。


「―――リーラ、一誠の部屋を掃除したか・・・・・?」


「・・・・・はい。埃一つも残さずに綺麗にしてしまいました・・・・・」


『・・・・・』


僕たちは絶望した。彼女はシンシアに匹敵するほどの掃除スキルを持っている。彼女なら埃一つも残さずに

掃除してしまう。―――彼女の言う通りならば、一誠の体毛は一本も残ってはいない・・・・・


「・・・・・おい、まさか・・・・・、体毛すらないのか?」


「うん、そうみたい・・・・・。どうしよう・・・・・。これじゃあ、一誠の体を創れないよ。メリアは

気絶している破壊神の中だし、創るにも創れないよ・・・・・」


「誠たちは死んでいるし、肉体を創る素材が無い。―――絶望的だ」


「・・・・・申し訳ございません・・・・・。全て私の責任です・・・・・」


リーラさんが真剣で申し訳なさそうに僕たちに謝罪した。僕は「気にしないで」と励ます。彼女はメイド

としての仕事をこなしただけ、何も悪くないんだからね・・・・・


「なあ、確かに誠たちは死んでいるんだけどよ?あいつらの親族とかは生きているんじゃねぇのか?

長生きするんだろう?」


「それはない。何故ならあいつらが生存していた頃に兵藤家の者たちはその頃の様々な存在たちの手によって

根絶やしされたと聞いた。それに、兄弟姉妹がいるとは聞いた事無いぞ」


「・・・・・そうか」


「仮に生存していたとしても何処にいるのか見当もつかんぞ。人間界にいる同じ名字を探してもきっと

的外れな奴らだぞ」


人間界には確かに一誠と同じ名字の名を持つ人がいる。とても、一誠のお父さんたちと同じ存在だとは

思えない・・・・・と、僕は思った


『いや、実はいるんだよね。兵藤家の生き残りが・・・・・』


『――――ッ!?』


突然、声が聞こえた。それも聞き覚えがある声が・・・・・!声がした方向に僕は顔を向けた!そこは―――


『よっと』


ガイアさんに担がれていた破壊神シヴァからだ!気絶していた筈の破壊神がガイアさんから離れて

自分の足で立った!ま、まさか―――!


『また会ったな。アザゼル、和樹くん、それに皆』


「一誠のお父・・・・・さん?」


『ああ、兵藤誠、私だ』


嘘ッ!?まだ、一誠の中にいたの!?とっくに成仏したと思っていたのに!


『はははっ、とっくに成仏したと思ったかい?まあ、確かに三途の川を渡って閻魔大王に会ってきたんだけど

俺たちは成仏する前に記念として閻魔大王と話しこんでいたらさぁ―――なんと、閻魔大王と友達に成った

んだよ!いやぁ、今じゃあ飲み仲間でさ?良く、あいつの愚痴を聞いているんだ。『このところ、死んだ

奴等が増えたり、減ったり、として外界では何が起きているんだ?』と言ってもいたな。で、俺たちは

あいつの仕事の手伝いとしてまた息子の心の中に戻ったんだけど、一体どういうことなんだ?どうしてまた、

一誠が殺されているんだ?おまけに肉体まで無くなっている上に、彼女が冥界を破壊しようとしている

始末だ。俺たちはなんとか中から阻止しようとしているけど、予想以上に手こずってしまって、キミたちが

この子を倒してくれるまで出て来れなかったよ』


長々とマシンガンのようにベラベラと喋り出す一誠のお父さん・・・・・。閻魔大王と友達で飲み

仲間・・・・・?あなたたち、一体何処まで凄いんだよ・・・・・!?


「ははは・・・・・っ、お前たちらしくて呆れて何も言えねぇよ」


アザゼルも苦笑を浮かべてそう言った。でも、直ぐに真剣な表情に成って口を開いた


「で、さっき言ったことは本当なのか?」


『ああ、兵藤家の生き残りか?―――いたよ。人数は少ないが確かに俺たちと同じ

兵藤家の者たちがね・・・・・。―――しかも』


『・・・・・?』


『―――私たちの娘であり、一誠の姉、悠璃が俺たちの父親たちと一緒に暮らしている』


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?


『はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

あああああああああああ!?』


この場にいる全員が驚愕の声音を絶叫で叫んだ!って、一誠にお姉さんがいたのおおおおおおおおおおお!?

そんなこと一度も聞いていないよ!


「おい!貴様!我にそんなこと一度も言っていない上に聞いていないぞ!?」


「そうだぜ!俺ですら知らないことだぞ!」


『いやー、・・・・・忘れていた』


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおいっ!?』


わ、忘れていたんだ・・・・・。だとしたら、僕のお父さんたちも知らないのだろうね


『和樹くんのお父さんたちは知っているよ?』


「お父さあああああああん!お母さああああああああん!どうして僕に教えてくれなかったのおおおおおお

おおおおおおおおおお!?」


心から人間界のとある場所にひっそりと暮らしているお父さんたちに叫ぶ!帰ったら問答無用に

お仕置きしてやる!


「まさか、イッセーに姉がいるとは思わなかったわ・・・・・」


「うん、本当だよ・・・・・」


「そうだな・・・・」


「ええ・・・・・」


「はい・・・・・」


ガイアの次に一誠と長く暮らしていたルシファーさんたちすらも唖然としていた。


「で、そいつらは今どこにいるんだ?」


『京都にいる』


『京都!?』


異口同音で僕たちは叫ぶように発した!えっ!あそこ!?八坂さんと九重ちゃんが住んでいる

場所じゃないか!


「あの、一誠のお姉さんは一誠のことを知っているのですか?」


『直接、会わした訳ではないけど知っているよ』


「そうですか・・・・・」


いまの現状を知ったらお姉さんはどんな反応をするのだろうか・・・・・?


『それじゃあ、俺たちはこの子の中で眠っている。じゃないと、負のオーラでできているこの子の体が

消滅して、一誠の魂も一緒に消滅するからな。用があるのならこの子に言ってくれ、じゃあな』


そう言ったと同時に破壊神シヴァの体が急に力が抜けて地面に倒れてしまった


「・・・・・どうする?」


「調べればすぐに解ると言ったけれど・・・・・」


「ぅぅ・・・・・。イッセーくんのお姉さんって、一体どんな人なのでしょうか・・・・・?」


「実力もどれぐらいあるのだろうか・・・・・?」


「イッセーと同等の強さだったりして」


「逆に弱いってことも考えられる」


皆は一誠のお姉さんのことについて語り始めた。これから会う一誠のお姉さんに会うんだ、気に成るのも

無理はない


「あー、話を変えるけど、冥界をどうにかしないといけない。破壊神のお陰で壊滅状態だからな」


『・・・・・正直どうでも良い』


「ちょっ!?それはないだろう!」


僕たちの言葉に慌てだすアザゼル。みんなはそんなアザゼルに『冗談だ』と言葉を訂正した


「都市部とか街なら創造神でなんとかなるだろう。創造を司る神だからな」


『・・・・・しょうがない。元に戻すから有り難く思えよ。悪魔ども』


「ちょっと!あなたと破壊神が破壊尽くしたのよ!?何よ、そんな言い方は!」


『元はと言えば悪魔が兵藤一誠を殺したことから始まったんだ。自分たちが殺した訳じゃないからって責任

逃れは許さんぞ。貴様等は兵藤一誠を殺した同じ種族だからな』


創造神がそういうと僕の手から離れて空高く、独りで浮かんでいった。ある程度まで高く浮かんだら一瞬の

閃光が冥界の空を覆い尽くして僕たちの視界をも奪った。しばらくすると、光も収まる。目蓋を開けると、

戦闘の跡が綺麗サッパリに無くなっていて、建物、風景、その他諸々と元に戻っていた。不意に空から何かが

落ちてきた。僕はそれを掴むと大剣のストラップだった


『力を使い果たした。私はしばらく寝ている』


「お疲れ様」


「流石は創造を司る神。一瞬にして冥界が破壊尽くされる前の状態に戻ったよ」


曹操が感心した表情を浮かべる。が、すぐに真剣な表情を浮かべた


「グレートレッド、少しいいか?」


「なんだ」


「このあと行くのだろう?兵藤一誠の姉という人物のところに」


「ああ、そうだ。で、貴様も行きたいというのか?」


ガイアさんが怪訝な顔をして訊いたら曹操は首を縦に振って頷いた


「まあ、俺もそうだが特に恋とジャンヌが行きたそうにしているからさ、できれば御同行したい」


「・・・・・」


目を細め、ジィーと呂布とジャンヌを見た。呂布たちは瞳に『連れてって』『一緒にいく』とそういった

ものを乗せてガイアさんの瞳を据える


「それに、兵藤一誠が甦ったらジークも甦らせてもらいたい。大事な仲間だからな」


「あっ・・・・・」


そうだ、彼は死んだんだった。曹操はその為にも一緒に行きたいと・・・・・


「・・・・・勝手についてくればいい」


「ありがとう」


ガイアさんが了承の言葉を言った。サーゼクスさんたちに振り返り口を開く


「我等は行く前に家に戻り、アスモデウスに情報収集を頼み、解り次第向かう」


「本当なら私も行きたいところだが、こちらも色々としなくてはならないことが山ほどある。

兵藤くんのことを任せるよ」


「貴様等はどうする?」


顔をオーディンのお爺さんと闘戦勝仏を向けた。二人はどうするのだろう?


「儂は天帝のところに帰るわぃ。やることはやったしのぅ」


「わしはついていく。孫の顔をみたいしのぅ・・・・・」


「オーディンさま。私たちはどうすれば?」


「ブリュンヒルデ、おまえさんはわしと一緒についてこい。ゲルヒルデ、全ヴァルキリー部隊を引き連れて

ヴァルハラに戻るんじゃ」


オーディンのお爺さんは鎧を着た長身に長髪の黒髪の女性とその隣にいる金髪の女性に指示する。

―――ヴァルキリーの中で最強の戦乙女だとロスヴァイセさんから聞いたヴァルキリーが

このヒトたちか・・・・・。


「オーディンさま。出来れば私も行きたいですわ。オーディンさまのお孫さまのお顔の生を見てみたいです」


「ダメじゃい」


「即答!?ぅぅ・・・・・。ブリュンヒルデ、私と代わってもらえない・・・・・?」


「ダメだ。私もオーディンさまのお孫さまのお顔を御拝見したいのだ。というより、オーディンさまの指示

だから代われないぞ」


ブリュンヒルデさんの拒否の言葉を発せられてがっくりと首を項垂れる金髪の女性の

ゲルヒルデさん・・・・・。


「カテレア、クルゼレイ、レイナーレ。お前たちは新世界に戻って報告を待っていろ」


「解りました。それと、新しく真魔王となる男も連れて行きます」


「ほら、行くぞ。シャルバ」


「・・・・・」


へぇ、二人の説得に真魔王に成ることになったんだ。―――ベルゼブブさんがシャルバの前に移動した


「シャルバ」


「・・・・・」


「色々と言いたいことが山ほどあった。テロリストのことについて、私に一言も喋らず去って行ったことに

ついて、他にも色々とある。―――だが、私がいま一番に言いたい事は・・・・・」


ギュッとベルゼブブさんはシャルバを抱き締め頭を撫でた


「シャルバ、すまなかった。お前に辛い思いをさせた。私たちが死んだことになってお前たちが大変な目に

遭わせたことを申し訳が無いと思っている・・・・・」


「・・・・・っ」


「すまない。本当にすまなかった・・・・・」


ベルゼブブさんは謝り続けた。シャルバは特に言動をしなかったけど、ベルゼブブさんの言葉を黙って聞いて

心の中できっと自分も謝っているのだと思う・・・・・


「行くぞ」


ガイアさんが僕たちに言った、空間を歪ませて大きな穴を開けたら潜って行った。僕たちや英雄派、

オーディンのお爺さんと二人のヴァルキリーたちも続いて潜って行く



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「って、何時の間にかついて来ていたのですね」


「ミカエルさまにはちゃんと伝えてきましたから大丈夫ですよー」


「わたしもイッセーが気に成って・・・・・」


僕の目の前のソファーに座っている悪魔と天使、真羅先輩とガブリエルさんに僕は問う。此処に戻って

十数分、アスモデウスさんが家について早速、自分の部屋に戻って情報収集を始めた。此処に一緒にきた

英雄派とオーディンのお爺さんと二人のヴァルキリーは床、椅子、ソファーに座って静かに待っていた。

破壊神はオーフィスが座っているソファーの隣で横たわっている


「・・・・・」


「・・・・・」


そんな中、オーフィスと呂布がお互いの瞳を据えていた。特に言葉も発しないまま。・・・・・なにか、

通じるものを感じているのかな・・・・・?


ガチャ


「・・・・・」


アスモデウスさんがドアを開けて入ってきた。そして、その場で告げた


「調べた結果、京都にいる兵藤って言う名字の人間は―――いなかったわ」


『・・・・・え?』


「私も困惑したわ。今でもしている。あの人が嘘をつく筈ないのに、どんなに調べても存在しない」


「アスモデウスが調べても見つからないなんて・・・・・、まさか、既に

死んでいるなんてことはないよね・・・・・?」


「・・・・・本人に問い出さないと解らないっスね」


ウェンディの言葉にみんなは未だ気絶している破壊神に視線を向けた。


「私が起こして見るにゃん」


いきなり黒歌さんが言いだして破壊神に近づき・・・・・


「ふっ!」


ドッ!


拳に仙術のオーラを発光させ腹部に突き刺した。仙術のオーラは破壊神の体の中に入って行った。

―――すると


「・・・・・っ」


破壊神は顔を顰め出した。目蓋をゆっくりと開いてぼんやりとした表情で黒歌さんを見詰めた


「起きた?」


「・・・・・ああ、かなり痛い起こし方でな」


「強制的に眠りから覚ます方法でやったから仕方が無いにゃん。で、早速だけど、イッセーの両親と代わって

もらえるかしら?聞きたいことがあるのよ」


「・・・・・解った、少し待っていろ」


瞑目するとすぐに目蓋を開いて口を開いた


『どうした?』


「京都にいる兵藤の名字を持つ人間を調べたのですがいないのです。どういうことなのですか?」


アスモデウスさんが破壊神と入れ替わった一誠のお父さんに問い出した


『だろうな。俺たちの両親は結界を張って存在を隠して暮らしている。どんな方法で調べても見つからない』


「貴様、それを知って尚も調べさせたのか・・・・・?」


『我が友よ。「兵藤」は根絶やしにされる前よりずっと前、古来より「兵藤」は世間から隠れて暮らしていた

一族だ。そう簡単に居場所を教えられないのだ。―――俺たちの力を恐れて今度こそ滅ぼされるかも

しれないからな』


『・・・・・』


兵藤・・・・・。一体、兵藤って何を抱えているんだ・・・・・?世間に隠れて暮らすほどの重要な秘密を

抱えているのか・・・・・?


「誠殿、貴殿の両親は何処に住んでいるのだ?」


『嵐山の山の中にいる』


「渡月橋の周辺ではないか・・・・・」


「京都なら八坂さんたちと同行しよう。彼女たちも今頃、探していると思うよ」


此処に戻る前に八坂さんが「京都に戻り次第に京都にいる妖怪たちと探してみます」と言っていたからね


「京都にまた行くことに成るとは思わなかったよ」


曹操は苦笑する。あの時以来だからね。僕たちも同じだけどさ・・・・・


『それじゃあ、行こうか』


一誠のお父さんは立ち上がり、僕たちに訊いてきた。皆は真剣な表情で頷いた



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「嵐山に・・・・・」


「そういうことだ。こいつが道案内するから迷うことは多分ないがな」


京都に辿りつき八坂さんと合流した僕たちは渡月橋の上にいる。八坂さんはガイアさんの言葉に怪訝そうな

表情を浮かべた


「そこで、あなたも御同行もしてもらいたいと思いまして、こうしてあなたと合流をしたのです」


「そうですか・・・・・。これでも京都を知り尽くしているつもりでしたが、まさか嵐山に結界を張って

暮らしているとは思いませんでした。・・・・・解りました。私もついていきますのじゃ」


「母上!私も行くのじゃ!」


手を上げて九重ちゃんは自分も行くと言い出した。八坂さんは首を横に振って


「九重、おまえは家に戻り待っているのじゃ」


家に帰るように言った。危険はないだろうけどもしもの為に娘を安全な場所にいさせたほうが安心だしね


「母上!私はもう子供ではないのじゃ!」


『いや、どう見ても子供でしょう』


思わずツッコミをしてしまった。皆もツッコミをしていた。同じ気持ちだったんだね・・・・・。

八坂さんは僕たちの言動に苦笑して九重ちゃんと話す


「九重、危険はないのかもしれないのだろうじゃが、念には念を安全な場所におまえを居させたいのじゃ。

仮に戦闘が起きたらおまえを守りながら戦うのは難しくなる。母の気持ちを理解しておくれ」


「・・・・・」


「九重」


「・・・・・解りました」


渋々と不満そうに頷いた。ごめんね・・・・・。九重ちゃん


「九重をよろしく頼む」


「はっ!お任せください!」


一匹の狐の妖怪に九重ちゃんを頼むと僕たちの方に振りお辞儀をした


「時間を取らせて申し訳ない」


「いや、大丈夫だ。それで、嵐山の山の中だと言ったがどの辺りなんだ?」


『あの山の頂上だ。あそこにいる』


一番高い嵐山に指を指した。あ、あんなところに・・・・・?


『因みに言うけど空に飛んで行こうとしたり、魔方陣で移動をしないようにな。―――迎撃されるからよ』


「えっ、じゃあ・・・・・。登って行くの?あの一番高い山まで・・・・・」


『そうだ。それが一番安全だ。言っとくが俺たちの両親は俺たち以上の強さだからな。我が友と

オーフィスには勝てないだろうが、キミたちでは勝つのはかなり難しい。今の実力だとな』


一誠のお父さんたち以上の強さ・・・・・!?それじゃあ、一誠も敵う訳無いってことだよね!?

一誠のお父さんは嵐山に向かって歩き始めた。僕たちも跡を追う。本当に徒歩でいくんだ・・・・・。


『伊達に元兵藤家当主を名乗っていないさ。現魔王たちでも負けるだろう』


「最強の人間・・・・・」


『ああ、「兵藤」の人間は全人類の頂点に立つ人間でもある。才能も能力も何もかもだ』


しみじみに言う一誠のお父さん


『俺もお父さんにそういう風に育てられて生きていたんだけどね。兵藤家当主として・・・・・』


「そういえば、今の当主って誰なんですか?イッセーの姉ですか?」


一誠のお父さんのお父さんが元兵藤家当主ならこの人は当主の筈だ。一誠はそんな家系を知らずに

生きてきた。


『いや、息子の一誠だ。兵藤家は男が当主に成ることになっているんだ。だけど、この子にはそんなことを

教えていない上に、この子が生まれる前は俺の父親が代わりに当主になっていたしな』


「会った事無いんですけど、あなたの父親ってどんな人なんですか?」


『・・・・・知りたいか?』


えっ、なに、急に体を震わして・・・・・。もしかして、かなり怖い人・・・・・?


「・・・・・いえ、良いです。訊かなくてもどの道、本人と会うんですから」


『・・・・・一応、心構えていなよ。色々なことの為にさ』


それだけ言うと無言になった。

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