小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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兵藤家(2)


嵐山を登って多分・・・・・数時間が経過していると思う。登っても、登っても一向に山の頂上につかない。

その結果・・・・・


「すまんのぅ・・・・・。足を引っ張るような事に成って」


「いえ、大丈夫ですよこのぐらい」


オーディンのお爺さんが足腰を痛めて僕が負ぶさって山を登っている状態に成っている。八坂さんも

ベルゼブブに負ぶさっている。九重ちゃんも来なくて正解だったね


「英雄派の皆は疲れていないの?」


「俺たちはこのぐらい余裕なんだ。少々、登るのが飽きてきたけどね」


「一体、どこまで歩けば頂上に辿りつけるのよ・・・・・」


「・・・・・お腹減った」


と不満の声がジャンヌと呂布から聞こえた。さらに一誠のお父さんが呟いた


『・・・・・この大人数できたら当然か・・・・・』


「何のことだ?」


『俺たちは兵藤家に警戒されている。―――幻術に掛かっているんだ。じゃなきゃ、既に辿り着いている

筈なのにこうして山を登らされている』


幻術!?何時の間に・・・・・っ。僕が幻術に感知できないなんて・・・・・。ゲオルグもそうみたいだ。

少し目を見開いていた


『神器、「悠久の幻」。この幻術は俺の母親が所有している神器だ。―――あの人はまだ元気そうだな』


「感心している場合ではないだろうが。どうするんだ?」


『こうするんだ』


手の平を徐に上に突き出したと思えば『幻想殺しの籠手』を装着して無効化のオーラを放った。刹那、

景色がグニャリと歪みだして一変した!―――目の前に巨大な木でできた門が姿を現わした。な、なんで・・・・・!?僕たちは山の斜面に立っていた筈なのに!


「これは・・・・・」


『俺だったら母親の幻術を解く事なんてまず不可能だったけど、一誠が持っていた無効化の能力があるから

解けたよ』


一誠のお父さんは安堵した表情をしながら両手で門を添えて押し出した。


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・ッ


かなり重量な門みたいだ。ゆっくりと開かれていくたびに鈍い音が鳴る。完全に門が開け放たれると

真っ白い石段が見えた。此処からでも白く輝いている。


『懐かしいなぁ・・・・・』


この人はそれだけ呟いて歩を進め階段に足を踏んで進んで行く。僕たちも白く輝く白い石段を登る。

数分でようやく階段を登り切ると


「―――凄い」


現前には京都にある全ての建物が混合したと思わせる巨大な建物が佇んでいた。足下は白く輝く石でできた

道が巨大な建物に続いている。道の周りには巨大な池や多数の花、木々、石でできた飾り物があった僕たちは

興味津々に辺りを見渡しながら歩くけど


『・・・・・』


一誠のお父さんは周りを見ずに真っ直ぐと顔を向けて歩を進めた。眼前の巨大な家まで半分ほど進んだ

ところで急に一誠のお父さんが足を停めた。・・・・・どうしたのだろう?僕は心の中で疑問になっていた

瞬間、気配を感じた


ババッ!


ザザッ!


数十の黒い影が僕たちを囲んだ!―――気配がここまで近づくまで全く感じなかった。これが兵藤の実力・・・・・・!みんなは臨戦態勢に成ったところに僕の視界に数人の男女がゆっくりと巨大な建物のから

現れた。若い男女の人たちだ。歳が二十〜三十ぐらいだと思う。歩を進めてこっちに来ると僕たちを

囲んでいる影が道を作り、数人の男女が近づいて来て口を開いた


「貴様等・・・・・何者だ。この場所は古来より我等、『兵藤』の者しか知らぬ聖地である。何故、

人外どもがこの聖地に足を踏み入れている。何故、この聖地の場所を知っている。―――答えろ」


ゾワッ・・・・・


この男性から伝わるプレッシャー・・・・・。同時に瞳に殺意や敵意を乗せて睨みつけてくるから体が

思わず震えてしまう


「お、御願いがありまして此処に訪れました・・・・・」


「願いだと・・・・・?人外が『兵藤』に乞うてくるとは笑わせてくれる」


侮蔑する態度を見せる謎の男性へ一誠のお父さんが近づいてきた


『お父さん。自分が誰だか解りますか・・・・・?』


「・・・・・?・・・・・。・・・・・その魂から発するオーラは―――誠、お前なのか?」


『はい、そうです。今はこの姿ですが俺は兵藤誠、あなたの息子です』


なっ!この人がお父さん!?いくらなんでも若過ぎる!どうやったらこんなに若くできるんだ!?


「・・・・・どうして、その姿に成っている。おまえは既に死んでいる筈だぞ」


『いやー、あの世で閻魔大王と友達に成って俺と一香は閻魔から依頼である外界の異変の調査を引き受けて

息子の体の中に入ったんだけど・・・・・、何故か、この子の体になっていたんだ』


「息子だと・・・・・?・・・・・一誠のことか?だが、姿が違うではないか」


『うん、色々と遭って一誠はこの体の中に眠っているんだ。俺たちは此処に来たのはお父さんたちの力を

借りたくて訪れたんだ』


一誠のことは知っているようだね。一誠のお父さんは普通に自分のお父さんと話せるね。この異様な

空気の中で・・・・・。・・・・・・押しつぶされそうだよ


「・・・・・こんなに人外を引き連れて私たちの力を借りたいなどと・・・・・何を考えてる」


『彼女たちは一誠の家族と友達なんだ。あまり「人外」と言わないで欲しい。彼女たちは一誠のことを

慕っている』


「人外に好かれている・・・・・。誠、お前の子供だな。『兵藤』は世間から隠れ接触を避けながら生きて

きた一族だ。だが、我が一族はその人外に根絶やしにされて一族の皆は散り散りになってしまった。再びこの

聖地に集結するように指示したというのにお前とお前の伴侶はそれを無視して兵藤家当主でありながら趣味に

没頭した。」


『ははは・・・・・、耳が痛い・・・・・』


自由に生きていたんでしたね。冒険やトレジャーハンターが趣味だとか言っていたほどだし、


「それで、私たちに力を借りたいのはどういうことだ」


『一誠を完全に復活させる為、肉体はこっちで創れる。魂の定着は「あの」場所でなら安全にできるはずだ』


「当然だ。だが、それだけの為に人外を引き連れてくるなど・・・・・」


『父さん』


一誠のお父さんは目に力を入れて自分の父親に睨んだ。この人はそんなことを気にせずに嘆息した


「・・・・・・人外どもはこの聖地から出ていってもらう。此処は『兵藤』の者しかいてはならない場所だ。

例え、孫のことを慕っているだろうともだ。―――絶対に孫をやらんぞ」


パチンッ!


『『『『『なっ!?』』』』』


驚愕する僕たちに指をこの人は鳴らしたと思えば―――何時の間にか僕たちは渡月橋にいた


「此処って・・・・・渡月橋?」


「い、何時の間に・・・・・」


「たった、あれだけの挙動で俺たちを一瞬で此処に移動させるとは・・・・・」


「凄い、そして、強い」


一誠のお父さんの父親って・・・・・何者なんだ。それに、どうしてあそこまで・・・・・


「ガイア、どうする?」


「どうもこうも何も、追い出されたんだ。・・・・・あの人間には腹が立つが此処は待つとしよう」


「・・・・・イッセー」


「・・・・・ご主人様」


一誠をした彼女たちやみんなは不安そうに嵐山を見詰めた


「では、裏京都に案内するのじゃ。此処に居てもしょうがないからのう」


八坂さんの言葉に僕は頷いた。・・・・・誠さん、あとはお願いします。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



Father side



「人外たちを追いだしたことだ、孫の肉体を創るとしよう」


俺の父親は彼女たちを強制的に追い出したことになにも思っていなかった。いや、当然なことだと思って

いる。この人は身内や『兵藤』以外の全ての生物を『人外』と呼ぶ男だ。逆に言えば身内には甘く、

時には厳しく接する優しい男で身内のお願いなら何でも叶えたり、力を貸してくれる。


『久しぶりだね。お母さん』


「・・・・・久しぶりね。でも女性の姿で私たちの前に現れたことに驚いているけれど、それが誠だと改めて

思い知らされたわ」


白銀の長髪のこの女性は『兵藤羅輝』。俺の父親、『兵藤源氏』の妻で俺の母親だ


「行くぞ」


お父さんの言葉に俺とお母さんは巨大な建物―――家に赴いた。玄関に進入して靴を脱ぐ。家の中は全て

木造で造られた家だ。いやー、懐かしい!何も変わっていないな!


「誠、おまえは羅輝と共に先に行け。私は悠璃を連れてくる」


『解った』


「行きましょうか」


俺はお母さんと共にお父さんと別れて廊下を歩く。すると、お母さんが声を掛けてきた


「その体の中にあなたと一香ちゃん、一誠以外の複数の魂が宿しているようね」


『ああ、三匹のドラゴンと神がいる。それとこの大剣のストラップにも神の魂が宿っている』


『・・・・・気づいていたか』


胸元に下げられていたストラップを指摘したらストラップが言葉を発した


『最初からな?』


「・・・・・魂から尋常じゃないオーラを感じる。ただの神ではないね?」


『私は創造を司る神、ブラフマーと言う。さらに言えば、この体の持ち主は破壊を司る神、シヴァの体だ』


「・・・・・とんでもないものを一誠は抱えていたのね。親も親なら子も子ね」


目を細めて俺を見る。その言葉を聞いて『それは嬉しい褒め言葉だ』と笑って言った。息子が俺たちに似て

育っているんだ。嬉しい事この上にないさ!


「褒めていないわよ。―――ああ・・・・・、あんな可愛い子供が息子に似て育ってしまった

なんて・・・・・。きっと息子たちが仕事と趣味に没頭したせいで捻くれて似てしまったのね・・・・・?」


『むっ、いいじゃないか。父親に似て立派に育っているんだ。俺は嬉しいぞ』


「私は立派な兵藤家の当主に成って欲しかったのよ!あの子を産んだと聞いて私たちはどれだけ嬉しかった

ことやら・・・・・!なのに、『自分たちの手で育てる』と言って兵藤家の掟を紙のごとく破り、去って

しまったあなたたちにその時の私たちの気持ちが理解できる・・・・・!?」


『・・・・・俺は一誠を広い世界で育てたかったんだ。兵藤家の掟やお父さんたちのことは悪いと思って

いる。でも、兵藤家の中だけで育て生活したら一誠は友達や仲間を作れない。その証拠に此処に来た大勢の

人物たちは皆、一誠の仲間や友達なんだ。中には一誠に好意を抱いている女性や女の子たちがいる。

―――お母さん、何時も家の中で引き籠って視野を狭くして生きていたらつまらない人生を送ることに

なるよ』


バチンッ!


いきなり、俺の頬を叩いた。叩かれたところにジンジンと鈍い痛みが起きた


「黙りなさいッ!」


『―――俺はお母さんたちがいう『人外』たちに襲撃されてこの聖地に戻らず世界中を冒険したんだ。そこで

俺の愛しい妻、一香と出会い、結婚して一誠が生まれたんだ。今では俺と一香同様にあいつは世界中に

存在する者たちに知られて有名人になっている』


「・・・・・」


『あいつはもう立派な大人だ。既に本人が知らない間に成人している』


お母さんから視線を外し、歩を進める。お母さんも少し離れて俺の跡を追う


『お母さん、親不幸で我が侭な息子のお願いだ。どうか、この子の人生を見守って欲しい。この子が兵藤家

当主に成るか成らないかは本人に決めさせたい。―――息子の幸せを願う親である俺の心情だ。どうか、

理解して欲しい』


行き止まりの場所についた俺は立ち止まって跪き、一部の床の板を引き剥がすと鍵穴があった。お母さんが

徐に懐に手を差し込むと、鍵を取り出した。俺が横にずれて今度はお母さんが跪き、鍵穴に鍵を差し込んで

捻り回した。


ゴゴゴゴゴゴゴッ・・・・・


眼前の床が鈍い音をたてながら地下に降りる階段をゆっくりと覗かせてズレテいく。完全に床がズレルと

俺たちは階段に足を踏んでそのまま歩を進めた。少しすると、入口が見えてきた。そこに入ると―――辺りに

蝋燭が床に描かれている巨大な魔方陣を囲むように立っていた。この地下の空間はかなり広い。辺りを

懐かしそうに見渡すとこの空間に新たな二つの気配を感じた


「待たせた」


「・・・・・」


俺の父親とその傍にいる少女がこの空間に入ってきた。俺は微笑みを浮かべながら声を掛けた


『―――久しぶりだね』


黒髪に真紅と金色のオッドアイの少女―――『兵藤悠璃』。俺たちの娘であり一誠の姉でもある。だが、実を

言うと一誠の本当の姉ではない。お父さんの弟の子供だ。つまり『従姉』と言うわけだ。俺は兵藤家が根絶

やしにされる前には娘同様にこの子と接していた。でも、今の彼女から気が全く感じない。幽鬼のような

感じだ。瞳にも生気を感じられない・・・・・


「だれ・・・・・?」


『あっ、そうだった。この姿では解らないよな。俺だ、兵藤誠だよ』


「・・・・・誠おじさん?」


俺は頷く。だけど、訝しそうな目つきで俺を見る


「とても、信じられない・・・・・」


『う〜ん、まいったな・・・・・。―――誠』


「仁」


『『心』』


不意打ちに昔、この子と決めた合い言葉を言った。まだ、覚えてくれていたんだね・・・・・!嬉しいよ!


「・・・・・本当に誠おじさんなんだ」


『そうだよ!さあ、俺の胸に飛び込んで来て!感動の再会の抱擁を――――』


「―――どうして死んだはずの誠おじさんは女の人の体で此処に居るの?・・・・・甦って

変態になったの?」


『ぐはぁっ!?』


グサァッ!とハートに槍が刺さった!ぅぅぅ・・・・・。あの頃の悠璃はいないんだなぁ・・・・・。何時も

『おじちゃん!おじちゃん!』って可愛いく俺の後ろについてくるあの頃の悠璃がいないんだぁ・・・・・。

でも、見ぬ間にこんなに成長して綺麗になって・・・・・。


「悠璃、誠は自分の息子を復活させる為に此処に来たのだ。おまえも協力してくれ」


「―――いっくんの復活?」


「理由は聞いていないがこの体の中に孫の魂があるみたいだ。新たな肉体に安全に魂を定着する。おまえの

力が必要だ。協力してくれ」


「うん、解ったよ」


―――瞳に生気が甦った。・・・・・この子は目の前で両親を殺されて精神が不安定な状態だったと、

生きていた頃に此処に訪れてお父さんからそう訊いた。この子は一誠が赤ん坊の時に会わして抱かせたら

「私がいっくんのお姉さんになる」と言って返してくれなかった時期があったんだよな・・・・・。あの時は

大変だった・・・・


『それじゃあ、まずは肉体を準備しよう。(力を貸してくれ)』


(当然です)


この子の体の中に居る金色のドラゴンに頼むと俺の手に金色の錫杖が現れた。上に翳すと一瞬の閃光が

放った。閃光が収まると俺の足下に魂が無い一誠の姿をした肉体が横たわっていた。(服は着ていた)


「この子がおまえの息子か・・・・・。大きくなって・・・・・」


「孫の顔を見るのは何時振りかしら・・・・・」


「いっくん・・・・・」


一誠の姿を見て感動するお父さんたち。俺も感動したいところだけどそれどころではないな


「悠璃」


「・・・・・」


俺は悠璃に近づく。彼女は両手に白く発光させて俺に突き出してきた


ズブ・・・・・


『っ・・・・・』


手のひらが俺に嫌な感じの感触を感じさせながら胸を貫いた。腕まで体の中に入れて何かを探すような

仕草をする


「・・・・・あった」


直ぐに見つけたようだ。ゆっくりと腕を体から引き、何かを丁寧に慎重に取り出した。両手には白く輝く

球体が存在していた。貫かれたあとの胸は直ぐに穴を塞いでいった


「おじいちゃん、おばあちゃん」


「解っている。誠、孫を魔方陣に置いて魔方陣から離れろ」


言われた通りにして魔方陣から離れた。お父さんは腕を横に薙ぎ払うと全ての蝋燭に火がついた。同時に

魔方陣も紫色に光輝き始めた。悠璃は一誠の魂を持ったお母さんと一誠の肉体に赴く


「いっくん・・・・・。いま、復活させるからね」


そう呟いて一誠の両手をそっと、胸の上に動かす。お母さんは両手に光を発光させると悠璃を見て頷いた。

悠璃は魂を手放すとお母さんと一緒に優しく押し込むようにして一誠の肉体に沈めた。完全に魂が体の中に

収まると


カッ!


一誠の肉体が一瞬の閃光を放った。体は光輝き始め、一誠の姿が見えなくなった。数十秒ぐらいで光が

収まって一誠の姿が捉えた。特に肉体には変化が見られない


『・・・・・終ったのか?』


「大丈夫。いっくんの魂は無事にこの体に定着した。でも、直ぐには目を覚まさないと―――」


「・・・・・がはっ」


『『『―――ッ!?』』』


まだ目を覚まさないと言いかけた悠璃。だが、一誠が咳をした。


「げほっ、ごほっ、ぐふっ・・・・・?」


二、三度ぐらいに咳をすると目蓋をゆっくりと開けて俺たちに視線を向けた。


「はあ・・・・・、はあ・・・・・、だ、だれ・・・・・だ。ここ・・・・・は・・・・・、

みん・・・・・な・・・・・は・・・・・?」


「・・・・・嘘」


「幾らなんでも有り得ないことだ。数日経たないと目を覚まさないどころか言葉も発している・・・・・」


「だけど、現実だわ。―――凄い、この子は凄いわ・・・・・!」


ああ、俺も驚いたよ。一誠、おまえはやっぱり俺の子だ・・・・・!


『ようやく、ようやくだ。これでまた主の為に力が揮える・・・・!』


『行きましょう!我等が本来いるべき場所へ!』


『ああ、おまえも来い!一緒に主の為に力を貸すんだ!』


ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!


俺の体が何度も一際に大きく脈を打った。―――刹那、体から金色、漆黒、紫の色をした球体が出てきて

一誠の体の中に入っていった


「・・・・・ああ、おまえたちか。―――誰だ、そいつは・・・・・?・・・・・なるほど、おまえたちが

言っていた友達か・・・・・。・・・・・よろしくな・・・・・。・・・・・ああ、こちらこそ・・・・・」


きっと中に入ったドラゴンたちと会話をしているのだろう。微笑みながら誰かと喋っている


「・・・・・体が動かない」


「当然だ。直ぐに動く訳無い」


「・・・・・さっきも聞いたけど誰?」


「ほう、もうそこまで言葉を話せるのか。大した回復力だ。それと私の名前か?―――私は兵藤源氏、

兵藤家元当主だ」


お父さんが自分の名を名乗った。その名乗りを聞いて一誠は大きく目を見開いた。


「兵・・・・・藤・・・・・!?」


「ああ、それと私の隣にいる女性は私の妻、兵藤羅輝だ。私と妻はおまえの父、兵藤誠の両親だ」


「―――ッ!?」


「そしておまえの傍にいる少女は兵藤悠璃。おまえの従姉だ」


それを聞いてますます驚愕の色を深めた。まさか、自分に家族がいたとは思いもしなかったんだろうな


「私たちが此処に居るのは兵藤家の家だ」


「―――」


「色々と山ほど聞きたいことがあるだろうが、今は体を休めることが重要だ。しばらくはこの家にいて

安静しろ。安全に魂を定着したとしても直ぐに体と馴染まない。馴染むまで私たちと一緒に話をしよう

ではないか・・・・・」


お父さんがそういうが一誠は首を横に振った


「皆が待っている・・・・・。俺の愛しい仲間、家族たちが・・・・・」


『ダメだ。今回ばかりは俺もお父さんに賛成だぞ、一誠』


俺はお父さんの意見に肯定の言葉を発した。一誠は俺の声を聞いて声を震わせて言う


「その声は・・・・・。まさか、お父さん・・・・・?」


『ああ、今はこの姿でいるがおまえの父、兵藤誠だ。お母さんもこの中に居るぞ』


ポンポンと胸―――心を叩いた。


「っ・・・・・。お父さん・・・・・!」


『大丈夫だ。俺も傍にいる。―――いまはゆっくりと安静にしているんだ。いいな?』


「・・・・・。うん・・・・・!解ったよ・・・・・!お父さん・・・・・!」


ははっ・・・・・。この嬉しそうな顔を見るのは本当に久しぶりだ。ああ、またこの子と一緒に暮らして

みたい・・・・・。そんな感情が湧き上がってきたな


『(私もよ・・・・・)』


一香・・・・・


『(私ももう一度、この子と生活をしたいわ・・・・・)』


・・・・・閻魔の奴に頼みこんでみるか


『(そうね!きっと快く了承してくれると思うわ!)』


そうと決まれば行動をするとしようか。・・・・・一誠、待っていろよ・・・・・?


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