小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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再会



一誠のお父さんの父親に追い出されて数日が経過した。あれから僕たちは裏京都にある八坂さんと

九重ちゃんが暮らしている屋敷にお世話になっている。


「イッセー・・・・」


ポツリと呟くオーフィス。みんなも顔を曇らせて一誠を心配している。信じて待ち続けているのだけれど

音信不通の上に、もう一度あの家に赴こうとしても辿りつけない。はあ・・・・・、一誠・・・・・


「おう、此処にいたか」


「・・・・・アザゼル?それに・・・・・どうしているの?―――コカビエル」


「一応、俺の護衛として連れてきた。あの戦いでこいつは功績を上げたからな」


・・・・・そうなんだ。コカビエルも牢獄から出してもらって戦ったんだね。


「お陰で俺は自由の身だ。まあ、監視付きだが・・・・・」


「当り前だ、バカ野郎。また、大きな事件でも起こされたら今度こそお前は首が飛ぶんだ。そうならない為に

監視をするんだ。その位は理解しろ」


「ふん・・・・・」


まあ、あの戦いでコカビエルの性格だと思う存分に楽しめたと思うし、しばらくは大人しくしているかもね


「それで、兵藤一誠は?」


「―――解らないです。あれから数日経っているんですけど、なんの音沙汰も無いんです・・・・・」


「・・・・・そうか」


コカビエルは声を殺して呟く。このヒトも一誠のことを心配している様子だ


「で、英雄派とオーディンは?」


「オーディンのお爺さんはヴァルハラに帰りました。英雄派も二人の仲間を残して帰りました」


後ろに振り向き答える。その二人の仲間っていうのは


『・・・・・』


ジャンヌと呂布のことだ。


「一誠の姿を見るまでは帰る気ないみたいで僕たちに『迷惑を掛けるかもしれないがあの男がキミたちの前に

現れるまでキミたちと一緒に居させてくれ』と言って姿を消しました」


「此処で捕まえて色々と聴取したいところだが、今回は知らせに来たんだ」


「知らせ?」


「ああ、冥界の状況だ」


・・・・・そういえば、あの後はどうなったんだ?アザゼルは真剣な表情で言葉を発した


「あの戦いで悪魔の数がかなり激減した。各勢力の中で数が少なく、力が無い勢力に成った。今回の元凶の

ヴァルフォーレ家は七十二柱から除外され、ヴァルフォーレ家当主と次期当主の奴等は処刑された。そして、

悪魔の上層部たちも捕縛されて現在、新しい上層部を推薦しているところだ。だが、あの戦いでテロリストで

ある『禍の団』、『英雄派』に独断で協力を求め友好を結んだ勢力のトップ、兵藤を殺めてしまったことに

サーゼクスとセラフォルーはその責任を取り、―――魔王を辞退した」


「―――なっ!?」


「言っただろう。『各勢力の中で力がない勢力』だとな」


「魔王の席が二つも空くなんて・・・・・」と唖然として呟く僕にアザゼルは続けて口を動かした


「だが、新しい魔王が輩出するまではあいつらが代理として魔王の仕事を続けるそうだ」


代理か・・・・・。まあ、それがいい判断だと思う。一応、まだ魔王としていられるしね


「そう言えば、ルシファーたちは?」


「京都に行きました」


「おまえは行かないのか?」


「・・・・・僕は彼女たちと一緒にいるんで」


僕は呂布たちを尻目に見る。―――呂布が急に立ち上がった。


「・・・・・?」


キョロキョロと顔を動かして何かを探している仕草をする。―――頭の赤い二つのアホ毛をピョコピョコ

動かして、・・・・・どうしたんだ?


「・・・・・ご主人様?」


「「「・・・・・は?」」」


「・・・・・」


呂布は『ご主人様』と呟いたと思えば、何故かジャンヌの手を掴んで「一緒に行く」と告げるとジャンヌを

引っ張ってこの部屋から出て行った。僕はその光景を見て―――


「・・・・・アザゼルさん、失礼します!」


「はっ?お、おい!?」


彼女たちの跡を追うことにした。直ぐに彼女たちの姿を捉えることができて、彼女たちの隣に並びながら走る


「呂布!まさか、一誠が!?」


「・・・・・少しだけど、ご主人様の感じを感じた」


感じを感じた?よく、解らないのだけれど・・・・・


「この子は遠くからでも気配を感じることができるの。それも人が何人いるのか、何処に居るのかをね。

恋の気配レーダーにイッセーくんの気配を感じた」


「―――それじゃあ・・・・・!」


「ええ・・・・・!イッセーくんが京都にいる!」


確信した声音でジャンヌは言い切った!僕は直ぐに念話で皆に話しかける


「(みんな!呂布とジャンヌが京都に一誠がいるみたいだ!)」


「(なに!一誠が!?)」


「(解ったわ!イッセー!直ぐに見つけてあげるわ!)」


次々と一誠を見つけると言葉が出てくる。呂布のアホ毛が裏京都を出る出入り口、鳥居に指している。

僕たちは鳥居を潜ると一転して別世界―――人間界の京都に出た


「恋、彼は何処にいるの?」


「・・・・・あっち」


アホ毛がクルクル回るとビシッ!と、とある方角を指した。それに従って呂布は走った。僕とジャンヌも掛け走る。街中を人が僕たちに気づかないほど敏捷で素早く、街頭の中を駈け走る。そして、呂布が行く先には

―――二条城のところだ。ものの十数分で二条城に辿り着いた。―――人っ子一人もいなかった。まるで、

人々を此処に来させないように


「和樹!」


僕の名前を呼ぶ存在がいた。声がした方向に振り返ると、二人の男女が僕に向かって掛け走ってきた


「信長と信奈。キミたちも此処へ?」


「ああ。というか、二条城からもの凄い力を感じてきたんだ」


「そうなの?僕は何にも感じないんだけど・・・・・」


「きっとこの京都に住んでいる者にしか解らないような力を発していると思うわ」


呂布を見る。呂布は首を傾げて不思議そうに僕を見た。・・・・・呂布はそんな力を感じていない

ようだ。・・・・・本能に従って来たかのような感じだったし・・・・・


「取り敢えず、この中に入りましょうよ。結界か人除けの札でも使っているのか解らないけど、通常の

人間は誰も此処には近づかないわ」


「そうだね。呂布、案内してくれるかい?」


「ん」


コクンと頷く。彼女は二条城の東大手門に向かう。その跡に続く途中で背後に気配を感じた。


「や、やっと・・・・・、追い付いたぜ」


「アザゼル?それにコカビエルも・・・・・。どうして此処に・・・・・って、何気に疲れていませんか?」


「気に成って追い掛けたんだ。―――お前等が速過ぎて中々追い付けなかったんだよ!こっちまで全力で

街頭を走ってきたんだ!」


「人間が鬱陶しいほどこの上に無かった。殺しながらでも行こうかと何度も思ったことか」


「・・・・・ついでにそんなことをしようとするバカを止めながら此処に来たんだよ」


ゲッソリとした表情で首を前に垂らす。お疲れ様でした・・・・・


「和樹、他の皆にも此処に来るように伝えておいた。俺たちは先に行こう」


「解った。それじゃあ、今度こそ行こう」


まだ、誰もくる気配が無いようで信長が念話で此処に来るように伝えたようだ。踵返して呂布の先導の許に

僕たちは急ぎ足で行く。数分で巨大な門に辿り着き門を潜る。


「・・・・・」


ピョコピョコと動くアホ毛それを見ながら彼女に続くと―――本丸御殿に行き着いた。って、英雄派と

戦った場所じゃん!此処に一誠がいるの!?


「此処にあいつがいるって言うのか?」


「気配も魔力も何も感じないんだが・・・・・」


僕たちは呂布を見る。彼女は前に視線を向けていた。アホ毛も前に指している。でも、彼女を見る方向には

誰もいなかった。


「・・・・・ご主人様、見つけた」


「「「「「「はっ?」」」」」」


彼女が前に瞳を凝らしてそう呟く。―――不意に気配を感じた。呂布が見詰める先に蜃気楼のようにゆらりと

何かが姿を現れるところを僕の視界に映った


「流石は恋。和樹たちでさえ俺に気づかなかったのにな。―――凄いよ」


僕の視界に入ったのは―――僕の親友、兵藤一誠だ。何も姿が変わっていない。死ぬ前の一誠の姿が僕の

視界に入った・・・・・!


「―――ただいま」


何時も僕たちに見せる笑顔で僕たちに挨拶をした。ああ、久しぶりにその笑顔を見るよ・・・・・!


「ご主人様ぁ!」


「一誠!」


「イッセーくん!」


彼を慕う彼女たちが涙を流しながら一誠に抱きついた。


「・・・・・悪い。心配掛けた」


「本当よ!この馬鹿ッ!もう・・・・・、もう・・・・・!どれだけ、私や皆を心配掛けたと思って

いるのよ・・・・・!」


「ご主人様ぁ!ご主人様ぁ!」


「イッセーくん!良かった!本当に良かった!」


一誠は彼女たちの言葉を聞きながらギュッと彼女たちを抱き締める。


「良かった・・・・・、本当に良かった・・・・・!」


「うん・・・・・!一誠が復活して嬉しいよ・・・・!」


僕と信長も涙ぐみながら一誠の復活と帰還に心から喜ぶ。ふと、僕の中で疑問が湧いた


「あれ、破壊神はどうなったんだ・・・・・?」


「一誠の中に戻ったか、消滅したんじゃないのか?」


そう、破壊神のことだ。それに誠さんたちもあれからどうなったんだろう?


「失礼な。あの子を残して私が消滅するとでも思っているのか?」


「「「「―――!?」」」」


信長の言葉に否定の言葉が!その声音は僕たちが知っているもの!僕と信長は恐る恐る声がした方向に顔を

向けた。


「久しぶりだな。あの子の家族たちよ」


そこには―――破壊神シヴァがいた!


「なっ!なんでおまえが此処に!?というか、どうして兵藤があそこに居るのにお前が現世にいる!?」


「愚問な質問だな?私は受肉したのだ。あの子の力によって・・・・・」


「「「「なっ!?」」」」


「さらに付け加えれば、私の力は元に戻った。奪われた力も今では回復した。―――もう、あの時のようには

いかないぞ?」


不敵の笑みを浮かべる破壊神!だけど、戦意とか敵意を感じない。戦う気はないようだ


「破壊神・・・・・、あなたはこれからどうする?何をしたいんですか?」


「当然、あの子の傍にいるつもりだ。あの子を幸せにしたい。あの子と一緒に暮らし、幸せになりたい、

あの子の為に何でもしたい、そして・・・・・愛し合いたい。折角、自分の肉体を手に入れたのだ。

あの子の子供も産みたいと思っている」


一誠至上主義者だ!此処に一誠至上主義者がいるよ!?


「というより、私は真龍に家族として迎え入れられたからな。どっちにしろ、あの子の傍にいられる。

ふふ、嬉しいことこの上にない」


「あ、そう言えばそうだった」


いま思い出した。そうだ、この神も僕たちの家族に成ったんだよね。忘れていたよ


「それと受肉したのは私だけではないぞ?」


彼女の言葉に怪訝な顔に成った。どういうこと?他にも誰かが復活したと言うの?


「それは俺たちだ、和樹くん」


突然に新たな声が聞こえた。しかも僕の名前を言った。この場に僕の名前に「くん」付けで呼ぶヒトは

いない。いや、いるとしたらそれは―――


「こうして会うのは久しぶりだな。和樹くん」


「アザゼルもコカビエルもお久しぶり」


「なっ!貴様等は・・・・・!?」


「誠!?一香!?」


一誠の両親、兵藤誠さんと兵藤一香さんだ。隣に見慣れない少女がいた、誰だろう・・・・・


「あの子の両親もあの子の力と両親の家族の力によって復活した」


「そうなんだ・・・・・。でも、あの子は誰?」


「兵藤悠璃。あの子の従姉だ」


「あの人が・・・・・」


真紅と金色のオッドアイの瞳は一誠に熱い視線を向けていた。彼女も一誠に好意を抱いている・・・・・?


「姉属性としては負けられない存在だ。私の本当の敵はあいつかも知れない・・・・・」


握り拳を作って破壊神は一誠の従姉に視線を向けてそう言った


「―――ところで、あの人は強いんですか?」


僕は彼女の実力に問うと「解らない」と首を横に振った


「だが、兵藤家の者だ。計り知れない力を持っている筈だ」


「ですよね。一誠の従姉さんだし・・・・・」


「さて、私もあの子に抱きつきに行こうとしよう。弟分を補給せねば」


お、弟分・・・・・?聞き慣れない言葉に疑問を抱いている間に破壊神は一誠の背後から抱きついた。

あ、そういうこと・・・・・


「おまえとこうやって対峙するのも久しぶりだな・・・・・」


「はははっ、おまえも元気でいるみたいだな。で、おまえは相変わらずか?」


「何のことだ?」


「・・・・・その様子だと、まだ誰とも結婚していなさそうだな・・・・・」


呆れて嘆息する誠さんにコカビエルは瞑目しながら口を開いた


「こいつは自分の趣味に走る男だ。だから、そこら辺の女と遊んで捨てるだけだ」


「―――アザゼル?少し、女性の扱いについて話をしましょうか?」


「ばッ!コカビエル!なんてことを言うんだ!?って、一香!その怖い笑顔のまま俺に近づくな!

れ、冷静になれ!」


・・・・・あっちはあっちで話は盛り上げっているようだね。


「・・・・・」


一誠の従姉さんはただ、一誠を見詰めているだけ。話かけないのかな?


「一誠の従姉さん」


「・・・・・」


信長が彼女に話しかけた。が、彼女は無視、というより無反応だ。僕も話かけてみようかな


「一誠の従姉さん。少しいいですか?」


「・・・・・」


僕が話しかけても無反応だった。信長と顔を会わせてもう一度一誠の従姉さんに話しかける


「一誠の従姉さん。僕たちの声が聞こえませんか?」


「・・・・・」


彼女は瞳を一誠に凝らす。・・・・・僕たちの存在を気づいていない・・・・・?信長は痺れを切らして

声を荒げるように言った


「おい、あんた。いい加減に―――」


「・・・・・人外、さっきからうるさいよ。私はいっくんを見ているんだから、口を閉じてくれる?」


「「―――!?」」


「・・・・・それとも、魂を抜いて黙らせてあげようか?―――美味しそうな魂だし」


バッ!


僕と信長は瞬時で彼女から離れる。言い様のない何かを発する彼女に僕は―――恐怖を抱いた。


「な、何なんだ・・・・・!あの人は・・・・・!?」


信長も頬に冷汗を流し、声を震わせて瞳に怯えの色を染めていた。


「・・・・・」


彼女は僕たちに興味が薄れたのか、また一誠を見詰め始めた。あの人は・・・・・危険過ぎるよ・・・・・!

とてつもなく危険過ぎる・・・・・!


「和樹くん」


「・・・・・誠さん」


「彼女は身内の者しか絶対に心を開かない。それどころか、敵意や殺意すら向けてくる。・・・・・あまり

言いたくはないが、悠璃と接触するのは止して欲しい。最悪の場合、殺すこともあるんだ。神器『魂喰者』の

能力を使って相手の魂を抜きとり喰らってね」


ソウル・イーター・・・・・!?


「解りました・・・・・」


「はい・・・・・」


「それと悠璃もキミたちの家に住ませてあげてくれないかな?あの子にも世界を知って欲しいんだ。

お父さんたちから了承は得ている。一週間に三度は兵藤家に戻るけどね」


「えっ・・・・・!?そ、それはガイアさんに言ってくれませんか・・・・・?一誠の次に発言力があるのは

ガイアさんなので・・・・・」


流石に僕や信長だけで判断していいものではないことだからガイアさんに尋ねるように言った。


「そうなんだ?解った―――と言いたいところだが、来たようだな」


誠さんは上空を見上げた。僕も上空を見上げると、


『イッセー!』


『イッセーくん!』


『イッセーさん!』


皆が二条城の上空からこっちに飛来して来た!そして―――


「一誠!」


ガイアさんも現れた。幽幻龍騎士団、全員集合だね!



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