小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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和樹の婚約者たち現れる!



「よお!和馬ぁ!久しぶりだなぁ!」


「ま、誠ぉ!?それに一香さんまで!?」


「し、死んだんじゃ・・・・・!?」


「あら?和樹くんから聞いていないの?私たち一誠と一緒に復活したのよ」


「な、何だと!?あ、あいつ・・・・・!親に何も言わないなんて・・・・・!」


「その和樹くんから伝言だ『お父さんたちだって僕に誠さんの両親のことを教えてくれなかったくせに!

だから、これでお相子だよ!』だってさ」


「・・・・・和樹、教えなかったんじゃないんだよ。―――忘れていたんだよ」


「お前もダメだな!?」


「だけど、どうして此処に?一誠くんと一緒に住んでいるんじゃなかったのですか?」


「俺と一香は俺たちが復活したことを皆に直接知らせながら冒険しているんだ」


「全員に知らせ終わったら一誠のところに住もうと思っているの。最初にあなたたちから知らせたかったの」


「じゃあ、直ぐに行ってしまうのか?」


「まあそうだな、世界中を回り尽くすのに半年は掛かるからな」


「・・・・・また、一誠くんが寂しい思いをするんじゃないのか?折角、お前たちと暮らせると思っていた

ところなのにさ」


「ああ、大丈夫さ。あの子は俺たちがいなくても寂しくないさ。―――我が友と和樹くん、オーフィスや

ルシファーちゃんたちがいる。寧ろ、俺たちがいたら邪魔じゃね?って、思うぐらいの

アツアツ振りだぞ・・・・・」


「一誠が復活した日から数日間・・・・・、凄かったのよ?夜、息子に好意を抱いている子たちが休む間も

なく愛し合っていたんだから」


「・・・・・凄いな」


「・・・・・」


「まあ、離れていても通信ができる物を貰っているから何時でもあいつの顔を見られる。

だから大丈夫なんだ」


「そうか、それなら大丈夫だな」


「全て終わったらもう一度ここに来てください。また、あの時のように皆で飲みましょう?」


「その時は一誠と和樹くんも飲ませようぜ!酒が飲める年ごろなんてとっくに過ぎているんだからさ!」


「良い考えだ!そうしよう!」


「ふふ、あの子はお酒を飲むと顔を真っ赤にするから可愛いですよねぇ・・・・・」


「はは、―――それじゃあ、行ってくる!」


「また会いましょう!」


「たまには手紙でも送れよ!」


「また会える日まで楽しみにしています!」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



Phantom  Dragoon.



「一誠、送り迎えしなくても良かったの?」


「するにも何も、お父さんたちは風のように行ってしまうからする暇もないんだよ」


学校の授業が終わり、一時の間に休憩していた俺たち。そんな最中、和樹がお父さんたちの話を持ち

掛けてきた


「あー、それじゃあじょうがないか」


「それに、送り迎えしなくてもお父さんとお母さんからから貰った神器を渡した時に言ったさ

『どうせ冒険に行くんだろう?―――気を付けて行ってらっしゃい』ってさ」


「ええっ!だ、大丈夫なの!?」


「大丈夫だ、ちゃんと『強奪』で能力を奪った。力は変わらないさ」


「・・・・・そういえば『強奪』の禁手ってみたこと無いわね。どんな風になるのかしら?」


ヴァイラが『強奪』の禁手が気になったのか俺に尋ねてきた


「あー、『強奪』の禁手か・・・・・一応、禁手は至っているんだけどまだ調子が良くないんだ」


「珍しいですね。一誠さんにしてみれば簡単なことだと思っていましたが」


「んー、まだ実力不足か・・・・・」


「今でも十分に強いのにまだ実力不足だなんて・・・・・」


呆れるヴァイラ。俺はヴァイラの手の甲に手を乗せて彼女の顔を真っ直ぐ見て言った


「ヴァイラ、俺はお前や皆を守りたいんだ。例え世界を敵に回してもだ。その為にもっと実力を、

力をつけたいんだ・・・・・」


「イッセー・・・・・」


「だからヴァイラ、俺の傍から離れないでくれ。じゃないと、不安でしょうがないんだ・・・・・」


「ええ、勿論よ。私はずっとイッセーと一緒よ・・・・・」


見詰め合う俺たち、和樹と龍牙は両手を合わせて「「ごちそうさま」」と言ってきた。何か食ったのか?


「・・・・・あっ、そういえばさ」


「なに?」


「お前、婚約の件はどうなっているんだ?あれ以来、何にも聞いていないんだけど」


大分前の話、和樹に三人の婚約者がいるとグレモリー先輩から聞かされた。和樹本人は知らなかったようで

和馬さんたちに真意を問うとか言っていたけど・・・・・


「あー、それ?お父さんたちにも聞いたけど知らないって言うんだ。どうやら、勝手に決められたようだよ」


「おいおい・・・・・」


「未だ、僕の前に現れないから気にしていないんだけどね。それに僕にはシンシアって一人の女の子がいる

から婚約は解消するつもりなんだ」


「そっか、龍牙のほうは?そういう話は聞いていないけど」


何気なく龍牙にも話しかける。頬をポリポリと掻いて苦笑する


「僕のほうは無いですね。兄上からも見合い話もないですし・・・・・、自由に恋愛しようと思っています。

―――流石に一誠さんのようにはできませんがね」


「・・・・・」


龍牙の言葉に沈黙してしまう。た、確かにあれは・・・・・な。


「・・・・・」


ヴァイラもあのことを思い出して顔が赤面になる


「あっ、そろそろ時間だな」


「本当だ」


話を反らすように時計を見ると授業が始まる3分前だった。クラスメートたちは少し慌てて席に座りだす。

同時に教室のドアが開き先生が侵入した


「では、少し早いですが授業を始めます」


先生の言葉に授業が始まった。授業が進み、時間も川の流れのようにゆっくりと時が進んだ。そして

終わりの時が来た



キーンーコーンカーコーン・・・・・



「これで授業は終わりです。速やかに寄り道しないように帰ることです」


そういって先生は教室から出て行った。


「とは言っても、僕たちはソーナ先輩たちを待つんだけどねぇ?」


「日課と成っていますね」


「レイヴェルも此処に来ることも日課に成っているでしょう」


「だな」


クラスメートたちが帰っていくのを見て俺たちは話し合う。そんな最中、レイヴェルが教室に入ってきた


「イッセーさま!皆さま!」


「今日も早かったですね」


「はい!皆さんに煩わせないように早く皆さまのところに赴くように心掛けておりますので!」


「ん、偉いぞぉ。ナデナデしてやる」


健気なレイヴェルの頭を撫でる「えへへ」と嬉しそうに笑うレイヴェルを見て俺たちは和む。―――が、


「さて、後はソーナ先輩だけだけどさあ・・・・・」


「はあ、どうやら『お客さん』のようだな」


この場にいる皆は気付いている。教室の窓から見える校門のほうへ視線を向けると、三人の美少女たちが

学校に入ってくる光景が映った


「・・・・・」


和樹が真剣な表情になった。「知り合いか?」と訊くが首を横に振った


「始めてみる女の子たちだけど・・・・・三人とも魔術師だよ」


「様子見ですかね?」


「それが妥当ね」


「リアスさまたちにも知らせた方がよろしいのでは・・・・・?」


レイヴェルの言葉を聞いて俺は携帯を取り出してゼノヴィアに連絡する。おっ、早いな


「ああ、ゼノヴィア。率直に言うと校庭に三人の魔術師が入ってきている。目的とか理由は解らないけど

『禍の団』だと思った方が良いぞ。用件はそれだけ、じゃあな」


「い、一方的な会話のやりとりですね・・・・・」


「そうか?まあ、後で謝るさ」


三人の魔術師たちらしき少女たちが学校に近づく。その様子を見ていたら桃色の髪をした少女が立ち止まり、

両手を合わせ丸くし、口元に近づけ


「か〜ず〜き〜さ〜ん〜!何処にいるんですかぁ〜!?」


和樹の名前を大きく叫ぶように言った!・・・・・和樹?


「・・・・・和樹さん?あなたを呼んでいますけど・・・・・、知り合いではないのですか?」


「し、知らないよ!?僕だって知らない女の子に呼ばれて当惑しているんだ!」


「式森和樹!此処にいるのは解っている!堂々と姿を現わせ!」


凛とした巫女装束の少女が和樹を呼ぶ


「本当は知り合いではないんですか?あの子、確かにあなたの名前を呼んだわよ?」


「本当だってば!僕だって困惑しているよ!」


「和樹〜?早く出てきなさいよ〜!あなたの妻が迎えに来ているんだからさぁ〜!」


三人の中で背が高く歳上であろう金髪の少女が和樹を呼んだ


「・・・・・なあ、お前の妻だって言っているけど本当に身に覚えが無いんだな?」


「本当だよ!てか、僕は何時も皆と一緒にいるじゃないか!それに僕はまだ結婚していないよ!」


う〜ん。じゃあ、あいつ等は一体誰なんだ?と考えていたらヴァイラ何かに気づいた様子をした


「あっ、もしかして例の婚約者じゃないかしら?」


「「「・・・・・なるほど」」」


「えっ!あの女の子たちが!?」


本人も驚きを隠せないほど驚愕した。―――あっ、グレモリー眷属とシトリー眷属だ。それにイリナと

アザゼルとロスヴァイセも


「・・・・・どうする?」


「いや、どうするも何も・・・・・」


「放っといても問題ないかと思いますわ」


「俺もレイヴェルの言葉に同意だ」


「僕もです。というより、あの中にソーナ先輩と小猫ちゃん、ゼノヴィアさんにイリナさん、真羅先輩も

いることですから直ぐに終わると思いますですし」


龍牙の言葉を聞いて俺は頷く。すると俺の耳に「私と和樹さんの愛を邪魔する悪魔たちですね!?

許しません!」と聞こえた


「おー、和樹。愛されているなぁ・・・・・。何時の間にあの少女を落としたんだ?」


「だから知らないってばぁ!僕自身も初めて婚約者の子たちを見たんだよ!?あの子、電波だよ!絶対に!」


少し涙ぐみ始めた。少しからかい過ぎたか


「邪魔だ!あの男を斬り殺さなければ私の腹が治まらない!」


「ちょっとぉ、和樹の遺伝子を貰ってからにしてくれない?」


「二人ともダメです!私の和樹さんにそんなことをさせません!」


「あら、やろうっていうの?でも、早いもの勝ちって言葉を知っているかしら?」


「西洋かぶれ宮間の女、成り上がりの風椿の女、邪魔をしないでもらう」


「和樹さんを傷つけるのであれば例え、久里子さんや凜さんでも許しません!」


なんか、状況が可笑しくなってはいないか?巫女服の少女は腰に帯剣していた刀を抜き放ち刀に緑色の魔力を

纏わせたり、金髪の少女が両手に札らしき紙を展開して桃色の神の少女が水の魔力を両手から発現した


「・・・・・友達?って、感じはしなくはないんだけど・・・・・」


「なに、この泥沼の関係は・・・・・。和樹を巡る決闘?」


「というか、攻撃しそうな勢いなんだけど・・・・・?」


ソーナたちを見ると自分たちを無視して攻撃の構えをする三人の少女たちに警戒しながらもどうすれば

いいのか当惑している様子だ


「取り敢えず解った事はあの三人は和樹の婚約者たちで間違いないってことだ。―――色々と面倒そうな

ものを抱えているそうだけどな」


「シンシアぁ・・・・・。僕は一体どうすればいいのぉ?」


「・・・・・和樹が可笑しくなった」


ドッガアァアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!


校庭に轟音が教室にまで響いた。おいおい、本当に攻撃しやがったぞ。ソーナたちは大丈夫なのか?


「和樹。取り敢えずさぁ和馬さんたちを呼んだ方がいいんじゃないか?」


「ぅぅぅ・・・・・。え?ああ、そうだね。うん、そうするよ」


ポケットから携帯を取り出して連絡する和樹から視線を外し、爆煙を立ち昇る校庭へ移す。


煙で皆の姿が見えないな。気配で感じるか、・・・・・。・・・・・?三人分の気がこっちに近づいている?

―――まさか


ガラッ!


「見つけました!」


「見つけたわよ!」


「見つけたぞ!」


三人の魔術師の少女たちが俺たちの教室のドアを開け放って和樹を捉えた!おいおい、隙をついて此処まで

来たのかよ・・・・・?小猫はどうしたんだ?・・・・・ああ、来ているか


「えっと、キミたちは・・・・・誰?」


「あなたの妻です!」


「貴様の伴侶だ」


「あなたの愛人よ」


・・・・・全員、電波確定だ。


「死ね!」


「なあ!?」


巫女装束の少女が手に持っていた刀を和樹に振りかざした!和樹は避けたが代わりに机と椅子が両断した

という犠牲が・・・・・


「いきなり何をするんだ!僕はキミに恨みを買うような事をしていないよ!?」


「黙れ!貴様の所為で私の人生が狂わせているのだ!貴様を殺して婚約の件は無かったことにする!」


「だったら、婚約を解消すればいいじゃないか!僕を殺してもキミは殺人の罪で逮捕されちゃうよ!?」


「後のことはどうでも良い、今は―――貴様を殺すことだ!」


んー、実力はあるけどそこそこだな。


「凜さん!和樹さんに攻撃しないでください!」


桃色の髪の少女が両手を上に翳して大量の風の魔力を集め出して


「ウィンディーネ!」


巫女装束の少女に向け放った。巫女装束の少女は冷静に対処して刀で風の魔力を両断した。刀に纏わせている

あの魔力はそういう意味だったのか


「捕まえーた♪」


「うわぁ!?」


金髪の少女は漁夫の利を得て和樹を捕らえた


「うふふ♪さあ、シましょう?」


「な、ここで!?って、絶対にお断りだよ!」


「きゃん!」


金髪の少女に抑え込まれた和樹だが、魔力で突き飛ばして体を起して俺の後ろに隠れる


「あ〜っ、いたた・・・・・。流石に世界一の魔術師は伊達ってわけじゃないようね」


「キミたちは一体何なんだよ!?」


「何って婚約者よ?」


「悪いけど婚約は解消だよ!僕や両親はキミたち三人との婚約は知らなかったんだからね!キミたちのして

いることは一方的でエゴだ!」


・・・・・和樹、俺の後ろに隠れながら言うなよ・・・・・


「和樹さんから離れてください!」


「・・・・・」


パチン


「・・・・・え?」


桃色の少女が水の魔力を放とうとして来たので無力化にした


「貴様ぁ!此処で死ね!」


「人の家族に手をあげるんだ。―――それなりの覚悟はできているんだよな?」


巫女装束の刀を素手で折る


「なっ!?」


ドガンッ!


驚いている隙に蹴りを入れる。弱めにしたので壁に激突するだけで終わった。それでも、しばらくは強烈な

痛みで動けないだろう


「良くも凜さんを!」


「小猫」


「え?」


「・・・・・えい」


ドゴンッ!


「がはっ・・・・・!?」


「・・・・・気をまとった拳であなたに打ち込みました。同時にあなたの体内に流れる気脈にもダメージを

与えたため、もう魔力を練ることはできません。さらに言うなら内部にもダメージは通ってます。

・・・・・もう、あなたは動けません」


「ついでに言うなら巫女装束の子も同じだからな」


仙術のオーラをまとった拳で桃色の髪の少女の腹部に突き刺した小猫


「さて、あんたもしようか?」


「・・・・・いいえ、もう何もしないわ。というより出来ないもの」


金髪の少女に振り返ると龍牙とヴァイラ、レイヴェルが水と炎の魔力、大剣で金髪の少女に向けていた


「和樹、捕縛魔法をよろしく」


「うん、勿論そうさせてもらうよ」


「ひ、酷いです!和樹さん!妻である私を捕まえるだなんて!・・・・・あっ、でも和樹さんに捕まるのなら

それでも良いかもしれません。そのまま私を―――いやん!」


・・・・・電波が何か言っていたが無視した


「おう、やっぱりお前たちが解決したか」


「こいつらがこっちに来たからな。グレモリー先輩たちだけで十分だと思ったんだけど・・・・・まんまと

虚を突かれたな」


「勝手に喧嘩して勝手に攻撃したと思ったら何時の間にかいなくなっていたんだよ」


「良い訳は見苦しいぞ、アザゼル。まあ、どうでもいいけどさ」


指をパチンと鳴らす。巫女装束の少女に壊された教室が巻き戻って、壊される前の教室の状態に戻った


「そういや、誠たちは?」


「自分たちの復活を知らせたいから旅に出た」


「そうか、今頃は何処にいるんだか・・・・・」


「まだ日本にいると思う。日本が終わると今度は中国、北欧、ギリシャ、色んな国に回るとか・・・・・」


「世界一周旅行をする気かよ・・・・・」とアザゼルは嘆息した。三人の魔術師たちを見据え、口を開く


「んで、お前たちは『禍の団』のメンバーか?もしそうなら冥界に送るがな」


「ち、違います!妻である私は和樹さんに会いに来ただけです!」


「式森を斬り殺しに来ただけだ!」


「和樹の遺伝子をちょこっと頂こうかなぁ〜って」


・・・・・なんだ、違ったのか。


「話を変えよう。おまえたちは魔術―――魔法使いだな?」


「は、はい」


「察するにおまえらは名家の娘、退魔の娘、何処かの企業の娘だと思うんだがそれはどうでもいいとして、

―――勝手に三大勢力が和平を結んだこの場所で勝手に暴れて尚且つ、絶対に敵に回してはいけない勢力、

幽幻龍騎士団のメンバーを攻撃するなんて魔術教会の奴等が聞いたら仰天するぞ」


魔術教会・・・・・?


「魔法世界に存在する組織だよ。魔術師、魔法使い、召喚師、魔導師が溢れる世界をバランスと保つ為に

存在する組織でもあるんだ」


「その頂点に立っているのが式森家なんだ。未だに式森を倒したっていう話は聞いていない」


「そりゃあ、そうでしょ。無限に等しい魔力を持つ式森に挑むなんて挑戦者はいないんですよ?まあ、

ゲオルグはその中で希少な存在だね」


そうなんだ。だからあんなに喜んでいたんだ。同じ魔法使いと戦うことができると・・・・・


「で、敵わないなら娘を嫁に出すか婿に迎えると、あらゆる手段を使って式森家を掌握しようとする

魔法使いはごまんといる」


「一人は違うけど、他の二人はそうみたいだね」


金髪と桃色の髪の少女を見て


「ち、違います!私は和樹さんとあの場所で約束をしたんです!」


「約束・・・・・?何処でどんなことを?」


「―――あの夏。私が小さい頃、両親の仕事の都合でずっと友達が作れないことにもう嫌で家から飛び出して

公園で泣いていました。そんな時です。私を励ましてくれたのは―――和樹さんでした。そして、私はある

お願いを言ったのです『雪を降らすことができたらあなたのお嫁さんになる』と、和樹さんは本当に雪を

降らしてくれました。だから私も約束をしたのです。『大きくなったら私はあなたのお嫁さんに

なってあげる』と・・・・・」


「・・・・・」


和樹は無言で彼女の話を聞いていた。


「和樹さん、私は心身ともに大きく成長しました。私は和樹さんのお嫁さんに成るという約束を守る為に

此処に「いや、残念だけどそれは僕ではないよ」―――え?」


「もう一度言うよ。その子供は僕じゃない。キミが言う夏の公園に雪を降らしたのは僕じゃない。

―――僕はずっとこの人間界にいたんだからね」


和樹は急に彼女の言葉を遮り否定した。そんな和樹の言葉に桃色の髪の少女は首を左右に振り

「違います・・・・・」と呟いた。だけど和樹も彼女の言葉に否定した


「違わない。式森は無限に等しい魔力を持つ一族だ。そんな魔力を持つ人間がいたら誰でも興味が湧かない

わけがない。誘拐、拉致して非道な研究をするか奴隷として扱うか、女の人だったら無理矢理子供を孕ませて

子供を産ませて戦力にしていた・・・・・なんて、式森家は過去にそんなことが何度も

遭ったんだ・・・・・。当然、僕も誘拐された時があった。―――その時だよ。僕を助けてくれたのは

一誠の両親だったんだ」


そうだったのか・・・・・。和樹の家は辛い過去を抱えているんだ・・・・・


「だから僕は決めたんだ。誰にも負けないほどの力を得る。誰にも迷惑を掛けないように力を得たいってそう

決意したんだ。その後はお父さんたちと修行を始めた。―――僕はずっと修行をしていた。キミの願いを

叶えたのは僕ではない。違う魔術師だ。もしくは何らかの手段でそう思い込ませるような事をしたかだね」


「嘘です!私はちゃんと和樹さんの顔を覚えています!『僕は世界一の魔術師なんだ』って、

言っていました!」


「まだ、力の使い方も知らない世界一の魔術師の子供が外に出歩ける訳が無い。誘拐してくださいって言って

いるようなものだよ。式森の子供は当主の許しが無いと出られない。誘拐された時は外に出歩くことを

許された時だったよ・・・・・」


『その通り、和樹の言っていることは本当だ』


突然、新たな声が教室に響いた。教室の床に二つの魔法陣が現れた。魔方陣が発する光と共に現れたのは

―――和樹の両親だった。俺を見ると微笑んで口を開いた


「久しぶりだね、一誠くん。元気にしていたかい?」


「お久しぶり、一誠くん」


「お久しぶりです。和馬さん、七海さん」


二人にお辞儀をする。本当に久しぶりだ。特に変わっている様子もなかった。


「誠たちとは会ったよ。全く、息子が何にも云わないんだから驚いたぞ。あいつらが甦ったなんて

知らなかったからさ」


「そっちだって誠さんの両親のことを教えてくれなかったじゃないか」


「和樹、教えなかったんじゃないんだ。―――忘れていたんだよ」


「ドヤ顔で言うな!それに重大なことなのに忘れていた!?あの時、誠さんの両親のことを忘れずに教えて

いれば一誠はもっと早く会いに行けたのに!」


和樹に説教された。和馬さんは顔を曇らせて「・・・・・すまない。一誠くん、息子の言う通りだ。

私が悪かった・・・・・」と急に謝罪し始めた。和樹に怒られてショックだったか?


「あー、いや、気にしていないんで大丈夫ですよ。それに今はお父さんたちやおじいちゃんたち、悠璃にも

会えたから・・・・・」


「そう言ってくれると助かる。―――さて、宮間家に神城家、風椿家か・・・・・。魔法世界では落ちぶれた

名家と成りあがりの企業に退魔の家業の者が家の息子に何か用かな?」


オオオオオオォォォォォォォ・・・・・。


和馬さんの全身から異様なプレッシャーと魔力が揺らめくように出てきた。俺と和樹以外の全員の顔は

強張らせたり、引き攣ったり、涙を流したりしていた。


「桃色の髪の少女は和樹のお嫁さんに成りに、金髪の少女は和樹の遺伝子狙い、巫女装束は和樹の命を

狙いにきたそうです」


「・・・・・なるほど、宮間家は確か落ちぶれているからその復興のために和樹の遺伝子を必要としている、

風椿家は会社が成り上がりで魔法世界は実力、才能主義。家の息子の遺伝子を狙い、母体が身籠り、最強の

子供が誕生すれば実力と才能主義の世界では優位に立つ事が出来る。―――神城家はよく解らないな。理由が

見当もつかない」


凄い。解っていることだけ教えただけでさらに深く・・・・・。かなり高い洞察力だ・・・・・!

和樹の父親、式森和馬!


「神城、息子の命を狙う理由はなんだ?」


「本家の命令で分家に生まれた私が道場―――神城家の後継ぎに決まって私はそれが嫌で家に飛びだして

周りの反対を押し退けて葵学園に入った。だが、本家はそれを許さず条件としてそこにいる式森和樹の

遺伝子を得ろと言われた・・・・・!普通の女の子として学園を通い、友達を作りたいのに何故、

こいつの遺伝子を得らなければならない!私はそれが許せなかった!だから、こいつを始末して条件を

無効にして―――」


ヒュッ


風を切る音が聞こえた。何だ?と思っていた俺だがドンッ!と何かがぶつかった音が聞こえた。音がした方へ

顔を向けると―――


「―――ガキのわがままで和樹を殺そうなんてな・・・・・」


「あぐっ・・・・・!」


和馬さんが巫女装束の少女の首を掴んだまま教室の壁に押し付けていた!


「おまえ、何様のつもりで和樹を殺そうとした。それに俺たち式森に敵意を向けたらどうなるか

知らないようだな・・・・・?」


「ひっ!?」


巫女装束の表情が恐怖に染まった。此処からじゃあ顔が見えないけど・・・・・


「ちょ、ちょっと!?」


「凜さんを放してください!和樹さんのお父さん!」


「・・・・・あ?」


「「―――!?」」


和馬さんが顔をこっちに向けた。その表情は俺ですら背筋が凍るほどの形相をしていた。

―――俺が知っている和馬さんではない・・・・・!


「お前ら二人もそうだ、和樹を道具扱いにしようとしてただで済むとは思うなよ?」


「わ、私は和樹さんのお嫁さんに・・・・・!」


「和樹はずっと俺たちと一緒にいた。誘拐されてから一度も外に出していない。力を完全にコントロールして

尚且つ、全ての魔法、魔術、錬金術をマスターするまでにな。だからお前が過去に約束した子供は和樹では

ない。―――別人だな。それか、宮間家に嘘八百な幻想の魔法でも掛けられているんだろう。

可哀想にな・・・・・」


「―――!?」


和馬さんが和樹とずっと一緒にいたという事実を聞いて桃色の髪の少女は絶句した。そして、瞳から

ポロポロと涙を流し始めた


「ちょっと!そんな言い方は無いじゃない!この子は純粋に和樹を想って―――」


「黙れ、風椿家の人形風情が」


「に、人形・・・・・!?」


「そうだ。聞くが、今まで家族に一度でも逆らった事はあるか?」


和馬さんの問いに金髪の少女は顔を伏せて下唇を噛みしめるだけだった


「無いだろう。風椿家に言われた通りに動くだけのお前はただの人形も当然だ」


巫女装束の首を掴んでいた手を動かし、二人の魔法使いに向けて投げ放った


「そいつを連れて魔法世界に帰れ、二度と和樹の前に現れるなよ。―――いや、この際だ。久しぶりに

魔法世界に行くとしようか。一誠くん、キミも来なさい。誠たちと同じように世界を知るべきだ」


「・・・・・みんなもですか?」


そう言うと表情が一変して微笑みの表情になった


「ああ、魔法世界はどんなところかその目で確かめなさい」


「・・・・・和馬さんにとって魔法世界は一体どんな世界ですか?」


また表情が一変して真剣な表情に成り、声を低くして言った


「―――嫌な世界だ、いたくもない。あんな世界は・・・・・」


魔法世界一の魔術師の現当主が魔法世界に嫌悪しただなんて・・・・、魔法世界・・・・・。

一体どんな世界なんだ・・・・・。




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