小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

『大罪の暴龍』グレンデル



・・・・・だだっ広い白い空間だった。何もない、ただ白いだけの空間。上下左右も白い四角い

場所だ。・・・・・天井はかなり高い。転移用魔方陣で次の場所に移動したら俺たちは此処に辿り着いた。


「ここは次元の狭間に作った『工場』なのですよ。悪魔がレーティングゲームに

使うフィールド技術の応用です」


突然の第三者の声。そっちに視線を送れば・・・・・。さっき、空間を見渡した時には見当たらなかった

人影がそこにあった。俺たちと距離を置いた所に装飾残った銀色のローブに身を包む存在がいた。

声は若い男のものだった。背丈もある方だ。フードを深くかぶっていて顔までは解らない


「お前が曹操達に攻撃を仕掛けた悪魔だな?」


「ええ、その通りです。お会いできて光栄です。幽幻龍騎士団の方々」


「テメェ!良くも俺たちに攻撃をしてきやがったな!」


「・・・・・許さない」


英雄派から怒気が発せられた。曹操が窘める間にソーナが口を開く。


「あなたが今回の黒幕ですか?」


「ええ、そうです」


こいつがリーダーって事か。悪魔なのに魔法使いたちを動かすなんてどんな奴だ?というか、このオーラは

何処かで感じた覚えがあるものだ


「あなたは『禍の団』の者だと曹操から聞き及んでいます。襲撃の理由は何です?」


「ええ、いまは『禍の団』をさせてもらっています。今回我々が襲撃した目的は、何点か理由がありまして。

魔法使いの彼等が貴女方を襲ったのは好奇心です。『禍の団』に元々所属していた者たち―――」


悪魔の言葉にソーナが続く


「その者たちとはぐれ魔法使いの集団は手を組んでいた、でしょう?先程の魔法使いたちは、教会を

追放された魔法使いと、『禍の団』に入った魔法使いの混合チームです。彼等が使う術式は以前三大勢力の

和平会議を邪魔して来た魔法使いが使ってきたという魔法陣の紋様にそっくりでしたからね」


「ええ、彼等は比較的頻繁に交流をしていたようですから」


「今回の襲撃劇ももしかして、協会が出したという若手悪魔の評価に関連してますか?先程の戦いでも

『若手四王』に興味を抱いていました。アガレス眷属とグレモリー眷属を連れて来なかったんだ?と

言うぐらいでしたから」


「ふふふ、私が説明しなくても良いぐらいですね。ええ、そうです。彼等は協会が出した若手悪魔の評価が

気になったようでして、自分の魔法が通じるかどうか、試したくなったそうです」


試す前に和樹がダメだし言って倒しちゃったけどな。男は続ける。


「若い魔法使いが多い為、自制が利きにくいところがあったのですよ」 


ソーナが「ああ、なるほど」と相槌を打つ


「俺から1つ聞いていいか?」


「はい、なんなりと」


「どうしてフェニックス家のレイヴェルを連れ去ろうとした?お前達が追い出した形になった英雄派から

情報じゃあ、お前達は―――フェニックスのクローンで『フェニックスの涙』を量産していると聞いた」


「・・・・・えっ?」


俺の質問に悪魔は「今回の襲撃は彼女に少しお伺いしたい事があったので此処に連れて来てもらう事も

1つの理由でした」と言いながら指を鳴らした。すると、右手側の壁が作動して、下に沈んでいった。

壁の向こうが見えてくる。そこにあったのは―――多くの培養カプセルが並んだ、実験室みたいな光景だ。

機器に繋がれた数多くの培養カプセル。その中には―――何かが入っている。

俺たちがカプセルの中身を確認すると―――液体に満ちていて、そのなかに浮かんでいたのはヒト・・・・・


「フェニックスの涙の製造方法、知っていますか?純血のフェニックス家の者が、特殊な儀式を済ませた

魔法陣の中で、同じく特殊儀礼済みの杯を用意して、その杯に満ちた水に向けて、自らの涙を落とすのです。

涙の落ちた杯の水は『フェニックスの涙』にはならないとされています。感情のこもった涙は、

『その者自身の涙だから』、だそうでして。自らの為に流した涙と、

他者の為を思って流した涙では、効果が生まれない」


悪魔が培養カプセルに指を指す


「ここが『工場』だと言ったのは、あれを魔法使いたちが量産しているからです。上級悪魔フェニックスの

クローンを大量に作り出し、カプセルの中で『フェニックスの涙』を生み出させる―――。ここの『工場』は

既に放棄する予定なので、あの者たちももう機能を停止させています」


「―――っ!?」


レイヴェルが目を大きく見開いて涙を流し始めた。・・・・・辛いモノを見せてしまったな。偽の『涙』を

生みだすだけに生み出されたフェニックスのクローン。用済みだから機能を停止されたあのクローン達が

余りにも不憫だ。ソーナが目を細めながら嫌悪の言葉を吐きだす。


「・・・・・ここで生み出したものを闇のマーケットで流して莫大な資金を集める。考えそのものが

おぞましい限りです。あなた方がフェニックス家の者に手を出そうとしていたのは、あれを作り出す精度を

上げようとしたためですね?」


「ご理解が早くて助かります、シトリー家次期当主。どうやら、魔法使いたちの研究でもフェニックスの

特性をコピーするのに限界があったようでして、最終手段としてフェニックスの関係者をさらって直接情報を

引き出そうとしたそうです。結局、純血の者からではなければ、解らない事があったようで、

レイヴェル・フェニックスを連れ去る事にしようとしたのですが、失敗に終わりました」


当り前だ、家族を勝手に連れ去ろうとする輩は叩きのめす!だが、こいつら、レイヴェルの

心を傷つけやがった・・・・・!


「・・・・・酷い・・・・・酷いよ・・・・・こんなのって・・・・・どうしてクローンなんて作ったの・・・・・」


余りにも悲痛な面持ちをする彼女を抱き寄せて頭を撫でて慰める。・・・・・今はこれしかできないからな


「―――さて、我々が欲する要求の最後です。あなたたちのような強者と戦いたいと願う者がいるので、

お相手をしてもらえませんか?実は私にとって今回の襲撃はそれが主目的でいた。魔法使いたちの要望を

叶えたのは、あくまで『ついで』でして」


そう言う悪魔が俺たちとの間に巨大な陣形を作り出していく。光が床を走り、円を描いて、

輝きだした。・・・・・来るかと思っていた俺に匙があの魔方陣を見て匙が漏らす


「―――龍門?」


龍門。あれがそうなのか、始めてみる。龍門は力のあるドラゴンを招く門だったな。龍門の輝きは呼ぶ側の

ドラゴンのカラーを発しながらそのドラゴンを招く。オーフィスやガイアから二天龍と五大龍王のカラーを

聞いて知っているんだけど、―――どれも聞いた色に当てはまらない。だって、

いま龍門の輝きは―――深い緑、深緑だ


「来るぞ!」


ガイアが声を大きくして叫んだ。同時に神器、神滅具を所持している皆は禁手、または禁手化の状態に成った


「―――どうやら既にご存じのようですね。過去に深緑を司るドラゴンを」


銀色のローブの悪魔がそう言い放ち、龍門の魔方陣が輝きを一層に深くしてついに弾ける!


グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!


白い空間全てを震わせるほどの声量―――鳴き声とも言える咆哮が、そのものの大きな口から発せられた。

俺たちの眼前に出現したのは、曹操が言っていた特徴と一致していた。浅黒い鱗をした二本足で立つ巨大な

ドラゴン!太い手足、鋭い爪と牙と角、スケールが違い過ぎる両翼を広げ、長く大きい尾をしている。

―――巨人型のドラゴン!あんなドラゴンも過去に存在していたのか!?西洋と東洋の

ドラゴンしか見た事が無い俺には凄く


「すげー!」


つい、子供のようにはしゃいでしまった!


「―――伝説のドラゴン、『大罪の暴龍』グレンデル。ふふ、兵藤一誠は喜んでいるみたいですね」


当り前だろう!あんなドラゴンは見た事も聞いた事も無いんだ!感動するに決まっている!で、

巨大なドラゴンは牙の並ぶ口を開く。その銀色に輝く双眸と眼光は鋭く、

ギラギラと戦意と殺気に満ちていた。


『グハハハハハ。久方ぶりに龍門なんてものを潜ったぞ!さーて、俺の相手はどいつだ?いるんだろう?

俺好みのクソ強ぇ野郎がよぉっ!』


『大罪の暴龍』グレンデルの登場に俺たちは神経を集中する。何時でも戦闘に入れるようにする為だ。それに

しても見に纏うオーラは禍々しいな。見ているだけで邪悪さがうかがえるほどにドス黒いオーラをしていた。

匙の陰から人間サイズの黒い蛇―――ヴリトラが出現する。ヴリトラは目の輝きを濁らせながら、

驚きに包まれた声音を漏らす。


『・・・・・ッ!グレンデル・・・・・ッ!?・・・・・あり得ぬ。奴は暴虐の果てに

初代英雄ベオウルフによって完膚なきまでに滅ぼされた筈だ』


ヴリトラと俺たち、正確に俺とガイア、オーフィス、ヴァーリ、龍牙に視線を配らせる

『大罪の暴龍』グレンデル


『―――ッ!こいつはすげぇ!オーフィスとグレートレッド!しかも感じた事も無いドラゴンもいるし嫌な

ドラゴンもいるな!それと天龍、白いのか!ヴリトラもいやがる!なんだ。その格好は?』


と興味深そうに銀の双眸を細めるグレンデル


「二天龍はすでに滅ぼされ、神器に封印されていますよ」


悪魔の言葉を聞いてグレンデルは哄笑を上げる


『グハハハハハッ!んだよ、おめぇらもやられたのか!ざまぁねぇな!ざまぁねぇよ!なーにが、天龍だ!

滅びやがってよっ!まあだが、確かになぁ!目覚めにはかなり良い相手だ!何よりあのグレートレッドと

オーフィスがいる!こんな機械は滅多にねぇからなぁ!』


グレンデルはひとしきり笑ったあとに両翼を大きく広げて、体勢を低くする。うん、俺たちはドラゴンと

戦い慣れているから問題ないな


「―――なっ、あのドラゴンは一体何なんだ!?」


『―――っ!』


この場に新たな声が聞こえた。背後に振り返ると―――何故かグレモリー眷属がいた!


『おっ!天龍、赤いのか!グハハハハハッ!今日はついているぜ!真龍に龍神!二天龍に龍王!感じた事も

無いドラゴン!俺の相手に豪華過ぎるじゃねぇか!』


『―――ッ!グレンデルだと・・・・?どうなっている?こいつは俺よりもだいぶ前に滅ぼされたはずだ』


成神の左籠手の宝玉からドライグが驚きの声音を発した。まあ、誰でも驚くよな


『俺のように神器に魂を封じられていたようでもなさそうだ。・・・・・いったいどうやって

現世に甦った?』


『細けぇことはいいじゃねぇか。ようはよ、強ぇ俺がいて、強ぇお前等がいる。じゃあ、

ぶっ殺しあい開始じゃねぇかッッ!』


「一誠、奴はただ暴れることしか頭にない異常なドラゴンだ。・・・・・やるなら徹底的に倒すぞ。

微塵も情けをかけるな」


龍化になりながらガイアはそんな事を言った。ガイアの言葉を聞いてグレンデルは嬉しそうに言い放つ。


『言うじゃねぇか、言うじゃねぇかよッ!真龍なんて呼ばれやがってッ!ドラゴンに天も神も

真もねぇんだよッ!』


『暴れるしか能がない貴様を地に平伏させるのも一興か』


「―――徹底的に倒すのなら、こいつ等も戦わせておくか」


俺はさっきみた龍門を『三つ』展開した。魔方陣ではなく巨大な門だ。三つの門の扉が開くと

扉の中からゆっくりと何かが姿を現わした。


『なるほど、確かにこいつは徹底的に潰した方がいいドラゴンだな』


『今まで見たドラゴンの中で禍々しいオーラを発していますね』


『あははー!久々の現世で最初の遊び相手はキミかー!』


「「「「「「「「「「―――っ!?」」」」」」」」」」


ソーナと椿姫以外のシトリー眷属と小猫、ゼノヴィア、ロスヴァイセ、イリナ以外のグレモリー眷属、

英雄派が三匹の中の一匹のドラゴンを見て目を大きく見開き開いた口が塞がらなかった


『おいおい!何なんだ!?みたこともねぇドラゴンだな!しかも超強そうだ!』


「自己紹介をしてやれ」


俺が三匹の龍にそう言うと凶暴で獰猛そうなドラゴンが口を開いた


『幻想を司るドラゴン『幻想喰龍』ゾラード』


『創造を司るドラゴン『無限創造龍神』メリア』


『僕は「龍喰者」サマエル!最強の龍殺しだよー!』


「ヴァーリ!龍化だ!」


「―――我、目覚めるは」


『さあ、行こう!』 『行くぞ!』


「神に認められし二天龍なり」


『我等は、神に認められし天龍!』 『そして、白龍皇なり!』


「無限と共に生き夢幻と共に歩み」


『友と共に歩み!』 『友の敵を屠る為に!』


「我、無垢なる真なる白龍神皇と成りて」


『我等は、真なる力を持って!』


「「「「「「「「「「汝を白銀の光輝で鎮めよう」」」」」」」」」」


『白銀の極光龍変化!!!!!』


カアアアアアアアアアアアアアアッ!


俺がヴァーリに指示するとあいつは呪文を唱え青い宝玉が身体中にある白い龍へと姿を変えた。―――更に!


「ガイア!オーフィス!呪文だ!」


『―――我、無限を認め』


「我、夢幻を無止め」


『我等は認めし者と共に生き』


「我等は認めし者と共に歩む」


ガイアとオーフィスが全身を深紅と黒に輝かせ、光の奔流と化して俺に向かう。そして、真紅と黒の光を

浴びた俺は彼女たちと呪文を唱える


「我、夢幻を司る真龍と無限を司る龍神に認められし者」


『我、認めし者と夢幻の力で汝を誘い』


「我、認めし者と無限の力で汝を葬り」


「我、愛すべき真龍と龍神と共に真なる神の龍と成りて」


『『『汝を我等の力で救済しよう!』』』


『『『D×D!』』』


俺も呪文を唱えて『不死龍の鎧』とは別の鎧を着込んだ


『―――たまんねぇ・・・・・!たまんねぇよ・・・・・!』


グレンデルが歓喜に極まって身体を振るわせ始めた


『最高じゃねぇかよぉおおおおおおおおおおおおおっ!お前等ぁあああああああああああああ

あああああああああああああああ!』


「行くぞ!暴龍グレンデル!真龍と龍神の力を融合したこの力を味わえ!」


『上等じゃねぇか!』


俺はドラゴンの両翼を広げて、前方に飛び出していく!高速で真正面から飛び込んでいく。それを見て

グレンデルは愉快そうに笑んだ。


『おほっ!いいじゃねぇかよぉぉぉ!真っ正面からかっ!そうそう、そういうのでいいんだ!』


グレンデルの巨大な拳が俺に飛んでくる!俺も拳を前に思いきり突き出してあいつの拳と直撃する


ドゴオオオッ!


『グハハハハハッ!いいじゃねぇか!伊達にグレートレッドとオーフィスの力を鎧に具現化した訳

じゃなさそうだなぁ!俺の拳を受け止めた奴は生まれて初めてだ!』


「まだまだこんなもんじゃない!お前もそうだろう!」


『おうよ!もっと楽しもうや!戦いを!殺し合いをぉおおおおおおおおお!』


巨大な身体のくせにこいつはもの凄い速さで拳を次々と突き出していく!俺もそれに応えて拳を突き出して

グレンデルと殴り合う!拳が一瞬だけ停まったところを視界に

入れると直ぐに前に飛び出してグレンデルの懐に入り


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


超一撃の拳を突き出した


『ぐおっ!?』


グレンデルの巨大な身体が後方に吹っ飛んでいった。俺もグレンデルに追いかけて追撃に入る。だが、

魔力での攻撃は一切使えない。脳裏にソーナの言葉を思い出して俺はグレンデルの尾を掴んだ。そして―――


『―――?』


「そーら!」


『おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?』


俺を中心にその場でグルグルと駒のように回転してグレンデルを振り回した


「お前等!そっちに放り投げるぞぉ!」


ドッヒュンッ!


ヴァーリ達がいる方向に尾を放して放り投げた!俺ももう一度グレンデルに追う


『一斉攻撃だ!』


俺の視界にヴァーリ達が一斉に自分に飛んでくるグレンデルに攻撃をした


『流石にその攻撃を受けたら俺はヤバいな!』


が、途中でグレンデルが体勢を立て直して上に逃げた!げっ!まずい!


「『停止世界の邪眼』!」


瞳を煌めかせてヴァーリ達の攻撃を停めた。危ねぇ!


『グハハハハッ!最高じゃねぇかよ、今の時代は!いい時代だ!―――今度はお前ぇらだ!』


もの凄い速さでグレンデルはヴァーリ達に向かって行った!


「ドラゴンだから少し本気でいくよ!」


和樹が幾重の巨大な魔方陣を展開してそこから大きな氷の槍を撃ち出していく


『おうおう!そんな事も出来る奴もいるのかよ!楽しいなぁ!』


ドガガガガガガッ!


グレンデルはスピードを落とさず氷の槍を拳や足、尾で粉砕していく。何て奴だ、少しだけでも和樹の

本気は並大抵の奴らじゃあ敵わない力だぞ、おい


「ヴァルキュリーの力を味わえ!」


ドオオオオオオオオオオオオオオッ!


全身から青白い炎を巻き上げてセルベリア専用の槍をグレンデルに突き付けると

奔流と化となった青白い炎がグレンデルに向かった


『青い炎!?珍しい炎を使うじゃねえか!』


『『食らえ!』』


『そっちがそうならこっちもこれだぁ!』


ゾラードとメリアも光の柱のような攻撃ではなく巨大な火球を吐きだし対してグレンデルは腹を膨張させたと

思えば口から巨大な火炎球を吐きだした!タンニーンより何倍もある火球だな!グレンデルとセルベリア、

メリア、ゾラードの攻撃が直撃して相殺した。威力を抑えているようだな・・・・・


『今度は僕が相手だぁー!』


『げっ、なんかお前と戦うのは嫌なんだよなぁー』


『あははー!遊ぼうよー!』


サマエルの下半身の尾がグレンデルに伸びていった。その尾を逆にグレンデルは掴んで


『さっきの仕返しだぁぁぁあああああああああああああああ!』


『わああああああああああああああああああ!?』


さっき俺がやったようにサマエルを振り回した!


『返すぜぇ!おらぁ!』


『み、皆!避けてぇー!』


グレンデルが尾を離すともの凄い速さでサマエルがヴァーリ達に向かった!


「―――くっ!」


瞬時でサマエルに近づいて地面にぶつかる寸前に受け止めた。―――だが


「―――っ」


サマエルから発する龍殺しのオーラが俺の身体にまとわりついてジワジワと蝕んできやがる・・・・・!

―――がはっ!・・・・・血が出たか・・・・・


『一誠、直ぐにサマエルから離れろ!いくらお前でもサマエルの毒は危険だ!』


『イッセー!』


『イッセー!僕はもう大丈夫だから離れて!』


「ぐっ・・・・!はっ・・・・・!ゾラードたちと一緒にいるからかサマエルの毒が影響しないと

思ったんだが・・・・・」


やっ、やっぱ、龍殺しってかなりキツイな・・・・・!


『おいおい、大丈夫かよ?一気に力が弱まったぞ?』


「・・・・・ふぅ、ああ、もう大丈夫だ。―――続けようか」


『そうこなくっちゃな!いっくぜぇ!』


嬉々としてグレンデルが突貫して来た。音速より速くグレンデルの顔面に向かって拳を突き出す!


ドゴンッ!


と拳と拳のぶつかった音が白い空間に響き渡った


『我等も相手をしてもらうぞ!』


『さっきのようにはいかないよ!』


『覚悟!』


『俺たちも忘れては困る!』


「一誠たちだけ戦わせるのはごめんよ!」


「あの時の屈辱を晴らしてやるぜ!」


「私たちも戦います!」


皆がグレンデルに攻撃をしながら向かってくる!


『グハハハハハッ!最高だッ!俺の心が最高に震えているぜ!こんな殺し合いは初めてだ!来いッ!

ドンドン来いよッ!もっと戦いを!殺し合いを!しようぜぇぇぇえええええええええ!』


「―――いえ、もうそこまでですよ」


突如、龍門が開いて陣が深緑色の発光を発した。ヴァーリたちも龍門が開いた事に途中で停まった。

あの悪魔か、グレンデルはもの凄く不満そうな叫びを発した


『はあっ!?止めんなよ止めんなよッ!こっからだ、こっから!ぶっ殺しってやつぁょッ!まずはお互い

最高にハイになるのをぶっ放してからが本番よッ!潰し合いをやらせてくれよッ!せっかく、あの時の無念を

晴らせるんだッ!今度こそ思う存分、思うがままにいろんなもんを喰らって、喰らわれて、壊して、

壊されて、ぶっ殺すんだよッ!』 


「―――また、骸と化したいのですか?あなたはまだ調整段階なのです。これ以上無理をすれば・・・・・」


それを聞いた途端にグレンデルは舌打ちして大人しくなった


『・・・・・チッ、ったく、敵わねぇな。それを盾にされたらよ。止めるしかあんめぇよ』


あのドラゴンが言う事を聞いた・・・・・?『骸』、『調整段階』・・・・・、つまりまだこいつは

完全じゃないってことなのか?あれだけの力を保有しているドラゴンが未だ、

完全に復活していないって事かよ・・・・・。グレンデルが俺に指を突ける


『人間、オーフィス、グレートレッド、クソのアルビオンとドライグ、根暗のヴリトラ、それと訳分からねえ

三匹のドラゴンに誰だか知らねえドラゴン、おまえらとの遊びはお開きだ。次だ、次。次はあれだ。殺すよ。

俺が全部まとめて殺すからな?グハハハハッ!今日は楽しかったぜ!また殺し合おう!』


それを言った最後に光はグレンデルを包み込んでいく。光が止むと―――そこにグレンデルの姿は無かった。

それを確認して、ローブの悪魔はフードを取り払った。そこにあったのは銀髪の青年―――。

だが、その青年の顔にはどことなく覚えがあった。―――いや、かなりある。

ルシファー眷属の『女王』とそっくりだ。銀髪の男は言う


「私はルキフグス。ユーグリット・ルキフグスです」


『―――っ!』


グレイフィアと同じルキフグス!じゃあ、こいつはグレイフィアの親族か!?


「あんたが、ボスってわけじゃないんだろう?じゃあ、一体誰が『禍の団』の残党をまとめ

あげたっていうんだ!?」


匙が訊く。悪魔は―――ユーグリットは目元を細めるだけだった。


「『禍の団』現トップの正体はいずれわかりますよ」


ユーグリットの言葉を聞いてソーナは何かを得心した。


「・・・・・なるほど、イッセーの言う通りでしたね。この町に進入し、魔法使いを招き入れたのは

あなたですね?グレイフィアさまと同質のオーラを有するものであれば、結界をと通過できても

おかしくはないのかもしれません」


それを聞いてユーグリットは冷淡な声音に成る


「姉に、グレモリー眷属の従僕に成り下がったグレイフィア・ルキフグスに伝えておいてください。

―――あなたがルキフグスの役目を放棄して自由に生きるのであれば、私にもその権利はある、と」


―――やはり、そうだったか。ユーグリットは転移の魔法陣に消えていった。―――と、同時に

このフィールドの端々が役目を終えたように崩れ出していく。ピースが欠けていくように空間が

崩壊をはじめ、次元の狭間特有の万華鏡の中身みたいな景色が見えだしていた。もう、ここは保たない


「・・・・・くそっ」


鎧が解かれてガイアとオーフィスが現れると俺は地面に倒れた。


「一誠!」


「イッセー!」


「・・・・・気持ち悪い上に身体が動けない・・・・・がはっ!」


咳き込むと口から大量の血が出た


「―――ソーナ!貴様は眷属とドライグたちとこの空間から脱出しろ!我はこのまま次元の狭間に戻り、

家に向かう!華佗も呼べ!」


「わっ、分かりました!」


『メリア!サマエル!主の中に戻るぞ!中から治癒する!』


『解っています!』


『イッセー!ごめんね!』


ゾラードたちは光の球体と化になると俺の体の中に入ってきた。


「一誠、もう少しだけ待っていろ!ソーナ達が華佗を連れて来てくれる!」


「・・・・・ゾラードたちが中に戻ってくれたお陰で毒が無くなっていく感じがする。―――その前に」


「なんだ!」


「・・・・・フェニックスのクローンを・・・・・」


「ああ、大丈夫だ。ソーナ達に言っておく。だからお前は安心して寝ていろ」


「・・・・・分かった、そうさせてもらう」


ガイアの微笑んだ顔を見ながら俺は意識を落として深い眠りに入った。その後の記憶は一切無かった。

-163-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




ハイスクールD×D 13【BD付限定版】 イッセーSOS (単行本)
新品 \0
中古 \9915
(参考価格:\4725)