小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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WIZARD





「七海。あいつら、今頃何処にいるんだろうな?」


「以前はギリシャと言っていましたね。何でもオーディンと再会したそうで」


「一誠君に渡した『時空と次元の航路』を貰ってからは移動が便利になったから何処にでも行けてしまう。

冒険、旅が好きなあいつにとっては欠かせないものだろう」


「逆に一誠くんは大丈夫なのでしょうか、あの力を失って戦いに支障が無いのかしら?」


「ああ、その事で和樹に聞いたら―――」


『―――うん、その事なら大丈夫だよ。一誠が持っている神器、「強奪」の能力であの能力を

奪っているから戦いには支障はないよ』


「と、そう言っていた」


「そう、あの子も元気そうで何より・・・・・」


「一誠君なら我が子を任せられる」


「あなた、その言い方では娘の結婚を認めるような言い方ですよ?」


「むっ、そうか。言葉使いには気を付けよう。だが、俺は心からそう思っている。

純粋で優しい一誠くんなら親の目から離れている和樹をより良い方向に成長させてくれると」


「ふふ、そうですね」


「―――さて、どうやってこの『場所』に気づいたのか聞いてみないといけないな」


「ええ、私たちの家を囲む『魔法使い』たちにね」



―――駒王学園



「「くしゅんっ!」」


「風邪ですか?」


「・・・・・いや、誰かに噂されたような」


「うん、同じく」


「まあ、二人は人気者ですからね」


「微笑みながら言う龍牙も人気者だよね?」


「はは、いやー、人気者は辛いですよ」


「今のセリフで世界中に存在するモテない男達を敵に回したな」


「口は災いの元、怖いね」


「本当にね」


キーンコーンカーンコーン


「鐘が成ったな」


「それじゃあ、席に座りましょう」


「そう言っても僕達は既に座っているけどさ」


HRが始まる予鈴が成りクラスメート達が席に座りだす。少しして担任の先生が教室に入ってきた


「あー、お前等、欠席を取る前に言わねばならない事がある。―――このクラスに

『また』転入生が入る事になった」


「・・・・・『また』、ですか?」


「ああ、『また』だ。二度あれば三度あるってこの事だな。それじゃあ、転入生さん

―――いらっしゃーい!」


「「「「「「「「「「いらっしゃーい!」」」」」」」」」」


「うん、相変わらず此処のクラスはノリがいいね。ついていけないけど」


「「「同感」」」


というか、この魔力はあいつじゃないか。何であいつが学校にくるんだ―――


ガラッ!


「自己紹介をお願いしますっ!」


「俺は―――ヴァーリ・ルシファー。訳あってこの学校に転入してきた。よろしくお願いします」


「白龍皇」「白い龍」アルビオンの魂を宿しているダークカラーが強い銀髪の男、

ヴァーリ・ルシファーが現れた。


「「「「「「「「「「きゃああああああっ!」」」」」」」」」」


「兵藤くん、神城くん以外にもカッコいい男子が転入してきたわぁぁあああああああああっ!」 


「神様、ありがとうございます!」


「このクラスで良かったわぁ!」


「バラ色の人生が私を待っている!」


「えー、欠席を取る必要性が無いからHRはヴァーリの質問会だ」


担任の一言に俺は最初にこのクラスに転入した光景を思い出した。同じくこのクラスに転入してきた

龍牙に視線を向けると何もしていないのに疲労した表情を浮かばせていた


「先生!最高!」


「感謝感激です!」


「(ヴァーリ、頑張れよ)」


「(どう言う意味だ?)」


「(お前がどうして此処に来たのかは知らないが、このクラスの女子は一味違うからな)」


「(修行と鍛練をするより精神と体力を使いますから気を付けて下さい)」


「(何気に鋭いところを突かれる時もあるからさり気無く話を反らしてね?)」


「(・・・・・解った)」


「それじゃあ、質問会を始めろ!」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――昼休み



「おい、一緒に屋上で昼を食べないか?」


「ああ、一緒に食べよう」


「えー、ヴァーリくん。もっとお話をしようよ」


「すまないな、久々に会う友達とゆっくり話をしたいんだ」


「嘘っ!兵藤くんと友達だったの!?」


「ああ、昔からの友達だ」


「そっか、それじゃあしょうがないわね」


「また話しかけるからねー!」


そう言ってヴァーリに質問をしていた女子達が離れていった


「で、感想は?」


「・・・・・疲れた」


「ふふ、新たな仲間ができました」


「それじゃあ屋上に行こっか」


和樹の言葉に頷き俺達は屋上に赴く。


「それで、どうしてお前は学校に来たんだ?」


「俺もこの学校にいれば戦えると思ってな。ガイアには一応、許可を貰って転入してきた」


「戦闘狂ね。でも、この学校は何度か戦場に成った事もあるからまたそうなる可能性もあるのよね」


「―――それと、和樹。お前に言わねばならない事がある。それが転入してきた本来の理由だ」


ガチャッと屋上に入る扉を俺が開けるとヴァーリの声音が変わった。


「何か・・・・・あったの?」


「―――世界一の魔術師の家系、式森家の当主とその妻が何者かに連れ去られたそうだ」


「―――っ」


「和馬さんと七海さんが・・・・・連れ去られた!?」


俺と和樹はヴァーリが発した言葉に目を見開かして衝撃を受けた!あの二人も和樹に負けないぐらい

強い筈だ。和樹の両親であり師匠。そんな二人が一体どうやって倒されて連れ去られたというんだ!?


「・・・・・ヴァーリ、その情報はどうやって知ったの」


「緊急連絡を送られて来たんだ。お前のメイドのシンシアにな」


「シンシアに・・・・・」


「少し前の事だった。お前達が学校に行って数十分後、シンシアに連絡があったんだ。それで、俺達は直ぐに

お前の実家である式森家に向かった。だが、式森家は戦った形跡だけ残っているだけでお前の家族を

発見する事はなかった」


「・・・・・」


ギュッと手を握り締めて怒りを押さえ込む和樹に俺は「誰がやったのか解ったのか?」と問うと

ヴァーリはコクリと首を縦に振った


「魔力反応が確認されている。アスモデウス、スカリエッティ、ダンタリオン、プレシアも戦った後の

形跡を調べてもらった。相手は―――和樹、お前と同じ魔法使いだ」


「―――っ!?」


「それもかなりの数だったようだ。流石にお前の両親は数に負けた、あるいは隙を突かれ倒された、

もしくはお前の両親が負けるほどの力を持った魔法使いがいると予想されている」


「・・・・・僕の家族を狙った犯行だというのか」


「それと、家は荒らされた形跡もあった。―――地下に続く地下通路も開いた状態でな」


ヴァーリが「地下通路」と言った瞬間に和樹はヴァーリの胸倉を強く掴んで荒げた声音を吐いた


「地下通路!?まさか、地下にある魔導書までも盗まれたというのか!?」


「ああ、本棚らしき物があったが、そこに収まっていただろう物が一切なく成っていた」


「馬鹿な・・・・・」


和樹は愕然とした表情でその場に座り込んだ


「―――あれは代々、式森家が守っていた魔導書でもあり、式森家が誕生してからの歴史の書でもあるんだ。

先祖代々が独自で構築した魔法、魔術、魔導もあれば、他の魔法使いから学んだ魔法、魔術、魔導を

記した書もある。先祖達が未来の式森家の為に努力して残した結晶とも言える物を他の魔法使い達に盗まれる

なんて・・・・・っ!」


「魔法使いの狙いはそれだろうな。お前の両親を連れ去ったのはその魔導書について

吐き出させる為でもあるかもしれない」


「・・・・・全部、全部盗まれたんだね?」


「・・・・・?ああ、全部なくなっていた」


「じゃあ、まだ全部は盗まれていないんだね」


「和樹さん、全部って全部ですよね?」


「いや、ヴァ―ルが言った全部って言うのは本棚に収まっていた書の事。僕が言っているのは

―――さらに地下にある禁忌の書庫の事だ」


「禁忌・・・・・?」


「和樹、式森家の歴史とも言える魔導書が全て盗まれたんだぞ?そっちの方が貴重で

重要なんじゃないのか?」


「表と裏って便利だよね。表にある魔導書は全部―――複製された魔導書だよ」


和樹の言葉に俺は怪訝な表情を浮かべた。複製された魔導書?だけど、それは元からさらにコピーした

魔導書だと変わらない。なのに、どうして安心しきっているんだ?


「そして、裏にある魔導書は正真正銘の式森家の歴史とも言える魔導書ばかりなんだ。そっちの方が

貴重で重要なんだ」


「えっ、ですが和樹さん?表にある複製された魔導書でも魔法使い達が強く成る力が

記されているんじゃあ・・・・・」


「まあ、確かに魔法使いが強くなれる力を記した魔導書が殆どだけど―――無理だね」


不敵に笑みを浮かべる和樹。式森家と魔導書、和樹は式森家の次期当主。

無限に等しい魔力を・・・・・魔力?


「和樹、もしかすると式森家だけ扱える魔導書しかないのか?魔導書の殆どは普通の魔法使いが

持つ魔力じゃあ足りないほどの力がある魔導書が」


「流石だね、一誠。うん、その通りなんだ。殆どの魔導書は無限に等しい魔力を持つ魔法使いしか扱えない

魔導書ばかり。でも、お父さんとお母さんを連れ去られたのは痛いけどそれでも大丈夫だ」


「どうして?魔法で操り人形でもされたら一巻の終わりよ」


「あの二人はね?似た二つ名があるんだ。しかも、奇遇な事にお父さんとお母さんの能力は

魔法使い達にとっては天敵の能力を持っている」


「二つ名と能力?」


「お父さんはウィザードキラー。お母さんはウィッチキラー。二人共、魔法使いが持っている

魔力を利用して倒す魔術師なんだ」


「一体どうやって倒すんだ?」


「簡単だよ。―――魔法使いの身体に流れている魔力を暴発させるんだ」


「ぼ、暴発・・・・・」


あの二人にそんな恐ろしい力があるなんてな・・・・・魔法使いには限らず、魔力を持っている

悪魔、天使、堕天使。他にも魔力を持っている種族にでも有効なんじゃあ・・・・・


「うん、魔力を爆発に変える能力だと言った方が解りやすいかな?」


「・・・・・確かに魔法使い達にとっては天敵の能力だな。だけど、それだったら圧倒的に和馬さん達が

有利なんじゃないのか?」


「うん、その筈なんだけど・・・・・逆に言えば魔力が無い人間には通用しないんだ」


「つまり、魔力が無い人間に倒された?」


「それか、これは有り得ないけど、魔力でお父さん達に勝ったと思っても良いかもしれない」


「はっ?魔力が爆発するのにか?」


「お父さん達に勝てる人間は絞られるんだ。神器と神滅具の所持者、お父さん達のような能力を持つ人間。

この二つだね」


「前者はともかく、後者はいるんですか?」


「解らない。いたら僕も流石に苦戦するよ。無限に等しい魔力をこの体に流しているんだからね」


「最悪、爆発して木端微塵に成りかねないわね」


うわっ、それは嫌だなぁ・・・・・


「取り敢えず、これから僕は実家の式森家に戻るよ」


「おい、学校はどうするんだ?それに、俺も手伝―――」


「一誠、今回ばかりはキミの力はいらない。―――僕は1人の魔術師として、僕の家族を連れ去った

魔法使い達を探し出して家族を救出する」


和樹が移動用魔方陣を足下に展開して俺達の目の前から消えた!


「・・・・・世界一の魔術師の誇りを賭けて家族を救済するつもりか」


「どうするのだ?」


「決まっているだろう?和樹は俺達の家族だ。和樹の家族も俺達の家族。俺達も和樹の両親を連れ去った

魔法使いどもの居場所を探し出すぞ。―――あの人達も知らせてな」

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