小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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千の魔法を使う龍



―――上空に4つの影がもの凄い速さで飛んでいる。一つは巨躯の体に背に巨大な翼、三つの頭がある

ドラゴンと三人の人間がそのドラゴンを追い掛けていた。


「長い間、幽閉されている割には速いな!」


「アルビオン。グレンデルとは違う邪龍だが、あのドラゴンはどこが面倒なんだ?」


『千の魔法を使う事と身体を傷つけるとそこから邪悪な生き物が這いずり出てくる事だ』


「千の魔法・・・・・魔法使いのような術式なのですか?」


『ああ、それにグレンデルは暴れる事が好きなドラゴンならアジ・ダハーカはあらゆる悪の根源を

成すものとして恐れられた。―――グレンデルより強い事なのは確かだ』


「―――取り敢えず、動きを封じてみるか!『停止世界の邪眼』!」


アルビオンの言葉を聞きギャスパーの能力を発動する。アジ・ダハーカの翼が停まり、

あのドラゴンは地上に落下して行った。


『小癪なぁ!』


三つの口から灼熱の炎や毒を吐きだしてきた!


『Half Dimension!』


ヴァーリが手のひらと突き出して炎と毒を半分、また半分に減らし消失させた。禁手化の状態に

成らなくてもその技が発動できるようになった。


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


アジ・ダハーカは大地に墜落した。その様子を俺達は空に浮かびながら視界に入れる


『俺の邪魔をするな!アルビオン!』


『お前が暴れ出すとこっちも困るのでな、邪魔をさせてもらうぞ』


『なら、お前の宿主ごと食らってやる!』


一つの首がヴァーリに向かって行った。視線を送ると首を横に振った。手を出すな・・・・・か。

手を突き出したヴァーリは魔力を放った


ドオオオオンッ!


『その程度の魔力など効かないぞ!』


「おっと」


ガキンッ!と牙と牙がぶつかった音が聞こえる。ヴァーリは軽やかに避けて直ぐに顎を下から殴った。

―――同時に


『Divide!』


『ぐっ!』


アジ・ダハーカの力が10秒間毎に半分に減ってしまう事に成った。


「俺の能力の前にお前は負ける。いかに邪龍だろうとも力を半分にされたら堪ったものではないだろう?」


『おのれ!これを食らうがいい!』


―――アジ・ダハーカの周囲に膨大な数の魔方陣が展開した。

・・・・・こんな数の魔法陣は見た事ない・・・・・!


『千の魔法を操る俺が負けるなど有り得ないのだ!』


バババババババババッ!


全ての属性や白、黒魔法、西洋、東洋、北欧など他にも見た事もない魔術式の攻撃が俺達に降り注いできた!


「―――我、目覚めるは」


『さあ、行こう!』 『行くぞ!』


「神に認められし二天龍なり」


『我等は、神に認められし天龍!』 『そして、白龍皇なり!』


「無限と共に生き夢幻と共に歩み」


『友と共に歩み!』 『友の敵を屠る為に!』


「我、無垢なる真なる白龍神皇と成りて」


『我等は、真なる力を持って!』


「「「「「「「「「「汝を白銀の光輝で鎮めよう」」」」」」」」」」


『白銀の極光龍変化!!!!!』


ヴァーリが呪文を唱え終わった瞬間に膨大な光が発生してヴァーリを包み、光が収まると青い宝玉が

身体中にある白いドラゴンへと姿を変えていた。


『無力!』


グバババババババババババンッ!


千の魔法が一瞬にして俺達の前から消失した。


『なっ・・・・・!』


『お前の体を傷つけると面倒だとアルビオンから聞いているからな。お前を傷つけずに勝たせてもらうぞ』


『Divide!』


『ぐっ・・・・・!』


『無力』


力が半分に成る効果が発動してアジ・ダハーカから感じるオーラが弱く成り、ヴァーリがダメ押しに無力の

能力を発動し、あのドラゴンの全ての力を奪い去った。


『この・・・・・俺が・・・・・!』


雪の野原に倒れ込みながらアジ・ダハーカは恨めしそうにヴァーリを睨んだ。もう、起き上がる力も無いようだった。


『幽幻龍騎士団に属してから俺は強く成ってきているな。邪龍を簡単に倒してしまったぞ』


「お前の能力がチートなんだよ。触れた相手の力を10秒毎に減っていくなんて面倒だぞ」


『俺から言わせればお前の方がチートだろう?力を全て無効化させる能力の方がチートだぞ』


パチンと指を鳴らし、アジ・ダハーカの周りに結界を張る。念のために魔力での攻撃が

できないようにする為だ。


「一誠さん、このドラゴンをどうします?」


『殺すか?』


「いや、どうやって殺すんだよ?首を斬り落とした瞬間に邪悪な生き物が大量に這いずり出てきたら嫌だぞ」


「ではどうする?」


「んー、取り敢えず和樹達の所に戻ろう」


『一誠!』


「丁度、ガイア達も来たしさ」


上空に巨大な穴が開き万華鏡のような空間を覗かせて真紅の身体を持つ巨大なドラゴンと大勢の人物達が

俺達に向かってきたのを視界に入れながらヴァーリの問いに答えた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「アジ・ダハーカ。懐かしい」


『オーフィス・・・・・。まさか、お前と再会するとはな・・・・・』


『まさかアジ・ダハーカがこんな山の地下深く幽閉されていたとはな』


『グレンデルも驚いたがまさか、アジ・ダハーカが生存しているとは・・・・・』


『グレートレッドにヴリトラ・・・・・今日は懐かしいドラゴンが良く出会う』


『おい、さっきから俺もいるのにどうして名を呼ばない』


『・・・・・誰だ?』


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!』


真龍、龍神、龍王が身体中に縛られている邪龍と会話をしていた。


『へー、頭が三つのドラゴンなんて初めて見たよ』


『色々なドラゴンがいるんですね』


『東洋と西洋の身体以外にも特徴的なドラゴンを見ると面白いな』


サマエル、メリア、ゾラードが現世に出てアジ・ダハーカをジロジロと珍しそうに見つめていた。


『そいつから発する嫌なオーラを感じる・・・・・』


『僕の名前はサマエルだよ。究極の龍殺しとも言われているんだ』


『・・・・・なるほどな、だから嫌なオーラを感じる訳だ』


『我等はそんなオーラを感じませんね?』


『そうだな』


『それはお前達が常にいたからでは?』


『俺もサマエルから発するオーラに恐怖を抱いているぞ』


「我、感じない」


『我もそうだな』


と、ワイワイとドラゴン同士が話し合う最中、人間の俺達はと言うと


「さっきまで戦っていたドラゴンなのに素直だね」


「周りが敵だらけで自分より力があるドラゴンがいるからじゃない?」


「三つの頭を持つドラゴン・・・・・珍しいですね」


「話によるとアンラ・マンユって悪神である創造神が生みだした邪龍だそうだ」


「悪神なのに創造神?」


「不思議だろう?俺も未だに不思議に感じているんだよ」


アジ・ダハーカを見ながら俺はそう言う。不意にあいつはアスモデウスを見ると目を見開かす


『・・・・・アエーシュマ・・・・・か?』


「っ!?」


アスモデウスの身体が跳ね上がった。・・・・・そういえば、アジ・ダハーカと目線を合わないようにして

いたり姿を隠すように誰かの背後にさりげなくいたな・・・・・?


『ははっ!何だよおい、懐かしいな!アエーシュマ!―――まさか、こうして再び会えるとは!』


嬉々としてアスモデウスに顔を近づけてまるで昔の友達に会ったかのような態度で言った。


「ちょっと、アスモデウスはアエーシュマじゃないわよ」


「そうだよ!アスモデウスはアスモデウスだよ!」


「誰かと勘違いしているのではないか?」


ルシファー、レヴィアタン、ベルゼブブがそう言うがアジ・ダハーカは続ける


『いや、間違いない。姿が大分変っているがあの時感じた魂が同じだ。お前等が言うアスモデウスは

アンラ・マンユさまの配下、ダエーワの一人、アエーシュマなのだ!』


アジ・ダハーカの言葉に俺達は衝撃を受けた。アスモデウスを見ると顔を俯いたまま俺達の視線から逃れる

ように・・・・・あのドラゴンの言った通りだと彼女の態度で分かった。さらにアジ・ダハーカは続ける


『それに貴様も懐かしいなヴェンディダードの6大魔王の一人、サルワ』


「・・・・・」


「おい、シヴァもダエーワ・・・・・アンラ・マンユの仲間だと言いたいのか?」


シヴァにも懐かしそうに声を掛けるアジ・ダハーカに俺は嫌な予感をする。


『その通りだ。サルワとアエーシュマはスプンタ・マンユに対抗する仲間だ。

揃いも揃って一緒にいるとは偶然だな!』


「シヴァ・・・・・アスモデウス」


「・・・・・ごめんなさい。そいつが言っている事は―――全て本当のこと」


「隠すつもりもなかった。でも、今が幸せ過ぎて言うのが怖く成った・・・・・」


2人の口から肯定の言葉が発せられた。・・・・・2人の過去にそんな事が・・・・・。長年、

付き添っていたルシファー達も信じられないものを見る目でアスモデウス見ていた。


『2人に聞こう。アンラ・マンユさまはどうなっている。生きているのか?』


「「・・・・・」」


『言い辛いのか?それとも死んでいるのか?』


「・・・・・分からない。それだけは事実」


シヴァがそう言うとアジ・ダハーカはアスモデウスにも視線を送るとコクリと頷くだけだった。


『ふん、そうか。しかし、お前等は大分変っているな。あの頃のお前達は―――』


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


『ぐっ!?』


「もう。それ以上は言わないでくれないかしら?」


「今の彼女はアエーシュマじゃない。―――私達の親友アスモデウスだ!」


「私達の前でアスモデウスの事をアエーシュマなんて言わないで!」


アジ・ダハーカに魔力弾を放った三人、ルシファーとベルゼブブ、レヴィアタンが怒りを露わにしていた。


「皆・・・・・」


「そうだな・・・・・」


「一誠・・・・・?」


俺はシヴァの肩を抱きしめながら真っ直ぐ言う。ああ、彼女は彼女だ。昔、何をしていたのかは知らないけど

今を生きているのは破壊神シヴァ。俺の姉で仲間であり家族であり愛しい女だ。

それはアスモデウスも変わりはない!


「今の彼女はサルワじゃない。破壊神シヴァだ!アスモデウスもアエーシュマじゃなくアスモデウスだ!

アジ・ダハーカ、かつてはお前の仲間だったんだろうが今は俺達の仲間だ!家族だ!」


『・・・・・』


「仮にお前がこの場から脱出してこいつらを連れて行こうとするのなら―――俺は躊躇わずお前を殺すぞ」


殺気を目の前にいるドラゴンに向ける。


『・・・・・ふん』


いきなり鼻で笑った。


『そのようだな、俺が知るサルワとアエーシュマはそんな腑抜けた奴ではなかった。

俺の「勘違い」のようだな』


「「っ!?」」


アスモデウスとシヴァが目を見開く。かつての自分を知る唯一の仲間が「勘違い」だと嘘を言ったからだ。


『さてと、俺は此処から逃げたいが』


『させないよ?』


ガシッ!とサマエルが身体中に縛られているアジ・ダハーカを掴み蛇の尾を身体に巻きつけて逃がさないと

いうばかりに拘束した。さらに周りはゾラード達が警戒し何時でも臨戦態勢にできるよう構えている


『・・・・・この状態では流石の俺も今回ばかりは死ぬだろう。かつての人間ができなかった事がお前等の

手によって殺されかけない。・・・・・そこの人間』


「俺か?」


『ああ、俺は死にたくないのでな。―――お前に下って生き延びる選択をする』


アジ・ダハーカの言葉に俺達は驚愕の色を染めた。あの邪龍が自ら俺達に下ると言った。てっきり暴れ出して

逃げ延びるのだと思っていたんだけど・・・・・。でも、


「ああ、いいぞ」


「「「「「「「「「「あっさり仲間にしたぁ!?」」」」」」」」」」


まあ、驚くのは分かるけどこいつを殺したら禍の団の新勢力が甦らせそうで強く成ったら困るしさ?

それなら封印するか俺達の仲間にした方が有効的じゃない?


「い、一誠!それ本気で言っているの!?」


「邪龍ですよ!?グレンデルのような邪龍ですよ!?」


『おい、あの暴れ回るしか能にない暴龍と一緒にするな。俺はスプンタ・マンユが創造した世界の

人間と獣を喰らう事が好きなだけだ』


「じゃあ、大食いの龍っスね」


ウェンディがそう零すとギロリとアジ・ダハーカは六つの目で彼女に睨んだ。


「こ、怖いッス!」


「だからって俺の背中に隠れるなよ」


「イッセー、どうして邪龍をそんなあっさりと仲間に入れるの?」


「仮に俺達がこいつを殺したら『禍の団』が何らかの方法でグレンデルのように甦らせると思うからだ。

なら、封印するか仲間にするかの二つの選択に絞られる」


「あっ、なるほど・・・・・また敵と成るかもしれないし千の魔法を使う龍なんて珍しいから力が

ある敵なら誰でも欲しがるよ。だからはぐれ魔法使い達も接触したんだ」


和樹が手を叩き納得した。俺は頷いて肯定する。


「ああ、そう言う訳だ。皆、納得してくれたか?」


「納得はした。だが、こいつをこのままにしておくのか?」


信長がアジ・ダハーカを見ながら問い掛けてきた。俺は首を横に振り否定する。


「いや、仲間にしたからってまだ自由にさせる気はない。しばらくはゾラードたちと

一緒に俺の中に入ってもらう」


『ちっ、また俺を閉じ込める気か』


忌々しそうに舌打ちして俺を睨む。・・・・・しょうがないだろう。


「お前の立場が悪過ぎるんだ。邪龍の上に悪神アンラ・マンユの配下。邪龍は基本的に滅ぼされる方が

多いんだ。滅ぼさせないように俺達が匿う様にするしかない」


『はぁ・・・・・、こいつのオーラを四六時中、浴びないといけないのか』


『よろしくね!』


『気にするな。その内にお前も耐性がつく』


『新しい同居人が増えますね』


先に俺の体の中にいるゾラード、メリア、サマエルが新たに入るドラゴンに心なしか嬉しそうに声音が

明るかった。―――その時だった。


「真龍、龍神、天龍、龍王、エデンの園の頃から居た3匹のドラゴンに今度は邪龍までも

仲間に入れるとは・・・・・幽幻龍騎士団・・・・・恐れ入りますね」


この場に第三者の声が聞こえた。しかも、聞き覚えのある声だ。俺達は第三者の声がした方へ

振りむくと―――。


「お久しぶりです。幽幻龍騎士団の方々、知らない人もいるようなので自己紹介をしましょう。

―――私はユーグリット・ルキフグス。以後、お見知りおきを」


「お前は・・・・・!」


レイヴェルの件で出会った悪魔が俺達の背後にいた。グレイフィアの実の弟、ユーグリット・ルキフグス!

既に、深緑の魔方陣が展開していて光が弾いた!


グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッ!


「さて、私達の目的は『魔源の禁龍』アジ・ダハーカを手に入れる事です。彼も貴方たちと出会う事を

なにより待っていたのでお相手をしてくださいね」


『グハハハハ!久しぶりだなぁ!グレートレッド、オーフィス、アルビオンにヴリトラァ!

それに三匹のドラゴン!』


『なるほど、以前の時より力が増しているようだな。暴れ龍』


『おほっ!久々じゃねえか!アジ・ダハーカ!てっきりミイラになっているかと思えば

元気そうじゃねえか!』


『ふん、少しだけ魔力がある人間たちを喰らいこの通りだ』


きっと式森家の魔導書の魔法で魔力を底上げしたんだろう・・・・・。面倒な事に成ったな


『グハハハ!なら好都合!弱ったお前を連れて帰るより弱らせて連れて帰る方が面白いからなぁ!』


「グレンデル。現状は多勢に無勢ですが好都合な事に見動きを封じられているアジ・ダハーカを連れて

帰る事が今回の作戦です。できるかぎり戦闘を避けてほしいのですが・・・・・」


『そうは言ってもよぉ?あいつらはやる気満々だぜ。なら、やるしかないよな?』


分かっているじゃないか。ここでお前を捕まえてグレンデルも封印すれば今度こそ禍の団は

活動を停止するしかない!


「・・・・・仕方ないですね。こちらも『贄』として用意して来たものを出しましょうか」


ユーグリットは数多の魔方陣を発現した。数は十や百で終わらず上空にまで魔方陣が現れた。俺達を完全に

囲むように魔方陣から何かが出てきた。顔は仮面で覆われていてよく分からないが背には

炎の翼を生やしていた。―――こいつは!


「以前、フェニックスのクローンを使い『涙』を製造していましたがクローンを戦闘に出す事も

可能に成功しました。『不死』の能力も備わっているので簡単には倒せない相手ですよ?」


「・・・・・この場にレイヴェルがいなくて良かった」


「彼女にはガイアから留まるように言われたからね」


『またあの悪魔が現れてくるかもしれんからな。結果、我等の前に現れた』


「にしても、数が多い」


「不死の能力もあるらしいから面倒だね」


「対処方法としては一撃必殺の技で消し飛ばすしかない」


俺達は臨戦態勢に入る。


「アジ・ダハーカ、俺たちの戦いを見ていろ。俺たちは幽幻龍騎士団。正義も悪も関係無い。

俺たちは俺たちの前に立ちはだかる敵を倒す」

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