小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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―――冥界



「次元の狭間にあるあの大地が強奪されただと?」


「はっ、その通りであります。そして、犯人は幽幻龍騎士団だと命からがら逃れた堕天使がそう言って息を

引き取りました」


「幽幻龍騎士団・・・・・」


「あの家から重要な武器や書物は全て我々が押収した他、魔法の桜の木を斬り加工して我々の役には

立ちましたがそれ以外は特に何もない―――」


「それ以上、俺の前で言うな」


「・・・・・」


男が放つ威圧感で息を呑む悪魔。


「他に報告は?」


「・・・・・天界からの通達で複数の神滅具と神器の反応が同時に途絶えたと」


「神滅具と神器が・・・・・同時だと?」


「しかも・・・・・過去に幽幻龍騎士団が所有していた神滅具と神器です」


「・・・・・」


報告を伝える悪魔に考える仕草をする男。


「まさかだと思いますが・・・・・幽幻龍騎士団の仕業ではないのでしょうか?

あの組織なら可能ですし・・・・・」


「分からん・・・・・だが、否定はできないな」


「・・・・・」


「下がってくれ」


男がそう言うとお辞儀をして悪魔は部屋から立ち去った。


「・・・・・コリアナ、クイーシャ。どう思う」


「十中八九、間違いなく幽幻龍騎士団だと思います。―――サイラオーグさま」


「私もそう思います」


「・・・・・そうか」


ビシッとしたスーツを着込んだ金髪の女性と金髪のポニーテールの女性の名を言って聞くとサイラオーグと

呼ばれた男に異変の犯人は確実に幽幻龍騎士団と言った。


「どうしますか・・・・・?」


「どうするとは?」


「「・・・・・」」


「俺は冥界を、冥界に住む子供達を危険から守る魔王だ。仮に幽幻龍騎士団が復讐と称して冥界に

襲撃したら俺の力で潰す」


「サイラオーグさま・・・・・」


冥界を守ると断言した。だが、声に覇気がなかった。2人の女性はこんなサイラオーグを見るのは

幽幻龍騎士団の兵藤一誠が死んで以来ずっと見てきた。魔王として振る舞っているが仲間や家族の前では

後悔の念を抱き、悲哀に満ちた瞳を浮かべ、バアル家にある慰霊碑に来る度に何度も何度も謝罪の言葉を

発している。


「・・・・・アガレス家、フェニックス家、シトリー家、グレモリー家にいる友はどうしている?」


「はい、現当主として何も変わらず暮らしているそうです。レーティングゲームにも参加して―――」


「俺が聞きたいのはそれではない」


「・・・・・幽幻龍騎士団に深く交流を持っていた当主や眷属は生きた人形のように生きています」


「・・・・・」


クイーシャの報告に哀愁を漂わせるサイラオーグ。自分は愚かな事をした。それが悔やんでも、悔やんでも

既に後の祭り。1人の魔王として、自分は親友でありライバルだった兵藤一誠を倒すべく拳を振るった。

 ―――あの時に戻れるのなら戻って自分を殴り飛ばしたい。



―――グレモリー家



「皆、数日後には大規模なレーティングゲームが開催されるわ。私達も参加するから

気を引き締めて行くわよ」


「リアス、大規模なレーティングゲームって?」


「3日間、ザナドゥで参加フリーのレーティングゲームがあるの。それこそトライアスロンのようなものも

あれば遊戯みたいなものもあるの」


「そんなレーティングゲームもあるんですねぇ・・・・・」


「ええ、トライアスロンのレーティングゲームではザナドゥと冥界を繋げて空中都市にゴールすれば

勝ちなの。最終日ではその空中都市でレーティングゲームをするのよ。トライアスロンは最終日の

レーティングゲームに参加するためのチケットと言う訳ね」


「それって何位までゴールすればいいんしょうか?」


「3位までと、このパンフレットに・・・・・」


ガッシャアアアアアアアアアアアアアアアンッ!


「み、皆・・・・・?」


「あはは・・・・・道理で詳しいと思えばパンフレットを見ていたんですね」


「何か・・・・・可笑しな事をしたかしら?」


「いえ、気にせずに」


「そう。なら、話しを進めるわ。私達もこの大規模なレーティングゲームに参加するわ。勿論、空中都市での

レーティングゲームにも参加するわよ。その為にも上位に入らなければならない。

―――意味は分かるわよね?」


「俺たち、グレモリー眷属が堂々と1位になってレーティングゲームに参加する事!」


「ええ、その通りよ。流石は愛しのイッセーね」


「私、泳ぎがあまり出来ませんが・・・・・」


「大丈夫よ。トライアスロンは眷属が何人でも出ても良い決まりだから誰か一人でもゴールしてくれれば

レーティングゲームに参加できるわ」


「俺と木場に任せてくれ!」


「イッセーさん・・・・・。はい、お願いします!」


「あらあら、私もイッセー君に良いところを見せるように頑張らないといけませんわね」


「朱乃?イッセーは私しか見えないから何をしても無駄よ?」


「そんなことはないですわ。ほら、私のおっぱいを堪能して下さらない?」


「あ、朱乃・・・・・!」


「イッセー!朱乃の胸より私の方が良いってあの時言ってくれたじゃない!」


「あら、『リアスより朱乃の方が気持ちいい』と言ってくれましたわよ?」


「・・・・・朱乃。決着を付ける気ないかしら?」


「うふふ、そんな魔力を迸られては困りますわ。ですが、売られたケンカを買うのも悪くは無いですわね?」


バチバチと火花を散らす紅の髪の女性と黒髪のポニーテールの女性の間に割り込んで喧嘩を止めようとする

金髪の女性。


「リ、リアスお姉様。落ち着いて下さい!朱乃さんも!」


「・・・・・そうね。今夜、たっぷりとイッセーに甘えるわ」


「はうっ!今日は私の番ですよ!?」


「なら、一緒に甘えましょう?」


「・・・・・リアスさん。話しは終わりでしょうか」


すると今まで会話に参加していなかった銀髪の女性が呟いた。


「・・・・ええ、私達は参加するわ。皆、私たちが目指すのは優勝しかないわ。頑張りましょう!」


「「「「「はいっ!」」」」」


「・・・・・では、失礼します」


「「・・・・・」」


白い髪の女性がそう言うと席から降りて銀髪の女性と青い髪に緑のメッシュを入れた

女性と共に部屋から出た。


「・・・・・小猫さん」


「しょうがないわ・・・・・あの一件以来、私達に心を開いてはくれなくなったもの」


「リアス・・・・・俺達は間違っていたのか・・・・・?」


「間違っていないといえば嘘になるわ・・・・・。でも、上層部からの命令は逆らえないの」


「現幽幻龍騎士団に動きは?」


「・・・・・昨日、次元の狭間にある幽幻龍騎士団が住んでいた大地を奪ったそうよ」


「なんだって・・・・・?」


「今朝の事よ。アガレス大公からその情報を知らされたの」


「・・・・・」


「今まで沈黙していた幽幻龍騎士団が今に成って動き出した。これは何かの予兆だと私は思ってならない」


「あの組織には小猫ちゃん、ゼノヴィア、ロスヴァイセさん、レイヴェルさんの子供がいます・・・・・」


「・・・・・皆、さっきも言ったように気を引き締めましょう」


真剣な表情で眷属に話しかける紅の髪の女性―――リアス・グレモリー。



―――フェニックス家



1人の女性がベッドの上で膝を抱えて座っていた。女性の名前はレイヴェル・フェニックス。かつて

幽幻龍騎士団に所属していた1人。今では幽幻龍騎士団は壊滅状態でレイヴェルは上層部の強制帰還によって

強引に冥界に連れ戻された。


「・・・・・イッセーさま・・・・・皆さん・・・・・」


瞳に生気が無い。まるで生きた屍のようだった。


コンコン・・・・・。


「・・・・・」


『レイヴェル、入るぞ』


不意に扉にノック音が聞こえて扉が開け放たれた。レイヴェルの私室に入ってきた男性、

―――レイヴェルの兄、ライザー・フェニックス。


「・・・・・なんですの」


「レイヴェル、お前にとっては良い話だと思う情報が伝えられた」


「・・・・・?」


「次元の狭間にあるあの大地が―――幽幻龍騎士団に奪われたそうだ」


「―――ッ!」


「あいつの子供が、お前の子供が、幽幻龍騎士団が動きだした」


ククク、とライザーが面白そうに不敵の笑みを浮かべる。


「あいつらはまだ諦めてはいない。なにせ、あいつの子供達だ。2代目の幽幻龍騎士団だからだ。しぶとさは

お前が良く知っている筈だ」


「お兄さま・・・・・」


「あいつ等の目的は最悪、幽幻龍騎士団を敵に回した勢力に復讐をする事だろう。そうなったら冥界は

ただでは済まない。だが、お前は違う。お前は幽幻龍騎士団に所属してあいつの女だ。お前の子供もお前に

会いたがっている筈だしな」


踵返して部屋から出ようとする。


「レイヴェル、何時までもそんなんじゃあ、死んだあいつはお前を心配して成仏できないぞ・・・・・

お前も動く時だと俺は思う」


「・・・・・動く時」


「―――父上や母上、兄上は賛同している。火の鳥が飛び立つ時だ」



―――シトリー家



「そう・・・・・ですか」


「うん!皆が動きだしたようだよ!ソーナちゃんや私の子供達があの家を取り戻したんだって!」


「フィーナ・・・・・」


「きっと何かしようとしているに違いない!じゃなきゃ、今まで沈黙していたあの子達が動く筈ないもの!」


「ですが、一体何をしようと・・・・・」


「それは・・・・・分からない。でも、きっと私やソーナちゃんを会おうとしているに決まっている!」


2人の女性が会話を交わしていた。フィーナの母親、ソーナ・シトリーとソーナの姉、

セラフォルー・シトリー。


「・・・・・あの子達は一体どんな思いで行動を起こしているのか理解できません」


「ソーナちゃん・・・・・」


「もう・・・・・私は何も失いたくない。イッセー君が死んで、仲間も死んで、友人が死んで

しまった・・・・・。唯一の家族である息子まで死ぬような事に成ったら私は・・・・・、

 私は・・・・・!」


「・・・・・」


顔を手で覆い、ソーナは泣く。セラフォルーもソーナと同じ境遇にいるが姉として

ソーナを抱きしめて慰める。


「大丈夫だよ・・・・・私達の子供は皆、強いんだから。だって・・・・・

 イッセー君と私達の子供だもん・・・・・。絶対に負けないよ」


「お姉さま・・・・・」


「待とうよ、あの子達が本格的に動くまで・・・・・。私たちの子供たちを見守ろう?」


「・・・・・はい、お姉さま」



―――アガレス家



「ふふ・・・・・そう、子供たちが動くのね。思っていたより少し早いわ」


クスクスと笑みを浮かべる眼鏡を掛けた女性。―――シーグヴァイラ・アガレス。


「ふふふ・・・・・っ、ははは・・・・・っ、あっはっはっはっはっはっ!」


狂喜の笑みと共に大声で発する。


「子供たち・・・・・頑張りなさい。私たちの大切な人を殺した勢力に恐怖を与えるのよ・・・・・!

それに、何時もあの人が言っていたもの・・・・・『俺たちに、幽幻龍騎士団に攻撃を仕掛けるのなら容赦は

しない。家族を傷つけたら絶望を、恐怖を与えてやる』と!」


シーグヴァイラの体からドス黒いオーラが陽炎のように現れた。


「でも・・・・・まだ、本格的に動くことはなさそうね・・・・・動くとしたらやはり・・・・・数日後に

開催されるゲームかしら?ふふふ・・・・・楽しみだわ」



―――真魔



「これは好都合だな」


俺はザナドゥで開催されるゲームを知った。


「俺たちもこのゲームに参加するぞ。参加は自由だし、空中都市で行うレーティングゲームは無名の

眷属でも3位までゴールすれば参加が可能だ」


「グレモリー眷属が出るかな?」


「間違いなく参加する。グレモリーの夢は『レーティングゲームの各大会で優勝する』だからな」


シアの質問に頷きあいつの夢を語った。


「もう、ランキング1位だから出なくても良いと思うんだけど・・・・・」


呆れた声音で発するのは未来の俺とノーヴェの娘であるカエデ。


「悪魔は欲深い生物なのは知っているだろう?まあ、人間も同じだがな」


「それで、誰が出る?」


シグナムと俺の間に生まれたラグナが周りの皆を見て聞いてきた。


「未来の幽幻龍騎士団と過去の幽幻龍騎士団の2チームに別れて参加しよう」


「つまり、競争をしようって事?」


さくらと俺の息子の桜霞の言葉に頷く。


「未来の子供たちの実力を見るには良い機会だ。先に1位になった奴が勝ちって事でどうだ?」


「未来の幽幻龍騎士団に負ける気はないがな」


「そうね、未来の貴方たちに負けたら元も子もないもの」


「全力で来るがいい、私たちは勝つ事が当たり前だからな」


口の端を吊り上げたり、笑ったり、微笑んだりと未来の子供たちに向けた。それは俺たちの挑発と

挑戦状という意味でもあった。


「―――面白い、受けて立つ。その挑戦を!」


「私達を舐めないでくださいね?」


「我等が勝つ。過去の幽幻龍騎士団に負ける気はない」


「ふふふ、過去のお父さんたちを倒したら私たちはもっと強く成れますね!」


「父と母を超える・・・・・そんな機会がやってくるなんて嬉しいぜ」


過去の幽幻龍騎士団は意気揚々と俺たちを負かす気で満々だった。ああ、それでいいんだ。

面白いゲームに成りそうだな!

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