小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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時空を超えた戦い!(2)



―――グレモリー


『1回戦はファントムが勝利した。だが、勝負は始まったばかりだ。次は誰を出す?』


「どうして聖槍が2つも存在しているの・・・・・?」


「佑斗先輩・・・・・」


「ありがとう、アーシアちゃん・・・・・」


切断された佑斗の腕はなんかアーシアの回復で治った。成長したわね、アーシア。


「・・・・・」


私たちにギャスパーと木場を預けて離れた場所で壁に背中を預けて立つ小猫。


「リアスさま・・・・・」


「佑斗?」


「聖槍を持つ人物・・・・・あの男の声に聞き覚えがあります」


「男?聞き覚え?」


「・・・・・何かの間違いだと思うんです。ですが、僕は確かに聞いたんです。―――僕たちが駒王学園に

通っていたあの頃、京都で英雄派として僕たちに現れた『黄昏の聖槍』の所有者だったあの男

・・・・・曹操の声を」


「「「「「―――ッ!?」」」」」


「あの禁手化も『極夜なる天輪聖王の輝廻槍』に間違いないです・・・・・。現に曹操の子供の曹丕は

聖槍を手にしても禁手化に至ってはいないです」


佑斗・・・・・本気でいっているの・・・・・?彼は・・・・・曹操は死んだのよ・・・・・。

私とイッセーの子供、ドラグニルの神滅具の前で・・・・・。


『グレモリーチーム。そちらはまだ決まっていないのか?ファントムチームとドラゴンナイトチームは既に

決めて待っているぞ』


サイラオーグの催促する声が聞こえた。ステージには既に6人の相手が立っていた。私たちも決めないと。


「・・・・・朱乃、ゼノヴィア、ロスヴァイセ、行ってちょうだい」


「かしこまりましたわ」


「「・・・・・」」


見極める必要があるわね。幽幻龍騎士団を・・・・・!



―――幽幻龍騎士団



「ベルゼブブ、ロスヴァイセ、ゼノヴィア・・・・・頑張れよ」


「向こうも丁度、ロスヴァイセさんとゼノヴィアが出てきたよ」


「木場と小猫、ギャスパーが出たからな。戦う奴は限られる」


「残りはグレモリーと成神、アーシアだけだね」


「次に出てくるだろう。連続で出してはいけないルールだからな」


ステージの上に立つ3人を応援する。クロノスたちからはフィーナ、シア、ルシファーと俺の

子供のゼファードが出た。


「自分の子供と戦うのは良いけど見るのも悪くないわね」


「そうだな・・・・・それにしても」


「うん?」


「ルシファーと子供か・・・・・なんか、恥ずかしいな」


「・・・・・」


彼女も恥ずかしいのか顔を朱に染めて俺から視線を反らした。


「うーん、ここは未来の娘に応援するべきなのか?それとも仲間を応援するべきなのか・・・・・」


和樹も和樹でどっちを応援しようか悩んでいる。


「どっちもしたらいんじゃないか?」


「不謹慎だと思わない?」


「自由に応援すれば良いさ」


「その優しさが身に沁みるよ・・・・・・」


『準備がよろしいようなので試合を開始します!』


審判が試合の開始を告げた。俺たちはただ見守る。―――頑張れ。


―――ステージ


「ゼノヴィアさん、ロスヴァイセさん・・・・・」


「3人共、お久しぶりですね」


「元気にしているようで安心した」


「こんな形で再会はしたくは無かったですがね」


フィーナは苦笑を浮かべる。シアも溜め息を吐いて同感と首を縦に振った。


「お久しぶりですわね、フィーナくん、シアちゃん、ゼファードくん」


「ええ、そうですね?恩を仇で返すグレモリー眷属の『女王』」


「・・・・・根に持つのは分かりますが、私たちにも事情があったのです。

どうかそれを御理解いただけないでしょうか?」


その言葉に眼光を鋭く冷たい視線を朱乃に向け低い声音で言葉を発した。


「どんな事情なのか聞きたいですね?それと聞きましたよ。『女王』の母親を甦らせたのは私の父上だとか」


「・・・・・」


朱乃はその言葉に顔の表情を暗くして沈黙した。フィーナは言い続ける。


「父上も可哀想な人だ。父上の慈悲で貴女の母親を甦らせたと言うのにそれが今ではどうですか?

『女王』に恩を仇で返されましたよ」


「・・・・・」


「それに知っていますよ。貴女―――母親に勘当されたようですね?」


「―――ッ」


そう言われて朱乃は酷く動揺した。何故それを、その事は自分と自分の父親、眷属以外で知らない筈なのにと


「大好きな、大好きな母親を甦らしてくれた父上の討伐に参加した事を聞いて貴女の親は『もう、私の

娘ではないです。私たち家族の大恩人に討伐するような娘は存在しません』と言われたそうですね?ああ、

それは貴女の父親のバラキエルもそうでした。ははは、これは愉快な話ですよ!この話を聞いて

思わず私は笑ってしまいました!」


両腕を広げてフィーナは嘲笑する。シアもゼファードも人を侮蔑する態度で口を開いた。


「恩を仇で返した恥じ知らずの眷属だからしょうがない上に当然だよ。寧ろ、良い気味。

当然の報いだと思うね」


「そうそう、俺たちのお父さまとお母さまを殺した罪は大きいしな。それに知らないだろうけど教えて

やるよ。あんたの母親は今では俺たちの家族に成っているんだ」


「・・・・・っ!?」


今現在の自分の母親の状況に朱乃は目を大きく見開いた。それを見てフィーナは愉快そうに笑みを

浮かべて口を開く。


「『心身ともに私を甦らせてくれたあの人の為に尽くします』・・・・・あの人は分かっていますよ。

どこかの恩知らずな人たちと違って私たちの世話をして続けたんですから」


「私たちもあの人には感謝をしているよ。同じ『家族』としてね」


手のひらに魔方陣を展開した。この3人が朱乃と話している間にロスヴァイセとゼノヴィアは

ベルゼブブたちと攻撃を交わしていた。


「さようなら、大好きな母親に勘当された悪魔と堕天使のハーフの『女王』さん」


「・・・・・」


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォッ!


和樹の血を引き継いだ娘のシアの魔力が奔流と化して朱乃を呑みこんだ。その威力は世界一の魔術師と

称されても過言ではないものだった。魔力に呑み込まれた朱乃は会場の壁に叩きつけられていた。瞬時で

防御魔法陣を展開して全力で防いでいたのだろうとシアは朱乃の様子を見て「ふぅー」と息を吐いた


「少しはスッキリした感じ」


「心理戦も戦術の1つですからね。上手く行って良かったです」


「それじゃあ、今度は俺たちの実力を見せよう!」


意気揚々とフィーナたちはベルゼブブたちへと迫る。


ガキンッ!ギギィンッ!ギンッ!


過去と未来のゼノヴィアの2人が激しい剣戟を繰り広げて戦っている。しかし布を包んだ

 エクス・デュランダルで七つの能力を持った未来のエクス・デュランダルに防戦一方だった。


「・・・・・解せないな」


「・・・・・」


「どうして斬りかかって来ない。布を包んだ状態では相手を切る事はできないぞ」


刀身を変化させて過去のゼノヴィアに鞭のように振るった。過去のゼノヴィアはその技を見切って回避して

未来のゼノヴィアに近づき吹っ飛ばそうとバットを振るように振った。


ガンッ!


だが、刀身で受け止められて吹っ飛ばす事は出来なかった。


「・・・・・どこか、私に似ている。そう、昔の私のようだ」


「勝負!」


2人のゼノヴィアの横から極太の魔力弾が放たれた。未来のゼノヴィアはその魔力弾に

 エクス・デュランダルに突きつけ横に振るうと魔力弾が軌道を変えてシアに向かう。


「闇よ」


ボソリと呟いたその瞬間。シアの足下の影が広がりそこから巨大な闇の巨人が現れ極太の魔力弾を

呑みこんだ。その様子に未来のゼノヴィアがシアに視線を送った。


「成長したな。お前のその成長をお前の父親が見たらさぞかし喜んでいただろうに」


「・・・・・そうですね。ですが、まだまだです」


ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!


闇の巨人が咆哮を上げて巨大な拳を2人に突き出した。迫る拳に未来のゼノヴィアが刀身を神々しい

光を纏い、奔流と化とする


「―――エクス・カリバー」


ドッバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!


放たれた金色の斬撃は瞬く間に闇の巨人を呑みこみ、消し去った。シアにもその余波が襲いかかって

防御魔法を展開する。


「ぐぅっ・・・・・!重い・・・・・!」


「シア!」


水の魔力を駆使して助太刀する。幾分か衝撃波が和らいだが防御魔法に罅が生じた。


「はっ!」


さらにゼファードも複数の大鎌を発現して重ねるようにシアの前に展開した。これでようやく

攻撃を防ぎきった。


「あ、ありがとぉ・・・・・」


「家族を助けるのは当然ですよ」


「そうそう」


「・・・・・家族か」


ガキンッ!


過去のゼノヴィアの攻撃を防ぎながら懐かしそうに呟いた。


「イッセーも家族を大切にしていた。誰よりも何よりも・・・・・」


「ゼノヴィアさん・・・・・」


瞳に悲しみを乗せてゼファードに攻撃を仕掛けた。ゼファードも鎌を構えて飛び出し

未来のゼノヴィアに斬りかかろうとする。―――しかし、


「無拍子」


ズバババババッ!


「「―――っ!?」」


いままで動かなかったベルゼブブが動き出した。見えない斬撃を放って2人の体に幾重の傷を作った。

そんな技を未来のゼノヴィアが目を大きく見開いてベルゼブブを見詰める。


「この技は・・・・・・まさか・・・・・」


「見えない斬撃に・・・・・対応できない・・・・・って」


辺り一面に血を撒き散らして倒れる。ベルゼブブはフィーナとシアに顔を向ける。


「・・・・・詰みましたかね?」


「詰んだよ。見えない斬撃に私たちじゃあ対応できないって」


「―――なら、対応できるように強くなるのだな」


一拍してフィーナとシアの体にも幾重の傷が生まれ血をステージに撒き散らして倒れ込んだ。


「ははは・・・・・つ、強いや」


「そう・・・・・ですね・・・・・」


一方、過去と未来のロスヴァイセとは言うと全属性の魔法をフルバーストの状態で放ち続け、拮抗していた。


「貴方は何者ですか。どうして私と同じ魔力を持っているのです」


「・・・・・」


「ゼノヴィアさんが破れたいま、私だけとなりましたか・・・・・リアスさんの為にゲームを勝つのが

癪ですが勝たせてもらいますよ」


そう言ってさらに魔方陣を展開して過去のロスヴァイセに放つ。対して過去のロスヴァイセもその上を超える

魔方陣を展開して未来のロスヴァイセに放った。


「(やはり、あの人から感じる魔力は私と同じです。コピーでもしたのでしょうか・・・・・?ですが、

そんな能力がある神器や種族なんて聞いた事がありません)」


心の中で思考する。しかし、考えても答えが出なかった。


「・・・・・」


今は考えるのは止そう。戦いに集中しようと未来のロスヴァイセは目の前の相手を見据える。


「力づくで暴いてみせます!」


幾重の魔法陣が1つと成り、巨大な魔方陣にへと変化し、一つになった全属性の極太の魔力弾が奔流と化と

成って過去のロスヴァイセに向かった。


「・・・・・未来の私はこんな事も出来るようになったのですね」


「・・・・・えっ?」


女の声だった。しかも聞き覚えがある。未来のロスヴァイセは心のどこかでもしかして・・・・・と

答えを導いた。


「(・・・・・私・・・・・?)」


ザシュッ!


「(―――っ)」


全身から痛みが走り、未来のロスヴァイセの表情に苦痛が浮かんだ。身体を見れば何時の間にか

肩からわき腹まで斜めに斬られていた。


「何時の間に・・・・・!」


ドンッ!


「ぐっ・・・・・!?」


突如、体が急激に重くなってステージに倒れた。何かに圧力を掛けられて押し潰された感覚を

未来のロスヴァイセは全身から感じて震えながら顔だけ上げると。


「(・・・・・あれは・・・・・エクス・デュランダル・・・・・!?)」


布を解いたのだろう1つの剣を視界に入れた瞬間、信じられないものを見た目で驚愕する。視線を横にずら

すとステージに倒れている同じ眷属のゼノヴィアがいる。―――手にはエクス・デュランダルを

握っているのが確認できた。


「(神滅具『黄昏の聖槍』がもう一つ存在している事も有り得ないのにゼノヴィアさんが持っている

エクス・デュランダルまで・・・・・!?あの人たちは一体・・・・・・!)」


『試合終了!勝者、ファントム!』


審判の試合終了の告ぐ言葉が耳に入る。しかし、未来のロスヴァイセは聞いておらず唖然として

目の前に見えるエクス・デュランダルを布に巻く1人のフードを深く着込み仮面を被った人物を見詰める。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――幽幻龍騎士団


「3人ともお疲れさま」


「私は殆ど何もしていなかったがな」


「それでもお疲れさまだよ、ベルゼブブ」


「う、うむ・・・・・」


気恥しいのか顔を俺から少しだけ逸らした。素顔を見れないのが残念だ。


「ゼファードはルシファーの血を受け継いでいる事だけあって鎌での攻撃をしていたな」


「そうね、本当に自分の子供だと改めて知ったわ」


「フィーナもシアもソーナと和樹の子供だったな」


2人の魔力を思い出して呟いた。まだまだ、修行が足りてないがそれはしょうがない事だ。


「姫島に言葉で責めて最後に魔力・・・・・ヴァイラにでも教わったのか?」


「朱璃さんを出すなんて考えもしなかったよ」


「というか、真魔に朱璃がいるとは驚いたぞ」


初めて真魔に訪れた際にクロノスたちに紹介された朱璃には驚いた。向こうも俺に驚いて泣きだしたし。


『次は3回戦、現在はファントムが勝っているが残り3回勝てば逆転できる。勝利したくば死力を尽くせ』


「・・・・・なら、こちらから『兵士』のイッセー、『戦車』小猫、『騎士』佑斗を出すわ」


「・・・・・へぇ」


『『『『『『『『『『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!』』』』』』』』』』


赤龍帝が出ると知ると観客が大歓声を上げた。そろそろ勝たないと負けるもんな。しかも、主力できたか。

さて、クロノスは?


「『女王』フィリス、『兵士』ルシフェル、そして『王』の俺が出る」


「なんだと?」


『「王」が倒されるとドラゴンナイトはその場で失格に成るが』


この時代のサイラオーグが問うとクロノスは「構わない」と言ってフィリス、ルシフェルとステージに

上がった。


「残り一回で勝てば確実に俺たちの勝ちに成るだろう。だが、それではつまらない。―――ヴァーリ、信長、

レヴィアタン。行ってくれ」


「いいのか?お前が行った方が良いと思うぞ」


「いいさ、『5回目』で俺が出ればいい」


「・・・・・なるほど、そう言う事か」


ヴァーリは俺の考えに理解して信長とレヴィアタンと一緒にステージへ上がった。


「一誠、まさかだけどワザと2回も負ける気なの?」


「俺たちはクロノスたちの実力を知るのが目的だ。それはあいつらだって同じ事だ」


「そう、でもそろそろ僕たちの事を気づく頃だと思うよ?」


「構わないさ。遅かれ早かれ俺たちは正体を明かす」

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