小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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復讐(2)



「我、目覚めるは」


『さあ、行こう!』 『行くぞ!』


「神に認められし二天龍なり」


『我等は、神に認められし天龍!』 『そして、白龍皇なり!』


「無限と共に生き夢幻と共に歩み」


『友と共に歩み!』 『友の敵を屠る為に!』


「我、無垢な真なる白龍神皇と成りて」


『我等は、真なる力を持って!』


「「「「「「「「「「汝を白銀の光輝で鎮めよう」」」」」」」」」」


『白銀の極光龍変化!!!!!』



「我、白龍皇を継ぐ者。我は天龍の力を振るい我の敵を白銀の極光で滅ぼす。我は天龍の力を振るい救済を

求める者に救済の光を注がん。我は白龍皇を継ぎ新たな未来へと導く純真の真なる白銀の白龍神皇と成りて

我は共に歩む者たちと進む!」


カッ!


「真なる白銀の極光龍神帝!」


ヴァーリとルシフェルが呪文を唱え龍と化となった。その光景にミカエルたちは恐れ戦く。


「2匹の白い龍・・・・・アルビオン・・・・・・!」


「フェンリル、スコル、ハティ。お前たちの牙、爪をこいつらに味わわせてやれ」


オオオオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


「―――禁手化ッ!」


カッ!


曹操が禁手化になり神々しく輝く輪後光が背中に現れ、曹操を囲む様にボウリングの球体ほどの大きさの

七つの球体が宙に浮かんで出現した。


「さてと、悪魔でもない神でもない天使にこの槍を貫く事に成るがどこまで威力を発揮するのか試すのに

ちょうどいいな」


「未来だと色々と勉強に成る」


漆黒の全身鎧を着込み、背中に炎翼を生やす一誠。金色と漆黒の大剣を手にする。


「・・・・・はっ!」


二つの大剣を思いきり振る。金色と漆黒の飛ぶ斬撃がミカエルとラファエルに襲うが回避される。だが、

背後にいた天使たちにまで届いて一誠の攻撃に成す術もなく命を落としていく。ミカエルを通り過ぎて

フェンリル親子と共に天使たちと戦い始める。その様子に怒りを露わにする熾天使ラファエル。


「よくも・・・・・!」


「『神は癒される』ラファエル」


「っ!」


「お相手を願おうか」


曹操が足下に球体を置くと宙に浮いて槍の矛先をラファエルに鋭く突き出す。更に次々ともの凄い速さで

突き出す。


「くっ!?」


『黄昏の聖槍』。神をも貫く絶対の槍。神滅具の代名詞になった最強の神滅具であり原物。熾天使たちが

恐れている聖槍。イエスを貫いた槍。イエスの血で濡れた槍。―――神をも貫ける絶対の槍が自分に

向けられる事に焦心、恐怖、畏怖の念を抱く。次々と突き出される槍を全て間一髪かわし曹操から翼を

羽ばたいて距離を離れ神々しい魔力を曹操に放った。その魔力に1つの球体を飛来させる曹操。


「―――珠宝、襲いかかってくる攻撃を他者に受け流す」


ギュゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!


ラファエルの魔力が球体の前方に発生した黒い渦に、


ギュポンッ!


全てを吸い込んで消失した。ラファエルの一撃は一誠たちと戦っている天使たちの真上に発生した

黒い渦から出て来て天使たちを屠った。


「おのれ!よくも、私たちの同胞に私の攻撃で!」


「魔力を放つ度に俺は天使たちに返すぞ。熾天使の攻撃が天使を屠る・・・・・これは滑稽だな」


「曹操ぉおおおおおおおおおおおおおおっ!」


憤怒の形相でラファエルは魔力で作った刀剣を手に持って突貫する。曹操はそのラファエルの行動に

嘆息する。


「(・・・・・もう少し、楽しめるかと思ったがそうでもなかったか)七宝が1つ。―――輪宝」


空いている手を前に突き出すと球体の1つがそれに呼応して曹操の手の前に出ていきフッとその球体が

消え去り―――ラファエルの刀剣をガラスのように割り、破壊した次の瞬間


「ごぶっ・・・・・!」


ブバァァッ!とラファエルの体から鮮血が吹き出していく―――。その腹部には穴がポッカリと

空いていたからだ。


「未来の熾天使ラファエルは過去の曹操である俺でも勝てないか・・・・・。―――居士宝」


球体の1つを前方に移動させるとそれが弾けて、光輝く龍人型の存在が複数出現する。手には―――曹操が

所有している聖槍に酷似した槍を持っていた。


「な・・・・・に・・・・・っ!?」


「何も驚く事は無いだろう?未来の俺は既に未完成の能力を完成している筈だ。まあ、俺は完成した

この能力を試すのは今日が初めてだがな」


聖槍を重傷のラファエルに突き出した。すると、光輝く龍人たちが各々と槍を構えてラファエルに突貫する。


「ぐ・・・・・お、おのれ・・・・・!」


再び魔力で作った刀剣で次々と突き出される槍を捌いていく。そんな最中、ラファエルの視界に曹操の姿が

何時の間にかいなくなっている事に気づく。


「(いない・・・・・!?どこだ、どこに―――)」


―――ズンッ!


「がっ・・・・・!?」


自分の体が何かに貫かれる衝撃が襲った。目線だけ下に向けると―――自分の血で濡れた『黄昏の聖槍』が

胸から生えていた。


「七宝が1つ。―――馬宝。任意の相手を転位させる」


背後から曹操の声が聞こえる。ラファルは口内から大量の血反吐を吐きながら呟く。


「これ・・・・・が、幽・・・幻・・・・・龍騎・・士・・・・・団か」


「お前たちは敵対してはいけない者たちに敵に回した。過去の俺もそうだったようにな」


槍が一気に神々しい輝きを発した。その瞬間、聖槍に貫かれているラファエルの体が燃え出す。


「私・・・・・たちは・・・・・間違っ・・・・・て・・・・・いた・・・・と・・・・・い・・・・う

 こ・・・・・と・・・・です・・・・・か・・・・・メイ・・・・ビス・・・・・さま」


燃え盛る中、ラファエルはそれだけ呟いて焼失した。曹操VSラファエルの戦いは曹操の勝利で終わった。


「さてと、確か此処には2番目に強い神滅具の所有者がいたな。そいつはどこだ・・・・・?」


曹操は新たな相手を探すべく襲い掛かってくる天使たちを屠りながら探す。一方、

 一誠はというと・・・・・。


ガキンッ!ギンッ!ギィンッ!ガギャンッ!


「・・・・・」


「・・・・・」


熾天使ミカエルと空中で剣戟を広げていた。一誠は大剣を構えながら感心していた。


「ミカエルが刀剣を使うなんて知らなかったな」


「過去では私と戦っていないようですね?」


「最後に会ったのは新世界ザナドゥに案内して以来だ」


「・・・・・あの時ですか。あの一時はとても楽しかったですよ」


「そう言ってくれて嬉しいな」


ガキンッ!


ミカエルに一気に詰め寄り大剣を振り下ろす。一誠の一撃を聖なる刀剣で防ぎ鍔迫り合いをする。


「・・・・・ラファエルが負けましたか・・・・・」


「俺の家族を舐めるなよ」


ギギギギギギッ・・・・・!


「貴方たちの強さは十分熟知していると思っています。その力は私たちを超えている事も」


「だから俺たちに恐怖を抱いたんだろう?」


「ええ、その通りですよ」


ギャンッ!


強引に大剣に振りはらって手のひらから神々しい魔力のオーラを奔流と化として放った。対して炎翼から

膨大な熱量の炎を嵐のように放ってミカエルの一撃と直撃して拮抗する。


「・・・・・」


ミカエルの周囲に球体の魔力が発現した。その魔力からビーム状の光が一誠を襲う。炎の炎翼の他に

金色の翼を出してミカエルと同じ攻撃をして相殺する。


「流石に天使長の名は伊達じゃないか」


炎を焼失して漆黒の鎧から大天使化に成り数多の光の球体を生みだす。その光の球体をミカエルに

 飛来させながらビームを放った。一誠の攻撃に翼を羽ばたかせ飛行してかわし続け1つ、1つ、

 また一つと飛行しながらミカエルは光の球体を消していく。その光景を見ていると一誠の頭上から、


「ん・・・・・?」


ビッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!


稲妻が落ちてきた。その現象を呼び起こしたのは。


「あー、すんませんね。過去の幽幻龍騎士団。俺の上司を死なす訳にはいきませんので、アーメン」


神父服に身を包んだ、飄々とした男の転生天使、デュリオ・ジェズアルド。ミカエルの『御使い』の

ジョーカ。『煌天雷獄』神滅具で最強の神滅具『黄昏の聖槍』の次に強い神滅具。天候を操り、

いかなる属性を支配する上位神滅具の所有者。


「ミカエルさま。大丈夫ですかー?」


「ええ、助かりましたよ」


「あれで、倒れる人ではないですよね?」


「その通りですよ」


デュリオは手応えを感じながらも一誠が負けたとは微塵も思っていない。―――現に一誠は・・・・・。


「・・・・・なるほど、お前が『煌天雷獄』の所有者・・・・・。ミカエルの『御使い』のジョーカであり

最強のエクソシスト・・・・・デュリオ・ジェズアルド。ジーク、ゼノヴィア、イリナから聞いていたが、

まさか此処で対面するとは思わなかった。過去では会った事が無いからな」


金色の翼で稲妻から身を守っていた無傷の一誠が2人を見下ろしていた。


「天候を操り、属性を支配する神滅具・・・・・欲しいな。その力」


「そうやって力を集めていたから討伐されたんだと知りませんか?」


「家族を守るためだ。それに俺は戦いより皆とのんびり過ごし、皆と美味しい料理を食べるほうが

好きな方だぞ。あ、美味しいもの巡りをするのも悪くないな」


「うん、解る。俺もそう思うよ。俺も暇な時はよく人間界で放浪しながら美味しいものを

巡っているんだよね」


「・・・・・それでよくミカエルのジョーカに成れたもんだな。重要な立場なんだろう?」


「そうなんです。ええ、なのにデュリオは暇さえあれば天界からいなくなる事が度々あってこちらも

困っているんですよ」


「美味しいものを食べないでいつ食べると言うんですか。良いじゃないですか、休暇な時ぐらいは」


「貴方にはまだ色々としてもらいたい事があるのですよ。それに自分の立場を考えて行動をしてください」


「分かっていますよ。自分の立場ぐらい。ですがね―――」


と、戦いとは無関係な話しを3人はしばらく続けていた。そんな中、相棒のブラフマーを取り戻した

この時代の一誠が戻ってきた。


「・・・・・何しているんだ、お前たち」


「「「・・・・・あっ」」」


戦いを忘れていたとばかりに3人は、すっかり話し込んでいた。既に天使たちはヴァーリたちに倒されていて

残りはミカエルとデュリオの2人のみと成っていた。


「何時の間にか味方が全滅していましたね」


「・・・・・不覚でした」


「ミカエルって意外と・・・・・いや、なんでもない。・・・・・未来の俺、見つけたか?」


「ああ、この通りだ」


『ほう、確かに兵藤一誠だな』


金色の大剣を見せびらかす。この時代のブラフマーは過去の一誠の姿を見てどこか面白そうに呟いた。

この時代の一誠はミカエルとデュリオに向かって話し掛ける。


「・・・・・さて、残りはお前たち2人だけだ。―――なにか、言い残す事はあるか?」


「「・・・・・」」


ミカエル、デュリオは互いの顔を見詰めて口を開いた。


「最後まで足掻きましょうか。デュリオ、私のジョーカ」


「そうですね。できれば一矢報いたいですよ」


2人は苦笑を浮かべて最期の言葉を言った。―――そして、


「はああああああああああああああああああああああああああああっ!」


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


全力で一誠たちに戦いを挑んだ―――。



―――冥界



「なんだ、もうお終いか?」


「はぁ・・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・」


「ふぅ・・・・・ふぅ・・・・・ふぅ・・・・・」


ガイアの視界に満身創痍のサーゼクスの眷属たちが倒れていた。つまらなさそうに嘆息する。


「木端悪魔が我に敵う訳なかろう。そう思うわないか?サーゼクス・グレモリー」


「・・・・・」


無表情でガイアの問い掛けに無言で返す。そんなサーゼクスにもつまらなさそうに表情を浮かべる。


「・・・・・っ」


「遅いぞ」


沖田が不意打ちをしようと瞬時でガイアの前に移動して刀を振り下ろすが人差し指と中指で刀を挟んで

受け止めた。


「懲りぬやつだ。我は本来、戦いを好まないが今回は別だ」


パキィィンッ!


指の力で刀を折り、破壊した。ガイアの行動に沖田は、刀を放して身体の各部位に魔力で刃を変幻して

ガイアに斬りかかる。最初の斬撃をかわしたガイアは手のひらを沖田に突き出し―――


「神龍の一撃を食らうがいい」


真紅の極太のオーラを放った。


「―――申し訳ございません。サーゼクスさま―――」


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォッ!


それがサーゼクス・グレモリー眷属『騎士』沖田総司の最期の言葉だった。そして、ガイアの攻撃は

グレイフィアを残してサーゼクスの眷属たちも消滅した。


「・・・・・総司・・・・・すまない」


「総司・・・・・皆・・・・・そんな・・・・・!」


情愛、慈愛、慈しみ、眷属を愛するグレモリー家にとって家族当然の1人が死んでしまって悲しむ。


「そうだ。今のお前たちが感じている感情こそが俺たちがずっと抱えて生きていたものだ」


クロノスが金色の結界に近づきながら口を開いてこの時代のリアスたちに話し掛ける。


「お前たちはあの時の俺たちの立場にいる。どうだ、俺たちの立場に成って俺たちの気持ちは分かったか?」


「・・・・・」


この時代のリアスが涙ぐみ、憎しみ、恨みの念を籠めて瞳に乗せクロノスを睨んだ。


「そんな瞳を向ける資格は無いぞ。お前たちが最初に俺たちの大切なものを奪ったんだからな。寧ろ、

俺たちがお前たちを憎しみ、恨み、憎悪を抱いて生きていた」


すると、クロノスたちがいるアグレアスドームのステージに巨大な魔方陣が現れた。一瞬の閃光が放ち、

閃光が止むと天界に行っていた一誠たちが戻ってきた。フェンリル親子、アポプスとアジ・ダハーカも

一緒に。


「ただいま、相棒を取り戻してきた」


「お父さん、お帰りなさい」


『久しぶりだな、兵藤一誠の息子』


「久しぶり、ブラフマー。また会えて嬉しいよ」


再会する喜びをクロノスは感じる。再びあの時のように家族全員で幸せに暮らせるんだとそう思って

仕方が無かった。


「・・・・・イッセー・・・・・天界は・・・・・」


「ああ―――滅ぼしたぞ。天使も熾天使も全て俺たちが滅ぼした」


「「っ・・・・・」」


「ついでに天界が所有していた『煌天雷獄』も手に入れた」


「なっ!?」


「この時代の神滅具だから過去に持っていく事はしないから安心しろ。そうだな・・・・・クシュリナ」


一誠はこの時代のメイビスと一誠の間に生まれた娘の名前を呼んだ。少女はトコトコと一誠に近づく。


「この時代の俺とメイビスの間に生まれた娘だ。神滅具『煌天雷獄』はお前が持つべきだと思う」


「・・・・・」


「受け取ってくれるか?神の娘、クシュリナ」


「はい、お父さまとお母さまの娘として私、クシュリナは神滅具を受け取ります」


クシュリナの言葉を聞いて満足した一誠は手を光輝かす。そしてその手を―――。


ズッ!


―――クシュリナの胸に突き刺した。


「んあっ・・・・・」


「・・・・・」


胸を貫いた手をゆっくりと引く。クシュリナの胸を貫いた筈なのに傷も無く、血も出なかった。

変わりに広がった穴がみるみる内に塞がって元に戻った。


「移植完了」


「・・・・・」


そう呟く一誠にクシュリナは胸に手を触れて自分の中にある神滅具を心の中で感じる。


「どうだ?」


「はい・・・・・でも」


「ん?」


「その・・・・・胸を触られた感触が・・・・・」


「・・・・・俺はそんな感触は無かったんだがな・・・・・」


恥ずかしそうに胸を隠すようにするが逆に豊満な胸をさらに強調する。

一誠はポリポリと頬を掻いて困った顔をする。


「過去の俺」


「ん?」


「覚悟は良いか?」


封龍剣と漆黒の大剣を一誠に向けて突き出し、ニッコリと笑うこの時代の一誠。しかし、

 目が笑っていなかった。その言動に一誠は慌てる。


「はっ!?ちょ、待て!俺が何をしたと言う!?」


「例え、過去の俺だろうとも娘の胸を触れてはいけないんだよ!」


「触っていないし!見ていただろう!?穴を開けて直接魂に神滅具を移植したのを!」


「それでも俺は許さん!」


「ふざけんなよ!未来の俺!」


ガキンッ!ギンッ!ガギッ!ギャンッ!ドゴンッ!ギィィンッ!


・・・・・何故か、過去と未来の一誠が攻防を繰り広げ始めた。その光景を見て唖然とする一同。


「・・・・・あれ、止めなくても良いの?」


「というか、未来の一誠は親馬鹿なんだね・・・・・」


「まあ・・・・・もの凄く一誠は子供たちを可愛がっていたからね」


和樹が呟くとこの時代の和樹が苦笑を浮かべて答えた。


「お。お父さま!止めてください!」


「止めてくれるな、クシュリナ!俺はいまお前を穢した俺を倒す!」


「殺す気満々か!?俺が死んだらお前も死ぬんだぞ!?」


「構わん!娘の為なら俺は死を恐れない!」


「あほかぁああああああああああああああああああああああああああっ!?

 甦らした意味が無いじゃないかぁあああああああああああああああああああああっ!」


衝撃の言葉に一誠は声を張り上げてこの時代の一誠に非難する。―――その時だった。


「―――お父さま!」


「クシュリナ、だから―――」


「いい加減にしないと私はお父さまの事を嫌いに成りますよ!」


「―――っ!?」


ピタッ!とこの時代の一誠の身体が硬直した。その様子を見た一誠は唖然とした。


「「「「「「「「「「(あれ、この感じってどこかで・・・・・・)」」」」」」」」」」


過去の幽幻龍騎士団はデジャブを感じていた。この時代の一誠は恐る恐るとクシュリナに振り向く。


「・・・・・いま、何て・・・・・言った?」


「過去のお父さまに攻撃するお父さまは嫌いですと言ったのです!」


「・・・・・」


ハッキリと拒絶の言葉を言われてこの時代の一誠は心底ショックを受けて口を大きく開けて固まった。

そして、この時代の一誠はフラフラとその場に座り


「・・・・・娘に嫌われた」


もの凄く落ち込んだ。その光景を見て過去の幽幻龍騎士団は


「「「「「「「「「「(あ・・・・・サーゼクスとセラフォルーだ)」」」」」」」」」」


と、過去のサーゼクスとセラフォルーに視線を向けた。サーゼクスとセラフォルーはこの時代の一誠に

近づき手を肩に置いて「分かる、分かるよ、その気持ち」と言った感じで首を何度も振った。


「過去のお父さま・・・・・すいません、お父さまはたまに暴走してしまう事があるので」


「あ、ああ・・・・・気にしないでくれ」


ペコリと謝罪するクシュリナに呆然となりながらも返事をした。


「さて、クロノス」


「・・・・・?」


「お前たちの復讐はほぼ完了したと言っても良い。冥府と天界は滅んだ。この冥界ももうじき滅ぶだろう」


「ああ、本当に感謝しているよ。ありがとう」


「こいつらをどうするかはお前たちに任せる。後はお前たち未来が決める事だ」


カッ!


過去の幽幻龍騎士団の足下に巨大な魔方陣が展開した。


「アジ・ダハーカ。過去に帰るぞ」


『思う存分に喰らい、楽しめた。未来のアポプス、此処で別れだ』


『この時代にお前がいるのに別れとは可笑しな話だ』


アジ・ダハーカは全身を輝かせて一誠の中に戻った。サーゼクスとセラフォルーも光輝く魔方陣に入り帰る

準備をする。


「クロノス。また過去に遊びに来てくれ。俺たちは大歓迎するぞ」


「ああ、絶対に行くよ」


一誠とクロノスが握手をした。また何時か会おうと約束をして・・・・・。そして、

魔方陣が一層に輝きだした―――刹那。


「―――帰らすかよ!やれッ!」


ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!


「「「「「「「「「「―――っ!?」」」」」」」」」」


謎の声と共に巨大な鳴き声がアグレアスドームを響かせる。同時に巨大な火球が過去に帰ろうとする

一誠たちを襲う。一誠は過去に帰る事を中断して巨大な火球を無力化にした。


「っ・・・・・!あいつは・・・・・!」


空を見たクロノスが突然、憤怒の形相を浮かべ始めた。クロノスだけじゃない。この時代の幽玄龍騎士団、

この時代の一誠たちの子供たちが怒りを露わにして空を睨んだ。一誠たちも顔を上げて空を見る。


「・・・・・おいおい、何なんだ?―――あの『数』は」


クロノスたちは怒りで見ているが一誠たちは唖然として見ていた。

―――空を埋め尽くすほどのドラゴンたちを。


「―――ドラグニルッ!」


「・・・・・そうか、あそこにいる奴が・・・・・この時代の成神とグレモリーの子供か!」


漆黒の龍の額の上に乗っかっている真紅の髪に何処かこの時代の成神に似ている容姿を持つ男が

過去と未来の幽幻龍騎士団を見下ろしていた。


「よくも・・・・・よくも冥界を・・・・・お母さまたちと傷つけたな・・・・・!

許さない、許さないぞ・・・・・幽幻龍騎士団!」

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