小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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怒り


「「・・・・・」」


「リアスお姉さま!しっかりして下さい!」


「リアス!」


目の前で自分の子供を殺されて大きなショックを受け、この時代のリアスは無言で涙を流し崩れ落ちる。

一方、この時代の一成も涙を流し煙が晴れて姿を見せるクロノスを上空にいる一成に憎悪を籠めた瞳で睨む。


「そんな目で睨みつけられても困るんだがな・・・・・」


「お前・・・・・!ドラグニルと友達だっただろうが・・・・・!どうして、どうして平然と殺したぁ!?」


「俺たちの両親を殺し、お母さんたちを封印した元凶を殺さずにいられるか。というか、もう忘れたのか?

『幽幻龍騎士団に、家族に手を出したら容赦しない』と」


「それがこれか!?俺たちがお前等に手を出した結果がこれだと言うのかよ!天界を滅ぼして、冥府も

滅ぼして今度はこの冥界も滅ぼす気かよ!?―――俺たちの子供を殺してまだ報復をしようとするのかよ!」


「俺たち父さんたちの子供が今まで味わった苦痛を思い知らせるまではするさ。言った筈だ、

これは復讐だと。俺たちの家を滅茶苦茶にして、ザナドゥをさり気無く乗っ取ったお前たちに対する復讐だ」


「ふざけんなよ・・・・・!ふざけんなよ・・・・・!幽幻龍騎士団!お前等がしていることは

ただのテロだ!『禍の団』がしてきた事と全く同じ事じゃねぇかよ!」


「似ているけど違うぞ、成神。それぐらいの違いが分からないのか?」


呆れながらこの時代の一誠が金色の結界に近づいた。


「俺たちはお前たちにただの『仕返し』をしているだけだ。・・・・・過去の俺、やってくれ」


「いいのか?」


「なにがだ?」


「いや、この時代の成神と最期に戦わなくても良いのかって意味」


「あー、そう言う事か?いや、別にいいや。というか、禁手化にならなくても勝てる相手に戦っても

無意味だ」


「兵藤・・・・・ッ!」


「流石に3回も死んでパワーアップしたってか?」


「YES、その通りだ。お前も死んでみるか?」


「・・・・・流石に3度も死んだら家族が悲しむから遠慮しておく」


そう言いながらこの時代の一誠の隣に降りて鎧を解き、金色の結界に向かって腕を伸ばす。


「呆気ない最期だな。グレモリー眷属。この手を閉じればお前たちは死ぬんだから」


「戦え!俺と戦え!兵藤!」


「・・・・・」


ゆっくりと手のひらを何かに掴むように閉じていくとそれに呼応して金色の結界が小さくなって

この時代のリアスたちを圧縮していく。


「お父さま・・・・・!お父さま・・・・・!」


「―――あ、そういえば堕天使たちの本拠地に攻め込んでいなかったな・・・・・。まあ、

後で攻め込めば良いか」


この時代の朱乃が父親に助けを求める声を聞いて一誠は忘れていたかのように呟いた。後、ほんの一握りで

金色の結界が完全に圧縮するぐらいにすると


「―――さようなら、この時代のグレモリー眷属。過去のグレモリーとはもう少し接し方を改めてみるよ」


最期の言葉を投げ掛けて一誠は拳を―――


―――ガシュッ!


握れなかった。影から出てきた狗のようなものに腕を食いちぎられて。


「・・・・・なんだと?」


「こいつは・・・・・―――神滅具『黒刃の狗神』!」


「―――朱乃ぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


「っ!?」


上空から悲鳴のような叫びと共に巨大な光の槍が複数も降り注いできた。過去と未来の一誠は

光の槍を避ける。


「過去の俺、大丈夫か!?」


「やられた、腕を取られたぞ」


「いま、その腕を戻してやる!」


『命』の宝珠が光輝き、一誠の体に神秘な光が覆う。食い千切られた腕に光が集束して、

みるみる内に腕としての形が成っていく。そして、一誠の腕が戻ると『幻想喰龍之鎧』を身に包んだ。


「サンキュー」


「お前が死んだらこっちが困るんだよ。・・・・・さて、あの狗がいるとなるとお出ましのようだ

―――堕天使の勢力がな」


上空を見上げると黒い翼を持った数多の存在が金色の結界を近づけさせないばかりに集まりだして

一誠たちと対峙する。そんな中、1人の黒い翼を持つ男―――堕天使が金色の結界に近づく。


「バラキエル・・・・・ッ!?」


「お父さま・・・・・ッ!」


「アザゼル、朱乃・・・・・!」


朱乃の父親、バラキエルその人だった。バラキエルは金色の結界に触れるとそれを拒むようにバチッ!と

音を立てて弾いた。


「無駄だ、この結界は兵藤しか解けない。破壊するにも逆に跳ね返って攻撃が食らっちまうんだからな」


「なに諦めているんだ!まだ他にもこの結界を解く方法がある筈だぞ!」


「俺たちは敵にしてはいけない奴等を敵にしちまったんだ。天界にいるミカエルも冥府にいたハーデスの

ジジイも既に滅ぼされている。バラキエル、シェムハザに伝えて生存している堕天使たちを連れて

冥界から逃げろ。―――冥界も滅ぼされる」


「バカな事を言うな!それでもお前は―――」


ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


不意に激しい衝撃が起きた。バラキエルは背後に振り向くと邪龍たちが堕天使たちと戦っていた。だが、

それは一方的な戦いだった。光の槍を邪龍たちの身体に突き刺しても拳を突き出し、魔力を撃ち出し、毒を

吐き出して来る。この時代の一誠が神滅具『黒刃の狗神』と言っていた神滅具の所有者は過去と未来の

一誠たちと戦っていた。だが、禁手化状態の2人に成す術も無く倒された。


「刃狗が・・・・・!?」


「過去と未来のイッセーが揃って戦われたら誰も勝つ事が不可能だ。リアスとイッセーの子供の

ドラグニルも殺されたしよ」


「・・・・・」


「お父さま・・・・・!」


「朱乃・・・・・」


「お父さまだけでも逃げて下さい・・・・・ッ!私たちはもう・・・・・ダメです」


「弱気に成るな!まだなんとか成る筈だ!いや、俺がこの結界を壊してやる!」


光の槍を発現して結界に突き出す。しかし、結界を守るように透明なバリアが現れて槍を防ぐ。


「おのれ!おのれ!朱乃を、朱乃を解放しろ!俺の娘を・・・・・!俺の娘を・・・・・!返せ!」


何度も何度も光の槍を結界に突き刺すが効果が無かった。それでも諦めずにバラキエルはたった1人の娘を

救おうと結界に槍を突き続ける。


「残りはお前だけだな、バラキエル」


「―――っ!?」


自分に声を掛けられ、背後に振り向くと大勢の堕天使たちが地面に平伏していた。何時の間にか自分だけが

地面に立っていて2人の一誠がバラキエルに近づく。


「仲間より家族を取る・・・・・。泣かせてくれるな。同じ家族を愛する者としては尊敬に値する」


「今すぐアザゼルを、朱乃を、朱乃の仲間たちを解放しろ!」


「恩を仇で返すグレモリー眷属を解放してもまた仇で返されるのがオチだ。―――断わる」


「この・・・・・悪魔が・・・・・!」


「失礼な、俺たちは人間だぞ。悪魔はお前の後ろにいるじゃないか。それにこの程度で俺たちを

悪魔呼ばわりするなよ」


一誠の瞳が不意に煌めいた。―――すると、結界の中にいた筈のこの時代のギャスパーがいなくなった。


「・・・・・ギャスパー?」


「ど、どこに行った・・・・・?」


「・・・・・」


今度はアーシアがいなくなり―――


「アー・・・・・シア・・・・・?」


さらに木場が音も無く結界の中から姿を消した。


「・・・・・佑斗・・・・・?」


―――その後、この時代の成神、リアス、朱乃の視界から次々と音も無く消えていく皆が入る。―――別れを

告げる暇も無く。


「―――『幻想喰龍之鎧』は『滅』に関する能力で体現した究極の全身鎧だ。そして、

この鎧に触れたモノ、または俺が指定したモノに向けて力を発揮するとこの世から消滅、消去する」


「そ・・・・・ん・・・・・な」


唖然、絶望、悲しみの感情を表に出す。消えた皆は音も無く死んだと理解した。―――自分の隣にいた

朱乃も音も無く消失した事も一拍して気付く。


「朱乃・・・・・?朱乃・・・・・?」


バラキエルが自分の娘が消えた瞬間を見て呆然とするが直ぐにバラキエルも消失した。


「『幻想喰龍之鎧』ってやっぱりチートな鎧だよな・・・・・」


「『無限の創造神龍観音』だって十分チートだぞ?神器と神滅具を造れる神滅具なんて聞いた事も無い」


「だから使う機会が無いんだよ。この力を振るう相手がいないからな」


「まったくだ」


お互い顔を見合わせて己の逸脱した力を改めて思い知り苦笑を浮かべる。


「・・・・・我、目覚めるは」


「ん・・・・・?」


「王の心理を天に掲げし、赤龍帝なり・・・・・!」


「成神・・・・・?」


「・・・・・」


この時代の成神が呟き始めた。過去の一誠は首を傾げるがこの時代の一誠は真剣な表情で成神を見据える。


「無限の希望と不滅の夢を抱いて、王道を往く・・・・・ッ!」


「過去の俺」


「なんだ?」


「成神は呪文を唱えている。気を付けろよ」


「我、紅き龍の帝王と成りて・・・・・ッ!」


「呪文・・・・・そうか、この時代の成神はやっぱり成長している訳か・・・・・」


「汝を真紅に光輝き天道へ導こおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおう!」


『Cardinal Crimson Full Drive!!!!!』


成神の全身から莫大な紅いオーラを放って呪文を唱え切った。金色の結界はそのオーラを抑える事が出来ず

内側から破裂した。紅いオーラは真紅へと変わり、光が収まると真紅の全身の鎧を纏った成神が佇んでいた。


「―――ははっ!凄い・・・・・これが、これが未来の成神の力か!」


嬉しそうに嬉々として一誠は笑む。過去とは大違いの力を得て自分の前に立つ男に歓喜している。

それは一誠だけではなく。ヴァーリ、サイラオーグもまた自然と笑んだ。


「殺す・・・・・!殺してやる・・・・・!グレモリー眷属に手を出した事を・・・・・!仲間を、親友を、

殺した事を―――後悔させてやるぜぇええええええええええええええええええええええええええええええええ

えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ

ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!」


空に向かって咆哮を上げる。空気が震え、激しく振動し、アグレアスドームに罅が生じる。今の成神一成は

怒れる真紅い龍の帝王と一誠たちは感じた。


「―――そっちが全力で来るのならこっちも全力で行こうじゃないかよ・・・・・!未来の俺!

―――強奪の呪文だ!」


「ああ・・・・・!こいつを・・・・・殺すぞ!―――サマエル、グレンデル、アジ・ダハーカ、

クロウ・クルワッハ、アポプス!戻って来い!」


「サマエル、アジ・ダハーカ、お前もだ!」


全てのドラゴンたちを呼び寄せ身体の中に宿す。2人の体から禍々しくドス黒い常闇と思わせる程の

黒いオーラを放ち、光輝かせる。


「「我は、世界の全ての悪を抹消せし、黒の皇帝なり!」」


成神と同様に呪文を口ずさむ。


「「たとえ、その身が穢れ、黒く染まろうと!」」


迸る二つの黒いオーラが1つに絡まる。


「「我が魂に懸けて、1つの誓いを掲げ、黒き皇帝に成りて!」」


膨大な1つの黒いオーラと成って―――


「「汝を、光輝きし、救済の道へと、導こう!」」


『黒き皇帝の覇権!!!!!』


ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!


黒い光が弾けた。2人を中心に衝撃波が発生して全てを吹き飛ばす。ステージ、建物、―――全て。だが、

過去と未来のガイアたちは吹き飛ばされないように防御魔法を張り、踏ん張って顔を腕で覆いながら呟きた。


「くっ・・・・・!?一誠・・・・・お前は・・・・・!」


「これ程までにお前は、悪魔に憎悪と恨みを抱えていたと言うのか・・・・・ッ!?」


しばらくして、衝撃波は収まった。黒い光も消失して全員が視線を一誠たちに向ける。

皆の視線の先には―――。


『来い、赤龍帝。滅ぼしてやる』


黒と銀の龍を模した全身鎧、背中には黒いマントを羽織り、両肩と胸部に龍の顎が瞳を真紅に煌めかせ、

腰には黒と銀の尾が生えていて、手には1対の剣と銃が融合した武器を持っている一誠が『1人』だけいた。

ドラゴンの翼を展開して空に飛翔する。


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


成神もドラゴンの翼を展開して一誠に続く。残されたこの時代のリアスは静かに顔を上空に見上げる。


「・・・・・ダメ・・・・・行かないで・・・・・私を・・・・・置いて行かないで・・・・・」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



殺す・・・・・!こいつだけは絶対に殺す・・・・・!俺の愛した女を、俺の大切な仲間を殺したこいつを、

ドラグニルを殺したこいつを殺す!冥界の空を駆ける俺の敵は豆粒に成るほど遠く見える!


『Star Sonic Booster!!!!!』


『赤龍帝の三叉成駒』の1つ、速さが重視の『龍星の騎士』の駒に成ってあいつを追う!最初は豆粒だったが

少しずつ近づいてあいつの姿を―――やっと捉えた!いや、あいつが俺を待っていた!既に、

三つの龍の口から魔力を放とうとしている!


『エンペラー・シャイン!』


ズドォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!


あいつの叫びと共に強大で極大で極太の闇の砲撃が放射された!でけぇ!避けきれねぇ!グレートレッドと

オーフィスの力を借りていないのに邪龍たちの力でこれかよ!


『BoostBooseBoostBoostBooseBoostBoostBoostBoost!!!!!』


『Solid Impact Booster!!!!』


力を倍加の上に攻撃と防御を兼ね備える『龍剛の戦車』の駒に成って防御力を底上げだ!一拍して俺は闇に

直撃して呑み込まれた。


「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


鎧が、罅が生じると同時に剥がれて鎧の中にある俺の体が曝け出して直撃する!鎧を修復している暇もない!


『相棒!ここから早く離れるんだ!あいつは邪龍たちの邪悪な力を借りている!この一撃はいわば、

5匹の邪龍たちが1つに成った一撃だと思え!』


でも、それだけじゃない!俺の肌に突き刺さる嫌な感じは・・・・・俺たち悪魔を怒り、恨み、憎しみ、

憎悪、怨念、様々な負を表に出している!


『相棒!』


ああ、分かっているよ!


『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!』


『Star Sonic Booster!!!!!』


ドラゴンの翼を羽ばたいてなんとか闇から脱出する! 冥界特有の紫の空が俺の視界に入った。

宙に留まり辺りを見渡す・・・・・どこだ、どこにいやがる!


『・・・・・真紅の鎧を纏ってもその程度か』


嘆息をして呟いて、俺の眼前に何もない空間からあいつが現れた。


「兵藤ぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!』


『・・・・・』


悠然と空中に佇み俺がもの凄い速さで向かってもあいつは何の仕草もしない、動作もしない。だったら、

そうしていろ!左籠手からドラゴンスレイヤーの聖剣アスカロンの刃を出してあいつに突き出す!


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


『そっちがアスカロンなら・・・・・こっちは「龍喰者の究極龍殺し」で相手をしよう』


あいつは異空間から二つの黒い大剣を取り出して構える。―――『龍喰者』サマエルの力を具現化にした

武器か!


『相棒、掠っただけでも致命傷だと思え。アスカロンとサマエルの龍殺しの力は天と地の差だからな』


分かっている!一度、あの大剣でやられた事があるんだからな!それが二つなんて最悪だ!


『エンペラー・シャイン』


「なっ!?」


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォッ!


闇が再び俺を襲う。視界が黒く染まってあいつの姿が映らなくなった!俺の体は衝撃と共に吹っ飛ばされる。

てか、またかよ!?


『Half Dimension!』


「っ!」


俺の体に力が抜ける!―――ヴァーリの能力か!


『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!』


半減された力を倍増能力で使って力を戻して翼を羽ばたき闇から抜ける!―――刹那


ドゴンッ!


「がっ!?」


頭にもの凄い衝撃が襲った!もの凄い勢いで地上、森林に突っ込んでいると俺の視界にまた闇が迫ってくる!


「いい加減にしろおおおおおおおおおおおおお!」


『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!』


翼からキャノンを展開させて、吹っ飛ばされながらも砲撃の準備をする!舐めるなよ、過去と未来の兵藤!

俺だって成長して強くなっているんだからな!


「クリムゾンブラスタァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」


『Fang Blast Booster!!!!!』


ズバァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!


砲口から紅色の極大のオーラが解き放たれた!俺が地面に墜落したと同時にそれが闇と直撃して大爆発が生じた。


『なんだ、あれがお前の必殺技なのか?』


そんな最中、俺の視界にあいつが突然いた。直ぐさま体勢を立て直しあいつから離れるがその間にあいつは

何もしてこなかった。・・・・・くっ!何時でもお前を殺せるって事かよ!ムカつく、ムカつく!こんな奴に

俺の大切な人たちが殺されたって思うと憎くてしょうがない!


『さて、そろそろ「お遊び」を止めにしよう。もう飽きた』


「お遊び・・・・・だと?」


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォッ!


また闇が襲う!足を強く踏みしめて踏ん張っていると直ぐに闇が消失した。


『俺の体に触れるどころか傷1つ付ける事が出来ない奴と戦ってもつまらない』


「だったら近づいてお前の身体に傷つけてやる!」


あいつの物言いにカチンと頭にきて翼を広げて魔力を放ちながら突貫する!


『Half Dimension!』


数多の魔力弾がヴァーリの能力の前に半分、次に消失した!俺の力もまた半減したけど倍増能力で俺の力を

元に戻す!


『停止世界の邪眼』


「っ!」


身体が縛られたかのように動かなくなった!―――ギャスパーの能力か!・・・・・でも!


「ふん!」


気合を籠めてギャスパーの能力から解放する!どうだ、この野郎!


『そんなの自慢にもならないぞ』


「―――っ!?」


心を読まれた!?


『・・・・・はぁ、どうして俺はこんな奴を強くしたのか解らないな』


「・・・・・っ」


『確かに強くは成った。過去のお前より遥かに。だが、それでもお前は俺を超える事が出来ない』


あいつの足下の影から人型の異形が現れて俺に跳びかかってきた。迎撃しようと足を動かそうとした。


ガシッ!


「な―――っ!?」


だが、それはできなかった。俺の足下にも異形が影から現れて俺の足を掴んでいた。手を突き出して

異形に放って俺の足から離す!よし、これで―――。


ガシッ!


なっ、またかよ!?背後から抱きつく異形に振り替えて攻撃しようと―――。


「うっふ〜ん!逞しい身体をしているわねぇ〜?」


「此処もワシ好みじゃ・・・・・」


「道に迷っていたら鎧を着た美青年と出会って貂蝉ちゃん、感激!」


「お礼にたっぷりとして差し上げようかの・・・・・ぐっふっふ」


「――――――――」


異形・・・・・じゃなかった。オカマが1人、2人、3人、4人・・・・・。俺の前身を撫でまわすように

野太い腕、筋肉質の腕が這う・・・・・。


『過去と未来の貂蝉、卑弥呼。此処にいたのか』


「あら〜ん?ご主人様ね?素敵な鎧を着ているようだけどどうして此処に?」


『そいつと遊んでいた。飽きていたところだったけどな』


そう呟いたあいつが何故かポンと手を叩いた。・・・・・嫌な予感しかしないのは何故だろうか。


『4人とも、そいつを食っていいぞ』


「「「「・・・・・えっ?」」」」


「・・・・・えっ?」


『実はそいつは―――お前らみたいな漢女が好きでな?本当はずっと女じゃなくて

男に抱かれたかったんだよ』


な、何を言っているんだ・・・・・!?―――はっ!ま、まさか・・・・・!?


『最期にそいつを楽しませてやれ―――思う存分にな』


「ちょ、待て!?何を言っているんだよ!って、何でお前は此処から去ろうとするんだよ!?」


『しばらく5人だけにしておいてやるからだよ。俺がいるとそいつらは恥ずかしくてできなさそうだからな』


「ふざけんな!こいつらと相手にするぐらいならお前と相手にした方が何百倍もマシだ!」


『お前・・・・・俺と愛し合いたいなんて・・・・・やっぱりお前って』


「どう言う思考をしているんだぁ!?そう言う意味じゃなくて戦う意味だよ!」


『因みに今の会話を記録したから』


「それこそふざけんなぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」


「あー、そうそう。そいつが逃げたら俺が殺すから気を付けろよ?」


俺の心からの叫びにあいつは無視して翼を羽ばたいて「終ったら教えろよー!」と言って何処かに行って

しまった!あ、待ってくれ!俺を置いて行かないでくれぇー!


「・・・・・ぐふふっ」


「はっ!?」


「そう、そんなに好きだったなんて・・・・・知らなかったわん」


オカマの1人が口からダラダラと涎を垂らして顔を朱に染める!キ、キモイィィィ!


「最期に殺されちゃうかもしれないから私たちがたっっっっっぷりと可愛がって差し上げましょう?」


「そ、そうじゃのう!では、順番を決めて・・・・・ぐふふ!」


「ジャンケンデ決めようではないか!」


「公平で良いわん。それじゃあ・・・・・」


「「「「さいしょはグー!ジャンケン―――!」」」」


・・・・・4人はジャンケンで夢中に成っている。俺を放っておいて・・・・・この隙に―――。


「ぶるるるるるるるるわああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」


「ひぃっ!?」


「まずは私が一番だわん!」


過去だかこの時代かは知らないけどオカマが腕を上げて喜びの咆哮を上げる!

まずい、此処から逃げないと!翼を広げて空へ!


「・・・・・あらん?あの子は?」


「・・・・・むっ!空に逃げたのじゃ!」


「あっ!待ちなぁああああああああああああああああああさい!私の獲物ぉぉおおおおおおおおおおおおおお

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」


『Star Sonic Booster!!!!!』


オカマ4人が追いかけてくるぅぅぅううううううううううううううううう!足で空を蹴りながらああああああ

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!


「「「「まぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああてぇぇえええええ

えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ

ええええええええええええええええええええ!」」」」


「イヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアぁあああああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」


悪魔が!死神が!怪物が!オカマが!俺に迫ってくるぅぅうううううううううううううううううううううっ!


―――――――――――――――ドガッ!


「がッ・・・・・!?」


俺の体に衝撃が襲った。鎧を砕き、肉を裂いて、貫いた衝撃が俺の体を襲った・・・・・。


『言っただろう、逃げたら殺すと』


あいつの声が・・・・・。がふっ・・・・・!


『しっかりしろ、相棒!』


『無駄だ、サマエルの力を具現化したこの大剣を貫いているんだ。ドライグ、お前のところまでサマエルの

毒が回っている筈だぞ?』


・・・・・目線を下に向けると黒い大剣が俺の腹から顔を見せていた・・・・・。その確認をした途端、

口から大量の血を吐いた・・・・・。


『・・・・・っ』


『グハハハハ!天龍なんて呼ばれている割には呆気ないもんだったな!』


『俺たちの力を合わせれば天龍に勝てるか・・・・・』


『力を増してもこの程度・・・・・』


『さらばだ、紅い龍帝よ』


あいつの中にいる邪龍たちが哄笑、侮蔑、不敵の声音で意識を失う俺に話し掛けてきた・・・・・。

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