小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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三大勢力のトップ会談(3)




成神side



確かに俺や俺の家族は普通だ。先祖の人達の事は知らないけどよ。お前の言う通り特別なものって言ったら俺

の左腕に宿す伝説のドラゴンだけだ。それ以外、何の変哲もない唯の高校生だ。友達だっていたって普通の男

友達で俺と同じ変態な友達だ。でもよ?それがどうした?特別な家系じゃなきゃいけないのか?有名な親の子

じゃなきゃいけないのか?世界一凄い魔術師じゃなきゃいけないのか?それに確かに俺は弱いさ、あの時、人

間のお前に俺は部長を助けたい為に左腕を代償に禁手化になったのに倒されたんだからな。・・・・・だけ

ど、殺す?俺の父さんと母さんを?何で、てめえ何かの都合に合わして殺されなきゃいけないんだよ。貴重だ

とか、運命だとか、そんなの知るかよッ!


成神 「やらせるか」


こいつだけは絶対に許せないッ!


成神 「てめえなんぞに俺の親を殺されてたまるかよォォォォォォォォォォォォッッ!」


『Welsh Dragon Over Booster!!!』


俺の怒りに呼応したのか、神器が真っ赤で強大なオーラを解き放ち始めた!アザゼルから貰っていたリングも

作用したのか、俺は『赤龍帝の鎧』を何の犠牲も払わずに装備できていた。しかし、左腕の籠手の宝玉にカウ

ントダウンらしきものが発生している。時間的には、十五分もない。それでも十秒だけの未完成禁手よりはマシか。


成神 「待っていろ、絶対にてめえをぶっ飛ばしてやる。序でにてめえもだ。兵藤」


俺の真上に戦いを繰り広げている兵藤とヴァーリを強い決意と共に視界に入れ俺も空に飛ぼうとしたその時だ

った


『Half Dimension!!』


グバババババババババンッッ!


と、聞こえたと同時に旧校舎に生えている木々が一瞬で半分の太さになった!え?どう言う事?俺は突然の出

来事に困惑したらアザゼルが俺の疑問に答える様に説明してくれた


アザゼル 「今のは白龍皇ヴァーリの能力だ。今の能力は、周囲のものをすべて半分にするものだ。更に付け

      加えると、アイツに触られた対象は十秒間ごとに力を半分にする能力もある。つまりだ。

     赤龍帝、成神一成。お前にも解り易く説明するとだな――――白龍皇が本気になったら、リアス・

     グレモリーのバストも半分になる」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?俺はかつてないほど

思考が飛び、脳内は疑問符だらけとなった。理解できなかった。俺の世界観を全て根底から崩すような話。俺

はそれを心底理解できなかった。しかし、ふいに底から生じる並々ならぬ激情がふつふつと俺の全身をゆっく

りと支配する。


おっぱい  が  半分  に  なる。


部長  の  おっぱい  が  半分  に  なる。


ギギギと錆びた歯車の様に首だけを動かして、部長へ視線を向ける。部長は俺の表情を見て、少しだけ恐れ戦

いていた。ああ、部長のおっぱい。素敵なおっぱい。俺の大好きなおっぱい。俺の全て。俺の世界。俺の――

―。半分になる・・・・・?部長のおっぱいが?そう思ったら、俺の世界が一瞬にして崩れていった。そして

俺の中の部長のおっぱいが半分になってしまった。俺の大好きな部長のおっぱいが・・・・・。


成神 「ふ」


うん。決めた。俺は決めたぞ。やる事が解った。俺がやる事、それは―――


成神 「ふざけんなァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァッッッ!!」


ヴァーリを倒そう―――。絶対に倒そう―――ッ!それが今の俺のするべき事だ!全てのおっぱいの為に!

ジークおっぱい!ジークおっぱい!ジークおっぱい!


成神 「貴様ッッ!部長のォォォォ!俺の部長のおっぱいを半分の大きさにするつもりかァァァアアアアアア

    アアアアアアアアアアアアッッ!」


『BoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!』


鎧の各所に有る宝玉から音声が幾重にも鳴り響く


成神 「許さないッッ!絶対にてめえだけは許さない!ッッ!ぶっ倒してやるッッ!ぶっ壊してやるッッ!

    ヴァーリィィィィィィィィィッッ!」


『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』


俺の周囲が弾け飛んだ!俺の立っている地面も大きく抉れ、クレーターと化していた。旧校舎の窓が全部割

れ、外壁が崩れていく。俺の全身はかつてないほどの質量のオーラに包まれていた。


アザゼル 「アッハッハッハッ!なんだそりゃあ!?マジかよ!主様の胸が小さくなるかもしれないって理由

      でドラゴンの力が跳ね上がりやがった!」


ゲラゲラと爆笑しているアザゼル。笑い事じゃねぇっ!これは笑い事じゃねぇんだよッ!俺にとっては天地が

逆さまに成る以上に大変なことなんだ!ああ、スクランブルさ!これ以上に無いほどの危機なんだ!大きなお

っぱいには夢が詰まっているんだ!その夢を半分にするつもりか!?ふざけるな、ふざけるなァァァァァッ!

まだやりたい事やしてない事があるんだ!それを奪うな、このクソ野郎ォォォォォォッッ!改めて思い知っ

た。こいつと俺は解り合えない!俺は部長のおっぱいを倍にする事に夢を感じた!なのにこいつは部長のおっ

ぱいを半分にするという!俺はヴァーリに指を突きつける!その指を突きつける勢いの余波で遥か後方の木々

が吹き飛んだ。


成神 「リアス・グレモリーに手を出して見ろッ!二度と転生できないぐらい徹底的に破壊してやらぁぁぁぁ

    ぁぁっ!この半分マニアがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」


俺の絶叫で夜空の雲が割れた。隠れていた満月が姿を現す。


ヴァーリ 「ははは、まさか、女の乳で此処まで力が爆発するとは。しかし、面白い!」


一誠 「えっ『俺の部長』?お前、グレモリー先輩と付き合っているのか?」


白龍皇が俺へ向かって、飛び出してくる。兵藤は俺の言葉に疑問符を浮かべた様子だった。―――遅く感じる

な。バッ!俺はその場から離れ、飛び出してきたヴァーリを横合いから蹴り飛ばした。


ヴァーリ 「速いッ!スピードで俺を超えるのか!?」


知るかッ!勝手にビックリしてやがれ!許すか!こいつを許してたまるか!こいつを野放しにしたら部長どこ

ろか朱乃さんのおっぱいまで半分にされるッッ!くっ!そんな想像しただけでゾッとするぜ!あの素敵なおっ

ぱいが半分になるなんて神ですら許されない行為だッッ!俺は高速で動きまわるヴァーリを難なく捕まえると

―――。


成神 「これは部長のおっぱいの分!」


こいつの腹部に右拳で一撃!俺の脳内で部長のおっぱいが揺れる!


ヴァーリ 「ぐはっ!」


吐瀉物を口から吐き出すヴァーリ!俺はそんなのお構いなしに攻撃を続ける!


成神 「これは朱乃さんのおっぱいの分!これは成長中のアーシアのおっぱいの分!これはゼノヴィアの

    おっぱいの分!」


顔面に一撃を喰らわせ兜を完全に破壊し光の翼を発生している背中の噴出口も破壊!そして、勢いよく、空中

高く蹴りあげるッ!


成神 「最後だッ!これは半分にされた丸っきり無くなっちまう小猫ちゃんのロリおっぱいの分だぁぁぁぁぁ

    あああああああッッ!」


猛スピードでタックルをかます!


ヴァーリ 「ガハッ!」


俺の猛タックルにヴァーリが吐血する。よっしゃ、ざまーみろッ!俺の脳内の部長達のおっぱい達が揺れ、

弾み、成長、喜び、泣いた!俺は部長達のおっぱいを救ったんだ!


ダガンッ!


地面に叩きつけられるヴァーリ。俺の怒りは収まらず、野郎に近づき言い放つ。


成神 「小猫ちゃんはなぁ!小さいおっぱいを気にしてんだぞ!?其れを半分!?俺が許さない!あの子から

    これ以上おっぱいを奪うなッッ!その苦しみをお前には理解できるのか!?この半分マニアめッ!」


クソッ!怒りが収まらない!もう一発殴っておくべきか!?憤怒する俺とは対照的にヴァーリは嬉々として笑

みを浮かべるだけだ。ムカつくぜ!


ヴァーリ 「・・・・・面白い。本当に面白い」


一誠 「・・・・・いや、唯の変態しか見えないぞ。言動が最低すぎる」


そう言いながら地上に降りてきた兵藤、何だと!?俺は部長達のおっぱいを半分マニアから守っただけだ!


一誠 「―――さて、もしかしたらアレを開けるカギとなるものが俺の目の前にあるから其れを貰うぞ?今回

    の協力した報酬としてな」


成神 「何?貰うって」


なにを―――と、言葉にしようとした瞬間、兵藤の眼が煌いたと思ったら俺の体は首から下までが動かなくな

った!?ヴァーリもどうやら俺と同じようで動けない様だ。って、この感じ見覚えがあるぞ!

・・・・・ま、まさか


成神 「お前、ギャスパーの神器の能力を奪ったな!?」


一誠 「ご名答。俺の神器、『強奪』は俺が触れた対象の持つ能力を奪い、自分のものにする能力だ。

    つまり―――」


ヴァーリの肩に触れ「強奪」と呟くと兵藤の背中が光輝き形を作っていった。それはヴァーリの神滅具

『白龍皇の光翼』だった。でも、色は逆の漆黒の色で噴出口から真紅のオーラを噴き出している。ヴァーリは

その光景を見て目を見開いた


一誠 「見て解っただろう?俺自身の神器の能力は神滅具の力さえ奪えるんだ。まあ、ドライグとアルビオン

   は流石に奪えないけどな・・・・・今のところ」


成神 「くっ、欲しいもんが手に入ったならさっさと解け!」


怒声で兵藤に向かって言うが「まだだ。後二つある」と人差し指と中指の二本の指を立て俺に言う


成神 「一体何が欲しいんだよ!?」


一誠 「お前とヴァーリの鎧の宝玉だ」


バギャンッッ!


拳を思いっきり突きつけたと思えば俺とヴァーリの鎧を粉砕した!痛みを感じていないから鎧だけ壊したと言

うのか!?俺の紅い鎧の緑の宝玉とヴァーリの白い鎧の青い宝玉は一つだけ残こって他の宝玉は全て傷つける

事も罅を入れる事すらせずに俺達の鎧から外れて地面に転がり落ちた。それを兵藤は全部拾い式森の方へ放り

投げると、いつの間にか長くて細い筒状の二つの容器があって器用に青、緑と色別に分けて入れられる


一誠 「欲しいものが手に入った事だし解くぞ。それにヴァーリの迎えも来たようだしな」


「おや?バレテたんかい?」


夜空に浮かぶ満月をバックに人影が一つ、俺達の許へ舞い降りた。神速で俺と兵藤とヴァーリの間に入り込ん

でくる。・・・・・三国志の武将が来ている様な鎧を身に纏った男だ。


「ヴァーリ、迎えに来たぜぃ」


さわやかそうな顔つきの若い男性だ。そいつは気軽にヴァーリへ話しかける


ヴァーリ 「美猴か。何をしに来た」


白龍皇は口元の血を拭いながら立ち上がった


美猴 「それは酷いんだぜい?相方がピンチだっつーから遠路はるばるこの島国まで来てやったのによぅ?他

    の奴等が本部で騒いでいるぜぃ?北の田舎神族と一戦交えるから任務に失敗したのなら、さっさと逃

    げ帰って来いってよ?カテレアはミカエル、アザゼル、ルシファーの暗殺に失敗したんだろう?なら

    観察役のお前の役目も終わりだ。俺っちと一緒に帰ろうや」


ヴァーリ 「・・・・・そうか、もう時間か」


何を勝手に話し込んでやがるんだ?


成神 「なんだ、おまえは?」


俺が突然現れたそいつに指差して訊く


アザゼル 「―――闘戦勝仏の末裔だ」


答えたのはアザゼルだった。はて?全く聞き覚えは無いんですけれど?


和樹 「知らないの?闘戦勝仏って言ったら西遊記で有名な孫悟空の事だよ?」


・・・・・え?ええええええええええええええええええええええええっ!?


成神 「そ、そ、孫、悟空ぅぅぅぅぅっ!?」


さっきまでの怒りが吹き飛ぶほどの驚きだ!だってこいつが、あの有名な伝記の!


一誠 「じゃあ、あいつは孫悟空本人でいいのか?」


アザゼル 「正確に言うなら、孫悟空の力を受け継いだ猿の妖怪だ。しかし、まさか、お前まで『禍の団』

     入りとは世も末だな。いや『白い龍』に孫悟空か。お似合いでもあるかな」


美猴 「俺っちは仏になった初代とは違うんだぜぃ。自由気ままに生きるのさ。俺っちは美猴。よろしくな、

    赤龍帝」


アザゼルの言葉にそいつはケタケタと笑いながら俺は気軽にあいさつされた。美猴と言う妖怪は、棍を手元に

出現させるとクルクルと器用に回し、地面に突き立てた。刹那、地面に黒い闇が広がる。それはヴァーリと美

猴を捉えるとズブズブと沈ませていく。逃げるつもりか!ふざけんな!てめえには一度おれのおっぱい

論をだな!


成神 「待て!逃がすか!」


捕まえようとするが―――。カッ!と身体が一瞬の閃光を放ち俺の神器が解除される。鎧が消えて、俺の力を

助けてくれていたリングも崩れ去った。リングに助けてもらっていた禁手状態が解けちまった!


成神 「アザゼル!あのリング、まだないのか!?こいつを逃がす訳にはいかないんだ!」


アザゼル 「あれは、精製に恐ろしいぐらいの時間が掛かる。量産もできん。それにあったとしても多用すれ

      ば完全な禁手になれる可能性が薄れるんだよ。―――あくまで緊急処置用だ」


今がその緊急用だ!こいつには散々コケにされたんだ!帰してたまるか!―――っ。突如。激しい疲労が俺を

襲う。・・・・・足に力が入らない。拳も握れないぞ・・・・・


アザゼル 「あれだけの力を一瞬とは言え爆発的に発散すれば体力やらも空っぽになる。今のお前じゃ、貯蔵

      できるものが限られていて長時間の戦闘は無理だ」


・・・・・ヴァーリと兵藤はずっと鎧を着ているじゃないか。―――っ。そうか、やはりそれが俺とあいつ等

の決定的な差。俺がいくら一時的に奴を超えても長時間それを維持できなければ意味が無い。


ヴァーリ 「旧魔王の血族で白龍皇である俺は忙しいんだ。敵は天使、堕天使、悪魔だけじゃない。いずれ、

      再び戦う事になるだろうけど、その時は更に激しくやろうお互いもっと強く―――」


それだけ言いかけて、白龍皇は孫悟空と共に闇の中へ消えていった。



――――――――――――――――――――――――――――――――


一誠side



今回は収穫があったな。レヴィアタンの妹を捕獲して強力な神器の能力を奪えたり、白龍皇の強さも把握でき

た。それにアレのカギとなるだろう宝玉も手に入った。良いこと尽くめだ。


一誠 「アザゼル、その腕は大丈夫か?」


アザゼル 「ん?ああ、これか?別に対したことじゃねぇよ」


一誠 「そっか。だけど、そのままでサーゼクスのところへ行ったら何かしら償おうとするだろうから治して

    やるよ。―――禁手化」


俺の全身は光に包まれ、とある神器の禁手化になった。光が収まると俺の頭上に金色の輪が浮かんで瞳が蒼く

金色の長髪に成ってメイビスと同じ金色の六対十二枚の翼が生えた姿になった


リアス 「て、天使!?」


成神 「それにミカエルさんと同じ翼の数だ・・・・・どう言う事なんだ?」


ギャスパー 「ヒィィィィィィッッ!?消滅されちゃうぅぅぅぅぅぅ!」


アザゼル 「おいおい、一体いくつ神器を持っているんだよ?お前は神器の宝箱か」


失礼な、俺は宝箱じゃねぇよ!心の中でツッコミながらアザゼルに手を突き出して金色のオーラを放った。金

色のオーラはアザゼルを包み込むと左腕が一瞬の閃光が発生し腕が再生していく。そして、金色のオーラが消

失した頃にはアザゼルの左腕は元に戻った


アザゼル 「へぇ、どの回復系統の神器を超越した神器だな?それは神滅具か?」


一誠 「この神器はお母さんから貰った神器だ。神滅具じゃない」


再生した自分の左腕を見て訊かれるが違うと訂正する


アザゼル 「となると、それは『神愛護珠』の禁手化だな?お前の母親の兵藤一香が持っていた神器で間違い

      ないな」


一誠 「・・・・・此処にも俺の両親と交流を持った人がいたよ・・・・・」


言ってもいないのに神器の名前と俺のお母さんの名前も言い当てた事に俺は呆れる。


アザゼル 「ハハハッ、まさか、あんな小さかった赤ん坊がこんなに強く立派に大きくなりやがって」


ワシャワシャと力強く俺の頭を撫で回す


リアス 「・・・・・貴方の両親の交流関係は一体何処まで広がっているのよ」


一誠 「・・・・・俺だって知りたい」


この分じゃあ他の国に住む有名な人達と交流を持っているかもしれない・・・・・


一誠 「―――カテレアにも傷を治さないとな」


「それに、サーゼクスにお願いしたい事もあるし」と思いながらカテレアに近づき傷を治す


カテレア 「私を連れて行って組織の情報を吐かせる気ですか?」


一誠 「情報を教えてくれてもなくてもどっちでもいい。貴女を連れていくのはさっきも言ったように理由が

    あるからだ。和樹、念の為に捕縛してくれ」


和樹 「了解、これからどうするの?」


カテレアに捕縛魔法を施し光の檻を消しながら俺に訊く


一誠 「サーゼクス達のところに行こう」


アザゼル 「そうだな。向こうも落ち着いた頃だろうしな」


俺達は旧校舎を後にした。



―――――――――――――――――――――――――――



俺達が校庭に足を踏み入れた時、


「あ、足が・・・・・」


「や・・・やばい・・・・」


「す、すみません・・・・・足が痺れて」


「うおお・・・・・」


四つ這いになったり、足を延ばしたり、立ち上がろうとするが足の痺れに上手く立ち上がれずにいる天使、堕

天使、悪魔の軍隊がいた。サーゼクス達も自分達の部下達を見て困惑していた。


セラフォルー 「どうしよう?」


ミカエル 「しばらくは動けない様ですね・・・・・」


サーゼクス 「そのようだな」


あー、緊急事態になるまで正座し続けろと言っていたな。でも、何で禍の団が襲来して来た時に動かなかった

んだ?


アザゼル 「魔術師の奴等が強制的にヴァンパイアの神器を禁手状態して校舎を外で取り囲んでいたこいつら

      も停められていたんだよ。きっとこいつらは正座したままの状態で停められていたんだろうな」


一誠 「此処までギャスパーの神器の能力が届くのかよ・・・・・」


停止世界の邪眼の禁手の能力範囲に呆れる通り越して凄いと思った。サーゼクスが俺達を捉えると、

手を上げる


サーゼクス 「無事だったか。良かった。―――アザゼル、キミの隣にいる天使は誰だい?」


アザゼル 「ん?ああ、・・・・・解らないか?」


意地悪そうにニヤニヤと悪戯小僧の様に笑みを浮かべながらアザゼルは敢えて俺の事を言わない。素直に教え

てやればいいのに


サーゼクス 「・・・・・ミカエル、この天使は―――」


ミカエル 「いえ、知りません。私が知る限りでは見た事無い天使です。その上、私と同等の力・・・・・い

      え、それ以上の力を感じます。―――貴方は誰ですか?」


無言で空間を歪ませ裂け目が生まれたら其処に手を突っ込み、エクスカリバーオルタを取り出しミカエルに突

き出す。其れを見てミカエルは大きく目を見開き俺を見た


ミカエル 「まさか、兵藤一誠くん・・・・・ですか?」


一誠 「正解」


一言だけ呟き神愛護珠の禁手を解く。ミカエルは信じられないものを見た目をしたまま俺を見るが続けて話す


一誠 「俺が持っている神器の一つ『神愛護珠』の禁手、『聖なる神の守護天使』の能力で俺は『大天使』に

    なったんだ」


再び禁手になって六対十二枚の金色の翼を羽ばたかせ空へ飛び、倒した魔術師達の死体の真上に留まり金色の

六対十二枚の翼を巨大化にして大きく広げ金色の羽を大量に降り注ぐ。神秘的な淡いオーラを放つ金色の羽は

死んだ魔術師達の身体に落ちると金色のオーラに包まれたと思えば、身体からオーブの様なものが俺のところ

まで浮かび上がり


一誠 「今、楽にしてやるからな・・・・・」


金色の翼で数多のオーブの様なものを覆い囲んで―――浄化する。


一誠 「来世は人に役立つ人生を送るんだぞ」


翼を元の大きさに戻して俺は夜空に浮かぶ満月を見ながら浄化した魔術師達の魂に向けて呟く。そして、サー

ゼクス達のところに降り立ち禁手を解く


『・・・・・・』


何故か和樹以外の皆が涙を流していた


一誠 「和樹、何でこいつ等は泣いている?」


和樹 「感動したからじゃないかな?一誠が敵であるにも関わらずに魔術師達の魂を救済したんだからさ」


それで泣くもんなのか?普通は泣かないと思うんだけど・・・・・あっ


一誠 「サーゼクス」


サーゼクス 「何かね?」


一誠 「一つだけお願いがあるんだけど」


サーゼクス 「良いだろう。言ってごらん」


どうしても聞き入れて欲しい願いだ


一誠 「俺達、幽幻龍騎士団は異種戦としてレーティングゲームに参加したい」


これが俺の願いだ。もし、彼女達も参加したいのであれば人間を止めてまでレーティングゲームをさせる訳に

はいかない


『―――っ!?』


俺の願いを聞き、サーゼクスだけでなく、ミカエル、アザゼルも驚いた表情を見せていた。


一誠 「悪魔、天使、堕天使の三すくみは和平を結んだ。仮にこの先、レーティングゲームに異種族も参加す

   る事になるのであれば俺達が先にその異種族の代表として参加したい」


サーゼクス 「・・・・・」


瞑目して俺の願いをどうしようか考え始めたサーゼクスにアザゼルが話かけた


アザゼル 「良いじゃねぇか、俺は賛成するぜ?」


『っ!?』


賛同の言葉に驚愕の色を染めた面々に不思議そうに言う


アザゼル 「何驚いているんだよ?俺達も和平を結んだようにこいつらも異種戦としてレーティングゲームに

      参加させれば良いじゃないか。それに、こいつなら可能な筈だ。何せ、古のレーティングゲーム

     の覇者の子供だ。その上―――十分すぎる程の力もあるしな」


ニヤリと口の端を吊りあげながら俺の肩をポンと乗せる。更に口を開き言葉を発す


アザゼル 「更に言うと冥界に住む悪魔や俺達堕天使だけじゃなく世界中に兵藤と関わった奴等もきっと賛成

      すると思うぞ?まあ、俺もその一人だがな」


「で、どうする?」と、訊くアザゼルにミカエルが口を開く


ミカエル 「―――私も賛成します」


サーゼクス 「ミカエル・・・・・?」


ミカエル 「アザゼルも言ったように私達は和平を結べました。彼を異種戦として参加させれば近い未来に

      他の種族も交流を持つようになるかと思いますしね」


天使と堕天使のトップが賛同してくれるとは・・・・・サーゼクスとセラフォルーはどうだろうな


セラフォルー 「サーゼクスちゃん、どうしようか?」


サーゼクス 「彼が悪魔に転生してくれれば冥界は賑やかに成ると思っていたんだが・・・・・いや、其れも

       有りかな?だが、・・・・・」


セラフォルー 「サーゼクスちゃん?おーい、サーゼクスちゃーん?」


どうやら、思考の海に入った様でセラフォルーの声が聞こえない様だ。暫くして思考の海から出たサーゼクス

は俺に顔を向け口を開く


サーゼクス 「―――キミの願いを聞き受けるよ。兵藤くん、唯、私からもお願いがあるんだが良いかな?」


一誠 「何だ?」


サーゼクス 「私をお義兄さんと呼んでくれるかね?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ?


一誠 「・・・・・悪い、もう一度言ってくれるか?サーゼクス。ちょっと聞き取れなかった部分が

    有ったんだ」


変な事を言った様な気がしてサーゼクスに訊くと首を頷きもう一度言ってくれた


サーゼクス 「お義兄さんと呼んでくれるかね?と、言ったんだ」


・・・・・・聞き間違いじゃあなかった。グレモリー先輩はその意味を理解したのか大慌てで実の兄に問うた


リアス 「お兄さま!どうしてそんなお願いをするのですか!?」


サーゼクス 「覇者の子供にお義兄さんと呼ばれてみたいのだよ。以前、イッセーくんの家に泊まらせてくれ

       たときにもお願いしたのだが失礼だからと断れてしまったね」


リアス 「わ、私は彼と結婚する気など―――」


サーゼクス 「解っているさ。何せキミは彼の事を―――」


続けて言葉を発しようとしたが「それ以上言わないでください!」と真っ赤な顔でサーゼクスの口に両手で塞

いで会話を中断した。きっと成神の事だろうな、前に婿に迎えるつもりだとか言っていたし


一誠 「その願いは一度言えば許してくれるのか?」


サーゼクス 「うーん、プライベートの時だけ言ってくれたらいいよ」


と、言った後に瞳をキラキラ輝かせ「さあ!私をお義兄さんと呼んでくれ!」って言われ、

心の中で溜息を吐き


一誠 「お、お義兄さん」


顔を横にして恥ずかしながら俺はサーゼクスの願いを叶えた。和樹!笑うんじゃない!


サーゼクス 「ふふ、ふふふ、ふふふふふ・・・・・」


何か突然、サーゼクスが笑い始めた


セラフォルー 「ねぇねぇ、私の事もお姉ちゃんって言ってくれるかな?」


一誠 「調子に乗るな」


ビシッ!セラフォルーの頭に手刀を喰らわすと「いたぁーっ!?」その場にうずくまり両手で頭を押さえる


セラフォルー 「ぅぅ・・・・・。こんなことされたの初めてだよぉ」


一誠 「そっか、なんならもう一度してあげようか?」


手刀を構えるとブンブンと頭を押さえながら首を横に振り「え、遠慮するよ!」と拒否した


アザゼル 「お前・・・・・仮にも魔王だぞ?」


俺は冷や汗を流すアザゼルに「関係無い」とバッサリ言い切った。そこで和樹は何かに閃いた様で俺達に提案

をした。それは―――



一誠 「・・・・・何で集合写真を撮らないといけないんだ」


和樹 「まぁまぁ、良いじゃないか。折角、和平を結んだからその記念写真だって思ってよ」


俺、サーゼクス、セラフォルー、アザゼル、ミカエルと一緒に写真を撮る事になった。勿論、和樹が言いだし

た事だ。言いだした本人はカメラを構えて俺達を撮ろうとしている


ミカエル 「まあ、和平を結んだ証拠にも成りますでしょうしね」


アザゼル 「何にしても早く撮ろうぜ?今度は一人一人お前と撮るみたいだからよ」


セラフォルー 「私はソーナちゃんと一緒に撮りたいなぁ、それと記念にキミも一緒にね?」


サーゼクス 「私もリアスと撮りたいものだ。勿論、キミも一緒に」


俺の周りでそれぞれ好きに言っている中、和樹に「早く撮れ!」と催促する


和樹 「んじゃ、撮るよー!はい、ポーズ!」


カシャッ!


それぞれポーズをした瞬間、和樹はカメラのシャッターを切った。その後、アザゼル、ミカエルと別々に撮っ

た後はサーゼクスと撮り、今度はグレモリー先輩も一緒に撮り、次はセラフォルーと撮った後、復活したシト

リー先輩と一緒に撮った。・・・・・やっと終わった


一誠 「それじゃあ、俺達は帰る」


サーゼクス 「ああ、今日はありがとう。楽しかったよ」


セラフォルー 「・・・・・カテレアちゃんの事よろしくね」


アザゼル 「またすぐに会うと思うが、じゃあな」


ミカエル 「また何時か会いましょう。さようならです」


次元の裂け目を開き、俺と和樹はカテレアを連れて中に潜る



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



次元の狭間=兵藤家



カテレア 「次元の狭間・・・・・貴方達は此処に住んでいるの?」


俺は全身鎧を纏い、和樹は魔力で覆い、カテレアは神愛護珠の能力で次元の狭間を飛んでいる


一誠 「ああ、隠れ家やとしては最適だろう?」


カテレア 「確かしそうかもしれないけれど、此処には・・・・・『神龍』がいるのでは?」


流石に知っているか。まあ、当然だろうな


和樹 「うん、いるね。それに・・・・・迎えに来てくれたようだし」


カテレア 「―――っ!?」


俺達の視界に巨大な赤いドラゴンが飛んできた。ガイアだ


ガイア 『お帰り、どうやら・・・・・目的は達成した様だな』


カテレア 「喋った・・・・・?いえ、それよりどうして?それ以前に目的?」


一誠 「混乱しているのは解る。その答えを話すには俺達の家に着いてからだ」


赤いドラゴンの身体に乗ると踵を返し戻っていく最中、カテレアが俺に問い掛けてきた


カテレア 「貴方は一体・・・・・」


一誠 「俺は俺だ。兵藤一誠だ、他の誰でも無い」


ガイア 『着いたぞ』


赤いドラゴンの言葉に俺は口を閉じ赤い身体を登ると眼前には結界に囲まれた巨大な大地に生えている巨大な

一本の桜が視界に入った。結界が勝手に丸く広がり赤いドラゴンが入るぐらいの大きさになって其処に潜り通

る俺達、巨大な桜の前に翼をはばたかせ降りた。 


一誠 「ありがとうな」


ガイア 「何時もと違うところから帰ってくるから迎えに来ただけさ・・・・・ん?貴様、

     何驚いているんだ」


俺達が下りたと同時に人間化したガイアにカテレアは仰天した様だ。その証拠に眼を見開いてパクパクと口を

動かしている


カテレア 「グ、グレートレッド!?」


ガイア 「如何にもそうだが?・・・・・ああ、我がこの姿になったのが驚いているのか」


納得したのかもう一度、龍化になった


ガイア 『一誠、我はもう一度、泳ぎに行く』


一誠 「解った。行ってらっしゃい」


翼を羽ばたかせ再び泳ぎに行くガイアを見送るとカテレアに向き直る


カテレア 「・・・・・」


一誠 「・・・・・」


ビシッ!


放心している彼女の額にデコピンしたら「ハウッ!?」と覚醒した


一誠 「ほら、行くぞ。貴女に会わせたい人が居る」


和樹 「それが僕達の目的だからね」


カテレア 「あ、会わせたい・・・・・人?」


一誠 「ああ、・・・・・って、どうやらその必要は無くなったようだ」


家の方から紫のロングヘアーを靡かせながら走ってくるレヴィアタンの姿がいた。


レヴィアタン 「カテレア!」


カテレア 「・・・・・姉さん?」


走って来たレヴィアタンはそのままカテレアに抱きつく。カテレアは信じられないものを見た目で言葉を発した


カテレア 「本当に・・・・・本当に姉さんなの?」


レヴィアタン 「そうだよ?あれから随分と時間が経っちゃって私の事忘れたのかな?」


カテレア 「え?何で・・・・・どうして―――あれ?」


突然、彼女の目から涙が溢れ流れた。レヴィアタンは涙を親指で優しく拭うと微笑む


レヴィアタン 「あはは、泣き虫なのは変わっていない様だね」


確かに目の前に自分の姉であるレヴィアタンが生きていると解ると更に涙が流れ始めた。


一誠 「和樹」


和樹 「うん」


俺達は静かにこの場を去る。そして、巨大な桜の前にはレヴィアタンとカテレアのみになった

(捕縛魔法は既に解いた)


カテレア 「―――姉さん」


レヴィアタン 「うん」


カテレア 「っ―――姉さん!」


レヴィアタン 「カテレア!」


カテレアが涙を流しながらレヴィアタンの名前を言いながら抱き締める。レヴィアタンも涙を流し二人の姉妹

は涙を流しながら抱きあう


レヴィアタン 「ごめん、ごめんね?辛い思いをしたよね?心細かったよね?寂しかったよね?私のせいで

        テロリストになっちゃってごめんね?」


カテレア 「いいの、いいの!謝らないで!姉さんが生きてくれて・・・・・私は、私は十分なのっ!!!」


レヴィアタン 「っカテレア!」


カテレア 「姉さん!」


『うわぁぁぁああああんっ!!!』


その後二人は泣き止むまで思いっきり泣き叫ぶ


































ルシファー 「良かったわね、レヴィアタン」


ベルゼブブ 「そうだな」


アスモデウス 「ええ」


物陰で二人の姉妹を見守る三人の元魔王達がいた。

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