小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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冥界へ





夏となって駒王学園は夏休みに突入した今、俺はどこで何をしているのかと思えば


リィィィィィイイイィィン。


グレモリー先輩の里帰りに同行して悪魔ルートで冥界入りする為の列車に乗って冥界に向かおうとしてい

ます。初めての体験だ。悪魔ルートで冥界に行くのは・・・・・今度はアザゼルに頼んで堕天使ルートで冥界

に行ってみたいもんだな


アザゼル 「お前とこうして列車に乗るのも初めてだな?兵藤」


一誠 「俺だけじゃなくても此処にいる奴等もそうだと思うけど」


アザゼル 「つれねぇ事言うなよ。俺はこれでもお前と乗るのを楽しみにしていたんだぜ?」


俺とこんな暗がりの道を進む列車を乗る事が楽しみだったのかよ?


一誠 「それにしてもギャスパーとは久しぶりに会った様な気がするな。学校では見当たらないし」


ギャスパー 「ぼ、僕は部室に籠って生活をしているので・・・・・」


女装で引き籠り・・・・・本当に意味分からん。―――それにしても


小猫 「・・・・・」


暗がりの道を進む列車の窓の方を見ている小猫だが何時もより元気が無いようだな


一誠 「アザゼル、小猫は元気が無い様だけどどうしたんだ?」


アザゼル 「さあな」


興味なさ気に言う堕天使の総督、それでもオカルト研究部の顧問の担当する態度か・・・・・


一誠 「小猫、弁当を作って来たんだが食べるか?」


空間を歪ませてそこから弁当を取り出して小猫に訊くがチラッと一瞥するだけで再び窓の方へ見た


一誠 「・・・・・・・・・・グス」


アザゼル 「おっ?泣くか?泣くのか?」


一誠 「誰が泣くか!」


しょうがなく、空間に穴を生じて其処に入れる。別に無視されて悲しい訳じゃないからな!?


アザゼル 「あー、そうだ。兵藤、聞きたい事が有る」


一誠 「どうした?」


アザゼル 「真なる赤龍神帝と名乗る女なんだが・・・・・知っているか?」


何時になく真剣に聞いてくるアザゼルが俺にそう問いかけた。・・・・・あの時か、すっかりあの時の真紅の

全身鎧にはガイア=女が纏っているって成っているようだな。実際は俺なんだけどさ


一誠 「真なる赤龍神帝?赤龍帝と少し似た名前だな。誰なんだ?」


アザゼル 「いや、知らないならいい。気にしないでくれ・・・・・俺は寝る」


腕を組み、頭を垂れ下げて眠りに入った。俺達を探しているのか?でも何で・・・・・


一誠 「まあいいや、ギャスパー。俺も寝る、着いたら起こしてくれるか?」


ギャスパー 「はい、解りました!」


うんうん、良い子だ。これが男だとは誰も思わないぞ。俺はアザゼルと同じように腕を組み、頭を垂れ下げて

意識を落とす



一時間後



ユサユサ


ん・・・・・誰かに揺さぶられているな


ギャスパー 「先輩、着きました。起きてください」


ああ、もう着いたのか・・・・・眠い


一誠 「くぁ・・・・・」


小猫 「・・・・・眠そうですね」


一誠 「・・・・・まあな」


眠ったらまたメリアとゾラードに呼ばれて話していたから対して寝た気がしないんだ


小猫 「・・・・・行きましょう、部長達が待っていますし」


一誠 「ん、解った」


既に列車は停まっていてドアが開いていた小猫の跡に続くがアザゼルが下りる気配がしなかった。成神も気

づいた様でアザゼルに話かけた


成神 「あれ、先生は降りないんですか?」


アザゼル 「ああ、俺はこのままグレモリー領を抜けて、魔王領の方へ行く予定だ。サーゼクス達と会談が

      あるからな。いわゆる『お呼ばれ』だ。終ったらグレモリー領の本邸に向かうから先に行って挨

      拶済ませて来い」


そう言えばそんなこと言っていたな。そっちはそっちで一応大変みたいだな


成神 「じゃあ、先生あとで」


リアス 「お兄さまによろしくね、アザゼル」


成神とグレモリー先輩の言葉にアザゼルは手を振って応える。その後アザゼルを抜かしたメンバーで駅の

ホームに降りた瞬間―――。


『リアスお嬢様、おかえりなさいませっ!』


パンパンパンパン!


・・・・・此処はパレードか何かか?花火が上がったり、楽隊らしき人達が一斉に音を奏で始めた上に空では

謎の生物にまたがった兵士たちが飛び、旗を振っているぞ


ギャスパー 「ヒィィィィ・・・・・。人がいっぱい・・・・・」


一誠 「ギャスパー・・・・・何故、俺の後ろに隠れる」


コイツに至っては余りの人の数の多さにビビって俺の背中に隠れる始末だ。よく見れば執事やメイドの悪魔が

多い。冥界にもメイドが居るんだな、リーラ達に教えてやらないと


リアス 「ありがとう、皆。ただいま。帰って来たわ」


グレモリー先輩が笑みで返していた。其れを見て執事やメイドも笑みを浮かべる。そこへ見知った顔の女性が

一歩出てきた―――リーラと同じ銀髪のメイド、グレイフィアだ


グレイフィア 「お嬢さま、おかえりなさいませ。お早いお着きでしたね。道中、御無事で何よりです。

        さあ、眷属の皆様も馬車へお乗りください。本邸までこれで移動しますので」


彼女に誘導されて、豪華絢爛そうな馬車のもとへ、・・・・・馬車の馬を見たらやっぱり悪魔が使役しそうな

馬だった。


リアス 「私は下僕たちと行くわ。イッセーやアーシアは初めてで不安そうだから」


グレイフィア 「解りました。何台かご用意しましたので、ご自由にお乗りください」


俺には特に何も言ってこないから自由に乗るとしますか。グレモリー先輩は成神、姫島先輩、アルジェント、

ゼノヴィア、グレイフィアと乗るらしい。と成ると俺は


一誠 「お前等と一緒って訳か。木場、小猫、ギャスパー」


木場 「よろしくね」


小猫 「・・・・・」


ギャスパー 「よ、よろしくお願いしますぅぅぅ・・・・・。」


にこやかに笑う木場と無表情の小猫と少し怯えているギャスパーと馬車に乗る事になった。別に気にしていな

いけどな。俺達が乗り込むと馬車はパカラパカラと蹄の音を鳴らしながら進みだした。風景を見て見ると、舗

装された道と木々。真っ直ぐと道が伸びて・・・・・俺の視界に巨大な建造物が飛び込んでくる。俺達の家程

の大きさじゃないなと思いながら同時に気になり木場に「あの城は?」と聞くとニッコリスマイルしながら


木場 「部長のお家の一つで本邸だよ」


本邸、つまりはもうすぐ目的の場所に着くってわけか、再び風景を見ると綺麗な花々が咲き誇り、見事の造形

の噴水から水が吹きあがり、色彩様々な鳥が飛び回る。この家の庭らしいところを馬車が進んでいた。突然、

木場が「着いた様だよ」と呟くと馬車のドアが開かれた。執事らしき悪魔が会釈をしてくれる。木場が先に降

りて、跡から俺達も続く。両脇にメイドと執事が整列して、道を作っていた。赤いカーペットが巨大な白の方

に敷かれて、巨大な城門が「ギギギ」と鈍い音を立てて開かれていく。


グレイフィア 「お嬢さま。そして眷属の皆様。どうぞ、お進みください」


やっぱり、俺の名前を言わないのね・・・・・それとも俺も眷属として扱われているのか?


リアス 「さあ、行くわよ」


グレモリー先輩が赤いカーペットの上に歩きだそうとした時だった。メイドの列から小さな人影が飛び出し

グレモリー先輩の方へ駈けこんで行く。


「リアス姉さま!おかえりなさい!」


紅髪の少年がグレモリー先輩に抱きついていた。今、「姉さま」と言っていたから弟だろうな。髪はグレモリ

ー家特有の紅髪だしな


リアス 「ミリキャス!ただいま。大きくなったわね」


成神 「あ、あの、部長。この子は?」


アイツが聞くと、先輩はその少年を改めて紹介してくれる。名前はきっとミリキャス・グレモリーだろうな


リアス 「この子はミリキャス・グレモリー。お兄さま―――サーゼクス・ルシファー様の子供なの。私の甥

     と言う事になるわね」


サーゼクスの子供。へえ、サーゼクスは子持ちだったのか。となると母親は・・・・・グレイフィア?


リアス 「ほら、ミリキャス。挨拶をして。この子は私の新しい眷属なのよ」


「はい。ミリキャス・グレモリーです。初めまして」


成神 「こ、これは丁寧なご挨拶を頂きまして!お、俺・・・・・いや、僕は成神一成です!」


くっ!や、やべぇ・・・・・今のは受けたぞ・・・・・っ!わ、笑いたい!似合わねぇ!


リアス 「魔王の名は継承した本人のみしか名乗れないから、この子はお兄さまの子でもグレモリー家名の。

     私の次の当主候補でもあるのよ」


次の当主か。当主になったら真面目に冥界の仕事をこなしそうだな・・・・・プライベートになったらサーゼ

クス見たいに超軽くなるのか・・・・・?


リアス 「さあ、屋敷へ入りましょう」


グレモリー先輩はミリキャスと手を繋いで門の方へ進み出す。俺も跡を追う。巨大な門を潜り、中を進む。

次々と白の中の門も開門されていく中、玄関ホールらしきところへ着いた。前方に二階へ通じる階段、天井に

は巨大なシャンデリアと何気に広いホール


グレイフィア 「お嬢さま、さっそく皆様をお部屋へお通ししたいと思うのですが」


そう言って手をあげるとメイドが何人か集合した。んー、遅いな。リーラの部下のメイド達はもっと素早く集

合していたのに


リアス 「そうね、私もお父さまとお母さまに帰国の挨拶をしないといけないし」


グレイフィア 「旦那さまは現在外出中です。夕刻までにお帰りになる予定です夕餉の席で皆様と会食をし

       ながら、お顔合わせをされたいと仰られておりました」


リアス 「そう、わかったわ、グレイフィア。それでは、一度皆はそれぞれの部屋で休んでもらおうかしら。

     荷物は既に運んでいるわね?」


グレイフィア 「はい。お部屋のほうは今すぐお使いになられても問題ございません」


その言葉を聞いて成神とアルジェントの身体がフラついた。まさか、もう疲れたのかよ?いくらなんでも体力

なさ過ぎだ。そんなんだから―――


「あら、リアス。帰って来たのね」


その時、上から女性の声が聞こえた。聞き覚えのある声だ。上を見ると二階の階段から下りてきたのはドレスを着たグレモリー先輩の母親、ヴェネラナ・グレモリーだった


リアス 「お母さま。ただいま帰りましたわ」


成神 「お、お、お母さまぁぁぁああああっ!?だって、どう見ても部長と余り歳の変わらない女の子じゃな

    いですか!」


婚約パーティにいた筈なのに何故か成神は目玉が飛び出る程に仰天した。気づいていなかったのか?


「あら、女の子だなんて嬉しいことをおっしゃいますのね」


ヴェネラナさんは頬に手をやり微笑む


リアス 「悪魔は歳を経れば魔力で見た目を自由にできるのよ。お母さまは何時も今の私ぐらいの年格好なお

     姿で過ごされているの」


そうなんだ。帰ったらルシファー達に・・・・・止めた。恐ろしい未来が待ち受けている様な気がする


ギュウッ


リアス 「・・・・・私のお母さまに熱い視線を送っても何も出ないわよ?」


どうやら成神がヴェネラナさんを熱い視線を送った事に面白くないらしく頬をつねったようだ。


「あら、リアス。その方が成神一成くんね?」


成神 「お、俺―――僕のことをご存じなんですか?」


やっぱりお前は気づいていなかったようだな・・・・・・ヴェネラナさんは成神の問いに頷く


「ええ、娘の婚約パーティに顔ぐらい覗かせますわ、母親だもの」


ヴェネラナさんの言葉を聞いてビビる成神にビビる成神を見てヴェネラナさんはクスッと小さく笑う


「初めまして、私はリアスの母、ヴェネラナ・グレモリーですわ。よろしくね、成神一成くん」


挨拶をしたヴェネラナさんはキョロキョロと何かを探す仕草をした。


「リアス、イッセーくんはどうしたのかしら?一緒に来たのでしょう?」


グレモリー先輩はヴェネラナさんの問いを聞いて「彼なら」と視線を背後にいる俺に向けたらヴェネラナさん

も背後にいる俺に気づき歩み寄って来た


「よく来てくれましたわ。イッセーくん」


嬉しそうに微笑みながら俺に抱擁する


一誠 「約束した以上来ないとダメですし約束を守らないといけませんから」


「ふふっ、良い心掛けです。私も夫も今か今かと貴方が来訪の時を楽しみにしていましたよ?」


俺の頬に手をやり母親の様に撫でてくれる


一誠 「ありがとうございます。ヴェネラナさん。それで、俺はどこの部屋です?」


「私が案内するわ。長旅で疲れたでしょう?此処を我が家だと持ってゆっくりしてちょうだい」


何故か俺の腕に抱きついてそのまま部屋を案内してくれる


一誠 「ありがとうございます。それとお土産にお菓子を作ってきましたので後で渡します」


「あら、イッセーくんはお菓子作りができるのかしら?」


一誠 「これでも俺は、料理は好きで得意ですから。よかったら滞在中の間に作りますが?」


二階に繋がる階段を上がりながら尋ねてみると「まあ!」とまるで意外そうに言葉を漏らす


「料理が得意だなんて凄いわ。ええ、お願いするわ。それと敬語を使わないで会話してくれるかしら?壁が

ある様で嫌ですわ」


一誠 「解った。実際は敬語使うのはあまり好きじゃないんだ。そうさせてもらうよヴェネラナさん」


ヴェネラナ 「それと私の事を呼び捨てで構いませんわよ?誠さん達もそうでしたから」


そうだったのか?敬語で話していたと思っていたんだけど・・・・・本当に友達だったんだな。じゃあ


一誠 「―――ヴェネラナ」


「―――っ」


試して呼んでみたら歩を止めてしまう。ん?どうしたんだろう?顔を覗くと顔が真っ赤になった。若しかして

恥ずかしかったのか?


一誠 「どうした?顔が真っ赤だけど」


「い、いえ、何でもございませんわ。イッセーくんのお部屋はこっちです」


グイッと腕を引っ張りこまれ二階の曲り角に俺とヴェネラナの姿はグレモリー先輩たちの視界から消えた



リアス 「・・・・・あんなお母さまを見たのは初めてだわ」


グレイフィア 「しかも、積極的に接していましたね」


成神 「俺達より兵藤と会うのが楽しみだったようでしたけど・・・・・」


と、信じられないものを見た表情をする成神達はそう呟くことしかできなかった・・・・・・


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