小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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あれから数時間後、俺はダイニングルームにいた。食卓には豪華な食事が高そうな皿の上に盛られていた。

ふむ、冥界の料理かどんな味だろう・・・・・楽しみだ。席に座るのはグレモリー眷属とグレモリー先輩と

俺。そしてヴェネラナと外出していたアルマスさんとミリキャスだ


「遠慮なく楽しんでくれたまえ」


アルマスさんの一事で会食は始まった。大きな横長のテーブル。天井には豪華なシャンデリア。俺達が座って

いる椅子も高価そうな装飾が施されていた。やっぱり、この家にもあったんだな。家にもシャンデリアがいく

つかあるから見慣れている。ヴェネラナに案内された俺用の客室にもあった。客室だけでも私生活ができる程

の必需品が揃っていた。


一誠 「うん、美味い」


上品に丁度良い火加減で焼かれたであろう魚の身をフォークで一口サイズに切りナイフに突き刺し口に含む。

冥界の料理、実は楽しみだったんだよなぁ、これはサラダか?・・・・・シャキシャキして野菜の味が俺の舌

に広がっていく。ドレッシングもまた美味い、レシピを教えてもらおうかな?ルシファー達が懐かしそうに食

べてくれそうだしな。それにしてもアザゼルは遅いな。会談が長続きしたのか?


「うむ。リアスの眷属諸君、イッセーくん。此処は我が家だと思ってくれるといい。冥界に来たばかりで勝

手が解らないだろう。欲しい物があったら、遠慮なくメイドに言ってくれたまえ。すぐに用意しよう」


朗らかに言うアルマスさんは嬉しそうな表情を浮かべる。すると、俺に顔を向けて話しかけた


「そうだ、イッセーくん。レーティングゲームに異種戦として出るみたいだね?サーゼクスから聞いたよ」


一誠 「あー、そう言えば聞き忘れたな・・・・・異種戦の事」


『お義兄さん』とお願いされて呼んだらニヤニヤと笑っていたから聞けなかったからなぁ


「大丈夫だろう、それと此処だけの話。レーティングゲームは強ければ人間でも参加できると隠されている裏

ルールと言うルールがあるんだ。そして、サーゼクスから伝言で異種戦を認めるみたいだぞ?」


リアス 「嘘、そんなルールがあっただなんて・・・・・」


一誠 「流石に俺も知らなかった・・・・・」


アルマスさんの言葉に思わず食事をしていた手を止めるグレモリー先輩にそんな裏ルールが存在している事を

知らなかった俺だった。・・・・・だったら、駒を貰う必要無かったじゃん!


「まあ、人間が悪魔の存在を知りレーティングゲームに参加できるほどの実力が無いと参加は無理な事だけ

どね、それ以前に認めてもわらないと無理だが」


認めてもらう?魔王とかか?


「頑張りたまえ、険しい道になりそうだがキミならきっとリアスとリアスの眷属諸君と上位ラキングにな

れる。―――ふふっ、レーティングゲームは大盛り上がりしそうだ。覇者として君臨し続けた誠殿と一香殿の

子供であるイッセーくんが現代のゲームの覇者として君臨したら、さぞかし天国にいる誠殿と一香殿が喜ぶだ

ろうなぁ・・・・・」


一誠 「その為に俺は異種戦を望んだのです。アルマスさん」


そう、俺はお父さんたちみたいになってみたいんだ。でも、一人じゃなくて皆と覇者になるんだ


「成神一成くん」


成神 「は、はい!」


今度は成神の方へ顔を向け呼ぶ、どんな会話をするんだ?


「今日から、私の事をお義父さんと呼んでくれても構わない」


突然、予想外の言葉に当惑する成神。もう、この意味を解らなきゃお前は馬鹿決定だ


成神 「お、お父さんですか・・・・・?そ、そんな、恐れ多いですよ!」


流石に成神は恐れ多くて遠慮する仕草を両手を横に振って見せた。予想外の言葉を発したアルマスさんに

ヴェネラナが言った


「あなた、性急ですわ。まずは順序というものがあるでしょう?」


ヴェネラナがアルマスさんをたしなめる


「う、うむ。しかしだな、紅と赤なのだ。めでたいではないか」


「あなた、浮かれるのはまだ早い、ということですわ」


「・・・・・そうだな。どうも私は急ぎすぎるきらいがあるようだ」


アルマスさんは深く息を吐く。確かに急すぎる処があるな、その前に成神が自分の立場をどう考えている

のか、そして理解できているのかわからないけど・・・・・


「では、イッセーくん。キミも私の事をお義父さんと呼んでくれるかね?」


一誠 「っ!?」


俺にも予想外な言葉を言いますか!?アルマスさん!てか、俺はグレモリー先輩と結婚するつもりは無いで

すよ!?


一誠 「アルマスさん!ヴェネラナにさっき窘められたばかりじゃないですか!?何言っているんですか!」


「―――ヴェネラナ?どう言う事だ?何故、イッセーくんがヴェネラナを呼び捨てで呼んでいるんだ?」


「私がそうお願いしたのですよ。壁がある様で嫌でしたから」


思わず指をアルマスさんに突き付けるがアルマスさんは俺がヴェネラナを呼び捨てに言った事を疑問に思いヴ

ェネラナに問うが本人は「壁があるようで嫌だから」と答えた


「そうか。なら、私も今日から呼び捨て言ってくれイッセーくん。妻だけ呼び捨てで言われると悔しいの

でな」


「でも、確かに私もイッセーくんに『お義母さん』と呼んでもらいたいですね。イッセーくん、たまにでも良

いので『お義母さん』と言ってくれるかしら?」


ヴェネラナは俺にそう言った。だ、ダメだ・・・・・この二人の考えについていけない


一誠 「二人共・・・・・俺はグレモリー先輩と結婚する気は無いんですが、てか、既にグレモリー先輩は成

    神の事が―――」


リアス 「ダメェェェェェ!その先は言わないで頂戴!」


突然、席から立ち上がり顔を真っ赤にして大声を発し俺の声を遮る。マナー違反だぞ、食事中に大声を出す

なんて


「―――リアス?」


リアス 「すみませんでした!」


ほら、怒られた。成神に至っては俺が何を言おうとしたのか疑問府でいっぱいになっているし


「イッセーくん、そう願うのはダメなのかしら?誠殿達が亡くなり誰かは知りませんが他の人の手によって此

処まで立派に育って私は嬉しいです。それもお礼を言いに行きたいぐらいに」


一誠 「・・・・・」


「イッセーくん、おこがましく図々しいですけれど私達は誠殿と一香殿の代わりに貴方の親になりたい

のです」


「私達はイッセーくんの事が好きなのだ。それ故、キミの事が心配なのだよ」


真剣な表情と眼差しで俺に話しかける。何時の間にか木場達は食事を止めアルマスさん達の言葉を聞いて

いた。


「此処にいる間だけでも良いのです。どうか、私達の事をそう呼んでくれますか?」


「お願いだ。イッセーくん」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はあ、


一誠 「―――お義父さん、お義母さん」


『―――っ』


気恥ずかしい思いしながら二人に言い放った。其れを聞き二人は嬉しそうに涙ぐむ


一誠 「・・・・・此処にいる間だけだぞ」


「ああ、それでもいい」


「ええ」


涙を拭きながらアルマス、ヴェネラナ―――お義父さん、お義母さんは頷き肯定した。そしてお義母さんは成

神に声を掛ける


「成神一成さん。一成さんと呼んでもよろしいかしら?」


成神 「は、はい!勿論です!」


「しばらくはこちらに滞在するのでしょう?」


成神 「はい。部長・・・・・リアス様がこちらにいる間はいます・・・・・けど、其れが何か?」


「そう。丁度良いわ。貴女には紳士的な振る舞いも身につけてもらわないといけませんから。少しこちらで

マナーのお勉強をして貰います。イッセーくんもです」


お、俺も!?自分に指を指しそう問うとほほ笑みながら頷く。何で俺まで!?


バン!


テーブルを叩く音が聞こえた。見ればグレモリー先輩がその場で立ち上がっていた


リアス 「お母さま!先ほどから黙って聞いていれば、私を置いて話を進めるなんてどう言うことなので

     しょうか!?」


その一言にヴェネラナは目を細める。そこには優しい笑顔が無かった


「お黙りなさい、リアス。あなたは一度ライザーとの婚約を解消しているのよ?それを私達が許しただけでも

破格の待遇だと思いなさい。お父さまとサーゼクスがどれだけ他の上級悪魔の方々へ根回ししたと思っている

の?一部の貴族には『わがまま娘が伝説のドラゴンと覇者の子供を使って婚約を解消した』と言われているの

ですよ?いくら魔王の妹とはいえ、限度があります」


―――救済と目的の為に動いた所為かそんな風に思われていたのか・・・・・。


リアス 「私はお兄さまとは―――」


グレモリー先輩が顔を怒りに歪ませて言おうとするが、ヴェネラナがそれを許さない


「サーゼクスが関係無いとでも?表向きはそう言う事になっています。けれど、誰だってあなたを魔王の妹と

して見るわ。三大勢力が協力体制になった今、貴女の立場は他の勢力の下々まで知られた事でしょう。以前の

様に勝手な振る舞いはできないのです。そして何よりも今後の貴女を誰もが注目するでしょう。リアス。あな

たはそういう立場に立っているのですよ?二度目のわがままはありません。甘えた考えは大概にしなさい。い

いですね?」


・・・・・お父さん達は凄い人(悪魔)と友人関係をしていたんだな。グレモリー先輩は納得していない様だ

けど俺は理解して納得した。確かに周りはグレモリー先輩の事を最初に思うのは『魔王の妹』だろう。それは

覆す事が出来ない現実で事実だ。魔王の妹が評判を落とす様な言動をしたらサーゼクスとアルマスさん達と自

分自身の評判と威厳は落ちる。グレモリー先輩はそこのところ理解しているのか?


「ふぅ・・・・・イッセーくんとリアスの眷属さんたちにお見苦しいところを見せてしまいましたわね。話は

戻しますが、此処へ滞在中、イッセーくんと一成さんには特別な訓練をしてもらいます。少しでも上流階級、

貴族の世界に触れてもらわないといけませんから」


・・・・・あのぉ、俺、そう言うのは既にルシファー達に叩き込まれたんですが。悪魔の文字とか、貴族に対

しての振る舞いとか、ダンスとか色々と・・・・・


成神 「あ、あの、どうして俺達なのでしょうか?」


自分に指をさして訊く成神にヴェネラナは笑みを止め、真面目な表情で真っ直ぐに言った


「貴方達は―――次期当主たる娘のわがままですもの。親としては最後まで責任を持ちますわ」


俺と成神は互いに顔を見た後、グレモリー先輩のほうへ視線を向ければ俺達と視線を合わせた後真っ赤になっ

て顔を背けられた。それは成神と視線が合ったからだろうな


一誠 「そうだ。アマ―――じゃなかったお義父さん、一つ聞いていいか?」


「何でも聞きなさい。答えられる範囲で有ればだが」


一誠 「ライザーの・・・・・フェニックス家の場所って解る?」


「フェニックス家の場所?それは解るがどうしてだ?」


一誠 「丁度、冥界に訪れたからカイザーさんにも会いたいから」


其れを聞いて手を顎に乗せ「ふむ」と呟く


「解った。いきなり訪問するのは失礼だろうから私からフェニックス卿に連絡しよう」


一誠 「ありがとうお義父さん」


約束が守れそうで安心した所で夕餉の時間は終わった。さて、俺は風呂に入ろう―――


「イッセーくん」


一誠 「お義父さん?」


ガシッ!


自分の部屋に戻り風呂に入ろうとしたところにアルマスさんに声を掛けられ振り向くと力強く掴まれ


「人間界では『裸の付き合い』って言う言葉があるそうじゃないか。だから、一緒に温泉に入ろう!すまない

が私と彼の着替えを持って来てくれ、私は彼と温泉に行ってくるのでな!」


『畏まりました!』


一誠 「ちょ!まっ―――」


メイドにそう伝えるアルマスさんに俺は待つように口を開いたが温泉のある場所へ紅い彗星如く連行されてし

まった。


「・・・・・先を越されてしまいましたわね」


そう呟くヴェネラナに誰も気付きもしなかった



――――――――――――――――――――――――――――――



「いやぁー、こうして誰かと入るのはリアスが小さい時以来だよ。ハッハッハッ!」


一誠  「そうなんだ。それにしても此処の温泉は良いな」


「解るかい?私のお気に入りの一つでもあるのだよ」


他にも温泉があるんだ。流石、魔王を輩出した家だな


「それにしてもかなり鍛えられた体だ。キミに師匠でもいるのかい?」


一誠 「複数いる。師匠達の修行は俺が死ぬ寸前までにするから」


「そ、そうか・・・・・」


死ぬ寸前の修行法と聞いて汗とは違う別の汗を流すアルマスさん。ガイア達からの修行は今でもしている。最

近はヴァーリと龍牙も俺と和樹と一緒に修行している


ヴァーリ 「・・・・・こんな修行をしていたのか・・・・・」


龍牙 「し、死ぬ!・・・・・・死んじゃいます!」


そう言って倒れ込むがガイア達が許す筈もなくメイビスが傷を癒し再び死ぬ寸前の修行をする繰り返しをして

いる。勿論、ナンバーズも同じだ


「ふう・・・・・」


すると、のんびりと温泉を寛ぐアルマスさんが吐息する


「なあ、イッセーくん」


「うん?」


「聞きたい事がある」


身体を俺に向け真面目な表情をして俺に尋ねる


「誠殿と一香殿はどうして死んだのだ?私は爆発で死ぬとは到底思えないのだよ」


一誠 「―――っ」


あの時の光景が走馬灯のように俺の脳裏に駈け廻った。忘れもしない三人の悪魔と堕天使の男女、そして殺さ

れたお父さん達が・・・・っ


「頼む、私は知りたいのだ。どうして誠殿達は死んだその理由を・・・・・」


頭を下げ懇願するようにお父さん達の死の真相を知ろうとする姿を見て俺はため息を吐く


一誠 「一度しか言わないから、じゃないとあの時の事を思い出すと―――悪魔と堕天使を殺したい衝動に

    駆られてしまうから」


「っ!ま、まさか・・・・・誠殿達は・・・・・」


一誠 「―――俺が小さい頃の時だった。俺は何不自由もなく生活をしていた。だけどある日、俺が帰ったら

    男女三人の悪魔と堕天使に殺されていたんだ・・・・・っ」


「―――っ!?」


まさか、お父さん達が男女三人の悪魔と堕天使に殺されたとは思わなかったのだろう、思わず温泉から立ち上

がり一歩下がった。俺は気にせず話す


一誠 「今となっては一体どうやってお父さん達を殺したのか謎に包まれたまま、何の目的でお父さん達に接

    触して殺したのかも謎のまま」


「・・・・・」


一誠 「それと謎の爆発は俺が引き起こしたものだ。理由は言えない」


「では、キミを此処まで育てた者と師匠達の事を話してくれるかい?」


その言葉に俺は黙る、アルマスさん達はお父さん達と関わりがある。でも、あいつ等の事をそう易々と話す事

は出来ない


一誠 「ごめん、話せない」


「いや、気にしないでくれ。あの方達の死の真相が知れて良かった。妻にも話すがいいだろうか?」


一誠 「構わない・・・・ごめん、先に出る。おやすみなさい、お義父さん」


ザバザバと湯の中を歩き温泉から出ていく姿を未だに温泉に浸かっているアルマスさんは俺が聞こえないぐらいに声を殺していった


「・・・・・すまない」



――――――――――――――――――――――――――――



温泉から出て数十分経った。天蓋付きのベッドに上半身裸で仰向けで横たわって目を腕で覆っている状態に

なっている


一誠 「・・・・・」


あれから少し気持ちが落ち着いた。明日、アルマスさんに謝らないとな


一誠 「・・・・・寝よう」


まだ早いが寝る事にした。この部屋の明かりを消して真っ暗にした後、ベッドの中に潜り目を閉じる


一誠 「・・・・・」



更に数十分



ガチャッ



・・・・・?誰かが部屋に入って来た気配を感じて目を瞑ったまま起きた。様子を探ろうとすると、ベッドに

近寄ったと思えば中に入って来た。流石に俺はベッドから飛び上がり擬似的な月の光が照らされている場所に

行き侵入者を警戒して視界に捉える。未だに眠りから覚めたばかりで視界がぼんやりと映るだけだった。侵入

者はベッドから下りて月の光に照らされている俺に近寄り声を掛けてきた


「イッセーくん、私です」


その声を聞いたと同時に俺の目は完全に侵入者の姿が映った。何故か桃色の下着姿のヴェネラナだった


一誠 「どうして、お義母さんが此処に?」


「ヴェネラナと呼んで、それと此処に来た理由は貴方と一緒に寝る為です。夫に先に越されてしまいましたから」


俺の手を掴み「さあ、一緒に寝ましょう」とベッドまで引いて行かれベッドの中に引きずり込まれた。今の体

勢は俺とヴェネラナと向き合う様な形になっていた。しかも俺の足に足を絡ませ豊満な胸を俺の上半身に押し

付ける様に抱きつけて


「ほら、イッセーくんも私を抱き締める様にしてちょうだい」


俺の背にギュッと腕を回しながら俺に促す。俺は訳わからないまま彼女の背中に腕を回す


「ん、イッセーくんの身体って男らしい体つきね。それに温かい」


更に密着しようと身体全体を押しつけるとブラジャーに包まれた胸が潰れて形を変えていく


一誠 「ヴェネラナ」


「どうしたのかしら?」


一誠 「其れは俺のセリフ。どうして一緒に寝ようと?」


俺の問いに黙り込むこと数秒、口を開いた


「夫からすべて聞きました。誠殿と一香殿の死の真相を・・・・・」


今度は俺が黙り込む番だった。ヴェネラナは俺の気持ちに気づいていながら話を続ける


「辛く、悲しい過去を打ち明けて話してくれてありがとう、同時にごめんなさい。夫が無理矢理聞きだした様

な事をしてしまって・・・・・」


一誠 「お父さん達と仲が良かった人達にとってはどうしても聞きたい事だ。気にしないでくれ」


「・・・・・今のイッセーくん、心が穏やかじゃなさそうですわ。気持ちも不安で一杯になっています

わよ?」


・・・・・どうして、今の俺を理解できるんだ?


「『どうして、今の俺を理解できるんだ?』と心の中で思いましたわね?」


一誠 「―――っ!?」


心臓が大きく跳ね上がった感覚が伝わった。ヴェネラナもどうやら密着した胸で感じたようでクスッと微

笑んだ


「母親代わりと言っても私はイッセーくんの母親です。息子を理解できずに何が母親なんですか」


微笑みを浮かべたまま俺の頭を愛おしそうにゆっくりと撫でる俺は抵抗しないで受け入れた。撫で方がお母さ

んと似ているからだ


「イッセーくん、堕天使や私達悪魔が嫌い?」


一誠 「嫌いだ。本当は悪魔と堕天使が嫌いだ。復讐したいぐらいに、殺したいぐらいに、皆殺ししたいぐ

    らいに!特にお父さん達を殺した悪魔と堕天使を・・・・・っ!」


ヴェネラナの顔を真っ直ぐ見て言った。きっと俺の瞳は憎悪で塗りつぶされているだろう。ヴェネラナは悲哀

に満ちた瞳で俺をジッと見つめ何か言おうとしたのか口を開いたが俺は遮る様に話の続きを言う


一誠 「だけど、復讐したって、殺したってお父さん達は生き返らない。復讐を果たしても最後は空しいだけ

    だと、殺したっても復讐の連鎖が生まれるだけで無意味だと解っているんだ。だから、俺はこの気持

   ちを心の底奥深くに仕舞い込んで生きているんだ」


そう告げ終わると突然、起き上がり何をするのかと様子を見たが徐に両手を背中に回しブラジャーを外し今度

は腰を浮かし下の下着も脱いだ。・・・・・は?


一誠 「ヴェ、ヴェネ―――っ!?」


「良い子ね」


全裸になったヴェネラナはその豊満な胸で俺の顔に挟みこむ。ブラジャーを包んでいた胸が今度は直接俺の顔

を埋めた。


「イッセーくんは良い子だわ。其処まで考え理解している。復讐したって、殺したって何も変わらない。それ

は唯の自己満足、エゴよ」


ヴェネラナは褒めて叱る。まるで母親の様に・・・・・


一誠 「ヴェネラナ・・・・・」


「どうしたの?」


一誠 「・・・・・」


俺は無言で彼女の体に強く抱きつく。ビクッと身体を震わすが俺の背中に腕を回す


一誠 「―――ありがとうっ」


感謝をして声を殺す様に俺は涙を流した。抱きついたのは泣く顔を見られたくないからだ


「・・・・・イッセーくん」


俺から少しだけ離れ俺の顔を両手で頬を覆う。親指で流した涙を優しく拭うと


「ん・・・・・」


俺の唇に自分の唇を押しつけた。数秒か、十数秒か、あるいは数分間、俺とキスをした。


「・・・・・お休みなさい。明日は特別な訓練をしてもらいますから」


唇を離して再び豊満な胸で俺の顔を優しく抱えて言う


一誠 「うん、解ったよ。お休み・・・・・ヴェネラナ」


俺は彼女の胸の体温を感じながら眠った



Mother



イッセーくんは私の胸の中で眠った。夫から全て話を聞いてこの子の身に辛い事が有ったと解った瞬間、私は

心の中で悲しんだ。そして、私達悪魔と堕天使が嫌いかと訊いてみたら『皆殺ししたいぐらいに嫌いだ』とこ

の子の口から発せられた。私は悲しい気持ちになりながらも叱ろうとしたが、イッセーくんはそれが無意味だ

と解っていた。安心した。この子は真っ直ぐ純真に育っているのだと解った


「何時か、この子を育てた人に会ってみたいものですね」


そして、「ありがとう、この子を立派に育ててくれて」と感謝を言いたい


「・・・・・私も寝ましょう・・・・・?」


不意に私の太股に硬く熱い物が当った。ベッドをめくって下を見ると


「・・・・・ふふっ」


この子も男の子だと理解して私は微笑んだ。私の体に興奮をしたようでそれが嬉しい気持ちになった。私は何

気なく優しくソレを撫でて


「―――夫のより・・・・・ね」


確認した途端、私の頬は朱に染まり身体が熱くなった。すると、下半身から液体なものが流れた事が解った


「私の所為・・・・・ですよね」


責任を取らないと・・・・・と、私は良い訳しながら自分の欲望を満たすためにベッドの布団を全部どかして

彼のズボンをイッセーくんが起きない様に注意しながら引きずりおろした。―――そして


「はああぁぁぁん・・・・・っ」



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