小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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「私はシーグヴァイラ・アガレス。大公、アガレス家の次期当主です」


シーグ・ヴァイラ姫にグレモリー先輩とグレモリー眷属が挨拶を貰っている。改めて若手が集まり、挨拶を交

わしていた。ゼファードル達も入れてテーブルを囲んでいる。グレモリー先輩―――グレモリー眷属。シトリ

ー先輩―――シトリー眷属。サイラオーグ―――バアル眷属。ゼファードル―――グラシャボラス眷属。今、

挨拶しているのがアガレス眷属。シーグ・ヴァイラ―――アガレス眷属。ディオドラ―――アスタロト眷属。


リアス 「ごきげんよう、私は、リアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主です」


ソーナ 「私は、ソーナ・シトリー。シトリー家の次期当主です」


グレモリー先輩とシトリー先輩が続けて挨拶する。主達が席に着き、眷属はその主の後方で待機している感じ

だ。何処も一緒だが、俺は一人で来たから俺の後方は誰もいない。


サイラオーグ 「俺はサイラオーグ・バアル。大王、バアル家の次期当主だ」


堂々と紹介したサイラオーグ。今度は優しげな雰囲気を出すディオドラだ


「僕はディオドラ・アスタロト。アスタロト家の次期当主です。皆さん、よろしく」


「ふん、俺はゼファードル・グラシャボラス。グラシャボラス次期当主候補だ」


サイラオーグ 「グラシャボラス家は先日、お家騒動があったらしくてな。次期当主とされていた者が、不良

        の事故死を遂げたばかりだ。先程のゼファードルは新たな次期当主の候補と言う事になる」


そう説明してくれたのはサイラオーグだった。しかし、こうして若手悪魔六名が揃った訳だ。グレモリーがル

シファー、シトリーがレヴィアタン、アスタロトがベルゼブブ、グラシャボラスがアスモデウス、そして大王

と大公。この六家ってことか。


「イッセーさん。今度は貴方ですよ」


思い耽ていたらシーグ・ヴァイラに呼ばれ顔を上げたらグレモリー先輩達六家とその眷属達が俺を集中に視線

を送っていた。席から立ち上がり名乗る


一誠 「何名か自己紹介をしましたが改めてもう一度申し上げます。この度、レーティングゲームに異種戦

   として有り難く参加させてもらう事になりました。幽幻龍騎士団『王』、兵藤一誠と申します。以後、

   お見知りおきを」


何度目か紳士的に振る舞ってから席に座る。さて、これで自己紹介は終わった。


サイラオーグ 「兵藤一誠」


俺の隣に座るサイラオーグに声を掛けられる。何だ?


サイラオーグ 「お前と手合わせがしたい」


一誠 「は?いきなり何だよ。バアル家次期当主のお前がたかが人間の俺と手合わせ?手合わせする相手が

    違うじゃないか?例えば―――赤龍帝とかさ」


俺の言葉に首を横に振り否定して真っ直ぐ俺を見て「俺はお前と手合わせがしたい」と言った


サイラオーグ 「そのたかが人間が俺の拳を受け止めた。本気じゃなくても俺の拳を受け止めた人間はお前が

        初めてだ。だから俺はお前と手合わせがしたい」


一誠 「―――変な奴」


サイラオーグ 「ふん、答えは?」


その問いに俺は「手合わせしても良いぜ」と答える。サイラオーグは口の端を吊りあげ「今度、此方から迎い

に行きお前と手合わせする」と言ったと同時に扉が開かれ、使用人が入ってくる


「皆さま。大変長らくお待ちいただきました。―――皆様が御待ちでございます」


やっと行事とやらが始まる様だ



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



俺と若手悪魔達の面々が案内された場所は、異様な雰囲気が漂う所だった。かなり高い処に席が置かれてお

り、そこにいかにも『自分達は偉いぞ!』って感じに座っている。更にその上の段にも偉そうな悪魔がいた。

更にもう一つの上の段には知った顔の男―――サーゼクスが座っていた。隣にはセラフォルーもおり、服装は

学校で会った時の服装では無かった。セラフォルーの隣に見知らぬ二人の男が座っている。もしかして、あれ

が現魔王ベルゼブブとアスモデウスなのか?しかし、二人とも見た目はとても若い。俺達はお偉いさんに高い

位置から見下ろされている状態だ。しかも、見下している目で見ているから嫌な感じだ。するとグレモリー先

輩達6人は一歩前に出ようとしたので遅れず俺も一歩前に出る


「よく、集まってくれた。時世代を担う貴殿等と特別に参加する者の顔を改めて確認するため、集まってもら

った。これは一定周期ごとに行う、若き悪魔を見定める会合でもある」


初老の男の悪魔が手を組みながら、威厳の声で言う


「早速、やってくれたようだが・・・・・」


今度はヒゲがたっぷりの男の悪魔が誹憎げに言う。・・・・・耳が早い事で


サーゼクス 「キミ達七名のうち六名は家柄、実力共に申し分の無い次世代の悪魔だ。だからこそ、デビュー

       前にお互い競い合い、力を高めてもらうと思う」

一番上の段サーゼクスがそう言った。成程、此処にいる眷属悪魔達でレーティングゲームをするのか。

面白いな


サイラオーグ 「我々もいずれ『禍の団』との戦に投入されるのですね?」


サーゼクス 「それはまだ解らない。だが、できるだけ若い悪魔達は投入したくないと思っている」


オーフィスとヴァーリチームが居なくなった事を知らないのか?それでも俺達は油断ができないだろう

な・・・・・其れに英雄派の事もある


サイラオーグ 「何故です?若いとはいえ、我等とて悪魔の一端を担います。この歳になるまで先人の方々

        からのご厚意を受け、尚何もできないとなれば―――」


バアル家次期当主はサーゼクスの答えに納得しないのか、眉を吊り上げて言った。


サーゼクス 「サイラオーグ、その勇気は認めよう、しかし、無謀だ。何よりも成長途中のキミ達を戦場に送

       るのは、避けたい。それに次世代の悪魔を失うのは余りにも大きいのだよ。理解して欲しい。

       キミ達はキミ達が思う以上に我々にとって、宝なのだよ。だからこそ、大事に、階段を踏んで

       成長をして欲しいと思っている」


サイラオーグ 「・・・・・解りました。」


サーゼクスの言葉に一応納得した様だが、サイラオーグの顔に不満はありそうな表情だ。その後、色々と話し

ていたが・・・・・つまらないので俺は聞き流した。最後にサーゼクスは俺達に今後の目標を何なのか問いか

けてきた。サイラオーグの夢は魔王になる事、グレモリー先輩はレーティングゲームの各大会の優勝をする事

だそうだ。その後もシーグ・ヴァイラ姫、ディオドラ、ゼファードルの夢、目標を口にし、残ったのはシトリ

ー先輩と俺だけになった。そしてシトリー先輩は言う


ソーナ 「冥界にレーティングゲームの学校を建てる事です」


へぇ、学校か?シトリー先輩は学校を建てたいんだ。先生になりたいのか?俺は感心していたのだが、お偉い

さん達は眉根を寄せていた


「レーティングゲームを学ぶところならば、既にある筈だが?」


確認するようにお偉いさんはシトリー先輩に訊く。それを淡々とシトリー先輩は答える


ソーナ 「それは上級悪魔と一部の特権階級の悪魔のみしか行く事が許されない学校の事です。私が建てたい

     のは下級悪魔、転生悪魔、家柄や階級も関係なく差別も無く自由に学べる学び舎です」


確かに冥界は実力主義も存在しているな。才能や能力を重んじる悪魔も少なくは無い。下の位の悪魔達もゲー

ムを知り実力も上がれば・・・・・


『ハハハハハハハハハハハハハハッ!』


突然、お偉いさん達の笑い声がこの会場を支配する。意味が解らん。何で笑いだす?笑う要素が何処に

有った?


「それは無理だ!」


「これは傑作だ!」


「成程!夢見る乙女と言う訳ですな!」


「若いというのは良い!しかし、シトリー家の次期当主ともあろう者がそのような夢を語るとは。此処が

デビュー前の顔合わせの場で良かったというものだ」


―――おい、サーゼクス。人の夢を語らせてお偉いさん達に笑わす為に言ったのかと睨みつける様に一番上の

段にいるサーゼクスに視線を送るとサーゼクスが俺の視線に気づく。俺の言いたい事が解ったのか首を横に

振った


ソーナ 「私は本気です」


セラフォルーもうんうんと力強く頷いていた。まるで「よく言った!」と言わんばかりの様子だ。しかし、冷

徹な言葉をお偉いさんは口にする


「ソーナ・シトリ―殿。下級悪魔、転生悪魔は上級悪魔たる主に従え、才能を見出されるのが常。そのような

養成施設を創っては伝統と誇りを重んじる旧家の顔をつぶす事と成りますぞ?いくら悪魔の世界が変革の時期

に入っていると言っても変えていいものと悪いものがあります。まったく関係のない。たかが下級悪魔に教え

るなどと・・・・・」


その一事に黙っていられなくなったのは―――匙だった。


匙 「黙って聞いていれば、何で会長の―――ソーナ様の夢を馬鹿にするんスか!?こんなのおかしいっ

   スよ!叶えられない夢なんて決まった事じゃないですか!俺達は本気なんスよ!」


「口を慎め、転生悪魔の若者よ。ソーナ殿、下僕の躾がなってませんな」


お偉いさんの悪魔の一人が言う。人に夢を語らせておいてよく馬鹿にできるなぁ!人の夢を馬鹿にするほど魔

王は偉いのかよ!?お偉いさんは偉いのかよ!?


ソーナ 「・・・・・申し訳ございません。あとで言ってきかせます」


シトリー先輩は一切表情を変えずに言う。匙はその反応が納得できない様でシトリー先輩に食って掛かる


匙 「会長!どうしてですか!この人達、会長の、俺達の夢を馬鹿にしたんスよ!どうして黙っているんで

   すか!?」


ソーナ 「サジ、お黙りなさい。この場でそういう態度を取る場所ではないのです。私は将来の目標を語った

     だけ。それだけの事なのです」


匙 「―――ッ!」


シトリー先輩が目を細め、匙をたしなめる。匙も何か言いたげだったが、口を閉ざす―――我慢の限界だ!

瞬時で『神愛護珠』の禁手状態になり大天使化になってサーゼクスに怒りを向ける。


一誠 「いい加減にしろ、サーゼクス!お前は人の夢を、目標を、語らせ其処にいるお偉い悪魔達に笑わすた

    めに言わせたのか!?ふざけるんじゃねぇぞ!」


俺の突然の怒りと言動にこの場にいる悪魔は目を見開き驚愕する!グレモリー先輩達は数歩俺から離れる。ゼ

ファードルに至ってはかなり俺から離れた。サイラオーグとシーグ・ヴァイラ姫はその場から離れず佇む


一誠 「そこで偉そうにしている悪魔!お前達は何のためにレーティングゲームと『悪魔の駒』と『変異の

    駒』をアジュカ・ベルゼブブに構築させた!戦争で激減した悪魔を転生により強力な眷属を増やし減

    らすことなく実勢経験を詰める為だろうが!下級と転生悪魔もゲームを学べれば更に増強になるだろ

    うとソーナは冥界の為に夢の為に頑張っているんだぞ!?それをお前等が馬鹿にしたり踏みにじっ

    たりする権利があるのか!」


「だ、黙れ!人間風情の下等種族が!誰のお陰でゲームに参加できると思っている!?」


「いくら貴様が、覇者の子供だろうと許し難い行為だぞ!」


「たかが人間が我等を逆らうか!?」


一誠 「黙るのはお前らだ!散々ソーナの、匙の夢を馬鹿にしやがって!二人に謝罪しろ!」


「ええいッ!この人間を捕らえろ!」


一人のお偉い悪魔がグレモリー先輩達に指示する。―――しかし


『・・・・・』


誰も俺を捕えようとしなかった。サイラオーグも、シーグ・ヴァイラ姫も、グレモリー先輩も、シトリー先輩

も、ディオドラも、ゼファードルも、誰もだ


「な、何をしている!?早く捕らえるのだ!」


誰も動かない事に酷く困惑するお偉い悪魔達、俺の怒気と殺意を感じたのか脚が竦んでいるようだ。あの

サイラオーグですら・・・・・


一誠 「おい、もう一度言うぞ。二人に謝れ」


『っ!?』


今度は部屋中に膨大な殺意を送るとお偉い悪魔達も俺の殺意を感じ大量の汗を流す。魔王達は流石に冷や汗を

流す程度だった。


一誠 「あ・や・あ・ま・れ!」


『ソ、ソーナ・シトリー殿、転生悪魔の若者・・・・・す、すまなかった』


恐怖に震えながら二人に謝るお偉い悪魔達


一誠 「ふん、それで、これで行事は終わったんだな?」


サーゼクス 「いや、私から一つある。リアス、ソーナ、兵藤くん。戦ってみないか?」


―――?戦う?レーティングゲームでか?


リアス 「・・・・・」


ソーナ 「・・・・・」


グレモリー先輩とシトリー先輩も顔を見合わせ、目をパチクリさせて驚いた。サーゼクスはそんな二人に構わ

ず続ける


サーゼクス 「元々、近日中にリアスのゲームをする予定だった。アザゼルが各勢力のレーティングゲーム

       ファンを集めデビュー前の若手の試合を観戦させる名目もあったものだからね。だからこそ、

       丁度良い。リアスとソーナ、ソーナと兵藤くん、リアスと兵藤くん、休憩も入れてゲームを執

       り行ってみようではないか」


駒王学園同士の対決かよ・・・・・グレモリー先輩は一度息を吐くと、挑戦的な笑みをシトリー先輩に見せ

る。やる気満々の様だ。シトリー先輩も冷笑を浮かべだした。こっちもやる気全開だ。対して俺は普通だった


ソーナ 「公式ではないとはいえ、私にとっての初のレーティングゲームの相手が貴女、その次に兵藤くんだ

     なんて運命を感じてしまうわね、リアス」


リアス 「競う以上は負けないわ。ソーナ」


戦う前から早速火花が散っているよこの二人・・・・・


セラフォルー 「リアスちゃんとソーナちゃん、兵藤くんの試合!うーん☆燃えてきたかも!」


魔法少女もどきのセラフォルーも楽しげだ


サーゼクス 「大戦の日取りは、人間界での時間で八月二十日。それまで各自好きに時間を割り振ってくれて

       構わない。詳細は改めて後日送信する」


こうしてサーゼクスの決定により、俺とグレモリー先輩とシトリー先輩のレーティングゲームは開始される事

になった



――――――――――――――――――――――――――――――



バシン!


一誠 「・・・・・」


再び大広場に戻った俺にビンタを喰らった。俺にビンタをしたのは


リアス 「貴方は馬鹿なの!?どうしてあんな行動を起こしたのよ!」


グレモリー先輩だった。叩かれた場所に『神愛護珠』の能力で痛みを癒した後に答える


一誠 「人の夢を馬鹿にする奴は嫌いだ。その上、人に夢と目標を言わせて馬鹿にするなら尚更だ」


リアス 「だからって!貴方、一歩間違っていたら大変な事が起きたかもしれなかったのよ!?」


一誠 「『一歩間違っていたら』・・・・・ねぇ、じゃあ、俺は間違っていなかった訳だ。さっきのやり

    取りは」


リアス 「そう言う事じゃない!貴方は死にたいの!?あの方達が一言言えば上級悪魔の軍隊を出動させる程

     の力があるのよ!?」


軍隊?三大勢力トップ会談に来ていたあいつらのことか?


一誠 「軍隊だろうがなんだろうが出動させて殺せるもんなら殺してこいって俺は言うよ。殺されない自身

    あるし」


リアス 「っ〜〜〜」


バッシィィィィンッ!


今度は魔力を帯びた手でビンタされ俺は吹っ飛んでしまいテーブルにぶつかった


リアス 「馬鹿は死なないと治らないみたいだわ・・・・・帰りましょう」


踵を返して大広場から出ていくグレモリー先輩と成神達グレモリー眷属・・・・・いてぇな


一誠 「・・・・・はぁ」


今度は痛みを感じようと癒さずにする。全く、何て威力のあるビンタだよ・・・・・・とビンタされた頬を

触っていると


「・・・・・」


シーグ・ヴァイラ姫が眷属を連れて俺のもとへ近づいてきた


一誠 「シーグ・ヴァイラ姫・・・・・お前も俺を叩きに来たのか?馬鹿な事をした俺にさ」


自嘲するような薄笑いする俺に対して彼女は何も言わない。ただ俺の傍に近づくだけ


「・・・・・」


彼女は俺の眼前に立つと俺の頬を撫でる様に触りながら


「貴方って人は・・・・・紳士的な振る舞いするかと思えば今度は上層部の悪魔達に喧嘩するなんて一体どう

いうつもりなのです?」


一誠 「泣いていたんだ」


「え?」


一誠 「シトリー先輩が心の中で泣いていたんだよ。夢を馬鹿にされて泣いていたんだ。顔には出さない

    けどさ」


苦笑しながらシーグ・ヴァイラ姫を見上げる。シーグ・ヴァイラ姫から冷たく鋭い視線が無い代わりに心配そ

うに俺を見詰めていた。


一誠 「だから、許せなかったんだ。いくら伝統や誇りが重んじる旧家の顔を潰すって言ってもそいつらは自

    分のことしか考えていない奴だ。悪魔の世界に変革の時期が入っているならそれぐらい良いと思って

    いるんだ」


「―――その言葉、シトリー家次期当主本人にも言ってあげたらどうです?もしかしたら歓喜の涙を流すかも

しれませんわよ?」


一誠 「いやいや、其れは無いな。先輩はシーグ・ヴァイラ姫と同じでクールだからな」


「あら、それって可愛げがないって意味ですか?少し傷つきました・・・・・」


そう言う割には傷ついてなさそうだぞ、シーグ・ヴァイラ姫


一誠 「冗談だ。シーグ・ヴァイラ姫は可愛いよ。その髪も綺麗だしな」


褒め言葉を言った途端、顔を赤く染め恥ずかしそうにした。


「お世辞言ってもちっとも嬉しくないです・・・・・」


一誠 「本気なんだけど?」


「っ〜〜〜」


あっ、今度は耳まで赤くなった。


「し、失礼しますッ!」


顔を赤く染めたままで眷属と共に踵を返して帰っていった。―――と思ったらシーグ・ヴァイラ姫だけがこっ

ちに戻ってきてまた俺の頬を両手で覆うと


「ゼファードルから守ってくれたお礼はまだでしたね――――これはお礼です。・・・・・ん」


一誠 「っ!?」


お礼と称してキスされた!シーグ・ヴァイラ姫からキス!?


「・・・・・私のファーストキスです。次に会うときはパーティの時です」


俺にそう言い残し名残惜しそうに再び踵を返して眷属達と今度こそ帰っていった。俺はシーグ・ヴァイラ姫か

らキスされた事で少し呆けていたら


サイラオーグ 「兵藤一誠、大丈夫か?」


俺の前に立ちサイラオーグが来た


一誠 「あ、ああ、大丈夫だ。何か用か?」


俺が訊くと吐息を吐き呆れた風に言葉を発す


サイラオーグ 「お前は意外と大それた事をする奴だったとはな・・・・・度肝を抜かされたぞ」


一誠 「・・・・・俺は間違いをしたか?」


サイラオーグ 「―――いや、お前の行動は間違いが多くとも正しい事もあった。俺も共感したぐらいにな」


そうか。まあ、正しい事があったならそれでいいや


サイラオーグ 「ではな、俺も帰るとする。お前が此処に滞在する間、そちらに行くからな」


一誠 「グレモリー先輩の家にいるからな。来たら手合わせしてやるよ」


「楽しみにしている」と言い、眷属達と帰っていった。すると今度は



ソーナ 「・・・・・兵藤くん」


匙 「・・・・・・」


シトリー先輩と匙が歩を進みながら俺の許に来た


一誠 「シトリー先輩、匙・・・・・」


匙 「・・・・・ありがとう」


一誠 「・・・・・何の事だ?」


匙 「惚けるなよ・・・・・会長と俺の夢をあんな大胆で豪胆に馬鹿にした上役の悪魔達に向かってあんな

   ことを言うなんてお前・・・・・馬鹿だろう?」


「はいはい、どうせ俺は馬鹿だよ」と自分で自分を過小評価に言うが匙が「でも」と続けて口を開く


匙 「―――でも、そんな馬鹿に俺達の為に怒ってくれて俺は嬉しかった。お前だけだった。俺達の夢の為に

   怒ってくれたのは・・・・・兵藤、ありがとうっ」


ソーナ 「・・・・・兵藤くん」


匙が俺に頭を下げ感謝の姿勢をする中、シトリー先輩が一歩前に出て俺に近づいた


ソーナ 「あの・・・・・どうして、私達の為にあんな行動を起こしたのですか・・・・・?

     貴方には関係ない筈だと言うのに・・・・・それに自分の立場を悪くしてまで・・・・・どうして

     ですか?」


一誠 「シトリー先輩が泣いていたからだ」


キョトンとした表情で「えっ?」と言葉を漏らす。


一誠 「馬鹿にされていた時、顔には出していなかったけど心シトリー先輩は悲しみ、泣いていた。悔しがっ

    ていたんだ。―――心の中で」


自分の心臓=心にポンポンと叩きながらシトリー先輩に言った


ソーナ 「兵藤くん・・・・・私の・・・・・私達の夢はどう思っていますか?」


一誠 「シトリー先輩と匙は冥界の為に差別がない自由に学べるレーティングゲームを作るなんて最高の夢

    じゃないか。俺は誇っても良い夢だと思う」


『・・・・・』


一誠 「もし、シトリー先輩達の夢を馬鹿にする奴がいたら俺を呼べ、『お前は人の夢を馬鹿にする権利が

    あるのか!』て、言いながら俺は殴り飛ばしてやるからよ。例え仮にそれが魔王でもだ」


口の端を吊りあげながら笑うと苦笑する二人


匙 「兵藤、何て怖い事をしようとするんだよ・・・・・魔王様まで殴るつもりか?」


ソーナ 「末恐ろしい事をするのですね・・・・・仮にでもですが」


一誠 「悪魔にはできない事だろう?俺なら可能だからな」


「確かにキミならそれができそうだ」


シトリー先輩と匙の後方から新たな声が聞こえた。二人は背後に振り返り俺も二人の背後を見た。そこには

サーゼクスとセラフォルーがいた


一誠 「サーゼクス・・・・・っ」


サーゼクス 「そう睨まないでくれたまえ、私はソーナと匙くんに謝りに来たのだよ―――すまない。キミ達

       の夢と目標を踏みにじる様な事になってしまって申し訳ない」


深々と頭を下げ二人に謝罪の姿勢を見せた。シトリー先輩と匙は目を大きく開いて戸惑う


匙 「あ、頭を上げてください!兵藤が謝らせてくれたのでもう気にしていませんから!」


ソーナ 「サジの言う通りです。ですから、頭を上げてください。一介の悪魔に魔王様が頭を下げる様な事を

     したら問題が起きます。私達はもう気にしていませんから」


サーゼクス 「そう言ってくれると有り難い・・・・・。」


セラフォルー 「ありがとう、ソーナちゃん・・・・・」


一誠 「・・・・・」


実力主義、才能、能力、プライド、伝統、誇り、階級、その他色々とあるけれど俺にとってそれは全てが邪魔

だ。どれもこれも見下すことしかできないからだ。そんな世界、いらないなぁ・・・・・新しい世界で皆が幸

せに暮らす事が―――新しい世界?・・・・・。


一誠 (メリア)


メリア (どうした?)


一誠 (お前の力で新しい世界―――地球を創る事が出来ないか?)


地球を創れるかどうか聞くと沈黙するメリア。肯定と踏んでいいのか?


メリア (そのぐらい容易い事です。ですが、創れるとしても三つまでしかできません。それでよろしい

     ですか?)


一誠 (三つも創れるのかよ!?)


一つだけならともかく三つも創れると聞くと驚いた!流石は無限創造神龍だな!?


セラフォルー 「そうだ☆ソーナちゃん、兵藤くんと婚約してみたらどうかな?」


・・・・・・・・・・・・はい?今、何て言った?この魔王少女は


ソーナ 「お、お姉さま?今、何て仰いました?突然の事で聞きそびれてしまったのでもう一度言ってくれ

     ますか?」


セラフォルー 「んもー、聞いていなかったの?じゃあ、もう一回言うよ?兵藤くんと婚約して見ない?って

        言ったの」


『―――――――えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ

えええええええええええええええええええええええええええええッッッ!?』


大広間に俺と匙、シトリー先輩の絶叫の声が響いた。そして、俺の心の中で


な   に   を   い   う   ん   だ   こ   の   馬   鹿   は  !


と思った。きっと匙とシトリー先輩もそう思っていたに違いない・・・・・はぁ、冥界に来てから色々と俺の

身に大変な事が始まっている様な気がする・・・・・・

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