小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

白い炎のようなものに旧魔王派の連中がほぼ消滅したが残党が残っていた。リインフォースは

黒い翼・・・・・堕天使の翼か?上空に飛んで三角形の魔法陣を展開してその上に立ち右腕を突き出すと

桜色の魔法陣が出現した。すると桜色の魔力の光が一点に集まり大きくなりながら収束していく。見た事無い

攻撃だ。別世界の魔法攻撃のものなのか?


「主」


一誠 「何だ?」


「広域殲滅魔法を放ちます。ですので、離れてください」


・・・・・は?と信じられない言葉を聞いた俺に対して大きく膨らんだ桜色の球体状の魔力がキュィィィンと

鳴り始めた!リインフォースは右腕を左に回し構えると


「スターライトブレイカー」


桜色の魔法陣に突き出すと同時に集束されていた桜色の魔力がドウ!と音を立てて発射された!どうやら直射

の集束砲撃魔法のようだ。真っ直ぐ撃った桜色の魔力が旧魔王派の連中に向かって行った。防御の魔方障壁を

展開して防ごうとする姿勢を見せるが、いざ桜色の魔力が防御の魔方障壁と衝突した途端、一瞬の閃光が

放った。そして一気に桜色の魔力が巨大に膨張して旧魔王派の残党を一瞬で飲み込んだ・・・・・って

こっちにも来ている!?


一誠 「オー爺ちゃん!ロスヴァイセ!」


迫りくる桜色の魔力に呆然とする二人に金色の結界を張り俺は二人の前に立ち更に巨大な金色の結界を張り

守る姿勢に入る


リアス 「あ、あんなの防ぎきれないわよ!」


朱乃 「今から回避しても間に合いませんわ!」


・・・・・・あっ、忘れていた。ていうか、まだいたんだ?・・・・・しょうがない


一誠 「こっちに来い!」


一部だけ結界に穴を開けるとグレモリー先輩たちは目を大きく開くが急いで穴に潜り結界の中に入った。

―――刹那、強い衝撃波が襲いかかった!


一誠 「・・・・・っ」


まるで突風・・・・・いや、巨大な嵐とぶつかったような衝撃だ!これが

リインフォースの力か・・・・・っ!初めて受ける攻撃だ!


ロスヴァイセ 「兵藤くん!」


一誠 「大丈夫だ。これぐらいの力なら防げる」


少しだけ強がりを言ってみる。・・・・・今度、マテリアルたちとヴォルケンリッターと模擬戦しよう。

彼女たちの強さは知らないからな。数分後、何とかリインフォースの攻撃を防ぎきった


「主、大丈夫ですか?」


一誠 「ああ、何とかな・・・・・。今度、俺と模擬戦な?お前たちの力を知らないといけない」


「解りました」


結界を解き龍化と解いて溜息を吐く。オー爺ちゃんたちは「わし等は戻る」と言って俺と別れた。数分後、

ヴォルケンリッターが戻って来てシグナムが一歩前に出て口にした


「主、ただいま戻りました」


一誠 「お帰り、それでディオドラの眷属は?」


「気絶させ家に転送しました。今頃は突いている頃だと思います・・・・・ですが」


そこでシグナムが口を濁す。俺は「どうした?」と聞くと


「二つほど報告が有ります。一つはディオドラ・アスタロトの二名の眷属を食べようとした異形を捕縛しま

した。対処は主に任せようと生かしていますが・・・・・」


・・・・・?俺は疑問に思いシグナムが後ろに視線を送っているところを見ると


「ちくしょう!放しやがれ!」


「大人しくしていろ」


魔法で造ったと思われる縄に縛られているフリードが・・・・・って!


一誠 「フリード!?」


「ん?やあやあやあ!あの時のエクスカリバーちゃんを持っていた人ではあーりませんかぁ!奇遇ですねぇ、

感動の再会ですねぇ!」


一誠 「いやいやいや、お前、何で此処にいんの?」


グレモリー先輩たちもフリードの存在に驚いているが俺はそれ以上に何で此処に居るのか気に成って問う


「そこにいる悪魔の団体さん達に切り刻まれたあと、ヴァーリのクソ野郎に回収されましてさあ!腐れアザ

ゼルにリストラされちまってよぉ!行き場無くした俺を拾ったのが『禍の団』の連中さ!その上、俺に力を

くれるって言うから何事かと思えばさあ!」


ボゴッ!ドンッ!ぐにゅりっ!


突如、異様な音を立てながらフリードの身体の各所が盛り上がる。服を突き破り、角みたいなものが身体から

生えていく。全身が隆起していき、腕も脚も何倍も膨れ上がった。その際、縛っていた縄の様なものが

フリードの変化に耐えきれず千切れてしまった。その様子を見てシグナムたちは

「まだ力を残していたのか!」と舌打ちしていた。俺はフリードが異形な姿を見て呟いた


一誠 「・・・・・キメラ?」


「正解、正解、大正解!そうです。合成獣です!見てよこれ!素敵なモデルチェンジでしちゃったよ!」


こいつの今の姿は背の片側だけ蝙蝠のような翼が生え、もう片側には巨大な腕が生えてきていた。顔も原形を

留めないほどに変質し、突きだした口には凶暴な牙が生えそろう。ドラゴンのような頭部に成っていた


一誠 「おいおい、人間止めたのかよ・・・・・。ところでシグナム、もう一つの報告って何だ?」


嘆息しながらもう一つの報告を訊く。シグナムの口から信じられない言葉を発した


「神殿の最深部の内部に突入したところ奇妙な装置に嵌められていた金髪の少女がおりました。その傍には

ディオドラ・アスタロトと思われる一人の男もいました」


一誠 「―――何だと?」


「私たちの存在に気づきグレモリー眷属に伝えろと言われ此処に戻ったのです」


リアス 「・・・・・何て言っていたのかしら?」


グレモリー先輩はシグナムに問い詰めると「早く来ないと楽しいショーが終わってしまうよ?」と伝えた


成神 「あの野郎っ!そうはさせるか!」


リアス 「急ぎましょう!アーシアが危ないわ!」


神殿に駈け走ろうとするグレモリー先輩たちにフリードが立ち塞がる。木場が聖魔剣を一振り創りだし―――


フッ!


木場が視界から消え―――。


ガギンッ!


木場 「―――え?」


一誠 「ちょっと聞いていいか?」


フリードを切り刻もうとした木場の聖魔剣を瞬時で木場の前に立ちエクスカリバーオルタで受け止め問う


一誠 「此処にアルジェントがいないと思えばディオドラに捕まっているって言うんだな?」


成神 「だから俺たちは急いでアーシアを助けに行こうとしているんだよ!それに何でそいつを庇うような

    真似をするんだ!?」


一誠 「コイツは俺が引き取るからだ。文句あるか?」


「俺さまを引き取るだと・・・・・?ふざけんじゃねぇよ!クソがぁぁぁぁぁぁぁ!」


憤怒の形相となったフリードは全身から生物的なフォルムの刃を幾重にも生やして俺に向かってくるが

ヴィータが何時の間にか持っていた巨大なハンマーで横殴りして遠くに吹っ飛ばす


一誠 「ヴィータ、ナイスだ。リインフォース、初めてだけどアレをやるぞ」


「解りました。主イッセー」


俺は木場から離れリインフォースの傍に寄る。そして俺と抱き締め合うリインフォースと声を揃える


『ユニゾン・イン』


カッ!


と言った瞬間、俺たちは光に包まれた。光が収まると彼女の姿は居なくなっていた。俺は自分の体を調べると

リインフォースのような銀髪の長髪に成っていて服装も同じ(スカートじゃなくてズボン)だった。靴も同様

な物を履いていて背には黒い六対十二枚の翼と頭部にも黒い翼が生えていた


『主イッセー、どうですか?』


一誠 「リインフォース?もしかして俺の中に居るのか?」


『はい、それと二匹のドラゴンが一緒にいますが、主が言っていたドラゴンでしょうか?』


成程、ゾラードとメリアと一緒に居るのか


一誠 「そうだ、俺の相棒でもある。ゾラード、メリア。よろしくな」


『主の中に入れる存在がドラゴン以外にもいるとは面白い限りだ』


『よろしくお願いしますね』


『こちらこそ、よろしくお願いします』


リインフォースたちは挨拶を済ましたようだしフリードを倒すとしましょうかね


「わーお!クソ堕天使になれるなんて、不思議、摩訶不思議だね!―――キミ、本当に人間?」


一誠 「失礼な。れっきとした人間だ。と言うより、人間を止めたお前なんかに言われたくない!」


「ぎゃははははっ!じゃあ、その人間を止めたこの力でパックンとお前を食らっちゃおうかね!『騎士』の

二人を食い損ねちゃったからさぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!お前食ってお前の特性を貰っちゃう

ぜぇぇぇぇぇぇ!」


口を大きく開き凶暴な牙を覗かせながらこっちに向かってきた。


『刃似もて、血に染めよ』


リインフォースがそう言うと同時に俺の周囲に血の様な色のダガーが幾重にも発現して


『穿て、ブラッティダガー』


赤い閃光を残しながらダガーが一斉にフリードに向かって


ドドドンッ!


爆発した。今のは・・・・・長距離誘導攻撃魔法なのか?・・・・・ん?もしかして俺も魔法が使える?


『はい、私の攻撃魔法しか使えませんがそれでも魔法を使える事は変わりありません。主は私とユニゾンを

したことで魔法が扱えるようになっております』


おおー!俺も和樹のような魔法とは似ているけど違う魔法が使えるのか!?

子供の頃は憧れていたんだよなぁ!


『ふふふ、主、これを』


俺の中で微笑みの声音を発した。すると俺の眼前に一瞬の閃光が放った。光が収まると金の剣十字が存在

していた


一誠 「これは・・・・・?」


『主の杖です。まだ名もないですが』


俺は剣十字の柄を掴み眺める。名前が無い杖か・・・・・よし


一誠 「この杖の名前は『シュベルトクロイツ』にしよう。名前が無いって可哀想だし」


『・・・・・ありがとうございます』


どういたしまして。さて。フリードはどうなった?あれぐらいでやられる奴じゃないと

思うけど・・・・・って!?


「・・・・・」


煙が晴れてフリードの姿を捉えた。しかし、あいつは今の攻撃で地に倒れていた。えっ!今ので

倒れたのか!?其処にヴィータが近寄りハンマーで突くとフリードは反応しない。それを見て首を左右に振り

「こいつ、気絶してんぞ」と教えてくれた


一誠 「何か釈然としないけど・・・・・まあいいや」


腕を前に突き出し手の平を翳すとフリードを中心に穴が広がり、あいつは落ちた。ん、捕獲完了。

あいつを野放しにしたら殺されるのが目に見えるからな



和樹 『一誠。いま魔王様と一緒に旧魔王派の人たちを倒しているけどそっちに行こうか?』


一誠 「いや、そのまま片づけて終わったら先に帰って良いぞ。こっちはヴォルケンリッターと

   オーフィスがいるから大丈夫だ」


和樹 『解った。でも、心配かけないでね?』


その言葉を聞き苦笑しながら「肝に銘じておく」と言って和樹との会話を切った


一誠 「それじゃあ、グレモリー先輩・・・・・ん?」


「赤龍帝たち、神殿の方に向かった」


一誠 「―――説教がまだだって言うのにアルジェントを助けに行きやがったな。しょうがないだろう

    けどよ」


俺の背後にいた筈のグレモリー眷属の姿がおらずオーフィスが指を神殿の方へ差して教えてくれた


「イッセー、これからどうする?」


一誠 「んー、目的は終わった。此処で帰っても良いんだけど・・・・・おっ」


アザゼル 「お前は誰だ?」


上空からアザゼルが降りてきた。そしてキョロキョロとオー爺ちゃん、ロスヴァイセ、シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、最後は俺を捉える


アザゼル 「その姿は確かリインフォースって女に酷似しているが・・・・・まさか、兵藤か?」


一誠 「ああ、そうだ。今のこの状態はリィンフォースと融合した姿なんだ」


アザゼル 「融合?」


「論より証拠」と呟きリインフォースにユニゾンを解除してもらう。俺の身体が一瞬の閃光の光が辺りを

包み込む。光が止んだあと、俺の体は元に戻っていて隣にはリインフォースが佇んでいた


アザゼル 「・・・・・」


一誠 「悪いけど、もう一度ユニゾンだ」


「解りました」


『ユニゾン・イン』


もう一度、抱き締め合う彼女と声を揃える。俺とリィンフォースの身体が一瞬の閃光の光が辺りを包み込む。

光が止んだあと、俺の姿は融合した時と同じ姿になった


アザゼル 「・・・・・本当に別世界から来たんだな。人間と人間が融合できるなんて初めて聞いて見たぞ。

      しかも、お前が堕天使化に成るとは思わなかった」


一誠 「いや、この姿は堕天使のモデルにした姿みたいだ。光の槍が出せない」


アザゼル 「そうなのか?今のお前の姿はどうみたって堕天使だけどよ。まあ、頭に黒い翼がある堕天使

      なんて流石に存在しないけどな」


俺に近寄り頭に生えている翼を見詰めたり触ったりする


一誠 「じゃあ、超越した堕天使って事でよろしく」


アザゼル 「頭の翼も含めて七対十四枚の黒い翼を持つ堕天使か・・・・・俺より強そうだな」


どうだろう?アザゼルの全力で戦う姿は見た事無いからどのぐらい強いのかさっぱり解らないなと思ってい

たらアザゼルの背後に魔方陣が発現した


一誠 「アザゼル」


アザゼル 「何だ?」


一誠 「後ろに魔方陣が出現しているけど・・・・・誰の?」


俺の言葉にバッ!と振り返ると同時に誰かが転移してくる。其処に現れたのは貴族服を着た一人の男。

そいつは俺たちに一礼し、不敵に笑んだ。


「お初にお目にかかる。俺は真のアスモデウスの血を引く者。クルゼレイ・アスモデウス。『禍の団』真なる

魔王派として、堕天使の総督である貴殿に決闘を申し込む」


っ!?此処で、アスモデウスの血縁者が来るとは予想外にも程がある!でも、此処で捕まえれば・・・・・

アスモデウスがどんな反応をするんだろう?


アザゼル 「旧魔王派のアスモデウスが出てきたか」


ドンッ!


そいつは全身から魔のオーラを迸らせた。色がドス黒い。これがオーフィスの力を増幅させる

黒い蛇の力なのか?


「旧ではない!真なる魔王の血族だ!私を愚弄しないでもらおうかッ!」


怒りを露わにしてアザゼルに声を張り上げた。不意に視線をずらしたと思えばオーフィスを視界に

捉えたのが解った


「オーフィスよ。私と一緒に『禍の団』へ帰りましょう。我々は貴女の力が必要です。世界を滅ぼし

再構築する為に」


オーフィス 「我、帰らない。イッセーとずっと一緒にいる」


クルゼレイの言葉を拒否したオーフィスは俺の腕に抱きついてきた


「イッセー・・・・・?その堕天使・・・・・堕天使なのか?頭に黒い翼があるのだが」


アザゼル 「ああ、そうだぜ。その上、俺より強いんだからな」


おい!こら!何勝手に間違いを教えているんだよ!?お前も「ふむ、そうなのか?」みたいな顔を

するんじゃない!


一誠 「言っとくけど俺は堕天使じゃない!兵藤一誠だ!」


「・・・・・兵藤?兵藤誠、兵藤一香の子供なのか?姉上を助けてくれたあの?」


・・・・・やっぱり、お父さんたちと関わっていた一人だったか


アザゼル 「誠たちの行動力は呆れを通り越して凄いと思うぞ」


一誠 「俺もそう思う。ああ、そうだよ。クルゼレイ、それで合っている」


「だが、その姿は何だ!堕天使ではないか!?兵藤の子供は人間の筈だ!」


―――等々、堕天使として認識されたよ・・・・・。リインフォース、解除だ


『はい』


もう一度ユニゾンを解除してもらい元の姿に戻る。リインフォースは俺の隣に立っている


一誠 「ほら、俺は人間だ。彼女と融合して堕天使化に成ったにすぎないんだ」


アザゼル 「なんだよ。折角このまま堕天使として認識させようとしたのに」


一誠 「ふざけんな!そんな認識をさせない為に人間に戻ったんだよ!」


この総督、何ふざけたことを言っているんだよ!?


アザゼル 「まあいいや。さて、ファーブニル。付き合ってもらうぜ。相手はクルゼレイ・アスモデウス!

      いくぜ!禁手化ッッ!」


次の瞬間、アザゼルは黄金の全身鎧に包まれていた。龍牙とは酷似しているけど違うな。と、思っていたら

新たな転移魔方陣が現れた。あの紋様は―――。そうか、自ら出張るのか。輝く魔方陣から現れたのは、

現四大魔王の一人、紅髪の王―――サーゼクス・ルシファー。


アザゼル 「サーゼクス、どうして出てきた?」


堕天使の総督の問いにサーゼクスは目を細める


サーゼクス 「今回結果的に妹を我々大人の政治に巻き込んでしまった。私も前へ出てこなければな。いつも

      アザゼルばかりに任せていては悪いと感じていた。―――クルゼレイを説得したい。これぐらい

       しなければ妹に顔向けできそうにないんでね」


アザゼル 「・・・・・お人好しめ。―――無駄になるぞ?


サーゼクス 「それでも現魔王の王として直接聞きたかった」


アザゼルは構えていた槍を一度引いた。サーゼクスと視認したと途端、クルゼレイの表情が憤怒と化す


「―――サーゼクス!忌々しき偽りの存在ッ!直接現れてくれるとはッ!貴様が、貴様らさえいなければ、

我々は・・・・・ッ!」


やっぱりカテレアと同じなんだな。クルゼレイ、お前たち旧魔王派は・・・・・


サーゼクス 「クルゼレイ。矛を下げてはくれないだろうか?いまなら話し合いの道も用意できる。前魔王の

       血筋を表舞台から遠ざけ、冥界の辺境に追いやったこと、いまだに私は『他の道もあったの

       では?』と思ってならない。クルゼレイ、私は旧魔王派たちと会談の席を設けたいと思って

      いる。貴殿とは現魔王アスモデウスであるファルビウムとも話して欲しいと考えている」


―――無駄だ、サーゼクス。旧魔王派は現魔王たちを恨み、憎しみ、憎悪、負の感情を抱いているんだ。

クルゼレイにお前の言葉は届かないんだ。サーゼクスの言葉を聞いて激高するクルゼレイ


「ふざけないでもらおう!堕天使どころか、天使とも通じ、汚れきった貴様に悪魔を語る資格など無いのだ!

それどころか、俺に偽物と話せと言うか!?大概にしろッ!」


アザゼル 「よく言うぜ。てめえら『禍の団』には三大勢力の危険分子が仲良く集まっているじゃないか」


そう言えば悪魔と天使、堕天使も禍の団に属しているんだよな?


「手を取り合っている訳ではない。利用しているのだ。忌まわしい天使と堕天使は我々悪魔が利用するだけの

存在でしかない。相互理解?和平?悪魔以外の存在はいずれ滅ぼすべきなのだ!それを何故解らない!?悪魔

こそが!否!我々、魔王こそが全世界の王であるべきなのだよ!オーフィスの力を利用する事で俺たちは

世界を滅ぼし、新たな悪魔の世界を創りだす!その為には貴様等偽りの魔王どもが邪魔なのだ!」


クルゼレイ、今のセリフは古典的な弱い親玉の発想だぞ。それと既に種として悪魔の存在自体が危ういかも

しれないって言うのにどうして自分の首を絞める様な事をするんだよ。悪魔が今度こそ滅ぶぞ。サーゼクスが

寂しげな目で呟いた。


サーゼクス 「クルゼレイ―――。私は悪魔という種を守りたいだけだ。民を守らなければ、種は繁栄し

       ない。甘いと言われてもいい。私は未来ある子供たちを導く。―――いまの冥界に戦争は

       必要ないのだ」


「甘いッ!何よりも稚拙な理由だッ!それが悪魔の本懐だと思っているのか!?悪魔は人間の魂を奪い、

地獄へ誘い、そして天使と神を滅ぼす為の存在だッ!もはや、話し合いは不要ッ!サーゼクスよ!偽りと

偽善の王よッ!ルシファーとは!魔王とは!全てを滅する存在だっ!滅びの力を持っていながら、なぜ横の堕

天使に振る舞わない!?やはり、貴様は魔王を名乗る資格など無いッ!この真なる魔王であるクルゼレイ・

アスモデウスがお前を滅ぼしてくれるッ!」


違う、そんなの間違いだ。クルゼレイ。お前たちは、旧魔王派は気付いていない―――自滅の道を歩んでい

ることを・・・・・。俺はクルゼレイから視線を外しサーゼクスを視界に入れる。サーゼクスは天を仰ぎ瞑目

する。次に目を開けたとき―――その瞳は冷たいものが映り込んでいた。それを確認したクルゼレイは距離を

取り、両手には巨大な魔力の塊を作りだしていく。


「そうだ!それでいい!そのほうが解りやすいのだよ、サーゼクスッ!」


「―――主、加勢をしますか?」


シグナムが腰に携えていた剣の柄を掴みながら訊いてきた


一誠 「いや、シグナムたちは黙って見ていてくれ」


シグナムを尻目に俺はサーゼクスの行動を見る


「・・・・・解りました」


サーゼクス 「クルゼレイ、私は魔王としていまの冥界に敵対する者を排除する」


強い口調で言いながら右手を突き出し、手の平を上に翳した。そこに魔力が圧縮していくサーゼクスの魔力が

徐々に異様なオーラを放ち始める。何度か見たことある。あれはグレモリー先輩の滅びの魔力だ。やっぱり

兄妹だな。グレモリー先輩とサーゼクスは


「貴様が!魔王を語るなッ!」


クルゼレイが巨大な魔力を両手から掃射する。サーゼクスは動じず、手の平から生まれた魔力を無数の小さな

球体に変えて、前方に撃ち出した。


ギュパ!ギュゥゥゥゥンッ!


クルゼレイの攻撃はサーゼクスの魔力に触れた途端、削り取られたように消滅していく。サーゼクスの撃ち出

した小さな魔力の球体は意思を持つかのように宙を縦横無尽に動き回り、クルゼレイの攻撃を打ち消して

いった。消しきれない攻撃はサーゼクス自身が避けたり、防御障壁を作り出すことで防いでいく。

そのクルゼレイの口内へ滅びの球体が一つだけ入り込む。


ドウッ!


クルゼレイの腹部が一度だけ膨れ上がった。それが収まると同時にクルゼレイの魔力が一気に減少して

いった。一体何が起きた?


オーフィス 「我の蛇、今ので消された」


と、横にいるオーフィスが教えてくれた。教えてくれて、ありがとうなと感謝を込めながら頭を

撫でているとサーゼクスがボソリと呟く。


サーゼクス 「―――『滅殺の魔弾』。腹に入っていたオーフィスの『蛇』を消滅させてもらった。

       ―――これで絶大な力を振るえないだろう」


初めて、サーゼクス攻撃を見た。これが魔王の力・・・・・いや、サーゼクスは本気を出していないようだ。

今のは力の一部といったところか?―――だけど、滅の力を持っているのはお前とグレモリー先輩たちだけ

じゃないぞ


「おのれ!貴様といい!ヴァーリといい、なぜこうも『ルシファー』を名乗る者は恵まれた力を持っていな

がら、我々と相容れないッ!?」


クルゼレイは毒づきながらも再び両手に魔力を放出しようした。


ギュウパンッ!


ドンッ!


―――が、球体のひとつがクルゼレイの腹部に触れようとした瞬間、クルゼレイが異様なオーラに囲まれる

ようにサーゼクスの魔力から守られた。その原因は


サーゼクス 「・・・・・どうしてだい?」


一誠 「悪い。クルゼレイを殺されると困るんだ」


『幻想殺しの籠手』を嵌めた手を突き出した俺だった


サーゼクス 「再び問おう。どうしてクルゼレイを庇う?」


冷たい視線で俺の瞳を据える


一誠 「サーゼクス、俺が死んだ時の記憶を見て俺の夢と目標を知っている筈だ。俺は旧魔王派を救済しよう

    としていることも」


異様なオーラは手の形に変えクルゼレイを捕まえた


「放せ!これは何の真似だ!?俺を一体どうするつもりだッ!」


一誠 「お前を救済するんだよ。クルゼレイ」


真っ直ぐ向かって言うと「真なる魔王の俺に救済など不要だ!」と拒否された。


一誠 「こいつは俺が貰う。俺の計画に必要な存在だからな」


アザゼル 「計画だと?・・・・・もしかして、お前は本気でアレを?」


何かに気づいた様子で俺を訊いてくる。でも俺はクルゼレイと話しする


一誠 「クルゼレイ、お前たちの願いを俺が叶えてやるよ」


「どう言う事だ。我々の手伝いをするというのか?」


一誠 「いやいやいや、テロリストには成らない。―――世界をプレゼントするんだ」


俺の言葉を聞いて驚愕の表情になるクルゼレイ


一誠 「と、言ってもあと一歩まで完成に近付いている。まだ完成していないからプレゼントは

    できないけどな」


「そんな都合のいい話が信じられるとでも思っているのか!?世界をプレゼント?貴様はこの世界を我々の

代わりに滅ぼしてくれると言うのか!」


一誠 「そんなことする訳無い。まあ、俺たちの仲間に成ってくれれば教えてやる」


「誰が貴様の仲間などに成るものか!我々は世界を滅ぼし、新たな世界を創り、新たな悪魔の世界を創る為に

旧魔王派という存在が生まれたのだ!兵藤誠、兵藤一香の子供だからといって許さんぞ!」


憤怒の形相で言うクルゼレイの言葉を聞いて頬をかく。俺はあいつに近づき「じゃあ」と言って耳に寄り声を

殺して言う。するとクルゼレイの表情が変わり、目を大きく開き言葉を呑んだ


「・・・・・まさか、そんな、そんな訳が有る訳が・・・・・」


一誠 「事実だ。それでも信じられないなら俺と一緒に来い。真実を見せてやる」


「どうする?」とクルゼレイに尋ねるが沈黙してまった。逃げる様子はなそうだからクルゼレイを解放して

答えと待つ。数十秒ぐらいだろうか?クルゼレイが顔を上げて口を開いた


「―――貴殿と共に行こう。だが、もし違っていたならその時は貴様を屠るぞ」


『―――ッ!?』


一誠 「良かった。もし拒否されたら強制的に連れていく予定だったからな。何せ俺の『計画』に必要な

    存在なんだから」


よしよし、上手くいくとは思っていなかったから不安だったけど


「ふん、貴殿の思惑はともかく俺は真実を確かめたいだけだ」


一誠 「はいはい、本当だったら仲間になってもらうぞ。というより成るしかならないけどな?

   ヴォルケンリッター、クルゼレイを連れて先に行ってくれ」


空間を歪ませ穴を広げる。「解りました」とシグナムたちがクルゼレイを連れて穴の中に潜っていった


サーゼクス 「兵藤くん、キミは一体・・・・・何を企んでいるんだね?」


一誠 「だから救済だって何度も言っているだろう?サーゼクス、サーゼクスが説得しても旧魔王派たちは

    心を開かないどころか逆に怒りを買うだけだ。それを撃退するか殺すことしかできないなんて俺は嫌

    なんだ」


アザゼル 「お前の『計画』とは一体何だ?」


一誠 「―――旧魔王派を新たな世界で住まわせるのが今の俺の『計画』の一つだ」


淡々とサーゼクスとアザゼルの質問を答えていく


アザゼル 「じゃあ、カテレアも連れて行ったのは何の為だ?」


一誠 「指導者が必要だろう?カテレアはその為に引き取った。クルゼレイも俺の仲間になる」


サーゼクス 「どうして仲間に成ると言い切れるんだね?」


一誠 「仲間に成ると解りきっているからだ。さて、残りはシャルバ・ベルゼブブだけか。

    そいつも引き入れたら完璧なんだけどそうはいかないだろうな」


嘆息する俺、ヴァーリから聞いた話じゃあ難しいと言われたからだ・・・・・骨が折れそうだ


サーゼクス 「兵藤くん。これは我々、悪魔の問題でもあるんだ。悪魔の問題は悪魔が解決しないと

      いけない。できれば手出しして欲しくないのだが」


一誠 「悪魔の問題ってじゃあ、どうして悪魔だけで解決をしようとしないんだ?旧魔王派だけなら

    サーゼクスたち悪魔だけ対処すればいいだけじゃないか。どうして堕天使と天使、北欧の主神の

    オー爺ちゃんと他の勢力と協力するんだよ?その上、俺まで手伝わせておいて『悪魔の問題だから

   手を出さないでくれ』?矛盾しているぞ。それに独断でクルゼレイと旧魔王派の幹部たちと会談の席を

    設けたら三大勢力の協定に罅が生じるんじゃないのか?」


サーゼクス 「・・・・・」


無言か。まあいいけどさ


一誠 「俺たち、幽幻龍騎士団は別に悪魔、天使、堕天使のどれかにも属していないから自由に他の選択肢を

    見つけられることができるんだ。寧ろ、俺はサーゼクスたちの為に動いていると思っている。出来る

    限り無駄な血を流さない方法で旧魔王派を倒すと言う名目の救済のやり方で」


俺はリインフォースとオーフィスを引き連れて神殿の方へ歩む


一誠 「俺は俺を信じて一緒についてきてくれる仲間や家族たちと共に自由に生き、動く。邪魔をしないで

    くれるなら協力は惜しまない。でも、一度でも悪魔や天使、堕天使が敵対するような言動をしたら

   二度と協力はしないし助けもしない。幽幻龍騎士団という勢力と成って自由に『禍の団』と対抗する」


眼前に空間を歪ませ穴を広げ俺たちは穴の中に潜りサーゼクスたちから姿を消す


一誠 「それじゃあ、俺はグレモリー先輩たちのところへ行ってくる」


そう伝え空間の穴を閉じた

-80-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




ハイスクールD×D 13【BD付限定版】 イッセーSOS (単行本)
新品 \0
中古 \9915
(参考価格:\4725)